組み換えタンパク質生産用タンパク質融合因子ライブラリーおよびこれから獲得されたタンパク質融合因子
【課題】組み換えタンパク質の分泌生産を誘導することが可能なタンパク質融合因子(TFP)の超高速選別技術の提供。
【解決手段】タンパク質融合因子(TFP)ライブラリーを選別する方法であって、複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の細胞内組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、選別された細胞から、それぞれ前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを確認する段階とを含んでなる、方法。
【解決手段】タンパク質融合因子(TFP)ライブラリーを選別する方法であって、複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の細胞内組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、選別された細胞から、それぞれ前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを確認する段階とを含んでなる、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、組み換えタンパク質発現に関する。より具体的に、本発明は、既存の組み換え生産方法の下では組み換え生産が難しい組み換えタンパク質の分泌生産を誘導することが可能なタンパク質融合因子(translational fusion partner:TFP)の超高速選別方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
所望のタンパク質の組み換え発現は、研究目的または治療的およびその他の商業的利用のためにタンパク質を大量生産するための方法として広く用いられる。細菌、酵母および哺乳動物宿主細胞システムなどの多様な組み換え発現システムが当業界に知られており、このようなシステムで多くのタンパク質が成功的に生産されている。しかし、多くのタンパク質が現在の発現システムを用いて生産され難いため、タンパク質発現および分泌量が少ないかまたは無い。特定の目的タンパク質において、目的タンパク質と元々よく分泌されるタンパク質とを融合させ、合成されたリンカー配列を付加した融合タンパク質を用いて、組み換え発現されたタンパク質の分泌を向上させる方法が幾分成功した。ところが、全てのタンパク質の分泌生産に一律的に適用できる効率的技術は未だ確立されていない状態である。
【0003】
分泌タンパク質および新規の分泌シグナル配列を解明しようとする試みとして、シグナル配列トラップシステムが多数開発された。米国登録特許第6,228,590号は、レポータータンパク質と融合された哺乳動物コーディング配列を含む核酸ライブラリーをレポータータンパク質の欠失した酵母に形質転換させ、レポータータンパク質を分泌する細胞を探知することにより、哺乳動物シグナル配列を選別する方法について記述している。インベルターゼの欠失した酵母およびインベルターゼレポータータンパク質を使用する類似のシステムがEP0907727に開示されている。酵母を基にしたシグナル配列トラップは、ヒトDNAから分泌されるタンパク質(Klein et at, Proc. Natl. Acad. ScL USA 23:7108 (1996); Jacobs et at, Gene 198:289 (1997))、マウスDNAから分泌されるタンパク質(Gallicioti et at, J. Membrane Biol. 183:115 (2001))、しま模様の魚(zebrafish)DNAから分泌されるタンパク質(Crosier et at, Dev. Dynamics 222:631 (2001))、シロイヌナズナ(Arabidopsis)DNAから分泌されるタンパク質(Goo et at, Plant Mot Biol. 41:415 (1999))、ジャガイモDNAから分泌されるタンパク質(Surpili et at, Anais de Academia Brasileira de Ciencias 74:599 (2002))、およびカンジダアルビカンス(Candida albicans)DNAから分泌されるタンパク質(Monteoliva et at, Eukaryotic Cell 7:514 (2002))の確認に使用されてきた。哺乳動物宿主細胞(Gallicioti et at, J. Membrane Biol. 183:115 (2001))およびバクテリア宿主細胞(Ferguson et at, Cancer Res. 55:8209 (2000))を用いた類似のトラップシステムが開発された。シグナル配列トラップ内で使用されるレポータータンパク質には、インベルターゼ(Klein et at, Proc. Natl. Acad. ScL USA 93:1108, (1996))、アルファアミラーゼ(米国登録特許第6,228,590号)、酸性ホスファターゼ(Surpili et at, Anais de Academia Brasileira de Ciencias 74:599 (2002))、およびβ−ラクタマーゼ(Ferguson et at, Cancer Res. 55:8209 (2000))などが含まれる。
【0004】
国際公開特許WO2005/068658は、目的タンパク質の分泌に有用なタンパク質融合因子を選別する方法を開示している。この方法は、(i)レポータータンパク質をコードする核酸配列と融合された目的タンパク質をコードする核酸配列のライブラリーを含む多様なベクターをレポータータンパク質の欠失した宿主細胞に形質転換させた複数の宿主細胞を得る段階と、(ii)宿主細胞からそれぞれ目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを選別する段階とを含む。
【0005】
〔発明の開示〕
本発明は、目的タンパク質の分泌を効果的に誘導するTFPを確認するための迅速且つ効率的な自動選別方法に関する。本発明は、既存の組み換え発現システムの下で発現されない或いは発現率の非常に低い目的タンパク質を含んでいずれのタンパク質でも宿主細胞から分泌されるようにすることができる。
【0006】
具体的な一例として、本発明は、目的タンパク質に特異的なTFPを確認する方法に関するもので、(i)レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、形質転換された複数の宿主細胞を製造する段階であって、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記目的タンパク質をコードする核酸配列は、3’末端には前記レポータータンパク質から欠失したN末端アミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、5’末端にはリンカーDNAを含み、(ii)前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の生体内(in vivo)組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、(iii)段階(ii)の形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、(iv)段階(iii)で選別された細胞から、前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPを確認する段階とを含む。
【0007】
他の具体的な一例として、本発明は、目的タンパク質に特異的なTFPライブラリーを確認する方法に関するもので、(i)レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、形質転換された複数の宿主細胞を製造する段階であって、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記目的タンパク質をコードする核酸配列は、3’末端には前記レポータータンパク質から欠失したN末端アミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、5’末端にはリンカーDNAを含み、(ii)前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の生体内組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、(iii)段階(ii)の形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、(iv)段階(iii)で選別された細胞から、それぞれ前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを確認する段階とを含む。
【0008】
また、本発明は、本発明の方法によって確認されたTFPまたはTFPライブラリーに関する。
【0009】
また、本発明は、TFPをコードする核酸断片、またはTFPをコードする核酸断片のライブラリーを含む。
【0010】
また、本発明は、TFPをコードする核酸配列、および目的タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸を含む。
【0011】
また、本発明は、本発明のTFPを用いて目的タンパク質を生産する方法に関する。
【0012】
また、本発明は、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含む線形ベクターに関する。
【0013】
また、本発明は、線形ベクターライブラリーおよび目的タンパク質をコードする核酸配列で形質転換させた、レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞を含む。
【0014】
本発明の前記および他の目的、特徴および利点は、添付図面を参照する次の説明からさらに明確に理解されるであろう。
【0015】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、目的タンパク質の分泌を最大化するために、目的タンパク質に特異的に適用することが可能なTFPを確認する迅速且つ効率的な選別技術の必要性によるものである。本発明は、全てのタンパク質の組み換え発現の最適化に有用に適用され、特に既存の公知の発現システム下では発現率が非常に低くて少ない費用で大量生産が不可能なタンパク質の生産に有用に適用できる。
【0016】
したがって、一つの様態として、本発明は、目的タンパク質に特異的なTFPを確認する方法に関するもので、(i)レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、形質転換された複数の宿主細胞を製造する段階であって、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記目的タンパク質をコードする核酸配列は、3’末端には前記レポータータンパク質から欠失したN末端アミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、5’末端にはリンカーDNAを含み、(ii)前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の生体内組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、(iii)段階(ii)の形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、(iv)段階(iii)で選別された細胞から、前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを確認する段階とを含む。
【0017】
別の様態として、本発明は、目的タンパク質に特異的なTFPライブラリーを確認する方法に関するもので、(i)レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、形質転換された複数の宿主細胞を製造する段階であって、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記目的タンパク質をコードする核酸配列は、3’末端には前記レポータータンパク質から欠失したN末端アミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、5’末端にはリンカーDNAを含み、
(ii)前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の生体内組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、
(iii)段階(ii)の形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、
(iv)段階(iii)で選別された細胞から、それぞれ前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを確認する段階とを含む。
【0018】
核酸断片ライブラリーは、ゲノム性DNA、cDNA、合成DNAおよび組み換えDNAなどの全てのタイプのDNAから得ることができる。また、DNAの他に、RNAおよび非自然的に発生する核酸などの核酸を使用することもできる。
【0019】
TFPは、バクテリア、カビ(例えば酵母)、植物および動物(例えば、哺乳動物)を含む全ての原核および真核生物のDNAから選別できる。適したバクテリアは、エシェリキア(Escherichia)、シュードモナス(Psudomonas)およびバチルス(Bacillus)種を含むが、これに限定されない。適した酵母は、カンジダ(Candida)、デバリョウミセス(Debaryomyces)、ハンセヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイナ(Yarrowia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シュワニオミセス(Schwanniomyces)、およびアークスラ(Arxula)種を含むが、これに限定されない。具体的な種の例としては、カンジダウチリス(Candida utilis)、カンジダボイジニイ(Candida boidinii)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、クルイベロミセスラクチス(Kluyveromyces lactis)、ピキアパストリス(Pichia pastoris)、ピキアスチピチス(Pichia stipitis)、スキゾサッカロミセスポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ハンセヌラポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイナリポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シュワニオミセスオキシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、およびアークスラアデニニボランス(Arxula adeninivorans)を含む。DNAの提供源として使用できるカビとしては、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)、リゾプス(Rhizopus)、およびトリコデルマ(Trichoderma)種を含むが、これに限定されない。DNAの提供源として使用できる植物は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、トウモロコシ、タバコおよびジャガイモを含むが、これに限定されない。適した動物としてはヒト、マウス、ラット、ウサギ、犬、猫および猿を含むが、これに限定されない。
【0020】
核酸断片は、全体ゲノム性DNAおよびcDNAライブラリーなどの生物体全体ゲノムから得ることができる。また、核酸断片は、subtractedライブラリーまたはsizedライブラリーなどの全体ゲノムサブセットから得ることができる。
【0021】
具体的な一例として、核酸断片は、以前選別段階で確認されたTFPを含むライブラリーなどのTFP予備選別候補者ライブラリーから得ることができる。より具体的に、TFP予備選別候補者ライブラリーは、一つまたはそれ以上の目的タンパク質に対して効率的なTFPと確認された核心TFPのライブラリーであり得る。
【0022】
別の一例として、TFP予備選別候補者ライブラリーは、核酸断片およびレポータータンパク質をコードする核酸配列のライブラリーを含む多様なベクターを、レポータータンパク質の欠失した宿主細胞に形質転換させ、成長した細胞を集め、細胞からベクターを分離し、ベクターから核酸断片を分離してそれぞれレポータータンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを収得することにより構築することができる。
【0023】
別の一例として、TFP予備選別候補者ライブラリーは、(i)予め確認された一つまたはそれ以上のTFPと相同の予備分泌シグナルを含む遺伝子;(ii)分泌シグナル配列を含む遺伝子;(iii)小胞体(例えば、細胞壁タンパク質、排泄タンパク質、細胞膜タンパク質、液胞タンパク質または胚芽タンパク質)を介して運搬されるタンパク質をコードする遺伝子を検索するためのゲノムデータベースで確認された配列から得ることができる。
【0024】
別の一例として、TFP予備選別候補者ライブラリーは、予め選別されたTFPの多様化、例えば単方向欠失、突然変異、機能配列の付加(例えば、糖化部位)またはTFP間のプリおよびプロシグナル配列(pre- and pro- signal sequence)の交換によって得ることができる。
【0025】
別の一例として、核酸断片は1000bp以下の大きさ、例えば700、500または300bpであり得る。また、核酸断片ライブラリーは、DNAの酵素的切断、cDNA合成または組み換えDNA技術(例えば、単方向欠失、突然変異誘発)によって構築できる。
【0026】
本発明の線形ベクターは、選別された宿主細胞において機能的な全てのベクターを含む。本発明において、用語「ベクター」とは、連結されている他の核酸を運搬することが可能な核酸分子をいう。ベクターの一つの類型である「プラスミド」は、内部に追加的にDNA断片を連結させることが可能な環状の二重鎖DNAループをいう。ベクターの別の類型であるウイルスベクターは、追加的なDNAをウイルスゲノム内に連結させることができる。あるベクターは、宿主細胞内に導入されたときに自己複製が可能である(例えば、複製原点を持つバクテリアベクターおよび哺乳動物エピソームベクター)。あるベクターは、宿主細胞内に導入されたときに宿主細胞ゲノム内に挿入されて(例えば、哺乳動物非−エピソームベクター)宿主ゲノムと共に複製される。本発明のベクターは、作動可能に連結された目的タンパク質をコードする遺伝子の発現を指示することができるが、このようなベクターを「発現ベクター」という。一般に、組み換えDNA技術の使用において、発現ベクターはプラスミド形態である。本発明において、「プラスミド」と「ベクター」は、プラスミドを意味する用語であって、互いに入れ替えて使用することが可能な用語であるが、ベクターの形で最も一般に使用される。ところが、本発明はウイルスベクター(例えば、複製欠乏レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノウイルス依存ウイルス)のように同一の機能を行う他の形態の発現ベクターも含む。
【0027】
原核生物におけるタンパク質の発現は、目的タンパク質とレポータータンパク質との融合タンパク質の発現を指示する構成的または誘導性プロモーターを含むベクターによって行われ得る。適した大腸菌(E.coli)発現ベクターは、pTrc(Arnrann et al, Gene <5P:301-315 ,1988)、およびpET(Studier et al, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. 60-89, 1990)を含む。
【0028】
酵母菌株における発現に適した酵母発現ベクターは、pYepSecl(Baldari et al, EMBO J, 5:229-234, 1987)、pMFa(Kurjan et al, Cell 30:933-943, 1982)、pJRY88(Schultz et al, Gene 54:113-123, 1987)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)、およびpicZ(Invitrogen Corp, San Diego, CaL)を含むが、これに限定されない。
【0029】
昆虫細胞における発現にはバキュロウイルスが使用できる。バキュロウイルスは、pACシリーズ(Smith et al, MoI. Cell. Biol. 5:2156-2165, 1983)、およびpVLシリーズ(Lucklow et al, Virology 770:31-39, 1989)を含む、培養された昆虫細胞におけるタンパク質の発現に利用できる。
【0030】
別の具体的例として、宿主細胞は哺乳動物細胞であり、ベクターは哺乳動物発現ベクターであり得る。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed, Nature 329:840, 1987))およびpMT2PC(Kaufinan et al., EMBO J. 6: 187-195, 1987を含む。哺乳動物で使用されたとき、発現ベクターの統制機能は、ウイルス調節配列によって提供されることもある。例えば、一般に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびSV40由来のプロモーターである。原核細胞および真核細胞に全て適用されるその他の適した発現システムの例は、例えばMOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL(Sambrook et al, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989.)を参照することができる。
【0031】
好ましいベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミッド、エピソーム、ウイルス粒子またはウイルス、および挿入可能なDNA断片(すなわち、相同組み換えによって宿主細胞ゲノム内に挿入可能な断片)を含むが、これに限定されない。好ましいウイルス粒子は、アデノウイルス、バキュロウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、セムリキ森林熱ウイルス、ワクシニアウイルス、およびレトロウイルスを含むが、これに限定されない。適した発現ベクターは、pcDNA3(Invitrogen)およびpSVL(Pharmacia Biotech)を含むが、これに限定されない。その他の発現ベクターとしては、pSPORTTMベクター、pGEMTMベクター(Promega)、pPROEXベクターTM(LTI、Bethesda、MD)、BluescriptTMベクター(Stratagene)、pQETMベクター(Qiagen)、pSE420TM(Invitrogen)およびpYES2TM(Invitrogen)を含むが、これに限定されない。
【0032】
具体的な一例として、発現ベクターは、目的タンパク質をコードするDNA配列が適切な宿主に目的タンパク質を効果的に発現させることができる適切な調節配列と作動可能に連結された複製可能なDNA作製物である。本発明において、用語「作動可能に連結された(operably linked)」は、DNA領域が他の領域と機能的に連結されていることをいう。例えば、プロモーターが配列の転写を調節することが可能なコーディング配列と作動可能に連結される。ベクターの増幅は、調節ドメインの発現とは関係がなく、通常複製原点によって生ずる宿主における複製能力および形質転換体の認知を容易にする選別遺伝子と関係がある。発現ベクターにおける調節配列の必要性は、宿主の種類および形質転換方法の種類によって異なる。一般に、調節配列は転写プロモーター、エンハンサー、転写調節のための選択的なオペレータ配列、ポリアデニル化シグナル、リボソームに結合する適切なmRNAコーディング配列、および転写と翻訳の終結を調節する配列を含むが、これに限定されない。このような調節配列は、例えばGENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY185(Goeddel, Academic Press, San Diego, Calif, 1990)に記述されている。調節配列は、多くの類型の宿主細胞における核酸配列の直接的な構成的発現(constitutive expression)、および一部の宿主細胞における核酸配列の直接的な発現(例えば、組織特異的調節配列)を含む。また、当業者は、形質転換させるべき宿主細胞の選択やタンパク質の好適な発現水準などの要素を考慮してベクターを設計することができる。
【0033】
本発明の発現ベクターは、宿主細胞内に導入され、本発明で記述される核酸配列によってコードされた融合タンパク質またはペプチドなどのタンパク質またはペプチドを生産することができる。好ましくは、ベクターは、宿主生物体によって認知されるプロモーターを含有することができる。本発明のプロモーター配列は、原核または真核またはウイルスに由来したものであり得る。原核に由来した配列の例としては、バクテリオファージラムダ(The bacteriophage Lambda, Hershey, A. D., Ed., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY, 1973; Lambda II, Hendrix, R. W., Ed., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY, 1980)のPRおよびPLプロモーター、大腸菌(E.coli)のtrp、recA、heat shockおよびlacZプロモーター、並びにSV40初期プロモーター(Benoist et at, Nature, 290:304-310, 1981)を含む。酵母に適切なプロモーターは、GAPDH、PGK、ADH、PH05、GAL1およびGAL10を含むが、これに限定されない。その他に、プロモーターは、マウス腫瘍ウイルス(Mouse Mammary Tumor Virus、MMTV)、ヒト免疫欠乏ウイルスの長い末端反復(long terminal repeat、LTR)、マローニーウイルス(Maloney virus)、サイトメガロウイルス前初期プロモーター(cytromegalovirus immediate early promoter)、EBウイルス(Epstein Barr virus)、ラウス肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus)、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、およびヒトメタロチオネインを含むが、これに限定されない。
【0034】
好ましくは、ベクターは追加的な調節配列を含むことができる。適切な調節配列の例は、ファージMS−2のレプリカーゼ遺伝子のシャイン−ダルガーノ(Shine-Dalgarno)配列およびバクテリオファージラムダのcIIのシャイン−ダルガーノ配列が代表的である。
【0035】
また、好ましい発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選別に必要な適切なマーカーを含むことができる。宿主の形質転換は、当業界に広く知られている多様な技術およびSambrookの文献に記述されている技術の一つを用いて行なわれる。
【0036】
複製原点は、外来の起源を含むベクターの構成によって、或いは宿主細胞染色体複製メカニズムによって提供されることができるが、ベクターが宿主細胞の染色体内に統合されると、後者は充足される。一方、ウイルス複製原点を含有するベクターを使用する代わりに、当業者は選別マーカーおよび目的タンパク質DNAで共同形質転換させる方法によって哺乳動物を形質転換させることもできる。適切なマーカーの例としては、ジヒドロ葉酸還元酵素(dihydrofolate reductase、DHFR)またはチミジンキナーゼ(thymidine kinase)がある(米国登録特許第4,399,216号)。
【0037】
従来の組み換え技術は、結合のための非粘着性末端(blunt end)または粘着性末端(staggered end)、適切な末端を提供するための制限酵素の分解、粘着性末端(cohesive end)の適切な位置への充填、不適な連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および適切なリガーゼによる連結などの過程を含むが、目的タンパク質をコードする核酸配列は、このような従来の技術によってベクターDNAと組み換えられる。そのような工程技術は、Sambrookの文献によく記述されている。哺乳動物発現ベクターの製造方法は、例えば文献「Okayama et al, MoI. Cell. Biol. 5:280 (1983)」、文献「Cosman et al, MoI. Immunol. 25:935 (1986)」、文献「Cosman et al, Nature 312:768 (1984)」、ヨーロッパ公開特許EP−A−0367566、および国際公開特許WO91/18982に記述されている。
【0038】
本発明に使用される宿主細胞は、当業界に広く知られている宿主細胞であればいずれでもよい。好ましい宿主細胞は、バクテリア、カビ(例えば、酵母)、植物または動物(例えば、哺乳動物または昆虫)細胞を含む。好ましい酵母は、カンジダ(Candida)、デバリョウミセス(Debaryomyces)、ハンセヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイナ(Yarrowia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シュワニオミセス(Schwanniomyces)、およびアークスラ(Arxula)種を含む。具体的な種の例としては、カンジダウチリス(Candida utilis)、カンジダボイジニイ(Candida boidinii)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、クルイベロミセスラクチス(Kluyveromyces lactis)、ピキアパストリス(Pichia pastoris)、ピキアスチピチス(Pichia stipitis)、スキゾサッカロミセスポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ハンセヌラポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイナリポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シュワニオミセスオキシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、およびアークスラアデニニボランス(Arxula adeninivorans)を含む。好ましいカビとしては、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)、リゾプス(Rhizopus)、およびトリコデルマ(Trichoderma)種を含む。バクテリアは、エシェリキア(Escherichia)、およびバチルス(Bacillus)種を含む。好ましい植物はシロイヌナズナ、トウモロコシ、タバコ、およびジャガイモを含むが、これに限定されない。動物細胞としてはヒト、マウス、ラット、ウサギ、犬、猫、猿、および昆虫を含む。例えば、CHO、COS1、COS7、BSC1、BSC40、BMT10、およびSf9細胞を含む。
【0039】
具体的な様態として、宿主細胞は酵母菌株であり、核酸断片は酵母のゲノムまたはcDNAから分離された核酸断片である。
【0040】
本発明のポリヌクレオチドは、環状プラスミドの一部として、或いは分離されたタンパク質コーディング領域を含む線形DNAまたはウイルスベクターとして宿主細胞内に導入できる。DNAを宿主細胞内に導入する方法は、当業界に公知になっており、一般に形質転換、トランスフェクション、電気穿孔、核注入、または例えばリポソーム、ミセル、幽霊細胞および原形質体などの運搬体との融合などを用いて行われる。
【0041】
本発明では、迅速且つ効率的に選別可能なレポータータンパク質を使用することができる。具体的な一例として、レポータータンパク質は自動選別過程で陽性的に選別できる活性を持つ。別の一例として、レポータータンパク質は、細胞の外部に分泌されるタンパク質、例えばインベルターゼ(invertase)、スクラーゼ(sucrase)、セルラーゼ(cellulose)、キシラナーゼ(xylanase)、マルターゼ(maltase)、アミラーゼ(amylase)、グルコアミラーゼ(glucoamylase)、ガラクトシダーゼ(galactosidase)(例えば、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、メリビアーゼ)、ホスファターゼ(例えば、PHO5)、β−ラクタマーゼ(beta-lactamase)、リパーゼ(lipase)またはプロテアーゼ(protease)を含む。具体的に、分泌タンパク質は、細胞が特定の基質で成長する。哺乳動物細胞のレポーターシステムの例として、CD2/ネオマイシン−ホスホトランスフェラーゼ(Ceo)遺伝子がマウスの胚幹細胞で分泌経路遺伝子をトラップして抗生剤G418培地で分泌レポーターとして使用できる(De-ZoIt et al., Nucleic Acid Res. 34:e25, 2006)。
【0042】
具体的な様態として、宿主細胞は酵母であり、レポータータンパク質はインベルターゼであり、形質転換された酵母菌株はスクロースまたはラフィノース存在下における生存能力で選別される。別の具体的な様態として、宿主細胞は酵母であり、レポータータンパク質はメリビアーゼであり、形質転換された酵母菌株はメリビアーゼの存在下における生存能力で選別される。別の具体的な様態として、宿主細胞は酵母であり、レポータータンパク質はアミラーゼ(例えば、エンドアミラーゼ、エキソアミラーゼ、β−アミラーゼ、またはグルコアミラーゼ)であり、酵母菌株は澱粉分解活性がなく、形質転換された酵母菌株は澱粉分解能力で選別される。別の具体的な様態として、レポータータンパク質活性を示す細胞を選別する段階は、抗生剤などの成長阻害剤に対して抵抗性を持つレポータータンパク質を使用することができる。別の具体的な様態として、レポータータンパク質は、視覚的に探知することが可能なタンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質またはルシフェラーゼなどである。また、レポータータンパク質活性を示す細胞を選別する段階は、例えばリパーゼおよびインベルターゼなどの2つまたはそれ以上のレポータータンパク質を使用することができる。
【0043】
本発明において、宿主細胞は、レポータータンパク質の活性を示さない。具体的に、宿主細胞は、自然的な状態ではレポータータンパク質を発現しない。他の具体例として、レポータータンパク質をコードする遺伝子は、全体または一部が欠失しているか、突然変異されて発現されないか、或いは不活性化された形で発現される。特定のタンパク質に対して不完全な細胞を作る方法としては、当業界の公知の方法を使用することができる(Sambrook et al)。酵母では公知の遺伝子置換技術を用いてレポーター遺伝子を欠損させることができる(Rothstein, Meth. Enzymol. 194:281, 1991)。
【0044】
本発明において、線形ベクターは、核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含む。N末端アミノ酸の欠失は、レポータータンパク質活性を実質的に除去するのに十分な程度の長さが欠失したものであり得る。例えば、レポーター遺伝子のN末端アミノ酸は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50またはそれ以上のアミノ酸が欠失できる。
【0045】
本発明の方法は、組み換え発現水準を高めようとするいずれの目的タンパク質でも使用することができる。目的タンパク質は、研究目的または商業的目的、例えば治療的または産業的目的で生産しようとするタンパク質であり得る。目的タンパク質は、いずれの植物、動物または微生物にも由来することができ、自然に生産したものまたはいずれの方式でも変形できるものであり、核酸によってコードできる程度の長さを持つ。具体的な様態として、目的タンパク質は、サイトカイン、血清蛋白質、コロニー刺激因子、成長因子、ホルモンまたは酵素を含む。例えば、目的タンパク質は、インターロイキン、凝固因子、インターフェロン−α、−βまたは−γ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、組織成長因子、上皮細胞成長因子(EGF)、TGFα、TGFβ、血素板由来成長因子、線維芽細胞成長因子(FGF) 、濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン、抗利尿ホルモン、色素ホルモン、副甲状腺ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、炭水化物特異的酵素、タンパク質分解酵素、リパーゼ、酸化還元酵素、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、脱離酵素(Lyases)、異性化酵素(Isomerases)、リガーゼ、免疫グロブリン、サイトカイン受容体、ラクトフェリン、ホスホリパーゼA2−活性化タンパク質、インスリン、腫瘍壊死因子、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケパリン、ソマトメジン、エリスロポエチン、視床下部放出因子、プロラクチン、絨毛膜性生殖腺刺激ホルモン、組織プラズミノゲン活性化物質、成長ホルモン分泌ペプチド、胸腺体液性因子、抗癌ペプチド、または抗生ペプチドから選択できる。具体的な例として、ヒトインターロイキン−2、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、−32βまたは−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、−βまたは−γ、ヒト顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン、ヒト血素板由来成長因子、ヒト線維芽細胞成長因子、ヒト上皮細胞成長因子、ヒトインスリン様成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト変形性成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ(glucose oxidase)、グルコダーゼ(glucodase)、ガラクトシダーゼ(galactosidase)、グルコセレブロシダーゼ(glucocerebrosidase)、グルクロニダーゼ(glucuronidase)、アスパラギナーゼ(asparaginase)、アルギナーゼ(arginase)、アルギニンジイミナーゼ(arginine deaminase)、ペルオキシドディスムターゼ(peroxide dismutase)、エンドトキシナーゼ(ecdotoxinase)、カタラーゼ(catalase)、キモトリプシン(chymotrypsin)、ウリカーゼ(uricase)、アデノシン二リン酸(adenosine diphosphatase)、チロシナーゼ(tyrosinase)、ビリルビンオキシダーゼ(bilirubine oxidase)、牛GALT(bovine galactose-1-phosphate uridyltransferase)、クラゲ緑色蛍光タンパク質、CALB(Candida antarctica lipase B)、カンジダルゴサリパーゼ(Candida rugosa lipase)、カビクロロペルオキシダーゼ(fungal chloroperoxidase)、β−ガラクトシダーゼ(β-galactosidase)、レソルバーゼ(resolvase)、α−ガラクトシダーゼ(α-galactosidase)、β−グルコシダーゼ(β-glucosidase)、トレハロース合成酵素(trehalose synthase)、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ(cyclodextrin glycosyl transferase)、キシラナーゼ(xylanase)、フィターゼ(phytase)、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト分化成長因子15(hGDF15)、ヒトガラクチン−3結合タンパク質、ヒトセリンプロテアーゼ阻害剤、Kunitzタイプ2、ヒトヤヌスキナーゼ2、ヒトFMS様チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトDGAT(diacylglycerol acyltransferase)、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリソザイム、ヒトDEADボックスプロチン41、ヒトエトポキシド導入タンパク質24、マウスカスパーゼ1、牛アンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼを含むが、これに限定されない。
【0046】
具体的な例として、目的タンパク質は、従来の組み換え生産方法では生産が不可能であり或いは生産率が非常に低いタンパク質である。別の一例として、目的タンパク質は、公知の発現システムを使用すると容易には生産されるが、その発現率を高めようとするタンパク質である。
【0047】
目的タンパク質をコードする核酸は、当業界に広く知られている一般な供給源、例えばゲノム性DNAまたはcDNAライブラリー、PCR増幅、または化学的合成法で得ることができる。
【0048】
本発明で使用される目的タンパク質をコードする核酸配列は、本発明の線形ベクターと生体内で組み換えさせるのに用いられる5’末端リンカーDNAを含み、また、レポータータンパク質のN末端アミノ酸の一部をコードする3’末端核酸配列を追加的に含むが、3’末端核酸配列は、線形ベクターから欠失したN末端、および宿主細胞内に導入されて細胞内で目的タンパク質をコードする核酸配列と線形ベクター間の組み換えを生じさせるのに十分な付加的アミノ酸を含む。具体的に、レポータータンパク質のN末端の一部をコードする配列は、線形ベクターのレポータータンパク質をコードする30または40bpの配列とオーバーラップする少なくとも20bpを含む。5’リンカーおよび3’レポータータンパク質配列を、目的タンパク質をコードする核酸配列に付加することは、通常のDNA技術、例えばPCRおよび/または制限酵素切断および連結で行うことができる。
【0049】
本発明のリンカーDNAは、十分な長さでなければならず、宿主細胞内に導入されて細胞内で目的タンパク質をコードする核酸配列と線形ベクター間の組み換えを生じさせることが可能な線形ベクターの核酸配列の一部と十分な配列相同性を有する。具体的に、リンカーDNAは20bp以上の長さ、例えば30または40bp以上の長さを持つ。より具体的に、リンカーDNAは線形ベクターと少なくとも80程度の相同性を有し、85%、90%、95%または99%の相同性を有することもできる。
【0050】
一例として、リンカーDNAは、プロテアーゼ認識配列をコードしてTFPと目的タンパク質間の接合部位で切断を引き起こす。例えば、リンカーDNAは酵母kex2pまたはkex2p様プロテアーゼ認識配列(例えば、Lys−Arg、Arg−Arg、またはLeu−Asp−Lys−Arg(配列番号214)を含むアミノ酸配列)、哺乳動物フューリン認識配列(Arg−X−X−Argを含むアミノ酸配列)、Factor−Xa認識配列(Ile−Glu−Gly−Arg(配列番号215)を含むアミノ酸配列)、エンテロキナーゼ認識配列(Asp−Asp−Lysを含むアミノ酸配列)、スブチリシン認識配列(Ala−Ala−His−Tyr(配列番号216)を含むアミノ酸配列)、タバコエッチイルス認識配列(Glu−Asn−Leu−Tyr−Phe−Gln−Gly(配列番号217)を含むアミノ酸配列)、ユビキチン加水分解酵素認識配列(Arg−Gly−Glyを含むアミノ酸配列)、またはトロンビン認識配列(Arg−Gly−Pro−Arg(配列番号218)を含むアミノ酸配列)をコードすることができる。
【0051】
別の一例として、リンカーDNAはGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、またはS−タグなどの親和性タグ(affinity tag)をコードすることができる。
【0052】
別の一例として、リンカーDNAは、SfiIのような制限酵素認識部位をコードすることができる。別の一例として、リンカーDNAは、制限酵素認識部位およびプロテアーゼ認識配列(例えば、kex2p様プロテアーゼ−またはkex−2p−認識配列)をコードすることができる。
【0053】
本発明は、本発明の方法によって選別されたTFPまたはその類似体またはその断片に関する。具体的に、TFPは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)またはその類似体またはその断片よりなる群から選択される。
【0054】
また、本発明は、本発明の方法によって選別された2つまたはそれ以上のTFPまたはその断片またはその類似体を含むTFPライブラリーに関する。具体的に、TFPライブラリーは、特定の目的タンパク質に効果的なTFPを含む。または、TFPライブラリーは一つ以上の目的タンパク質に効果的なTFPを含む。具体的に、TFPライブラリーは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる2つまたはそれ以上(例えば4、6、8、10または12またはそれ以上)のTFPを含む。
【0055】
より具体的に、TFPライブラリーは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)、TFP−1(配列番号219)、TFP−2(配列番号221)、TFP−3(配列番号223)、TFP−4(配列番号225)、およびTFP32(配列番号208)またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる6つまたはそれ以上(例えば、8、10または15またはそれ以上)のTFPを含む。
【0056】
また、本発明は、本発明の方法によって選別されたTFPをコードする核酸またはその類似体またはその断片に関する。具体的に、TFPをコードする核酸は、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれるTFPをコードする。また、核酸は、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、62、64、66、68、70、85、87、89、91、130、132、134、136、138、140、176、178、180、182、184、186、201、203、205、または207またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる核酸配列を含む。
【0057】
また、本発明は、本発明の方法によって選別された2つまたはそれ以上のTFPまたはその類似体またはその断片をコードする核酸のライブラリーに関する。具体的に、核酸ライブラリーは、特定の目的タンパク質に効果的なTFPをコードする。または、核酸ライブラリーは、一つ以上の目的タンパク質に効果的なTFPをコードする。具体的に、核酸ライブラリーは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる2つまたはそれ以上(例えば、4、6、8、10または12またはそれ以上)のTFPをコードする。また、核酸ライブラリーは、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、62、64、66、68、70、85、87、89、91、130、132、134、136、138、140、176、178、180、182、184、186、201、203、205、または207またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる2つまたはそれ以上(例えば、4、6、8、10または12またはそれ以上)の核酸配列を含む。
【0058】
より具体的に、核酸ライブラリーは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、PpTFP−4(配列番号90)、TFP−1(配列番号219)、TFP−2(配列番号221)、TFP−3(配列番号223)、TFP−4(配列番号225)、およびTFP−32(配列番号208)またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる6またはそれ以上(例えば、8、10、12または15またはそれ以上)のTFPをコードする。また、核酸ライブラリーは、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、62、64、66、68、70、85、87、89、91、130、132、134、136、138、140、176、178、180、182、184、186、201、203、205、207、209、220、222、224、または226またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる6またはそれ以上(例えば、8、10、12または15またはそれ以上)の核酸配列を含む。
【0059】
本発明において、TFPに関する用語「その断片」は、目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することができる十分な機能を持つ断片であって、TFPのアミノ酸配列のいずれの部分でも含むペプチドのことをいう。
【0060】
TFPに関する用語「その類似体」は、目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することができる十分な機能を持つポリペプチドであって、TFPのアミノ酸と少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を構成するポリペプチドのことをいう。具体的に、類似体は、TFPアミノ酸と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性を有するアミノ酸配列を含む。類似体は、TFPアミノ酸配列の付加、欠失、置換または組合せを含む。付加または置換は人為的なことを含む。
【0061】
好ましくは、置換は保存的アミノ酸置換であり得る。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を持つアミノ酸残基で代替されることをいう。類似の側鎖を持つアミノ酸残基は、当業界によく知られており、基本的な側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電した極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、
セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトパン)、β−分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香性側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトパン、ヒスチジン)を含む。
【0062】
TFPをコードする核酸に関する用語「その類似体」は、TFPをコードする核酸の核酸配列と少なくとも70%の相同性を有する核酸配列で構成された核酸のことをいい、類似体(derivative)によってコードされたポリペプチドは、目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することができる十分な機能を持つ。具体的に、類似体は、TFPをコードする核酸の核酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有する核酸配列を含む。類似体はTFPをコードする核酸の核酸配列の付加、欠失、置換または組合せを含む。
【0063】
配列相同性の計算は、比較対象となる部位が最適に整列された2つの配列を比較し、2つの配列で相同性のあるアミノ酸残基またはヌクレオチドの位置を決定してマッチされる位置の数を求め、マッチされる位置の数を比較対象部位の総数で割り(すなわち、ウィンドウサイズ)、その結果に100をかけて配列相同性のパーセントを求めることにより計算することができる。一つの様態として、100アミノ酸またはヌクレオチド長さにおける4つのギャップが最大整列に導入できるとき、パーセント相同性は、比較対象配列の相同性のあるアミノ酸残基またはヌクレオチドを整列した2つの配列より小さい配列におけるアミノ酸残基、またはヌクレオチドのパーセントで計算される(Dayhoff, in Atlas of Protein Sequence and Structure, Vol. 5, p. 124, National Biochemical Research Foundation, Washington, D.C, 1972)。相同性は、当業界に知られているコンピュータ相同性プログラムで決定される。プログラムの例としてはSmithとWatermanのアルゴリズムを使用した初期値の設定を用いるギャッププログラムがある(Adv. Appl. Math., 1981, 2: 482-489)。
【0064】
類似体の例としては、欠失突然変異(例えば、単方向欠失)、機能的配列の付加(例えば、糖化部位、制限酵素部位)、およびTFPに対するプロ配列またはプリ配列の欠失または付加(例えば、スワッピング)がある。当業者は、当業界によく知られている突然変異誘発技術、例えば前記文献に開示された方法を用いてTFPまたはTFPコーティング核酸の類似体を作ることができ、目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することができる十分な機能を持つ類似体を確認することができる。
【0065】
本発明において、用語「目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することができる十分な機能を持つ」とは、目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することが可能なTFP機能の50%以上を持つTFPの類似体または断片をいう。また、融合された目的タンパク質の分泌誘導能力の60、65、70、75、80、85、90または95%を持つ類似体または断片であり得る。目的タンパク質分泌誘導能力は、当業界に公知の技術または前記の技術によって決定できる。
【0066】
本発明は、TFPをコードする核酸断片ライブラリーに関するもので、核酸断片ライブラリーは、本発明の方法によって選別された10またはそれ以上の核酸断片(例えば、50、100、500、1000または2000またはそれ以上)を含み、予備選別された候補者TFPのライブラリーは、最終選別に使用できる。
【0067】
また、本発明は、TFPをコードする核酸断片ライブラリーに関するもので、核酸断片ライブラリーは、本発明の方法によって選別された10またはそれ以上の核酸断片(例えば、50または100またはそれ以上)を含み、予備選別された候補者TFPのライブラリーは、レポーター遺伝子が欠乏した複数の宿主細胞を核酸断片、およびレポータータンパク質をコードする核酸配列に形質転換させ、成長した細胞を集め、細胞からベクターを分離し、ベクターから核酸断片を分離してそれぞれレポータータンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを収得することにより構築することができ、このような予備選別された候補者TFPのライブラリーは、最終選別に使用できる。
【0068】
また、本発明は、TFPをコードする核酸断片ライブラリーに関するもので、核酸断片ライブラリーは、本発明の方法によって選別された10またはそれ以上の核酸断片(例えば、50、100、500または1000またはそれ以上)を含み、予備選別された候補者TFPのライブラリーは、(i)予め確認された一つまたはそれ以上のTFPと相同性を有するPre−分泌シグナルを含む遺伝子、(ii)分泌シグナル配列を含む遺伝子、(iii)小胞体(例えば、細胞壁タンパク質、排泄タンパク質、細胞膜タンパク質、液胞タンパク質または胚芽タンパク質)を介して運搬されるタンパク質をコードする遺伝子を検索するためのゲノムデータベースで確認された配列から得ることができ、このような予備選別された候補者TFPのライブラリーは、最終選別に使用できる。
【0069】
また、本発明は、TFPをコードする核酸断片ライブラリーに関するもので、核酸断片ライブラリーは、本発明の方法によって選別された10またはそれ以上の核酸断片(例えば、50、100または500またはそれ以上)を含み、予備選別された候補者TFPのライブラリーは、予め選別されたTFPの多様化によって得ることができ、このような予備選別された候補者TFPのライブラリーは、最終選別に使用できる。
【0070】
本発明は、本発明の方法によって選別されたTFPをコードする核酸配列を含む核酸および目的タンパク質をコードする核酸配列に関する。具体的に、TFPは、TFP−9、 TFP−13、TFP−17、TFP−18、TFP−19、TFP−20、TFP−21、TFP−25、TFP−27、TFP−11、TFP−22、TFP−29、TFP−34、TFP−38、TFP−39、TFP−43、TFP−44、TFP−48、TFP−52、TFP−54、TFP−40、TFP−50、TFP−51、TFP−57、TFP−58、TFP−59、TFP−5、TFP−6、TFP−7、およびTFP−8またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる。また、目的タンパク質は、IL−2、IL−32、ヒト成長ホルモンおよびヒトカスパーゼ−1のP10小単位から選択される。具体的に、TFPはTFP−9、TFP−13、TFP−17、TFP−18、TFP−19、TFP−20、TFP−21、TFP−25、TFP−27、PpTFP−1、PpTFP−2、PpTFP−3、PpTFP−4またはその類似体またはその断片であり、目的タンパク質はIL−2であり得る。または、TFPはTFP−11、TFP−22、TFP−29、TFP−34、またはTFP−38またはその類似体またはその断片であり、目的タンパク質はIL−32であり得る。また、TFPはTFP−9、TFP−13、TFP−17、TFP−18、TFP−19、TFP−20、TFP−21、TFP−25、TFP−27、TFP−11、TFP−22、TFP−29、TFP−34、またはTFP−38またはその類似体またはその断片であり、目的タンパク質は成長ホルモンであり得る。
【0071】
本発明は、本発明のTFPを用いて目的タンパク質を組み換え的に生産する方法に関する。一例として、本発明の方法は、TFPをコードする核酸配列またはその類似体またはその断片と作動可能に連結された目的タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターを準備し、宿主細胞にベクターを形質転換させ、宿主細胞から目的タンパク質を生産し分泌することが可能な条件の下に宿主細胞を培養する段階を含む。具体的に、TFPは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)またはその類似体またはその断片よりなる群から選択できる。また、目的タンパク質はIL−2、IL−32、ヒト成長ホルモンまたはヒトカスパーゼ−1のP10小単位から選択できる。
【0072】
目的タンパク質は、当業界によく知られている全ての発現システムを用いて組み換え的に生産できる。好ましくは、目的タンパク質は。バクテリア、酵母または哺乳動物細胞の培養の下に組み換え的に発現できる。組み換え発現は、目的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを準備し、宿主細胞内にベクターを運搬し、目的タンパク質が発現される条件の下に宿主細胞を培養し、目的タンパク質を分離する段階を含む。組み換えベクターを準備し、そのベクターを宿主細胞に形質転換させ、宿主細胞内でベクターを複製し、生物学的活性のある外来ポリペプチドおよびタンパク質を発現させる方法および材料は、Molecular Cloning(Sambrook Sambrook et al, Cold Spring Harbor Laboratory, 3rd edition, 2001)およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al, John Wiley & Sons, New York 3rd edition, 2000)によく記述されている。
【0073】
ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術を用いて原核または真核細胞に導入できる。本発明において、用語「形質転換」および「トランスフェクション」とは、外来核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入する当業界の技術をいい、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿法、電気穿孔法、DEAE−デキストラン媒介法、またはリホフェクションなどを含む。宿主細胞に形質転換またはトランスフェクションさせる適切な方法は、Sambrook等の文献(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)、およびその他の実験マニュアルによく記述されている。
【0074】
哺乳動物細胞への安定的なトランスフェクションは、使用された発現ベクターおよびトランスフェクション技術によっていると知られており、一部の細胞のみが外来DNAを自分のゲノムに挿入させることができる。このような挿入体を確認し選別するために、選別マーカー(例えば、抗生剤抵抗性)をコードする遺伝子を関心のある遺伝子と共に宿主細胞に導入することができる。多様な選別マーカーは、薬物抵抗性を与えるG418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサートを含む。選別マーカーをコードする核酸は、例えば目的タンパク質をコードする核酸などのベクターまたは他のベクターに連結されて導入できる。安定的にトランスフェクションされた細胞は、薬物選別によって確認できる(例えば、選別マーカーを持つ細胞は生存し、そうでない細胞は死ぬであろう。)。
【0075】
目的タンパク質は、当業界に公知の精製方法、例えば免疫親和性クロマトグラフィー、受容体新和性クロマトグラフィー、疎水性作用クロマトグラフィー、レクチン新和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、および逆相HPLCなどを含む従来のクロマトグラフィー方法によって、宿主細胞が成長する培地から分離できる。また、所望のタンパク質が特異的タグ、ラベルまたはキレート部分を持つ融合タンパク質であって、特異的結合パートナーまたは製剤によって認識して精製する方法がある。精製されたタンパク質は、所望のタンパク質部分に切断されるか、それ自体のままで残ることが可能である。融合タンパク質の切断によって、切断過程では付加的なアミノ酸を持つ所望のタンパク質形態が作られることができる。
【0076】
分離されたタンパク質が生物学的活性を持たない場合には、リフォールディングするか、或いは3次構造でポリペプチドを変形し、或いは二硫化結合を生成させるなどの方法で生物学的活性を回復させることができる。当業界に公知の方法は、可溶性ポリペプチドのpHをpH7以上に調整し、或いは特定の濃度のカオトロープ(chaotrope)の存在下に置く方法を含む。カオトロープの選択は、封入体(inclusion body)溶解のための選択と類似であるが、さらに低い濃度であり、溶解に使用されるのと同様のカオトロープである必要はない。タンパク質のシステインブリッジを形成させる二硫化シャッフリングを起す特定の酸化還元電位を発生させるためには、還元剤または特定の割合の還元剤および還元剤の酸化形態を使用しなければならない。酸化還元カップル(redox couple)は、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化第2銅、ジチオスレイトール(DTT)/ジチアンDTT、2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−b(ME)を使用し、リフォールディング効率を増加させるためには、グリセロール、多様な分子量のポリエチレングリコール、およびアルギニンなどの共溶媒(cosolvent)を使う必要がある。
【0077】
本発明は、核酸断片ライブラリーからの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したタンパク質をコードする核酸配列を含む線形ベクターに関する。また、線形ベクターは、目的タンパク質をコードする核酸配列をさらに含むことができる。
【0078】
本発明は、本発明の線形ベクターライブラリーで形質転換させた、複数のレポータータンパク質欠失宿主細胞に関する。また、宿主細胞は、目的タンパク質をコードする核酸で形質転換できる。
【0079】
本発明の方法および組成物は下記の実施例によってより具体的に説明されるが、これらに限定されない。本発明は、臨床的治療において多様な条件およびパラメータを適切に変形または適用させることができ、当業界に自明なそれらの変形または適用は本発明の範囲に該当する。
【0080】
<実施例1>酵母インベルターゼ欠如変異株の製造
難発現性タンパク質に対するタンパク質融合因子を超高速で選別するために酵母インベルターゼをレポーターとして用いてスクロース培地における細胞成長有無を用いた自動選別システムを製造した。
【0081】
有用なTFPの陽性選別のためにインベルターゼ遺伝子をレポーターとして用いるためには、インベルターゼ活性の欠如した酵母が必要であり、このために野生型の染色体に存在するSUC2遺伝子を欠失させた。遺伝子欠失誘導用カセットの製造のためにプラスミドpRB58(Carlson et al., Cell 20:145(1982))を制限酵素EcoRIとXhoIで処理してSUC2コーディング遺伝子を回収し、pBluescript KS+(Stratagene社、米国)のEcoRI/XhoI部位に導入してpBIUを製造した。図1に示すように、pBIUに含まれたSUC2遺伝子のHindIII−XbaI部位に190bpの反復配列(Tc190)を両末端に含むURA3遺伝子(Bae et al., Yeast 21:437(2004))を挿入してpBIUを製造した。pBIUを制限酵素EcoRI−XhoIで処理した後、サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)およびY2805Δgal1(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 gal1 can1)菌株(SK Rhee, Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology)にリチウムアセテート法で形質転換してウラシルのない選択培地で形質転換体Y2805Δsuc2U(Mat a suc2::URA3 pep4::HIS3 GAL1 can1)およびY2805Δgal1Δsuc2U(Mat a sus2::URA3 pep4::HIS3 gal1 can1)を選別した。
【0082】
選別された形質転換体のインベルターゼ活性が消滅したか否かを確認するために、単一コロニーを、グルコースとスクロースを単一炭素源として供給したそれぞれの培地で培養した結果、グルコースでは正常的に成長し、スクロースにおいても対照区に比べて成長が非常に遅かったが成長することができた。培養中に培地に分泌されるインベルターゼの量を調査するために、SUC2+菌株とΔsuc2菌株をYPD培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトンおよび2%グルコース)で培養し、培養上清液に存在するタンパク質をSDS−PAGEで分離した後、ゲルをスクロース溶液で30分間反応させ、その後TTC(2,3,5-triphenyl-tetrazolium chloride)で発色したザイモグラム(zymogram)分析をした結果(図2)、Δsuc2菌株の場合、大部分のインベルターゼ活性が消失したことが分かった。ところが、スクロース培地で非常に遅いが成長するという問題があるが、これはミトコンドリアの機能によるグルコース新生(gluconeogenesis)によって細胞が部分的に成長するものと推定された。したがって、かかる問題を除去するために、ミトコンドリア電子伝達系作用抑制物質であるアンチマイシンAを添加した後、インベルターゼの発現がない菌株の成長有無を確認した結果、アンチマイシンAを含むYPSA(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、2%スクロース、1μg/mLアンチマイシンA、および2%寒天)またはYPSGA(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、2%スクロース、1μg/mLアンチマイシンA、および2%寒天)培地で菌株の成長を完全に抑制することができた(図3)。
【0083】
選別されたY2805Δsuc2U(Mat a suc2::URA3 pep4::HIS3 GAL1 can1)およびY2805Δgal1Δsuc2U(Mat a suc2::URA3 pep4::HIS3 GAL1 can1)菌株にヒトcDNAライブラリーを含有するURA3ベクターを再び形質転換させるためには、SUC2遺伝子欠失用として用いたURA3遺伝子を除去する必要があるが、このために培養細胞をフルオロオルチン酸(5−FOA)培地で培養してURA3遺伝子がポップアウト(pop-out)された菌株Y2805Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 GAL1 can1)およびY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)を選別した(図1)。染色体上のSUC2遺伝子が予想したように欠失し、URA3遺伝子がさらにポップアウトされたか否かをサザンブロットを介して確認した(図4)。Y2805菌株の染色体をEcoRIで処理し、SUC2遺伝子をプローブとして用いる場合、約4.3kbの切片が確認されるが、URA3遺伝子が挿入された後(Y2805Δgal1Δsuc2U)、約5.0kbに増加してからURA3遺伝子がポップアウトされると(Y2805Δgal1Δsuc2)、約3.7kbに減少する。図4の結果より、SUC2遺伝子が予想したように正確に欠失し、URA3遺伝子がポップアウトされたことを確認した。
【0084】
<実施例2>インベルターゼとの融合による自動選別システムの確認
インベルターゼ遺伝子の欠失した菌株でインベルターゼと融合されたタンパク質の発現によってスクロース培地における自動選別を確認するために、酵母でよく発現するヒトタンパク質としての血清アルブミン(human serum albumin、HSA)と難発現タンパク質としてのヒトインターロイキン−2(IL−2)を用いた。
【0085】
スクロース培地における自動選別を確認するために、3つのプラスミドであるpYGAP−SNS−SUC2、pYGAP−HSA−SUC2、およびpYGAP−hIL2−SUC2を製造した。酵母GAPDHプロモーターの調節下にあるインベルターゼ遺伝子(SUC2、YIL162W)発現カセットを含有しているpYGAP−SUC2を製造するために、プライマーSUC−F(配列番号1)およびSUC−R(配列番号2)を用いて、pBIΔBX(図1)から増幅されたSUC2遺伝子を含むPCR産物をpST−Blue−1(Novagen、米国)にサブクローニングしてpST−SUC2を先ず製造した。PCRはPfu重合酵素(Stratagene、米国)またはEx−Taq DNA重合酵素(TaKaRa Korea Biomedical Inc.,Seoul、韓国)を用いて行った。PCR条件は94℃で5分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃で2分間1回とした。pST−SUC2からのSUC2を含んでいるEcoRI−SalI切片を、YEGα−HIR525のGAL10プロモーターの代わりに、GAPDHプロモーターを持っているEcoRI−SalI処理されたYGAPα−HIRに挿入して、pYGAP−SUC2を製造した。分泌される間にSUC2と外来遺伝子との融合を促進し、酵母ジペプチジルペプチジダーゼKex2p(Mizuno K et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 156:246 (1988))によって融合されたタンパク質の生体内切断を誘導するために、SfiIおよびNotI認識部位に対する人工配列およびKex2p切断部位(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))コーディング配列を、PCRによるSUC2の分泌シグナル配列(19個のアミノ酸)とSUC2成熟配列(513個のアミノ酸)との間にin−frameにて挿入した。2つのPCR切片、すなわちGAPDHプロモーターおよびプライマーGAP−F(配列番号3)とSUCSS−R(配列番号4)を用いて増幅されたSUC2分泌シグナル配列を含むPCR−Aと、プライマーSUCM−F(配列番号5)およびSUC−R(配列番号2)を用いてpYGAP−SUC2から増幅されたSUC2の成熟部位を含むPCR−Bが、それぞれpYGAP−SUC2から増幅した。前記2つの切片をpST−Blue−1内に挿入し、PCR−AはSacI−NotIで処理し、PCR−BはNotI−SalIで処理した。酵素処理したPCR−AおよびPCR−Bを、SacI−SalI処理されたpYGAP−SUC2に共に連結してプラスミドpYGAP−SNS−SUC2を得た。ヒト血清アルブミン(human serum albumim、HSA)とSUC2との間にインフレーム融合された遺伝子を含むプラスミドpYGAP−HSA−SUC2を製造するために、プライマーHSA−F(配列番号6)およびHSA−R(配列番号7)を用いてHSA遺伝子をpYHSA5(Kang et al, J. Microbiol. Biotechnol 8:42 (1998))から増幅した後、pST−Blue−1に挿入した。HSA遺伝子を含むSfiI処理されたDNAをSfiI処理されたpYGAP−SNS−SUC2ベクターに挿入してpYGAP−HSA−SUC2を得た。ヒトインターロイキン−2(IL−2)とSUC2との間にインフレーム融合された遺伝子を含むプラスミドpYGAP−hIL2−SUC2を製造するために、プライマーIL2−F(配列番号8)およびIL2−R(配列番号9)を用いてhIL2遺伝子をpT7−hIL2(JK Jung, Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology)から増幅した後、pST−Blue−1に挿入した。そして、HSA遺伝子を含むSfiI処理されたhIL2切片を、SfiI処理されたpYGAP−SNS−SUC2ベクターに挿入して、pYGAP−hIL2−SUC2を得た。
【0086】
ヒト血清アルブミンとインベルターゼとの融合タンパク質を発現するpYGAP−HSA−SUC2ベクター、IL−2とインベルターゼとの融合タンパク質を発現するpYGAP−hIL2−SUC2、およびインベルターゼのみを発現するpYGAP−SNS−SUC2を、それぞれ内生インベルターゼ遺伝子が欠損してスクロース培地で生長することができない酵母菌株(Y2805Δsuc2)に形質転換させた。形質転換された細胞は、グルコースを唯一の炭素源として添加したUDプレート(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコース、および2%寒天)およびスクロースを唯一の炭素源として添加したYPSA培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、2%スクロース、1μg/mLアンチマイシンA、および2%寒天)上に塗抹して各形質転換体の生長を観察した(図5)。細胞を、インベルターゼのみを発現するpYGAP−SNS−SUC2で形質転換させた場合、2つの炭素源の全てで正常的に成長した。また、細胞を、インベルターゼのN末端にHSAを融合させたpYGAP−HSA−SUC2で形質転換させた場合にも、2つの炭素源を全て利用しながら成長した。ところが、HSAの代わりにIL2で融合させたpYGAP−hIL2−SUC2で形質転換させた場合には、グルコース培地では正常的に成長するが、スクロース培地では殆ど成長しなかった。pYGAP−hIL2−SUC2で形質転換させた細胞がスクロース培地で成長できないということは、インターロイキン−2が細胞内で分泌不可能であって、これに融合されたインベルターゼも分泌できないためと判断された。したがって、インベルターゼ遺伝子が欠失してスクロース培地で成長することができない菌株に、インベルターゼ遺伝子およびヒトIL2などの難発現性タンパク質の分泌を増加させる融合パートナー(タンパク質融合因子、TFP)を形質転換させてその発現有無を用いて自動選別可能であることが分かった。
【0087】
<実施例3>タンパク質融合因子ライブラリー製作用ベクターの製造
酵母遺伝体またはcDNAライブラリーからタンパク質融合因子ライブラリーを構築するために、ライブラリー構築用ベクターを製作した。cDNAからタンパク質融合因子ライブラリーを構築するためのベクターとしてYGaINVを製作した(図6)。pYGAP−hIL2−SUC2からインベルターゼをコードするDNA切片を増幅するために、2つのプライマーであるSfil−SUC−F(配列番号10)およびSUC−Xho−R(配列番号11)を用いてPCRを行った。PCR条件は、94℃で5分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃2分間の反応を25回;72℃で7分間1回とした。そして、EcoRI−SalI処理されたPCR切片をEcoRI−SalI処理されたYEGα−HIR525に連結してプラスミドYGaINVを製作した(図6)。ゲノム性DNAからタンパク質融合因子ライブラリーを構築するためのベクターとしては、相異なる3つのSUC2リーディングフレームのいずれか一つを持つベクターYGaF0INV、YGaF1INVおよびYGaF2INVを製作した(図7)。YGaINVを鋳型とし、一般的なセンスプライマーGaI100−F(配列番号12)および相異なるリーディングフレームを持つ3つのアンチセンスプライマーXho−F0−R(配列番号13)、Xho−F1−R(配列番号14)、およびXho−F2−R(配列番号15)を用いて、3回のPCR増幅を行った。PCRはPfu重合酵素(Stratagene、米国)を使用し、94℃で5分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃2分間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。アガロースゲルから回収した3つのPCR切片をSfiI酵素で処理した後、SfiIで処理されたYGaINVとそれぞれ結合して3つのプラスミドYGaF0INV、YGaF1INVおよびYGaF2INVをそれぞれ製造した(図7)。
【0088】
<実施例4>酵母インベルターゼと融合されたcDNAライブラリーの製造
cDNAライブラリーを製作するために酵母サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 his3 pep4::HIS3 can1)由来のRNAを用いた。YPD培地(2%酵母抽出物、1%バクトペプトン、2%グルコース)で対数期まで培養した菌株を回収した後、Elionなどの方法(Elion et al, cell, 1984, 39;663)によって全体RNAを回収した。Oligotex mRNAミニキット(Qiagen社、ドイツ)を用いて全体RNAからpoly(A)+mRNAのみを回収し、SMART cDNA合成キット(BD Bioscience、米国)を用いてmRNAからcDNAを製造した。前記SMARTキット(図8)のマニュアルによる方法でmRNAから逆転写によって第1鎖cDNAを合成するとき、SfiI認識部位および無作為的な6つの塩基を含んでいるプライマーASA24N6を使用した。プライマーASA24N6は、無作為的な6つの塩基を持っているため、mRNAのいずれの部位にでも無作為的に結合することができ、このような方法で増幅された第1鎖cDNAの大部分は酵母遺伝子のN末端の一部をコードする5’部分配列を含む。5’部分配列を持つ第1鎖cDNAライブラリーを鋳型としてSMARTキット(BD Bioscience、米国)に含まれた5’PCRプライマーとASA24(配列番号17)プライマーを用いて2鎖cDNAを増幅した。PCR産物は両末端にSfiI部位を含むcDNAの5’部分切片を多数含む。この際、使用した増幅条件はキットで提示する条件(95℃で20秒間1回;95℃で30秒間、68℃で6分間20回)によって増幅した。増幅されたcDNAは、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)溶液で抽出した後、0.1体積の3M酢酸ナトリウム(pH5.0)と2体積のエタノールを添加して沈殿する方法で回収した。cDNAを制限酵素SfiIで50℃で2時間処理した後、アガロースゲルで電気泳動し、0.5〜1kbサイズの断片をアガロースゲル抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて回収した。回収したcDNAを、SfiIで処理したYGaINVベクター(図6)と連結した後、大腸菌DH5αに形質転換させ、アンピシリン含有LB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1% NaCl、アンピシリン50μg/mL)に塗抹した後、37℃で一日培養した。5×104個のコロニーを滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から、SUC2遺伝子と融合されたランダムプライマー製造cDNAを含む全体プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。
【0089】
<実施例5>酵母インベルターゼが融合されたゲノム性DNAライブラリーの製造
実施例4で製造されたcDNAを用いたタンパク質分泌因子ライブラリーの製造方法は、細胞培養中にmRNAで発現される遺伝子が主に確保され、特に発現率の高い遺伝子であるほど、タンパク質融合因子として回収される可能性が高い。したがって、酵母内で発現率が非常に低いタンパク質遺伝子または全く発現されない遺伝子由来のタンパク質融合因子を得るためには、ゲノム性DNAからのライブラリー構築も必要である。図9に示すように、酵母サッカロミセスセレビシエY2805の染色体を制限酵素Sau3AIで部分切断した後、70℃で10分間処理して制限酵素Sau3AIを不活性化させ、0.2mM dTTP、dCTPとクレノウ断片(klenow fragment)で25℃で1時間反応させた後、アガロースゲルで0.5〜1.0kbサイズのDNAを回収した。YGaF0INV、YGaF1INVおよびYGaF2INV(図7)をXhoIでそれぞれ切断した後、70℃で10分間処理して制限酵素XhoIを不活性化させ、0.2mM dTTP、dCTPとクレノウ断片で25℃で1時間反応させた後、アガロースゲルでベクターDNAをそれぞれ回収した。回収したそれぞれのベクターを部分切断されたゲノム性DNAと連結した後、大腸菌DH5αに形質転換し、アンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出物、1%NaCl、アンピシリン50μg/mL)に塗抹した後、37℃で一日培養した。それぞれのベクターから製造されたライブラリーDNAを用いて約2×105細胞の形質転換体ライブラリーを確保した。全ての形質転換体を滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から、SUC2遺伝子と融合されたゲノム性ライブラリーDNAを含む全体プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。
【0090】
<実施例6>インベルターゼを分泌させるタンパク質融合因子ライブラリーの製造
実施例4および実施例5で製造されたゲノム性ライブラリーおよびcDNAライブラリーに存在するインベルターゼを分泌することが可能なTFPライブラリーを1次的に選別するために、ライブラリーDNAを酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1ΔSUC2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に酢酸リチウム方法(Hills et al,m Nucleic Acids Res. 19:5791(1991))で形質転換させた。Y2805Δgal1ΔSUC2は、遺伝子欠失によってスクロースおよびガラクトースを炭素源として使用することができない。形質転換させた細胞をUDプレート(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンA)にそれぞれ塗抹して30℃で4〜6日間培養した。cDNAライブラリーから約3000個の形質転換体を得、ゲノム性DNAライブラリーから約1000個の形質転換体を得た。YPSGA培地で成長した全ての形質転換体をUD培地に移して30℃で2日間培養した後、形成された菌体を全て回収し、ガラス玉(glass bead)を用いて細胞を破砕し、エタノールでDNAを沈殿させて、プラスミドを含む全てのDNAを形質転換体から分離した。分離されたDNAをさらに大腸菌DH5αに形質転換し、アンピリシンの含まれたLB培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母抽出物、1%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に塗抹した後、37℃で一日培養した。約2×104個の大腸菌形質転換体を滅菌蒸留水を用いて回収し、形成された全てのコロニーからプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いてプラスミドを分離し、インベルターゼを分泌させることが可能なタンパク質分泌因子ライブラリーを確保した。その結果、それぞれのインベルターゼ分泌を誘導することが可能な4000個のTFPを含むTFPプールが構築された。ライブラリーから無作為的に選別されたプラスミドの核酸配列を分析した結果、分析された全てのTFPが、相異なる分泌タンパク質をコードする酵母遺伝子に由来したことを確認することができた。
【0091】
<実施例7>細胞内組み換えによって多数の目的タンパク質に適用することが可能なタンパク質融合因子ライブラリーベクターの開発
インベルターゼを分泌させることが可能な約4000個のTFPが実施例6で確保された。いずれの目的遺伝子にも容易に適用することが可能なTFPライブラリーベクターを開発するために、簡単な細胞内組み換えによるクローニングシステムを構築した。まず、細胞内組み換えによってTFPライブラリーとSUC2遺伝子との間でいずれの目的遺伝子でもインフレームにて連結させることが可能なYGadV45(図10)ベクターを製造した。YGadV45は、インベルターゼアミノ末端の45個のアミノ酸が除去された不完全な形態のインベルターゼ遺伝子(defective SUC2、dSUC2)を含んでおり、インベルターゼ活性を持たない。また、ベクターは、細胞内組み換えによってTFPライブラリーおよび目的遺伝子を簡便に挿入するために、dSUC2の前にNotIと2つのSalI認識部位、相同組み換えに使用するためのリンカーDNAおよびSwaI制限酵素認識部位を含む。YGaINVを鋳型とし、センスプライマーINV45−F(配列番号18)および相異なるリーディングフレームを持つ3つのアンチセンスプライマーSUC−Xho−R(配列番号11)およびPfu重合酵素(Stratagene、米国)を用いてPCRを行った。PCRは、94℃で3分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃90秒間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行ってN末端の欠損したインベルターゼ遺伝子切片を得た。NotI−SalI処理されたPCR切片を、NotI−SalI処理されたベクターYGaINVに挿入して(図6)、プラスミドYGadV45を製造した。YGadV45でTFPライブラリーを製造するために、実施例6で確保されたTFPライブラリーをSfiI制限酵素で処理した後、アガロースゲル電気泳動して0.5〜1kb DNA断片をアガロースゲル抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて回収した。回収したDNAをSfiIで処理したYGadV45ベクターに連結(図10)した後、大腸菌DH5αに形質転換し、アンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母助抽出物、1%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に塗抹した後、37℃で一日培養した。約5×104個の大腸菌形質転換体を滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から全体プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。分離されたベクターは、dSUC2と融合された、実施例6で選別したTFPを含んでいる。したがって、これらのTFPライブラリーベクターをサッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に形質転換させ、形質転換させた細胞をUDプレート(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.5%ガラクトース、および2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクタペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンおよび2%寒天)に培養すると、数千個の形質転換体を得ることができた。したがって、YPSGA培地で選別の水準に急激に減少させることができた。目的タンパク質をTFPとSUC2との間にインフレームにて挿入したベクターを持つ細胞のみが生体内組み換えの後にYPSGA培地で成長することができた。TFPライブラリーベクターは、TFPライブラリーと不活性インベルターゼ遺伝子(dSUC2)との間に制限酵素SwaI部位とリンカー配列を含んでいるため、相同組み換えによってベクターを線形化することができる。
【0092】
<実施例8>目標タンパク質の分泌を誘導するタンパク質融合因子の自動選別
前述した方法で製造されたTFPライブラリーベクターに目的タンパク質をインフレームにて連結するために、目的タンパク質遺伝子の5’末端にはリンカーDNAを、3’部位には不活性インベルターゼの機能を復元させることが可能な5’インベルターゼ遺伝子断片を連結しなければならない。このような目的を達成するための方法として、2つ以上の遺伝子をPCRで連結するオーバーラップエクステンション(overlap extension)方法を使用した。センスプライマーKR−target-F(配列番号19)とアンチセンスプライマーTarget−INV−R(配列番号17)を用いて、目的遺伝子を含むプラスミドから、成熟タンパク質をコードする目的遺伝子をPCR増幅させた。また、センスプライマーKR−Inv−F(配列番号21)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、YGaINVから、目的遺伝子の3’末端に融合されるSUC2遺伝子のN末端の一部をPCRで増幅させた(図6)。PCRは、Pfu重合酵素(Stratagene、米国)を用いて94℃で3分間1回;94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で90秒間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。そして、センスプライマーLNK40(配列番号23)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、前記PCRで増幅された2つのDNA断片に対してPCRを行った。前記の方法で得られた挿入断片は、5’末端に40個のヌクレオチドリンカーDNAが連結され、3’末端にKex2p認識部位(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))をコードする500bp DNA、およびインベルターゼN末端の一部が連結されるようにした。実施例7で製作したTFPライブラリーベクターをSwaIで処理して線形化されたTFPライブラリーベクターと、前記で製造した挿入断片とを1:2の割合で混ぜた後、酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に形質転換させた後(図11)、形質転換された細胞をYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンAおよび2%寒天)にそれぞれ塗抹し、5日間培養した。適切なTFPを含むベクターに目的遺伝子が細胞内組み換えによってインフレームにて連結された場合にのみ、YPSGA培地で細胞成長が行われるので、このような方法を用いて容易に目標タンパク質の分泌を誘導する最適のTFPを選別することができた。
【0093】
<実施例9>リパーゼとインベルターゼを二重レポーターとして用いたタンパク質融合因子の自動選別
実施例8でのようにインベルターゼのみを自動選別レポーターとして用いる場合には、実施例2のようにヒトインターロイキン−2が3’末端に融合されているインベルターゼの分泌を完璧に遮断する場合には、最適のタンパク質融合因子の選定のための自動選別レポーターとして適する。約数十個のコロニーがスクロース培地で成長することができるため、TFPライブラリーから最適のTFP選別することが非常に容易である。ところが、幾つかの目的タンパク質の場合には、活性の弱いTFPと連結されても、インベルターゼを細胞外に分泌する。インベルターゼの分泌を完璧に遮断しなければ、スクロース培地で成長することができるので、結果的にスクロースを用いたスクリーニングプレートに現れた形質転換体の数が多くなるという問題がある。形質転換体の数が多くなる場合、各菌体を全て培養し、培地に分泌されたタンパク質の量を分析し、高分泌菌体をさらに選択しなければならない煩わしい過程が要求される。したがって、かかる問題を解決するために、本発明者らは、形質転換プレートで直接分泌活性を比較し得るように形質転換プレート上でタンパク質の分泌度合いをhaloの大きさで区分することが可能なリパーゼを用いるシステムを開発した。この際、リパーゼとインベルターゼとが融合された形態の二重レポーターを使用することにより、インベルターゼによって、スクロース培地で成長する菌体を選別して融合タンパク質の分泌有無を判断することができ、また、リパーゼの活性によって、トリブチリン(tributyrin)を含有したスクリーニングプレートで現れたhaloの大きさを用いて融合タンパク質の分泌度合いを視覚的に区分することができるようにした。まず、リパーゼをコードする遺伝子(CalB、カンジタアンタルティカ(candida antartica))由来のリパーゼBをインベルターゼの5’末端にインフレームにて連結した。このような二重レポーターシステムを用いて、トリブチリンを含有するYPSGA培地でインベルターゼとリパーゼ活性を同時に持つ形質転換体を選別することができる。タンパク質を高分泌するコロニーは、コロニーの周辺に形成されたhaloの大きさで簡単に決定できる。図12に示すように、二重レポーターシステムは、3段階のPCRによって製造される。まず、CalBセンスプライマーKR−CalB−F(配列番号24)とアンチセンスプライマーCalB−Inv−R(配列番号25)を用いて、突然変異CalB遺伝子を含むプラスミドpLGK−Lip14*から、CalBを含む1kb PCR断片を増幅した(SY Kim, Ph. D. thesis, Yonsei University, Korea, 2001)。また、センスプライマーKR−Inv−F(配列番号21)およびアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、YGaINV(図6)から、SUC2遺伝子の5’断片を含む0.5kb PCR断片をそれぞれ増幅させた。PCRは、Pfu重合酵素(Stratagene、米国)を用いて94℃で3分間1回;94℃で30秒間、55℃30秒間、72℃で90秒間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。そして、センスプライマーKR−CaIB−F(配列番号24)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、前記一番目のPCRで増幅された2つのDNA断片に対して2番目のPCRを行った。また、プライマーKR−Target−F(配列番号19)およびTarget−CalB−R(配列番号26)を用いて、実施例8に記述した目的遺伝子を含むプラスミドから目的遺伝子をそれぞれ増幅させた。そして、センスプライマーLNK40(配列番号23)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、目的遺伝子およびSUC2遺伝子断片が融合されたCalBの混合物を鋳型として3番目のPCRを行った。前記方法によって得られた挿入断片は、40個のヌクレオチドリンカーDNA、目的遺伝子、Kex2p切断部位(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))、CalB、Kex2p切断部位(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))、および500bpのインベルターゼ遺伝子5’部位の順序で連結されている。実施例7で製作したTFPライブラリーベクターをSWaIで処理して線形化されたライブラリーと、前記で製造した挿入断片とを1:2の割合で混ぜた後、酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に形質転換させた後、インベルターゼ活性を持つ形質転換細胞を選別するためにYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹した。インベルターゼおよびリパーゼ活性を全て持つ形質転換細胞を選別するためには、YPSGAT培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンA、1%トリブチリンおよび2%寒天)にそれぞれ塗抹して、30℃で5日間培養した。目的タンパク質を分泌するコロニーは、YPGSAおよびYPGSATプレートの全てで成長し、リパーゼ活性を示した。また、予想したように、コロニー毎に相異なる大きさのhaloを形成した。このような透明haloの大きさはリパーゼの分泌度合いと比例するため、目的タンパク質の分泌能に優れたコロニーを形質転換プレートから容易に選別することができた(図13)。
【0094】
<実施例10>タンパク質融合因子ライブラリーからヒトインターロイキン−2分泌生産のために選別された新規タンパク質融合因子
本発明の方法を用いて目的タンパク質に対する最適のTFP選別可能性を確認するために、一例として、難分泌タンパク質であるヒトインターロイキン2(IL−2)を対象としてIL−2を分泌生産することが可能なタンパク質融合因子を発掘した。実施例8の方法通りにPCRを行ってヒトIL2遺伝子および500bpのSUC2 N末端断片を含む挿入断片を増幅させた(図11)。すなわち、PCRは、センスプライマーKR−IL2−F(配列番号27)およびアンチセンスプライマーIL2−INV−R(配列番号28)を用いてpT7−hIL−2(JK Jung、韓国生命工学研究院)を鋳型として行った。また、センスプライマーKR−Inv−F(配列番号21)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、YGaINVから、IL2遺伝子の3’末端に融合されるSUC2 N末端断片をそれぞれPCR増幅させた(図6)。そして、センスプライマーLNK40(配列番号23)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、前記PCRで増幅された2つのDNA断片に対して2番目のPCRを行った。前述した方法によって得られた挿入断片は、Kex2p認識配列(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))を含む40個のヌクレオチドリンカーDNA、IL2、追加的なKex2p認識配列、インベルターゼのN末端断片が順次連結されている。前記挿入断片を、実施例7で製作したSwaIで処理されたTFPライブラリーベクターと共に酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に共同形質転換させた後(図11)、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で5日間培養した。UD培地では約2×104個の形質転換体が形成されたが、YPSGA培地では約100余個の形質転換体が形成された。YPSGA培地で無作為的に選別した30個の形質転換体をYPD培地で培養して全体DNAを分離し、これを大腸菌DH5αに再び形質転換し、形質転換された大腸菌をアンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に塗抹した後、37℃で一日培養した。各大腸菌形質転換体からプラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。各TFPの配列を分析するために、GAL10プロモーターに結合するGAL100−F(配列番号12)プライマーを使用した。塩基配列は、Genotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、CA、米国)を用いて分析した。塩基配列はサッカロミセスゲノムデータベース( HYPERLINK "http://www.yeastgenome.org" www.yeastgenome.org)のBLAST検索によって分析した。その結果、YPSGA培地で生長した30個のコロニーから9個の新規TFPおよび公知のTFP(TFP−3)(WO2005/068658)が確認された。分離されたプラスミドはそれぞれpYHTS−TFP9、pYHTS−TFP13、pYHTS−TFP17、pYHTS−TFP18、pYHTS−TFP19、pYHTS−TFP20、pYHTS−TFP21、pYHTS−TFP25、およびpYHTS−TFP27と命名し、各プラスミドに含有された9個の新規TFPは表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
<実施例11>選別されたタンパク質融合因子を用いたヒトインターロイキン−2の分泌確認
選別されたタンパク質融合因子を用いて酵母においてヒトインターロイキン−2の分泌活性を直接確認するために、PCRを用いて、各TFPとIL2とが融合された遺伝子を増幅し、各TFPベクターの5’−UTRおよびSUC2遺伝子が除去されたベクターを製作した(図14)。9個のセンスプライマーであるBamH−YGR−F(配列番号47)、BamH−SIM−F(配列番号48)、BamH−YNL−F(配列番号49)、BamH−ECM−F(配列番号50)、BamH−ATG−F(配列番号51)、BamH−GAS−F(配列番号52)、BamH−YOR−F(配列番号53)、BamH−OST−F(配列番号54)、BamH−UTH−F(配列番号55)と共通のアンチセスプライマーであるIL2−TGA−R(配列番号56)を用いてプラスミドpYHTS−TFP9、pYHTS−TFP13、pYHTS−TFP17、pYHTS−TFP18、pYHTS−TFP19、pYHTS−TFP20、pYHTS−TFP21、pYHTS−TFP25、およびpYHTS−TFP27からそれぞれPCRを行った。9個のPCR増幅断片をそれぞれBamHIおよびSalIで処理し、アガロースゲル電気泳動を行った。また、センスプライマーSac−GAL−F(配列番号57)およびアンチセンスプライマーGAL−BamH−R(配列番号58)を用いてYEGα−HIR525からPCRを行ってGALプロモーターを増幅した(Sohn et al., Process Biochem. 30:653(1995))。SacI−BamHI処理されたGALプロモーターおよびBamHI−SalI処理された9個の断片をSacI−Sal処理されたYEGα−HIR525に共に連結させ、その結果得られたプラスミドをそれぞれpYGT9−IL2(図15A)、pYGT13−IL2(図15B)、pYGT17−IL2(図15C)、pYGT18−IL2(図16A)、pYGT19−IL2(図16B)、pYGT20−IL2(図16C)、pYGT21−IL2(図17A)、pYGT25−IL2(図17B)、およびpYGT27−IL2(図17C)と命名した。ヒトIL2発現ベクターであるpYGT9−IL2(大腸菌DH5α/pYGT9−IL2、図15A)およびpYGT17−IL2(大腸菌DH5α/pYGT17−IL2、図15C)は、それぞれ国際寄託機関である韓国大田市儒城区魚慇洞52番地所在のKCTC(Korean Collection for Type Cultures)に2005年7月21日付でそれぞれ受託番号KCTC10828BPおよびKCTC10829BPで寄託した。製造された各ベクターは、塩基配列分析によってTFPおよびIL−2遺伝子がインフレームにて適切に連結されたことを確認し、それぞれをサッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に形質転換させ、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lのアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で3日培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコースおよび1%ガラクトース)に接種し、30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。凍結乾燥したペレットを1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁させ、12%SDS−PAGE分析を行った。ゲルをゲル染色試薬(PhastGel Blue R、Pharmacia Biotech、米国)で染色した。その結果、図18に示すように、ヒトインターロイキン−2の分泌度合いは、TFPの種類によって相当な差異を示したが、いずれもヒトインターロイキン−2を培養培地に分泌することができた。TFP1−ヒトIL2遺伝子を含むプラスミドpYIL−KRT1−4(WO2005/068658)が対照群として使用された。TFP9、13、21および27はヒトIL2に非常に有用に使用できることが分かった(図18)。
【0097】
<実施例12>タンパク質融合因子ライブラリーからヒトインターロイキン−32分泌のために選別された新規のタンパク質融合因子
本発明の方法を用いて目標タンパク質に対する最適のTFPを確認するために、一例として、難分泌タンパク質である新規のヒトサイトカインとしてのインターロイキン−32α(IL−32α)(Kim et al., Immunity 22:131, 2005)を対象としてIL−32αを分泌生産することが可能なタンパク質融合因子を発掘した。実施例8の方法通りにPCRを行ってヒトIL−32α遺伝子および500bpのSUC2N末端断片を含む挿入断片を増幅した(図11)。すなわち、PCRは、センスプライマーKR−IL32α−F(配列番号59)およびアンチセンスプライマーIL32α−INV−R(配列番号60)を用いてpProExHTa−IL32α(DY Yoon、建国大学校)を鋳型として行った。また、センスプライマーKR−Inv−F(配列番号21)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、YGaINVから、IL2遺伝子の3’末端に融合されたSUC2N末端断片をそれぞれPCR増幅させた(図6)。そして、センスプライマーLNK40(配列番号23)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、前記PCRで増幅された2つのDNA断片に対して2番目のPCRを行った。前述した方法によって得られた挿入断片は、Kex2p認識配列(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))を含む40個のヌクレオチドリンカーDNA、IL−32α、追加的なKex2p認識配列、インベルターゼのN末端断片が順次連結されている。前記挿入断片を、実施例7で製作したSwaIで処理されたTFPライブラリーベクターと共に酵母サッカロミセスセレビシエY805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に同時形質転換させた後(図11)、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンイマイシンAおよび2%寒天)に塗抹し、30℃で5日間培養した。UD培地では約2×104個の形質転換体が形成されたが、YPSGA培地では約250余個の形質転換体が形成された。YPSGA培地で無作為的に選別した38個の形質転換体をYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコースおよび1%ガラクトース)にそれぞれ接種し、30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った(図19)。形質転換体の大部分は約20kDaのタンパク質バンドでヒトIL−32αを分泌することができた。そのうち、IL−32α分泌能に優れた17個の形質転換体を選別し、挿入されているTFPの塩基配列を分析した。このために、各形質転換体をYPD培地で培養し、全体DNAを分離し、これを大腸菌DH5αに再び形質転換させた。形質転換された大腸菌は、アンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に塗抹した後、37℃で一日培養した。各大腸菌形質転換体からプラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。各プラスミド配列を分析するために、GAL10プロモーターに結合するGAL100−F(配列番号12)プライマーを使用した。塩基配列はGenotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、CA、米国)を用いて分析した。塩基配列はサッカロミセスゲノムデータベース( HYPERLINK "http://www.yeastgenome.org" www.yeastgenome.org)のBLAST検索によって分析した。その結果、17種の選別された酵母菌株から分離されたプラスミドから9個の新規TFPが確認された。分離されたプラスミドは、それぞれpYHTS−IL32−TFP3、pYHTS−IL32−TFP11、pYHTS−IL32−TFP13、pYHTS−IL32−TFP21、pYHTS−IL32−TFP22、pYHTS−IL32−TFP25、pYHTS−IL32−TFP29、pYHTS−IL32−TFP34、およびpYHTS−IL32−TFP38と命名した。このうち、TFP3、TFP13、TFP21およびTFP25はヒトIL2(WO2005/068658)に対する最適のTFPとして既に確保されたものであり、実施例10(表1)に示されている。IL32αに対する5個の新規TFPを表2に示した。
【0098】
【表2】
【0099】
<実施例13>選別されたタンパク質融合因子を用いたヒトインターロイキン−32αの分泌確認
選別されたタンパク質融合因子を用いて酵母においてヒトインターロイキン−32αの分泌活性を直接確認するために、PCRを用いて、実施例12で選別したプラスミドから各TFPの5’−UTRおよびSUC2を除去した。6個のセンスプライマーであるBamH−CIS−F(配列番号71)、BamH−SED−F(配列番号72)、BamH−SIM−F(配列番号73)、BamH−YOR247W−F(配列番号74)、BamH−HSP−F(配列番号75)、BamH−OST−F(配列番号76)、および共通のアンチセスプライマーであるIL32−TGA−R(配列番号77)を用いてプラスミドpYHTS−IL32−TFP3、pYHTS−IL32−TFP11、pYHTS−IL32−TFP13、pYHTS−IL32−TFP21、pYHTS−IL32−TFP22、およびpYHTS−IL32−TFP25からそれぞれPCRを行った。6個のPCR増幅断片にBamHIおよびSalIを処理し、アガロースゲル電気泳動を行った。また、センスプライマーSac−GAL−F(配列番号57)およびアンチセンスプライマーGAL−BamH−R(配列番号58)を用いてYEGα−HIR525からPCRを行ってGALプロモーターを増幅した(Sohn et al., Proess Biochem. 30:653(1995))。SacI−BamHI処理されたGALプロモーターおよびBamHI−SalI処理された6個の断片をSacI−SalI処理されたYEGα−HIR525に共に連結させ、その結果得られたプラスミドをそれぞれpYGT3−IL32α、pYGT11−IL32α、pYGT13−IL32α、pYGT21−IL32α、pYGT22−IL32α、およびpYGT25−IL32αと命名した。製造された各ベクターは、塩基配列分析によってTFPおよびIL32α遺伝子がインフレームにて適切に連結されたことを確認し、それぞれをサッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に形質転換させ、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lのアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)に塗抹し、30℃で3日培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコースおよび1%ガラクトース)に接種し、30℃で40時間培養した。培養上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。これを−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁させ、12%SDS−PAGE分析を行った(図20)。ゲルはゲル染色試薬(PhastGel Blue R、Pharmacia Biotech、米国)で染色した。分泌されたIL32αは、IL32αの単一クローン抗体を用いたウエストンブロットによって詳細に分析した。CAPバッファ(2.2g per liter CAPS、MeOH10%、NaOHで調節したpH11)を含むsmall tank transfer kit(Hoefer、米国)を用いて、タンパク質を300mAで90分間PVDF膜(Millipore、米国)に移した後、ヒトIL32α抗体で探知した(DY Yoon、建国大学校)。タンパク質を含むPVDF膜を、5%脱脂乳を含有するPBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、10mM Na2HPO4、2mM KH2PO4、HClで調節したpH7.4)内で4℃で一晩放置した。その後、0.05%Tween−20を含有するPBSで3回洗浄し、34%脱脂乳を含有するPBSで希釈した1次抗体と共に常温で1時間培養した。膜を3回洗浄した後、3%脱脂乳を含有するPBSで希釈した抗マウス2次抗体(Sigma Chemical Co.,米国)と共に常温で1時間追加培養した。さらに膜を3回洗浄した後、Sigma Fast NBT/BCIP(Sigma Chemical Co.,米国)を用いて発色反応した。その結果、図20に示すように、選別された全てのTFPがヒトIL32αを培養培地に分泌することができることを確認した。これらの中でもTFP3、13、21および22がヒトIL32αの分泌に適することが分かった。
【0100】
<実施例14>流加培養式発酵によるヒトIL32αの生産
ヒトIL32αの分泌生産性を確認するために、pYGT3−IL32αで形質転換させた組み換え酵母菌株を5Lの発酵槽で流加培養した。200mLの種培養を1Lフラスコの最小培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.5%カザミノ酸および2%グルコース)で行い、これを初期発酵培地(4%酵母抽出液、1%ペプトンおよび2%グルコース)に接種して細胞濃度がOD600を基準として約15になるまで培養した後、細胞生長速度に応じて流加培養式培地(15%酵母抽出液、30%グルコース)を追加供給した。細胞濃度がOD600を基準として約130に到達した後、ガラクトース(30%ガラスクトース)を細胞生長速度に応じて適切な割合で供給した。培養72時間経過後、細胞濃度がOD600を基準として約220に到達した(図21A)。培養時間別に取った試料約15μLの培地をSDS−PAGE分析し、分泌されたタンパク質の量を評価した。BCAタンパク質分析試薬(Pierce、米国)およびデンシトメータ(Densitometer)を用いて測定した結果、300mg/L以上のhIL32αが培地に分泌されることを確認した。
【0101】
<実施例15>酵母ゲノムデータのBALST検索による新規TFPの発掘
発掘されたTFP配列を基にして酵母ゲノムから新規TFPを選別するために、選別された18個(WO2005/068658から4個、実施例10から9個、および実施例12から5個)のTFPのpre−分泌シグナルのアミノ酸配列をサッカロミセスゲノムデータベースのBLAST検索のためのQuery配列として使用した(www.yeastgenome.org)。BALSTP検索において低い予想境界値(100または1000)を用いて、70%以上の相同性を有する数百個のORFを確認した。そのうち、N末端に近い配列相同性を有するORFを選別し、SignalP(www.cbs.dtu.dk/services/SignalP-2.0/)分析によって、選別シグナルを持つORFを選別した。その結果、18個のORFをTFP候補として選別した。18個の選別されたORFは、YGR279C(SCW4、細胞壁タンパク質)、YLR037C(DAN2、細胞壁マンノタンパク質)、YLR110C(CCW12、細胞壁タンパク質)、YOR383C(FIT3、細胞壁マンノタンパク質)、YIL011W(TIR3、細胞壁マンノタンパク質)、YHR214W(潜在的な膜タンパク質)、YNL160W(YGPl、細胞壁関連分泌糖タンパク質)、YGR296C−A(dubiousオープンリーディングフレーム)、YOL154W(ZPSl、潜在的なGPIアンカータンパク質)、YPL187W(MFα、交配フェロモンアルファ因子)、YHR214W(潜在的な膜タンパク質)、YKR013W(PRY2、機能が知られていないタンパク質)、YHR139C(SPS100、胞子壁突然変異に必要なタンパク質)、YIL169C(機能が知られていない潜在的なタンパク質)、YOL155C(特定されていないORF)、YMR325W(PAU19、仮想タンパク質)、YDR134W(仮想タンパク質)およびYLR300W(EXGl、細胞壁エキソ−1,3−β−グルカナーゼ)である。各ORFは、PCRプライマー対である、YGR279Cに対するYGR279C−F(配列番号92)およびYGR279C−R(配列番号93)、YLR037Cに対するYLR037C−F(配列番号94)およびYLR037C−R(配列番号95)、YLR110Cに対するYLR110C−F(配列番号96)およびYLR110C−R(配列番号97)、YOR383Cに対するYOR383C−F(配列番号98)およびYOR383C−R(配列番号99)、YIL011Wに対するYIL011W−F(配列番号100)およびYIL011W−R(配列番号101)、YHR214Wに対するYHR214W−F(配列番号102)およびYHR214W−R(配列番号103)、YNL160Wに対するYNL160W−F(配列番号104)およびYNL160W−R(配列番号105)、YGR296C−Aに対するYGR296C−A−F(配列番号106)およびYGR296C−A−R(配列番号107)、YOL154Wに対するYOL154W−F(配列番号108)およびYOL154W−R(配列番号109)、YPL187Wに対するYPL187W−F(配列番号110)およびYPL187W−R(配列番号111)、YHR214Wに対するYHR214W−F(配列番号112)およびYHR214W−R(配列番号113)、YKR013Wに対するYKR013W−F(配列番号114)およびYKR013W−R(配列番号115)、YHR139Cに対するYHR139C−F(配列番号116)およびYHR139C−R(配列番号117)、YIL169Cに対するYIL169C−F(配列番号118)およびYIL169C−R(配列番号119)、YOL155Cに対するYOL155C−F(配列番号120)およびYOL155C−R(配列番号121)、YMR325Wに対するYMR325W−F(配列番号122)およびYMR325W−R(配列番号123)、YDR134Wに対するYDR134W−F(配列番号124)およびYDR134W−R(配列番号125)、およびYLR300Wに対するYLR300W−F(配列番号126)およびYLR300W−R(配列番号127)をそれぞれ用いてサッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)から増幅した。PCRは、Pfu重合酵素(Stratagene、米国)を使用し、94℃で3分間1回;94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で2分間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。各増幅されたPCR断片は、Genotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、CA、米国)を用いて分析した。18個のORFからTFPを発掘するために、図24に示すように、PCR断片混合物の単方向欠失を行った後、これをYGadV45ベクターに導入した(図24)。単一鎖鋳型は、プライマーSfiA−F(配列番号128)を用いて、18ORFからなる鋳型から単方向PCRによって得た。PCRは、ExTaq(Takara Korea、韓国)を使用し、94℃で3分間1回;94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で2分間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。PCR精製キット(Bioneer、韓国)を用いて、単一鎖DNAを含むPCR産物を精製し、大腸菌DNA重合酵素I(NEB、England)およびランダムヘキサメリックプライマーASA24N6(配列番号16)を用いて二重鎖DNAを作った。鋳型DNA20μLを含む反応混合物、ASA24N6プライマー1μL、10×大腸菌DNA重合酵素Iバッファ3μL、2.5mM dNTP5μL、および大腸菌DNA重合酵素I1μLを37℃で1時間培養した。PCR精製キット(Bioneer、韓国)を用いてDNAをカラム精製し、プライマーSfiA−F(配列番号128)およびASA24(配列番号17)を用いてPCR増幅した。増幅したDNAはさらにカラム精製し、SfiIで処理した後、アガロースゲル電気泳動した。SfiI処理したDNA0.5〜1.0kbを、不活性インベルターゼ遺伝子(dSUC2)を含むSfiI処理したYGadV45に挿入した後、大腸菌DH5αに形質転換させた。形質転換された大腸菌をアンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、アンピシリン50μg/mL)に塗抹した後、37℃で一日培養した。約1×104個の大腸菌コロニーを滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から、YGadV45の18ORFの単方向欠失したDNA断片ライブラリーを含む全体プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。18ORFの単方向欠失したDNA断片ライブラリーから適切なTFPを選別するために、ヒトインターロイキン−2(hIL2)をコードする遺伝子をライブラリーとdSUC2との間に挿入した。hIL2遺伝子および500bpのSUC2N末端断片を含む挿入断片を、実施例8で記述したPCR方法によって増幅した。前記挿入断片を、18ORFの単方向欠失したDNA断片ライブラリーを含むSwaIで処理されたベクターと共に酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 SUC2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に同時形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で5日間培養した。UD培地では約2×104個の形質転換体が形成されたが、YPSGA培地では数百個の形質転換体のみが形成された。YPSGA培地で無作為的に選別した29個の形質転換体をYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)で30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った(図25)。その結果から分かるように、多数の形質転換体がhIL2を培養培地に分泌した。各大腸菌形質転換体からプラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。各TFP配列を分析するために、GAL10プロモーターに結合するプライマーGAL100−F(配列番号12)を、TFPを含む全体プラスミドのシーケンシングプライマーとして使用した。塩基配列は、Genotech社 (大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、Ca、米国)を用いて分析した。塩基配列をサッカロミセスゲノムデータベース( HYPERLINK "http://www.yeastgenome.org" www.yeastgenome.org)のBLAST検索によって分析した。その結果、hIL2を分泌する12種の形質転換体から分離されたプラスミドから6個の新規TFPが確認された。分離されたプラスミドは、それぞれpYIL−TFP39、pYIL−TFP43、pYIL−TFP44、pYIL−TFP48、pYIL−TFP52、およびpYIL−TFP54と命名し、6個の新規TFPを表3に示した。
【0102】
【表3】
【0103】
<実施例16>単方向欠失による核心−TFPの変形
実施例10および実施例11でIL−2およびIL−32αを用いて選別した14個のTFP(核心TFP)およびWO2005/068658で既に確認された3つのTFPの効用性を多様化するために、17個のゲノム由来のORF、TFP−1に対するYAR066W、TFP−2に対するYFR026C、TFP3に対するYJL158C、TFP−9に対するYGR106C、TFP−11に対するYDR077W、TFP13に対するYIL123W、TFP−17に対するYNL190W、TFP18に対するYBR078W、TFP−19に対するYJL178C、TFP−20に対するYMR307W、TFP−21に対するYOR247W、TFP−22に対するYJL159W、TFP−25に対するYOR085W、TFP−27に対するYKR042W、TFP29に対するYEL060C、TFP−34に対するYLR390W−A、およびTFP−38に対するYMR251W−AをPCRを用いて増幅し、実施例15に記述した通りに単方向欠失させた。各ORFをPCRプライマー対である、YAR066Wに対するYAR066W−F(配列番号141)およびYAR066W−R(配列番号142)、YFR026Cに対するYFR026C−F(配列番号143)およびYFR026C−R(配列番号144)、YJL158Cに対するYJL158C−F(配列番号145)およびYJL158C−R(配列番号146)、YGR106Cに対するYGR106C−F(配列番号147)およびYGR106C−R(配列番号148)、YDR077Wに対するYDR077W−F(配列番号149)およびYDR077W−R(配列番号150)、YIL123Wに対するYIL123W−F(配列番号151)およびYIL123W−R(配列番号152)、YNL190Wに対するYNL190W−F(配列番号153)およびYNL190W−R(配列番号154)、YBR078Wに対するYBR078W−F(配列番号155)およびYBR078W−R(配列番号156)、YJL178Cに対するYJL178C−F(配列番号157)およびYJL178C−R(配列番号158)、YMR307Wに対するYMR307W−F(配列番号159)およびYMR307W−R(配列番号160)、YOR247Wに対するYOR247W−F(配列番号161)およびYOR247W−R(配列番号162)、YJL159Wに対するYJL159W−F(配列番号163)およびYJL15W−R(配列番号164)、YOR085Wに対するYOR085W−F(配列番号165)およびYOR085W−R(配列番号166)、YKR042Wに対するYKR042W−F(配列番号167)およびYKR042W−R(配列番号168)、YEL060Cに対するYEL060C−F(配列番号169)およびYEL060C−R(配列番号170)、YLR390W−Aに対するYLR390W−A−F(配列番号171)およびYLR390W−A−R(配列番号172)、YMR251W−Aに対するYMR251W−A−F(配列番号173)およびYMR251W−A−R(配列番号174)を用いてS.cerevisiae Y2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)のゲノム性DNAから増幅した。PCRは、Pfu重合酵素(Stratagene、米国)を使用し、94℃で3分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃2分間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。各増幅されたPCR断片の塩基配列は、Genotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、CA、米国)を用いて確認した。
17個の核心TFPを含む17個のORFの中から追加的なTFPを選別するために、17PCR断片混合物の単方向欠失を行い、YGadV45を用いてTFPライブラリーを製造した(図24)。単一鎖鋳型は、プライマーSfiA−F(配列番号128)を用いて、17個のORFからなる鋳型から単方向PCRによって得た。PCRは、ExTaq(Takara Krea、韓国)を使用し、94℃で3分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃2分間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。PCR精製キット(Bioneer、韓国)を用いて、単一鎖DNAを含むPCR産物を精製し、大腸菌DNA酵素I(NEB、England)およびランダムヘキサメリックプライマーASA24N6(配列番号16)を用いて二重鎖DNAを作った。鋳型DNA20μLを含む反応混合物、ASA24N6プライマー1μL、10×大腸菌DNA重合酵素Iバッファ3μL、2.5mM dNTP5μL、および大腸菌DNA重合酵素I1μLを37℃で1時間培養した。PCR精製キット(Bioneer、韓国)を用いてDNAをカラム精製し、プライマーSfiA−F(配列番号128)およびASA24(配列番号17)を用いてPCR増幅した。増幅したDNAはさらにカラム精製し、SfiIで処理した後、アガロースゲル電気泳動した。SfiI処理したDNA0.5〜1.0kbを、不活性インベルターゼ遺伝子(dSUC2)を含むSfiI処理したYGadV45に挿入した後、大腸菌DH5αに形質転換させた。形質転換された大腸菌をアンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、アンピシリン50μg/mL)に塗抹した後、37℃で一日培養した。約1×104個の大腸菌コロニーを滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から、17個のORFの単方向欠失したDNA断片ライブラリーを含むYGadV45プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。17個のORFからの単方向欠失したDNAライブラリーと、実施例15で製造された18個のORFから製造されたDNAライブラリーとを混合したDNAライブラリーを製造した。
【0104】
混合されたDNA断片ライブラリーから適切なTFPを選別するために、ヒトインターロイキン−2(hIL2)をコードする遺伝子をDNAライブラリーとdSUC2との間に挿入した。hIL2遺伝子および500bpのSUC2N末端断片を含む挿入断片を、実施例8で記述したPCR方法によって増幅した(図11)。前記挿入断片を、35ORFの単方向欠失したDNA断片ライブラリーを含むSwaIで処理されたベクターと共に酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 SUC2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に同時形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で5日間培養した。UD培地では約2×104個の形質転換体が形成されたが、YPSGA培地では数百個の形質転換体のみが形成された。YPSGA培地で無作為的に選別した24個の形質転換体をYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)に接種して30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った(図26)。多数の形質転換体がそれぞれ異なる量でhIL2を培養培地に分泌した。hIL2を分泌する各形質転換体から全体DNAを分離し、これを大腸菌DH5αにさらに形質転換した。各大腸菌形質転換体からプラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。各TFP配列を分析するために、GAL10プロモーターに結合するプライマーGAL100−F(配列番号12)を、TFPを含む全体プラスミドのシーケンシングプライマーとして使用した。塩基配列は、Genotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377l;PE Biosystems、Foster City、Ca、米国)を用いて分析した。塩基配列は、サッカロミセスゲノムデータベース( HYPERLINK "http://www.yeastgenome.org" www.yeastgenome.org)のBLAST検索によって分析した。その結果、hIL2を分泌する18種の形質転換体から分離されたプラスミドから6個の新規TFPが確認された。分離されたプラスミドは、それぞれpYIL−TFP40、pYIL−TFP50、pYIL−TFP51、pYIL−TFP57、pYIL−TFP58、およびpYIL−TFP59と命名し、6個の新規TFPを表4に示した。
【0105】
【表4】
【0106】
<実施例17>核心TFPのプリおよびプロシグナル配列の交換を用いた人工TFPの製造
酵母において多様な組み換えタンパク質の分泌のために酵母交配因子アルファ(MFα)遺伝子由来の分泌シグナルが広く使用されている(Romanos et al., Yeast 8:423(1992))。MFα分泌シグナルは、19個のアミノ酸のプリシグナルと66個のアミノ酸からなるプロシグナルを含む。プロシグナルの機能は、明確に解明されてはいないが、正確なフォールディングを助けて幾つかのタンパク質の分泌に必須的なものと知られており、多くの組み換えタンパク質の分泌に活用されている(Chaudhuri et al., Eur. J. Biochem. 206:193(1992))。本発明では、2つの分泌融合因子TFP−3およびTFP−22がプリ−プロタイプと確認された。本発明で選別されたTFPの有用性を拡大するために、相異なる由来のプリおよびプロシグナルを持つ人為的なTFPを製作した。TFP−1、2、3、および4のプリシグナルおよび交配因子アルファの一般なプロシグナルを用いて4つの人為的なTFPを製造し、それぞれTFP−5、6、7および8と命名した。4つの相異なるプリシグナルおよび共通のプロシグナルを融合させるために、オーバーラップエクステンションPCRを行った。
【0107】
プライマー対である、T1−F(配列番号187)およびT1−R(配列番号188)、T2−F(配列番号189)およびT2−R(配列番号190)、T3−F(配列番号191)およびT3−R(配列番号192)、T4−F(配列番号193)およびT4−R(配列番号194)をそれぞれ用いてプラスミドpYIL−KRTFP1、2、3および4(WO2005/068658)から4つのTFPの4つの相異なるプリシグナルをPCR増幅した。また、プライマーMF−Pro−F(配列番号195)およびMF−R(配列番号196)を用いてプラスミドYEGα−HIR525から約190bpの交配因子アルファプロシグナルをPCR増幅した。そして、センスプライマーとしてT1−F(配列番号187)、T2−F(配列番号189)、T3−F(配列番号191)およびT4−F(配列番号193)、および共通のアンチセンスプライマーMF−R(配列番号196)を用いて前記のDNA断片、すなわち4つのプリシグナルおよび共通の交配因子アルファプロシグナルの4つのグループから4つの相異なるプリおよびプロシグナルをPCR増幅した。各人為的プリおよびプロシグナル配列と交配因子アルファのプリおよびプロシグナルの効率性を比較するために、プライマーMF−Pre−F(配列番号197)およびMF−R(配列番号196)を用いてYEGα−HIR525から交配因子アルファのプリおよびプロシグナルをPCR増幅した。
【0108】
5つのプリおよびプロシグナル配列の効果を確認するために、目的タンパク質であるヒトインスリン様成長因子(hIGF)を使用した。交配因子アルファのプロシグナルはヒトインスリン様成長因子の効果的な分泌のために必須的であると報告されている(Cliaudhuri et al, Eur. J. Biochem. 206:793 (1992)) 。hIGF遺伝子をプライマーKR−IGF−F(配列番号198)およびIGF−R(配列番号199)を用いてヒトcDNAライブラリーからPCR増幅し(ES Choi、 Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology、韓国)、LNK40(配列番号23)およびIGF−R(配列番号199)を用いて2番目のPCRを行った。センスプライマーとしてT1−F(配列番号187)、T2−F(配列番号189)、T3−F(配列番号191)、T4−F(配列番号193)、MF−Pre−F(配列番号197)および共通のアンチセンスプライマーとしてIGF−R(配列番号199)を用いて、IFGを含むDNA断片を、プリおよびプロシグナルを含む既に増幅された5個のPCR断片に融合させた。全ての融合されたPCR断片は、SfiIおよびSalIで処理し、SfiI−SalIで処理されたベクターYGa1INV内に挿入し(図6)、その結果生成されたプラスミドをそれぞれpYGa−T1α−IGF、pYGa−T2α−IGF、pYGa−T3α−IGF、pYGa−T4α−IGFおよびpYGa−MFα−IGFと命名した。5つのプラスミドをサッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 SUC2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹した。各形質転換体の単一コロニーを分離してYPDG(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)で30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間培養した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った。選別されたIGFはhIGFに対する抗体を用いてウエスタンブロットで追加分析した。分析された全てのプリおよびプロ分泌シグナルは、それぞれ異なる量でhIGFを培養培地に分泌した。5個のプリおよびプロシグナルの中で、T3α(TFP−3からのプリシグナルおよびMFαからのプロシグナル)およびT4α(TFP−4からのプリシグナルおよびMFαからのプロシグナル)がhIGF分泌に効果的であった。4つの人為的なTFPおよび新規のTFPを表5に示した。
【0109】
【表5】
【0110】
<実施例18>多数の目的遺伝子に適用可能な細胞内組み換え用TFPベクターの製造
本発明で選別された35個のTFP(核心TFP、すなわちWO2005/068658に記述された4個のTFP、実施例10および実施例11に記述されたヒトIL2およびIL32αを用いて選別された14個のTFP、実施例15でBALST検索によって選別されたORFからの6個のTFP、実施例16で選別された6個のTFP、実施例17で製造された5個の人工TFP)は、本発明で使用した目標タンパク質以外の他の目標タンパク質の分泌にも有用に使用できる。したがって、このようなベクターを多くの目的遺伝子に容易に適用させるために、選別された核心TFPベクターを、目的タンパク質遺伝子との細胞内組み換えが容易であるように製造した。プラスミドYGaSWを製造するために、プライマーGAL100−F(配列番号12)およびH77−1−R(配列番号78)を用いてYGadV45からEcoRI、2SfiI、NotI、Kex2認識部位を含むリンカーDNA、SwaIおよびSalI部位を含む170bp断片をPCR増幅した(図10)。EcoRI−SalI処理されたPCR断片をEcoRI−SalI処理されたYGadV45内に挿入して製造されたプラスミドをYGaSWと命名した。プラスミドYGaSWは、EcoRI、SfiI、NotI、40bpのリンカーおよびGAL10プロモーターとGAL7ターミネータとの間にSwaIおよびSalI制限部位を持っている。35個の核心TFは、各TFPを含むプラスミドにSfiを処理して得た。各核心TFPは、ゲル精製し、SfiI処理されたYGaSW内に挿入した後、YGaSW−TFP1、YGaSW−TFP2、YGaSW−TFP3、YGaSW−TFP4、YGaSW−TFP5、YGaSW−TFP6、YGaSW−TFP7、YGaSW−TFP8、YGaSW−TFP9、YGaSW−TFP11、YGaSW−TFP13、YGaSW−TFP17、YGaSW−TFP18、YGaSW−TFP19、YGaSW−TFP20、YGaSW−TFP21、YGaSW−TFP22、YGaSW−TFP25、YGaSW−TFP27、YGaSW−TFP29、YGaSW−TFP32、YGaSW−TFP34、YGaSW−TFP38、YGaSW−TFP39、YGaSW−TFP40、YGaSW−TFP43、YGaSW−TFP44、YGaSW−TFP48、YGaSW−TFP50、YGaSW−TFP51、YGaSW−TFP52、YGaSW−TFP54、YGaSW−TFP57、YGaSW−TFP58、およびYGaSW−TFP59と命名された35個のプラスミドを得た。
【0111】
<実施例19>ヒト成長ホルモンを活用した核心TFPの効率性分析
本発明で選別された核心TFPをヒト成長ホルモン(hGH)の分泌にも使用することができか追加実験を行った。ヒト成長ホルモンをプライマーhGH−F(配列番号79)およびhGH−R(配列番号80)を用いてヒトcDNAライブラリー(ES Choi、 Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology、韓国)から増幅し、pST−Blue1(Novagen、米国)にクローニングしてプラスミドpST−hGHを製造した。また、プライマーKR−hGH−F(配列番号81)およびhGH−Sal−R(配列番号82)を用いてpST−hGHから2番目のPCRを行った。実施例18で製造したYGaSW−TFPベクターに相同配列を付加するために、hGH遺伝子を含むPCR産物は、プライマーLNK40(配列番号23)およびGT70−R(配列番号83)を用いて3番目のPCRを行った。増幅されたPCR断片は、SwaI処理されたYGaSW−TFPベクターと2:1の割合で混ぜた後、細胞内組み換えによって酵母サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)で30℃で3日間培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)に接種して30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った。図22に示すように、大部分のTFPはヒト成長ホルモンを培養培地に分泌した。これらのうち、pYGT21−hGH菌株を選別し、流加式発酵培養を介して最終分泌率を実験した。培養時間別に10μLの上清液に対してSDS−PAGE分析を実施した結果(図23)、約500mg/Lのヒト成長ホルモンが培養培地に分泌されることを確認することができた。
【0112】
<実施例20>ヒトカスパーゼ−1サブユニットP10を用いた核心TFPの効率性分析
本発明で選別された核心TFPをヒトカスパーゼ−1サブユニットP10(hP10)の分泌にも使用することができるか追加実験を行った。ヒトhP10遺伝子をプライマーKR−hP10−F(配列番号210)およびhP10−Sal−R(配列番号211)を用いてヒトcDNAライブラリー(ES Choi、 Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology、韓国)から増幅した。また、実施例18で製造したYGaSW−TFPベクターに相同配列を付加するために、hP10遺伝子を含むPCR産物は、プライマーLNK40(配列番号23)およびGT70−R(配列番号83)を用いて2番目のPCRを行った。増幅されたPCR断片は、SwaI処理されたYGaSW−TFPベクターと2:1の割合で混ぜた後、細胞内組み換えによって酵母サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)で30℃で3日間培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)に接種して30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間培養した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させ、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った。図28に示すように、プリ−プロシグナルを含む4つの人工TFPのみがhP10を培養培地に分泌した。hIGFの場合での如く、ヒトカスパーゼ−1サブユニットP10の場合にも、酵母での適切な分泌のためにはプロシグナルが必要であることが分かった。
【0113】
<実施例21>ヒトインターロイキン−32γを用いた核心TFPの効率性分析
本発明で選別された核心TFPをヒトインターロイキン−32γ(hIL32γ)の分泌にも使用することができか追加実験を行った。ヒトインターロイキン−32のスプライシング変形体であるヒトインターロイキン−32γをコードする遺伝子をプライマーKR−hIL32g−F(配列番号212)およびhIL32g−Sal−R(配列番号213)を用いてpGMT−IL32γ(DY Yoon、建国大学校)から増幅した。また、実施例18で製造したYGaSW−TFPベクターに相同配列を付加するために、hIL32γ遺伝子を含むPCR産物は、プライマーLNK40(配列番号23)およびGT70−R(配列番号83)を用いて2番目のPCRを行った。増幅されたPCR断片は、SwaI処理されたYGaSW−TFPベクターと2:1の割合で混ぜた後、細胞内組み換えによって酵母サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)で30℃で3日間培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)に接種して30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間培養した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させ、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った。確認したTFPのうち、TFP3およびTFP27がhIL32γの分泌に効果的であることを確認した(図29)。
【0114】
<実施例22>酵母ピキアパストリス由来のTFPライブラリー
本発明のTFP選別方法は、別の生物体由来のゲノム性またはcDNAライブラリーにも適用できる。その例として、酵母ピキアパストリスに対して実験してみた。cDNAライブラリーを製造するために、ピキアパストリスGS115(Invitrogen、米国)から全体RNAを分離した。酵母をYPD培地(2%酵母抽出物、1%バクトペプトン、2%グルコース)で対数期まで培養した菌株を回収した後、Elionなどの方法(Elion et al., cell, 1984, 39:663)によって全体RNAを回収した。Oligotex mRNAミニキット(Qiagen社、ドイツ)を用いて全体RNAからpoly(A)+mRNAのみを回収し、SMART cDNA合成キット(BD Bioscience、米国)を用いてmRNAからcDNAを製造した。mRNAから第1鎖DNAを合成するとき、キットに含まれたプライマーを使用せず、特に設計されたプライマーASA24N6(配列番号16)を使用した。プライマーASA4N6は、無作為的な6つの塩基を持っているため、mRNAのいずれの部位でも無作為的に結合することができ、このような方法で増幅された第1鎖cDNAの大部分は酵母遺伝子のN末端の一部をコードする5’部分配列を含む。5’部分配列を持つ第1鎖cDNAライブラリーを鋳型としてSMARTキット(BD Bioscience、米国)に含まれた5’PCRプライマーとASA24(配列番号17)プライマーを用いて2鎖cDNAを増幅した。PCR産物は、両末端にSfiI部位を含むcDNAの5’部分切片を多数含む。この際、使用した増幅条件は、キットで提示する条件(95℃で20秒間1回;95℃で30秒間、68℃で6分間20回)であった。増幅されたcDNAは、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)溶液で抽出した後、0.1体積の3M酢酸ナトリウム(pH5.0)と2体積のエタノールを添加して沈殿する方法で回収した。cDNAを制限酵素SfiIで50℃で2時間処理した後、アガロースゲルで電気泳動し、0.5〜1kbサイズの断片をアガロースゲル抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて回収した。回収したcDNAをSfiIで処理したYGaINVベクター(図6)と連結した後、大腸菌DH5αに形質転換させ、アンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、アンピシリン50μg/mL)に塗抹した後、37℃で一日培養した。約4×104個のコロニーを滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から、SUC2遺伝子と融合されたランダムプライマー製造cDNAを含む全体プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。P.pastorisから、インベルターゼを分泌するTFPライブラリーを選別するために、ライブラリーDNAをサッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に酢酸リチウム法(Hill et al., Nucleic Acids Res. 19:5191(1991))に形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で4〜6日間培養した。cDNAライブラリーから約1000個の形質転換体が生成された。YPSGA培地から無作為的に5個の形質転換体を選別し、ガラス玉を用いて細胞を破砕し、エタノールでDNAを沈殿させて、プラスミドを含む全てのDNAを形質転換体から分離した。分離されたDNAを大腸菌DH5αにさらに形質転換し、形質転換された大腸菌をアンピシリン含有LB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に塗抹した後、37℃で一日培養した。各大腸菌形質転換体からプラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。P.pastorisのcDNAから得られた各TFPの配列を分析するために、GAL10プロモーターに結合するプライマーGAL100−F(配列番号12)を、TFPを含む全体プラスミドのシーケンシングプライマーとして使用した。塩基配列は、Genotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、CA、米国)を用いて分析した。塩基配列は、国立生命工学情報センター(NCBI、National Center for Biotechnology information)配列データベース( HYPERLINK "http://www.ncbi.nlm.nih.gov" www.ncbi.nlm.nih.gov)のBALST検索によって分析した。その結果、選別された5個の菌株から分離されたプラスミドからP.pastorisの4つの相異なるTFPが確認された。分離されたプラスミドは、それぞれpYHTS−PpTFP1、pYHTS−PpTFP2、pYHTS−PpTFP3、およびpYHTS−PpTFP4と命名し、P.pastorisから分離された4つのTFPを表6に示した。
【0115】
【表6】
【0116】
<実施例23>ヒトインターロイキン−2を用いたピチアパストリス由来のタンパク質融合因子の効率性分析
表6に示した4個のピキアパストリスタンパク質融合因子を用いて酵母サッカロミセスセレビシエでヒトインターロイキン−2の分泌活性を分析した。プライマー対である、PpTFP1−F(配列番号227)およびPpTFP1−R(配列番号228)、PpTFP2−F(配列番号229)およびPpTFP−2−R(配列番号230)、PpTFP3−F(配列番号231)およびPpTFP3−R(配列番号232)、PpTEGP4−F(配列番号233)およびPpTFP4−R(配列番号234)を用いてプラスミドPYHTS−PpTFP1、pYHTS−PpTFP2、pYHTS−PpTFP3およびpYHTS−PpTFP4から各PpTFPに対してそれぞれPCRを行った。ゲル精製されたPCR断片をSfiI処理し、SfiI処理されたYGaSWベクター(図10)にクローニングして製造されたプラスミドをそれぞれYGaSW−PpTFP1、YGaSW−PpTFP2、YGaSW−PpTFP3、およびYGaSW−PpTFP4と命名した。
【0117】
YGaSW−PpTFPベクターと相同配列を有するヒトIL−2遺伝子を含む増幅されたPCR断片をSwaI処理されたYGaSW−PpTFPと2:1の割合で混合した後、サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に細胞内組み換えで形質転換させ、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で3日間培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコース、および1%ガラクトース)に接種して30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間培養した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させ、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った。その結果、図30に示すように、全てのPpTEPがヒトインターロイキン−2を培養培地に分泌することができた。このような結果は、P.pastoris由来のTFP酵母S.cerevisiaeにおいても作動することができることを示す。
【0118】
本発明の全般にわたって記述されたものは、当業者が均等な条件、製剤および本発明の効果に影響を与えない範囲内における他のパラメータを用いて同一に行うことができる。本発明に引用された全ての登録特許、特許出願および公開特許はその全体を参照して本発明と統合できる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1はインベルターゼ遺伝子の欠失過程および選別マーカーのポップアウト過程を示す図である。
【図2】図2はインベルターゼ活性の測定のためのザイモグラムである(レーン1、2、3:野生型サッカロミセスセレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)Y2805;レーン4、5、6:インベルターゼ欠失変異株(S.cerevisiae Y2805Δsuc2)。
【図3】図3は炭素源による酵母菌体の成長を示す写真である(SUC2:野生型S.cerevisiae Y2805;Δsuc2:インベルターゼ欠失変異株(S.cerevisiae Y2805Δsuc2)。
【図4】図4はインベルターゼ遺伝子欠失確認のためのサザンブロット結果である(レーン1、2:S.cerevisiae Y2805(ura3ΔSUC2);レーン3、4:S.cerevisiae Y2805Δsuc2(URA3Δsuc2);レーン5、6:S.cerevisiae Y2805Δsuc2(ura3Δsuc2)。
【図5】図5はグルコースおよびスクロース培地でプラスミドpYGAP−SNS−SUC2、pYGAP−HSA−SUC2およびpYGAP−hIL2−SUC2を含む酵母菌体の成長有無を確認した写真である。
【図6】図6はGAL10プロモーターと成熟したインベルターゼ遺伝子との間にcDNAライブラリーを挿入するためのマルチクローニング部位を含むプラスミドYGaINVを図式した図である。
【図7】図7は3つの異なるリーディングフレームと、GAL10プロモーターと成熟したインベルターゼ遺伝子との間にcDNAライブラリーを挿入するためのマルチクローニング部位を含むプラスミドYGaF0INV、YGaF1INVおよびYGaF2INVを図式した図である。
【図8】図8はTFP選別ベクターYGaINVにおける、ランダムプライマーを使用したcDNAライブラリーの合成およびcDNAライブラリーの製造過程を示す図である。
【図9】図9はTFP選別ベクターYGaF0INV、YGaF1INVおよびYGaF2INVにおけるゲノム性DNAライブラリーの製造過程を示す図である。
【図10】図10はSUC2が欠失し且つTFPライブラリーがサブクローニングされたYGadV45のプラスミドマップを示す図である。
【図11】図11はインベルターゼを用いて細胞内組み換えによってTFPライブラリーからターゲット遺伝子のTFPを選別する過程を示す図である。
【図12】図12はリパーゼおよびインベルターゼを二重レポーターとして用いて細胞内組み換えによってTFPライブラリーからターゲット遺伝子のTFPを選別する過程を示す図である。
【図13】図13は形質転換体が形成するhaloを含むトリブチリンブレートを示すものである。(A)形質転換によって直接得たhalo形成プレート(YPSGAとトリブチリン)、(B)トリブチリンプレートで相異なるhaloの大きさを示す選別された形質転換体。
【図14】図14は9種の選別されたTFPを用いてヒトIL−2を発現するベクターの製造過程を図式した図である。
【図15】図15はヒトIL−2発現ベクターである(A)pYGT9−IL2、(B)pYGT13−IL2および(C)pYGT17−IL2のマップを示す図である。
【図16】図16はヒトIL−2発現ベクターである(A)pYGT18−IL2、(B)pYGT19−IL2および(C)pYGT20−IL2のマップを示す図である。
【図17】図17はヒトIL−2発現ベクターである(A)pYGT21−IL2、(B)pYGT25−IL2および(C)pYGT27−IL2のマップを示す図である。
【図18】図18はヒトIL−2を分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGE結果を示す図である。(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1:IL2分泌の対照群としてpYIL−KRT1−4(WO2005/068658)を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン2:pYGT9−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン3:pYGT21−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン4:pYGT13−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン5:pYGT17−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン6:pYGT25−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン7:pYGT19−ILを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン8:pYGT18−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン9:pYGT27−IL12を含有する酵母菌株の培地上清液)。
【図19】図19はヒトIL32αのTFP選別過程で得られた38種の酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGE結果を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1〜39:酵母形質転換体)。
【図20】図20はヒトIL32αを分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGEおよびウエスタンブロット結果を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1:pYGT3−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン2:pYGT21−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン3:pYGT13−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン4:pYGT25−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン5:pYGT22−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン6:pYGT11−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液)。
【図21】図21の(A)はpYGT3−IL32αを含有する組み換え酵母菌株の流加培養式発酵プロファイルを示す図、(B)は発酵時間に応じて培地に分泌されるタンパク質をSDP−PAGEで分析した結果を示す図である。
【図22】図22はヒト成長ホルモンを分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGE結果を示す図である。(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーンN:陰性対照群として形質転換されていない酵母菌株の培地上清液;レーン1:pYGT1−hGHを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン2:pYGT2−hGH;レーン3:pYGT3−hGH;レーン4:pYGT4−hGH;レーン5:pYGT5−hGH;レーン6:pYGT6−hGH;レーン7:pYGT7−hGH;レーン8:pYGT8−hGH;レーン9:pYGT9−hGH;レーン10:pYGT21−hGH;レーン11:pYGT13−hGH;レーン12:pYGT25−hGH;レーン13:pYGT17−hGH;レーン14:pYGT22−hGH;レーン15:pYGT32−hGH;レーン16:pYGT19−hGH;レーン17:pYGT27−hGH;レーン18:pYGT11−hGH;レーン19:pYGT40−hGH;レーン20:pYGT43−hGH;レーン21:pYGT44−hGH)
【図23】図23の(A)はpYGT18−hGHを含有する組み換え酵母菌株の流加培養式発酵プロファイルを示す図、(B)は発酵時間に応じて培地に分泌されるタンパク質をSDS−PAGEで分析した結果を示す図である。
【図24】図24は単方向欠損法(unidirectional deletion method)を用いて選別されたORFからTFPライブラリーを製造する過程を示す図である。
【図25】図25はBLASTサッチによって選別されたORFから単方向欠失したTFPライブラリーを構築して酵母菌株に形質転換させた後、無作為的に選別された酵母形質転換体の培地上清液に対してSDS−PAGEを行った結果を示す図である。
【図26】図26は35種の選別されたORFから単方向欠失したTFPライブラリーを構築して酵母菌株に形質転換させた後、無作為的に選別された酵母形質転換体の培地上清液に対してSDS−PAGEを行った結果を示す図である。
【図27】図27はヒトインスリン様成長因子を分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGEおよびウエスタンブロット(抗−hIGF)を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1:pYGa−MFa−hlGFを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン2:pYGa−Tlα−IGF;レーン3:pYGa−T2α−IGF;レーン4:pYGa−T3α−IGF;レーン5:pYGa−T4α−IGF)。
【図28】図28はヒトカスパーゼ−1およびサブユニットP10を分泌するTFPベクターで形質転換させた酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGEを行った結果を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1:pYGT1−hP1Oを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン2:pYGT2−hP10;レーン3:pYGT3−hP10;レーン4:pYGT4−hP10;レーン5:pYGT5−hP10;レーン6:pYGT6−hP10;レーン7:pYGT7−hP10;レーン8:pYGT8−hP10;レーン9:pYGT9−hP10;レーン10:pYGT21−hP10;レーン11:pYGT13−hP10;レーン12:pYGT25−hP10;レーン13:pYGT17−hP10;レーン16:pYGT22−hP10;レーン18:pYGT18−hP10;レーン19:pYGT33−hP10;レーン19:pYGT33−hP10;レーン20:pYGT19−hP10;レーン21:pYGT27−hP10;レーン22:pYGT11−hP10;レーン24:pYGT39−hP10;レーン25:pYGT40−hP10;レーン28:pYGT43−hP10;レーン29:pYGT44−hP10;レーン32:陰性対照群)。
【図29】図29はヒトIL−32ガンマを分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGEおよびウエスタンブロット(抗−hIL32)結果を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーンC:陰性対照群として形質転換されていない酵母菌株の培地上清液;レーン1:pYGT1−IL32γ;レーン2:pYGT2−IL32γ;レーン3:pYGT3−IL32γ;レーン4:pYGT4−IL32γ;レーン5:pYGT5−IL32γ;レーン6:pYGT6−IL32γ;レーン7:pYGT7−IL32γ;レーン8:pYGT8−IL32γ;レーン9:pYGT9−IL32γ;レーン10:pYGT21−IL32γ;レーン11:pYGT13−IL32γ;レーン12:pYGT25−IL32γ;レーン13:pYGT17−IL32γ;レーン16:pYGT22−IL32γ;レーン18:pYGT18−IL32γ;レーン19:pYGT33−IL32γ;レーン20:pYGT19−IL32γ;レーン21:pYGT27−IL32γ;レーン22:pYGT11−IL32γ;レーン24:pYGT39−IL32γ;レーン25:pYGT40−IL32γ;レーン28:pYGT43−IL32γ;レーン29:pYGT44−IL32γ;レーン33:pYGT48−IL32γ;レーン35:pYGT50−IL32γ;レーン36:pYGT51−IL32γ;レーン37:pYGT52−IL32γ;レーン39:pYGT54−IL32γ)。
【図30】図30はヒトIL−2を分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGEおよびウエスタンブロット(抗−hIL2)結果を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1:YGaSW−pSUN−IL2を含有する酵母菌株の培養上清液;レーン2:YGaSW−pSED−IL2;レーン3:YGaSW−pUNK−IL2;レーン4:YGaSW−pMUC−IL2)。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、組み換えタンパク質発現に関する。より具体的に、本発明は、既存の組み換え生産方法の下では組み換え生産が難しい組み換えタンパク質の分泌生産を誘導することが可能なタンパク質融合因子(translational fusion partner:TFP)の超高速選別方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
所望のタンパク質の組み換え発現は、研究目的または治療的およびその他の商業的利用のためにタンパク質を大量生産するための方法として広く用いられる。細菌、酵母および哺乳動物宿主細胞システムなどの多様な組み換え発現システムが当業界に知られており、このようなシステムで多くのタンパク質が成功的に生産されている。しかし、多くのタンパク質が現在の発現システムを用いて生産され難いため、タンパク質発現および分泌量が少ないかまたは無い。特定の目的タンパク質において、目的タンパク質と元々よく分泌されるタンパク質とを融合させ、合成されたリンカー配列を付加した融合タンパク質を用いて、組み換え発現されたタンパク質の分泌を向上させる方法が幾分成功した。ところが、全てのタンパク質の分泌生産に一律的に適用できる効率的技術は未だ確立されていない状態である。
【0003】
分泌タンパク質および新規の分泌シグナル配列を解明しようとする試みとして、シグナル配列トラップシステムが多数開発された。米国登録特許第6,228,590号は、レポータータンパク質と融合された哺乳動物コーディング配列を含む核酸ライブラリーをレポータータンパク質の欠失した酵母に形質転換させ、レポータータンパク質を分泌する細胞を探知することにより、哺乳動物シグナル配列を選別する方法について記述している。インベルターゼの欠失した酵母およびインベルターゼレポータータンパク質を使用する類似のシステムがEP0907727に開示されている。酵母を基にしたシグナル配列トラップは、ヒトDNAから分泌されるタンパク質(Klein et at, Proc. Natl. Acad. ScL USA 23:7108 (1996); Jacobs et at, Gene 198:289 (1997))、マウスDNAから分泌されるタンパク質(Gallicioti et at, J. Membrane Biol. 183:115 (2001))、しま模様の魚(zebrafish)DNAから分泌されるタンパク質(Crosier et at, Dev. Dynamics 222:631 (2001))、シロイヌナズナ(Arabidopsis)DNAから分泌されるタンパク質(Goo et at, Plant Mot Biol. 41:415 (1999))、ジャガイモDNAから分泌されるタンパク質(Surpili et at, Anais de Academia Brasileira de Ciencias 74:599 (2002))、およびカンジダアルビカンス(Candida albicans)DNAから分泌されるタンパク質(Monteoliva et at, Eukaryotic Cell 7:514 (2002))の確認に使用されてきた。哺乳動物宿主細胞(Gallicioti et at, J. Membrane Biol. 183:115 (2001))およびバクテリア宿主細胞(Ferguson et at, Cancer Res. 55:8209 (2000))を用いた類似のトラップシステムが開発された。シグナル配列トラップ内で使用されるレポータータンパク質には、インベルターゼ(Klein et at, Proc. Natl. Acad. ScL USA 93:1108, (1996))、アルファアミラーゼ(米国登録特許第6,228,590号)、酸性ホスファターゼ(Surpili et at, Anais de Academia Brasileira de Ciencias 74:599 (2002))、およびβ−ラクタマーゼ(Ferguson et at, Cancer Res. 55:8209 (2000))などが含まれる。
【0004】
国際公開特許WO2005/068658は、目的タンパク質の分泌に有用なタンパク質融合因子を選別する方法を開示している。この方法は、(i)レポータータンパク質をコードする核酸配列と融合された目的タンパク質をコードする核酸配列のライブラリーを含む多様なベクターをレポータータンパク質の欠失した宿主細胞に形質転換させた複数の宿主細胞を得る段階と、(ii)宿主細胞からそれぞれ目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを選別する段階とを含む。
【0005】
〔発明の開示〕
本発明は、目的タンパク質の分泌を効果的に誘導するTFPを確認するための迅速且つ効率的な自動選別方法に関する。本発明は、既存の組み換え発現システムの下で発現されない或いは発現率の非常に低い目的タンパク質を含んでいずれのタンパク質でも宿主細胞から分泌されるようにすることができる。
【0006】
具体的な一例として、本発明は、目的タンパク質に特異的なTFPを確認する方法に関するもので、(i)レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、形質転換された複数の宿主細胞を製造する段階であって、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記目的タンパク質をコードする核酸配列は、3’末端には前記レポータータンパク質から欠失したN末端アミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、5’末端にはリンカーDNAを含み、(ii)前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の生体内(in vivo)組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、(iii)段階(ii)の形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、(iv)段階(iii)で選別された細胞から、前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPを確認する段階とを含む。
【0007】
他の具体的な一例として、本発明は、目的タンパク質に特異的なTFPライブラリーを確認する方法に関するもので、(i)レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、形質転換された複数の宿主細胞を製造する段階であって、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記目的タンパク質をコードする核酸配列は、3’末端には前記レポータータンパク質から欠失したN末端アミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、5’末端にはリンカーDNAを含み、(ii)前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の生体内組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、(iii)段階(ii)の形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、(iv)段階(iii)で選別された細胞から、それぞれ前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを確認する段階とを含む。
【0008】
また、本発明は、本発明の方法によって確認されたTFPまたはTFPライブラリーに関する。
【0009】
また、本発明は、TFPをコードする核酸断片、またはTFPをコードする核酸断片のライブラリーを含む。
【0010】
また、本発明は、TFPをコードする核酸配列、および目的タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸を含む。
【0011】
また、本発明は、本発明のTFPを用いて目的タンパク質を生産する方法に関する。
【0012】
また、本発明は、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含む線形ベクターに関する。
【0013】
また、本発明は、線形ベクターライブラリーおよび目的タンパク質をコードする核酸配列で形質転換させた、レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞を含む。
【0014】
本発明の前記および他の目的、特徴および利点は、添付図面を参照する次の説明からさらに明確に理解されるであろう。
【0015】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、目的タンパク質の分泌を最大化するために、目的タンパク質に特異的に適用することが可能なTFPを確認する迅速且つ効率的な選別技術の必要性によるものである。本発明は、全てのタンパク質の組み換え発現の最適化に有用に適用され、特に既存の公知の発現システム下では発現率が非常に低くて少ない費用で大量生産が不可能なタンパク質の生産に有用に適用できる。
【0016】
したがって、一つの様態として、本発明は、目的タンパク質に特異的なTFPを確認する方法に関するもので、(i)レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、形質転換された複数の宿主細胞を製造する段階であって、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記目的タンパク質をコードする核酸配列は、3’末端には前記レポータータンパク質から欠失したN末端アミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、5’末端にはリンカーDNAを含み、(ii)前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の生体内組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、(iii)段階(ii)の形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、(iv)段階(iii)で選別された細胞から、前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを確認する段階とを含む。
【0017】
別の様態として、本発明は、目的タンパク質に特異的なTFPライブラリーを確認する方法に関するもので、(i)レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、形質転換された複数の宿主細胞を製造する段階であって、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記目的タンパク質をコードする核酸配列は、3’末端には前記レポータータンパク質から欠失したN末端アミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、5’末端にはリンカーDNAを含み、
(ii)前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の生体内組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、
(iii)段階(ii)の形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、
(iv)段階(iii)で選別された細胞から、それぞれ前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを確認する段階とを含む。
【0018】
核酸断片ライブラリーは、ゲノム性DNA、cDNA、合成DNAおよび組み換えDNAなどの全てのタイプのDNAから得ることができる。また、DNAの他に、RNAおよび非自然的に発生する核酸などの核酸を使用することもできる。
【0019】
TFPは、バクテリア、カビ(例えば酵母)、植物および動物(例えば、哺乳動物)を含む全ての原核および真核生物のDNAから選別できる。適したバクテリアは、エシェリキア(Escherichia)、シュードモナス(Psudomonas)およびバチルス(Bacillus)種を含むが、これに限定されない。適した酵母は、カンジダ(Candida)、デバリョウミセス(Debaryomyces)、ハンセヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイナ(Yarrowia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シュワニオミセス(Schwanniomyces)、およびアークスラ(Arxula)種を含むが、これに限定されない。具体的な種の例としては、カンジダウチリス(Candida utilis)、カンジダボイジニイ(Candida boidinii)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、クルイベロミセスラクチス(Kluyveromyces lactis)、ピキアパストリス(Pichia pastoris)、ピキアスチピチス(Pichia stipitis)、スキゾサッカロミセスポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ハンセヌラポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイナリポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シュワニオミセスオキシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、およびアークスラアデニニボランス(Arxula adeninivorans)を含む。DNAの提供源として使用できるカビとしては、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)、リゾプス(Rhizopus)、およびトリコデルマ(Trichoderma)種を含むが、これに限定されない。DNAの提供源として使用できる植物は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、トウモロコシ、タバコおよびジャガイモを含むが、これに限定されない。適した動物としてはヒト、マウス、ラット、ウサギ、犬、猫および猿を含むが、これに限定されない。
【0020】
核酸断片は、全体ゲノム性DNAおよびcDNAライブラリーなどの生物体全体ゲノムから得ることができる。また、核酸断片は、subtractedライブラリーまたはsizedライブラリーなどの全体ゲノムサブセットから得ることができる。
【0021】
具体的な一例として、核酸断片は、以前選別段階で確認されたTFPを含むライブラリーなどのTFP予備選別候補者ライブラリーから得ることができる。より具体的に、TFP予備選別候補者ライブラリーは、一つまたはそれ以上の目的タンパク質に対して効率的なTFPと確認された核心TFPのライブラリーであり得る。
【0022】
別の一例として、TFP予備選別候補者ライブラリーは、核酸断片およびレポータータンパク質をコードする核酸配列のライブラリーを含む多様なベクターを、レポータータンパク質の欠失した宿主細胞に形質転換させ、成長した細胞を集め、細胞からベクターを分離し、ベクターから核酸断片を分離してそれぞれレポータータンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを収得することにより構築することができる。
【0023】
別の一例として、TFP予備選別候補者ライブラリーは、(i)予め確認された一つまたはそれ以上のTFPと相同の予備分泌シグナルを含む遺伝子;(ii)分泌シグナル配列を含む遺伝子;(iii)小胞体(例えば、細胞壁タンパク質、排泄タンパク質、細胞膜タンパク質、液胞タンパク質または胚芽タンパク質)を介して運搬されるタンパク質をコードする遺伝子を検索するためのゲノムデータベースで確認された配列から得ることができる。
【0024】
別の一例として、TFP予備選別候補者ライブラリーは、予め選別されたTFPの多様化、例えば単方向欠失、突然変異、機能配列の付加(例えば、糖化部位)またはTFP間のプリおよびプロシグナル配列(pre- and pro- signal sequence)の交換によって得ることができる。
【0025】
別の一例として、核酸断片は1000bp以下の大きさ、例えば700、500または300bpであり得る。また、核酸断片ライブラリーは、DNAの酵素的切断、cDNA合成または組み換えDNA技術(例えば、単方向欠失、突然変異誘発)によって構築できる。
【0026】
本発明の線形ベクターは、選別された宿主細胞において機能的な全てのベクターを含む。本発明において、用語「ベクター」とは、連結されている他の核酸を運搬することが可能な核酸分子をいう。ベクターの一つの類型である「プラスミド」は、内部に追加的にDNA断片を連結させることが可能な環状の二重鎖DNAループをいう。ベクターの別の類型であるウイルスベクターは、追加的なDNAをウイルスゲノム内に連結させることができる。あるベクターは、宿主細胞内に導入されたときに自己複製が可能である(例えば、複製原点を持つバクテリアベクターおよび哺乳動物エピソームベクター)。あるベクターは、宿主細胞内に導入されたときに宿主細胞ゲノム内に挿入されて(例えば、哺乳動物非−エピソームベクター)宿主ゲノムと共に複製される。本発明のベクターは、作動可能に連結された目的タンパク質をコードする遺伝子の発現を指示することができるが、このようなベクターを「発現ベクター」という。一般に、組み換えDNA技術の使用において、発現ベクターはプラスミド形態である。本発明において、「プラスミド」と「ベクター」は、プラスミドを意味する用語であって、互いに入れ替えて使用することが可能な用語であるが、ベクターの形で最も一般に使用される。ところが、本発明はウイルスベクター(例えば、複製欠乏レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノウイルス依存ウイルス)のように同一の機能を行う他の形態の発現ベクターも含む。
【0027】
原核生物におけるタンパク質の発現は、目的タンパク質とレポータータンパク質との融合タンパク質の発現を指示する構成的または誘導性プロモーターを含むベクターによって行われ得る。適した大腸菌(E.coli)発現ベクターは、pTrc(Arnrann et al, Gene <5P:301-315 ,1988)、およびpET(Studier et al, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. 60-89, 1990)を含む。
【0028】
酵母菌株における発現に適した酵母発現ベクターは、pYepSecl(Baldari et al, EMBO J, 5:229-234, 1987)、pMFa(Kurjan et al, Cell 30:933-943, 1982)、pJRY88(Schultz et al, Gene 54:113-123, 1987)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)、およびpicZ(Invitrogen Corp, San Diego, CaL)を含むが、これに限定されない。
【0029】
昆虫細胞における発現にはバキュロウイルスが使用できる。バキュロウイルスは、pACシリーズ(Smith et al, MoI. Cell. Biol. 5:2156-2165, 1983)、およびpVLシリーズ(Lucklow et al, Virology 770:31-39, 1989)を含む、培養された昆虫細胞におけるタンパク質の発現に利用できる。
【0030】
別の具体的例として、宿主細胞は哺乳動物細胞であり、ベクターは哺乳動物発現ベクターであり得る。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed, Nature 329:840, 1987))およびpMT2PC(Kaufinan et al., EMBO J. 6: 187-195, 1987を含む。哺乳動物で使用されたとき、発現ベクターの統制機能は、ウイルス調節配列によって提供されることもある。例えば、一般に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびSV40由来のプロモーターである。原核細胞および真核細胞に全て適用されるその他の適した発現システムの例は、例えばMOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL(Sambrook et al, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989.)を参照することができる。
【0031】
好ましいベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミッド、エピソーム、ウイルス粒子またはウイルス、および挿入可能なDNA断片(すなわち、相同組み換えによって宿主細胞ゲノム内に挿入可能な断片)を含むが、これに限定されない。好ましいウイルス粒子は、アデノウイルス、バキュロウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、セムリキ森林熱ウイルス、ワクシニアウイルス、およびレトロウイルスを含むが、これに限定されない。適した発現ベクターは、pcDNA3(Invitrogen)およびpSVL(Pharmacia Biotech)を含むが、これに限定されない。その他の発現ベクターとしては、pSPORTTMベクター、pGEMTMベクター(Promega)、pPROEXベクターTM(LTI、Bethesda、MD)、BluescriptTMベクター(Stratagene)、pQETMベクター(Qiagen)、pSE420TM(Invitrogen)およびpYES2TM(Invitrogen)を含むが、これに限定されない。
【0032】
具体的な一例として、発現ベクターは、目的タンパク質をコードするDNA配列が適切な宿主に目的タンパク質を効果的に発現させることができる適切な調節配列と作動可能に連結された複製可能なDNA作製物である。本発明において、用語「作動可能に連結された(operably linked)」は、DNA領域が他の領域と機能的に連結されていることをいう。例えば、プロモーターが配列の転写を調節することが可能なコーディング配列と作動可能に連結される。ベクターの増幅は、調節ドメインの発現とは関係がなく、通常複製原点によって生ずる宿主における複製能力および形質転換体の認知を容易にする選別遺伝子と関係がある。発現ベクターにおける調節配列の必要性は、宿主の種類および形質転換方法の種類によって異なる。一般に、調節配列は転写プロモーター、エンハンサー、転写調節のための選択的なオペレータ配列、ポリアデニル化シグナル、リボソームに結合する適切なmRNAコーディング配列、および転写と翻訳の終結を調節する配列を含むが、これに限定されない。このような調節配列は、例えばGENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY185(Goeddel, Academic Press, San Diego, Calif, 1990)に記述されている。調節配列は、多くの類型の宿主細胞における核酸配列の直接的な構成的発現(constitutive expression)、および一部の宿主細胞における核酸配列の直接的な発現(例えば、組織特異的調節配列)を含む。また、当業者は、形質転換させるべき宿主細胞の選択やタンパク質の好適な発現水準などの要素を考慮してベクターを設計することができる。
【0033】
本発明の発現ベクターは、宿主細胞内に導入され、本発明で記述される核酸配列によってコードされた融合タンパク質またはペプチドなどのタンパク質またはペプチドを生産することができる。好ましくは、ベクターは、宿主生物体によって認知されるプロモーターを含有することができる。本発明のプロモーター配列は、原核または真核またはウイルスに由来したものであり得る。原核に由来した配列の例としては、バクテリオファージラムダ(The bacteriophage Lambda, Hershey, A. D., Ed., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY, 1973; Lambda II, Hendrix, R. W., Ed., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY, 1980)のPRおよびPLプロモーター、大腸菌(E.coli)のtrp、recA、heat shockおよびlacZプロモーター、並びにSV40初期プロモーター(Benoist et at, Nature, 290:304-310, 1981)を含む。酵母に適切なプロモーターは、GAPDH、PGK、ADH、PH05、GAL1およびGAL10を含むが、これに限定されない。その他に、プロモーターは、マウス腫瘍ウイルス(Mouse Mammary Tumor Virus、MMTV)、ヒト免疫欠乏ウイルスの長い末端反復(long terminal repeat、LTR)、マローニーウイルス(Maloney virus)、サイトメガロウイルス前初期プロモーター(cytromegalovirus immediate early promoter)、EBウイルス(Epstein Barr virus)、ラウス肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus)、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、およびヒトメタロチオネインを含むが、これに限定されない。
【0034】
好ましくは、ベクターは追加的な調節配列を含むことができる。適切な調節配列の例は、ファージMS−2のレプリカーゼ遺伝子のシャイン−ダルガーノ(Shine-Dalgarno)配列およびバクテリオファージラムダのcIIのシャイン−ダルガーノ配列が代表的である。
【0035】
また、好ましい発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選別に必要な適切なマーカーを含むことができる。宿主の形質転換は、当業界に広く知られている多様な技術およびSambrookの文献に記述されている技術の一つを用いて行なわれる。
【0036】
複製原点は、外来の起源を含むベクターの構成によって、或いは宿主細胞染色体複製メカニズムによって提供されることができるが、ベクターが宿主細胞の染色体内に統合されると、後者は充足される。一方、ウイルス複製原点を含有するベクターを使用する代わりに、当業者は選別マーカーおよび目的タンパク質DNAで共同形質転換させる方法によって哺乳動物を形質転換させることもできる。適切なマーカーの例としては、ジヒドロ葉酸還元酵素(dihydrofolate reductase、DHFR)またはチミジンキナーゼ(thymidine kinase)がある(米国登録特許第4,399,216号)。
【0037】
従来の組み換え技術は、結合のための非粘着性末端(blunt end)または粘着性末端(staggered end)、適切な末端を提供するための制限酵素の分解、粘着性末端(cohesive end)の適切な位置への充填、不適な連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および適切なリガーゼによる連結などの過程を含むが、目的タンパク質をコードする核酸配列は、このような従来の技術によってベクターDNAと組み換えられる。そのような工程技術は、Sambrookの文献によく記述されている。哺乳動物発現ベクターの製造方法は、例えば文献「Okayama et al, MoI. Cell. Biol. 5:280 (1983)」、文献「Cosman et al, MoI. Immunol. 25:935 (1986)」、文献「Cosman et al, Nature 312:768 (1984)」、ヨーロッパ公開特許EP−A−0367566、および国際公開特許WO91/18982に記述されている。
【0038】
本発明に使用される宿主細胞は、当業界に広く知られている宿主細胞であればいずれでもよい。好ましい宿主細胞は、バクテリア、カビ(例えば、酵母)、植物または動物(例えば、哺乳動物または昆虫)細胞を含む。好ましい酵母は、カンジダ(Candida)、デバリョウミセス(Debaryomyces)、ハンセヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイナ(Yarrowia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シュワニオミセス(Schwanniomyces)、およびアークスラ(Arxula)種を含む。具体的な種の例としては、カンジダウチリス(Candida utilis)、カンジダボイジニイ(Candida boidinii)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、クルイベロミセスラクチス(Kluyveromyces lactis)、ピキアパストリス(Pichia pastoris)、ピキアスチピチス(Pichia stipitis)、スキゾサッカロミセスポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ハンセヌラポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイナリポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シュワニオミセスオキシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、およびアークスラアデニニボランス(Arxula adeninivorans)を含む。好ましいカビとしては、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)、リゾプス(Rhizopus)、およびトリコデルマ(Trichoderma)種を含む。バクテリアは、エシェリキア(Escherichia)、およびバチルス(Bacillus)種を含む。好ましい植物はシロイヌナズナ、トウモロコシ、タバコ、およびジャガイモを含むが、これに限定されない。動物細胞としてはヒト、マウス、ラット、ウサギ、犬、猫、猿、および昆虫を含む。例えば、CHO、COS1、COS7、BSC1、BSC40、BMT10、およびSf9細胞を含む。
【0039】
具体的な様態として、宿主細胞は酵母菌株であり、核酸断片は酵母のゲノムまたはcDNAから分離された核酸断片である。
【0040】
本発明のポリヌクレオチドは、環状プラスミドの一部として、或いは分離されたタンパク質コーディング領域を含む線形DNAまたはウイルスベクターとして宿主細胞内に導入できる。DNAを宿主細胞内に導入する方法は、当業界に公知になっており、一般に形質転換、トランスフェクション、電気穿孔、核注入、または例えばリポソーム、ミセル、幽霊細胞および原形質体などの運搬体との融合などを用いて行われる。
【0041】
本発明では、迅速且つ効率的に選別可能なレポータータンパク質を使用することができる。具体的な一例として、レポータータンパク質は自動選別過程で陽性的に選別できる活性を持つ。別の一例として、レポータータンパク質は、細胞の外部に分泌されるタンパク質、例えばインベルターゼ(invertase)、スクラーゼ(sucrase)、セルラーゼ(cellulose)、キシラナーゼ(xylanase)、マルターゼ(maltase)、アミラーゼ(amylase)、グルコアミラーゼ(glucoamylase)、ガラクトシダーゼ(galactosidase)(例えば、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、メリビアーゼ)、ホスファターゼ(例えば、PHO5)、β−ラクタマーゼ(beta-lactamase)、リパーゼ(lipase)またはプロテアーゼ(protease)を含む。具体的に、分泌タンパク質は、細胞が特定の基質で成長する。哺乳動物細胞のレポーターシステムの例として、CD2/ネオマイシン−ホスホトランスフェラーゼ(Ceo)遺伝子がマウスの胚幹細胞で分泌経路遺伝子をトラップして抗生剤G418培地で分泌レポーターとして使用できる(De-ZoIt et al., Nucleic Acid Res. 34:e25, 2006)。
【0042】
具体的な様態として、宿主細胞は酵母であり、レポータータンパク質はインベルターゼであり、形質転換された酵母菌株はスクロースまたはラフィノース存在下における生存能力で選別される。別の具体的な様態として、宿主細胞は酵母であり、レポータータンパク質はメリビアーゼであり、形質転換された酵母菌株はメリビアーゼの存在下における生存能力で選別される。別の具体的な様態として、宿主細胞は酵母であり、レポータータンパク質はアミラーゼ(例えば、エンドアミラーゼ、エキソアミラーゼ、β−アミラーゼ、またはグルコアミラーゼ)であり、酵母菌株は澱粉分解活性がなく、形質転換された酵母菌株は澱粉分解能力で選別される。別の具体的な様態として、レポータータンパク質活性を示す細胞を選別する段階は、抗生剤などの成長阻害剤に対して抵抗性を持つレポータータンパク質を使用することができる。別の具体的な様態として、レポータータンパク質は、視覚的に探知することが可能なタンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質またはルシフェラーゼなどである。また、レポータータンパク質活性を示す細胞を選別する段階は、例えばリパーゼおよびインベルターゼなどの2つまたはそれ以上のレポータータンパク質を使用することができる。
【0043】
本発明において、宿主細胞は、レポータータンパク質の活性を示さない。具体的に、宿主細胞は、自然的な状態ではレポータータンパク質を発現しない。他の具体例として、レポータータンパク質をコードする遺伝子は、全体または一部が欠失しているか、突然変異されて発現されないか、或いは不活性化された形で発現される。特定のタンパク質に対して不完全な細胞を作る方法としては、当業界の公知の方法を使用することができる(Sambrook et al)。酵母では公知の遺伝子置換技術を用いてレポーター遺伝子を欠損させることができる(Rothstein, Meth. Enzymol. 194:281, 1991)。
【0044】
本発明において、線形ベクターは、核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含む。N末端アミノ酸の欠失は、レポータータンパク質活性を実質的に除去するのに十分な程度の長さが欠失したものであり得る。例えば、レポーター遺伝子のN末端アミノ酸は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50またはそれ以上のアミノ酸が欠失できる。
【0045】
本発明の方法は、組み換え発現水準を高めようとするいずれの目的タンパク質でも使用することができる。目的タンパク質は、研究目的または商業的目的、例えば治療的または産業的目的で生産しようとするタンパク質であり得る。目的タンパク質は、いずれの植物、動物または微生物にも由来することができ、自然に生産したものまたはいずれの方式でも変形できるものであり、核酸によってコードできる程度の長さを持つ。具体的な様態として、目的タンパク質は、サイトカイン、血清蛋白質、コロニー刺激因子、成長因子、ホルモンまたは酵素を含む。例えば、目的タンパク質は、インターロイキン、凝固因子、インターフェロン−α、−βまたは−γ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、組織成長因子、上皮細胞成長因子(EGF)、TGFα、TGFβ、血素板由来成長因子、線維芽細胞成長因子(FGF) 、濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン、抗利尿ホルモン、色素ホルモン、副甲状腺ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、炭水化物特異的酵素、タンパク質分解酵素、リパーゼ、酸化還元酵素、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、脱離酵素(Lyases)、異性化酵素(Isomerases)、リガーゼ、免疫グロブリン、サイトカイン受容体、ラクトフェリン、ホスホリパーゼA2−活性化タンパク質、インスリン、腫瘍壊死因子、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケパリン、ソマトメジン、エリスロポエチン、視床下部放出因子、プロラクチン、絨毛膜性生殖腺刺激ホルモン、組織プラズミノゲン活性化物質、成長ホルモン分泌ペプチド、胸腺体液性因子、抗癌ペプチド、または抗生ペプチドから選択できる。具体的な例として、ヒトインターロイキン−2、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、−32βまたは−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、−βまたは−γ、ヒト顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン、ヒト血素板由来成長因子、ヒト線維芽細胞成長因子、ヒト上皮細胞成長因子、ヒトインスリン様成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト変形性成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ(glucose oxidase)、グルコダーゼ(glucodase)、ガラクトシダーゼ(galactosidase)、グルコセレブロシダーゼ(glucocerebrosidase)、グルクロニダーゼ(glucuronidase)、アスパラギナーゼ(asparaginase)、アルギナーゼ(arginase)、アルギニンジイミナーゼ(arginine deaminase)、ペルオキシドディスムターゼ(peroxide dismutase)、エンドトキシナーゼ(ecdotoxinase)、カタラーゼ(catalase)、キモトリプシン(chymotrypsin)、ウリカーゼ(uricase)、アデノシン二リン酸(adenosine diphosphatase)、チロシナーゼ(tyrosinase)、ビリルビンオキシダーゼ(bilirubine oxidase)、牛GALT(bovine galactose-1-phosphate uridyltransferase)、クラゲ緑色蛍光タンパク質、CALB(Candida antarctica lipase B)、カンジダルゴサリパーゼ(Candida rugosa lipase)、カビクロロペルオキシダーゼ(fungal chloroperoxidase)、β−ガラクトシダーゼ(β-galactosidase)、レソルバーゼ(resolvase)、α−ガラクトシダーゼ(α-galactosidase)、β−グルコシダーゼ(β-glucosidase)、トレハロース合成酵素(trehalose synthase)、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ(cyclodextrin glycosyl transferase)、キシラナーゼ(xylanase)、フィターゼ(phytase)、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト分化成長因子15(hGDF15)、ヒトガラクチン−3結合タンパク質、ヒトセリンプロテアーゼ阻害剤、Kunitzタイプ2、ヒトヤヌスキナーゼ2、ヒトFMS様チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトDGAT(diacylglycerol acyltransferase)、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリソザイム、ヒトDEADボックスプロチン41、ヒトエトポキシド導入タンパク質24、マウスカスパーゼ1、牛アンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼを含むが、これに限定されない。
【0046】
具体的な例として、目的タンパク質は、従来の組み換え生産方法では生産が不可能であり或いは生産率が非常に低いタンパク質である。別の一例として、目的タンパク質は、公知の発現システムを使用すると容易には生産されるが、その発現率を高めようとするタンパク質である。
【0047】
目的タンパク質をコードする核酸は、当業界に広く知られている一般な供給源、例えばゲノム性DNAまたはcDNAライブラリー、PCR増幅、または化学的合成法で得ることができる。
【0048】
本発明で使用される目的タンパク質をコードする核酸配列は、本発明の線形ベクターと生体内で組み換えさせるのに用いられる5’末端リンカーDNAを含み、また、レポータータンパク質のN末端アミノ酸の一部をコードする3’末端核酸配列を追加的に含むが、3’末端核酸配列は、線形ベクターから欠失したN末端、および宿主細胞内に導入されて細胞内で目的タンパク質をコードする核酸配列と線形ベクター間の組み換えを生じさせるのに十分な付加的アミノ酸を含む。具体的に、レポータータンパク質のN末端の一部をコードする配列は、線形ベクターのレポータータンパク質をコードする30または40bpの配列とオーバーラップする少なくとも20bpを含む。5’リンカーおよび3’レポータータンパク質配列を、目的タンパク質をコードする核酸配列に付加することは、通常のDNA技術、例えばPCRおよび/または制限酵素切断および連結で行うことができる。
【0049】
本発明のリンカーDNAは、十分な長さでなければならず、宿主細胞内に導入されて細胞内で目的タンパク質をコードする核酸配列と線形ベクター間の組み換えを生じさせることが可能な線形ベクターの核酸配列の一部と十分な配列相同性を有する。具体的に、リンカーDNAは20bp以上の長さ、例えば30または40bp以上の長さを持つ。より具体的に、リンカーDNAは線形ベクターと少なくとも80程度の相同性を有し、85%、90%、95%または99%の相同性を有することもできる。
【0050】
一例として、リンカーDNAは、プロテアーゼ認識配列をコードしてTFPと目的タンパク質間の接合部位で切断を引き起こす。例えば、リンカーDNAは酵母kex2pまたはkex2p様プロテアーゼ認識配列(例えば、Lys−Arg、Arg−Arg、またはLeu−Asp−Lys−Arg(配列番号214)を含むアミノ酸配列)、哺乳動物フューリン認識配列(Arg−X−X−Argを含むアミノ酸配列)、Factor−Xa認識配列(Ile−Glu−Gly−Arg(配列番号215)を含むアミノ酸配列)、エンテロキナーゼ認識配列(Asp−Asp−Lysを含むアミノ酸配列)、スブチリシン認識配列(Ala−Ala−His−Tyr(配列番号216)を含むアミノ酸配列)、タバコエッチイルス認識配列(Glu−Asn−Leu−Tyr−Phe−Gln−Gly(配列番号217)を含むアミノ酸配列)、ユビキチン加水分解酵素認識配列(Arg−Gly−Glyを含むアミノ酸配列)、またはトロンビン認識配列(Arg−Gly−Pro−Arg(配列番号218)を含むアミノ酸配列)をコードすることができる。
【0051】
別の一例として、リンカーDNAはGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、またはS−タグなどの親和性タグ(affinity tag)をコードすることができる。
【0052】
別の一例として、リンカーDNAは、SfiIのような制限酵素認識部位をコードすることができる。別の一例として、リンカーDNAは、制限酵素認識部位およびプロテアーゼ認識配列(例えば、kex2p様プロテアーゼ−またはkex−2p−認識配列)をコードすることができる。
【0053】
本発明は、本発明の方法によって選別されたTFPまたはその類似体またはその断片に関する。具体的に、TFPは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)またはその類似体またはその断片よりなる群から選択される。
【0054】
また、本発明は、本発明の方法によって選別された2つまたはそれ以上のTFPまたはその断片またはその類似体を含むTFPライブラリーに関する。具体的に、TFPライブラリーは、特定の目的タンパク質に効果的なTFPを含む。または、TFPライブラリーは一つ以上の目的タンパク質に効果的なTFPを含む。具体的に、TFPライブラリーは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる2つまたはそれ以上(例えば4、6、8、10または12またはそれ以上)のTFPを含む。
【0055】
より具体的に、TFPライブラリーは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)、TFP−1(配列番号219)、TFP−2(配列番号221)、TFP−3(配列番号223)、TFP−4(配列番号225)、およびTFP32(配列番号208)またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる6つまたはそれ以上(例えば、8、10または15またはそれ以上)のTFPを含む。
【0056】
また、本発明は、本発明の方法によって選別されたTFPをコードする核酸またはその類似体またはその断片に関する。具体的に、TFPをコードする核酸は、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれるTFPをコードする。また、核酸は、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、62、64、66、68、70、85、87、89、91、130、132、134、136、138、140、176、178、180、182、184、186、201、203、205、または207またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる核酸配列を含む。
【0057】
また、本発明は、本発明の方法によって選別された2つまたはそれ以上のTFPまたはその類似体またはその断片をコードする核酸のライブラリーに関する。具体的に、核酸ライブラリーは、特定の目的タンパク質に効果的なTFPをコードする。または、核酸ライブラリーは、一つ以上の目的タンパク質に効果的なTFPをコードする。具体的に、核酸ライブラリーは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる2つまたはそれ以上(例えば、4、6、8、10または12またはそれ以上)のTFPをコードする。また、核酸ライブラリーは、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、62、64、66、68、70、85、87、89、91、130、132、134、136、138、140、176、178、180、182、184、186、201、203、205、または207またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる2つまたはそれ以上(例えば、4、6、8、10または12またはそれ以上)の核酸配列を含む。
【0058】
より具体的に、核酸ライブラリーは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、PpTFP−4(配列番号90)、TFP−1(配列番号219)、TFP−2(配列番号221)、TFP−3(配列番号223)、TFP−4(配列番号225)、およびTFP−32(配列番号208)またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる6またはそれ以上(例えば、8、10、12または15またはそれ以上)のTFPをコードする。また、核酸ライブラリーは、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、62、64、66、68、70、85、87、89、91、130、132、134、136、138、140、176、178、180、182、184、186、201、203、205、207、209、220、222、224、または226またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる6またはそれ以上(例えば、8、10、12または15またはそれ以上)の核酸配列を含む。
【0059】
本発明において、TFPに関する用語「その断片」は、目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することができる十分な機能を持つ断片であって、TFPのアミノ酸配列のいずれの部分でも含むペプチドのことをいう。
【0060】
TFPに関する用語「その類似体」は、目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することができる十分な機能を持つポリペプチドであって、TFPのアミノ酸と少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を構成するポリペプチドのことをいう。具体的に、類似体は、TFPアミノ酸と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性を有するアミノ酸配列を含む。類似体は、TFPアミノ酸配列の付加、欠失、置換または組合せを含む。付加または置換は人為的なことを含む。
【0061】
好ましくは、置換は保存的アミノ酸置換であり得る。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を持つアミノ酸残基で代替されることをいう。類似の側鎖を持つアミノ酸残基は、当業界によく知られており、基本的な側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電した極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、
セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトパン)、β−分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香性側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトパン、ヒスチジン)を含む。
【0062】
TFPをコードする核酸に関する用語「その類似体」は、TFPをコードする核酸の核酸配列と少なくとも70%の相同性を有する核酸配列で構成された核酸のことをいい、類似体(derivative)によってコードされたポリペプチドは、目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することができる十分な機能を持つ。具体的に、類似体は、TFPをコードする核酸の核酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有する核酸配列を含む。類似体はTFPをコードする核酸の核酸配列の付加、欠失、置換または組合せを含む。
【0063】
配列相同性の計算は、比較対象となる部位が最適に整列された2つの配列を比較し、2つの配列で相同性のあるアミノ酸残基またはヌクレオチドの位置を決定してマッチされる位置の数を求め、マッチされる位置の数を比較対象部位の総数で割り(すなわち、ウィンドウサイズ)、その結果に100をかけて配列相同性のパーセントを求めることにより計算することができる。一つの様態として、100アミノ酸またはヌクレオチド長さにおける4つのギャップが最大整列に導入できるとき、パーセント相同性は、比較対象配列の相同性のあるアミノ酸残基またはヌクレオチドを整列した2つの配列より小さい配列におけるアミノ酸残基、またはヌクレオチドのパーセントで計算される(Dayhoff, in Atlas of Protein Sequence and Structure, Vol. 5, p. 124, National Biochemical Research Foundation, Washington, D.C, 1972)。相同性は、当業界に知られているコンピュータ相同性プログラムで決定される。プログラムの例としてはSmithとWatermanのアルゴリズムを使用した初期値の設定を用いるギャッププログラムがある(Adv. Appl. Math., 1981, 2: 482-489)。
【0064】
類似体の例としては、欠失突然変異(例えば、単方向欠失)、機能的配列の付加(例えば、糖化部位、制限酵素部位)、およびTFPに対するプロ配列またはプリ配列の欠失または付加(例えば、スワッピング)がある。当業者は、当業界によく知られている突然変異誘発技術、例えば前記文献に開示された方法を用いてTFPまたはTFPコーティング核酸の類似体を作ることができ、目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することができる十分な機能を持つ類似体を確認することができる。
【0065】
本発明において、用語「目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することができる十分な機能を持つ」とは、目的タンパク質と融合されたときに目的タンパク質の分泌を誘導することが可能なTFP機能の50%以上を持つTFPの類似体または断片をいう。また、融合された目的タンパク質の分泌誘導能力の60、65、70、75、80、85、90または95%を持つ類似体または断片であり得る。目的タンパク質分泌誘導能力は、当業界に公知の技術または前記の技術によって決定できる。
【0066】
本発明は、TFPをコードする核酸断片ライブラリーに関するもので、核酸断片ライブラリーは、本発明の方法によって選別された10またはそれ以上の核酸断片(例えば、50、100、500、1000または2000またはそれ以上)を含み、予備選別された候補者TFPのライブラリーは、最終選別に使用できる。
【0067】
また、本発明は、TFPをコードする核酸断片ライブラリーに関するもので、核酸断片ライブラリーは、本発明の方法によって選別された10またはそれ以上の核酸断片(例えば、50または100またはそれ以上)を含み、予備選別された候補者TFPのライブラリーは、レポーター遺伝子が欠乏した複数の宿主細胞を核酸断片、およびレポータータンパク質をコードする核酸配列に形質転換させ、成長した細胞を集め、細胞からベクターを分離し、ベクターから核酸断片を分離してそれぞれレポータータンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを収得することにより構築することができ、このような予備選別された候補者TFPのライブラリーは、最終選別に使用できる。
【0068】
また、本発明は、TFPをコードする核酸断片ライブラリーに関するもので、核酸断片ライブラリーは、本発明の方法によって選別された10またはそれ以上の核酸断片(例えば、50、100、500または1000またはそれ以上)を含み、予備選別された候補者TFPのライブラリーは、(i)予め確認された一つまたはそれ以上のTFPと相同性を有するPre−分泌シグナルを含む遺伝子、(ii)分泌シグナル配列を含む遺伝子、(iii)小胞体(例えば、細胞壁タンパク質、排泄タンパク質、細胞膜タンパク質、液胞タンパク質または胚芽タンパク質)を介して運搬されるタンパク質をコードする遺伝子を検索するためのゲノムデータベースで確認された配列から得ることができ、このような予備選別された候補者TFPのライブラリーは、最終選別に使用できる。
【0069】
また、本発明は、TFPをコードする核酸断片ライブラリーに関するもので、核酸断片ライブラリーは、本発明の方法によって選別された10またはそれ以上の核酸断片(例えば、50、100または500またはそれ以上)を含み、予備選別された候補者TFPのライブラリーは、予め選別されたTFPの多様化によって得ることができ、このような予備選別された候補者TFPのライブラリーは、最終選別に使用できる。
【0070】
本発明は、本発明の方法によって選別されたTFPをコードする核酸配列を含む核酸および目的タンパク質をコードする核酸配列に関する。具体的に、TFPは、TFP−9、 TFP−13、TFP−17、TFP−18、TFP−19、TFP−20、TFP−21、TFP−25、TFP−27、TFP−11、TFP−22、TFP−29、TFP−34、TFP−38、TFP−39、TFP−43、TFP−44、TFP−48、TFP−52、TFP−54、TFP−40、TFP−50、TFP−51、TFP−57、TFP−58、TFP−59、TFP−5、TFP−6、TFP−7、およびTFP−8またはその類似体またはその断片よりなる群から選ばれる。また、目的タンパク質は、IL−2、IL−32、ヒト成長ホルモンおよびヒトカスパーゼ−1のP10小単位から選択される。具体的に、TFPはTFP−9、TFP−13、TFP−17、TFP−18、TFP−19、TFP−20、TFP−21、TFP−25、TFP−27、PpTFP−1、PpTFP−2、PpTFP−3、PpTFP−4またはその類似体またはその断片であり、目的タンパク質はIL−2であり得る。または、TFPはTFP−11、TFP−22、TFP−29、TFP−34、またはTFP−38またはその類似体またはその断片であり、目的タンパク質はIL−32であり得る。また、TFPはTFP−9、TFP−13、TFP−17、TFP−18、TFP−19、TFP−20、TFP−21、TFP−25、TFP−27、TFP−11、TFP−22、TFP−29、TFP−34、またはTFP−38またはその類似体またはその断片であり、目的タンパク質は成長ホルモンであり得る。
【0071】
本発明は、本発明のTFPを用いて目的タンパク質を組み換え的に生産する方法に関する。一例として、本発明の方法は、TFPをコードする核酸配列またはその類似体またはその断片と作動可能に連結された目的タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターを準備し、宿主細胞にベクターを形質転換させ、宿主細胞から目的タンパク質を生産し分泌することが可能な条件の下に宿主細胞を培養する段階を含む。具体的に、TFPは、TFP−9(配列番号29)、TFP−13(配列番号31)、TFP−17(配列番号33)、TFP−18(配列番号35)、TFP−19(配列番号37)、TFP−20(配列番号39)、TFP−21(配列番号41)、TFP−25(配列番号43)、TFP−27(配列番号45)、TFP−11(配列番号61)、TFP−22(配列番号63)、TFP−29(配列番号65)、TFP−34(配列番号67)、TFP−38(配列番号69)、TFP−39(配列番号129)、TFP−43(配列番号131)、TFP−44(配列番号133)、TFP−48(配列番号135)、TFP−52(配列番号137)、TFP−54(配列番号139)、TFP−40(配列番号175)、TFP−50(配列番号177)、TFP−51(配列番号179)、TFP−57(配列番号181)、TFP−58(配列番号183)、TFP−59(配列番号185)、TFP−5(配列番号200)、TFP−6(配列番号202)、TFP−7(配列番号204)、TFP−8(配列番号206)、PpTFP−1(配列番号84)、PpTFP−2(配列番号86)、PpTFP−3(配列番号88)、およびPpTFP−4(配列番号90)またはその類似体またはその断片よりなる群から選択できる。また、目的タンパク質はIL−2、IL−32、ヒト成長ホルモンまたはヒトカスパーゼ−1のP10小単位から選択できる。
【0072】
目的タンパク質は、当業界によく知られている全ての発現システムを用いて組み換え的に生産できる。好ましくは、目的タンパク質は。バクテリア、酵母または哺乳動物細胞の培養の下に組み換え的に発現できる。組み換え発現は、目的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを準備し、宿主細胞内にベクターを運搬し、目的タンパク質が発現される条件の下に宿主細胞を培養し、目的タンパク質を分離する段階を含む。組み換えベクターを準備し、そのベクターを宿主細胞に形質転換させ、宿主細胞内でベクターを複製し、生物学的活性のある外来ポリペプチドおよびタンパク質を発現させる方法および材料は、Molecular Cloning(Sambrook Sambrook et al, Cold Spring Harbor Laboratory, 3rd edition, 2001)およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al, John Wiley & Sons, New York 3rd edition, 2000)によく記述されている。
【0073】
ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術を用いて原核または真核細胞に導入できる。本発明において、用語「形質転換」および「トランスフェクション」とは、外来核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入する当業界の技術をいい、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿法、電気穿孔法、DEAE−デキストラン媒介法、またはリホフェクションなどを含む。宿主細胞に形質転換またはトランスフェクションさせる適切な方法は、Sambrook等の文献(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)、およびその他の実験マニュアルによく記述されている。
【0074】
哺乳動物細胞への安定的なトランスフェクションは、使用された発現ベクターおよびトランスフェクション技術によっていると知られており、一部の細胞のみが外来DNAを自分のゲノムに挿入させることができる。このような挿入体を確認し選別するために、選別マーカー(例えば、抗生剤抵抗性)をコードする遺伝子を関心のある遺伝子と共に宿主細胞に導入することができる。多様な選別マーカーは、薬物抵抗性を与えるG418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサートを含む。選別マーカーをコードする核酸は、例えば目的タンパク質をコードする核酸などのベクターまたは他のベクターに連結されて導入できる。安定的にトランスフェクションされた細胞は、薬物選別によって確認できる(例えば、選別マーカーを持つ細胞は生存し、そうでない細胞は死ぬであろう。)。
【0075】
目的タンパク質は、当業界に公知の精製方法、例えば免疫親和性クロマトグラフィー、受容体新和性クロマトグラフィー、疎水性作用クロマトグラフィー、レクチン新和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、および逆相HPLCなどを含む従来のクロマトグラフィー方法によって、宿主細胞が成長する培地から分離できる。また、所望のタンパク質が特異的タグ、ラベルまたはキレート部分を持つ融合タンパク質であって、特異的結合パートナーまたは製剤によって認識して精製する方法がある。精製されたタンパク質は、所望のタンパク質部分に切断されるか、それ自体のままで残ることが可能である。融合タンパク質の切断によって、切断過程では付加的なアミノ酸を持つ所望のタンパク質形態が作られることができる。
【0076】
分離されたタンパク質が生物学的活性を持たない場合には、リフォールディングするか、或いは3次構造でポリペプチドを変形し、或いは二硫化結合を生成させるなどの方法で生物学的活性を回復させることができる。当業界に公知の方法は、可溶性ポリペプチドのpHをpH7以上に調整し、或いは特定の濃度のカオトロープ(chaotrope)の存在下に置く方法を含む。カオトロープの選択は、封入体(inclusion body)溶解のための選択と類似であるが、さらに低い濃度であり、溶解に使用されるのと同様のカオトロープである必要はない。タンパク質のシステインブリッジを形成させる二硫化シャッフリングを起す特定の酸化還元電位を発生させるためには、還元剤または特定の割合の還元剤および還元剤の酸化形態を使用しなければならない。酸化還元カップル(redox couple)は、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化第2銅、ジチオスレイトール(DTT)/ジチアンDTT、2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−b(ME)を使用し、リフォールディング効率を増加させるためには、グリセロール、多様な分子量のポリエチレングリコール、およびアルギニンなどの共溶媒(cosolvent)を使う必要がある。
【0077】
本発明は、核酸断片ライブラリーからの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したタンパク質をコードする核酸配列を含む線形ベクターに関する。また、線形ベクターは、目的タンパク質をコードする核酸配列をさらに含むことができる。
【0078】
本発明は、本発明の線形ベクターライブラリーで形質転換させた、複数のレポータータンパク質欠失宿主細胞に関する。また、宿主細胞は、目的タンパク質をコードする核酸で形質転換できる。
【0079】
本発明の方法および組成物は下記の実施例によってより具体的に説明されるが、これらに限定されない。本発明は、臨床的治療において多様な条件およびパラメータを適切に変形または適用させることができ、当業界に自明なそれらの変形または適用は本発明の範囲に該当する。
【0080】
<実施例1>酵母インベルターゼ欠如変異株の製造
難発現性タンパク質に対するタンパク質融合因子を超高速で選別するために酵母インベルターゼをレポーターとして用いてスクロース培地における細胞成長有無を用いた自動選別システムを製造した。
【0081】
有用なTFPの陽性選別のためにインベルターゼ遺伝子をレポーターとして用いるためには、インベルターゼ活性の欠如した酵母が必要であり、このために野生型の染色体に存在するSUC2遺伝子を欠失させた。遺伝子欠失誘導用カセットの製造のためにプラスミドpRB58(Carlson et al., Cell 20:145(1982))を制限酵素EcoRIとXhoIで処理してSUC2コーディング遺伝子を回収し、pBluescript KS+(Stratagene社、米国)のEcoRI/XhoI部位に導入してpBIUを製造した。図1に示すように、pBIUに含まれたSUC2遺伝子のHindIII−XbaI部位に190bpの反復配列(Tc190)を両末端に含むURA3遺伝子(Bae et al., Yeast 21:437(2004))を挿入してpBIUを製造した。pBIUを制限酵素EcoRI−XhoIで処理した後、サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)およびY2805Δgal1(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 gal1 can1)菌株(SK Rhee, Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology)にリチウムアセテート法で形質転換してウラシルのない選択培地で形質転換体Y2805Δsuc2U(Mat a suc2::URA3 pep4::HIS3 GAL1 can1)およびY2805Δgal1Δsuc2U(Mat a sus2::URA3 pep4::HIS3 gal1 can1)を選別した。
【0082】
選別された形質転換体のインベルターゼ活性が消滅したか否かを確認するために、単一コロニーを、グルコースとスクロースを単一炭素源として供給したそれぞれの培地で培養した結果、グルコースでは正常的に成長し、スクロースにおいても対照区に比べて成長が非常に遅かったが成長することができた。培養中に培地に分泌されるインベルターゼの量を調査するために、SUC2+菌株とΔsuc2菌株をYPD培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトンおよび2%グルコース)で培養し、培養上清液に存在するタンパク質をSDS−PAGEで分離した後、ゲルをスクロース溶液で30分間反応させ、その後TTC(2,3,5-triphenyl-tetrazolium chloride)で発色したザイモグラム(zymogram)分析をした結果(図2)、Δsuc2菌株の場合、大部分のインベルターゼ活性が消失したことが分かった。ところが、スクロース培地で非常に遅いが成長するという問題があるが、これはミトコンドリアの機能によるグルコース新生(gluconeogenesis)によって細胞が部分的に成長するものと推定された。したがって、かかる問題を除去するために、ミトコンドリア電子伝達系作用抑制物質であるアンチマイシンAを添加した後、インベルターゼの発現がない菌株の成長有無を確認した結果、アンチマイシンAを含むYPSA(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、2%スクロース、1μg/mLアンチマイシンA、および2%寒天)またはYPSGA(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、2%スクロース、1μg/mLアンチマイシンA、および2%寒天)培地で菌株の成長を完全に抑制することができた(図3)。
【0083】
選別されたY2805Δsuc2U(Mat a suc2::URA3 pep4::HIS3 GAL1 can1)およびY2805Δgal1Δsuc2U(Mat a suc2::URA3 pep4::HIS3 GAL1 can1)菌株にヒトcDNAライブラリーを含有するURA3ベクターを再び形質転換させるためには、SUC2遺伝子欠失用として用いたURA3遺伝子を除去する必要があるが、このために培養細胞をフルオロオルチン酸(5−FOA)培地で培養してURA3遺伝子がポップアウト(pop-out)された菌株Y2805Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 GAL1 can1)およびY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)を選別した(図1)。染色体上のSUC2遺伝子が予想したように欠失し、URA3遺伝子がさらにポップアウトされたか否かをサザンブロットを介して確認した(図4)。Y2805菌株の染色体をEcoRIで処理し、SUC2遺伝子をプローブとして用いる場合、約4.3kbの切片が確認されるが、URA3遺伝子が挿入された後(Y2805Δgal1Δsuc2U)、約5.0kbに増加してからURA3遺伝子がポップアウトされると(Y2805Δgal1Δsuc2)、約3.7kbに減少する。図4の結果より、SUC2遺伝子が予想したように正確に欠失し、URA3遺伝子がポップアウトされたことを確認した。
【0084】
<実施例2>インベルターゼとの融合による自動選別システムの確認
インベルターゼ遺伝子の欠失した菌株でインベルターゼと融合されたタンパク質の発現によってスクロース培地における自動選別を確認するために、酵母でよく発現するヒトタンパク質としての血清アルブミン(human serum albumin、HSA)と難発現タンパク質としてのヒトインターロイキン−2(IL−2)を用いた。
【0085】
スクロース培地における自動選別を確認するために、3つのプラスミドであるpYGAP−SNS−SUC2、pYGAP−HSA−SUC2、およびpYGAP−hIL2−SUC2を製造した。酵母GAPDHプロモーターの調節下にあるインベルターゼ遺伝子(SUC2、YIL162W)発現カセットを含有しているpYGAP−SUC2を製造するために、プライマーSUC−F(配列番号1)およびSUC−R(配列番号2)を用いて、pBIΔBX(図1)から増幅されたSUC2遺伝子を含むPCR産物をpST−Blue−1(Novagen、米国)にサブクローニングしてpST−SUC2を先ず製造した。PCRはPfu重合酵素(Stratagene、米国)またはEx−Taq DNA重合酵素(TaKaRa Korea Biomedical Inc.,Seoul、韓国)を用いて行った。PCR条件は94℃で5分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃で2分間1回とした。pST−SUC2からのSUC2を含んでいるEcoRI−SalI切片を、YEGα−HIR525のGAL10プロモーターの代わりに、GAPDHプロモーターを持っているEcoRI−SalI処理されたYGAPα−HIRに挿入して、pYGAP−SUC2を製造した。分泌される間にSUC2と外来遺伝子との融合を促進し、酵母ジペプチジルペプチジダーゼKex2p(Mizuno K et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 156:246 (1988))によって融合されたタンパク質の生体内切断を誘導するために、SfiIおよびNotI認識部位に対する人工配列およびKex2p切断部位(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))コーディング配列を、PCRによるSUC2の分泌シグナル配列(19個のアミノ酸)とSUC2成熟配列(513個のアミノ酸)との間にin−frameにて挿入した。2つのPCR切片、すなわちGAPDHプロモーターおよびプライマーGAP−F(配列番号3)とSUCSS−R(配列番号4)を用いて増幅されたSUC2分泌シグナル配列を含むPCR−Aと、プライマーSUCM−F(配列番号5)およびSUC−R(配列番号2)を用いてpYGAP−SUC2から増幅されたSUC2の成熟部位を含むPCR−Bが、それぞれpYGAP−SUC2から増幅した。前記2つの切片をpST−Blue−1内に挿入し、PCR−AはSacI−NotIで処理し、PCR−BはNotI−SalIで処理した。酵素処理したPCR−AおよびPCR−Bを、SacI−SalI処理されたpYGAP−SUC2に共に連結してプラスミドpYGAP−SNS−SUC2を得た。ヒト血清アルブミン(human serum albumim、HSA)とSUC2との間にインフレーム融合された遺伝子を含むプラスミドpYGAP−HSA−SUC2を製造するために、プライマーHSA−F(配列番号6)およびHSA−R(配列番号7)を用いてHSA遺伝子をpYHSA5(Kang et al, J. Microbiol. Biotechnol 8:42 (1998))から増幅した後、pST−Blue−1に挿入した。HSA遺伝子を含むSfiI処理されたDNAをSfiI処理されたpYGAP−SNS−SUC2ベクターに挿入してpYGAP−HSA−SUC2を得た。ヒトインターロイキン−2(IL−2)とSUC2との間にインフレーム融合された遺伝子を含むプラスミドpYGAP−hIL2−SUC2を製造するために、プライマーIL2−F(配列番号8)およびIL2−R(配列番号9)を用いてhIL2遺伝子をpT7−hIL2(JK Jung, Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology)から増幅した後、pST−Blue−1に挿入した。そして、HSA遺伝子を含むSfiI処理されたhIL2切片を、SfiI処理されたpYGAP−SNS−SUC2ベクターに挿入して、pYGAP−hIL2−SUC2を得た。
【0086】
ヒト血清アルブミンとインベルターゼとの融合タンパク質を発現するpYGAP−HSA−SUC2ベクター、IL−2とインベルターゼとの融合タンパク質を発現するpYGAP−hIL2−SUC2、およびインベルターゼのみを発現するpYGAP−SNS−SUC2を、それぞれ内生インベルターゼ遺伝子が欠損してスクロース培地で生長することができない酵母菌株(Y2805Δsuc2)に形質転換させた。形質転換された細胞は、グルコースを唯一の炭素源として添加したUDプレート(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコース、および2%寒天)およびスクロースを唯一の炭素源として添加したYPSA培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、2%スクロース、1μg/mLアンチマイシンA、および2%寒天)上に塗抹して各形質転換体の生長を観察した(図5)。細胞を、インベルターゼのみを発現するpYGAP−SNS−SUC2で形質転換させた場合、2つの炭素源の全てで正常的に成長した。また、細胞を、インベルターゼのN末端にHSAを融合させたpYGAP−HSA−SUC2で形質転換させた場合にも、2つの炭素源を全て利用しながら成長した。ところが、HSAの代わりにIL2で融合させたpYGAP−hIL2−SUC2で形質転換させた場合には、グルコース培地では正常的に成長するが、スクロース培地では殆ど成長しなかった。pYGAP−hIL2−SUC2で形質転換させた細胞がスクロース培地で成長できないということは、インターロイキン−2が細胞内で分泌不可能であって、これに融合されたインベルターゼも分泌できないためと判断された。したがって、インベルターゼ遺伝子が欠失してスクロース培地で成長することができない菌株に、インベルターゼ遺伝子およびヒトIL2などの難発現性タンパク質の分泌を増加させる融合パートナー(タンパク質融合因子、TFP)を形質転換させてその発現有無を用いて自動選別可能であることが分かった。
【0087】
<実施例3>タンパク質融合因子ライブラリー製作用ベクターの製造
酵母遺伝体またはcDNAライブラリーからタンパク質融合因子ライブラリーを構築するために、ライブラリー構築用ベクターを製作した。cDNAからタンパク質融合因子ライブラリーを構築するためのベクターとしてYGaINVを製作した(図6)。pYGAP−hIL2−SUC2からインベルターゼをコードするDNA切片を増幅するために、2つのプライマーであるSfil−SUC−F(配列番号10)およびSUC−Xho−R(配列番号11)を用いてPCRを行った。PCR条件は、94℃で5分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃2分間の反応を25回;72℃で7分間1回とした。そして、EcoRI−SalI処理されたPCR切片をEcoRI−SalI処理されたYEGα−HIR525に連結してプラスミドYGaINVを製作した(図6)。ゲノム性DNAからタンパク質融合因子ライブラリーを構築するためのベクターとしては、相異なる3つのSUC2リーディングフレームのいずれか一つを持つベクターYGaF0INV、YGaF1INVおよびYGaF2INVを製作した(図7)。YGaINVを鋳型とし、一般的なセンスプライマーGaI100−F(配列番号12)および相異なるリーディングフレームを持つ3つのアンチセンスプライマーXho−F0−R(配列番号13)、Xho−F1−R(配列番号14)、およびXho−F2−R(配列番号15)を用いて、3回のPCR増幅を行った。PCRはPfu重合酵素(Stratagene、米国)を使用し、94℃で5分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃2分間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。アガロースゲルから回収した3つのPCR切片をSfiI酵素で処理した後、SfiIで処理されたYGaINVとそれぞれ結合して3つのプラスミドYGaF0INV、YGaF1INVおよびYGaF2INVをそれぞれ製造した(図7)。
【0088】
<実施例4>酵母インベルターゼと融合されたcDNAライブラリーの製造
cDNAライブラリーを製作するために酵母サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 his3 pep4::HIS3 can1)由来のRNAを用いた。YPD培地(2%酵母抽出物、1%バクトペプトン、2%グルコース)で対数期まで培養した菌株を回収した後、Elionなどの方法(Elion et al, cell, 1984, 39;663)によって全体RNAを回収した。Oligotex mRNAミニキット(Qiagen社、ドイツ)を用いて全体RNAからpoly(A)+mRNAのみを回収し、SMART cDNA合成キット(BD Bioscience、米国)を用いてmRNAからcDNAを製造した。前記SMARTキット(図8)のマニュアルによる方法でmRNAから逆転写によって第1鎖cDNAを合成するとき、SfiI認識部位および無作為的な6つの塩基を含んでいるプライマーASA24N6を使用した。プライマーASA24N6は、無作為的な6つの塩基を持っているため、mRNAのいずれの部位にでも無作為的に結合することができ、このような方法で増幅された第1鎖cDNAの大部分は酵母遺伝子のN末端の一部をコードする5’部分配列を含む。5’部分配列を持つ第1鎖cDNAライブラリーを鋳型としてSMARTキット(BD Bioscience、米国)に含まれた5’PCRプライマーとASA24(配列番号17)プライマーを用いて2鎖cDNAを増幅した。PCR産物は両末端にSfiI部位を含むcDNAの5’部分切片を多数含む。この際、使用した増幅条件はキットで提示する条件(95℃で20秒間1回;95℃で30秒間、68℃で6分間20回)によって増幅した。増幅されたcDNAは、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)溶液で抽出した後、0.1体積の3M酢酸ナトリウム(pH5.0)と2体積のエタノールを添加して沈殿する方法で回収した。cDNAを制限酵素SfiIで50℃で2時間処理した後、アガロースゲルで電気泳動し、0.5〜1kbサイズの断片をアガロースゲル抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて回収した。回収したcDNAを、SfiIで処理したYGaINVベクター(図6)と連結した後、大腸菌DH5αに形質転換させ、アンピシリン含有LB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1% NaCl、アンピシリン50μg/mL)に塗抹した後、37℃で一日培養した。5×104個のコロニーを滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から、SUC2遺伝子と融合されたランダムプライマー製造cDNAを含む全体プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。
【0089】
<実施例5>酵母インベルターゼが融合されたゲノム性DNAライブラリーの製造
実施例4で製造されたcDNAを用いたタンパク質分泌因子ライブラリーの製造方法は、細胞培養中にmRNAで発現される遺伝子が主に確保され、特に発現率の高い遺伝子であるほど、タンパク質融合因子として回収される可能性が高い。したがって、酵母内で発現率が非常に低いタンパク質遺伝子または全く発現されない遺伝子由来のタンパク質融合因子を得るためには、ゲノム性DNAからのライブラリー構築も必要である。図9に示すように、酵母サッカロミセスセレビシエY2805の染色体を制限酵素Sau3AIで部分切断した後、70℃で10分間処理して制限酵素Sau3AIを不活性化させ、0.2mM dTTP、dCTPとクレノウ断片(klenow fragment)で25℃で1時間反応させた後、アガロースゲルで0.5〜1.0kbサイズのDNAを回収した。YGaF0INV、YGaF1INVおよびYGaF2INV(図7)をXhoIでそれぞれ切断した後、70℃で10分間処理して制限酵素XhoIを不活性化させ、0.2mM dTTP、dCTPとクレノウ断片で25℃で1時間反応させた後、アガロースゲルでベクターDNAをそれぞれ回収した。回収したそれぞれのベクターを部分切断されたゲノム性DNAと連結した後、大腸菌DH5αに形質転換し、アンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出物、1%NaCl、アンピシリン50μg/mL)に塗抹した後、37℃で一日培養した。それぞれのベクターから製造されたライブラリーDNAを用いて約2×105細胞の形質転換体ライブラリーを確保した。全ての形質転換体を滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から、SUC2遺伝子と融合されたゲノム性ライブラリーDNAを含む全体プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。
【0090】
<実施例6>インベルターゼを分泌させるタンパク質融合因子ライブラリーの製造
実施例4および実施例5で製造されたゲノム性ライブラリーおよびcDNAライブラリーに存在するインベルターゼを分泌することが可能なTFPライブラリーを1次的に選別するために、ライブラリーDNAを酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1ΔSUC2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に酢酸リチウム方法(Hills et al,m Nucleic Acids Res. 19:5791(1991))で形質転換させた。Y2805Δgal1ΔSUC2は、遺伝子欠失によってスクロースおよびガラクトースを炭素源として使用することができない。形質転換させた細胞をUDプレート(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンA)にそれぞれ塗抹して30℃で4〜6日間培養した。cDNAライブラリーから約3000個の形質転換体を得、ゲノム性DNAライブラリーから約1000個の形質転換体を得た。YPSGA培地で成長した全ての形質転換体をUD培地に移して30℃で2日間培養した後、形成された菌体を全て回収し、ガラス玉(glass bead)を用いて細胞を破砕し、エタノールでDNAを沈殿させて、プラスミドを含む全てのDNAを形質転換体から分離した。分離されたDNAをさらに大腸菌DH5αに形質転換し、アンピリシンの含まれたLB培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母抽出物、1%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に塗抹した後、37℃で一日培養した。約2×104個の大腸菌形質転換体を滅菌蒸留水を用いて回収し、形成された全てのコロニーからプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いてプラスミドを分離し、インベルターゼを分泌させることが可能なタンパク質分泌因子ライブラリーを確保した。その結果、それぞれのインベルターゼ分泌を誘導することが可能な4000個のTFPを含むTFPプールが構築された。ライブラリーから無作為的に選別されたプラスミドの核酸配列を分析した結果、分析された全てのTFPが、相異なる分泌タンパク質をコードする酵母遺伝子に由来したことを確認することができた。
【0091】
<実施例7>細胞内組み換えによって多数の目的タンパク質に適用することが可能なタンパク質融合因子ライブラリーベクターの開発
インベルターゼを分泌させることが可能な約4000個のTFPが実施例6で確保された。いずれの目的遺伝子にも容易に適用することが可能なTFPライブラリーベクターを開発するために、簡単な細胞内組み換えによるクローニングシステムを構築した。まず、細胞内組み換えによってTFPライブラリーとSUC2遺伝子との間でいずれの目的遺伝子でもインフレームにて連結させることが可能なYGadV45(図10)ベクターを製造した。YGadV45は、インベルターゼアミノ末端の45個のアミノ酸が除去された不完全な形態のインベルターゼ遺伝子(defective SUC2、dSUC2)を含んでおり、インベルターゼ活性を持たない。また、ベクターは、細胞内組み換えによってTFPライブラリーおよび目的遺伝子を簡便に挿入するために、dSUC2の前にNotIと2つのSalI認識部位、相同組み換えに使用するためのリンカーDNAおよびSwaI制限酵素認識部位を含む。YGaINVを鋳型とし、センスプライマーINV45−F(配列番号18)および相異なるリーディングフレームを持つ3つのアンチセンスプライマーSUC−Xho−R(配列番号11)およびPfu重合酵素(Stratagene、米国)を用いてPCRを行った。PCRは、94℃で3分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃90秒間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行ってN末端の欠損したインベルターゼ遺伝子切片を得た。NotI−SalI処理されたPCR切片を、NotI−SalI処理されたベクターYGaINVに挿入して(図6)、プラスミドYGadV45を製造した。YGadV45でTFPライブラリーを製造するために、実施例6で確保されたTFPライブラリーをSfiI制限酵素で処理した後、アガロースゲル電気泳動して0.5〜1kb DNA断片をアガロースゲル抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて回収した。回収したDNAをSfiIで処理したYGadV45ベクターに連結(図10)した後、大腸菌DH5αに形質転換し、アンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母助抽出物、1%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に塗抹した後、37℃で一日培養した。約5×104個の大腸菌形質転換体を滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から全体プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。分離されたベクターは、dSUC2と融合された、実施例6で選別したTFPを含んでいる。したがって、これらのTFPライブラリーベクターをサッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に形質転換させ、形質転換させた細胞をUDプレート(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.5%ガラクトース、および2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクタペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンおよび2%寒天)に培養すると、数千個の形質転換体を得ることができた。したがって、YPSGA培地で選別の水準に急激に減少させることができた。目的タンパク質をTFPとSUC2との間にインフレームにて挿入したベクターを持つ細胞のみが生体内組み換えの後にYPSGA培地で成長することができた。TFPライブラリーベクターは、TFPライブラリーと不活性インベルターゼ遺伝子(dSUC2)との間に制限酵素SwaI部位とリンカー配列を含んでいるため、相同組み換えによってベクターを線形化することができる。
【0092】
<実施例8>目標タンパク質の分泌を誘導するタンパク質融合因子の自動選別
前述した方法で製造されたTFPライブラリーベクターに目的タンパク質をインフレームにて連結するために、目的タンパク質遺伝子の5’末端にはリンカーDNAを、3’部位には不活性インベルターゼの機能を復元させることが可能な5’インベルターゼ遺伝子断片を連結しなければならない。このような目的を達成するための方法として、2つ以上の遺伝子をPCRで連結するオーバーラップエクステンション(overlap extension)方法を使用した。センスプライマーKR−target-F(配列番号19)とアンチセンスプライマーTarget−INV−R(配列番号17)を用いて、目的遺伝子を含むプラスミドから、成熟タンパク質をコードする目的遺伝子をPCR増幅させた。また、センスプライマーKR−Inv−F(配列番号21)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、YGaINVから、目的遺伝子の3’末端に融合されるSUC2遺伝子のN末端の一部をPCRで増幅させた(図6)。PCRは、Pfu重合酵素(Stratagene、米国)を用いて94℃で3分間1回;94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で90秒間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。そして、センスプライマーLNK40(配列番号23)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、前記PCRで増幅された2つのDNA断片に対してPCRを行った。前記の方法で得られた挿入断片は、5’末端に40個のヌクレオチドリンカーDNAが連結され、3’末端にKex2p認識部位(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))をコードする500bp DNA、およびインベルターゼN末端の一部が連結されるようにした。実施例7で製作したTFPライブラリーベクターをSwaIで処理して線形化されたTFPライブラリーベクターと、前記で製造した挿入断片とを1:2の割合で混ぜた後、酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に形質転換させた後(図11)、形質転換された細胞をYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンAおよび2%寒天)にそれぞれ塗抹し、5日間培養した。適切なTFPを含むベクターに目的遺伝子が細胞内組み換えによってインフレームにて連結された場合にのみ、YPSGA培地で細胞成長が行われるので、このような方法を用いて容易に目標タンパク質の分泌を誘導する最適のTFPを選別することができた。
【0093】
<実施例9>リパーゼとインベルターゼを二重レポーターとして用いたタンパク質融合因子の自動選別
実施例8でのようにインベルターゼのみを自動選別レポーターとして用いる場合には、実施例2のようにヒトインターロイキン−2が3’末端に融合されているインベルターゼの分泌を完璧に遮断する場合には、最適のタンパク質融合因子の選定のための自動選別レポーターとして適する。約数十個のコロニーがスクロース培地で成長することができるため、TFPライブラリーから最適のTFP選別することが非常に容易である。ところが、幾つかの目的タンパク質の場合には、活性の弱いTFPと連結されても、インベルターゼを細胞外に分泌する。インベルターゼの分泌を完璧に遮断しなければ、スクロース培地で成長することができるので、結果的にスクロースを用いたスクリーニングプレートに現れた形質転換体の数が多くなるという問題がある。形質転換体の数が多くなる場合、各菌体を全て培養し、培地に分泌されたタンパク質の量を分析し、高分泌菌体をさらに選択しなければならない煩わしい過程が要求される。したがって、かかる問題を解決するために、本発明者らは、形質転換プレートで直接分泌活性を比較し得るように形質転換プレート上でタンパク質の分泌度合いをhaloの大きさで区分することが可能なリパーゼを用いるシステムを開発した。この際、リパーゼとインベルターゼとが融合された形態の二重レポーターを使用することにより、インベルターゼによって、スクロース培地で成長する菌体を選別して融合タンパク質の分泌有無を判断することができ、また、リパーゼの活性によって、トリブチリン(tributyrin)を含有したスクリーニングプレートで現れたhaloの大きさを用いて融合タンパク質の分泌度合いを視覚的に区分することができるようにした。まず、リパーゼをコードする遺伝子(CalB、カンジタアンタルティカ(candida antartica))由来のリパーゼBをインベルターゼの5’末端にインフレームにて連結した。このような二重レポーターシステムを用いて、トリブチリンを含有するYPSGA培地でインベルターゼとリパーゼ活性を同時に持つ形質転換体を選別することができる。タンパク質を高分泌するコロニーは、コロニーの周辺に形成されたhaloの大きさで簡単に決定できる。図12に示すように、二重レポーターシステムは、3段階のPCRによって製造される。まず、CalBセンスプライマーKR−CalB−F(配列番号24)とアンチセンスプライマーCalB−Inv−R(配列番号25)を用いて、突然変異CalB遺伝子を含むプラスミドpLGK−Lip14*から、CalBを含む1kb PCR断片を増幅した(SY Kim, Ph. D. thesis, Yonsei University, Korea, 2001)。また、センスプライマーKR−Inv−F(配列番号21)およびアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、YGaINV(図6)から、SUC2遺伝子の5’断片を含む0.5kb PCR断片をそれぞれ増幅させた。PCRは、Pfu重合酵素(Stratagene、米国)を用いて94℃で3分間1回;94℃で30秒間、55℃30秒間、72℃で90秒間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。そして、センスプライマーKR−CaIB−F(配列番号24)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、前記一番目のPCRで増幅された2つのDNA断片に対して2番目のPCRを行った。また、プライマーKR−Target−F(配列番号19)およびTarget−CalB−R(配列番号26)を用いて、実施例8に記述した目的遺伝子を含むプラスミドから目的遺伝子をそれぞれ増幅させた。そして、センスプライマーLNK40(配列番号23)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、目的遺伝子およびSUC2遺伝子断片が融合されたCalBの混合物を鋳型として3番目のPCRを行った。前記方法によって得られた挿入断片は、40個のヌクレオチドリンカーDNA、目的遺伝子、Kex2p切断部位(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))、CalB、Kex2p切断部位(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))、および500bpのインベルターゼ遺伝子5’部位の順序で連結されている。実施例7で製作したTFPライブラリーベクターをSWaIで処理して線形化されたライブラリーと、前記で製造した挿入断片とを1:2の割合で混ぜた後、酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に形質転換させた後、インベルターゼ活性を持つ形質転換細胞を選別するためにYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹した。インベルターゼおよびリパーゼ活性を全て持つ形質転換細胞を選別するためには、YPSGAT培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンA、1%トリブチリンおよび2%寒天)にそれぞれ塗抹して、30℃で5日間培養した。目的タンパク質を分泌するコロニーは、YPGSAおよびYPGSATプレートの全てで成長し、リパーゼ活性を示した。また、予想したように、コロニー毎に相異なる大きさのhaloを形成した。このような透明haloの大きさはリパーゼの分泌度合いと比例するため、目的タンパク質の分泌能に優れたコロニーを形質転換プレートから容易に選別することができた(図13)。
【0094】
<実施例10>タンパク質融合因子ライブラリーからヒトインターロイキン−2分泌生産のために選別された新規タンパク質融合因子
本発明の方法を用いて目的タンパク質に対する最適のTFP選別可能性を確認するために、一例として、難分泌タンパク質であるヒトインターロイキン2(IL−2)を対象としてIL−2を分泌生産することが可能なタンパク質融合因子を発掘した。実施例8の方法通りにPCRを行ってヒトIL2遺伝子および500bpのSUC2 N末端断片を含む挿入断片を増幅させた(図11)。すなわち、PCRは、センスプライマーKR−IL2−F(配列番号27)およびアンチセンスプライマーIL2−INV−R(配列番号28)を用いてpT7−hIL−2(JK Jung、韓国生命工学研究院)を鋳型として行った。また、センスプライマーKR−Inv−F(配列番号21)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、YGaINVから、IL2遺伝子の3’末端に融合されるSUC2 N末端断片をそれぞれPCR増幅させた(図6)。そして、センスプライマーLNK40(配列番号23)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、前記PCRで増幅された2つのDNA断片に対して2番目のPCRを行った。前述した方法によって得られた挿入断片は、Kex2p認識配列(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))を含む40個のヌクレオチドリンカーDNA、IL2、追加的なKex2p認識配列、インベルターゼのN末端断片が順次連結されている。前記挿入断片を、実施例7で製作したSwaIで処理されたTFPライブラリーベクターと共に酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に共同形質転換させた後(図11)、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で5日間培養した。UD培地では約2×104個の形質転換体が形成されたが、YPSGA培地では約100余個の形質転換体が形成された。YPSGA培地で無作為的に選別した30個の形質転換体をYPD培地で培養して全体DNAを分離し、これを大腸菌DH5αに再び形質転換し、形質転換された大腸菌をアンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に塗抹した後、37℃で一日培養した。各大腸菌形質転換体からプラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。各TFPの配列を分析するために、GAL10プロモーターに結合するGAL100−F(配列番号12)プライマーを使用した。塩基配列は、Genotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、CA、米国)を用いて分析した。塩基配列はサッカロミセスゲノムデータベース( HYPERLINK "http://www.yeastgenome.org" www.yeastgenome.org)のBLAST検索によって分析した。その結果、YPSGA培地で生長した30個のコロニーから9個の新規TFPおよび公知のTFP(TFP−3)(WO2005/068658)が確認された。分離されたプラスミドはそれぞれpYHTS−TFP9、pYHTS−TFP13、pYHTS−TFP17、pYHTS−TFP18、pYHTS−TFP19、pYHTS−TFP20、pYHTS−TFP21、pYHTS−TFP25、およびpYHTS−TFP27と命名し、各プラスミドに含有された9個の新規TFPは表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
<実施例11>選別されたタンパク質融合因子を用いたヒトインターロイキン−2の分泌確認
選別されたタンパク質融合因子を用いて酵母においてヒトインターロイキン−2の分泌活性を直接確認するために、PCRを用いて、各TFPとIL2とが融合された遺伝子を増幅し、各TFPベクターの5’−UTRおよびSUC2遺伝子が除去されたベクターを製作した(図14)。9個のセンスプライマーであるBamH−YGR−F(配列番号47)、BamH−SIM−F(配列番号48)、BamH−YNL−F(配列番号49)、BamH−ECM−F(配列番号50)、BamH−ATG−F(配列番号51)、BamH−GAS−F(配列番号52)、BamH−YOR−F(配列番号53)、BamH−OST−F(配列番号54)、BamH−UTH−F(配列番号55)と共通のアンチセスプライマーであるIL2−TGA−R(配列番号56)を用いてプラスミドpYHTS−TFP9、pYHTS−TFP13、pYHTS−TFP17、pYHTS−TFP18、pYHTS−TFP19、pYHTS−TFP20、pYHTS−TFP21、pYHTS−TFP25、およびpYHTS−TFP27からそれぞれPCRを行った。9個のPCR増幅断片をそれぞれBamHIおよびSalIで処理し、アガロースゲル電気泳動を行った。また、センスプライマーSac−GAL−F(配列番号57)およびアンチセンスプライマーGAL−BamH−R(配列番号58)を用いてYEGα−HIR525からPCRを行ってGALプロモーターを増幅した(Sohn et al., Process Biochem. 30:653(1995))。SacI−BamHI処理されたGALプロモーターおよびBamHI−SalI処理された9個の断片をSacI−Sal処理されたYEGα−HIR525に共に連結させ、その結果得られたプラスミドをそれぞれpYGT9−IL2(図15A)、pYGT13−IL2(図15B)、pYGT17−IL2(図15C)、pYGT18−IL2(図16A)、pYGT19−IL2(図16B)、pYGT20−IL2(図16C)、pYGT21−IL2(図17A)、pYGT25−IL2(図17B)、およびpYGT27−IL2(図17C)と命名した。ヒトIL2発現ベクターであるpYGT9−IL2(大腸菌DH5α/pYGT9−IL2、図15A)およびpYGT17−IL2(大腸菌DH5α/pYGT17−IL2、図15C)は、それぞれ国際寄託機関である韓国大田市儒城区魚慇洞52番地所在のKCTC(Korean Collection for Type Cultures)に2005年7月21日付でそれぞれ受託番号KCTC10828BPおよびKCTC10829BPで寄託した。製造された各ベクターは、塩基配列分析によってTFPおよびIL−2遺伝子がインフレームにて適切に連結されたことを確認し、それぞれをサッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に形質転換させ、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lのアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で3日培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコースおよび1%ガラクトース)に接種し、30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。凍結乾燥したペレットを1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁させ、12%SDS−PAGE分析を行った。ゲルをゲル染色試薬(PhastGel Blue R、Pharmacia Biotech、米国)で染色した。その結果、図18に示すように、ヒトインターロイキン−2の分泌度合いは、TFPの種類によって相当な差異を示したが、いずれもヒトインターロイキン−2を培養培地に分泌することができた。TFP1−ヒトIL2遺伝子を含むプラスミドpYIL−KRT1−4(WO2005/068658)が対照群として使用された。TFP9、13、21および27はヒトIL2に非常に有用に使用できることが分かった(図18)。
【0097】
<実施例12>タンパク質融合因子ライブラリーからヒトインターロイキン−32分泌のために選別された新規のタンパク質融合因子
本発明の方法を用いて目標タンパク質に対する最適のTFPを確認するために、一例として、難分泌タンパク質である新規のヒトサイトカインとしてのインターロイキン−32α(IL−32α)(Kim et al., Immunity 22:131, 2005)を対象としてIL−32αを分泌生産することが可能なタンパク質融合因子を発掘した。実施例8の方法通りにPCRを行ってヒトIL−32α遺伝子および500bpのSUC2N末端断片を含む挿入断片を増幅した(図11)。すなわち、PCRは、センスプライマーKR−IL32α−F(配列番号59)およびアンチセンスプライマーIL32α−INV−R(配列番号60)を用いてpProExHTa−IL32α(DY Yoon、建国大学校)を鋳型として行った。また、センスプライマーKR−Inv−F(配列番号21)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、YGaINVから、IL2遺伝子の3’末端に融合されたSUC2N末端断片をそれぞれPCR増幅させた(図6)。そして、センスプライマーLNK40(配列番号23)とアンチセンスプライマーInv500−R(配列番号22)を用いて、前記PCRで増幅された2つのDNA断片に対して2番目のPCRを行った。前述した方法によって得られた挿入断片は、Kex2p認識配列(Leu−Asp−Lys−Arg(配列番号214))を含む40個のヌクレオチドリンカーDNA、IL−32α、追加的なKex2p認識配列、インベルターゼのN末端断片が順次連結されている。前記挿入断片を、実施例7で製作したSwaIで処理されたTFPライブラリーベクターと共に酵母サッカロミセスセレビシエY805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に同時形質転換させた後(図11)、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンイマイシンAおよび2%寒天)に塗抹し、30℃で5日間培養した。UD培地では約2×104個の形質転換体が形成されたが、YPSGA培地では約250余個の形質転換体が形成された。YPSGA培地で無作為的に選別した38個の形質転換体をYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコースおよび1%ガラクトース)にそれぞれ接種し、30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った(図19)。形質転換体の大部分は約20kDaのタンパク質バンドでヒトIL−32αを分泌することができた。そのうち、IL−32α分泌能に優れた17個の形質転換体を選別し、挿入されているTFPの塩基配列を分析した。このために、各形質転換体をYPD培地で培養し、全体DNAを分離し、これを大腸菌DH5αに再び形質転換させた。形質転換された大腸菌は、アンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に塗抹した後、37℃で一日培養した。各大腸菌形質転換体からプラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。各プラスミド配列を分析するために、GAL10プロモーターに結合するGAL100−F(配列番号12)プライマーを使用した。塩基配列はGenotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、CA、米国)を用いて分析した。塩基配列はサッカロミセスゲノムデータベース( HYPERLINK "http://www.yeastgenome.org" www.yeastgenome.org)のBLAST検索によって分析した。その結果、17種の選別された酵母菌株から分離されたプラスミドから9個の新規TFPが確認された。分離されたプラスミドは、それぞれpYHTS−IL32−TFP3、pYHTS−IL32−TFP11、pYHTS−IL32−TFP13、pYHTS−IL32−TFP21、pYHTS−IL32−TFP22、pYHTS−IL32−TFP25、pYHTS−IL32−TFP29、pYHTS−IL32−TFP34、およびpYHTS−IL32−TFP38と命名した。このうち、TFP3、TFP13、TFP21およびTFP25はヒトIL2(WO2005/068658)に対する最適のTFPとして既に確保されたものであり、実施例10(表1)に示されている。IL32αに対する5個の新規TFPを表2に示した。
【0098】
【表2】
【0099】
<実施例13>選別されたタンパク質融合因子を用いたヒトインターロイキン−32αの分泌確認
選別されたタンパク質融合因子を用いて酵母においてヒトインターロイキン−32αの分泌活性を直接確認するために、PCRを用いて、実施例12で選別したプラスミドから各TFPの5’−UTRおよびSUC2を除去した。6個のセンスプライマーであるBamH−CIS−F(配列番号71)、BamH−SED−F(配列番号72)、BamH−SIM−F(配列番号73)、BamH−YOR247W−F(配列番号74)、BamH−HSP−F(配列番号75)、BamH−OST−F(配列番号76)、および共通のアンチセスプライマーであるIL32−TGA−R(配列番号77)を用いてプラスミドpYHTS−IL32−TFP3、pYHTS−IL32−TFP11、pYHTS−IL32−TFP13、pYHTS−IL32−TFP21、pYHTS−IL32−TFP22、およびpYHTS−IL32−TFP25からそれぞれPCRを行った。6個のPCR増幅断片にBamHIおよびSalIを処理し、アガロースゲル電気泳動を行った。また、センスプライマーSac−GAL−F(配列番号57)およびアンチセンスプライマーGAL−BamH−R(配列番号58)を用いてYEGα−HIR525からPCRを行ってGALプロモーターを増幅した(Sohn et al., Proess Biochem. 30:653(1995))。SacI−BamHI処理されたGALプロモーターおよびBamHI−SalI処理された6個の断片をSacI−SalI処理されたYEGα−HIR525に共に連結させ、その結果得られたプラスミドをそれぞれpYGT3−IL32α、pYGT11−IL32α、pYGT13−IL32α、pYGT21−IL32α、pYGT22−IL32α、およびpYGT25−IL32αと命名した。製造された各ベクターは、塩基配列分析によってTFPおよびIL32α遺伝子がインフレームにて適切に連結されたことを確認し、それぞれをサッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に形質転換させ、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lのアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)に塗抹し、30℃で3日培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコースおよび1%ガラクトース)に接種し、30℃で40時間培養した。培養上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。これを−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁させ、12%SDS−PAGE分析を行った(図20)。ゲルはゲル染色試薬(PhastGel Blue R、Pharmacia Biotech、米国)で染色した。分泌されたIL32αは、IL32αの単一クローン抗体を用いたウエストンブロットによって詳細に分析した。CAPバッファ(2.2g per liter CAPS、MeOH10%、NaOHで調節したpH11)を含むsmall tank transfer kit(Hoefer、米国)を用いて、タンパク質を300mAで90分間PVDF膜(Millipore、米国)に移した後、ヒトIL32α抗体で探知した(DY Yoon、建国大学校)。タンパク質を含むPVDF膜を、5%脱脂乳を含有するPBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、10mM Na2HPO4、2mM KH2PO4、HClで調節したpH7.4)内で4℃で一晩放置した。その後、0.05%Tween−20を含有するPBSで3回洗浄し、34%脱脂乳を含有するPBSで希釈した1次抗体と共に常温で1時間培養した。膜を3回洗浄した後、3%脱脂乳を含有するPBSで希釈した抗マウス2次抗体(Sigma Chemical Co.,米国)と共に常温で1時間追加培養した。さらに膜を3回洗浄した後、Sigma Fast NBT/BCIP(Sigma Chemical Co.,米国)を用いて発色反応した。その結果、図20に示すように、選別された全てのTFPがヒトIL32αを培養培地に分泌することができることを確認した。これらの中でもTFP3、13、21および22がヒトIL32αの分泌に適することが分かった。
【0100】
<実施例14>流加培養式発酵によるヒトIL32αの生産
ヒトIL32αの分泌生産性を確認するために、pYGT3−IL32αで形質転換させた組み換え酵母菌株を5Lの発酵槽で流加培養した。200mLの種培養を1Lフラスコの最小培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.5%カザミノ酸および2%グルコース)で行い、これを初期発酵培地(4%酵母抽出液、1%ペプトンおよび2%グルコース)に接種して細胞濃度がOD600を基準として約15になるまで培養した後、細胞生長速度に応じて流加培養式培地(15%酵母抽出液、30%グルコース)を追加供給した。細胞濃度がOD600を基準として約130に到達した後、ガラクトース(30%ガラスクトース)を細胞生長速度に応じて適切な割合で供給した。培養72時間経過後、細胞濃度がOD600を基準として約220に到達した(図21A)。培養時間別に取った試料約15μLの培地をSDS−PAGE分析し、分泌されたタンパク質の量を評価した。BCAタンパク質分析試薬(Pierce、米国)およびデンシトメータ(Densitometer)を用いて測定した結果、300mg/L以上のhIL32αが培地に分泌されることを確認した。
【0101】
<実施例15>酵母ゲノムデータのBALST検索による新規TFPの発掘
発掘されたTFP配列を基にして酵母ゲノムから新規TFPを選別するために、選別された18個(WO2005/068658から4個、実施例10から9個、および実施例12から5個)のTFPのpre−分泌シグナルのアミノ酸配列をサッカロミセスゲノムデータベースのBLAST検索のためのQuery配列として使用した(www.yeastgenome.org)。BALSTP検索において低い予想境界値(100または1000)を用いて、70%以上の相同性を有する数百個のORFを確認した。そのうち、N末端に近い配列相同性を有するORFを選別し、SignalP(www.cbs.dtu.dk/services/SignalP-2.0/)分析によって、選別シグナルを持つORFを選別した。その結果、18個のORFをTFP候補として選別した。18個の選別されたORFは、YGR279C(SCW4、細胞壁タンパク質)、YLR037C(DAN2、細胞壁マンノタンパク質)、YLR110C(CCW12、細胞壁タンパク質)、YOR383C(FIT3、細胞壁マンノタンパク質)、YIL011W(TIR3、細胞壁マンノタンパク質)、YHR214W(潜在的な膜タンパク質)、YNL160W(YGPl、細胞壁関連分泌糖タンパク質)、YGR296C−A(dubiousオープンリーディングフレーム)、YOL154W(ZPSl、潜在的なGPIアンカータンパク質)、YPL187W(MFα、交配フェロモンアルファ因子)、YHR214W(潜在的な膜タンパク質)、YKR013W(PRY2、機能が知られていないタンパク質)、YHR139C(SPS100、胞子壁突然変異に必要なタンパク質)、YIL169C(機能が知られていない潜在的なタンパク質)、YOL155C(特定されていないORF)、YMR325W(PAU19、仮想タンパク質)、YDR134W(仮想タンパク質)およびYLR300W(EXGl、細胞壁エキソ−1,3−β−グルカナーゼ)である。各ORFは、PCRプライマー対である、YGR279Cに対するYGR279C−F(配列番号92)およびYGR279C−R(配列番号93)、YLR037Cに対するYLR037C−F(配列番号94)およびYLR037C−R(配列番号95)、YLR110Cに対するYLR110C−F(配列番号96)およびYLR110C−R(配列番号97)、YOR383Cに対するYOR383C−F(配列番号98)およびYOR383C−R(配列番号99)、YIL011Wに対するYIL011W−F(配列番号100)およびYIL011W−R(配列番号101)、YHR214Wに対するYHR214W−F(配列番号102)およびYHR214W−R(配列番号103)、YNL160Wに対するYNL160W−F(配列番号104)およびYNL160W−R(配列番号105)、YGR296C−Aに対するYGR296C−A−F(配列番号106)およびYGR296C−A−R(配列番号107)、YOL154Wに対するYOL154W−F(配列番号108)およびYOL154W−R(配列番号109)、YPL187Wに対するYPL187W−F(配列番号110)およびYPL187W−R(配列番号111)、YHR214Wに対するYHR214W−F(配列番号112)およびYHR214W−R(配列番号113)、YKR013Wに対するYKR013W−F(配列番号114)およびYKR013W−R(配列番号115)、YHR139Cに対するYHR139C−F(配列番号116)およびYHR139C−R(配列番号117)、YIL169Cに対するYIL169C−F(配列番号118)およびYIL169C−R(配列番号119)、YOL155Cに対するYOL155C−F(配列番号120)およびYOL155C−R(配列番号121)、YMR325Wに対するYMR325W−F(配列番号122)およびYMR325W−R(配列番号123)、YDR134Wに対するYDR134W−F(配列番号124)およびYDR134W−R(配列番号125)、およびYLR300Wに対するYLR300W−F(配列番号126)およびYLR300W−R(配列番号127)をそれぞれ用いてサッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)から増幅した。PCRは、Pfu重合酵素(Stratagene、米国)を使用し、94℃で3分間1回;94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で2分間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。各増幅されたPCR断片は、Genotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、CA、米国)を用いて分析した。18個のORFからTFPを発掘するために、図24に示すように、PCR断片混合物の単方向欠失を行った後、これをYGadV45ベクターに導入した(図24)。単一鎖鋳型は、プライマーSfiA−F(配列番号128)を用いて、18ORFからなる鋳型から単方向PCRによって得た。PCRは、ExTaq(Takara Korea、韓国)を使用し、94℃で3分間1回;94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で2分間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。PCR精製キット(Bioneer、韓国)を用いて、単一鎖DNAを含むPCR産物を精製し、大腸菌DNA重合酵素I(NEB、England)およびランダムヘキサメリックプライマーASA24N6(配列番号16)を用いて二重鎖DNAを作った。鋳型DNA20μLを含む反応混合物、ASA24N6プライマー1μL、10×大腸菌DNA重合酵素Iバッファ3μL、2.5mM dNTP5μL、および大腸菌DNA重合酵素I1μLを37℃で1時間培養した。PCR精製キット(Bioneer、韓国)を用いてDNAをカラム精製し、プライマーSfiA−F(配列番号128)およびASA24(配列番号17)を用いてPCR増幅した。増幅したDNAはさらにカラム精製し、SfiIで処理した後、アガロースゲル電気泳動した。SfiI処理したDNA0.5〜1.0kbを、不活性インベルターゼ遺伝子(dSUC2)を含むSfiI処理したYGadV45に挿入した後、大腸菌DH5αに形質転換させた。形質転換された大腸菌をアンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、アンピシリン50μg/mL)に塗抹した後、37℃で一日培養した。約1×104個の大腸菌コロニーを滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から、YGadV45の18ORFの単方向欠失したDNA断片ライブラリーを含む全体プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。18ORFの単方向欠失したDNA断片ライブラリーから適切なTFPを選別するために、ヒトインターロイキン−2(hIL2)をコードする遺伝子をライブラリーとdSUC2との間に挿入した。hIL2遺伝子および500bpのSUC2N末端断片を含む挿入断片を、実施例8で記述したPCR方法によって増幅した。前記挿入断片を、18ORFの単方向欠失したDNA断片ライブラリーを含むSwaIで処理されたベクターと共に酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 SUC2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に同時形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で5日間培養した。UD培地では約2×104個の形質転換体が形成されたが、YPSGA培地では数百個の形質転換体のみが形成された。YPSGA培地で無作為的に選別した29個の形質転換体をYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)で30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った(図25)。その結果から分かるように、多数の形質転換体がhIL2を培養培地に分泌した。各大腸菌形質転換体からプラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。各TFP配列を分析するために、GAL10プロモーターに結合するプライマーGAL100−F(配列番号12)を、TFPを含む全体プラスミドのシーケンシングプライマーとして使用した。塩基配列は、Genotech社 (大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、Ca、米国)を用いて分析した。塩基配列をサッカロミセスゲノムデータベース( HYPERLINK "http://www.yeastgenome.org" www.yeastgenome.org)のBLAST検索によって分析した。その結果、hIL2を分泌する12種の形質転換体から分離されたプラスミドから6個の新規TFPが確認された。分離されたプラスミドは、それぞれpYIL−TFP39、pYIL−TFP43、pYIL−TFP44、pYIL−TFP48、pYIL−TFP52、およびpYIL−TFP54と命名し、6個の新規TFPを表3に示した。
【0102】
【表3】
【0103】
<実施例16>単方向欠失による核心−TFPの変形
実施例10および実施例11でIL−2およびIL−32αを用いて選別した14個のTFP(核心TFP)およびWO2005/068658で既に確認された3つのTFPの効用性を多様化するために、17個のゲノム由来のORF、TFP−1に対するYAR066W、TFP−2に対するYFR026C、TFP3に対するYJL158C、TFP−9に対するYGR106C、TFP−11に対するYDR077W、TFP13に対するYIL123W、TFP−17に対するYNL190W、TFP18に対するYBR078W、TFP−19に対するYJL178C、TFP−20に対するYMR307W、TFP−21に対するYOR247W、TFP−22に対するYJL159W、TFP−25に対するYOR085W、TFP−27に対するYKR042W、TFP29に対するYEL060C、TFP−34に対するYLR390W−A、およびTFP−38に対するYMR251W−AをPCRを用いて増幅し、実施例15に記述した通りに単方向欠失させた。各ORFをPCRプライマー対である、YAR066Wに対するYAR066W−F(配列番号141)およびYAR066W−R(配列番号142)、YFR026Cに対するYFR026C−F(配列番号143)およびYFR026C−R(配列番号144)、YJL158Cに対するYJL158C−F(配列番号145)およびYJL158C−R(配列番号146)、YGR106Cに対するYGR106C−F(配列番号147)およびYGR106C−R(配列番号148)、YDR077Wに対するYDR077W−F(配列番号149)およびYDR077W−R(配列番号150)、YIL123Wに対するYIL123W−F(配列番号151)およびYIL123W−R(配列番号152)、YNL190Wに対するYNL190W−F(配列番号153)およびYNL190W−R(配列番号154)、YBR078Wに対するYBR078W−F(配列番号155)およびYBR078W−R(配列番号156)、YJL178Cに対するYJL178C−F(配列番号157)およびYJL178C−R(配列番号158)、YMR307Wに対するYMR307W−F(配列番号159)およびYMR307W−R(配列番号160)、YOR247Wに対するYOR247W−F(配列番号161)およびYOR247W−R(配列番号162)、YJL159Wに対するYJL159W−F(配列番号163)およびYJL15W−R(配列番号164)、YOR085Wに対するYOR085W−F(配列番号165)およびYOR085W−R(配列番号166)、YKR042Wに対するYKR042W−F(配列番号167)およびYKR042W−R(配列番号168)、YEL060Cに対するYEL060C−F(配列番号169)およびYEL060C−R(配列番号170)、YLR390W−Aに対するYLR390W−A−F(配列番号171)およびYLR390W−A−R(配列番号172)、YMR251W−Aに対するYMR251W−A−F(配列番号173)およびYMR251W−A−R(配列番号174)を用いてS.cerevisiae Y2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)のゲノム性DNAから増幅した。PCRは、Pfu重合酵素(Stratagene、米国)を使用し、94℃で3分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃2分間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。各増幅されたPCR断片の塩基配列は、Genotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、CA、米国)を用いて確認した。
17個の核心TFPを含む17個のORFの中から追加的なTFPを選別するために、17PCR断片混合物の単方向欠失を行い、YGadV45を用いてTFPライブラリーを製造した(図24)。単一鎖鋳型は、プライマーSfiA−F(配列番号128)を用いて、17個のORFからなる鋳型から単方向PCRによって得た。PCRは、ExTaq(Takara Krea、韓国)を使用し、94℃で3分間1回;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃2分間の反応を25回;72℃で7分間1回の条件にして行った。PCR精製キット(Bioneer、韓国)を用いて、単一鎖DNAを含むPCR産物を精製し、大腸菌DNA酵素I(NEB、England)およびランダムヘキサメリックプライマーASA24N6(配列番号16)を用いて二重鎖DNAを作った。鋳型DNA20μLを含む反応混合物、ASA24N6プライマー1μL、10×大腸菌DNA重合酵素Iバッファ3μL、2.5mM dNTP5μL、および大腸菌DNA重合酵素I1μLを37℃で1時間培養した。PCR精製キット(Bioneer、韓国)を用いてDNAをカラム精製し、プライマーSfiA−F(配列番号128)およびASA24(配列番号17)を用いてPCR増幅した。増幅したDNAはさらにカラム精製し、SfiIで処理した後、アガロースゲル電気泳動した。SfiI処理したDNA0.5〜1.0kbを、不活性インベルターゼ遺伝子(dSUC2)を含むSfiI処理したYGadV45に挿入した後、大腸菌DH5αに形質転換させた。形質転換された大腸菌をアンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、アンピシリン50μg/mL)に塗抹した後、37℃で一日培養した。約1×104個の大腸菌コロニーを滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から、17個のORFの単方向欠失したDNA断片ライブラリーを含むYGadV45プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。17個のORFからの単方向欠失したDNAライブラリーと、実施例15で製造された18個のORFから製造されたDNAライブラリーとを混合したDNAライブラリーを製造した。
【0104】
混合されたDNA断片ライブラリーから適切なTFPを選別するために、ヒトインターロイキン−2(hIL2)をコードする遺伝子をDNAライブラリーとdSUC2との間に挿入した。hIL2遺伝子および500bpのSUC2N末端断片を含む挿入断片を、実施例8で記述したPCR方法によって増幅した(図11)。前記挿入断片を、35ORFの単方向欠失したDNA断片ライブラリーを含むSwaIで処理されたベクターと共に酵母サッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 SUC2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に同時形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で5日間培養した。UD培地では約2×104個の形質転換体が形成されたが、YPSGA培地では数百個の形質転換体のみが形成された。YPSGA培地で無作為的に選別した24個の形質転換体をYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)に接種して30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った(図26)。多数の形質転換体がそれぞれ異なる量でhIL2を培養培地に分泌した。hIL2を分泌する各形質転換体から全体DNAを分離し、これを大腸菌DH5αにさらに形質転換した。各大腸菌形質転換体からプラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。各TFP配列を分析するために、GAL10プロモーターに結合するプライマーGAL100−F(配列番号12)を、TFPを含む全体プラスミドのシーケンシングプライマーとして使用した。塩基配列は、Genotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377l;PE Biosystems、Foster City、Ca、米国)を用いて分析した。塩基配列は、サッカロミセスゲノムデータベース( HYPERLINK "http://www.yeastgenome.org" www.yeastgenome.org)のBLAST検索によって分析した。その結果、hIL2を分泌する18種の形質転換体から分離されたプラスミドから6個の新規TFPが確認された。分離されたプラスミドは、それぞれpYIL−TFP40、pYIL−TFP50、pYIL−TFP51、pYIL−TFP57、pYIL−TFP58、およびpYIL−TFP59と命名し、6個の新規TFPを表4に示した。
【0105】
【表4】
【0106】
<実施例17>核心TFPのプリおよびプロシグナル配列の交換を用いた人工TFPの製造
酵母において多様な組み換えタンパク質の分泌のために酵母交配因子アルファ(MFα)遺伝子由来の分泌シグナルが広く使用されている(Romanos et al., Yeast 8:423(1992))。MFα分泌シグナルは、19個のアミノ酸のプリシグナルと66個のアミノ酸からなるプロシグナルを含む。プロシグナルの機能は、明確に解明されてはいないが、正確なフォールディングを助けて幾つかのタンパク質の分泌に必須的なものと知られており、多くの組み換えタンパク質の分泌に活用されている(Chaudhuri et al., Eur. J. Biochem. 206:193(1992))。本発明では、2つの分泌融合因子TFP−3およびTFP−22がプリ−プロタイプと確認された。本発明で選別されたTFPの有用性を拡大するために、相異なる由来のプリおよびプロシグナルを持つ人為的なTFPを製作した。TFP−1、2、3、および4のプリシグナルおよび交配因子アルファの一般なプロシグナルを用いて4つの人為的なTFPを製造し、それぞれTFP−5、6、7および8と命名した。4つの相異なるプリシグナルおよび共通のプロシグナルを融合させるために、オーバーラップエクステンションPCRを行った。
【0107】
プライマー対である、T1−F(配列番号187)およびT1−R(配列番号188)、T2−F(配列番号189)およびT2−R(配列番号190)、T3−F(配列番号191)およびT3−R(配列番号192)、T4−F(配列番号193)およびT4−R(配列番号194)をそれぞれ用いてプラスミドpYIL−KRTFP1、2、3および4(WO2005/068658)から4つのTFPの4つの相異なるプリシグナルをPCR増幅した。また、プライマーMF−Pro−F(配列番号195)およびMF−R(配列番号196)を用いてプラスミドYEGα−HIR525から約190bpの交配因子アルファプロシグナルをPCR増幅した。そして、センスプライマーとしてT1−F(配列番号187)、T2−F(配列番号189)、T3−F(配列番号191)およびT4−F(配列番号193)、および共通のアンチセンスプライマーMF−R(配列番号196)を用いて前記のDNA断片、すなわち4つのプリシグナルおよび共通の交配因子アルファプロシグナルの4つのグループから4つの相異なるプリおよびプロシグナルをPCR増幅した。各人為的プリおよびプロシグナル配列と交配因子アルファのプリおよびプロシグナルの効率性を比較するために、プライマーMF−Pre−F(配列番号197)およびMF−R(配列番号196)を用いてYEGα−HIR525から交配因子アルファのプリおよびプロシグナルをPCR増幅した。
【0108】
5つのプリおよびプロシグナル配列の効果を確認するために、目的タンパク質であるヒトインスリン様成長因子(hIGF)を使用した。交配因子アルファのプロシグナルはヒトインスリン様成長因子の効果的な分泌のために必須的であると報告されている(Cliaudhuri et al, Eur. J. Biochem. 206:793 (1992)) 。hIGF遺伝子をプライマーKR−IGF−F(配列番号198)およびIGF−R(配列番号199)を用いてヒトcDNAライブラリーからPCR増幅し(ES Choi、 Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology、韓国)、LNK40(配列番号23)およびIGF−R(配列番号199)を用いて2番目のPCRを行った。センスプライマーとしてT1−F(配列番号187)、T2−F(配列番号189)、T3−F(配列番号191)、T4−F(配列番号193)、MF−Pre−F(配列番号197)および共通のアンチセンスプライマーとしてIGF−R(配列番号199)を用いて、IFGを含むDNA断片を、プリおよびプロシグナルを含む既に増幅された5個のPCR断片に融合させた。全ての融合されたPCR断片は、SfiIおよびSalIで処理し、SfiI−SalIで処理されたベクターYGa1INV内に挿入し(図6)、その結果生成されたプラスミドをそれぞれpYGa−T1α−IGF、pYGa−T2α−IGF、pYGa−T3α−IGF、pYGa−T4α−IGFおよびpYGa−MFα−IGFと命名した。5つのプラスミドをサッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 SUC2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹した。各形質転換体の単一コロニーを分離してYPDG(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)で30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間培養した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った。選別されたIGFはhIGFに対する抗体を用いてウエスタンブロットで追加分析した。分析された全てのプリおよびプロ分泌シグナルは、それぞれ異なる量でhIGFを培養培地に分泌した。5個のプリおよびプロシグナルの中で、T3α(TFP−3からのプリシグナルおよびMFαからのプロシグナル)およびT4α(TFP−4からのプリシグナルおよびMFαからのプロシグナル)がhIGF分泌に効果的であった。4つの人為的なTFPおよび新規のTFPを表5に示した。
【0109】
【表5】
【0110】
<実施例18>多数の目的遺伝子に適用可能な細胞内組み換え用TFPベクターの製造
本発明で選別された35個のTFP(核心TFP、すなわちWO2005/068658に記述された4個のTFP、実施例10および実施例11に記述されたヒトIL2およびIL32αを用いて選別された14個のTFP、実施例15でBALST検索によって選別されたORFからの6個のTFP、実施例16で選別された6個のTFP、実施例17で製造された5個の人工TFP)は、本発明で使用した目標タンパク質以外の他の目標タンパク質の分泌にも有用に使用できる。したがって、このようなベクターを多くの目的遺伝子に容易に適用させるために、選別された核心TFPベクターを、目的タンパク質遺伝子との細胞内組み換えが容易であるように製造した。プラスミドYGaSWを製造するために、プライマーGAL100−F(配列番号12)およびH77−1−R(配列番号78)を用いてYGadV45からEcoRI、2SfiI、NotI、Kex2認識部位を含むリンカーDNA、SwaIおよびSalI部位を含む170bp断片をPCR増幅した(図10)。EcoRI−SalI処理されたPCR断片をEcoRI−SalI処理されたYGadV45内に挿入して製造されたプラスミドをYGaSWと命名した。プラスミドYGaSWは、EcoRI、SfiI、NotI、40bpのリンカーおよびGAL10プロモーターとGAL7ターミネータとの間にSwaIおよびSalI制限部位を持っている。35個の核心TFは、各TFPを含むプラスミドにSfiを処理して得た。各核心TFPは、ゲル精製し、SfiI処理されたYGaSW内に挿入した後、YGaSW−TFP1、YGaSW−TFP2、YGaSW−TFP3、YGaSW−TFP4、YGaSW−TFP5、YGaSW−TFP6、YGaSW−TFP7、YGaSW−TFP8、YGaSW−TFP9、YGaSW−TFP11、YGaSW−TFP13、YGaSW−TFP17、YGaSW−TFP18、YGaSW−TFP19、YGaSW−TFP20、YGaSW−TFP21、YGaSW−TFP22、YGaSW−TFP25、YGaSW−TFP27、YGaSW−TFP29、YGaSW−TFP32、YGaSW−TFP34、YGaSW−TFP38、YGaSW−TFP39、YGaSW−TFP40、YGaSW−TFP43、YGaSW−TFP44、YGaSW−TFP48、YGaSW−TFP50、YGaSW−TFP51、YGaSW−TFP52、YGaSW−TFP54、YGaSW−TFP57、YGaSW−TFP58、およびYGaSW−TFP59と命名された35個のプラスミドを得た。
【0111】
<実施例19>ヒト成長ホルモンを活用した核心TFPの効率性分析
本発明で選別された核心TFPをヒト成長ホルモン(hGH)の分泌にも使用することができか追加実験を行った。ヒト成長ホルモンをプライマーhGH−F(配列番号79)およびhGH−R(配列番号80)を用いてヒトcDNAライブラリー(ES Choi、 Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology、韓国)から増幅し、pST−Blue1(Novagen、米国)にクローニングしてプラスミドpST−hGHを製造した。また、プライマーKR−hGH−F(配列番号81)およびhGH−Sal−R(配列番号82)を用いてpST−hGHから2番目のPCRを行った。実施例18で製造したYGaSW−TFPベクターに相同配列を付加するために、hGH遺伝子を含むPCR産物は、プライマーLNK40(配列番号23)およびGT70−R(配列番号83)を用いて3番目のPCRを行った。増幅されたPCR断片は、SwaI処理されたYGaSW−TFPベクターと2:1の割合で混ぜた後、細胞内組み換えによって酵母サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)で30℃で3日間培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)に接種して30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間放置した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させた後、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った。図22に示すように、大部分のTFPはヒト成長ホルモンを培養培地に分泌した。これらのうち、pYGT21−hGH菌株を選別し、流加式発酵培養を介して最終分泌率を実験した。培養時間別に10μLの上清液に対してSDS−PAGE分析を実施した結果(図23)、約500mg/Lのヒト成長ホルモンが培養培地に分泌されることを確認することができた。
【0112】
<実施例20>ヒトカスパーゼ−1サブユニットP10を用いた核心TFPの効率性分析
本発明で選別された核心TFPをヒトカスパーゼ−1サブユニットP10(hP10)の分泌にも使用することができるか追加実験を行った。ヒトhP10遺伝子をプライマーKR−hP10−F(配列番号210)およびhP10−Sal−R(配列番号211)を用いてヒトcDNAライブラリー(ES Choi、 Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology、韓国)から増幅した。また、実施例18で製造したYGaSW−TFPベクターに相同配列を付加するために、hP10遺伝子を含むPCR産物は、プライマーLNK40(配列番号23)およびGT70−R(配列番号83)を用いて2番目のPCRを行った。増幅されたPCR断片は、SwaI処理されたYGaSW−TFPベクターと2:1の割合で混ぜた後、細胞内組み換えによって酵母サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)で30℃で3日間培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)に接種して30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間培養した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させ、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った。図28に示すように、プリ−プロシグナルを含む4つの人工TFPのみがhP10を培養培地に分泌した。hIGFの場合での如く、ヒトカスパーゼ−1サブユニットP10の場合にも、酵母での適切な分泌のためにはプロシグナルが必要であることが分かった。
【0113】
<実施例21>ヒトインターロイキン−32γを用いた核心TFPの効率性分析
本発明で選別された核心TFPをヒトインターロイキン−32γ(hIL32γ)の分泌にも使用することができか追加実験を行った。ヒトインターロイキン−32のスプライシング変形体であるヒトインターロイキン−32γをコードする遺伝子をプライマーKR−hIL32g−F(配列番号212)およびhIL32g−Sal−R(配列番号213)を用いてpGMT−IL32γ(DY Yoon、建国大学校)から増幅した。また、実施例18で製造したYGaSW−TFPベクターに相同配列を付加するために、hIL32γ遺伝子を含むPCR産物は、プライマーLNK40(配列番号23)およびGT70−R(配列番号83)を用いて2番目のPCRを行った。増幅されたPCR断片は、SwaI処理されたYGaSW−TFPベクターと2:1の割合で混ぜた後、細胞内組み換えによって酵母サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)で30℃で3日間培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコスおよび1%ガラクトース)に接種して30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間培養した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させ、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った。確認したTFPのうち、TFP3およびTFP27がhIL32γの分泌に効果的であることを確認した(図29)。
【0114】
<実施例22>酵母ピキアパストリス由来のTFPライブラリー
本発明のTFP選別方法は、別の生物体由来のゲノム性またはcDNAライブラリーにも適用できる。その例として、酵母ピキアパストリスに対して実験してみた。cDNAライブラリーを製造するために、ピキアパストリスGS115(Invitrogen、米国)から全体RNAを分離した。酵母をYPD培地(2%酵母抽出物、1%バクトペプトン、2%グルコース)で対数期まで培養した菌株を回収した後、Elionなどの方法(Elion et al., cell, 1984, 39:663)によって全体RNAを回収した。Oligotex mRNAミニキット(Qiagen社、ドイツ)を用いて全体RNAからpoly(A)+mRNAのみを回収し、SMART cDNA合成キット(BD Bioscience、米国)を用いてmRNAからcDNAを製造した。mRNAから第1鎖DNAを合成するとき、キットに含まれたプライマーを使用せず、特に設計されたプライマーASA24N6(配列番号16)を使用した。プライマーASA4N6は、無作為的な6つの塩基を持っているため、mRNAのいずれの部位でも無作為的に結合することができ、このような方法で増幅された第1鎖cDNAの大部分は酵母遺伝子のN末端の一部をコードする5’部分配列を含む。5’部分配列を持つ第1鎖cDNAライブラリーを鋳型としてSMARTキット(BD Bioscience、米国)に含まれた5’PCRプライマーとASA24(配列番号17)プライマーを用いて2鎖cDNAを増幅した。PCR産物は、両末端にSfiI部位を含むcDNAの5’部分切片を多数含む。この際、使用した増幅条件は、キットで提示する条件(95℃で20秒間1回;95℃で30秒間、68℃で6分間20回)であった。増幅されたcDNAは、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)溶液で抽出した後、0.1体積の3M酢酸ナトリウム(pH5.0)と2体積のエタノールを添加して沈殿する方法で回収した。cDNAを制限酵素SfiIで50℃で2時間処理した後、アガロースゲルで電気泳動し、0.5〜1kbサイズの断片をアガロースゲル抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて回収した。回収したcDNAをSfiIで処理したYGaINVベクター(図6)と連結した後、大腸菌DH5αに形質転換させ、アンピシリンの含まれたLB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、アンピシリン50μg/mL)に塗抹した後、37℃で一日培養した。約4×104個のコロニーを滅菌蒸留水を用いて回収し、回収された菌体から、SUC2遺伝子と融合されたランダムプライマー製造cDNAを含む全体プラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。P.pastorisから、インベルターゼを分泌するTFPライブラリーを選別するために、ライブラリーDNAをサッカロミセスセレビシエY2805Δgal1Δsuc2(Mat a ura3 suc2::Tc190 pep4::HIS3 gal1 can1)に酢酸リチウム法(Hill et al., Nucleic Acids Res. 19:5191(1991))に形質転換させた後、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)とYPSGA培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%スクロース、0.3%ガラクトース、1μg/mLアンチマイシンAおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で4〜6日間培養した。cDNAライブラリーから約1000個の形質転換体が生成された。YPSGA培地から無作為的に5個の形質転換体を選別し、ガラス玉を用いて細胞を破砕し、エタノールでDNAを沈殿させて、プラスミドを含む全てのDNAを形質転換体から分離した。分離されたDNAを大腸菌DH5αにさらに形質転換し、形質転換された大腸菌をアンピシリン含有LB培地(1%バクトペプトン、0.5%酵母抽出液、1%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に塗抹した後、37℃で一日培養した。各大腸菌形質転換体からプラスミドをプラスミド抽出キット(Bioneer、韓国)を用いて分離した。P.pastorisのcDNAから得られた各TFPの配列を分析するために、GAL10プロモーターに結合するプライマーGAL100−F(配列番号12)を、TFPを含む全体プラスミドのシーケンシングプライマーとして使用した。塩基配列は、Genotech社(大田、韓国)の自動塩基配列分析器(ABI Prism 377;PE Biosystems、Foster City、CA、米国)を用いて分析した。塩基配列は、国立生命工学情報センター(NCBI、National Center for Biotechnology information)配列データベース( HYPERLINK "http://www.ncbi.nlm.nih.gov" www.ncbi.nlm.nih.gov)のBALST検索によって分析した。その結果、選別された5個の菌株から分離されたプラスミドからP.pastorisの4つの相異なるTFPが確認された。分離されたプラスミドは、それぞれpYHTS−PpTFP1、pYHTS−PpTFP2、pYHTS−PpTFP3、およびpYHTS−PpTFP4と命名し、P.pastorisから分離された4つのTFPを表6に示した。
【0115】
【表6】
【0116】
<実施例23>ヒトインターロイキン−2を用いたピチアパストリス由来のタンパク質融合因子の効率性分析
表6に示した4個のピキアパストリスタンパク質融合因子を用いて酵母サッカロミセスセレビシエでヒトインターロイキン−2の分泌活性を分析した。プライマー対である、PpTFP1−F(配列番号227)およびPpTFP1−R(配列番号228)、PpTFP2−F(配列番号229)およびPpTFP−2−R(配列番号230)、PpTFP3−F(配列番号231)およびPpTFP3−R(配列番号232)、PpTEGP4−F(配列番号233)およびPpTFP4−R(配列番号234)を用いてプラスミドPYHTS−PpTFP1、pYHTS−PpTFP2、pYHTS−PpTFP3およびpYHTS−PpTFP4から各PpTFPに対してそれぞれPCRを行った。ゲル精製されたPCR断片をSfiI処理し、SfiI処理されたYGaSWベクター(図10)にクローニングして製造されたプラスミドをそれぞれYGaSW−PpTFP1、YGaSW−PpTFP2、YGaSW−PpTFP3、およびYGaSW−PpTFP4と命名した。
【0117】
YGaSW−PpTFPベクターと相同配列を有するヒトIL−2遺伝子を含む増幅されたPCR断片をSwaI処理されたYGaSW−PpTFPと2:1の割合で混合した後、サッカロミセスセレビシエY2805(Mat a ura3 SUC2 pep4::HIS3 GAL1 can1)に細胞内組み換えで形質転換させ、形質転換された細胞をUD培地(0.67%アミノ酸のない酵母ナイトロジェンベース、0.77g/Lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%寒天)に塗抹して、30℃で3日間培養した。各形質転換体の単一コロニーをYPDG培地(1%酵母抽出液、2%バクトペプトン、1%グルコース、および1%ガラクトース)に接種して30℃で40時間培養した。培養した上清液(0.6mL)に最終濃度が40%となるようにアセトンを添加した。−20℃で2時間培養した後、タンパク質を10,000×gで15分間遠心分離した。ペレットを凍結乾燥させ、1×SDS−PAGEサンプルバッファ(Bio−Rad、米国)に再び懸濁し、12%SDS−PAGE分析を行った。その結果、図30に示すように、全てのPpTEPがヒトインターロイキン−2を培養培地に分泌することができた。このような結果は、P.pastoris由来のTFP酵母S.cerevisiaeにおいても作動することができることを示す。
【0118】
本発明の全般にわたって記述されたものは、当業者が均等な条件、製剤および本発明の効果に影響を与えない範囲内における他のパラメータを用いて同一に行うことができる。本発明に引用された全ての登録特許、特許出願および公開特許はその全体を参照して本発明と統合できる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1はインベルターゼ遺伝子の欠失過程および選別マーカーのポップアウト過程を示す図である。
【図2】図2はインベルターゼ活性の測定のためのザイモグラムである(レーン1、2、3:野生型サッカロミセスセレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)Y2805;レーン4、5、6:インベルターゼ欠失変異株(S.cerevisiae Y2805Δsuc2)。
【図3】図3は炭素源による酵母菌体の成長を示す写真である(SUC2:野生型S.cerevisiae Y2805;Δsuc2:インベルターゼ欠失変異株(S.cerevisiae Y2805Δsuc2)。
【図4】図4はインベルターゼ遺伝子欠失確認のためのサザンブロット結果である(レーン1、2:S.cerevisiae Y2805(ura3ΔSUC2);レーン3、4:S.cerevisiae Y2805Δsuc2(URA3Δsuc2);レーン5、6:S.cerevisiae Y2805Δsuc2(ura3Δsuc2)。
【図5】図5はグルコースおよびスクロース培地でプラスミドpYGAP−SNS−SUC2、pYGAP−HSA−SUC2およびpYGAP−hIL2−SUC2を含む酵母菌体の成長有無を確認した写真である。
【図6】図6はGAL10プロモーターと成熟したインベルターゼ遺伝子との間にcDNAライブラリーを挿入するためのマルチクローニング部位を含むプラスミドYGaINVを図式した図である。
【図7】図7は3つの異なるリーディングフレームと、GAL10プロモーターと成熟したインベルターゼ遺伝子との間にcDNAライブラリーを挿入するためのマルチクローニング部位を含むプラスミドYGaF0INV、YGaF1INVおよびYGaF2INVを図式した図である。
【図8】図8はTFP選別ベクターYGaINVにおける、ランダムプライマーを使用したcDNAライブラリーの合成およびcDNAライブラリーの製造過程を示す図である。
【図9】図9はTFP選別ベクターYGaF0INV、YGaF1INVおよびYGaF2INVにおけるゲノム性DNAライブラリーの製造過程を示す図である。
【図10】図10はSUC2が欠失し且つTFPライブラリーがサブクローニングされたYGadV45のプラスミドマップを示す図である。
【図11】図11はインベルターゼを用いて細胞内組み換えによってTFPライブラリーからターゲット遺伝子のTFPを選別する過程を示す図である。
【図12】図12はリパーゼおよびインベルターゼを二重レポーターとして用いて細胞内組み換えによってTFPライブラリーからターゲット遺伝子のTFPを選別する過程を示す図である。
【図13】図13は形質転換体が形成するhaloを含むトリブチリンブレートを示すものである。(A)形質転換によって直接得たhalo形成プレート(YPSGAとトリブチリン)、(B)トリブチリンプレートで相異なるhaloの大きさを示す選別された形質転換体。
【図14】図14は9種の選別されたTFPを用いてヒトIL−2を発現するベクターの製造過程を図式した図である。
【図15】図15はヒトIL−2発現ベクターである(A)pYGT9−IL2、(B)pYGT13−IL2および(C)pYGT17−IL2のマップを示す図である。
【図16】図16はヒトIL−2発現ベクターである(A)pYGT18−IL2、(B)pYGT19−IL2および(C)pYGT20−IL2のマップを示す図である。
【図17】図17はヒトIL−2発現ベクターである(A)pYGT21−IL2、(B)pYGT25−IL2および(C)pYGT27−IL2のマップを示す図である。
【図18】図18はヒトIL−2を分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGE結果を示す図である。(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1:IL2分泌の対照群としてpYIL−KRT1−4(WO2005/068658)を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン2:pYGT9−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン3:pYGT21−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン4:pYGT13−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン5:pYGT17−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン6:pYGT25−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン7:pYGT19−ILを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン8:pYGT18−IL2を含有する酵母菌株の培地上清液;レーン9:pYGT27−IL12を含有する酵母菌株の培地上清液)。
【図19】図19はヒトIL32αのTFP選別過程で得られた38種の酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGE結果を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1〜39:酵母形質転換体)。
【図20】図20はヒトIL32αを分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGEおよびウエスタンブロット結果を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1:pYGT3−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン2:pYGT21−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン3:pYGT13−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン4:pYGT25−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン5:pYGT22−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン6:pYGT11−IL32αを含有する酵母菌株の培地上清液)。
【図21】図21の(A)はpYGT3−IL32αを含有する組み換え酵母菌株の流加培養式発酵プロファイルを示す図、(B)は発酵時間に応じて培地に分泌されるタンパク質をSDP−PAGEで分析した結果を示す図である。
【図22】図22はヒト成長ホルモンを分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGE結果を示す図である。(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーンN:陰性対照群として形質転換されていない酵母菌株の培地上清液;レーン1:pYGT1−hGHを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン2:pYGT2−hGH;レーン3:pYGT3−hGH;レーン4:pYGT4−hGH;レーン5:pYGT5−hGH;レーン6:pYGT6−hGH;レーン7:pYGT7−hGH;レーン8:pYGT8−hGH;レーン9:pYGT9−hGH;レーン10:pYGT21−hGH;レーン11:pYGT13−hGH;レーン12:pYGT25−hGH;レーン13:pYGT17−hGH;レーン14:pYGT22−hGH;レーン15:pYGT32−hGH;レーン16:pYGT19−hGH;レーン17:pYGT27−hGH;レーン18:pYGT11−hGH;レーン19:pYGT40−hGH;レーン20:pYGT43−hGH;レーン21:pYGT44−hGH)
【図23】図23の(A)はpYGT18−hGHを含有する組み換え酵母菌株の流加培養式発酵プロファイルを示す図、(B)は発酵時間に応じて培地に分泌されるタンパク質をSDS−PAGEで分析した結果を示す図である。
【図24】図24は単方向欠損法(unidirectional deletion method)を用いて選別されたORFからTFPライブラリーを製造する過程を示す図である。
【図25】図25はBLASTサッチによって選別されたORFから単方向欠失したTFPライブラリーを構築して酵母菌株に形質転換させた後、無作為的に選別された酵母形質転換体の培地上清液に対してSDS−PAGEを行った結果を示す図である。
【図26】図26は35種の選別されたORFから単方向欠失したTFPライブラリーを構築して酵母菌株に形質転換させた後、無作為的に選別された酵母形質転換体の培地上清液に対してSDS−PAGEを行った結果を示す図である。
【図27】図27はヒトインスリン様成長因子を分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGEおよびウエスタンブロット(抗−hIGF)を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1:pYGa−MFa−hlGFを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン2:pYGa−Tlα−IGF;レーン3:pYGa−T2α−IGF;レーン4:pYGa−T3α−IGF;レーン5:pYGa−T4α−IGF)。
【図28】図28はヒトカスパーゼ−1およびサブユニットP10を分泌するTFPベクターで形質転換させた酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGEを行った結果を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1:pYGT1−hP1Oを含有する酵母菌株の培地上清液;レーン2:pYGT2−hP10;レーン3:pYGT3−hP10;レーン4:pYGT4−hP10;レーン5:pYGT5−hP10;レーン6:pYGT6−hP10;レーン7:pYGT7−hP10;レーン8:pYGT8−hP10;レーン9:pYGT9−hP10;レーン10:pYGT21−hP10;レーン11:pYGT13−hP10;レーン12:pYGT25−hP10;レーン13:pYGT17−hP10;レーン16:pYGT22−hP10;レーン18:pYGT18−hP10;レーン19:pYGT33−hP10;レーン19:pYGT33−hP10;レーン20:pYGT19−hP10;レーン21:pYGT27−hP10;レーン22:pYGT11−hP10;レーン24:pYGT39−hP10;レーン25:pYGT40−hP10;レーン28:pYGT43−hP10;レーン29:pYGT44−hP10;レーン32:陰性対照群)。
【図29】図29はヒトIL−32ガンマを分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGEおよびウエスタンブロット(抗−hIL32)結果を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーンC:陰性対照群として形質転換されていない酵母菌株の培地上清液;レーン1:pYGT1−IL32γ;レーン2:pYGT2−IL32γ;レーン3:pYGT3−IL32γ;レーン4:pYGT4−IL32γ;レーン5:pYGT5−IL32γ;レーン6:pYGT6−IL32γ;レーン7:pYGT7−IL32γ;レーン8:pYGT8−IL32γ;レーン9:pYGT9−IL32γ;レーン10:pYGT21−IL32γ;レーン11:pYGT13−IL32γ;レーン12:pYGT25−IL32γ;レーン13:pYGT17−IL32γ;レーン16:pYGT22−IL32γ;レーン18:pYGT18−IL32γ;レーン19:pYGT33−IL32γ;レーン20:pYGT19−IL32γ;レーン21:pYGT27−IL32γ;レーン22:pYGT11−IL32γ;レーン24:pYGT39−IL32γ;レーン25:pYGT40−IL32γ;レーン28:pYGT43−IL32γ;レーン29:pYGT44−IL32γ;レーン33:pYGT48−IL32γ;レーン35:pYGT50−IL32γ;レーン36:pYGT51−IL32γ;レーン37:pYGT52−IL32γ;レーン39:pYGT54−IL32γ)。
【図30】図30はヒトIL−2を分泌する酵母菌株の培地上清液に対するSDS−PAGEおよびウエスタンブロット(抗−hIL2)結果を示す図である(レーンM:タンパク質サイズマーカー;レーン1:YGaSW−pSUN−IL2を含有する酵母菌株の培養上清液;レーン2:YGaSW−pSED−IL2;レーン3:YGaSW−pUNK−IL2;レーン4:YGaSW−pMUC−IL2)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的タンパク質の分泌を特異的に誘導するタンパク質融合因子(translational fusion partner:TFP)ライブラリーを選別する方法であって、
(i)レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、形質転換された複数の宿主細胞を製造する段階であって、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記目的タンパク質をコードする核酸配列は、3’末端には前記レポータータンパク質から欠失したN末端アミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、5’末端にはリンカーDNAを含み、
前記目的タンパク質は、生産および分泌が難しいタンパク質であり、
(ii)前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の細胞内(in vivo)組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、
(iii)段階(ii)の形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、
(iv)段階(iii)で選別された細胞から、それぞれ前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを確認する段階とを含んでなる、方法。
【請求項2】
前記核酸断片ライブラリーは、植物、バクテリア、酵母、カビまたは動物のゲノム性DNAまたはcDNAに由来したことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核酸断片ライブラリーは、組み換えDNAに由来したことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記核酸断片ライブラリーは、(i)予め確認された一つまたはそれ以上のTFPと相同の予備分泌シグナルを含む遺伝子;(ii)分泌シグナル配列を含む遺伝子;(iii)小胞体を介して運搬されるタンパク質をコードする遺伝子を検索するためのゲノムデータベースで確認された配列から得られた予備選択された候補者TFPライブラリーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記予備選択された候補者TFPライブラリーは、核酸断片ライブラリーおよびレポータータンパク質をコードする核酸を含む多様なベクターを、レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に形質転換させ、成長した細胞を集め、細胞からベクターを分離し、ベクターから核酸断片を分離してそれぞれレポータータンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを収得することにより構築されたライブラリーであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予備選択された候補者TFPライブラリーは、予め確認されたTFPを多様化して得られたことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記予備選択された候補者TFPライブラリーは、予め確認されたTFP間にプリおよびプロシグナル配列を交換するように人為的に設計した核酸断片から得られたことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記予備選択された候補者TFPライブラリーは、目的タンパク質に効果的な予め確認されたTFPの集合である核心TFPライブラリーであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記核酸断片は、1000bpより小さい大きさであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記核酸断片ライブラリーは、DNAの酵素的切断によって製造されたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記核酸断片ライブラリーは、cDNA合成によって製造されたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記核酸断片ライブラリーは、組み換えDNA合成技術によって製造されたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組み換えDNA技術は、単方向性欠失(unidirectional deletion)を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記宿主細胞は、植物、バクテリア、カビ、酵母または動物細胞から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記宿主細胞は酵母菌株であり、前記核酸断片は酵母のゲノムまたはcDNAから分離されたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記レポータータンパク質は、細胞の外部に分泌されるタンパク質であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記レポータータンパク質は、インベルターゼ(invertase)、スクラーゼ(sucrase)、セルラーゼ(cellulase)、キシラナーゼ(xylanase)、マルターゼ(maltase)、アミラーゼ(amylase)、グルコアミラーゼ(glucoamylase)、ガラクトシダーゼ(galactosidase)、ホスファターゼ、β−ラクタマーゼ(beta-lactamase)、リパーゼ(lipase)、およびプロテアーゼ(protease)よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記宿主細胞は酵母であり、前記レポータータンパク質はインベルターゼであり、形質転換された宿主細胞はスクロースまたはラフィノースの存在下における生存能力で選別されたことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記宿主細胞は酵母であり、前記レポータータンパク質はアミラーゼであり、酵母菌株は澱粉分解活性がなく、形質転換された宿主細胞は澱粉分解能力で選別されたことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階は、成長阻害剤に対して抵抗性を持つレポータータンパク質を用いて行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階は、2つまたはそれ以上のレポータータンパク質を用いて行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記目的タンパク質は、植物、動物、または微生物に由来したことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記目的タンパク質はヒトタンパク質であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記目的タンパク質は、サイトカイン、血清蛋白質、コロニー刺激因子、成長因子、ホルモン、および酵素よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記リンカーDNAは20bp長さ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記リンカーDNAは、プロテアーゼ認識配列をコードしてTFPと目的タンパク質間の接合部位で切断を引き起こすことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記リンカーDNAは、酵母kex2p−認識配列、哺乳動物フューリン認識配列、Factor−Xa認識配列、エンテロキナーゼ認識配列、スブチリシン認識配列、タバコエッチウイルス認識配列、トロンビン認識配列またはユビキチン加水分解酵素認識配列をコードすることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記リンカーDNAは、新和性タグをコードすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記リンカーDNAは、制限酵素認識部位をコードすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記リンカーDNAは、さらにkex2p様プロテアーゼ−またはKex2p認識配列をコードすることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項1】
目的タンパク質の分泌を特異的に誘導するタンパク質融合因子(translational fusion partner:TFP)ライブラリーを選別する方法であって、
(i)レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に複数の線形ベクター、および目的タンパク質をコードする核酸配列を形質転換させ、形質転換された複数の宿主細胞を製造する段階であって、前記線形ベクターは、核酸断片ライブラリーの核酸断片、およびN末端アミノ酸の欠失したレポータータンパク質をコードする核酸配列を含み、前記目的タンパク質をコードする核酸配列は、3’末端には前記レポータータンパク質から欠失したN末端アミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、5’末端にはリンカーDNAを含み、
前記目的タンパク質は、生産および分泌が難しいタンパク質であり、
(ii)前記形質転換された複数の宿主細胞を、前記線形ベクターおよび前記目的タンパク質をコードする核酸配列の細胞内(in vivo)組み換えが効率的に行われる条件の下で培養する段階と、
(iii)段階(ii)の形質転換された複数の宿主細胞から、レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階と、
(iv)段階(iii)で選別された細胞から、それぞれ前記目的タンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを確認する段階とを含んでなる、方法。
【請求項2】
前記核酸断片ライブラリーは、植物、バクテリア、酵母、カビまたは動物のゲノム性DNAまたはcDNAに由来したことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核酸断片ライブラリーは、組み換えDNAに由来したことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記核酸断片ライブラリーは、(i)予め確認された一つまたはそれ以上のTFPと相同の予備分泌シグナルを含む遺伝子;(ii)分泌シグナル配列を含む遺伝子;(iii)小胞体を介して運搬されるタンパク質をコードする遺伝子を検索するためのゲノムデータベースで確認された配列から得られた予備選択された候補者TFPライブラリーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記予備選択された候補者TFPライブラリーは、核酸断片ライブラリーおよびレポータータンパク質をコードする核酸を含む多様なベクターを、レポータータンパク質の欠失した複数の宿主細胞に形質転換させ、成長した細胞を集め、細胞からベクターを分離し、ベクターから核酸断片を分離してそれぞれレポータータンパク質の分泌を誘導する核酸断片を含むTFPライブラリーを収得することにより構築されたライブラリーであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予備選択された候補者TFPライブラリーは、予め確認されたTFPを多様化して得られたことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記予備選択された候補者TFPライブラリーは、予め確認されたTFP間にプリおよびプロシグナル配列を交換するように人為的に設計した核酸断片から得られたことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記予備選択された候補者TFPライブラリーは、目的タンパク質に効果的な予め確認されたTFPの集合である核心TFPライブラリーであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記核酸断片は、1000bpより小さい大きさであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記核酸断片ライブラリーは、DNAの酵素的切断によって製造されたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記核酸断片ライブラリーは、cDNA合成によって製造されたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記核酸断片ライブラリーは、組み換えDNA合成技術によって製造されたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組み換えDNA技術は、単方向性欠失(unidirectional deletion)を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記宿主細胞は、植物、バクテリア、カビ、酵母または動物細胞から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記宿主細胞は酵母菌株であり、前記核酸断片は酵母のゲノムまたはcDNAから分離されたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記レポータータンパク質は、細胞の外部に分泌されるタンパク質であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記レポータータンパク質は、インベルターゼ(invertase)、スクラーゼ(sucrase)、セルラーゼ(cellulase)、キシラナーゼ(xylanase)、マルターゼ(maltase)、アミラーゼ(amylase)、グルコアミラーゼ(glucoamylase)、ガラクトシダーゼ(galactosidase)、ホスファターゼ、β−ラクタマーゼ(beta-lactamase)、リパーゼ(lipase)、およびプロテアーゼ(protease)よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記宿主細胞は酵母であり、前記レポータータンパク質はインベルターゼであり、形質転換された宿主細胞はスクロースまたはラフィノースの存在下における生存能力で選別されたことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記宿主細胞は酵母であり、前記レポータータンパク質はアミラーゼであり、酵母菌株は澱粉分解活性がなく、形質転換された宿主細胞は澱粉分解能力で選別されたことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階は、成長阻害剤に対して抵抗性を持つレポータータンパク質を用いて行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記レポータータンパク質の活性を示す細胞を選別する段階は、2つまたはそれ以上のレポータータンパク質を用いて行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記目的タンパク質は、植物、動物、または微生物に由来したことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記目的タンパク質はヒトタンパク質であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記目的タンパク質は、サイトカイン、血清蛋白質、コロニー刺激因子、成長因子、ホルモン、および酵素よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記リンカーDNAは20bp長さ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記リンカーDNAは、プロテアーゼ認識配列をコードしてTFPと目的タンパク質間の接合部位で切断を引き起こすことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記リンカーDNAは、酵母kex2p−認識配列、哺乳動物フューリン認識配列、Factor−Xa認識配列、エンテロキナーゼ認識配列、スブチリシン認識配列、タバコエッチウイルス認識配列、トロンビン認識配列またはユビキチン加水分解酵素認識配列をコードすることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記リンカーDNAは、新和性タグをコードすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記リンカーDNAは、制限酵素認識部位をコードすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記リンカーDNAは、さらにkex2p様プロテアーゼ−またはKex2p認識配列をコードすることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−165748(P2012−165748A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87079(P2012−87079)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2008−520985(P2008−520985)の分割
【原出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(505093367)コリア リサーチ インスティチュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2008−520985(P2008−520985)の分割
【原出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(505093367)コリア リサーチ インスティチュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (13)
【Fターム(参考)】
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