説明

紙幣収納ケース

【課題】 紙幣を収納して、持ち運び可能に構成され、かつ、ユーザーが、リアルタイムに、内部に収納されている紙幣の金種や金種別枚数を容易に把握することができる紙幣収納ケースを提供する。
【解決手段】 紙幣を収納し、持ち運び可能に構成された紙幣収納ケース1であって、紙幣に書き込まれたRFIDデータを読み取るRFIDリーダー8と、RFIDリーダーが読み取ったRFIDデータに基づいて、紙幣に関するデータを算出するコントローラ20と、RFIDリーダーによって読み取られた紙幣のRFIDデータおよびコントローラによって算出された紙幣に関するデータを記憶するフラッシュメモリ23と、フラッシュメモリに記憶された紙幣に関するデータを表示する第一のディスプレイ11を備え、第一のディスプレイが、紙幣収納ケースの外側に設けられていることを特徴とする紙幣収納ケース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣収納ケースに関するものであり、さらに詳細には、紙幣を収納して、持ち運び可能に構成され、かつ、ユーザーが、リアルタイムに、内部に収納されている紙幣の金種や金種別枚数を容易に把握することができる紙幣収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙幣を持ち運ぶため、紙幣を収納する紙幣収納部と、施錠機構を備えた紙幣収納ケースが知られており、また、紙幣収納部および施錠機構を備え、夜間に、銀行へ預け入れる紙幣を収納するのに適するように構成された紙幣収納ケースも知られている。
【0003】
このような紙幣収納ケースについては、防犯性能を向上させ、あるいは、取扱いを容易にするため、様々な研究開発が進められている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【特許文献1】特開平11−253221号公報
【特許文献2】特許第3583160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の紙幣収納ケースは、もっぱら、紙幣を収納して、持ち運ぶことを目的とするものであるため、紙幣が収納されている状態で、内部に収納されている紙幣の金種や枚数を把握することは不可能であった。
【0005】
したがって、内部に収納されている紙幣の金種や枚数を把握するためには、あらかじめ、紙幣計数機や紙幣処理機などを用いて、紙幣収納ケースに収納すべき紙幣の金種や枚数をチェックする必要があった。
【0006】
また、紙幣計数機や紙幣処理機などを用いて、紙幣収納ケースに収納すべき紙幣の金種や枚数をチェックした上で、紙幣を紙幣収納ケースに収納した場合でも、紙幣を持ち運んでいる間に、何らかの理由で、ユーザーが、紙幣収納ケースに収納されている紙幣の一部を取り出し、あるいは、紙幣収納ケースに、紙幣を補充したときには、紙幣収納ケースのユーザーは、いかなる金種の紙幣を何枚取り出し、あるいは、補充したかを記憶しておくことが必要になり、現に、紙幣収納ケースに収納されている紙幣の金種や枚数を把握しておくことは容易ではなかった。
【0007】
さらに、従来の紙幣収納ケースにあっては、紙幣を持ち運んでいる過程で、何らかの理由で、紙幣収納ケースのユーザーが知らない間に、第三者によって、紙幣収納ケースに収納されている紙幣の一部が取り出され、あるいは、紙幣収納ケースに、紙幣が補充されるようなことがあると、その事実が判明した時点では、何時、紙幣収納ケースに収納されている紙幣の一部が取り出され、あるいは、紙幣収納ケースに、紙幣が補充されたかを把握することは不可能であった。
【0008】
一方、近年、RFID(Radio Frequency-Identification)システムを用いて、読み取り可能なデータ(以下、「RFIDデータ」という。)を、紙幣に書き込んで、紙幣の偽造を防止することが提案されている。RFIDシステムは、アンテナとコントローラを備えたRFIDライター、アンテナとコントローラを備えたRFIDリーダーならびにICチップとアンテナを内蔵したインレットと呼ばれる薄いフイルムとによって構成されており、RFIDライターから所定の周波数の電波、たとえば、マイクロ波帯の電波を発信し、インレットのアンテナに受信させて、ICチップに、RFIDデータを書き込み、RFIDリーダーから所定の周波数、たとえば、マイクロ波帯の電波を発信し、インレットのアンテナに受信させて、ICチップに書き込まれたRFIDデータを読み取るものである。
【0009】
しかしながら、RFIDシステムを利用して、紙幣をハンドリングするシステムについての具体的な提案はほとんどなされていなかった。
【0010】
したがって、本発明は、紙幣を収納して、持ち運び可能に構成され、かつ、ユーザーが、リアルタイムに、内部に収納されている紙幣の金種や金種別枚数を容易に把握することができる紙幣収納ケースを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の前記目的は、紙幣を収納し、持ち運び可能に構成された紙幣収納ケースであって、紙幣に書き込まれたRFIDデータを読み取るRFIDリーダーと、前記RFIDリーダーが読み取ったRFIDデータに基づいて、紙幣に関するデータを算出するコントローラと、前記RFIDリーダーによって読み取られた紙幣のRFIDデータおよび前記コントローラによって算出された紙幣に関するデータを記憶するデータ記憶手段と、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示する第一のデータ表示手段を備え、前記第一のデータ表示手段が、前記紙幣収納ケースの外側に設けられていることを特徴とする紙幣収納ケースによって達成される。
【0012】
本発明によれば、紙幣収納ケースは、RFIDリーダーによって、紙幣収納ケースに収納されている紙幣に記録されたRFIDデータを読み取って、紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを、データ記憶手段に記憶し、データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを、第一のデータ表示手段に表示可能に構成されているから、紙幣収納ケース内に、紙幣を収納するのに先立って、紙幣計数機や紙幣処理機などを用いて、紙幣の金種や金種別枚数などをチェックすることなく、リアルタイムに、紙幣収納ケースに収納されている紙幣の金種や金種別枚数を、第一のデータ表示手段に表示させて、容易に把握することが可能になる。
【0013】
また、本発明によれば、紙幣収納ケースは、RFIDリーダーによって、紙幣収納ケースに収納されている紙幣に記録されたRFIDデータを読み取って、紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを、データ記憶手段に記憶し、データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを、第一のデータ表示手段に表示可能に構成されているから、紙幣収納ケースに紙幣を収納して、持ち運んでいる間に、何らかの理由で、ユーザーが、紙幣収納ケースに収納されている紙幣の一部を取り出し、あるいは、紙幣収納ケースに、紙幣を補充したときにも、いかなる金種の紙幣を何枚取り出し、あるいは、補充したかを、容易に把握することが可能になるとともに、紙幣収納ケースに紙幣を収納して、持ち運んでいる過程で、何らかの理由で、ユーザーが知らない間に、第三者によって、紙幣収納ケースに収納されている紙幣の一部が取り出され、あるいは、紙幣収納ケースに、紙幣が補充されるようなことがあっても、第三者によって、いかなる金種の紙幣が何枚取り出され、あるいは、補充されたかを、容易に把握することが可能になる。
【0014】
本発明の好ましい実施態様においては、前記RFIDデータが、少なくとも、その紙幣を特定するIDデータと、その紙幣の金種を特定する金種データを含んでいる。
【0015】
本発明のさらに実施態様においては、紙幣収納ケースが、前記RFIDリーダーから発信された周波数の電波を遮蔽する材料によって形成されている。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、紙幣収納ケースが、RFIDリーダーから発信された周波数の電波を遮蔽する材料によって形成されているから、RFIDリーダーや、紙幣に形成されたインレットが、外部から発信される電波の影響を受けて、誤作動し、また、紙幣収納ケース外に存在するRFIDリーダーによって、紙幣収納ケース内に収納された紙幣のRFIDデータが読み取られることを確実に防止することが可能になる。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記RFIDリーダーが、紙幣に書き込まれたRFIDデータを読み取った後に、オフされるように構成されている。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、ユーザーが、RFIDリーダーをオフしなくても、紙幣に書き込まれたRFIDデータを読み取った後に、RFIDリーダーが自動的にオフされるので、RFIDリーダーのオン状態が、必要以上に、維持されることがなく、したがって、紙幣収納ケースの消費電力を節減することが可能になる。
【0019】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記データ記憶手段が、少なくとも2回分の読み取り処理によって得られた前記RFIDデータおよび前記RFIDデータに基づいて算出された紙幣に関するデータを記憶可能な記録容量を有している。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、データ記憶手段が、少なくとも2回分の読み取り処理によって得られたRFIDデータおよびRFIDデータに基づいて算出された紙幣に関するデータを記憶可能な記録容量を有しているから、ユーザーは、たとえば、前回のRFIDデータの読み取りの際に算出された紙幣収納ケースに収納されている紙幣の合計金額と、今回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の合計金額との差額を、コントローラに算出させて、第一の表示手段に表示させることができ、何らかの理由で、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣の一部が取り出され、および/または、紙幣収納ケース内に、紙幣が補充された場合でも、リアルタイムに、いかなる金種の紙幣が何枚取り出され、および/または、補充されたかを把握することができ、紙幣収納ケースの有用性を大幅に向上させることが可能になる。
【0021】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記コントローラが、読み取り処理によって得られた前記RFIDデータに基づいて算出した紙幣に関するデータと、前記データ記憶手段に記憶された過去の読み取り処理によって得られた紙幣に関するデータとを対比し、その変化分を算出可能に構成されている。
【0022】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、コントローラが、読み取り処理によって得られたRFIDデータに基づいて算出した紙幣に関するデータと、データ記憶手段に記憶された過去の読み取り処理によって得られた紙幣に関するデータとを対比し、その変化分を算出可能に構成されているから、何らかの理由で、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣の一部が取り出され、および/または、紙幣収納ケース内に、紙幣が補充された場合でも、リアルタイムに、いかなる金種の紙幣が何枚取り出され、および/または、補充されたかを把握することができ、紙幣収納ケースの有用性をより一層大幅に向上させることが可能になる。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、紙幣収納ケースが、さらに、前記紙幣収納ケースの開閉を検出する開閉操作検出手段を備え、前記開閉操作検出手段によって、前記紙幣収納ケースが閉じられたことが検出されたときに、前記RFIDリーダーが起動されるように構成されている。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、ユーザーが、RFIDリーダーを起動させなくても、紙幣収納ケースを閉じたときに、自動的に、RFIDリーダーが起動されて、紙幣に記録されたRFIDデータが読み取られ、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータが生成されるから、紙幣収納ケースが閉じられ、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣の金種別枚数などが変化した可能性があるときに、確実に、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータをアップデートして、データ記憶手段に記憶させることが可能になる。
【0025】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、紙幣収納ケースが、さらに、前記紙幣収納ケースを施錠および開錠可能なロック手段と、前記ロック手段によって、前記紙幣収納ケースが施錠または開錠されたことを検出するロック操作検出手段とを備え、前記ロック操作検出手段によって、前記紙幣収納ケースが施錠されたことが検出されたときに、前記RFIDリーダーが起動されるように構成されている。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、ユーザーが、RFIDリーダーを起動させなくても、紙幣収納ケースが閉じられて、施錠されたときに、自動的に、RFIDリーダーが起動されて、紙幣に記録されたRFIDデータが読み取られ、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータが生成されるから、紙幣収納ケースが閉じられて、施錠され、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣の金種別枚数などが変化した可能性があるときに、確実に、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータをアップデートして、データ記憶手段に記憶させることが可能になる。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、紙幣収納ケースが、さらに、前記第一の表示手段に表示するデータのデータ形式を切り換える切り換えスイッチを備えている。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、紙幣収納ケースが、さらに、前記第一の表示手段に表示するデータのデータ形式を切り換える切り換えスイッチを備えていから、ユーザーは、目的に応じて、第一のデータ表示手段の表示内容を、自由に切り換えることが可能になる。
【0029】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、紙幣収納ケースが、さらに、暗証番号が登録されたメモリと、暗証番号を入力するための入力手段を備え、前記第一のデータ表示手段が、前記入力手段に入力された暗証番号と前記メモリに登録された暗証番号とが一致したときに限って、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示するように構成されている。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、第一のデータ表示手段が、入力手段に入力された暗証番号とメモリに登録された暗証番号とが一致したときに限って、データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示するように構成されているから、権限のない第三者が、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣に関する情報を入手することを確実に防止することができ、紙幣収納ケースのセキュリティを大幅に向上させることが可能になる。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記ロック手段が、前記入力手段に入力された暗証番号と前記メモリに登録された暗証番号とが一致したときに限って、前記紙幣収納ケースを開錠可能に構成されている。
【0032】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、ロック手段が、前記入力手段に入力された番号と前記メモリに登録された番号とが一致したときに限って、前記紙幣収納ケースを開錠可能に構成されているから、権限のない第三者が、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣にアクセスすることを確実に防止することができ、紙幣収納ケースのセキュリティを大幅に向上させることが可能になる。
【0033】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、紙幣収納ケースが、さらに、前記紙幣収納ケースの内側に、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示する第二のデータ表示手段を備えている。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、紙幣収納ケースが、さらに、前記紙幣収納ケースの内側に、データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示する第二のデータ表示手段を備えているから、ユーザーは、紙幣収納ケースを開いたまま、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータを第二のデータ表示手段に表示させて、把握することができ、紙幣収納ケースの操作性を向上させることが可能になる。
【0035】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、紙幣収納ケースが、前記第二のデータ表示手段に表示するデータのデータ形式を切り換える切り換えスイッチを備えている。
【0036】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、紙幣収納ケースが、さらに、前記第二の表示手段に表示するデータのデータ形式を切り換える切り換えスイッチを備えていから、ユーザーは、目的に応じて、第二のデータ表示手段の表示内容を、自由に切り換えることが可能になる。
【0037】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第二のデータ表示手段が、前記紙幣収納ケースが開錠されたときに、起動され、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示するように構成されている。
【0038】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、第二のデータ表示手段が、紙幣収納ケースが開錠されたときに、起動され、データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示するように構成されているから、ユーザーは、紙幣収納ケースを開いたときに、第二の表示手段の表示から、ただちに、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータを把握することができ、紙幣収納ケースの操作性を向上させることが可能になる。
【0039】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第二のデータ表示手段が、所定の時間にわたって、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示した後に、オフされるように構成されている。
【0040】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、ユーザーが、第二の表示手段をオフしなくても、第二の表示手段は、所定の時間にわたって、紙幣に関するデータを表示した後に、自動的にオフされるので、第二の表示手段のオン状態が、必要以上に、維持されることがなく、したがって、紙幣収納ケースの消費電力を節減することが可能になる。
【0041】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、紙幣収納ケースが、さらに、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示する表示装置が接続可能な接続ターミナルを備えている。
【0042】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、紙幣収納ケースは、さらに、データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示する表示装置が接続可能な接続ターミナルを備えているから、紙幣収納ケースに収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータを、紙幣収納ケースの外側に設けられている第一のデータ表示手段に表示することなく、接続ターミナルに接続された表示装置に表示することができ、したがって、権限のない第三者が、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣に関する情報を入手することをより確実に防止することができ、紙幣収納ケースのセキュリティを大幅に向上させることが可能になる。
【0043】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記接続ターミナルに、前記表示装置が接続されているときに、紙幣に関するデータの前記第一のデータ表示手段上への表示が禁止されるように構成されている。
【0044】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、接続ターミナルに、表示装置が接続されているときに、紙幣に関するデータの第一のデータ表示手段上への表示が禁止されるように構成されているから、紙幣収納ケースに収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータを、紙幣収納ケースの外側に設けられている第一のデータ表示手段に代えて、接続ターミナルに接続された表示装置に表示することができ、したがって、権限のない第三者が、紙幣収納ケース内に収納されている紙幣に関する情報を入手することをより確実に防止することができ、紙幣収納ケースのセキュリティを大幅に向上させることが可能になる。
【0045】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記接続ターミナルが、パーソナルコンピュータを接続可能に構成されている。
【0046】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、接続ターミナルが、パーソナルコンピュータを接続可能に構成されているから、パーソナルコンピュータを用いて、紙幣収納ケースに収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータに種々の加工処理を施すことができ、紙幣収納ケースに収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータを所望のように管理することが可能になる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、紙幣を収納して、持ち運び可能に構成され、かつ、ユーザーが、リアルタイムに、内部に収納されている紙幣の金種や金種別枚数を容易に把握することができる紙幣収納ケースを提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
【0049】
図1および図2は、本発明の好ましい実施態様にかかる紙幣収納トランクの略斜視図であり、図1は、紙幣収納トランクが開かれた状態を示し、図2は、紙幣収納トランクが閉じられた状態を示している。
【0050】
本実施態様にかかる紙幣収納トランクは、紙幣の発行権限を有する機関によって、ICチップとアンテナを内蔵したインレットが形成され、インレット中のICチップに、紙幣のIDデータ、紙幣の金種データなどのRFIDデータが、特定のフォーマットで、記録された紙幣を収納し、持ち運び可能に構成されている。ここに、紙幣に形成されたインレット中のICチップは、紙幣の発行権限を有する機関によって、ICチップに書き込まれた紙幣のIDデータ、紙幣の金種データなどのRFIDデータが、紙幣の流通過程において、改ざんされることを防止するため、読み取り専用に構成されている。
【0051】
インレットを紙幣に形成する方法としては、紙幣用の紙を抄く際に、紙幣用の紙にインレットを埋め込む方法、紙幣にインレットを貼り付ける方法、紙幣にインレットを印刷する方法などが挙げられるが、とくに限定されるものではない。
【0052】
図1および図2に示されるように、本実施態様にかかる紙幣収納トランク1は、紙幣を収納するトランク本体2と、トランク本体2の一側面の上部に、揺動可能に取り付けられた蓋部3を備えている。
【0053】
図1および図2に示されるように、トランク本体2の蓋部3が取り付けられた一側面の対向する側面には、ハンドル4が取り付けられ、さらに、蓋部3を施錠するためのキー(図示せず)が挿入されるキーホール5と、暗証番号を入力するための入力ボード6が設けられている。
【0054】
本実施態様においては、紙幣収納トランク1は、ユーザが所定の暗証番号を入力しない限りは、キーホール5に挿入したキーを操作しても、開錠できないように構成されている。
【0055】
図1に示されるように、蓋部3のトランク本体2に取り付けられた側部に対向する側部のトランク本体2に当接可能な表面には、蓋部3の開閉を検出するセンサ7が設けられ、蓋部3の内面には、紙幣に形成されたインレット中のICチップに記録された紙幣のIDデータ、紙幣の金種データなどのRFIDデータを読み取るRFIDリーダー8と、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータに基づいて、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣に関するデータや、メッセージを表示する第二のディスプレイ9と、第二のディスプレイ9をオン・オフするとともに、第二のディスプレイ9に表示されるデータの形式を切り換える第二のディスプレイスイッチ10を備えている。
【0056】
図2に示されるように、ハンドル4が設けられたトランク本体2の外側面に連なる蓋部3の外側面には、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータに基づいて、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣に関するデータや、メッセージを表示する第一のディスプレイ11と、第一のディスプレイ11をオン・オフするとともに、第一のディスプレイ11に表示されるデータの形式を切り換える第一のディスプレイスイッチ12と、後述するフラッシュメモリに書き込まれているデータの一部を消去するリセットスイッチ13とが設けられている。
【0057】
センサ7は、紙幣収納トランク1の蓋部3が閉じられたことを検出すると、第一の検出信号を後述するCPUに出力し、紙幣収納トランク1の蓋部3が開かれたことを検出すると、第二の検出信号をCPUに出力するように構成されている。
【0058】
図1および図2に示されるように、第一のディスプレイ11、第一のディスプレイスイッチ12およびリセットスイッチ13が設けられた蓋部3の外側面の下端部には、一対のロック部材14a、14aが設けられ、ハンドル4が設けられたトランク本体2の外側面の上端部には、ロック部材14a、14aに対応する位置に、一対のロック部材係合部14b、14bが設けられており、蓋部3を閉じた際に、一対のロック部材14a、14aを対応するロック部材係合部14b、14bに係合させることによって、蓋部3をトランク本体2に固定可能に構成されている。
【0059】
本実施態様においては、RFIDリーダー8や、紙幣に形成されたインレットが、外部から発信される電波の影響を受けて、誤作動し、また、紙幣収納トランク1外に存在するRFIDリーダーによって、紙幣収納トランク1内に収納された紙幣のRFIDデータが読み取られるのを防止するため、トランク本体2および蓋部3は、RFIDリーダー8から発信される周波数の電波を遮蔽する性質を有する材料によって形成されている。
【0060】
図3は、本実施態様にかかる紙幣収納トランク1の制御系、検出系および入力系のブロックダイアグラムである。
【0061】
図3に示されるように、本実施態様にかかる紙幣収納トランク1の制御系は、紙幣収納トランク1全体の電気的動作を制御するとともに、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータに基づいて、紙幣に関するデータを算出するCPU20と、制御プログラムなどが格納されたROM21と、各種データを一時的に記憶するRAM22と、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータおよびCPU20によって算出された紙幣に関するデータを記憶するとともに、暗証番号を記憶するフラッシュメモリ23とを備えている。
【0062】
本実施態様においては、フラッシュメモリ23は、少なくとも2回の読み取り操作によって、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータおよびRFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータに基づき、CPU20によって算出された紙幣に関するデータを記憶可能な容量を備えている。
【0063】
また、図3に示されるように、本実施態様にかかる紙幣収納トランク1の検出系は、蓋部3の開閉を検出するセンサ7および紙幣に形成されたインレット中のICチップに記録された紙幣のIDデータ、紙幣の金種データなどのRFIDデータを読み取るRFIDリーダー8を備えている。
【0064】
さらに、図3に示されるように、本実施態様にかかる紙幣収納トランク1の入力系は、第二のディスプレイ9と、第二のディスプレイスイッチ10と、第一のディスプレイ11と、第一のディスプレイスイッチ12と、リセットスイッチ13とを備えている。
【0065】
以上のように構成された本実施態様にかかる紙幣収納トランク1は、ユーザーが、紙幣が収納されていない紙幣収納トランク1内に、新たに、紙幣を収納し、紙幣収納トランク1を閉じた場合あるいはユーザーが、紙幣を収納した紙幣収納トランク1を持ち運んでいる過程で、紙幣収納トランク1を開き、再び、紙幣収納トランク1を閉じた場合には、以下のようにして、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを生成し、ユーザーの指示にしたがって、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示する。
【0066】
まず、ユーザーによって、紙幣収納トランク1の蓋部3が閉じられると、センサ7から、蓋部検出信号が、CPU20に出力される。
【0067】
次いで、ユーザーによって、ロック部材14a、14aがロック部材係合部14b、14bに係合されて、蓋部3がトランク本体2に固定され、さらに、キー(図示せず)がキーホール5に挿入されて、紙幣収納トランク1が施錠される。
【0068】
キーがキーホール5に挿入されると、キー検出部(図示せず)によって、キーが検出され、CPU20に、キー検出信号が出力される。
【0069】
センサ7から、蓋部検出信号が入力されてから、所定の時間内に、キー検出信号を受けると、CPU20は、RFIDリーダー8に起動信号を出力して、RFIDリーダー8を起動させる。
【0070】
次いで、RFIDリーダー8から、所定の周波数帯域の電波が発信されて、紙幣に形成されたインレット内のコイルが励起され、インレット内のICチップに記録されたRFIDデータの内容に応じた電波が、RFIDリーダー8に返信される。その後に、RFIDリーダー8によって、紙幣に形成されたインレットから返信された電波が、電気信号に変換され、RFIDデータに復調される。こうして、紙幣収納トランク1内に収納された紙幣のインレット内のICチップに記録されているIDデータおよび金種データなどのRFIDデータが読み取られる。
【0071】
RFIDリーダー8によって読み取られた紙幣に記録されたRFIDデータは、CPU20に出力され、CPU20によって、紙幣収納トランク1に収納された紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが算出される。
【0072】
こうして算出された紙幣の金種および金種別枚数に関するデータは、紙幣のRFIDデータとともに、フラッシュメモリ23に書き込まれる。
【0073】
次いで、CPU20は、RFIDリーダー8に駆動停止信号を出力し、RFIDリーダー8をオフさせる。
【0074】
このように、紙幣収納トランク1が閉じられると、RFIDリーダー8によって、紙幣収納トランク1内に収納された紙幣のインレット内のICチップに記録されているIDデータおよび金種データなどのRFIDデータが読み取られ、RFIDリーダー8によって読み取られた紙幣のRFIDデータに基づき、紙幣収納トランク1に収納された紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが生成されて、紙幣のRFIDデータとともに、フラッシュメモリ23に書き込まれるが、ユーザーから所定の指示がないかぎり、第二のディスプレイ9および第一のディスプレイ11のいずれにも、紙幣の金種および金種別枚数に関するデータは表示されない。
【0075】
こうして、紙幣収納トランク1を閉じた直後に、あるいは、紙幣を収納した紙幣収納トランク1を持ち運んでいる過程で、ユーザーが、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを把握したいと考えたときは、ユーザーによって、第一のディスプレイスイッチ12がオンされる。
【0076】
ユーザーによって、第一のディスプレイスイッチ12がオンされると、第一のディスプレイ起動信号が、CPU20に出力される。
【0077】
CPU20は、第一のディスプレイ起動信号を受けると、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11を起動し、第一のディスプレイ11に、暗証番号を入力すべき旨のメッセージを表示する。
【0078】
第一のディスプレイ11に表示されたメッセージに応答して、ユーザーが、入力ボード6を用いて、暗証番号を入力すると、入力された暗証番号がCPU20に出力される。
【0079】
CPU20は、ユーザーによって入力された暗証番号と、フラッシュメモリ23に記憶された暗証番号とを対比し、両者が一致しているか否かを判定する。
【0080】
その結果、ユーザーによって入力された暗証番号とフラッシュメモリ23にあらかじめ記憶されている暗証番号とが一致しないときは、CPU20は、正しい暗証番号を入力すべき旨をユーザーに促すメッセージを、第一のディスプレイ11に表示する。
【0081】
これに対して、ユーザーによって入力された暗証番号とフラッシュメモリ23にあらかじめ記憶されている暗証番号とが一致しているときは、CPU20は、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを、フラッシュメモリ23から読み出し、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示させる。
【0082】
こうして、ユーザーは、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数を把握することができる。
【0083】
ここに、CPU20は、RFIDリーダー8によって読み取られた紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣のRFIDデータに基づいて算出され、フラッシュメモリ23に保存されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータに基づいて、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種別合計金額や、総枚数、総金額など、種々の紙幣に関するデータを算出して、フラッシュメモリ23に保存することができるように構成されており、ユーザーは、第一のディスプレイスイッチ12を操作することにより、第一のディスプレイ11に表示されるべき紙幣に関するデータのデータ形式を切り換えることができるように構成されている。
【0084】
本実施態様においては、フラッシュメモリ23には、少なくとも2回の読み取り操作によって、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータおよびRFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータに基づいて、CPU20が算出した紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが記憶されており、ユーザーは、第一のディスプレイスイッチ12を操作することによって、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出され、フラッシュメモリ23に記憶されている収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータを、第一のディスプレイ11に表示させ、さらには、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータと、今回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータとの間の変化分を、CPU20に算出させて、第一のディスプレイ11に表示させることができるように構成されている。
【0085】
その一方で、紙幣が収納されていない紙幣収納トランク1内に、新たに、紙幣を収納した場合などは、直前のRFIDデータ読み取りの際に算出され、フラッシュメモリ23に記憶されている収納紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータ以外のデータを、第一のディスプレイ11に表示させる必要はなく、逆に、直前のRFIDデータ読み取りの際に算出され、フラッシュメモリ23に記憶されている収納紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータ以外のデータが、フラッシュメモリ23に記憶されている場合には、混乱の原因になるから、本実施態様においては、ユーザーが、リセットスイッチ13を操作することによって、直前のRFIDデータ読み取りの際に算出され、フラッシュメモリ23に記憶されている収納紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータ以外のデータを消去することができるように構成されている。
【0086】
紙幣に関するデータを、第一のディスプレイ11に表示した後、所定の時間が経過すると、CPU20は、消費電力を節減するために、第一のディスプレイ11をオフする。
【0087】
一旦、第一のディスプレイ11がオフされた後に、ユーザーが、再度、紙幣収納トランク1内に収納された紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを、第一のディスプレイ11に表示させたいときは、ユーザーは、第一のディスプレイスイッチ12をオンさせる。
【0088】
ユーザーによって、第一のディスプレイスイッチ12がオンされると、第一のディスプレイ起動信号が、CPU20に出力される。
【0089】
第一のディスプレイ起動信号が入力されると、CPU20は、フラッシュメモリ23に書き込まれた紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを読み出すとともに、第一のディスプレイ11を再起動させ、フラッシュメモリ23から読み出した収納紙幣に関するデータを、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示する。
【0090】
一方、ユーザーが紙幣収納トランク1を開いたときは、以下のようにして、紙幣収納トランク1に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータが、蓋部3の内面に設けられた第二のディスプレイ9に表示される。
【0091】
ユーザーが、キーホール5にキー(図示せず)を挿入すると、キー検出部(図示せず)によって、キーが検出され、CPU20に、キー検出信号が出力される。
【0092】
キー検出部からキー検出信号が入力されると、CPU20は、キー検出信号を受ける前に、所定の時間を越えて、センサ7から、蓋部検出信号が入力されていたか否かを判定する。
【0093】
その結果、キー検出信号を受ける前に、センサ7から蓋部検出信号が入力されていたが、センサ7から蓋部検出信号が入力されていた期間は所定の時間以下であると判定したときは、紙幣収納トランク1の蓋部3が閉じられ、紙幣収納トランク1を施錠するために、キーがキーホール5に挿入されたと認められるから、CPU20は、RFIDリーダー8に起動信号を出力して、RFIDリーダー8を起動させる。
【0094】
これに対して、キー検出信号を受ける前に、所定の時間を越えて、センサ7から、蓋部検出信号が入力されていたときは、紙幣収納トランク1を開錠するために、キーがキーホール5に挿入されたと認められるから、CPU20は、第一のディスプレイ11を起動し、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に、暗証番号を入力すべき旨のメッセージを表示する。
【0095】
ユーザーによって、入力ボード6に暗証番号が入力されると、暗証番号はCPU20に出力され、CPU20によって、ユーザーによって入力された暗証番号とフラッシュメモリ23にあらかじめ記憶されている暗証番号とが対比される。
【0096】
その結果、ユーザーによって入力された暗証番号とフラッシュメモリ23にあらかじめ記憶されている暗証番号とが一致しないときは、CPU20は、紙幣収納トランク1の開錠を許可することなく、正しい暗証番号を入力すべき旨をユーザーに促すメッセージを、第一のディスプレイ11に表示する。
【0097】
これに対して、ユーザーによって入力された暗証番号とフラッシュメモリ23にあらかじめ記憶されている暗証番号とが一致しているときは、CPU20は、紙幣収納トランク1の開錠を許可し、キーを操作すべき旨のメッセージを、第一のディスプレイ11に表示する。
【0098】
ユーザーが、キーを操作して、紙幣収納トランク1を開錠し、紙幣収納トランク1の蓋部3を開くと、センサ7から、蓋部検出信号が入力されなくなる。
【0099】
センサ7から、蓋部検出信号が入力されなくなると、CPU20は、フラッシュメモリ23に書き込まれた紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを読み出すとともに、蓋部3の内面に設けられた第二のディスプレイ9を起動させて、フラッシュメモリ23から読み出した収納紙幣に関するデータを、第二のディスプレイ9に表示する。
【0100】
本実施態様においては、ユーザーは、第二のディスプレイスイッチ10を操作することによって、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出され、フラッシュメモリ23に記憶されている収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータを、第二のディスプレイ9に表示させ、さらには、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータと、今回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータとの間の変化分を、CPU20に算出させて、第二のディスプレイ9に表示させることができるように構成されている。
【0101】
収納紙幣に関するデータを、第二のディスプレイ9に表示した後、所定の時間が経過すると、CPU20は、消費電力を節減するために、第二のディスプレイ9をオフする。
【0102】
一旦、第二のディスプレイ9がオフされた後に、ユーザーが、再度、紙幣収納トランク1内に収納された紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを、第二のディスプレイ9に表示させたいときは、ユーザーは、第二のディスプレイスイッチ10をオンさせる。
【0103】
ユーザーによって、第二のディスプレイスイッチ10がオンされると、第二のディスプレイスイッチ起動信号が、CPU20に出力される。
【0104】
第二のディスプレイスイッチ起動信号が入力されると、CPU20は、フラッシュメモリ23に書き込まれた紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを読み出すとともに、第二のディスプレイ9を再起動させ、フラッシュメモリ23から読み出した収納紙幣に関するデータを、蓋部3の内面に設けられた第二のディスプレイ9に表示する。
【0105】
この場合にも、ユーザーは、第二のディスプレイスイッチ10を操作することによって、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出され、フラッシュメモリ23に記憶されている収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータを、第二のディスプレイ9に表示させ、さらには、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータと、今回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータとの間の変化分を、CPU20に算出させて、第二のディスプレイ9に表示させることができる。
【0106】
このように、本実施態様においては、紙幣収納トランク1が閉じられると、RFIDリーダー8が自動的に起動され、RFIDリーダー8によって、紙幣収納トランク1に収納されている紙幣に形成されたインレットのICチップに記録されたRFIDデータが読み取られ、CPU20によって、RFIDリーダー8が読み取った紙幣のRFIDデータに基づき、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが生成されて、フラッシュメモリ23に書き込まれるように構成されており、したがって、ユーザーが、紙幣が収納されていない紙幣収納トランク1内に、新たに、紙幣を収納し、紙幣収納トランク1を閉じた場合には、ユーザーによって、紙幣が収納されていない紙幣収納トランク1内に、新たに収納された紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが、フラッシュメモリ23に書き込まれ、また、ユーザーが、紙幣収納トランク1を開いて、紙幣収納トランク1内に収納されていた紙幣の一部を取り出し、および/または、紙幣収納トランク1内に、紙幣が補充し、紙幣収納トランク1を閉じた場合には、紙幣収納トランク1を閉じた時点で、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが、フラッシュメモリ23に書き込まれる。
【0107】
こうして、フラッシュメモリ23に書き込まれた紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータあるいは紙幣の金種および金種別枚数に関するデータに基づいて、CPU20によって算出され、フラッシュメモリ23に保存された収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータは、ユーザーが、第一のディスプレイスイッチ12をオンし、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示されたメッセージにしたがって、入力ボード6を用いて、フラッシュメモリ23に登録されている暗証番号を入力することによって、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示される。
【0108】
したがって、本実施態様によれば、ユーザーは、紙幣収納トランク1を閉じた直後においても、また、紙幣を収納した紙幣収納トランク1を持ち運んでいる過程においても、紙幣収納トランク1を閉じたまま、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数や、収納紙幣の金種別合計金額、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータを、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示させて、リアルタイムで、正確に把握することができるから、あらかじめ、紙幣処理機などによって、紙幣収納トランク1内に収納すべき紙幣の金種および金種別枚数などを計数した上で、紙幣を紙幣収納トランク1内に収納する必要がなくなり、紙幣収納トランク1の有用性を大幅に向上させることが可能になる。
【0109】
また、本実施態様によれば、紙幣収納トランク1が閉じられているときは、正しい暗証番号が入力ボード6に入力されない限り、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数や、収納紙幣の金種別合計金額、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータが、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示されないように構成されているから、権限のない第三者は、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数や、収納紙幣の金種別合計金額、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関する情報を知ることができず、したがって、紙幣収納トランク1のセキュリティを大幅に向上させることが可能になる。
【0110】
また、本実施態様においては、ユーザーが、キーホール5にキーを挿入し、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示されたメッセージにしたがって、入力ボード6を用いて、フラッシュメモリ23に登録されている暗証番号を入力し、キーを操作することによって、紙幣収納トランク1を開錠し、紙幣収納トランク1の蓋部3を開くことができ、紙幣収納トランク1の蓋部3が開かれると、フラッシュメモリ23に記憶されている紙幣収納トランク1内に収納された紙幣の金種および金種別枚数や、収納紙幣の金種別合計金額、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータが自動的に読み出されて、蓋部3の内面に設けられた第二のディスプレイ9に表示されるように構成されている。
【0111】
したがって、本実施態様によれば、リアルタイムで、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数や、収納紙幣の金種別合計金額、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータを把握することができ、紙幣収納トランク1の有用性を大幅に向上させることが可能になる。
【0112】
さらに、本実施態様によれば、入力ボード6に暗証番号を入力しない限り、紙幣収納トランク1を開錠できないように構成されているから、権限のない第三者が、紙幣収納トランク1を開錠して、紙幣収納トランク1内に収納された紙幣にアクセスすることを確実に防止することができ、したがって、紙幣収納トランク1のセキュリティを大幅に向上させることが可能になる。
【0113】
また、本実施態様によれば、紙幣収納トランク1の蓋部3が閉じられているときは、さらに、第一のディスプレイスイッチ12を操作することにより、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータと、今回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータとの間の変化分を、CPU20に算出させて、第一のディスプレイ11に表示させることができ、紙幣収納トランク1の蓋部3が開かれているときは、さらに、第二のディスプレイスイッチ10を操作することによって、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータと、今回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータとの間の変化分を、CPU20に算出させて、第二のディスプレイ9に表示させることができるように構成されているから、何らかの理由で、紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の一部が取り出され、および/または、紙幣収納トランク1内に、紙幣が補充された場合でも、リアルタイムに、いかなる金種の紙幣が何枚取り出され、および/または、補充されたかを把握することができ、紙幣収納トランク1の有用性を大幅に向上させることが可能になる。
【0114】
さらに、本実施態様によれば、第二のディスプレイ9および第一のディスプレイ11は、収納紙幣に関するデータを表示した後、所定時間が経過した時点で、オフされるように構成されているから、消費電力を節減することが可能になる。
【0115】
図4および図5は、本発明の好ましい実施態様にかかる紙幣収納トランクの略斜視図であり、図4は、紙幣収納トランクが開かれた状態を示し、図5は、紙幣収納トランクが閉じられた状態を示している。
【0116】
本実施態様にかかる紙幣収納トランクも、前記実施態様にかかる紙幣収納トランク1と同様に、紙幣の発行権限を有する機関によって、ICチップとアンテナを内蔵したインレットが形成され、インレット中のICチップに、紙幣のIDデータ、紙幣の金種データなどのRFIDデータが、特定のフォーマットで、記録された紙幣を収納し、持ち運び可能に構成されている。ここに、紙幣に形成されたインレット中のICチップは、紙幣の発行権限を有する機関によって、ICチップに書き込まれた紙幣のIDデータ、紙幣の金種データなどのRFIDデータが、紙幣の流通過程において、改ざんされることを防止するため、読み取り専用に構成されている。
【0117】
本実施態様にかかる紙幣収納トランク30は、パーソナルコンピュータに、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを出力して、パーソナルコンピュータのディスプレイに表示するとともに、パーソナルコンピュータによって、紙幣収納トランク30から入力された紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを加工して、収納紙幣の金種別合計金額、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータを生成し、さらには、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータと、今回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータとの間の変化分を算出して、ディスプレイに表示し、あるいは、変化分をグラフ化して、ディスプレイに表示するなど、紙幣に関するデータを管理することができるように構成されており、図4および図5に示されるように、トランク本体2の一側面に、パーソナルコンピュータ40を接続可能な接続ターミナル35が設けられている点を除き、前記実施態様にかかる紙幣収納トランク1と同一の機械的構成を有している。
【0118】
図6は、本実施態様にかかる紙幣収納トランク30の制御系、検出系および入力系のブロックダイアグラムである。
【0119】
図6に示されるように、本実施態様にかかる紙幣収納トランク30の制御系は、紙幣収納トランク30全体の電気的動作を制御するとともに、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータに基づいて、紙幣収納トランク30に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを算出するCPU20と、制御プログラムなどが格納されたROM21と、各種データを一時的に記憶するRAM22と、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータおよびCPU20によって算出された紙幣に関するデータを記憶するフラッシュメモリ23とを備えている。
【0120】
本実施態様においても、フラッシュメモリ23は、少なくとも2回の読み取り操作によって、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータおよびRFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータに基づき、CPU20によって算出された紙幣に関するデータを記憶可能な容量を備えるとともに、あらかじめ、入力された暗証番号が、登録され、記憶されている。
【0121】
また、図6に示されるように、本実施態様にかかる紙幣収納トランク30の検出系は、蓋部3の開閉を検出するセンサ7、紙幣に形成されたインレット中のICチップに記録された紙幣のIDデータ、紙幣の金種データなどのRFIDデータを読み取るRFIDリーダー8およびキー(図示せず)が操作されて、紙幣収納トランク30が施錠または開錠されたことを検出するキー操作検出センサ36とを備えている。
【0122】
さらに、図6に示されるように、本実施態様にかかる紙幣収納トランク30の入力系は、第二のディスプレイ9と、第二のディスプレイスイッチ10と、第一のディスプレイ11と、第一のディスプレイスイッチ12と、リセットスイッチ13と、パーソナルコンピュータ40を接続可能な接続ターミナル35とを備えている。
【0123】
以上のように構成された本実施態様にかかる紙幣収納トランク30は、ユーザーが、紙幣が収納されていない紙幣収納トランク30内に、新たに、紙幣を収納し、紙幣収納トランク30を施錠した場合あるいはユーザーが、紙幣を収納した紙幣収納トランク30を持ち運んでいる過程で、紙幣収納トランク30を開き、再び、紙幣収納トランク1を閉じて、施錠した場合には、以下のようにして、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを生成し、ユーザーの指示にしたがって、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11またはパーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに表示する。
【0124】
まず、ユーザーによって、紙幣収納トランク30の蓋部3が閉じられると、センサ7から、蓋部検出信号が、CPU20に出力される。
【0125】
次いで、ユーザーによって、ロック部材14a、14aがロック部材係合部14b、14bに係合されて、蓋部3がトランク本体2に固定され、さらに、キー(図示せず)がキーホール5に挿入されて、操作され、紙幣収納トランク30が施錠される。
【0126】
キーホール5に挿入されたキーが操作されて、紙幣収納トランク30が施錠されると、キー操作検出センサ36から、施錠操作検出信号がCPU20に入力される。
【0127】
キー操作検出センサ36から、施錠操作検出信号を受けると、CPU20は、RFIDリーダー8に起動信号を出力して、RFIDリーダー8を起動させる。
【0128】
次いで、RFIDリーダー8から、所定の周波数帯域の電波が発信されて、紙幣に形成されたインレット内のコイルが励起され、インレット内のICチップに記録されたRFIDデータの内容に応じた電波が、RFIDリーダー8に返信される。その後に、RFIDリーダー8によって、紙幣に形成されたインレットから返信された電波が、電気信号に変換され、RFIDデータに復調される。こうして、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣のインレット内のICチップに記録されているIDデータおよび金種データなどのRFIDデータが読み取られる。
【0129】
RFIDリーダー8によって読み取られた紙幣に記録されたRFIDデータは、CPU20に出力され、CPU20によって、紙幣収納トランク30に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが算出される。
【0130】
こうして算出された紙幣の金種および金種別枚数に関するデータは、紙幣のRFIDデータとともに、フラッシュメモリ23に書き込まれる。
【0131】
ここに、CPU20は、前記実施態様と同様に、RFIDリーダー8によって読み取られた紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣のRFIDデータに基づいて算出され、フラッシュメモリ23に保存されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータに基づいて、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種別合計金額や、総枚数、総金額など、種々の紙幣に関するデータを算出して、フラッシュメモリ23に保存することができるように構成されている。
【0132】
次いで、CPU20は、RFIDリーダー8に駆動停止信号を出力し、RFIDリーダー8をオフさせる。
【0133】
このように、紙幣収納トランク30が閉じられ、施錠されると、RFIDリーダー8によって、紙幣収納トランク30内に収納された紙幣のインレット内のICチップに記録されているIDデータおよび金種データなどのRFIDデータが読み取られ、RFIDリーダー8によって読み取られた紙幣のRFIDデータに基づき、紙幣収納トランク30に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが生成されて、紙幣のRFIDデータとともに、フラッシュメモリ23に書き込まれるが、ユーザーから所定の指示がないかぎり、第二のディスプレイ9、第一のディスプレイ11およびパーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aのいずれにも、紙幣の金種および金種別枚数に関するデータは表示されない。
【0134】
こうして、紙幣収納トランク30を施錠した直後に、あるいは、紙幣を収納した紙幣収納トランク30を持ち運んでいる過程で、ユーザーが、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを把握したいと考えたときは、以下のようにして、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aあるいは蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが表示される。
【0135】
紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに表示するときは、ユーザーによって、パーソナルコンピュータ40が接続ターミナル35に接続され、パーソナルコンピュータ40がオンされる。
【0136】
その結果、パーソナルコンピュータ40から、接続ターミナル35を介して、パーソナルコンピュータ接続信号が、CPU20に出力される。
【0137】
パーソナルコンピュータ接続信号を受けると、CPU20は、パーソナルコンピュータ40から、接続ターミナル35を介して、パーソナルコンピュータ接続信号が入力されている間、第一のディスプレイスイッチ12から入力された第一のディスプレイ起動信号およびリセットスイッチ13から入力される信号を無効なものとみなす無効化処理を実行する。
【0138】
したがって、ユーザーによって、第一のディスプレイスイッチ12がオンされ、第一のディスプレイスイッチ12から、第一のディスプレイ起動信号が入力されても、CPU20は、何の処理も実行しないから、フラッシュメモリ23に書き込まれた紙幣収納トランク30に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータは、第一のディスプレイ11には表示されず、ユーザーが、フラッシュメモリ23に書き込まれた紙幣収納トランク30に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを把握するためには、パーソナルコンピュータ40を操作することが必要である。
【0139】
パーソナルコンピュータ40を操作して、紙幣収納トランク30に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを把握するにあたっては、まず、パーソナルコンピュータ40のキーボード40bが操作されて、データ表示信号が、パーソナルコンピュータ40から、接続ターミナル35を介して、CPU20に出力される。
【0140】
接続ターミナル35を介して、パーソナルコンピュータ40からデータ表示信号を受けると、CPU20は、パーソナルコンピュータ40に、接続ターミナル35を介して、暗証番号を入力すべき旨の指示信号を出力して、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに、暗証番号を入力すべき旨のメッセージを表示する。
【0141】
パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに表示されたメッセージに応答して、ユーザーが、パーソナルコンピュータ40のキーボード40bを用いて、暗証番号を入力すると、入力された暗証番号が、接続ターミナル35を介して、CPU20に出力される。
【0142】
CPU20は、ユーザーによってパーソナルコンピュータ40に入力された暗証番号と、フラッシュメモリ23に記憶された暗証番号とを対比し、両者が一致しているか否かを判定する。
【0143】
その結果、ユーザーによって入力された暗証番号とフラッシュメモリ23にあらかじめ記憶されている暗証番号とが一致しないときは、CPU20は、正しい暗証番号を入力すべき旨をユーザーに促すメッセージを、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに表示する。
【0144】
これに対して、ユーザーによって入力された暗証番号とフラッシュメモリ23にあらかじめ記憶されている暗証番号とが一致しているときは、CPU20は、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを、フラッシュメモリ23から読み出し、接続ターミナル35を介して、パーソナルコンピュータ40に出力する。
【0145】
パーソナルコンピュータ40は、CPU20から、接続ターミナル35を介して、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを受けると、入力されたデータを、ディスプレイ40aに表示させるとともに、ハードディスク(図示せず)に保存する。
【0146】
こうして、ユーザーは、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを把握することができる。
【0147】
本実施態様においても、フラッシュメモリ23には、少なくとも2回の読み取り操作によって、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータおよびRFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータに基づき、CPU20によって算出された収納紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが記憶されており、ユーザーは、パーソナルコンピュータ40のキーボード40bを操作することによって、フラッシュメモリ23に記憶された少なくとも2回の読み取り操作によって、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータおよびRFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータに基づき、CPU20によって算出された収納紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを、パーソナルコンピュータ40によって読み出させ、パーソナルコンピュータ40のハードディスク(図示せず)に記憶させるとともに、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出され、紙幣収納トランク30から入力された収納紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに表示させることができるように構成されている。
【0148】
このように、CPU20から、接続ターミナル35を介して、パーソナルコンピュータ40に出力された紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータは、パーソナルコンピュータ40のハードディスク(図示せず)に保存されるから、ユーザーは、パーソナルコンピュータ40を用いて、紙幣収納トランク30から入力され、パーソナルコンピュータ40のハードディスクに保存されている収納紙幣の金種および金種別枚数に関するデータに基づいて、紙幣収納トランク30に収納されている紙幣の金種別合計金額や、総枚数、総金額など、種々の紙幣に関するデータを算出させて、パーソナルコンピュータ40のハードディスク(図示せず)に記憶させるとともに、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに表示させ、さらには、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータと、今回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータとの間の変化分を、パーソナルコンピュータ40に算出させて、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに表示させ、あるいは、変化分をグラフ化して、ディスプレイ40aに表示させるなど、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータを所望のように管理し、データに所望の加工処理を施して、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに表示させることができる。
【0149】
これに対して、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを表示するときは、ユーザーは、接続ターミナル35にパーソナルコンピュータ40を接続することなく、第一のディスプレイスイッチ12をオンする。
【0150】
ユーザーによって、第一のディスプレイスイッチ12がオンされると、第一のディスプレイ起動信号が、CPU20に出力される。
【0151】
CPU20は、第一のディスプレイ起動信号を受けると、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11を起動し、第一のディスプレイ11に、暗証番号を入力すべき旨のメッセージを表示する。
【0152】
第一のディスプレイ11に表示されたメッセージに応答して、ユーザーが、入力ボード6を用いて、暗証番号を入力すると、入力された暗証番号がCPU20に出力される。
【0153】
CPU20は、ユーザーによって入力された暗証番号と、フラッシュメモリ23に記憶された暗証番号とを対比し、両者が一致しているか否かを判定する。
【0154】
その結果、ユーザーによって入力された暗証番号とフラッシュメモリ23にあらかじめ記憶されている暗証番号とが一致しないときは、CPU20は、正しい暗証番号を入力すべき旨をユーザーに促すメッセージを、第一のディスプレイ11に表示する。
【0155】
これに対して、ユーザーによって入力された暗証番号とフラッシュメモリ23にあらかじめ記憶されている暗証番号とが一致しているときは、CPU20は、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータを、フラッシュメモリ23から読み出し、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示させる。
【0156】
こうして、ユーザーは、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種別枚数などの紙幣に関するデータを把握することができる。
【0157】
この場合にも、前記実施態様と同様に、ユーザーは、第一のディスプレイスイッチ12を操作することによって、CPU20に、フラッシュメモリ23に記憶されている収納紙幣の金種および金種別枚数に関するデータに基づいて、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種別合計金額や、総枚数、総金額など、種々の紙幣に関するデータを算出させて、フラッシュメモリ23に記憶させるとともに、第一のディスプレイ11に表示させることができ、さらに、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出され、フラッシュメモリ23に記憶されている収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータを、さらには、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータと、今回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータとの間の変化分を、CPU20に算出させて、第一のディスプレイ11に表示させることができる。
【0158】
紙幣に関するデータを、第一のディスプレイ11に表示した後、所定の時間が経過すると、CPU20は、消費電力を節減するために、第一のディスプレイ11をオフする。
【0159】
一旦、第一のディスプレイ11がオフされた後においても、ユーザーは、前記実施態様と同様にして、再度、紙幣収納トランク30内に収納された紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを、第一のディスプレイ11に表示させることができる。
【0160】
一方、ユーザーが紙幣収納トランク30を開いたときは、接続ターミナル35に、パーソナルコンピュータ40が接続されているか否かにかかわらず、前記実施態様と同様にして、フラッシュメモリ23に書き込まれた紙幣収納トランク30に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが、蓋部3の内面に設けられた第二のディスプレイ9に表示される。
【0161】
すなわち、接続ターミナル35に、パーソナルコンピュータ40が接続されていない場合には、ユーザーが、キーホール5にキーを挿入し、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示されたメッセージにしたがって、入力ボード6を用いて、フラッシュメモリ23に登録されている暗証番号を入力し、キーを操作することによって、紙幣収納トランク1を開錠して、紙幣収納トランク1の蓋部3が開かれ、前記実施態様にかかる紙幣収納トランク1と同様に、フラッシュメモリ23に書き込まれた紙幣収納トランク30に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが、蓋部3の内面に設けられた第二のディスプレイ9に表示される。
【0162】
ここに、ユーザーは、第二のディスプレイスイッチ10を操作して、前記実施態様と同様に、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種別合計金額や、総枚数、総金額などの紙幣に関するデータを、第二のディスプレイ9に表示させることもできる。
【0163】
これに対して、接続ターミナル35に、パーソナルコンピュータ40が接続され、パーソナルコンピュータ40がオンされたときは、パーソナルコンピュータ接続信号がCPU20に入力されるが、キー操作検出センサ36から、開錠操作検出信号が入力されたときは、CPU20は、パーソナルコンピュータ40から、接続ターミナル35を介して、入力されたパーソナルコンピュータ接続信号を無効なものとみなす。
【0164】
したがって、前記実施態様にかかる紙幣収納トランク1と同様に、CPU20は、第一のディスプレイ11を起動して、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に、暗証番号を入力すべき旨のメッセージを表示し、第一のディスプレイ11に表示されたメッセージにしたがって、ユーザーが、入力ボード6を用いて、フラッシュメモリ23に登録されている暗証番号を入力すると、紙幣収納トランク1の開錠を許可し、ユーザーが、キーを操作して、紙幣収納トランク1を開錠し、紙幣収納トランク1の蓋部3を開くと、フラッシュメモリ23に書き込まれた紙幣収納トランク1内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを読み出すとともに、蓋部3の内面に設けられた第二のディスプレイ9を起動させて、フラッシュメモリ23から読み出した収納紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを、第二のディスプレイ9に表示させる。
【0165】
このようにして、ユーザーが紙幣収納トランク30を開いたときは、接続ターミナル35に、パーソナルコンピュータ40が接続されているか否かにかかわらず、フラッシュメモリ23に書き込まれた紙幣収納トランク30に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータが、蓋部3の内面に設けられた第二のディスプレイ9に表示され、ユーザーは、紙幣収納トランク30に収納されている紙幣の金種および金種別枚数に関するデータを把握することができる。
【0166】
以上のように、本実施態様においては、接続ターミナル35にパーソナルコンピュータ40が接続されている場合には、紙幣収納トランク30内に収納された紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータの蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11上への表示が禁止され、紙幣収納トランク30が閉じられているときは、第一のディスプレイスイッチ12を操作しても、紙幣収納トランク30内に収納された紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示させることができず、紙幣収納トランク30内に収納された紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを把握するためには、パーソナルコンピュータ40を操作することが必要で、紙幣収納トランク30内に収納された紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータは、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aにのみ表示されるように構成されている。
【0167】
したがって、本実施態様によれば、紙幣収納トランク30のセキュリティを大幅に向上させることが可能になる。
【0168】
さらに、本実施態様によれば、ユーザーは、紙幣収納トランク30を施錠した直後においても、また、紙幣を収納した紙幣収納トランク1を持ち運んでいる過程においても、紙幣収納トランク30を閉じたまま、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータを、第一のディスプレイ11あるいはパーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに表示させて、リアルタイムで、正確に把握することができるから、あらかじめ、紙幣処理機などによって、紙幣収納トランク30内に収納すべき紙幣の金種別枚数などを計数した上で、紙幣を紙幣収納トランク30内に収納する必要がなくなり、紙幣収納トランク30の有用性を大幅に向上させることが可能になる。
【0169】
また、本実施態様によれば、紙幣収納トランク30が閉じられているときは、正しい暗証番号が、入力ボード6あるいはパーソナルコンピュータ40にキーボード40bに入力されない限り、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータが、第一のディスプレイ11あるいはパーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに表示されないように構成されているから、権限のない第三者が、第一のディスプレイスイッチ12および入力ボード6あるいは接続ターミナル35を介して、紙幣収納トランク30に接続されているパーソナルコンピュータ40を操作しても、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関する情報を知ることができず、したがって、紙幣収納トランク30のセキュリティを大幅に向上させることが可能になる。
【0170】
さらに、本実施態様においても、前記実施態様にかかる紙幣収納トランク1と同様に、ユーザーが、キーホール5にキーを挿入し、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示されたメッセージにしたがって、パーソナルコンピュータ40にキーボード40bを用いて、フラッシュメモリ23に登録されている暗証番号を入力し、キーを操作することによって、初めて、紙幣収納トランク30を開錠し、紙幣収納トランク30の蓋部3を開くことができ、紙幣収納トランク30の蓋部3が開かれると、フラッシュメモリ23に記憶されている紙幣収納トランク30内に収納された紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータが自動的に読み出されて、蓋部3の内面に設けられた第二のディスプレイ9に表示されるように構成されている。
【0171】
したがって、本実施態様によれば、リアルタイムで、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などを把握することができ、紙幣収納トランク30の有用性を大幅に向上させることが可能になる。
【0172】
また、本実施態様によれば、パーソナルコンピュータ40のキーボード40bに暗証番号を入力しない限り、紙幣収納トランク30を開錠できないように構成されているから、権限のない第三者が、紙幣収納トランク30を開錠して、紙幣収納トランク30内に収納された紙幣にアクセスすることを確実に防止することができ、したがって、紙幣収納トランク30のセキュリティを大幅に向上させることが可能になる。
【0173】
さらに、本実施態様によれば、前記実施態様にかかる紙幣収納トランク1と同様に、紙幣収納トランク30の蓋部3が閉じられているときは、さらに、第一のディスプレイスイッチ12あるいはパーソナルコンピュータ40のキーボード40bを操作することにより、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータと、今回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータとの間の変化分を、CPU20あるいはパーソナルコンピュータ40に算出させて、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに表示させることができ、紙幣収納トランク30の蓋部3が開かれているときは、さらに、第二のディスプレイスイッチ10を操作することによって、前回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータと、今回のRFIDデータ読み取りの際に算出された収納紙幣の金種および金種別枚数、あるいは、収納紙幣の金種別合計金額や、収納紙幣の総枚数、総金額などの紙幣に関するデータとの間の変化分を、CPU20あるいはパーソナルコンピュータ40に算出させて、第二のディスプレイ9に表示させることができるように構成されているから、何らかの理由で、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の一部が取り出され、および/または、紙幣収納トランク30内に、紙幣が補充された場合でも、リアルタイムに、いかなる金種の紙幣が何枚取り出され、および/または、補充されたかを把握することができ、紙幣収納トランク30の有用性を大幅に向上させることが可能になる。
【0174】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0175】
たとえば、図1ないし図3に示された実施態様においては、センサ7が蓋部3が閉じられたことを検出してから、所定の時間内に、キー検出部(図示せず)がキーを検出したときに、RFIDリーダー8が起動されるように構成され、図4ないし図6に示された実施態様においては、キー操作検出センサ36が、キーが操作されて、紙幣収納トランク30が施錠されたことを検出したときに、RFIDリーダー8が起動されるように構成されているが、図1ないし図3に示された紙幣収納トランク1に、キー操作検出センサ36を設け、キー操作検出センサ36が、キーが操作されて、紙幣収納トランク1が施錠されたことを検出したときに、RFIDリーダー8が起動されるように構成することもできるし、図4ないし図6に示された紙幣収納トランク30に、キー操作検出センサ36を設けずに、センサ7が蓋部3が閉じられたことを検出してから、所定の時間内に、キー検出部(図示せず)がキーを検出したときに、RFIDリーダー8が起動されるように構成することもできる。
【0176】
また、前記実施態様においては、RFIDリーダー8は、蓋部3の内面に設けられているが、RFIDリーダー8を、蓋部3の内面に設けることは必ずしも必要でなく、トランク本体2への紙幣の収納の妨げにならず、紙幣収納トランク1、30内に収納された紙幣に形成されているインレット中のICチップに記録された紙幣のIDデータ、紙幣の金種データなどのRFIDデータを読み取ることができる位置であれば、RFIDリーダー8を設ける位置はとくに限定されない。
【0177】
さらに、前記実施態様においては、第一のディスプレイ11および第一のディスプレイスイッチ12は、ハンドル4が設けられたトランク本体2の外側面に連なる蓋部3の外側面に設けられているが、第一のディスプレイ11および第一のディスプレイスイッチ12を、ハンドル4が設けられたトランク本体2の外側面に連なる蓋部3の外側面に設けることは必ずしも必要でなく、トランク本体2の他の外側面や、蓋部3の外面に設けることもできる。
【0178】
また、図1ないし図3に示された実施態様においては、蓋部3が閉じられたときにのみ、RFIDリーダー8が起動され、図4ないし図6に示された実施態様においては、紙幣収納トランク30が施錠されたときにのみ、RFIDリーダー8が起動されるように構成されているが、さらに、必要に応じて、RFIDリーダー8が起動されるように構成することもできる。
【0179】
さらに、前記実施態様においては、紙幣収納トランク1、30は、RFIDリーダー8によって読み取られたRFIDデータおよびCPU20によって算出された紙幣に関するデータが、フラッシュメモリ23に書き込まれるように構成されているが、フラッシュメモリ23に代えて、他の不揮発性のデータ保存手段を設けることもできる。
【0180】
また、図1ないし図3に示された実施態様においては、紙幣収納トランク1は、蓋部3の内面に設けられた第二のディスプレイ9と、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11を備えているが、蓋部3の内面に設けられた第二のディスプレイ9を省略し、紙幣に関するデータを、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11にのみ表示させることもできる。
【0181】
さらに、図4ないし図6に示された実施態様においては、紙幣収納トランク30が閉じられているときに、接続ターミナル35にパーソナルコンピュータ40が接続されている場合には、紙幣収納トランク30内に収納された紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータの蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11上への表示が禁止され、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aにのみ、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータが表示されるように構成されているが、紙幣収納トランク30が閉じられているときに、接続ターミナル35にパーソナルコンピュータ40が接続されている場合にも、図1ないし図3に示された実施態様と同様に、紙幣収納トランク30内に収納された紙幣の金種および金種別枚数などの紙幣に関するデータが、蓋部3の外側面に設けられた第一のディスプレイ11に表示されるように構成し、パーソナルコンピュータ40を、紙幣に関するデータの管理、加工および加工されたデータの表示のみに用いることもできる。
【0182】
また、図4ないし図6に示された実施態様においては、紙幣収納トランク30の接続ターミナル35に、パーソナルコンピュータ40が機械的に接続されているが、紙幣収納トランク30の接続ターミナル35に、パーソナルコンピュータ40を機械的に接続することは必ずしも必要でなく、紙幣収納トランク30の接続ターミナル35に、無線ルータなどの通信手段を接続し、この通信手段を介して、パーソナルコンピュータ40を接続することもできる。
【0183】
さらに、図4ないし図6に示された実施態様においては、紙幣収納トランク30の接続ターミナル35に、パーソナルコンピュータ40が接続され、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣に関するデータが表示されるように構成されているが、紙幣収納トランク30の接続ターミナル35に、パーソナルコンピュータ40を接続し、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ40aに、紙幣収納トランク30内に収納されている紙幣に関するデータを表示することは必ずしも必要でなく、パーソナルコンピュータ40に代えて、他の表示装置が、紙幣収納トランク30の接続ターミナル35に接続されるように構成することもできる。
【0184】
また、前記実施態様においては、リセットスイッチ13は、蓋部3の外側面にのみ設けられているが、蓋部3の外側面に設けられたリセットスイッチ13に加えて、蓋部3の内面に、リセットスイッチを設けるようにしてもよい。
【0185】
さらに、前記実施態様においては、紙幣収納トランク1、30につき、説明が加えられているが、本発明は、紙幣収納トランクに限定されるものではなく、紙幣を収納した状態で、持ち運び可能に構成された紙幣収納ケースに、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる紙幣収納トランクの略斜視図であり、紙幣収納トランクが開かれた状態を示している。
【図2】図2は、本発明の好ましい実施態様にかかる紙幣収納トランクの略斜視図であり、紙幣収納トランクが閉じられた状態を示している。
【図3】図3は、図1および図2に示された紙幣収納トランクの制御系、検出系および入力系のブロックダイアグラムである。
【図4】図4は、本発明の他の好ましい実施態様にかかる紙幣収納トランクの略斜視図であり、紙幣収納トランクが開かれた状態を示している。
【図5】図5は、本発明の他の好ましい実施態様にかかる紙幣収納トランクの略斜視図であり、紙幣収納トランクが閉じられた状態を示している。
【図6】図6は、図4および図5に示された紙幣収納トランクの制御系、検出系および入力系のブロックダイアグラムである。
【符号の説明】
【0187】
1 紙幣収納トランク
2 トランク本体
3 蓋部
4 ハンドル
5 キーホール
6 入力ボード
7 センサ
8 RFIDリーダー
9 第二のディスプレイ
10 第二のディスプレイスイッチ
11 第一のディスプレイ11
12 第一のディスプレイスイッチ12
13 リセットスイッチ
14a ロック部材
14b ロック部材係合部
20 CPU
21 ROM
22 RAM
23 フラッシュメモリ
30 紙幣収納トランク
35 接続ターミナル
36 キー操作検出センサ
40 パーソナルコンピュータ
40a パーソナルコンピュータのディスプレイ
40b パーソナルコンピュータのキーボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を収納し、持ち運び可能に構成された紙幣収納ケースであって、紙幣に書き込まれたRFIDデータを読み取るRFIDリーダーと、前記RFIDリーダーが読み取ったRFIDデータに基づいて、紙幣に関するデータを算出するコントローラと、前記RFIDリーダーによって読み取られた紙幣のRFIDデータおよび前記コントローラによって算出された紙幣に関するデータを記憶するデータ記憶手段と、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示する第一のデータ表示手段を備え、前記第一のデータ表示手段が、前記紙幣収納ケースの外側に設けられていることを特徴とする紙幣収納ケース。
【請求項2】
前記RFIDデータが、少なくとも、その紙幣を特定するIDデータと、その紙幣の金種を特定する金種データを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の紙幣収納ケース。
【請求項3】
前記RFIDリーダーから発信された周波数の電波を遮蔽する材料によって形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の紙幣収納ケース。
【請求項4】
前記RFIDリーダーが、紙幣に書き込まれたRFIDデータを読み取った後に、オフされるように構成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の紙幣収納ケース。
【請求項5】
前記データ記憶手段が、少なくとも2回分の読み取り処理によって得られた前記RFIDデータおよび前記RFIDデータに基づいて算出された紙幣に関するデータを記憶可能な記録容量を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の紙幣収納ケース。
【請求項6】
前記コントローラが、読み取り処理によって得られた前記RFIDデータに基づいて算出した紙幣に関するデータと、前記データ記憶手段に記憶された過去の読み取り処理によって得られた紙幣に関するデータとを対比し、その変化分を算出可能に構成されたことを特徴とする請求項5に記載の紙幣収納ケース。
【請求項7】
さらに、前記紙幣収納ケースの開閉を検出する開閉操作検出手段を備え、前記開閉操作検出手段によって、前記紙幣収納ケースが閉じられたことが検出されたときに、前記RFIDリーダーが起動されるように構成されたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の紙幣収納ケース。
【請求項8】
さらに、前記紙幣収納ケースを施錠および開錠可能なロック手段と、前記ロック手段によって、前記紙幣収納ケースが施錠または開錠されたことを検出するロック操作検出手段とを備え、前記ロック操作検出手段によって、前記紙幣収納ケースが施錠されたことが検出されたときに、前記RFIDリーダーが起動されるように構成されたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の紙幣収納ケース
【請求項9】
さらに、前記第一の表示手段に表示するデータのデータ形式を切り換える切り換えスイッチを備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の紙幣収納ケース。
【請求項10】
さらに、暗証番号が登録されたメモリと、暗証番号を入力するための入力手段を備え、前記第一のデータ表示手段が、前記入力手段に入力された暗証番号と前記メモリに登録された暗証番号とが一致したときに限って、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の紙幣収納ケース。
【請求項11】
前記ロック手段が、前記入力手段に入力された暗証番号と前記メモリに登録された暗証番号とが一致したときに限って、前記紙幣収納ケースを開錠可能に構成されたことを特徴とする請求項10に記載の紙幣収納ケース。
【請求項12】
さらに、前記紙幣収納ケースの内側に、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示する第二のデータ表示手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の紙幣収納ケース。
【請求項13】
さらに、前記第二のデータ表示手段に表示するデータのデータ形式を切り換える切り換えスイッチを備えたことを特徴とする請求項12に記載の紙幣収納ケース。
【請求項14】
前記第二のデータ表示手段が、前記紙幣収納ケースが開錠されたときに、起動され、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示するように構成されたことを特徴とする請求項12または13に記載の紙幣収納ケース。
【請求項15】
前記第二のデータ表示手段が、所定の時間にわたって、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示した後に、オフされるように構成されたことを特徴とする請求項14に記載の紙幣収納ケース。
【請求項16】
さらに、前記データ記憶手段に記憶された紙幣に関するデータを表示する表示装置が接続可能な接続ターミナルを備えたことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載の紙幣収納ケース。
【請求項17】
前記接続ターミナルに、前記表示装置が接続されているときに、紙幣に関するデータの前記第一のデータ表示手段上への表示が禁止されるように構成されたことを特徴とする請求項16に記載の紙幣収納ケース。
【請求項18】
前記接続ターミナルが、パーソナルコンピュータを接続可能に構成されたことを特徴とする請求項16または17に記載の紙幣収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−141060(P2007−141060A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335809(P2005−335809)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】