脱穀用受網
【課題】ワラ屑が絡み付いたままになりにくい脱穀用受網を提供する。
【解決手段】処理物漏下孔71を有した受網本体72を備えている。受網本体72の裏面に帯板体74を扱胴回転軸芯方向に沿った取り付け姿勢で取り付けてある。帯板体74は、扱胴周方向に並ぶ処理物漏下孔71どうしの間から突出している。
【解決手段】処理物漏下孔71を有した受網本体72を備えている。受網本体72の裏面に帯板体74を扱胴回転軸芯方向に沿った取り付け姿勢で取り付けてある。帯板体74は、扱胴周方向に並ぶ処理物漏下孔71どうしの間から突出している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀用受網に関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀用受網として、従来、たとえば特許文献1及び2に記載されたものがあった。
特許文献1には、鋼板Kを備えて構成された受網11が記載されている。この受網11は、鋼板Kに打ち抜きによって穿設された処理物漏下孔としての目孔aを備えている。(各符号は、公報に記載されたものである。)
【0003】
特許文献2には、クリンプ網4,6を備えて構成された受網が記載されている。この受網は、クリンプ網4,6から被脱穀物が漏下する。(各符号は、公報に記載されたものである。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−92971号公報
【特許文献2】実開平5−9239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8は、従来の受網70にワラ屑が絡み付いた状態を示す説明図である。この図に示すように、脱穀用受網において、二又形のワラ屑Yが、扱胴周方向に隣り合って位置する二つの処理物漏下孔71にわたって刺さり込むことがある。この場合、ワラ屑Yが二つの処理物漏下孔71の間に処理物漏下孔71を区画するように位置した区画部分75を跨って区画部分75から垂れ下がった状態になると、ワラ屑Yは、回転する扱胴の扱歯74が当接しても、区画部分75のまわりに揺れ動くだけで区画部分75から外れにくくて受網70に絡み付いたままになることがある。
殊に、板金の打ち抜き孔やクリンプ網の網目を処理物漏下孔として備えた脱穀用受網の場合、処理物漏下孔どうしの間に位置する区画部分の太さが小になることから、この区画部分に跨ったワラ屑が外れにくくて絡み付いたままになる事態が発生しやすい。
【0006】
本発明の目的は、上記した処理物の絡み付きを回避しやすい脱穀用受網を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明は、処理物漏下孔を有した受網本体を備え、前記受網本体の裏面に扱胴周方向に並ぶ前記処理物漏下孔どうしの間から突出し、かつ扱胴回転軸芯方向に沿った取り付け姿勢で取り付けた帯板体を備えた脱穀用受網である。
【0008】
図7は、本発明の実施の形態に係る受網70に二又形のワラ屑が刺さり込んだ状態を示す説明図である。この図に示すように、本第1発明の構成によると、扱胴周方向に並ぶ処理物漏下孔71どうしの間に処理物漏下孔71を区画するように位置した区画部分75の径が細くても、処理物漏下孔71に二又形のワラ屑Yが刺さり込んでも、処理物漏下孔71どうしの間から受網本体72の裏面に突出している帯板体74によってワラ屑Yの一端側Y1を受け止め支持させ、ワラ屑Yが区画部分75と帯板体74とにわたって跨って区画部分75及び帯板体74から垂れ下がった状態になることを防止でき、ワラ屑Yを回転する扱胴の扱歯74との当たりによって外れやすくできる。
【0009】
したがって、受網本体を板金あるいはクリンプ網によって構成するなどによって脱穀受網を安価に得ても、ワラ屑などが絡み付いたままになって脱穀処理に支障が出ることを回避しやすくできる。
【0010】
本第2発明では、前記受網本体を前記処理物漏下孔が打ち抜きによって設けられた鋼板によって構成してある。
【0011】
本第2発明の構成によると、鋼板の打ち抜き加工を行なうだけで、必要な漏下孔面積及び強度を備えた受網本体を得ることができる。
受網本体の裏面を平滑面にでき、帯板体の取り付けを容易に行なえる。殊に溶接による取り付けを容易にできる。
【0012】
したがって、受網本体に必要な漏下孔面積及び強度を備えさせた脱穀用受網を受網本体の製作面からも、帯板体の取り付け面からも安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】脱穀装置を示す縦断側面図である。
【図4】図3のIV−IV断面矢視図である。
【図5】分割受網の裏面側を示す側面図である。
【図6】受網の底部における構造を示す縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る受網にワラ屑が刺さり込んだ状態を示す説明図である。
【図8】従来の受網にワラ屑が絡み付いた状態を示す説明図である。
【図9】脱穀機体の扱室開き状態を示す斜視図である。
【図10】第1別実施形態を備えた脱穀機体を示す側面図である。
【図11】第1別実施形態を備えた脱穀機体を示す縦断正面図である。
【図12】第2別実施形態を備えた脱穀機体を示す側面図である。
【図13】第2別実施形態を備えた脱穀機体を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る脱穀用受網を有した脱穀装置が装備されたコンバインの全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る脱穀用受網を有した脱穀装置が装備されたコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、このコンバインは、運転座席20を有した運転部2が装備された走行機体1を備え、走行機体1の機体フレーム10の後部側に走行機体横方向に並べて設けられた脱穀装置4と袋詰め部13とを備え、脱穀装置4の前部にフィーダ60が走行機体横向き軸芯Xまわりに上下揺動自在に連結された刈取前処理装置6を備えて構成してある。
このコンバインは、菜種などの収穫作業を行う。
つまり、走行機体1は、左右一対のクローラ式の走行装置11,11を備え、運転座席20の下方に位置するエンジン(図示せず)からの駆動力によって左右一対の走行装置11,11を駆動して自走する。
【0015】
刈取前処理装置6は、フィーダ60の前端部に連設された前処理フレーム61を備え、フィーダ60が昇降シリンダ12によって軸芯Xまわりに上下に揺動操作されることにより、前処理フレーム61が地面近くに下降した下降作業状態と、前処理フレーム61が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降する。
【0016】
刈取前処理装置6を下降作業状態にして走行機体1を走行させると、刈取前処理装置6は、植立穀稈を刈取り、刈取穀稈の株元から穂先までの全体をフィーダ60によって脱穀装置4に供給する。脱穀装置4は、刈取穀稈を脱穀処理し、脱穀粒を揚穀装置21によって穀粒袋詰め部13のホッパー形の袋詰め用の穀粒タンク14に供給する。
【0017】
刈取前処理装置6について詳述する。
刈取前処理装置6は、フィーダ60及び前処理フレーム61を備える他、前処理フレーム61の内部に駆動自在に設けられた横送りオーガ65、前処理フレーム61が備えるプラットホーム61Aの前端部に駆動自在に設けられたバリカン形の刈取装置63、前処理フレーム61の前端部に連設された左右一対の分草具62,62、前処理フレーム61の基端側の上部から走行機体前方向きに上下揺動操作自在に延出した左右一対の支持アーム64Aの先端部に駆動自在に支持された回転リール64、前処理フレーム61の走行機体横方向での左外側に設けられた分草装置30を備えている。
【0018】
分草装置30は、前処理フレーム61と、前処理フレーム61から走行機体上方向きに延出している支柱31とに走行機体上下向きの取り付け姿勢で取り付けられたバリカン形の縦刈取装置によって構成してあり、分草具62からの植立穀稈を分草具62が作用した株元側よりも穂先側で刈取対象と非刈取対象とに切断して分草する。縦刈取装置は、刈取装置63から動力伝達されて駆動される。
【0019】
回転リール64は、刈取対象の植立穀稈の穂先側を前処理フレーム61の内部に掻き寄せる。刈取装置63は、刈取対象の植立穀稈の刈取りを行なう。横送りオーガ65は、刈取穀稈をフィーダ60の前側に移送し、フィーダ60の前側に到達した刈取穀稈を横送りオーガ65が一体回転自在に備える掻き送りバー65aによってフィーダ60の搬送ダクトの前端部内に送り込む。フィーダ60は、搬送ダクトに送り込まれた刈取穀稈を搬送ダクトの内部に位置する無端回動形のコンベヤ60aによって脱穀装置4の前端部に揚送して刈取穀稈の株元から穂先までの全体を脱穀装置4の扱室41(図3参照)に送り込む。
【0020】
脱穀装置4について説明する。
図3は、脱穀装置4を示す縦断側面図である。図4は、図3のIV−IV断面矢視図である。これらの図に示すように、脱穀装置4は、脱穀機体40の上部内に位置する扱室41を有した脱穀部4Aを備え、扱室41の下方に位置する選別室50を有した選別部4Bを備えている。
【0021】
脱穀部4Aは、扱室41を備える他、この扱室41に設けた扱胴42を備え、この扱胴42の周囲に沿わせて扱室41に設けた本発明の実施の形態に係る脱穀用受網70(以下、受網70と呼称する。)を備えている。
【0022】
扱胴42の回転支軸42Aが脱穀機体40の前壁の外面側に設けた脱穀駆動機構43に連動されており、扱胴42は、回転支軸42Aが穀駆動機構43によって駆動されることにより、回転支軸43の脱穀機体前後向きの軸芯である扱胴回転軸芯Pまわりに回転方向F(図6参照)に回転駆動される。
【0023】
扱胴42は、扱胴42の前端部に位置する傾斜ドラム部44と、この傾斜ドラム部44の後端に前端が連なっている脱穀処理部45とを備えて構成してある。傾斜ドラム部44は、これの外周面に立設された一対の螺旋羽根46,46を一体回転自在に備えている。脱穀処理部45は、扱胴周方向に所定間隔を隔てて並んだ扱胴前後向きの円形鋼管で成る扱歯支持杆45aと、脱穀処理部45の前端部、後端部及び中間部で扱歯支持杆45aを連結する板状の連結体45bとを備えて構成してあり、ワラ屑が脱穀処理部45の内部を容易に流動する構造になっている。脱穀処理部45は、扱胴周方向及び扱胴回転軸芯方向に並ぶ配置で各扱歯支持杆45aに取り付けたバー形の扱歯47を備えている。
【0024】
脱穀部4Aは、フィーダ60からの刈取穀稈を次の如く脱穀処理する。
フィーダ60のコンベヤ60aによって扱室41の前端部に位置する入り口底板48の上に送り込まれた刈取穀稈の株元から穂先までの全体を、扱胴42の傾斜ドラム部44における螺旋羽根46によって脱穀機体後方向きに搬送して扱室41の受網70が位置する部位に供給する。この部位において、刈取穀稈を扱胴42の脱穀処理部45における扱歯47と受網70とによる扱き作用によって脱穀処理する。脱穀処理によって発生した脱穀粒を、受網70に扱胴周方向及び扱胴回転軸芯方向に並べて備えてある処理物漏下孔71から選別室50に漏下させる。脱穀処理によって発生したワラ屑などの塵埃を、扱室41の後端部に位置する送塵口49から脱穀機体後方向きに排出し、脱穀機体40の後壁に位置する排塵口40aから脱穀機体40の外部に排出する。
【0025】
選別部4Bは、選別室50を備える他、選別室50の上部に駆動揺動自在に設けた揺動選別装置51、この揺動選別装置51の前端側の下方に設けた唐箕52、選別室50の底部に脱穀機体前後方向に並べて設けた一番スクリューコンベヤ53と二番スクリューコンベヤ54を備えている。揺動選別装置51は、揺動選別装置51の上部に脱穀機体前後方向に並べて設けたグレンパン55、チャフシーブ56及びストローラック57を備え、揺動選別装置51の下部に脱穀機体前後方向に並べて設けた下部グレンパン58、グレンシーブ59を備えている。
【0026】
選別部4Bは、受網70を漏下した脱穀処理物を揺動選別装置51によって受け止めて揺動選別装置51による揺動選別と、唐箕52からの選別風による風選別とによって穀粒と塵埃とに選別し、穀粒のうちの一番物を一番スクリューコンベヤ53によって脱穀機体横方向に搬送して脱穀機体外に排出し、穀粒のうちの二番物を二番スクリューコンベヤ54とこの二番スクリューコンベヤ54に接続された揚送装置(図示せず)とによって揺動選別装置51の前端側に還元し、塵埃を唐箕52からの選別風と共に排塵口40aから脱穀機体40の外部に排出する。
【0027】
受網70について詳述する。
図3,4に示すように、受網70は、受網本体72と、受網本体72を扱胴42に沿った湾曲形状に保形するように受網本体72の全周囲にわたって連結された枠体73と、受網本体72の裏面すなわち扱胴42に対向する面とは反対側の面に扱胴周方向に並べて取り付けた帯板体74とを備えて構成してある。
【0028】
受網70は、扱胴周方向に並んだ二つの分割受網70a,70aに分割自在に構成してある。したがって、受網本体72及び枠体73は、二つの分割受網70a,70aに分かれて位置する二つの分割受網本体、あるいは二つの分割受網70a,70aに分かれて位置する二つの分割枠体を備えて構成してある。
【0029】
図5は、分割受網70aの裏面側を示す側面図である。図6は、受網70の底部における構造を示す縦断面図である。これらの図及び図3,4に示すように、受網本体72は、板金によって構成してあり、受網本体72の裏面は、帯板体74の溶接が容易なように平滑面になっている。受網本体72の各処理物漏下孔71は、板金の打ち抜きによって板金に設けた貫通孔によって構成してある。受網本体72は、複数箇所に設けた漏下孔閉じ部76を備えている。
【0030】
図5,6に示すように、各帯板体74は、受網本体72のうち、扱胴回転軸芯Pの直下に位置する箇所A(以下、回転軸芯直下箇所Aと呼称する。)よりも扱胴回転方向下手側に位置する箇所に設定した扱胴回転方向下手側の取り付け対象外域Z1、及び回転軸芯直下箇所Aよりも扱胴回転方向上手側に位置する箇所に設定した扱胴回転方向上手側の取り付け対象外域Z2よりも高い配置高さに位置する部位における裏面に取り付けてある。各帯板体74は、受網本体72のうち、扱胴周方向に並ぶ処理物漏下孔71どうしの間に処理物漏下孔71を区画するように位置する区画部分75から受網本体72の裏面側に突出し、かつ扱胴回転軸芯方向に沿った取り付け姿勢で取り付けてある。
【0031】
扱胴回転方向下手側の取り付け対象外域Z1として、回転軸芯直下箇所Aと、この回転軸芯直下箇所Aから扱胴回転方向下手側に設定距離を離れた下手側箇所Bとの間に位置する部分であって、帯板体74を取り付けても帯板体74が鉛直姿勢あるいはそれに近い姿勢となり、帯板体74の後述する作用を得ることができない部分を設定してある。扱胴回転方向上手側の取り付け対象外域Z2として、回転軸芯直下箇所Aと、この回転軸芯直下箇所Aから扱胴回転方向上手側に設定距離を離れた上手側箇所Cとの間に位置する部分であって、帯板体74を取り付けても帯板体74が鉛直姿勢あるいはそれに近い姿勢となり、帯板体74の後述する作用を得ることができない部分を設定してある。
したがって、上手側箇所Cと下手側箇所Bとの間には、帯板体74を取り付けず、取り付け対象外域Z1,Z2に帯板体74が無い分軽量になる。
【0032】
扱胴回転方向下手側の取り付け対象外域Z1よりも扱胴回転方向下手側に位置する帯板体74は、帯板体74が位置する区画部分75の扱胴回転方向下手側での処理物漏下孔内面75aと扱胴回転方向上手側での処理物漏下孔内面75bのうち、扱胴回転方向下手側での処理物漏下孔内面75aと帯板体74の側面とが面一になる取り付け姿勢で取り付けてある。扱胴回転方向上手側の取り付け対象外域Z2よりも扱胴回転方向上手側に位置する帯板体74は、帯板体74が位置する区画部分75の扱胴回転方向下手側での処理物漏下孔内面75aと扱胴回転方向上手側での処理物漏下孔内面75bのうち、扱胴回転方向上手側での処理物漏下孔内面75bと帯板体74の側面とが面一になる取り付け姿勢で取り付けてある。
【0033】
図8は、従来の受網70、すなわち帯板体74を設けていない受網70にワラ屑Yが絡み付いた状態を示す説明図である。この図に示すように、帯板体74を設けていない受網本体72の場合、二又形のワラ屑Yが区画部分75の両側に位置する処理物漏下孔71に刺さり込むと、ワラ屑Yが区画部分75に跨って区画部分75から垂れ下がった状態となり、ワラ屑Yは、回転する扱胴42の扱歯74が当接しても区画部分75のまわりに揺れ動くだけで受網42から外れにくい。
【0034】
図7は、本発明の実施の形態に係る受網70にワラ屑Yが刺さり込んだ状態を示す説明図である。この図に示すように、帯板体74を設けた受網本体72の場合、二又形のワラ屑Zが区画部分75の両側に位置する処理物漏下孔71に刺さり込んでも、帯板体74によってワラ屑Yの一端側Y1が受け止め支持され、ワラ屑Yは、区画部分75と帯板体74とにわたって跨ってこれらから垂れ下がった状態にならず、回転する扱胴42の当接によって受網42から外れやすくなる。
したがって、帯板体74は、ワラ屑が処理物漏下孔71に刺さり込んで区画部分75から垂れ下がった状態になることを防止し、これによってワラ屑を受網70に絡み付いたままになりにくくする。
【0035】
図9は、脱穀機体40の扱室開き状態を示す斜視図である。この図及び図1に示すように、脱穀機体40は、横側壁の上部に設けた前後一対の開閉壁部40a,40aを備えている。前後一対の開閉壁部40a,40aのうちの前側の開閉壁部40aは、この開閉壁部40aの前端側に位置する脱穀機体上下向きの開閉軸芯S1まわりに揺動操作されることによって扱室41を開閉する。前後一対の開閉壁部40a,40aのうちの後側の開閉壁部40aは、この開閉壁部40aの後端側に位置する脱穀機体上下向きの開閉軸芯S1まわりに揺動操作されることによって扱室41を開閉する。
この脱穀機体40の構造の場合、各開閉壁部40aが小型になり、開閉壁部40aの歪みが発生しにくくなる。これにより、開閉壁部40aの閉じ状態での収まりがよくて良好なシールを得ることができる。また、開閉壁部40aのための補強部材の省略や少数化が可能となって開閉壁部40aを軽量にでき、開閉壁部40aの開閉操作が容易になる。
【0036】
図10は、第1別実施形態を備えた脱穀機体40を示す側面図である。図11は、第1別実施形態を備えた脱穀機体40を示す縦断正面図である。これらの図に示すように、第1別実施形態の脱穀機体40は、横側壁の上部に設けた一つの開閉壁部40bを備えている。開閉壁部40bは、これの下端側に位置する脱穀機体前後向きの開閉軸芯S2まわりに上下揺動操作されることによって扱室41を開閉する。
【0037】
図12は、第2別実施形態を備えた脱穀機体40を示す側面図である。図13は、第2別実施形態を備えた脱穀機体40を示す縦断正面図である。これらの図に示すように、第2別実施形態の脱穀機体40は、横側壁の上部に設けた一つの開閉壁部40cを備えている。開閉壁部40cは、これの上端側に位置する脱穀機体前後向きの開閉軸芯S3まわりに上下揺動操作されることによって扱室41を開閉する。
【0038】
第1別実施形態及び第2別実施形態を備えた脱穀機体40の構造の場合、開閉壁部40b,40cの開閉支点を開閉壁部40b,40cの長辺に沿わせて設けることができ、開閉壁部40b,40cの歪みや変形が発生しにくくなる。これにより、開閉壁部40b,40cの閉じ状態での収まりがよくて良好なシールを得ることができる。また、開閉壁部40b、40cのための補強部材の省略や少数化が可能となって開閉壁部40b、40cを軽量にでき、開閉壁部40b、40cの開閉操作が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、受網本体が板金によって構成された脱穀用受網の他、受網本体がクリンプ網によって構成された脱穀用受網にも利用できる。本発明は、刈取穀稈の株元から穂先までの全体が扱室に供給される脱穀装置に装備される脱穀用受網の他、刈取穀稈の穂先側だけが扱室に供給される脱穀装置に装備される脱穀用受網にも利用できる。
【符号の説明】
【0040】
71 処理物漏下孔
72 受網本体
74 帯板体
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀用受網に関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀用受網として、従来、たとえば特許文献1及び2に記載されたものがあった。
特許文献1には、鋼板Kを備えて構成された受網11が記載されている。この受網11は、鋼板Kに打ち抜きによって穿設された処理物漏下孔としての目孔aを備えている。(各符号は、公報に記載されたものである。)
【0003】
特許文献2には、クリンプ網4,6を備えて構成された受網が記載されている。この受網は、クリンプ網4,6から被脱穀物が漏下する。(各符号は、公報に記載されたものである。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−92971号公報
【特許文献2】実開平5−9239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8は、従来の受網70にワラ屑が絡み付いた状態を示す説明図である。この図に示すように、脱穀用受網において、二又形のワラ屑Yが、扱胴周方向に隣り合って位置する二つの処理物漏下孔71にわたって刺さり込むことがある。この場合、ワラ屑Yが二つの処理物漏下孔71の間に処理物漏下孔71を区画するように位置した区画部分75を跨って区画部分75から垂れ下がった状態になると、ワラ屑Yは、回転する扱胴の扱歯74が当接しても、区画部分75のまわりに揺れ動くだけで区画部分75から外れにくくて受網70に絡み付いたままになることがある。
殊に、板金の打ち抜き孔やクリンプ網の網目を処理物漏下孔として備えた脱穀用受網の場合、処理物漏下孔どうしの間に位置する区画部分の太さが小になることから、この区画部分に跨ったワラ屑が外れにくくて絡み付いたままになる事態が発生しやすい。
【0006】
本発明の目的は、上記した処理物の絡み付きを回避しやすい脱穀用受網を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明は、処理物漏下孔を有した受網本体を備え、前記受網本体の裏面に扱胴周方向に並ぶ前記処理物漏下孔どうしの間から突出し、かつ扱胴回転軸芯方向に沿った取り付け姿勢で取り付けた帯板体を備えた脱穀用受網である。
【0008】
図7は、本発明の実施の形態に係る受網70に二又形のワラ屑が刺さり込んだ状態を示す説明図である。この図に示すように、本第1発明の構成によると、扱胴周方向に並ぶ処理物漏下孔71どうしの間に処理物漏下孔71を区画するように位置した区画部分75の径が細くても、処理物漏下孔71に二又形のワラ屑Yが刺さり込んでも、処理物漏下孔71どうしの間から受網本体72の裏面に突出している帯板体74によってワラ屑Yの一端側Y1を受け止め支持させ、ワラ屑Yが区画部分75と帯板体74とにわたって跨って区画部分75及び帯板体74から垂れ下がった状態になることを防止でき、ワラ屑Yを回転する扱胴の扱歯74との当たりによって外れやすくできる。
【0009】
したがって、受網本体を板金あるいはクリンプ網によって構成するなどによって脱穀受網を安価に得ても、ワラ屑などが絡み付いたままになって脱穀処理に支障が出ることを回避しやすくできる。
【0010】
本第2発明では、前記受網本体を前記処理物漏下孔が打ち抜きによって設けられた鋼板によって構成してある。
【0011】
本第2発明の構成によると、鋼板の打ち抜き加工を行なうだけで、必要な漏下孔面積及び強度を備えた受網本体を得ることができる。
受網本体の裏面を平滑面にでき、帯板体の取り付けを容易に行なえる。殊に溶接による取り付けを容易にできる。
【0012】
したがって、受網本体に必要な漏下孔面積及び強度を備えさせた脱穀用受網を受網本体の製作面からも、帯板体の取り付け面からも安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】脱穀装置を示す縦断側面図である。
【図4】図3のIV−IV断面矢視図である。
【図5】分割受網の裏面側を示す側面図である。
【図6】受網の底部における構造を示す縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る受網にワラ屑が刺さり込んだ状態を示す説明図である。
【図8】従来の受網にワラ屑が絡み付いた状態を示す説明図である。
【図9】脱穀機体の扱室開き状態を示す斜視図である。
【図10】第1別実施形態を備えた脱穀機体を示す側面図である。
【図11】第1別実施形態を備えた脱穀機体を示す縦断正面図である。
【図12】第2別実施形態を備えた脱穀機体を示す側面図である。
【図13】第2別実施形態を備えた脱穀機体を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る脱穀用受網を有した脱穀装置が装備されたコンバインの全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る脱穀用受網を有した脱穀装置が装備されたコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、このコンバインは、運転座席20を有した運転部2が装備された走行機体1を備え、走行機体1の機体フレーム10の後部側に走行機体横方向に並べて設けられた脱穀装置4と袋詰め部13とを備え、脱穀装置4の前部にフィーダ60が走行機体横向き軸芯Xまわりに上下揺動自在に連結された刈取前処理装置6を備えて構成してある。
このコンバインは、菜種などの収穫作業を行う。
つまり、走行機体1は、左右一対のクローラ式の走行装置11,11を備え、運転座席20の下方に位置するエンジン(図示せず)からの駆動力によって左右一対の走行装置11,11を駆動して自走する。
【0015】
刈取前処理装置6は、フィーダ60の前端部に連設された前処理フレーム61を備え、フィーダ60が昇降シリンダ12によって軸芯Xまわりに上下に揺動操作されることにより、前処理フレーム61が地面近くに下降した下降作業状態と、前処理フレーム61が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降する。
【0016】
刈取前処理装置6を下降作業状態にして走行機体1を走行させると、刈取前処理装置6は、植立穀稈を刈取り、刈取穀稈の株元から穂先までの全体をフィーダ60によって脱穀装置4に供給する。脱穀装置4は、刈取穀稈を脱穀処理し、脱穀粒を揚穀装置21によって穀粒袋詰め部13のホッパー形の袋詰め用の穀粒タンク14に供給する。
【0017】
刈取前処理装置6について詳述する。
刈取前処理装置6は、フィーダ60及び前処理フレーム61を備える他、前処理フレーム61の内部に駆動自在に設けられた横送りオーガ65、前処理フレーム61が備えるプラットホーム61Aの前端部に駆動自在に設けられたバリカン形の刈取装置63、前処理フレーム61の前端部に連設された左右一対の分草具62,62、前処理フレーム61の基端側の上部から走行機体前方向きに上下揺動操作自在に延出した左右一対の支持アーム64Aの先端部に駆動自在に支持された回転リール64、前処理フレーム61の走行機体横方向での左外側に設けられた分草装置30を備えている。
【0018】
分草装置30は、前処理フレーム61と、前処理フレーム61から走行機体上方向きに延出している支柱31とに走行機体上下向きの取り付け姿勢で取り付けられたバリカン形の縦刈取装置によって構成してあり、分草具62からの植立穀稈を分草具62が作用した株元側よりも穂先側で刈取対象と非刈取対象とに切断して分草する。縦刈取装置は、刈取装置63から動力伝達されて駆動される。
【0019】
回転リール64は、刈取対象の植立穀稈の穂先側を前処理フレーム61の内部に掻き寄せる。刈取装置63は、刈取対象の植立穀稈の刈取りを行なう。横送りオーガ65は、刈取穀稈をフィーダ60の前側に移送し、フィーダ60の前側に到達した刈取穀稈を横送りオーガ65が一体回転自在に備える掻き送りバー65aによってフィーダ60の搬送ダクトの前端部内に送り込む。フィーダ60は、搬送ダクトに送り込まれた刈取穀稈を搬送ダクトの内部に位置する無端回動形のコンベヤ60aによって脱穀装置4の前端部に揚送して刈取穀稈の株元から穂先までの全体を脱穀装置4の扱室41(図3参照)に送り込む。
【0020】
脱穀装置4について説明する。
図3は、脱穀装置4を示す縦断側面図である。図4は、図3のIV−IV断面矢視図である。これらの図に示すように、脱穀装置4は、脱穀機体40の上部内に位置する扱室41を有した脱穀部4Aを備え、扱室41の下方に位置する選別室50を有した選別部4Bを備えている。
【0021】
脱穀部4Aは、扱室41を備える他、この扱室41に設けた扱胴42を備え、この扱胴42の周囲に沿わせて扱室41に設けた本発明の実施の形態に係る脱穀用受網70(以下、受網70と呼称する。)を備えている。
【0022】
扱胴42の回転支軸42Aが脱穀機体40の前壁の外面側に設けた脱穀駆動機構43に連動されており、扱胴42は、回転支軸42Aが穀駆動機構43によって駆動されることにより、回転支軸43の脱穀機体前後向きの軸芯である扱胴回転軸芯Pまわりに回転方向F(図6参照)に回転駆動される。
【0023】
扱胴42は、扱胴42の前端部に位置する傾斜ドラム部44と、この傾斜ドラム部44の後端に前端が連なっている脱穀処理部45とを備えて構成してある。傾斜ドラム部44は、これの外周面に立設された一対の螺旋羽根46,46を一体回転自在に備えている。脱穀処理部45は、扱胴周方向に所定間隔を隔てて並んだ扱胴前後向きの円形鋼管で成る扱歯支持杆45aと、脱穀処理部45の前端部、後端部及び中間部で扱歯支持杆45aを連結する板状の連結体45bとを備えて構成してあり、ワラ屑が脱穀処理部45の内部を容易に流動する構造になっている。脱穀処理部45は、扱胴周方向及び扱胴回転軸芯方向に並ぶ配置で各扱歯支持杆45aに取り付けたバー形の扱歯47を備えている。
【0024】
脱穀部4Aは、フィーダ60からの刈取穀稈を次の如く脱穀処理する。
フィーダ60のコンベヤ60aによって扱室41の前端部に位置する入り口底板48の上に送り込まれた刈取穀稈の株元から穂先までの全体を、扱胴42の傾斜ドラム部44における螺旋羽根46によって脱穀機体後方向きに搬送して扱室41の受網70が位置する部位に供給する。この部位において、刈取穀稈を扱胴42の脱穀処理部45における扱歯47と受網70とによる扱き作用によって脱穀処理する。脱穀処理によって発生した脱穀粒を、受網70に扱胴周方向及び扱胴回転軸芯方向に並べて備えてある処理物漏下孔71から選別室50に漏下させる。脱穀処理によって発生したワラ屑などの塵埃を、扱室41の後端部に位置する送塵口49から脱穀機体後方向きに排出し、脱穀機体40の後壁に位置する排塵口40aから脱穀機体40の外部に排出する。
【0025】
選別部4Bは、選別室50を備える他、選別室50の上部に駆動揺動自在に設けた揺動選別装置51、この揺動選別装置51の前端側の下方に設けた唐箕52、選別室50の底部に脱穀機体前後方向に並べて設けた一番スクリューコンベヤ53と二番スクリューコンベヤ54を備えている。揺動選別装置51は、揺動選別装置51の上部に脱穀機体前後方向に並べて設けたグレンパン55、チャフシーブ56及びストローラック57を備え、揺動選別装置51の下部に脱穀機体前後方向に並べて設けた下部グレンパン58、グレンシーブ59を備えている。
【0026】
選別部4Bは、受網70を漏下した脱穀処理物を揺動選別装置51によって受け止めて揺動選別装置51による揺動選別と、唐箕52からの選別風による風選別とによって穀粒と塵埃とに選別し、穀粒のうちの一番物を一番スクリューコンベヤ53によって脱穀機体横方向に搬送して脱穀機体外に排出し、穀粒のうちの二番物を二番スクリューコンベヤ54とこの二番スクリューコンベヤ54に接続された揚送装置(図示せず)とによって揺動選別装置51の前端側に還元し、塵埃を唐箕52からの選別風と共に排塵口40aから脱穀機体40の外部に排出する。
【0027】
受網70について詳述する。
図3,4に示すように、受網70は、受網本体72と、受網本体72を扱胴42に沿った湾曲形状に保形するように受網本体72の全周囲にわたって連結された枠体73と、受網本体72の裏面すなわち扱胴42に対向する面とは反対側の面に扱胴周方向に並べて取り付けた帯板体74とを備えて構成してある。
【0028】
受網70は、扱胴周方向に並んだ二つの分割受網70a,70aに分割自在に構成してある。したがって、受網本体72及び枠体73は、二つの分割受網70a,70aに分かれて位置する二つの分割受網本体、あるいは二つの分割受網70a,70aに分かれて位置する二つの分割枠体を備えて構成してある。
【0029】
図5は、分割受網70aの裏面側を示す側面図である。図6は、受網70の底部における構造を示す縦断面図である。これらの図及び図3,4に示すように、受網本体72は、板金によって構成してあり、受網本体72の裏面は、帯板体74の溶接が容易なように平滑面になっている。受網本体72の各処理物漏下孔71は、板金の打ち抜きによって板金に設けた貫通孔によって構成してある。受網本体72は、複数箇所に設けた漏下孔閉じ部76を備えている。
【0030】
図5,6に示すように、各帯板体74は、受網本体72のうち、扱胴回転軸芯Pの直下に位置する箇所A(以下、回転軸芯直下箇所Aと呼称する。)よりも扱胴回転方向下手側に位置する箇所に設定した扱胴回転方向下手側の取り付け対象外域Z1、及び回転軸芯直下箇所Aよりも扱胴回転方向上手側に位置する箇所に設定した扱胴回転方向上手側の取り付け対象外域Z2よりも高い配置高さに位置する部位における裏面に取り付けてある。各帯板体74は、受網本体72のうち、扱胴周方向に並ぶ処理物漏下孔71どうしの間に処理物漏下孔71を区画するように位置する区画部分75から受網本体72の裏面側に突出し、かつ扱胴回転軸芯方向に沿った取り付け姿勢で取り付けてある。
【0031】
扱胴回転方向下手側の取り付け対象外域Z1として、回転軸芯直下箇所Aと、この回転軸芯直下箇所Aから扱胴回転方向下手側に設定距離を離れた下手側箇所Bとの間に位置する部分であって、帯板体74を取り付けても帯板体74が鉛直姿勢あるいはそれに近い姿勢となり、帯板体74の後述する作用を得ることができない部分を設定してある。扱胴回転方向上手側の取り付け対象外域Z2として、回転軸芯直下箇所Aと、この回転軸芯直下箇所Aから扱胴回転方向上手側に設定距離を離れた上手側箇所Cとの間に位置する部分であって、帯板体74を取り付けても帯板体74が鉛直姿勢あるいはそれに近い姿勢となり、帯板体74の後述する作用を得ることができない部分を設定してある。
したがって、上手側箇所Cと下手側箇所Bとの間には、帯板体74を取り付けず、取り付け対象外域Z1,Z2に帯板体74が無い分軽量になる。
【0032】
扱胴回転方向下手側の取り付け対象外域Z1よりも扱胴回転方向下手側に位置する帯板体74は、帯板体74が位置する区画部分75の扱胴回転方向下手側での処理物漏下孔内面75aと扱胴回転方向上手側での処理物漏下孔内面75bのうち、扱胴回転方向下手側での処理物漏下孔内面75aと帯板体74の側面とが面一になる取り付け姿勢で取り付けてある。扱胴回転方向上手側の取り付け対象外域Z2よりも扱胴回転方向上手側に位置する帯板体74は、帯板体74が位置する区画部分75の扱胴回転方向下手側での処理物漏下孔内面75aと扱胴回転方向上手側での処理物漏下孔内面75bのうち、扱胴回転方向上手側での処理物漏下孔内面75bと帯板体74の側面とが面一になる取り付け姿勢で取り付けてある。
【0033】
図8は、従来の受網70、すなわち帯板体74を設けていない受網70にワラ屑Yが絡み付いた状態を示す説明図である。この図に示すように、帯板体74を設けていない受網本体72の場合、二又形のワラ屑Yが区画部分75の両側に位置する処理物漏下孔71に刺さり込むと、ワラ屑Yが区画部分75に跨って区画部分75から垂れ下がった状態となり、ワラ屑Yは、回転する扱胴42の扱歯74が当接しても区画部分75のまわりに揺れ動くだけで受網42から外れにくい。
【0034】
図7は、本発明の実施の形態に係る受網70にワラ屑Yが刺さり込んだ状態を示す説明図である。この図に示すように、帯板体74を設けた受網本体72の場合、二又形のワラ屑Zが区画部分75の両側に位置する処理物漏下孔71に刺さり込んでも、帯板体74によってワラ屑Yの一端側Y1が受け止め支持され、ワラ屑Yは、区画部分75と帯板体74とにわたって跨ってこれらから垂れ下がった状態にならず、回転する扱胴42の当接によって受網42から外れやすくなる。
したがって、帯板体74は、ワラ屑が処理物漏下孔71に刺さり込んで区画部分75から垂れ下がった状態になることを防止し、これによってワラ屑を受網70に絡み付いたままになりにくくする。
【0035】
図9は、脱穀機体40の扱室開き状態を示す斜視図である。この図及び図1に示すように、脱穀機体40は、横側壁の上部に設けた前後一対の開閉壁部40a,40aを備えている。前後一対の開閉壁部40a,40aのうちの前側の開閉壁部40aは、この開閉壁部40aの前端側に位置する脱穀機体上下向きの開閉軸芯S1まわりに揺動操作されることによって扱室41を開閉する。前後一対の開閉壁部40a,40aのうちの後側の開閉壁部40aは、この開閉壁部40aの後端側に位置する脱穀機体上下向きの開閉軸芯S1まわりに揺動操作されることによって扱室41を開閉する。
この脱穀機体40の構造の場合、各開閉壁部40aが小型になり、開閉壁部40aの歪みが発生しにくくなる。これにより、開閉壁部40aの閉じ状態での収まりがよくて良好なシールを得ることができる。また、開閉壁部40aのための補強部材の省略や少数化が可能となって開閉壁部40aを軽量にでき、開閉壁部40aの開閉操作が容易になる。
【0036】
図10は、第1別実施形態を備えた脱穀機体40を示す側面図である。図11は、第1別実施形態を備えた脱穀機体40を示す縦断正面図である。これらの図に示すように、第1別実施形態の脱穀機体40は、横側壁の上部に設けた一つの開閉壁部40bを備えている。開閉壁部40bは、これの下端側に位置する脱穀機体前後向きの開閉軸芯S2まわりに上下揺動操作されることによって扱室41を開閉する。
【0037】
図12は、第2別実施形態を備えた脱穀機体40を示す側面図である。図13は、第2別実施形態を備えた脱穀機体40を示す縦断正面図である。これらの図に示すように、第2別実施形態の脱穀機体40は、横側壁の上部に設けた一つの開閉壁部40cを備えている。開閉壁部40cは、これの上端側に位置する脱穀機体前後向きの開閉軸芯S3まわりに上下揺動操作されることによって扱室41を開閉する。
【0038】
第1別実施形態及び第2別実施形態を備えた脱穀機体40の構造の場合、開閉壁部40b,40cの開閉支点を開閉壁部40b,40cの長辺に沿わせて設けることができ、開閉壁部40b,40cの歪みや変形が発生しにくくなる。これにより、開閉壁部40b,40cの閉じ状態での収まりがよくて良好なシールを得ることができる。また、開閉壁部40b、40cのための補強部材の省略や少数化が可能となって開閉壁部40b、40cを軽量にでき、開閉壁部40b、40cの開閉操作が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、受網本体が板金によって構成された脱穀用受網の他、受網本体がクリンプ網によって構成された脱穀用受網にも利用できる。本発明は、刈取穀稈の株元から穂先までの全体が扱室に供給される脱穀装置に装備される脱穀用受網の他、刈取穀稈の穂先側だけが扱室に供給される脱穀装置に装備される脱穀用受網にも利用できる。
【符号の説明】
【0040】
71 処理物漏下孔
72 受網本体
74 帯板体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理物漏下孔を有した受網本体を備え、前記受網本体の裏面に扱胴周方向に並ぶ前記処理物漏下孔どうしの間から突出し、かつ扱胴回転軸芯方向に沿った取り付け姿勢で取り付けた帯板体を備えた脱穀用受網。
【請求項2】
前記受網本体を前記処理物漏下孔が打ち抜きによって設けられた鋼板によって構成してある請求項1記載の脱穀用受網。
【請求項1】
処理物漏下孔を有した受網本体を備え、前記受網本体の裏面に扱胴周方向に並ぶ前記処理物漏下孔どうしの間から突出し、かつ扱胴回転軸芯方向に沿った取り付け姿勢で取り付けた帯板体を備えた脱穀用受網。
【請求項2】
前記受網本体を前記処理物漏下孔が打ち抜きによって設けられた鋼板によって構成してある請求項1記載の脱穀用受網。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−187635(P2010−187635A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37945(P2009−37945)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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