説明

脚立

【課題】格納時の脚立が嵩張らないで、コンパクトに格納できるようにする。
【解決手段】互いに間隔をおいてのびている一対の前支柱11に、天場13および踏桟14がそれぞれ後方突出状に渡し止められている。天場13の後縁部中央に、1つの後支柱15の上端部が後支柱15を踏桟14に対し接近・離隔させうる方向に揺動自在に連結されている。踏桟14の後縁部中央に、後方を開放した後支柱収納凹所36が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高所作業に使用される脚立に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の脚立としては、互いに間隔をおいてのびている一対の前支柱に、踏桟が後方突出状に渡し止められており、天場の後縁部中央に、一対の後支柱の上端部が両後支柱を踏桟に対し接近・離隔させうるを方向に揺動自在に連結されており、脚立格納時には、踏桟に両後支柱を接近させておき、脚立使用時には、踏桟から両後支柱を離隔させるように脚立を開閉しうるものが知られている。
【0003】
脚立格納時において、踏桟の後縁部に後支柱が当接させられ、この状態で、前支柱および後支柱が閉じられることになる。このように脚立を閉じている状態で、踏桟の後方突出部によって、それ以上、脚立を閉じることができない。そのため、格納時の脚立が嵩張るという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、格納時の脚立が嵩張らないで、コンパクトに格納しうる脚立を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明による脚立は、互いに間隔をおいてのびている一対の前支柱に、天場および踏桟がそれぞれ後方突出状に渡し止められており、天場の後縁部中央に、1つの後支柱の上端部が後支柱を踏桟に対し接近・離隔させうるを方向に揺動自在に連結されており、踏桟の後縁部中央に、後方を開放した後支柱収納凹所が形成されているものである。
【0006】
この発明による脚立では、脚立格納時に、後支柱を後支柱収納凹所に格納しておけば、後支柱が踏桟から後方に突出することもなく、後支柱収納凹所の深さの分だけ、脚立をコンパクトに閉じておくことができる。さらに、後支柱の数が1つであるため、後支柱収納凹所を容易に形成することができる。
【0007】
両前支柱が、天場よりそれぞれ上方に突出させられており、両前支柱の上方突出端部に脚当用上枠が渡し止められていると、脚立使用時に、天場に乗った人の脚を上枠に当てることにより、安心して高所で作業を行うことができる。とくに、上枠の無い脚立のでは、天場の高さが800mmを超えると、これに乗ることは禁止されているが、上枠が有ると、高さが800mmを超える天場に人が乗っても差し支え無い。
【0008】
この発明による他の脚立は、互いに間隔をおいてのびている一対の前支柱に、天場が後方突出状に渡し止められており、両前支柱が、天場よりそれぞれ上方に突出させられており、両前支柱の上方突出端部に、脚当用上枠が渡し止められており、上枠の長さ方向中央に、1つの後支柱の上端部が後支柱を天場に対し接近・離隔させうる方向に揺動自在に連結されており、天場の後縁部中央に、後方を開放した後支柱収納凹所が形成されているものである。
【0009】
この発明による他の脚立では、上記脚立の踏桟に形成された後支柱収納凹所に代えて、これを天場に形成するようにしているが、上記脚立と同様に、脚立をコンパクトに閉じておくことができる。
【0010】
さらに、後支柱収納凹所に、これに収納された後支柱を保持解除自在に保持しうる後支柱保持機構が備えられていると、後支柱収納凹所からこれに収納した後支柱が不用意に飛び出して、脚立が開くことを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、格納時の脚立が嵩張らないで、コンパクトに格納しうる脚立が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施の形態を図面を参照しながらつぎに説明する。
【0013】
<実施の形態1>
第1図に、実施の形態1による使用時の脚立が、第2図に、同格納時の脚立がそれぞれ示されている。
【0014】
実施の形態1による脚立は、互いに間隔をおいてのびている一対の丸パイプ状前支柱11と、両前支柱11の上端に後方突出状に渡し止められている上枠12と、両前支柱11の上端寄りのところに後方突出状に渡し止められている天場13と、両前支柱11の下端寄りのところに後方突出状に渡し止められている踏桟14と、天場13の後縁部中央に上端部が連結されている1つの丸パイプ状後支柱15と、踏桟14の長さ方向中程および後支柱15の高さの中程に張り渡されている開き止めチェーン16とを備えている。これらの部材11〜16は、詳しく説明しないが、スチール製チェーン16を除いて、アルミニウム材によって形成されている。
【0015】
踏桟14および後支柱15の間にはヒンジ17が介在させられており、これにより、後支柱15は、踏桟14に対し接近・離隔させうるようになされている。
【0016】
両前支柱11の下端部から踏桟14の両端を経由して天場13の両端まで一対の第1補強ロッド18が連絡している。さらに、両前支柱11の下端部から踏桟14の両端近くまで一対の第2補強ロッド19が連絡している。
【0017】
図3に詳しく示すように、上枠12は、コ字状の上枠部材12aよりなる。上枠部材12aは、その両端を両前支柱11に固着して両前支柱11から後方に張出している。
【0018】
図4に、天場13が詳細に示されている。天場13は、フレーム状のもので、両端を両前支柱11に渡されている直線状上メインバー21と、上メインバー21の両端部から後方に張出しているコ字状上サブバー22と、上サブバー22の対向直線部に渡されている一対の直線状補強バー23とよりなる。
【0019】
図5に、踏桟14が詳細に示されている。踏桟14は、天場13と同様に、フレーム状のもので、両端を両前支柱11に渡されている直線状下メインバー31と、下メインバーの両端部から間隔をおいて後方に張出している一対のL字状下サブバー32と、下サブバー32の対向直線部に渡されている直線状第1補強バー33と、下メインバー31および第1下補強バー33の長さの中程に渡されている第2補強バー34とよりなる。
【0020】
図7に詳細に示すように、両下サブバー32の対向端部には前向き折曲部35がそれぞれ形成されている。両折曲部35の長さは、後支柱15の外径より僅かだけ大きい。両折曲部35間には、後支柱15の外径より大きい間隙が形成されている。両折曲部35の全体と、第1補強バー33の、両折曲部35の間隙を臨む一部分とによって、後支柱収納凹所36が形成されている。
【0021】
脚立を開閉させ、脚立格納時には、踏桟14に後支柱15を接近させて、後支柱収納凹所36に後支柱15を進入させ、脚立使用時には、後支柱収納凹所36に後支柱15を退去させる。
【0022】
後支柱収納凹所36には、図8を参照しながら以下に説明する様々な形態の後支柱保持機構が備えられている。
【0023】
図8(a)では、折曲部35が屈曲させられて後支柱収納凹所36の開口幅が後支柱15の外径よりも僅かだけ狭められている。後支柱収納凹所36に対し後支柱15を出没させる際は、後支柱収納凹所36の周辺部および/または後支柱15を弾性変形させる。図8(b)では、後支柱収納凹所36の対向側面に、後支柱収納凹所36に対し後支柱15を出没させる際に弾性変形させられる一対のバネ41が取付られている。図8(c)では、後支柱収納凹所36の開口縁部に一対のプランジャーピン42が向合うように取付られている。両プランジャーピン42の先端部を後支柱収納凹所36に進出させるようにバネ43によって付勢されている。後支柱収納凹所36に対し後支柱15を出没させる際は、バネ43に抗して、両プランジャーピン42の先端部を後支柱収納凹所36から退入させる。図8(d)では、後支柱収納凹所36の対向側面には、後支柱収納凹所36に収納された後支柱15を弾性保持しうるゴムのような弾性材44が取付られている。図8(e)では、両サブバー32にまたがってスライドし、後支柱収納凹所36の開口を開閉するスライドロッド45が取付られている。図8(f)(f')では、後支柱収納凹所36の開口縁部に掛け金46が取りつけられている。掛け金46の一端部は、一方の折曲部35に回転自在に支持されている。掛け金46の他端部には、他方の折曲部屈35に係合離脱自在に係合されるフック47が設けられている。図8(g)では、後支柱収納凹所36の開口縁部には突出部48が対向状に設けられ、これらに、ゴムのような弾性材製キャップ49が被せられている。キャップ49の頂部を弾性変形させることによって、後支柱収納凹所36に対して、後支柱15が出没させられる。
【0024】
<実施の形態2>
実施の形態2による脚立は、図9〜図11に示すように、実施の形態1によるものと同様に、互いに間隔をおいてのびている一対の丸パイプ状前支柱51と、両前支柱51の上端に後方突出状に渡し止められている上枠52と、両前支柱51の上端寄りのところに後方突出状に渡し止められている天場53と、両前支柱51の下端寄りのところに後方突出状に渡し止められている踏桟54とを備えている。
【0025】
1つの丸パイプ状後支柱55の上端部は、上枠52の後縁部中央に連結されている。開き止めチェーン56は、天場53の長さ方向中程から後支柱55の高さの中程にかけて張り渡されている。一対の第1補強ロッド58は、両前支柱51の下端部から踏桟54および天場53の両端をそれぞれ経由して上枠52の両端まで連絡している。さらに、一対の第2補強ロッド59は、両前支柱51の下端部から踏桟54の両端近くまで連絡している。
【0026】
図11に示すように、上枠52は、コ字状のもので、両端を両前支柱51に固着して上支柱51から後方に張り出している上枠部材52aよりなる。上枠部材52aの対向状直線部には補強バー52bが渡されている。
【0027】
図12に示すように、天場53は、フレーム状のもので、両端を両前支柱51に渡されている直線状上メインバー61と、上メインバー61の両端部から後方に張出しているコ字状上サブバー62と、上サブバー62の直線部から後方に張出している一対のコ字状屈曲バー63と、上メインバー61および上サブバー62の長さの中間に渡されている補強バー64とよりなる。
【0028】
屈曲バー63の張出し長さは、後支柱55の外径より僅かだけ大きい。両屈曲バー63間には、後支柱55の外径より僅かだけ大きい間隙が形成されている。両折曲バー63および上サブバー62の、両折曲バー63の間隙を臨む一部分とによって、後支柱収納凹所66が形成されている。
【0029】
脚立の開閉操作は、実施の形態1による脚立による場合と同じである。後支柱収納凹所66には、実施の形態1について説明した後支柱保持機構に準じた後支柱保持機構(図示しない)が備えられている。また、踏桟54に、後支柱収納凹所66および後支柱保持機構が備えられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施の形態1による脚立の使用時の側面図である。
【図2】同脚立の格納時の側面図である。
【図3】同脚立の正面図である。
【図4】同脚立の上枠の平面図である。
【図5】同脚立の天場の平面図である。
【図6】同脚立の踏桟の平面図である。
【図7】同脚立の後支柱収納凹所周辺の詳細図である。
【図8】同脚立の後支柱保持機構のバリエーションを様々に示す生命図である。
【図9】この発明の実施の形態2による脚立の使用時の側面図である。
【図10】同脚立の正面図である。
【図11】同脚立の上枠の平面図である。
【図12】同脚立の天場の平面図である。
【図13】同脚立の踏桟の平面図である。
【符号の説明】
【0031】
11 前支柱
13 天場
14 踏桟
15 後支柱
36 後支柱収納凹所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をおいてのびている一対の前支柱に、天場および踏桟がそれぞれ後方突出状に渡し止められており、天場の後縁部中央に、1つの後支柱の上端部が後支柱を踏桟に対し接近・離隔させうる方向に揺動自在に連結されており、踏桟の後縁部中央に、後方を開放した後支柱収納凹所が形成されている脚立。
【請求項2】
両前支柱が、天場よりそれぞれ上方に突出させられており、両前支柱の上方突出端部に脚当用上枠が渡し止められている請求項1に記載の脚立。
【請求項3】
互いに間隔をおいてのびている一対の前支柱に、天場が後方突出状に渡し止められており、両前支柱が、天場よりそれぞれ上方に突出させられており、両前支柱の上方突出端部に、脚当用上枠が渡し止められており、上枠の長さ方向中央に、1つの後支柱の上端部が後支柱を天場に対し接近・離隔させうる方向に揺動自在に連結されており、天場の後縁部中央に、後方を開放した後支柱収納凹所が形成されている脚立。
【請求項4】
後支柱収納凹所に、これに収納された後支柱を保持解除自在に保持しうる後支柱保持機構が備えられている請求項1〜3のいずれか1つに記載の脚立。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−185538(P2009−185538A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27619(P2008−27619)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(393018130)長谷川工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】