説明

緊急警報放送受信機能付受信機、映像・音声提供システム、緊急警報放送受信方法

【課題】 災害情報をより確実に入手できるようにする。
【解決手段】 受信制御部9は地上デジタルテレビ放送受信部2で受信されたTMCC情報を監視し、緊急警報放送受信用起動フラグが1になり、緊急警報放送が開始すると、受信信号に含まれる緊急警報放送選局情報を参照して、緊急警報放送が現在選局中のチャネルで行われているか判定する。行われているとき現在選局中のチャンネルでのワンセグメント放送の有無を判定し、有りの場合はワンセグメント放送に切り替える。無しの場合は12セグメント放送を受信させる。緊急警報放送が現在選局中のチャネルで行われていない場合、地上デジタルテレビ放送受信部に対し選局制御をし、緊急警報放送を行っているチャネルを受信させる。そして、PSI/SI情報中の部分受信記述子からワンセグメント放送の有無を判定し、有りの場合はワンセグメント放送を受信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は緊急警報放送受信機能付受信機、映像・音声提供システム、緊急警報放送受信方法に係り、とくに移動体で緊急警報放送を受信する場合に好適な緊急警報放送受信機能付受信機、映像・音声提供システム、緊急警報放送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタルテレビ放送には、地震、津波等の災害発生時、緊急警報放送を放送し、視聴者に災害情報を伝達する緊急警報システムが備えられている。この緊急警報システムでは、TMCC情報中の緊急警報放送用起動フラグとPMT情報中の緊急警報記述子により緊急警報信号を伝送し、地上デジタルテレビ受信機に緊急警報放送の存在を通知する。待機中の地上デジタルテレビ受信機は緊急警報信号を受信すると、自動起動して緊急警報記述子等に含まれる緊急警報放送中の放送局、チャンネルを示す緊急警報放送選局情報を参照して緊急警報放送を自動選局したり、緊急警報信号を受信した時点で警告音を発生し、ユーザによる手動起動、手動選局を促すようになっている(ARIB TR −B14 「地上デジタルテレビジョン放送運用規定第7編7.9 節緊急警報放送の運用」参照)。緊急警報信号を受信したとき地上デジタルテレビ受信機が緊急警報放送を行なうチャンネルとは異なるチャンネルを選局中であっても、緊急警報放送選局情報を参照して緊急警報放送をしているチャンネルに自動切り替え可能な受信機も実用化されている。
地上デジタルテレビ受信機が車載用の移動体型であり、車載用ナビゲーション装置、車載用DVDプレーヤなどと組み合わせた車載用映像・音声提供システムの場合、車載用ナビゲーション装置や車載用DVDプレーヤからの映像・音声出力中に地上デジタルテレビ受信機が緊急警報信号を受信したとき、地上デジタルテレビ受信機で緊急警報放送を受信させて緊急警報放送の音声を出力させ、運転者が緊急警報放送を聞き逃さないように制御するシステムも実用化されている(特開2007−060489号、特許文献1)。
【0003】
ところで、地上デジタルテレビ受信機が移動体型の場合、車両の移動により地上波の受信状況が刻々と変化する。このため、緊急警報信号の受信後、緊急警報放送のなされているチャンネルへ切り替えた際に、必ずしも緊急警報放送が受信できるとは限らない。緊急警報放送を受信できないと、映像・音声によって災害情報を視聴者に提示できず、受信機のもつ緊急警報受信機能の利便性が損なわれてしまうことになる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−060489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑み、災害情報をより確実に入手できるようにした緊急警報放送受信機能付受信機、映像・音声提供システム、緊急警報放送受信方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の緊急警報放送受信機能付受信機の1つでは、地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能で、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段と、受信した映像・音声信号に基づき映像・音声を出力する出力手段と、受信信号から緊急警報放送の開始を検出する緊急警報放送開始検出手段と、受信信号から緊急警報放選局情報を抽出する抽出手段と、緊急警報信号が検出されると緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させる受信制御手段と、を備えた緊急警報放送受信機能付受信機において、受信制御手段は、緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の地上デジタルテレビ放送局がワンセグメント放送を放送中のときは、受信手段にワンセグメント放送を優先して受信させるようにしたこと受信させるようにしたこと、を特徴としている。
本発明の緊急警報放送受信機能付受信機の他の1つでは、地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能で、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段と、受信した映像・音声信号に基づき映像・音声を出力する出力手段と、受信手段の受信信号から緊急警報放送の開始を検出する緊急警報放送開始検出手段と、受信手段の受信信号から緊急警報放送選局情報を抽出する抽出手段と、緊急警報信号が検出されると緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させる受信制御手段と、を備えた緊急警報放送受信機能付受信機において、受信手段で受信中のチャンネルでのワンセグメント放送の有無を検出する検出手段と、受信手段で受信中のチャンネルでの複数セグメント放送とワンセグメント放送の受信状況の良否を比較する比較手段を設け、受信制御手段は、緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の緊急警報放送局がワンセグメント放送を放送中であり、複数セグメント放送よりワンセグメント放送の受信状況が良好な場合にワンセグメント放送を受信させ、ワンセグメント放送より複数セグメント放送の受信状況が良好な場合には複数セグメント放送を受信させるようにしたこと、を特徴としている。比較手段は、受信信号のエラーレートに基づき受信状況の良否を比較するようにしても良い。
本発明の映像・音声提供システムの1つでは、地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能で、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段と、受信信号から緊急警報放送の開始を検出する緊急警報放送開始検出手段と、受信信号から緊急警報放送選局情報を抽出する抽出手段と、受信手段を含む1または複数のソースから入力した映像・音声信号に基づき映像・音声を出力する出力手段と、緊急警報放送の開始が検出されると緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させるとともに出力手段から緊急警報放送の映像・音声を出力させるシステム制御手段と、を備えた映像・音声提供システムにおいて、システム制御手段は、緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の地上波デジタル放送局がワンセグメント放送を放送中のときは、受信手段にワンセグメント放送を優先して受信させるようにしたこと、を特徴としている。
本発明の映像・音声提供システムの他の1つでは、地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能で、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段と、受信信号から緊急警報放送の開始を検出する緊急警報放送開始検出手段と、受信信号から緊急警報放送選局情報を抽出する抽出手段と、受信手段を含む1または複数のソースから入力した映像・音声信号に基づき映像・音声を出力する出力手段と、緊急警報放送の開始が検出されると緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させるとともに出力手段から緊急警報放送の映像・音声を出力させるシステム制御手段と、を備えた映像・音声提供システムにおいて、受信手段で受信中のチャンネルでのワンセグメント放送の有無を検出する検出手段と、受信手段で受信中のチャンネルでの複数セグメント放送とワンセグメント放送の受信状況の良否を比較する比較手段を設け、システム制御手段は、緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の緊急警報放送局がワンセグメント放送を放送中であり、複数セグメント放送よりワンセグメント放送の受信状況が良好な場合にワンセグメント放送を受信させ、ワンセグメント放送より複数セグメント放送の受信状況が良好な場合には複数セグメント放送を受信させるようにしたこと、を特徴としている。比較手段は、受信信号のエラーレートに基づき受信状況の良否を比較するようにしても良い。
【0007】
本発明の緊急警報放送受信方法の1つでは、地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能であり、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段の受信信号から緊急警報放送の開始を検出すると受信信号から抽出した緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させる緊急警報放送受信方法において、緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の地上デジタルテレビ放送局がワンセグメント放送を放送中のときは、受信手段にワンセグメント放送を優先して受信させるようにしたこと、を特徴としている。
本発明の緊急警報放送受信方法の他の1つでは、地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能であり、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段の受信信号から緊急警報放送の開始を検出すると受信信号から抽出した緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させる緊急警報放送受信方法において、緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の地上デジタルテレビ放送局がワンセグメント放送を放送中か判別し、ワンセグメント放送を放送中のとき、複数セグメント放送とワンセグメント放送の受信状況の良否を比較し、複数セグメント放送よりワンセグメント放送の受信状況が良好な場合にワンセグメント放送を受信させ、ワンセグメント放送より複数セグメント放送の受信状況が良好な場合には複数セグメント放送を受信させるようにしたこと、を特徴としている。受信状況の良否は受信信号のエラーレートに基づき比較するようにしても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、緊急警報放送が行われているチャンネルの複数セグメント放送とワンセグメント放送の内、受信率が高い放送を受信するようにしたので、移動中であっても緊急警報放送の受信可能性を高めることができ、より確実に災害情報を入手することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
地上デジタルテレビ放送受信部はOFDMセグメント12個から成る12セグメント放送とOFDMセグメント1個から成るワンセグメント放送の両者を受信可能とする。移動体受信において通常、ワンセグメント放送の方が12セグメント放送よりも受信率が高い。受信制御部は地上デジタルテレビ放送受信部で受信されたTMCC情報を監視し、緊急警報放送受信用起動フラグが1になり、緊急警報放送が開始すると、PSI/SI情報中の緊急情報記述子を読み取り、該緊急情報記述子に含まれる緊急警報放送選局情報を参照して、緊急警報放送が現在選局中のチャネルで行われているか判定する。行われているときPSI/SI情報中の部分受信記述子から現在選局中のチャンネルでのワンセグメント放送の有無を判定し、有りの場合はワンセグメント放送に切り替える。無しの場合は12セグメント放送を受信させる。緊急警報放送が現在選局中のチャネルで行われていない場合、地上デジタルテレビ放送受信部に対し選局制御をし、緊急警報放送を行っているチャネルを受信させる。そして、PSI/SI情報中の部分受信記述子からワンセグメント放送の有無を判定し、有りの場合はワンセグメント放送を受信させ、災害情報を入手できる可能性を高くする。無しの場合は12セグメント放送を受信させる。
【実施例1】
【0010】
次に、図1を参照して本発明の第1実施例を説明する。図1は本発明に係る車載用地上デジタルテレビ放送受信機の構成を示すブロック図である。
図1において、1は地上デジタルテレビ放送用のアンテナ、2は地上デジタルテレビ放送受信部であり、OFDMセグメント12個による固定/移動体向けの12セグメント放送とOFDMセグメント1個による携帯端末向けのワンセグメント放送の両者を受信可能である。移動体受信においては通常、ワンセグメント放送の方が12セグメント放送よりも受信率が高い。地上デジタルテレビ放送受信部2は後述する受信制御部の選局制御に従い所望放送局のチャンネルから送信されたOFDMセグメント13個による地上デジタルテレビ放送波(OFDM変調波)を選局し、OFDM復調により12セグメント放送とワンセグメント放送別のトランスポートストリームを復元するとともにTMCC情報を抽出し、更に各トランスポートストリームからPSI/SI情報を抽出するとともにTV放送サービスの映像・音声を復号したり、データ放送サービスのデータ信号を抽出して一時記憶したりし、最終的に所望チャンネルの所望サービス(12セグメントTV放送サービス、12セグメントデータ放送サービス、ワンセグメントTV放送サービス、ワンセグメントデータ放送サービスの内の1つ)の映像・音声信号を作成して出力する。3は映像・音声出力装置であり、映像信号を入力して映像表示する液晶表示部4、音声信号を入力して電力増幅するアンプ5、アンプ5の出力で駆動されるスピーカ6を有する。7は選局制御に用いる放送局毎の物理チャンネル番号、放送局名、放送局識別データ、放送周波数、地域符号等のリストが記憶されるとともに、地上デジタルテレビ放送受信部2が受信したTMCC情報、PSI/SI情報等を記憶する記憶部、8は選局操作(ここでは放送局の選局操作、12セグメント放送とワンセグメント放送の切り替え操作、TV放送/データ放送のサービス内容の選択操作を含む)等を行う操作部、9は受信制御部であり、ユーザの選局操作に従い地上デジタルテレビ放送受信部2に対し選局制御(ここではチャンネルの選局、12セグメント放送とワンセグメント放送の切り替え、TV放送/データ放送のサービス内容の選択を含む)を行ったり、緊急警報放送が開始した場合にワンセグメント放送を優先した緊急警報放送の自動受信制御を行ったりする。
【0011】
受信制御部9は操作部8により所望放送局の選局操作(物理チャンネル番号、放送局名、放送周波数、放送局識別データの指定等)がされると、地上デジタルテレビ放送受信部2に対し所望放送局のチャンネルの選局制御を行い、所望放送局の地上デジタルテレビ放送波(OFDM変調波)を受信させ、最初は12セグメントTV放送サービスを出力させる。操作部8によりワンセグメントTV放送サービスへの切り替え操作がされると、PSI/SI情報を参照してワンセグメントTV放送中か判別し、放送中であればワンセグメントTV放送サービスの受信に切り替えさせる。
【0012】
受信制御部9はユーザ所望放送サービスの受信中、地上デジタルテレビ放送受信部2で受信信号から抽出されたTMCC情報を監視する。緊急警報放送受信用起動フラグが1になると緊急警報放送が開始したたと判断し、PSI/SI情報中の緊急情報記述子を読み取り、該緊急情報記述子に含まれる緊急警報放送選局情報(放送局識別データ、放送番組識別データ、物理チャンネル識別データ等)を参照して、緊急警報放送が現在選局中のチャネルで行われているか判定する。行われているときPSI/SI情報中の部分受信記述子から現在選局中のチャンネルでのワンセグメント放送の有無を判定し、有りの場合はワンセグメント放送(ワンセグメントTV放送またはワンセグメントデータ放送)に切り替えさせ、移動中に受信状況が悪化したときに災害情報を入手できる可能性を高くする。緊急警報放送が現在選局中のチャンネルで行われていない場合、地上デジタルテレビ放送受信部2に対し選局制御をし、緊急警報放送を行っているチャンネルを受信させる。そして、PSI/SI情報中の部分受信記述子からワンセグメント放送の有無を判定し、有りの場合はワンセグメント放送(ワンセグメントTV放送またはワンセグメントデータ放送)を受信させ、災害情報を入手できる可能性を高くする。無しの場合は12セグメント放送(12セグメントTV放送または12セグメントデータ放送)を受信させる。
【0013】
図2は受信制御部9による緊急警報放送自動受信割り込み制御処理を示すフローチャートであり、以下、図2を参照して上記した実施例の動作を説明する。
なお、予め地上デジタルテレビ放送受信部2により或る物理チャンネルの放送局の12セグメントTV放送を視聴中であるとする。地上デジタルテレビ放送受信部2は受信中のOFDM変調波に含まれるTMCC情報、12セグメントトランスポートストリームに含まれるPSI/PS情報を抽出し、受信制御部9へ出力している。受信制御部9はTMCC情報を監視し、緊急警報放送用起動フラグが1になると緊急警報放送が開始したと判断し、図2に示す緊急警報放送受信用割り込み処理を実行する。まずPSI/PS情報の緊急情報記述子に含まれる緊急警報放送選局情報(放送局識別データ、放送番組識別データ、物理チャンネル識別データ等)を参照して、緊急警報放送を行っている放送局が現在選局中の局と一致するか判断する(図2のステップS10)。一致するとき、PSI/PS情報の部分受信記述子を参照して現在選局中の局がワンセグメント放送を行っているか判断する(ステップS11)。行っているとき、現在ワンセグメント放送を受信中か判断し(ステップS12)、NOなので地上デジタルテレビ放送受信部2を制御し、ワンセグメント放送(ワンセグメントTV放送またはワンセグメントデータ放送)に切り替えさせる(ステップS13)。ワンセグメント放送を行っていないときは12セグメント放送の受信を継続させる(ステップS14)。緊急警報放送を行っている放送局が現在選局中の局と一致しないとき(ステップS10でNO)、緊急警報放送選局情報に従い地上デジタルテレビ放送受信部2に対する選局制御をし、緊急警報放送を行っているチャンネルを選局させる(ステップS15)。そして、PSI/PS情報の部分受信記述子を参照して選局したチャンネルの放送局がワンセグメント放送を行っているか判断する(ステップS16)。行っているとき、地上デジタルテレビ放送受信部2を制御し、ワンセグメント放送(ワンセグメントTV放送またはワンセグメントデータ放送)に切り替えさせる(ステップS13)。ワンセグメント放送を行っていないときは、12セグメント放送(12セグメントTV放送または12セグメントデータ放送)に切り替えさせる(ステップS14)。
【0014】
これと異なり、予め地上デジタルテレビ放送受信部2により或るチャンネルの放送局のワンセグメントTV放送を視聴中であったとき、緊急警報放送用起動フラグが1になり、緊急警報放送が開始したと判断すると、PSI/PS情報の緊急情報記述子に含まれる緊急警報放送選局情報(放送局識別データ、放送番組識別データ、物理チャンネル識別データ等)を参照して、緊急警報放送を行っている放送局が現在選局中の局と一致するか判断する。一致するときは現在のワンセグメント放送受信状態を継続させる(ワンセグメントデータ放送に切り替えても良い。ステップS10〜S13)。一致しないとき、緊急警報放送選局情報に従い地上デジタルテレビ放送受信部2に対する選局制御をし、緊急警報放送を行っているチャンネルを選局させる(ステップS15)。そして、選局したチャンネルの放送局がワンセグメント放送を行っているか判断する(ステップS16)。行っているとき、地上デジタルテレビ放送受信部2を制御し、ワンセグメント放送(ワンセグメントTV放送またはワンセグメントデータ放送)に切り替えさせる(ステップS13)。ワンセグメント放送を行っていないときは、12セグメント放送(12セグメントTV放送または12セグメントデータ放送)に切り替えさせる(ステップS14)。
【0015】
この実施例によれば、緊急警報放送の開始が検出されると、緊急警報放送を行っているチャンネルのワンセグメント放送に優先して切り替えられるので、移動中で受信状況が悪化しても、緊急警報放送を受信できる可能性が高くなり、災害情報を入手できる可能性が高くなる。
なお、緊急警報放送用起動フラグが1になると緊急警報放送が開始したと判断するようにしたが、緊急警報放送用起動フラグが1となり、かつ、PSI/SI情報中の緊急情報記述子のスタート/エンドフラグが1となったとき、緊急警報放送が開始したと判断するようにしても良い。
【0016】
また、移動中、マルチパス、周波数選択性フェージングによりワンセグメント放送に寄与する周波数帯のみ受信電力が減少し、12セグメント放送の受信状況がワンセグメント放送の受信状況より良好な場合がまれに発生する。この場合、緊急警報放送の開始が検出されたとき、ワンセグメント放送を優先的に受信するようにすると、却って災害情報の入手可能性が低くなってしまう。このため、12セグメント放送とワンセグメント放送の受信状況の良否を比較し、受信状況がより良好な放送に切り替えるようにしても良い。受信状況の良否は、例えば12セグメントトランスポートストリームの復調系でのビタビ復号後のBER(Bit
Error Rate)またはリードソロモン復号後のPER(Packet Error Rate) と、ワンセグメントトランスポートストリームの復調系でのビタビ復号後のBERまたはリードソロモン復号後のPERを地上デジタルテレビ放送受信部2で計測し、受信制御部9で比較することで判断できる。BERまたはPERは受信状況が良好なほど小さくなる。
【0017】
具体的には、図2を図3の如く変更し、通常の12セグメントTV放送またはワンセグメントTV放送を視聴中に緊急警報放送用起動フラグが1になると受信制御部9は緊急警報放送が開始したと判断し、図3の緊急警報放送受信用割込み処理を実行し、まずPSI/PS情報の緊急情報記述子に含まれる緊急警報放送選局情報(放送局識別データ、放送番組識別データ、物理チャンネル識別データ等)を参照して、緊急警報放送を行っている放送局が現在選局中の局と一致するか判断する(図3のステップS20)。一致するとき、PSI/PS情報の部分受信記述子を参照して現在選局中の局がワンセグメント放送を行っているか判断する(ステップS21)。行っているとき、地上デジタルテレビ放送受信部2の12セグメント放送トランスポートストリーム復調系からBER(PER)を入力し、ワンセグメント放送トランスポートストリーム復調系からBER(PER)を入力し、大小比較を行う(ステップS22)。小さい方の系統の放送が受信状況が良好と判断し、地上デジタルテレビ放送受信部2を制御し、12セグメント放送とワンセグメント放送の内、受信状況が良好な系統の放送に切り替えさせる(ステップS23またはS24)。現在選局中の局がワンセグメント放送を行っていないときは、12セグメント放送を受信させる(ステップS24)。
現在選局中のチャンネルでは緊急警報放送がされていない場合、緊急警報放送選局情報に従い地上デジタルテレビ放送受信部2に対する選局制御をし、緊急警報放送を行っているチャンネルを選局させる(ステップS20でNO、S24)。そして、PSI/PS情報の部分受信記述子を参照して選局したチャンネルの放送局がワンセグメント放送を行っているか判断する(ステップS25)。行っているとき、地上デジタルテレビ放送受信部2の12セグメント放送トランスポートストリーム復調系からBER(PER)を入力し、ワンセグメント放送トランスポートストリーム復調系からBER(PER)を入力し、大小比較を行う。小さい方の系統の放送が受信状況が良好と判断し、地上デジタルテレビ放送受信部2を制御し、受信状況が良好な系統の放送に切り替えさせる(ステップS22、S23またはS24)。現在選局中の局がワンセグメント放送を行っていないときは、12セグメント放送を受信させる(ステップS24)。
このようにすれば、現在の受信状況に拘わらず、緊急警報放送の受信率を高めることができる。
【実施例2】
【0018】
図4は本発明の第2実施例に係る車載用映像・音声提供システムの構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成部分には同一の符号が付してある。
上記した第1実施例では、車載用地上デジタルテレビ放送受信機を例に挙げて説明したが、図4は車載用ナビゲーション装置と組み合わせた車載用映像・音声提供システムにおいて、緊急警報放送の開始を検出したときに他のソースから自動的に緊急警報放送に切り替えて視聴可能とするものである。
図4において、10は車載用映像・音声提供システムであり、この内、1はアンテナ、2は地上デジタルテレビ放送受信部、11は現在位置周辺の地図画像を表示したり、目的地まで交差点進路案内を画像と音声で行ったりする車載用ナビゲーション部、12はソースの切り替えを行うソース切り替え部、13は映像・音声出力部であり、図1の映像・音声出力装置3と同一の構成を有する。14は車載用ナビゲーション部と地上デジタルテレビ放送受信部2とのソース切り替え操作、地上デジタルテレビ放送受信部2に対する選局操作、車載用ナビゲーション部11に対する現在地周辺の地図の拡大・縮小、現在地から所望目的地までの経路探索と画像と音声による経路案内等の指示を行う操作部、15は選局制御に用いる放送局毎の物理チャンネル番号、放送局名、放送局識別データ、放送周波数、地域符号等のリストが記憶されるとともに、地上デジタルテレビ放送受信部2が受信したTMCC情報、PSI/SI情報等を記憶する記憶部、16はシステム制御部であり、操作部14のソース切り替え操作に応じてソース切り替え部12の切り替え制御をしたり、地図の拡大・縮小操作に応じて車載用ナビゲーション部11を制御して現在地周辺の地図の拡大・縮小をさせたり、目的地の設定操作がされると現在地から目的地までの経路探索をさせ、画像と音声により経路案内させる。また、選局操作に応じて地上デジタルテレビ放送受信部2に対する選局制御をしたり、緊急警報放送が開始した場合にワンセグメント放送を優先した緊急警報放送の自動受信制御を行ったりする。
【0019】
図5はシステム制御部14による緊急警報放送自動受信割り込み制御処理を示すフローチャートであり、以下、図5を参照して上記した実施例の動作を説明する。
なお、予め地上デジタルテレビ放送受信部2は或るチャンネルの放送局の12セグメントTV放送を選局中であり、ソース切り替え部12は車載用ナビゲーション部11の側に切り替えられており、車載用ナビゲーション部11は現在位置周辺の地図画像の映像を出力しているものとする。地上デジタルテレビ放送受信部2は受信中のOFDM変調波に含まれるTMCC情報、12セグメントトランスポートストリームに含まれるPSI/PS情報を抽出し、システム制御部16へ出力している。システム制御部16はTMCC情報を監視し、緊急警報放送用起動フラグが1になると緊急警報放送が開始したと判断し、図5の緊急警報放送自動受信割り込み処理を実行し、まずソース切り替え部12を地上デジタルテレビ放送受信部2の側に切り替え(図5のステップS30、S31)、あとは図2と全く同様にして緊急警報放送を行っている放送局が現在選局中の局と一致するか判断し、一致するとき、現在選局中の局がワンセグメント放送を行っているか判断し、行っているとき、地上デジタルテレビ放送受信部2を制御し、ワンセグメント放送に切り替えさせる(図10〜図13)。ワンセグメント放送を行っていないとき、ワンセグメント放送を行っていないときは12セグメント放送の受信を継続させる(ステップS14)。緊急警報放送を行っている放送局が現在選局中の局と一致しないとき(ステップS10でNO)、緊急警報放送選局情報に従い地上デジタルテレビ放送受信部2に対する選局制御をし、緊急警報放送を行っているチャンネルを選局させる(ステップS15)。そして、PSI/PS情報の部分受信記述子を参照して選局したチャンネルの放送局がワンセグメント放送を行っているか判断する(ステップS16)。行っているとき、地上デジタルテレビ放送受信部2を制御し、ワンセグメント放送(ワンセグメントTV放送またはワンセグメントデータ放送)に切り替えさせる(ステップS13)。ワンセグメント放送を行っていないときは、12セグメント放送(12セグメントTV放送または12セグメントデータ放送)に切り替えさせる(ステップS14)。
【0020】
これと異なり、予め地上デジタルテレビ放送受信部2により或るチャンネルの放送局のワンセグメントTV放送を視聴中であったとき、緊急警報放送用起動フラグが1になり、緊急警報放送が開始したと判断すると、PSI/PS情報の緊急情報記述子に含まれる緊急警報放送選局情報(放送局識別データ、放送番組識別データ、物理チャンネル識別データ等)を参照して、緊急警報放送を行っている放送局が現在選局中の局と一致するか判断する。一致するときは現在のワンセグメント放送受信状態を継続させる(ワンセグメントデータ放送に切り替えても良い。ステップS10〜S13)。一致しないとき、緊急警報放送選局情報に従い地上デジタルテレビ放送受信部2に対する選局制御をし、緊急警報放送を行っているチャンネルを選局させる(ステップS15)。そして、選局したチャンネルの放送局がワンセグメント放送を行っているか判断する(ステップS16)。行っているとき、地上デジタルテレビ放送受信部2を制御し、ワンセグメント放送(ワンセグメントTV放送またはワンセグメントデータ放送)に切り替えさせる(ステップS13)。ワンセグメント放送を行っていないときは、12セグメント放送(12セグメントTV放送または12セグメントデータ放送)に切り替えさせる(ステップS14)。
【0021】
この実施例によれば、緊急警報放送の開始が検出されると、ソース切り替え部12が地上デジタルテレビ放送受信部2の側に切り替えられ緊急警報放送を行っているチャンネルが受信・出力されるので、地図画面を表示させていた場合でも緊急警報放送を見逃さずに済む。また緊急警報放送を行っているチャンネルのワンセグメント放送が優先して受信されるので、車載用ナビゲーション部移動中で受信状況が悪化しても、緊急警報放送を受信できる可能性が高くなり、災害情報を入手できる可能性が高くなる。
なお、図5のステップS10以降を図3のステップ20以降に置き換えて、12セグメント放送とワンセグメント放送の受信状況の良否を比較し、受信状況がより良好な放送に切り替えるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、車載用地上デジタルテレビ放送受信機、地上デジタルテレビ放送受信機を含む車載用のナビゲーションシステム等の車載用映像・音声提供システム、地上デジタルテレビ放送受信機能付の携帯電話・携帯メディアプレーヤなど各種移動体機器、携帯機器などに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る車載用地上デジタルテレビ放送受信機の構成を示すブロック図である(実施例1)。
【図2】図1の受信制御部による緊急警報放送自動受信割り込み処理を示すフローチャートである。
【図3】図2の変形例に係るフローチャートである。
【図4】本発明に係る車載用地上デジタルテレビ放送受信機の構成を示すブロック図である(実施例2)。
【図5】図4のシステム制御部による緊急警報放送自動受信割り込み処理を示すフローチャートである。。
【符号の説明】
【0024】
2 地上デジタルテレビ放送受信部
3 映像・音声出力装置
9 受信制御部
10 車載用映像・音声提供システム
13 映像・音声出力部
16 システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能で、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段と、受信した映像・音声信号に基づき映像・音声を出力する出力手段と、受信信号から緊急警報放送の開始を検出する緊急警報放送開始検出手段と、受信信号から緊急警報放選局情報を抽出する抽出手段と、緊急警報信号が検出されると緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させる受信制御手段と、を備えた緊急警報放送受信機能付受信機において、
受信制御手段は、緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の地上デジタルテレビ放送局がワンセグメント放送を放送中のときは、受信手段にワンセグメント放送を優先して受信させるようにしたこと、
を特徴とする緊急警報放送受信機能付受信機。
【請求項2】
地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能で、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段と、受信した映像・音声信号に基づき映像・音声を出力する出力手段と、受信手段の受信信号から緊急警報放送の開始を検出する緊急警報放送開始検出手段と、受信手段の受信信号から緊急警報放送選局情報を抽出する抽出手段と、緊急警報信号が検出されると緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させる受信制御手段と、を備えた緊急警報放送受信機能付受信機において、
受信手段で受信中のチャンネルでのワンセグメント放送の有無を検出する検出手段と、
受信手段で受信中のチャンネルでの複数セグメント放送とワンセグメント放送の受信状況の良否を比較する比較手段を設け、
受信制御手段は、緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の緊急警報放送局がワンセグメント放送を放送中であり、複数セグメント放送よりワンセグメント放送の受信状況が良好な場合にワンセグメント放送を受信させ、ワンセグメント放送より複数セグメント放送の受信状況が良好な場合には複数セグメント放送を受信させるようにしたこと、
を特徴とする緊急警報放送受信機能付受信機。
【請求項3】
地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能で、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段と、受信信号から緊急警報放送の開始を検出する緊急警報放送開始検出手段と、受信信号から緊急警報放送選局情報を抽出する抽出手段と、受信手段を含む1または複数のソースから入力した映像・音声信号に基づき映像・音声を出力する出力手段と、緊急警報放送の開始が検出されると緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させるとともに出力手段から緊急警報放送の映像・音声を出力させるシステム制御手段と、を備えた映像・音声提供システムにおいて、
システム制御手段は、緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の地上波デジタル放送局がワンセグメント放送を放送中のときは、受信手段にワンセグメント放送を優先して受信させるようにしたこと、
を特徴とする映像・音声提供システム。
【請求項4】
地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能で、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段と、受信信号から緊急警報放送の開始を検出する緊急警報放送開始検出手段と、受信信号から緊急警報放送選局情報を抽出する抽出手段と、受信手段を含む1または複数のソースから入力した映像・音声信号に基づき映像・音声を出力する出力手段と、緊急警報放送の開始が検出されると緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させるとともに出力手段から緊急警報放送の映像・音声を出力させるシステム制御手段と、を備えた映像・音声提供システムにおいて、
受信手段で受信中のチャンネルでのワンセグメント放送の有無を検出する検出手段と、
受信手段で受信中のチャンネルでの複数セグメント放送とワンセグメント放送の受信状況の良否を比較する比較手段を設け、
システム制御手段は、緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の緊急警報放送局がワンセグメント放送を放送中であり、複数セグメント放送よりワンセグメント放送の受信状況が良好な場合にワンセグメント放送を受信させ、ワンセグメント放送より複数セグメント放送の受信状況が良好な場合には複数セグメント放送を受信させるようにしたこと、
を特徴とする映像・音声提供システム。
【請求項5】
地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能であり、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段の受信信号から緊急警報放送の開始を検出すると受信信号から抽出した緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させる緊急警報放送受信方法において、
緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の地上デジタルテレビ放送局がワンセグメント放送を放送中のときは、受信手段にワンセグメント放送を優先して受信させるようにしたこと、
を特徴とする緊急警報放送受信方法。
【請求項6】
地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能であり、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段の受信信号から緊急警報放送の開始を検出すると受信信号から抽出した緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させる緊急警報放送受信方法において、
緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の地上デジタルテレビ放送局がワンセグメント放送を放送中か判別し、
ワンセグメント放送を放送中のとき、複数セグメント放送とワンセグメント放送の受信状況の良否を比較し、
複数セグメント放送よりワンセグメント放送の受信状況が良好な場合にワンセグメント放送を受信させ、ワンセグメント放送より複数セグメント放送の受信状況が良好な場合には複数セグメント放送を受信させるようにしたこと、
を特徴とする緊急警報放送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−44453(P2009−44453A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207099(P2007−207099)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】