説明

給液タンク並びに燃焼暖房機等の液消費機器

【課題】押し込んだ片側だけが係脱するハーフロックを防止でき、双方を押し込んだときだけ注出キャップが外せる押しボタン引き取り式の給液タンクを提供すること。
【解決手段】注出キャップ2を注出口3に被嵌して軸方向に押し下げると、係止部5が係合部4に係止付勢により係止して抜け止め状態となり、逆に注出口3の外周面に設けた押し操作部7を押動することで係止付勢に抗して係止部5が没動方向に移動して係合部4から係脱し注出キャップ2を取り外せるように構成した給液タンクであって、押し操作部7を対向状態に注出キャップ2に設け、押し操作部7の押動のみではこれに連動する一方の係止部5は係合部4から係脱せず、少なくとも一つの係止部5は双方の押し操作部7の押動によって連動して係合部4から係脱し、双方の押し操作部7の押動によって双方の係止部5が係合部4から係脱しなければ注出キャップ2を注出口3から取り外せないように構成した給液タンク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃焼暖房機や加湿機等の液消費機器における給液タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に燃焼暖房機や加湿機等の液消費機器に用いられる給液タンクは、例えば液受面に着脱自在に倒立させて載置し、燃焼や気化等の液消費につれて液受面が下がることで、自動的にタンク内に気泡が導入されつつタンク内の液が注出口に設けた注出キャップの注出機構を介して給液されるカートリッジ式の給液タンクとして使用されている。
【0003】
例えば、灯油等の燃油を給油するカートリッジ式の給油タンクは、金属製のタンク本体の上部に金属製の注出口(タンク口金)が突設されていて、これに弁機構を備えた注出機構を設けた注出キャップ(給油口蓋)を取り付け、これを倒立状態にして開弁作用部となるピン状部によって注出機構を開弁した状態で油受皿部上(油受面上)に載置し、燃焼によって燃油が消費されて油受皿部の液面が下がると、注出機構を介してタンク内に気泡が導入されつつこの気泡分だけタンク内の燃油が注出され給油される。
【0004】
タンクに補充給油するときは、このカートリッジ式の給油タンクを機器から取り出して、注出口の注出キャップを外し、タンク内に燃油を給油する。
【0005】
このような給液タンクの注出口に取り付ける注出キャップは、注出口外周に設けた螺子部に注出キャップを螺着する構造であった。即ち、注出キャップを回して取り外し、回して取り付けるものである。
【0006】
特にこのような構成の場合は、前述のように注出機構を介して液受面に倒立状態に載置して給液するため、注出キャップは汚れ易く、注出キャップの取り外しに際して手が汚れる心配があった。
【0007】
そのため、レバーを引くと閉塞キャップがバネ付勢で開放したり、注出キャップの周りに更にグリップ外周部を増設したり、様々な提案がなされてきている。
【0008】
出願人は、回し操作を不要にしてできるだけ余計な部分に触ることなく、しかも開放時にバネ付勢による過大な開き惰性もかかることなく、簡単にワンタッチで着脱できるようにすべく、注出キャップを被せて押し込むだけで取り付けでき、また押し操作部を押し込むだけで簡単に外れる螺子式でない押しボタン片手引取り式の注出キャップを開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−195195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、この押しボタン片手引取り式の注出キャップの開発の中で、更に試行錯誤を繰り返し、注出キャップの係止と係止解除がワンタッチで確実に行われ、しかも簡易な押し操作で係脱するものの二つ以上の押し操作部の双方とも押さなければ注出キャップが外れなく、逆に双方とも押し操作すれば、スムーズに係脱して注出キャップを取り外せ、更に押し込んだ片側だけが係脱して不安定な状態となること(ハーフロック)をも防止できる等様々な実用上の画期的な効果を発揮する極めて実用性に秀れた画期的な給液タンク並びに燃焼暖房機等の液消費機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
タンク本体1に筒状に突設した注出口3に、注出機構10を設けた注出キャップ2を着脱自在に設け、前記注出口3の外周面に設けた係合部4と、前記注出キャップ2の内周面に突没動自在に突設されて前記係合部4に係脱自在に係止し係止状態においては注出キャップ2を抜け止め状態とする係止部5と、この係止部5を突出方向に付勢して係止付勢する係止付勢部6と、この係止付勢部6の係止付勢に抗して前記係止部5を没動方向に移動させて前記係合部4との係止状態を解除させる前記注出キャップ2の外周面に設けた押し操作部7とから成る係止機構8を備えて、前記注出キャップ2を前記注出口3に被嵌してこの注出口3の軸方向に押し下げることで、前記係止部5が前記係合部4に前記係止付勢部6の係止付勢により係止して抜け止め状態となり、逆に注出口3の外周面に設けた前記押し操作部7を押動することで前記係止付勢に抗して係止部5が没動方向に移動して係合部4から係脱し注出キャップ2を注出口3から取り外せるように構成した給液タンクであって、前記係合部4に係止する前記係止部5を、対向状態若しくは間隔を置いて周方向に複数前記注出キャップ2の内周面から内側へ突没動自在に突出配設し、前記押し操作部7を対向状態若しくは間隔を置いて周方向に複数前記注出キャップ2の外周面に露出状態に配設し、前記複数の押し操作部7の間に夫々前記係止部5が配設されるように構成すると共に、前記押し操作部7の一方側を一方側で隣り合う前記係止部5に連結すると共に、他方側を他方側で隣り合う前記係止部5に連結して、各係止部5は、隣り合う異なる押し操作部7の片側と夫々連結された構成とし、前記一方の押し操作部7のみを押動すると、前記双方の係止部5に没動方向に移動させる没動力が伝達されるが双方の係止部5とも前記係合部4から係脱せず、前記双方の押し操作部7を押動すると、前記各係止部5に前記異なる押し操作部7の押動による前記没動力が伝達されこの各押し操作部7の押動による没動力が協動し前記双方の係止部5が前記係合部4から係脱するように構成して、前記一つの押し操作部7の押動のみではこれに連動する前記係止部5は前記係合部4から係脱せず、前記二つ以上の押し操作部7を押動した際に前記押し操作部7による前記没動力が伝達され協働して前記二つ以上の係止部5が前記係合部4から係脱し、且つ少なくとも前記二つ以上の係止部5が前記二つ以上の押し操作部7の押動によって前記係合部4から係脱しなければ前記注出キャップ2を前記注出口3から取り外せないように前記係止機構8を構成したことを特徴とする給液タンクに係るものである。
【0013】
また、タンク本体1に筒状に突設した注出口3に、注出機構10を設けた注出キャップ2を着脱自在に設け、前記注出口3の外周面に設けた係合部4と、前記注出キャップ2の内周面に突没動自在に突設されて前記係合部4に係脱自在に係止し係止状態においては注出キャップ2を抜け止め状態とする係止部5と、この係止部5を突出方向に付勢して係止付勢する係止付勢部6と、この係止付勢部6の係止付勢に抗して前記係止部5を没動方向に移動させて前記係合部4との係止状態を解除させる前記注出キャップ2の外周面に設けた押し操作部7とから成る係止機構8を備えて、前記注出キャップ2を前記注出口3に被嵌してこの注出口3の軸方向に押し下げることで、前記係止部5が前記係合部4に前記係止付勢部6の係止付勢により係止して抜け止め状態となり、逆に注出口3の外周面に設けた前記押し操作部7を押動することで前記係止付勢に抗して係止部5が没動方向に移動して係合部4から係脱し注出キャップ2を注出口3から取り外せるように構成した給液タンクであって、前記係合部4に係止する前記係止部5を、対向状態若しくは間隔を置いて周方向に複数前記注出キャップ2の内周面から内側へ突没動自在に突出配設し、前記押し操作部7を対向状態若しくは間隔を置いて周方向に複数前記注出キャップ2の外周面に露出状態に配設し、前記押し操作部7に、この押し操作部7の内側への押動に伴って移動し前記係止部5に連結する連動用伝達部11を設け、この連動用伝達部11は、前記押し操作部7の押動によりこの連動用伝達部11が移動することによって、この連動用伝達部11を連結した前記係止部5に没動方向に移動させる没動力が伝達される構成とし、前記複数の押し操作部7の間に夫々前記係止部5が配設されるように構成すると共に、前記押し操作部7の一方側に設けた連動用伝達部11を一方側で隣り合う前記係止部5に連結すると共に、他方側に設けた連動用伝達部11を他方側で隣り合う前記係止部5に連結して、各係止部5は、隣り合う異なる押し操作部7に設けた夫々片側の連動用伝達部11と連結された構成とし、前記一方の押し操作部7のみを押動すると、前記両側の連動用伝達部11を介して前記双方の係止部5に没動方向に移動させる没動力が伝達されるが双方の係止部5とも前記係合部4から係脱せず、前記双方の押し操作部7を押動すると、前記各係止部5に前記異なる押し操作部7の前記各片側の連動用伝達部11を介して前記没動力が伝達されこの各押し操作部7の押動による没動力が協動し前記双方の係止部5が前記係合部4から係脱するように構成して、前記一つの押し操作部7の押動のみではこれに連動する前記係止部5は前記係合部4から係脱せず、前記二つ以上の押し操作部7を押動した際に前記各連動用伝達部11を介して前記没動力が伝達され協働して前記二つ以上の係止部5が前記係合部4から係脱し、且つ少なくとも前記二つ以上の係止部5が前記二つ以上の押し操作部7の押動によって前記係合部4から係脱しなければ前記注出キャップ2を前記注出口3から取り外せないように前記係止機構8を構成したことを特徴とする給液タンクに係るものである。
【0014】
また、前記注出キャップ2の外周面の片手の異なる指先で夫々内側へ押動できる位置に、二つの前記押し操作部7を露出状態にして対向状態に設け、この二つの押し操作部7の間に夫々配設されるようにして前記係止部5を対向状態に注出キャップ2の内周面から内側に突出配設し、前記二つの押し操作部7の夫々の左右に前記連動用伝達部11を夫々対向状態に設け、この各押し操作部7に設けた各左右の連動用伝達部11を夫々隣り合う係止部5に夫々連結して、各係止部5は、隣り合う異なる押し操作部7に設けた夫々片側の前記連動用伝達部11と連結された構成としたことを特徴とする請求項2記載の給液タンクに係るものである。
【0015】
また、筒状に形成した前記注出キャップ2に、前記連動用伝達部11を対称状態に左右両端部に設けた前記押し操作部7を外周面から押ボタン面を露出状態にして対称状態に配設し、この押し操作部7間に配設されるように前記係止部5を内端部5Aを内周面から突出状態にして対称状態に設け、この各係止部5の両端部に対称状態に設けた連結部9若しくは前記各係止部5に設けた連結部9の両端部に、前記異なる押し操作部7の夫々の一方側の前記連動用伝達部11を連結して前記係止機構8を対称構造として、各押し操作部7の押動によって各係止部5に前記没動力が伝達されると共にこの没動力が均等に伝達されるように構成し、前記一方の押し操作部7のみを押動しても各係止部5の少なくとも一端部が未だ前記係合部4から係脱せず、前記双方の押し操作部7を押動することで、各係止部5に均等の前記没動力が伝達され協動し各係止部5の両端部とも前記係合部4から係脱する構成として、前記双方の押し操作部7を押動してはじめて前記注出キャップ2を前記注出口3から取り外せるように構成したことを特徴とする請求項3記載の給液タンクに係るものである。
【0016】
また、前記押し操作部7に設けた前記連動用伝達部11と前記係止部5に設けた連結部9との連結を、前記押し操作部7の内方への押動による前記連動用伝達部11の内方への可動によって、前記係止部5を逆方向の外方の没動方向への移動に変換して前記没動力を生じさせるカム溝12とカムピン13との係合構成とした移動方向変換連結機構14による連結としたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の給液タンクに係るものである。
【0017】
また、前記注出キャップ2を取り外した前記注出口3から燃油を給油しこの注出口3に注出キャップ2を被嵌係止して、油受面24上に倒立させて載置し、前記注出キャップ2に設けた前記注出機構10を介して前記油受面24に燃油を給油するカートリッジ式給油タンクに構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の給液タンクに係るものである。
【0018】
また、前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の給液タンクを着脱自在に備えたことを特徴とする燃焼暖房機等の液消費機器に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように構成したから、注出キャップの係止と係止解除がワンタッチで確実に行われ、しかも簡易な押し操作で係脱するものの二つ以上の押し操作部を双方とも押さなければ注出キャップが外れなく、逆に押し操作すれば、スムーズに係脱して注出キャップを取り外せ、更に押し込んだ片側だけが係脱して不安定な状態となること(ハーフロック)が生じにくく、衝撃や押し加減の違い等から片側のみだけ押されたり誤って反対側だけ十分に押さなかった場合でも、その片側だけ係脱したハーフロック等の不安定な状態は生じにくく、二つ以上の押し操作部を押すことで初めてスムーズに外せる等実用性に秀れた画期的な給液タンクとなる。
【0020】
また、請求項2,3,4,5記載の発明においては、簡易な構成で容易に本発明を実現でき、片手で簡単に注出キャップを着脱でき、例えば単に片手の指で夫々押し操作部を押すだけで良く、たとえ片側だけを押したり反対側だけ十分に押さなかったとしても片側だけが外れることがなく、双方の押し操作部を十分に押したときだけ係止部が係脱して注出キャップを取り外せ、ハーフロックが生じにくく装着性能に秀れた本発明を容易に実現できる一層実用性に秀れた極めて画期的な給液タンクとなる。
【0021】
また、請求項6記載の発明においては、前述のような効果を発揮する極めて実用性に秀れたカートリッジ式給油タンクとなる。
【0022】
また、請求項7記載の発明においては、前述のような給液タンクを備えた画期的な燃焼暖房機等の液消費機器となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施例の使用状態の説明斜視図である。
【図2】本実施例の注出口から注出キャップを取り外した状態での注出キャップの一部を切り欠いた説明斜視図である。
【図3】本実施例の注出キャップのキャップ本体とキャップ外周グリップ部とを示す説明分解斜視図である。
【図4】本実施例の注出キャップの説明分解斜視図である。
【図5】本実施例の注出口から注出キャップを取り外した状態での説明正断面図である。
【図6】本実施例の注出口に注出キャップを取り付ける途中であって、係合部に係止部が落ち込み係合する直前の説明正断面図である。
【図7】本実施例に注出キャップを取り付けた状態(係止状態)の説明正断面図である。
【図8】本実施例の液受面(液受皿部)上に倒立状態に載置した使用状態での説明正断面図である。
【図9】本実施例の係止状態での係止部を示す係止部作動説明平面図である。
【図10】本実施例の押し操作による係脱状態での係止部を示す係止部作動説明平面図である。
【図11】本実施例の片押し操作してもハーフロックとならず係止状態の係止部を示す係止部作動説明平面図である。
【図12】本実施例の注出口に注出キャップを仮がけした位置から係止位置まで押し下げて係止状態とすることを示す注出口に対する注出キャップの係止部の作動を示す係止部作動説明正断面図である。
【図13】本実施例の金属部を有する係止部の説明平面図である。
【図14】本実施例の金属部を有する係止部の一部を切り欠いた説明斜視図である。
【図15】本実施例の係止部の連結部と押し操作部の連動用伝達部との摺動面位置が係止部の内端部が突出する突出口の上端より高い位置に設定されていることを示す説明正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0025】
図1〜図4に示すように、注出キャップ2を外した注出口3からタンク本体1内へ給液した後、注出口3に注出キャップ2を被嵌してこの注出口3の軸方向に押し下げると、複数設けた各係止部5の内端部5Aは注出口3の外周面に沿って注出キャップ2と共に移動し、係止位置まで注出キャップ2を押し下げると係止付勢部6の係止付勢により係止部5の内端部5Aは、例えばこの係止付勢により自動的に注出口3の外周面に設けた係合部4に夫々落ち込み係止し、この係止部5と係合部4とが係止状態となることで、注出口3に注出キャップ2が抜け止め状態に取り付けられる。
【0026】
逆に注出口3から注出キャップ2を取り外す場合は、係止機構8を解除して注出口3から注出キャップ2を引き取るが、この場合は複数設けた押し操作部7を押すことで各係止部5を係止付勢に抗して没動方向に移動させ係合部4から係脱させる。
【0027】
即ち、注出キャップ2の外周面に設けた押し操作部7を片手の指で夫々内側へ押すと、例えば後述する移動方向変換連結機構14によってこれに連動して係止部5は没動方向に移動し、係止部5の内端部5Aが係合部4から脱するだけ没動する方向に移動すると(係止付勢部6の突出付勢(係止付勢)に抗して移動すると)係止が解除される。
【0028】
この際、本発明は、前記押し操作部7を対向状態若しくは間隔を置いて周方向に複数注出キャップ2の外周面に露出状態に配設し、一つの押し操作部7の押動のみではこれに連動する一つの係止部5は係合部4から係脱する位置まで没動方向に移動せず、少なくとも一つの係止部5は二つ以上の押し操作部7の押動によって連動して係合部4から係脱する位置まで没動方向に移動し、且つ少なくとも二つ以上の係止部5が二つ以上の押し操作部7の押動によって係合部4から係脱しなければ注出キャップ2を注出口3から取り外せないように構成している。
【0029】
従って、本発明では、片側の係止部5だけが、片側の押し操作部7の押動によって外れ、片側だけが解除されその他は係止状態となるハーフロックが生じないようにしている。
【0030】
即ち、片側の押し操作部7だけを押したり、例えば指の押す力が均等でなく人差し指で押す押し操作部7だけを十分に押して親指で押す押し操作部7の押しが不十分であった場合、各押し操作部7と通常通り単に夫々独立に一つの係止部5が一つの押し操作部7と連動するように構成したのでは、前述のように十分に押し得た押し操作部7と連動する係止部5だけが係脱し、その他の係止部5は係止したままとなって、ハーフロックが簡単に生じてしまう。注出キャップ2には装着クリアランスがあるためにやや傾くことが可能であり、また一般にパッキン等によって装着弾性があり係脱時に上方への戻り動付勢等もある場合があることから、全ての指を十分に同時に押し込まない限りハーフロックのような不安定な状態が容易に生じてしまう。
【0031】
これに対して本発明は、一つの押し操作部7を押動すると、これに連動して一つだけでなく二つ以上の係止部5に、夫々没動方向に移動させる力(没動力)が伝達される。しかも、一つの係止部5が二つ以上の押し操作部7によって連動して係止付勢部6の係止付勢に抗して没動方向に移動するように構成されていて、且つたとえ一つの押し操作部7を押しても各係止部5が十分に移動せず(係合部4から係脱する程まで移動せず)、二つ以上の押し操作部7を押したときに初めてこれらの押動によって各係止部5に各没動力が協動して伝わり、初めて係止部5が係合部4から係脱するように構成している。
【0032】
更にわかり易く繰り返し説明すると、例えば後述する本実施例のように押し操作部7を対向位置二ヵ所に設け、係止部5をこれと隣り合うようにやはり対向位置二ヵ所に設けた場合で説明すると、この二つの押し操作部7を片手の親指と人差し指で挟んで双方を押し込みそのまま引き取ることとなるが、通常通り単に一つの押し操作部7に対してこれに対応する一つの係止部5が連動して、押し操作部7の押動によって移動方向変換連結機構14を介してこれに対応する係止部5が没動方向に移動し係合部4から外れるように構成したのでは、片側のみを押してしまったり、片側だけが十分に押され反対側の押し力が不足していると、片側の係止部5だけが外れたハーフロックが容易に生じる。
【0033】
これに対して本実施例は、図9〜図11に示すように、例えば各係止部5とこれと隣り合う各押し操作部7に設けたその係止部5側の一方の連動用伝達部11とを移動方向変換連結機構14によって夫々連結し、一方の押し操作部7を押すと、その両隣の係止部5が双方とも没動方向に移動するが、この一方の押し操作部7の押動だけでは夫々の係止部5の移動が十分でなく係合部4から外れず、双方の押し操作部7を同時に十分に押動すると、初めて各係止部5はこの力が夫々アシストするように協動して十分に没動方向に移動して係合部4から外れるように構成している。
【0034】
また、例えば後述する実施例のように係止部5の係合部4に係止する内端部5Aを横幅のある形状とし、一方の押し操作部7を押動しても双方の係止部5の内端部5Aの一側だけが係合部4から外れる程没動方向に移動するが、横幅があるため反対側はまだ係合部4から外れず、もう一方の押し操作部7をも同時に押動したときに初めて均等に力が伝わりこの内端部5Aの反対側も没動方向に十分に移動して内端部5Aの全ての部分が係合部4から外れて係脱するように構成しても良い。
【0035】
このように本発明では、二つ以上の押し操作部7を移動したときに二つ以上の係止部5が係脱して係止部5が係合部4から外れる。即ち一つの押し操作部7の押動によって二つ以上の係止部5が連動して没動方向に移動し、一つの係止部5に対して二つ以上押し操作部7の押動によってこれが協動して没動方向に移動するように構成することで、たとえ注出口3に注出キャップ2を被嵌するためのクリアランスがあり、このクリアランスにバラツキがあってもハーフロックが極めて生じにくくハーフロックが防止され、装着性能が極めて向上することとなる。
【0036】
また、図5〜図7に示すように、例えば注出キャップ2の取り付けに際して、注出口3に注出キャップ2を被嵌しで仮りがけする注出口3のストレート垂下上端周面21の位置から、注出口3の外周面が徐々に径大となるテーパ周面22に沿って係止付勢部6の係止付勢に抗して係止部5を没動方向に移動させつつこのテーパ周面22の下端に設けた急激に径小となる係合部4(落ち込み周面)に係止部5が係止付勢部6の突出付勢によって突出係合(係止)するように構成し、このテーパ周面22を緩やかに長く形成すれば、単に注出口3に注出キャップ2を被嵌した仮がけ位置と、係合部4に係止した係止位置(ロック位置)との上下距離が長く明瞭となり、これが長くなればなるだけ、一見で係止状態かどうかを視認でき(視覚的に係止状態かどうかを見分けることが容易となり)、また係合部4の落ち込み量を大きくすることでカチン等の係止音(係止ロック音)も大きく鳴り装着感も良好となり、音的にも着脱の判断が容易となる。
【0037】
また、このように構成すれば、前述のように不十分な片側押しだけでは外れずまたハーフロックにもなりにくいことから、一層装着性能が向上し、しかも例えば装着時(係止状態時)に注出機構10位置に設けた弾性力(パッキン等による弾性密着による弾性力等)により外れ付勢(上方への戻り動付勢)が注出口3に対する注出キャップ2に生じるように構成すれば、片側でなく双方の押し操作部7を同時に十分に押動して初めて各係止部5が一斉に係合部4から外れ、これによってこの上端での上方への戻り動付勢によって上動すると共に、テーパ周面22の下端の最大凸部位置を超えると上方への下がりテーパと係止付勢部6によるこれへの押圧付勢によってこの上動が助長され、持ち上げて取り外すに際しての係脱時の明瞭な飛び出し感が良好に生じるようにも容易に構成可能となる。
【実施例】
【0038】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0039】
図1〜図4に示すように、金属製のタンク本体1に円筒状に突設した金属製の注出口3に、従来例でも前述した開弁作用部たるピン状部26が差し込まれることでバネ付勢に抗して弁部27が内方へ押し込まれて開弁状態となる注出機構10を設けた注出キャップ2を着脱自在に被嵌し、この注出口3の外周面に急激に落ち込む径小部として全周に設けた係合部4と、注出キャップ2の内周面の突出口15から係止付勢部6の突出付勢によって突没動自在に突設されて前記係合部4に係脱自在に係止し係止状態においては注出キャップ2を抜け止め状態とする係止部5と、この係止部5を突出方向に付勢して係止付勢する前記係止付勢部6と、この係止付勢部6の係止付勢に抗して前記係止部5を没動方向に移動させて前記係合部4との係止状態を解除させる前記注出キャップ2の外周面に設けた押し操作部7とから成る係止機構8を備えて、前記注出キャップ2を前記注出口3に被嵌してこの注出口3の軸方向に押し下げることで、前記係止部5が係止付勢部6に付勢された状態で注出口3の外周面に沿って移動して行き前記係合部4に達すると係止付勢部6の突出付勢により係止して抜け止め状態となり、逆に注出口3の外周面に設けた押し操作部7を抗縮バネ28に抗して押動することで、前記係止付勢に抗して係止部5が没動方向に移動して係合部4から係脱し注出キャップ2を注出口3から取り外せるように構成している。
【0040】
前記係合部4に係止する前記係止部5は、間隔を置いて周方向に二つに限らず三つあるいは四つ注出キャップ2に設け、前記押し操作部7も間隔を置いて周方向に二つに限らず三つあるいは四つ設けても良いが、本実施例では、係止部5も押し操作部7も二つずつ対向状態に設けて周方向に交互に配して、夫々を連結して押し操作部7の押動に係止部5が連動するように構成している。
【0041】
即ち、押し操作部7を注出キャップ2の外周面に露出状態にして対向状態に設け、この二つの押し操作部7の間に配設されるようにして前記係止部5を対向状態に注出キャップ2の内周面から内側に突出配設している。
【0042】
そして一方の押し操作部7の押動によって一方の係止部5だけでなく双方の係止部5が没動方向に移動するように構成し、且つこの一方の押し操作部7の押動のみではこれに連動するいずれの係止部5も前記係合部4から係脱する位置までは没動方向に移動せず、しかし、双方の押し操作部7が押動されると各係止部5に夫々この押動による係止部5を没動方向へ移動させる力(没動力)が均等に伝達され、これが各係止部5において夫々協動して(たし合わされて)双方の係止部5が、この双方の押し操作部7を同時に押す押動によって、初めて係合部4から係脱する程没動方向に移動し、この双方の係止部5が双方の押し操作部7の押動によって係合部4から係脱しなければ注出キャップ2を注出口3から引き取れないように構成している。
【0043】
更に、説明すると、図9〜図11に示すように、樹脂成形する双方の押し操作部7に夫々この押し操作部7の押動に伴って移動する連動用伝達部11を左右に一体突出形成し、この押し操作部7を夫々抗縮バネ28で支持すると共にこの一つの押し操作部7の左右に一体突出形成した各連動用伝達部11を、異なる前記係止部5の連結部9の左右の一方に夫々連結して、押し操作部7を押動すると前記連動用伝達部11を介して左右の係止部5に夫々没動力が伝達されるように構成し、双方の係止部5の連結部9に前記異なる押し操作部7から突出した片側の連動用伝達部11が夫々連結されるように構成している。
【0044】
従って、前述のように一方の押し操作部7のみを押動しても前記係止部5は前記係合部4から係脱せず、双方の押し操作部7を同時に押動した際に各連動用伝達部11を介してこの没動力が夫々の係止部5にたし合わされるように伝達されて、双方の押し操作部7を同時に押動した時だけ双方の係止部5が係合部4から係脱するように構成している。
【0045】
更に説明すれば、本実施例では双方の押し操作部7の押動による係止部5へ伝達される没動力が夫々均等となるように各押し操作部7の左右両端部に注出キャップ2の周方向に沿うような形で前記連動用伝達部11を対称状態にして突出状態に設け、この押し操作部7を注出キャップ2の窓口18から押ボタン面を露出状態にして対称状態に配設し、この押し操作部7間に配設されるように前記係止部5を内端部5Aを内周面の突出口15から突出状態にして対称状態に設け、この各係止部5の背部の連結部9の左右両端部に、前記異なる押し操作部7の夫々の一方側の前記連動用伝達部11を連結して前記係止機構8を対称構造として、各押し操作部7の押動によって各係止部5に伝達する没動力が均等となるように構成している。
【0046】
即ち、一つの係止部5の背部に設けた連結部9の左右両端部に夫々の側で隣り合う押し操作部7のその係止部5に向けた一方の連動用伝達部11と連結し、双方の係止部5には夫々双方の押し操作部7からその係止部5に向かって延びた二つの連動用伝達部11が夫々連結され、しかも連動用伝達部11と前記係止部5の連結部9とは、前記押し操作部7の内方への押動による前記連動用伝達部11の内方への可動によって、前記係止部5を逆方向の外方の没動方向への移動に変換するカム溝12とカムピン13との係合による移動方向変換連結機構14を介して連結している。本実施例では、各係止部5の背部の連結部9の左右上面に、突没方向に対して傾斜したカム溝12を凹設し、この連結部9の上面に重合する連動用伝達部11の先端部に、前記カム溝12に差し込まれてスライド自在に係合するカムピン13を垂設している。
【0047】
また、本実施例では、係止部5の係合部4に係止する内端部5Aを横幅のある形状とし、一方の押し操作部7を押動しても双方の係止部5の内端部5Aの一側だけが係合部4から外れる程没動方向に移動するが、横幅があるため反対側はまだ係合部4から外れず、もう一方の押し操作部7をも同時に押動したときに初めてこの内端部5Aの反対側も没動方向に十分に移動して内端部5Aの全ての部分が係合部4から外れて係脱するように構成している。
【0048】
従って、図11に示すように、一方の押し操作部7のみを押動しても各係止部5の一端部が未だ前記係合部4から係脱せず突出したままとなり、図10に示すように、双方の押し操作部7を同時に押動することで、各係止部5に均等に前記没動力がアシストするように協動し各係止部5の両端部とも前記係合部4から係脱して、双方の押し操作部7を押動してはじめて注出キャップ2を注出口3から取り外せるように構成している。
【0049】
また一方、本実施例の前記注出口3の外周面形状は、図5〜図8に示すように、この注出口3の軸方向の突出方向を上、タンク内方向を下とした場合、前記注出キャップ2を被せ載せて仮被嵌支承するストレート垂下上端周面21に、下方へ行く徐々に径大となるテーパ周面22を連設し、このテーパ周面22の下端に急激に径小となる前記係合部4としての落ち込み周面4を連設し、図12に示すように、前記係止部5が前記落ち込み周面4に落ち込む直前の前記テーパ周面22の下端に位置したとき、前記注出キャップ2の前記係止部5より下方の内周面が当接するキャップ傾き防止周面23を前記落ち込み周面4の下端に連設した外周面形状に設定している。
【0050】
本実施例では、このテーパ周面22を緩やかに長く形成して、単に注出口3に注出キャップ2を被嵌した仮がけ位置と、係合部4に係止した係止位置(ロック位置)との上下距離が長く明瞭となるように構成し、一見で係止状態かどうかを視認でき(視覚的に係止状態かどうかを見分けることが容易となり)、また係合部4の深さ即ち係止部5の落ち込み量を大きくすることでカチン等の係止音(係止ロック音)も大きく鳴り装着感も良好となり音による着脱の判断が容易となるように構成している。
【0051】
更に具体的に説明すると、前記注出キャップ2は、図8に示すように、前記注出口3の外周面に被嵌当接するキャップ状の内周面で形成される金属製の筒状部20の上部の開口部を前記注出機構10で閉塞する構成とし、また前述のようにこの注出機構10はピン状部26により弁部27がバネ付勢に抗して差し込まれることで注出路が形成されて開弁状態となる構成とし、更に前記係合部4に係止する内端部5Aを内周面に設けた突出口15から突出状態にしてこの係止部5を突没動自在に配設する収納部19を、前記金属製のキャップ状の筒状部20の下端全周に折り返しフランジ部を形成して設けたキャップ本体16と、前記押し操作部7の押ボタン面を外周面に設けた窓口18より露出状態にバネ支承状態に設けたキャップ外周グリップ部17とから構成し、このキャップ本体16にキャップ外周グリップ部17を被嵌しつつ、前記移動方向変換連結機構14のカム溝12とカムピン13とが係合するように組み付けて、前記押し操作部7の押動に連動して前記係止部5が没動方向に移動するように組み付け構成している。
【0052】
即ち更に具体的に説明すると、キャップ本体16は、図4に示すように、前記キャップ状の注出機構10を設けた金属製の筒状部20の下端全周に前記係止部5の取付部として金属製の前記収納部19を一体形成し、この収納部19に内側方向に突没動自在に係止部5を載置収納した構成としている。
【0053】
具体的には、潤滑性の良い樹脂で一体成形した二つの係止部5を対向状態に収納部19に、その内端部5Aが突出口15から突設するように載置収納して、この収納部19内において係止部5はやや湾曲した横長形状に構成して筒状部20を囲むように収納されるように構成している。
【0054】
即ち、この収納部19内に載置収納した係止部5の内端部5Aはこの筒状部20の下端に設けた突出口15から内方へ突出可能に設けられ、この係止部5の背部から内方へ押すようにコイルバネを採用した金属製の前記係止付勢部6をこの係止部5と共に収納部19内に収納し、この係止部5の内端部5Aを内方へ突出付勢して突出状態となるように構成している。
【0055】
従って、キャップ本体16はこの筒状部20と収納部19とからなるキャップ状の金属パーツに、潤滑性の良い材料で形成した樹脂製の係止部5と金属製の係止付勢部6とを収納した構成としている。
【0056】
また更に、本実施例では、図13,図14に示すように、この係止部5の注出キャップ2の外周面と摺動接触し収納部19の支承面にも摺動接触する摺動接触部分となる内端部5A及び底面を潤滑性の良い樹脂製とすべく係止部5自体を樹脂で形成して、摺動接触部分を樹脂製とすることで突没動及び係脱もがスムーズとなるように構成しているが、たとえ樹脂部が熱で損傷しても係止状態が確保されるべく以下のように構成している。
【0057】
即ち、前記キャップ本体16は金属製とし、前記係止部5の前記係合部4に係合する内端部5Aは少なくとも前記係合部4に接触する部分の全部を、金属部5Kをインサート樹脂成形して金属部5Kを樹脂部で被覆形成した構成とし樹脂部とし、金属製のキャップ本体16に設けた金属製の係止付勢部6により突出方向に付勢された係止部5の内端部5Aの金属部5Kが、金属製の前記注出口3の外周面に設けた係合部4に前記樹脂部を介して係止するように構成している。
【0058】
即ち、本実施例では、板状の金属部5Kをインサート成形し、係止部5の内端部5Aの摺動接触部分(係合部4との係止に際しての係止先端部)を樹脂部としているが、係合部4との係止位置には樹脂部内に金属部5Kを配し、しかもこの金属部5Kを係止付勢部6が押圧付勢するように構成し、樹脂部が仮に損傷したり熱で溶けてもこの係止状態は残った金属パーツ構成のみでもなお確保されるように構成している。
【0059】
具体的には、係止部5を樹脂成形するに際して係合部4に係止する内端部5Aを構成する部分の一部に金属部5Kとして金属板をインサート成形し、この金属部5Kは係合部4に係止する位置に配されるが、係合部4やテーパ周面22等に接触する先端部(摺動接触部分)は樹脂で被覆して樹脂部とし滑動性が良く係脱がスムーズとなるように構成し、もしこの樹脂部が熱で溶けても、この金属部5Kが金属製の係止付勢部6で突出付勢されていることで係合部4に係止し、なおも係止状態が保持されるように構成している。
【0060】
また、図4,図1〜図11に示すように、このキャップ本体16に設けた係止部5の連結部9に前述のように移動方向変換連結機構14のカム溝12を設け、前記押し操作部7の連動用伝達部11に移動方向変換連結機構14のカムピン13を設け、このカム溝12とカムピン13とをスライド自在に係合しつつキャップ本体16にキャップ外周グリップ部17を組み付けて注出キャップ2を構成している。
【0061】
即ち、注出キャップ2の前記キャップ本体16は、前述のように金属製とし、押し操作部7を設けたキャップ外周グリップ部17とは無関係に係止状態が保持され、キャップ外周グリップ部17はあくまで係止部5を係脱作動操作させるものとして、樹脂で構成している。
【0062】
しかも、本実施例では、このようにキャップ外周グリップ部17を樹脂で構成しキャップ本体16の外側に被嵌組み付け構成することで、手が汚れる心配が一切なく、しかも良好なデザインを自由に容易に施し易い構成で、キャップ本体16の係止状態を外側から保護する補強作用や緩衝作用も果たすことができる構成となる。
【0063】
更に説明すると、本実施例のキャップ外周グリップ部17は、キャップ本体16に被嵌するドーナツ状のグリップ部17Aに設けたリング状収納部内に前記押し操作部7を対向状態に収納配設し、この押し操作部7の押しボタン面をこのグリップ部17Aに設けた窓口18から露出状態に配設して抗縮バネ28で支承し、各樹脂成形した押し操作部7の内端部の左右には連動用伝達部11を一体突出形成し、この連動用伝達部11が夫々周方向に延びた構成として、対向する一対の押し操作部7に夫々延設した周方向の連動用伝達部11の先端部にカムピン13を垂下し、このカムピン13がキャップ本体16の係止部5の連結部9に設けたカム溝12に差し込み係合し、押し操作部7の作動によって、突没動方向に対して傾斜しているカム溝12の内面をカンピン13が押して、押し操作部7による内方の押動が係止部5を外方(没動方向)に移動させるように構成している。
【0064】
従って、前記係止部5と係合部4のバネ付勢による係止状態は、外装部品たるキャップグリップ外周部17で保護され、またたとえ大きく破損しても係止状態が確保されるため、落下等の過度の取り扱いに耐えることができ、熱負荷時でも注出キャップ2が外れず、液漏れが生じない。
【0065】
またしかも、本実施例では、注出口3のテーパ周面22に合致するテーパ部を注出キャップ2の内周面即ちキャップ本体16の筒状部20に設け、この傾斜部(全周テーパ面部)同志が接触して支持される構成とし、落下時等の衝撃負荷が係止部5にかからないようにして強度を向上させて耐久性を向上させている。
【0066】
また、このカム溝12やカムピン13も潤滑性の高い樹脂で形成し、また前記係止部5の被支承面となる底面や係止部5を支承する支承部の支承面となるキャップ本体16の収納部19の底面等の前記係止部5の突没動に際しての突没動摺動面となる面にも、注出口3の外周面にも、クロムメッキやフッ素コーティング等の潤滑性が高いメッキ若しくはコーティングを施している。
【0067】
また、図15に示すように、前記係止部5の前記収納部19に支承される突没動摺動面となる被支承面(係止部5の底面)に、接触面積を少なくするリブ状の凸部25を設け、仮に異物が混入してもこれを回避できたりすることで摺動性が良好に維持され、耐久性が向上するように構成している。
【0068】
また、図15に示すように、前記移動方向変換連結機構14の前記カム溝12と前記カムピン13がスライド係合する前記係止部5の連結部9の上面と前記押し操作部7の連動用伝達部11の下面とのスライド摺動面の位置を、前記係止部5の前記係合部4に係止する内端部5Aが突出する前記突出口15の上端縁より上方に設定している。
【0069】
そのため、この突出口15の上端より一段高くなっていることから突出口15を介してスライド摺動面に異物が侵入しにくく、移動方向変換連結機構14の作動に支障が生じにくく、それ故係止部5の突没動が一層スムーズに行え耐久性に秀れるように構成している。
【0070】
尚、本実施例では、図1,図2に示すように、前記注出キャップ2を取り外した前記注出口3から燃油を給油しこの注出口3に注出キャップ2を被嵌係止して、油受面24上に倒立させて載置し、前記注出キャップ2に設けた前記注出機構10を介して前記油受面24に燃油を給油する石油ストーブや温風暖房機等の燃焼暖房機等の液消費機器に着脱自在に設けるカートリッジ式給油タンクに構成している。
【0071】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0072】
1 タンク本体
2 注出キャップ
3 注出口
4 係合部
5 係止部
5A 内端部
6 係止付勢部
7 押し操作部
8 係止機構
9 連結部
10 注出機構
11 連動用伝達部
12 カム溝
13 カムピン
14 移動方向変換連結機構
24 油受面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク本体に筒状に突設した注出口に、注出機構を設けた注出キャップを着脱自在に設け、前記注出口の外周面に設けた係合部と、前記注出キャップの内周面に突没動自在に突設されて前記係合部に係脱自在に係止し係止状態においては注出キャップを抜け止め状態とする係止部と、この係止部を突出方向に付勢して係止付勢する係止付勢部と、この係止付勢部の係止付勢に抗して前記係止部を没動方向に移動させて前記係合部との係止状態を解除させる前記注出キャップの外周面に設けた押し操作部とから成る係止機構を備えて、前記注出キャップを前記注出口に被嵌してこの注出口の軸方向に押し下げることで、前記係止部が前記係合部に前記係止付勢部の係止付勢により係止して抜け止め状態となり、逆に注出口の外周面に設けた前記押し操作部を押動することで前記係止付勢に抗して係止部が没動方向に移動して係合部から係脱し注出キャップを注出口から取り外せるように構成した給液タンクであって、前記係合部に係止する前記係止部を、対向状態若しくは間隔を置いて周方向に複数前記注出キャップの内周面から内側へ突没動自在に突出配設し、前記押し操作部を対向状態若しくは間隔を置いて周方向に複数前記注出キャップの外周面に露出状態に配設し、前記複数の押し操作部の間に夫々前記係止部が配設されるように構成すると共に、前記押し操作部の一方側を一方側で隣り合う前記係止部に連結すると共に、他方側を他方側で隣り合う前記係止部に連結して、各係止部は、隣り合う異なる押し操作部の片側と夫々連結された構成とし、前記一方の押し操作部のみを押動すると、前記双方の係止部に没動方向に移動させる没動力が伝達されるが双方の係止部とも前記係合部から係脱せず、前記双方の押し操作部を押動すると、前記各係止部に前記異なる押し操作部の押動による前記没動力が伝達されこの各押し操作部の押動による没動力が協動し前記双方の係止部が前記係合部から係脱するように構成して、前記一つの押し操作部の押動のみではこれに連動する前記係止部は前記係合部から係脱せず、前記二つ以上の押し操作部を押動した際に前記押し操作部による前記没動力が伝達され協働して前記二つ以上の係止部が前記係合部から係脱し、且つ少なくとも前記二つ以上の係止部が前記二つ以上の押し操作部の押動によって前記係合部から係脱しなければ前記注出キャップを前記注出口から取り外せないように前記係止機構を構成したことを特徴とする給液タンク。
【請求項2】
タンク本体に筒状に突設した注出口に、注出機構を設けた注出キャップを着脱自在に設け、前記注出口の外周面に設けた係合部と、前記注出キャップの内周面に突没動自在に突設されて前記係合部に係脱自在に係止し係止状態においては注出キャップを抜け止め状態とする係止部と、この係止部を突出方向に付勢して係止付勢する係止付勢部と、この係止付勢部の係止付勢に抗して前記係止部を没動方向に移動させて前記係合部との係止状態を解除させる前記注出キャップの外周面に設けた押し操作部とから成る係止機構を備えて、前記注出キャップを前記注出口に被嵌してこの注出口の軸方向に押し下げることで、前記係止部が前記係合部に前記係止付勢部の係止付勢により係止して抜け止め状態となり、逆に注出口の外周面に設けた前記押し操作部を押動することで前記係止付勢に抗して係止部が没動方向に移動して係合部から係脱し注出キャップを注出口から取り外せるように構成した給液タンクであって、前記係合部に係止する前記係止部を、対向状態若しくは間隔を置いて周方向に複数前記注出キャップの内周面から内側へ突没動自在に突出配設し、前記押し操作部を対向状態若しくは間隔を置いて周方向に複数前記注出キャップの外周面に露出状態に配設し、前記押し操作部に、この押し操作部の内側への押動に伴って移動し前記係止部に連結する連動用伝達部を設け、この連動用伝達部は、前記押し操作部の押動によりこの連動用伝達部が移動することによって、この連動用伝達部を連結した前記係止部に没動方向に移動させる没動力が伝達される構成とし、前記複数の押し操作部の間に夫々前記係止部が配設されるように構成すると共に、前記押し操作部の一方側に設けた連動用伝達部を一方側で隣り合う前記係止部に連結すると共に、他方側に設けた連動用伝達部を他方側で隣り合う前記係止部に連結して、各係止部は、隣り合う異なる押し操作部に設けた夫々片側の連動用伝達部と連結された構成とし、前記一方の押し操作部のみを押動すると、前記両側の連動用伝達部を介して前記双方の係止部に没動方向に移動させる没動力が伝達されるが双方の係止部とも前記係合部から係脱せず、前記双方の押し操作部を押動すると、前記各係止部に前記異なる押し操作部の前記各片側の連動用伝達部を介して前記没動力が伝達されこの各押し操作部の押動による没動力が協動し前記双方の係止部が前記係合部から係脱するように構成して、前記一つの押し操作部の押動のみではこれに連動する前記係止部は前記係合部から係脱せず、前記二つ以上の押し操作部を押動した際に前記各連動用伝達部を介して前記没動力が伝達され協働して前記二つ以上の係止部が前記係合部から係脱し、且つ少なくとも前記二つ以上の係止部が前記二つ以上の押し操作部の押動によって前記係合部から係脱しなければ前記注出キャップを前記注出口から取り外せないように前記係止機構を構成したことを特徴とする給液タンク。
【請求項3】
前記注出キャップの外周面の片手の異なる指先で夫々内側へ押動できる位置に、二つの前記押し操作部を露出状態にして対向状態に設け、この二つの押し操作部の間に夫々配設されるようにして前記係止部を対向状態に注出キャップの内周面から内側に突出配設し、前記二つの押し操作部の夫々の左右に前記連動用伝達部を夫々対向状態に設け、この各押し操作部に設けた各左右の連動用伝達部を夫々隣り合う係止部に夫々連結して、各係止部は、隣り合う異なる押し操作部に設けた夫々片側の前記連動用伝達部と連結された構成としたことを特徴とする請求項2記載の給液タンク。
【請求項4】
筒状に形成した前記注出キャップに、前記連動用伝達部を対称状態に左右両端部に設けた前記押し操作部を外周面から押ボタン面を露出状態にして対称状態に配設し、この押し操作部間に配設されるように前記係止部を内端部を内周面から突出状態にして対称状態に設け、この各係止部の両端部に対称状態に設けた連結部若しくは前記各係止部に設けた連結部の両端部に、前記異なる押し操作部の夫々の一方側の前記連動用伝達部を連結して前記係止機構を対称構造として、各押し操作部の押動によって各係止部に前記没動力が伝達されると共にこの没動力が均等に伝達されるように構成し、前記一方の押し操作部のみを押動しても各係止部の少なくとも一端部が未だ前記係合部から係脱せず、前記双方の押し操作部を押動することで、各係止部に均等の前記没動力が伝達され協動し各係止部の両端部とも前記係合部から係脱する構成として、前記双方の押し操作部を押動してはじめて前記注出キャップを前記注出口から取り外せるように構成したことを特徴とする請求項3記載の給液タンク。
【請求項5】
前記押し操作部に設けた前記連動用伝達部と前記係止部に設けた連結部との連結を、前記押し操作部の内方への押動による前記連動用伝達部の内方への可動によって、前記係止部を逆方向の外方の没動方向への移動に変換して前記没動力を生じさせるカム溝とカムピンとの係合構成とした移動方向変換連結機構による連結としたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の給液タンク。
【請求項6】
前記注出キャップを取り外した前記注出口から燃油を給油しこの注出口に注出キャップを被嵌係止して、油受面上に倒立させて載置し、前記注出キャップに設けた前記注出機構を介して前記油受面に燃油を給油するカートリッジ式給油タンクに構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の給液タンク。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の給液タンクを着脱自在に備えたことを特徴とする燃焼暖房機等の液消費機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−141130(P2012−141130A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50502(P2012−50502)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【分割の表示】特願2006−223411(P2006−223411)の分割
【原出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(000109026)ダイニチ工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】