説明

脱穀装置

【課題】選別室内の複数のフィンを前後並列配置した脱穀装置において、扱室から供給される扱降物の供給量の多少に関係なく扱降物を高精度で選別可能な脱穀装置を提供。
【解決手段】揺動選別体に、開度調節により選別風の吹き抜け量及び扱降物の漏下量を調整する複数のフィン19を前後並列配置し、各フィン群24A,24B,24Cを最閉状態から全開作動させるにあたり、後フィン群24Cが全開状態に達してから中央フィン群24Bが全開状態に達するまでのタイムラグが、中央フィン群24Bが全開状態に達してから前フィン群24Aが全開状態に達するまでのタイムラグと略同一になる一方、後フィン群24Cが開作動を開始してから中央フィン群24Bが開作動を開始するまでのタイムラグより、中央フィン群24Bが開作動を開始する時間と前フィン群24Aが開作動を開始する時間とのタイムラグが短くなるように開閉手段27を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
選別室内に開度調節により選別風の吹き抜け量及び扱降物の漏下量を調整する複数のフィンを前後並列配置した脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扱室の下方の選別風路に、脱穀後の扱降物を後方に移送して漏下させる揺動選別体を設け、該揺動選別体に、開度調節により選別風の吹き抜け量及び扱降物の漏下量を調整する複数のフィンを前後並列配置し、該複数のフィンを前フィン群と中央フィン群と後フィン群とに分割して各フィン群を各別の開度で開閉作動させることが可能な開閉手段を備え、該開閉手段が、各フィン群を最閉状態から全開作動させるにあたり、後フィン群、中央フィン群、前フィン群の順に各フィン群を全開作動させることにより、扱室からの扱降物量の増加による選別精度の低下を防止する特許文献1に示す脱穀装置が公知になっている。
【特許文献1】特許第3584113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記文献の脱穀装置は、扱室からの扱降物の供給量が増加に伴って後フィン群、中央フィン群、前フィン群の順に各フィン群の開作動を開始させるとともに後フィン群、中央フィン群、前フィン群の順に各フィン群の開度を大きくし、最終的に各フィン群を全開作動させるため、扱室からの扱降物の供給量が少ない場合、前後配列した複数の各フィンを同一の開度で開閉作動させるものと比較して、前後並列配置したフィンの後列側に選別風が集中して扱降物が飛ばされ易くなり、選別風による選別精度が低下するという課題がある。
本発明は、上記課題を解決し、開度調節により選別風の吹き抜け量及び扱降物の漏下量を調整する複数のフィンを選別室内に前後並列配置した脱穀装置において、扱室から供給される扱降物の供給量の多少に関係なく扱降物を高精度で選別可能な脱穀装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため本発明の脱穀装置は、第1に、扱室1の下方の選別風路に、脱穀後の扱降物を後方に移送して漏下させる揺動選別体6を設け、該揺動選別体6に、開度調節により選別風の吹き抜け量及び扱降物の漏下量を調整する複数のフィン19を前後並列配置し、該複数のフィン19を前フィン群24Aと中央フィン群24Bと後フィン群24Cとに分割して各フィン群24A,24B,24Cを各別の開度で開閉作動させることが可能な開閉手段27を備え、該開閉手段27が、各フィン群24A,24B,24Cを最閉状態から全開作動させるにあたり、後フィン群24C、中央フィン群24B、前フィン群24Aの順に各フィン群24A,24B,24Cを全開作動させる脱穀装置において、各フィン群24A,24B,24Cを最閉状態から全開作動させるにあたり、後フィン群24Cが全開状態に達してから中央フィン群24Bが全開状態に達するまでのタイムラグが、中央フィン群24Bが全開状態に達してから前フィン群24Aが全開状態に達するまでのタイムラグと略同一になる一方、後フィン群24Cが開作動を開始してから中央フィン群24Bが開作動を開始するまでのタイムラグより、中央フィン群24Bが開作動を開始する時間と前フィン群24Aが開作動を開始する時間とのタイムラグが短くなるように開閉手段27を構成したことを特徴としている。
【0005】
第2に、各フィン群24A,24B,24Cを最閉状態から全開作動させるにあたり、前フィン群24Aと中央フィン群24Bが同じタイミングで開作動を開始するように開閉手段27を構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
以上のように構成される本発明の脱穀装置によれば、後フィン群、中央フィン群、前フィン群の順に各フィン群を最閉状態から全開作動させるにあたり、前フィン群がより早いタイミングで開作動を開始するようになるため、前後並列配置したフィンの後列側から吹き抜ける選別風が強くなり過ぎることが防止され、扱室からの扱降物量が少ない場合における選別精度の低下を抑制できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図示する例に基づき、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明を適用した脱穀装置の側面図である。該脱穀装置には、上方側の扱室1と、下方側の選別室2とが受網3によって区切られて設けられている。扱室1内には扱胴4が回転駆動自在に設けられている。選別室2には、受網3を通過して導入される扱降物を揺動選別する揺動選別体6と、選別風を送風する唐箕ファン7と、排塵を機外に排出する排塵ファン8とが設けられている。
【0008】
揺動選別体6には、上記扱降物を後方に移送する移送板9と、該移送板9の後方に配置されて移送されてきた扱降物を漏下させる漏下部であるチャフシーブ11とが設けられている。脱穀装置の側方にはフィードチェーン12が設けられている。
【0009】
上記構造により、本脱穀装置は、フィードチェーン12によって扱室1内に供給される穀稈を扱胴4によって脱穀し、脱穀後の脱穀粒と藁屑等の混合物である扱降物を、受網3を通過させて揺動選別体6に供給し、揺動選別体6において移送板9によって扱降物を順次後方に送り、チャフシーブ11によって漏下させる。
【0010】
漏下された扱降物は、選別室2前部に配置された唐箕ファン7や選別室2後端部に設置された排塵ファン8等によって起風される後方斜め上方の選別風により、選別室2下部における前後方向中央付近に落下する1番物と、1番物よりも後方に落下する2番物と、排塵ファン8側に送られて機外に排出される藁屑とに風選される。1番物は、穀粒として、1番ラセン13及び揚穀筒14を介して、グレンタンク16に搬送収容される一方で、2番物は、2番ラセン17及び還元筒18を介して、選別室2の上部に再び還元される。
【0011】
図2はチャフシーブのフィン部分を示す側面図であり、図3はフィン部分の正面図である。上記チャフシーブ11は、前後方向に所定間隔を介して並設配置される複数列(図示する例では12列)の左右方向のフィン19を備えている。各フィン19は、機体側に対して前後往復移動駆動可能に支持される揺動選別体6の左右一対の枠体21間に上下回動自在に架設された左右方向の支持軸22に取付固定されることにより、機体側に上下揺動可能に支持されている。
【0012】
そして、前側の複数例(図示する例では4列)のフィン19が常時同一姿勢になるように前後方向の連結板23(連結体)によって連結されることにより前フィン群24Aが形成され、中央の複数例(図示する例では4列)のフィン19が常時同一姿勢になるように前後方向の連結板23によって連結されることにより中央フィン群24Bが形成され、後側の複数例(図示する例では4列)のフィン19が常時同一姿勢になるように前後方向の連結板23によって連結されることにより後フィン群24Cが形成される。
【0013】
各フィン群24A,24B,24Cは複数フィン19の内の1つを支持する支持軸22の端部に開閉アーム26の基端部が取付固定されており、この開閉アームを26上下揺動させることにより、開閉アームを固定した支持軸22に支持されたフィン19及びこのフィンと連結板23によって連結されたフィン19が一体的に上下揺動する。すなわち、開閉アーム26は、フィン群24を構成する全てのフィン19を一体的に上下揺動させる。
【0014】
そして、開閉アーム26を上方揺動させて各フィン19を上方揺動作動(閉作動)させていくことにより、複数のフィン19間の隙間が狭くなっていき、フィン群24A,24B,24Cの開度が少なくなっていく。一方、開閉アーム26を下方揺動させて各フィン19を下方揺動作動(開作動)させていくことにより、複数のフィン19が互いに離間してフィン19間の隙間が広くなっていき、フィン群24A,24B,24Cの開度が多くなっていく。すなわち、それぞれの開閉アーム26を各別に上下揺動させることにより、前フィン群24Aと中央フィン群24Bと後フィン群24Cとが各別の開度で開閉作動する。
【0015】
このようにして、複数のフィン17を開閉作動させて開度を調節することにより、前側位置、中央位置、後側位置における選別風の上方への吹き抜け量及び扱降物の下方への漏下量を各別に調節する。なお、開閉アームを最上方位置に揺動させることによりフィン群24A,24B,24Cが全閉作動し、開閉アームを最下方位置に揺動させることによりフィン群24A,24B,24Cが全開作動する。
【0016】
上記3つの開閉アーム26は、枠体21に対して前後移動駆動可能に支持された単一の駆動プレート27によって、各別のタイミング及び変化率で、上下揺動される。
【0017】
具体的には、開閉アーム26の先端に前後回転自在に当接ローラ28(当接体)が支持され、前フィン群24Aの当接ローラ28が駆動プレート27の前カム部29Aに前後回転自在に常時当接し、中央フィン群24Bの当接ローラ28が駆動プレート27における前カム部29A後方の中央カム部29Bに前後回転自在に常時当接し、後フィン群24Cの当接ローラ28が駆動プレート27における中央カム部29B後方の後カム部29Cに前後回転自在に常時当接しており、駆動プレート27を前後移動させることにより、カム部29A,29B,29Cにおける当接ローラ28,28,28との当接位置が変更され、開閉アーム26,26,26が上下揺動作動する。
【0018】
このため、各カム部29A,29B,29Cにおける開閉アーム26,26,26と当接する部分の形状によって、各フィン群24A,24B,24Cの開閉作動が定まる。すなわち、駆動プレート27等によって、複数のフィン19を前フィン群24Aと中央フィン群24Bと後フィン群24Cとに分割して各フィン群24A,24B,24Cを各別の開度で開閉作動させる開閉手段を構成している。なお、各開閉アーム26は、スプリング等の弾性部材30によって対応するカム部29A,29B,29C側に常時付勢されている。
【0019】
上記駆動プレート27からは下方に検出杆31が一体的に延設されるとともに前方に向かって駆動杆32が一体的に突出形成されている他、駆動プレート27には前後一対の前後方向の長孔27a,27aが穿設されている。
【0020】
上記前後の長孔27a,27a内のそれぞれに、枠体21に支持された前後一対の支持ローラ33,33を、前後回転自在に係合させることにより、駆動プレート27が枠体21に前後移動可能に支持される。
【0021】
上記駆動杆32の下端縁にはギヤ32aが形成されており、このギヤ32aが駆動杆32下方に配置された駆動ギヤ34と常時噛合っている。そして、駆動ギヤ34を回転駆動することにより、駆動プレート27が前後移動駆動される。
【0022】
上記検出杆31の下端部に形成されて下方が開放された軸方向の連結溝31aを介して、検出アーム36の先端部が、検出杆31の軸方向に移動可能且つ前後回動可能に、検出杆31に連結される。検出アーム36の基端部は位置検出手段であるポテンショメータ37に取付けされている。このため、駆動プレート27が前後移動すると、検出アーム36が前後回動し、検出アーム36の前後回動角をポテンショメータ37で検知することにより、駆動プレート27の枠体21に対しての前後位置が検出される。
【0023】
次に、図2,4及び5に基づき、開閉手段に構成について詳述する。
図4は、駆動プレートの要部側面図である。各カム部29A,29B,29Cにおける前部と後部には駆動プレート27の移動方向に対して略平行な下端縁38と上端縁39が前後に形成されており、各カム部29A,29B,29Cにおける中央には前側下段の下端縁38と後側上段の上端縁39とを連接する連接縁41が形成されている。この連接縁41は、前方に向かって下方に傾斜する傾斜部分を一又は複数有し、傾斜部分以外の部分が駆動プレート27の移動方向に対して略平行な直線状に成形されている。
【0024】
駆動プレート27が最前方位置にある場合には、当接ローラ28が上端縁に当接し、開閉アーム26が最上方位置に揺動された状態になってフィン19が全閉状態になる。この状態から、駆動プレート27を後方移動させていくと、当接ローラ28は、駆動プレート27に対して前側に変位していき、上端縁39の連接端41との境界部分P1(開始点)に達する。この状態から、さらに駆動プレート27を後方移動させていくと、当接ローラ28は、連接縁41に沿って下降するようにして駆動プレート27に対して前側に変位していき、開閉アーム26が下方揺動作動し、フィン19の開度が次第に多くなっていく。
【0025】
この状態から、さらに駆動プレート27を後方移動させていくと、当接ローラ28は、駆動プレート27に対して前側に変位していき、連接端41の下端縁38との境界部分P2(全開点)に達し、開閉アーム26が最下方位置に揺動された状態になってフィン19が全開状態になる。そして、この状態からさらに駆動プレート27を後方移動させていくと、当接ローラ28が下端縁38上を回転作動しながら駆動プレート27に対して前側に変位していき、フィン19の全開状態が保持される。
【0026】
上記構成により、駆動プレート27を最前方位置から最後方位置に略等速で移動駆動させて各フィン群24A,24B,24Cを全閉状態(最閉状態)から全開状態に開作動(全開作動)させる場合、各フィン群24A,24B,24Cの開作動開始タイミングが各開始点P1の配置箇所によって規定され、各フィン群24A,24B,24Cの全開タイミングが各全開点P2の配置箇所によって規定され、各フィン群24A,24B,24Cの開閉作動挙動が各カム部29A,29B,29Cの連接縁における傾斜部分の個数、形成範囲、傾斜角等によって規定される。
【0027】
図5は、駆動プレートの最後方位置からの変位量に対する各フィン群の開度を示す特性グラフである。本脱穀装置の駆動プレートによれば、各フィン群24A,24B,24Cを全閉状態(最閉状態)から全開作動させるにあたり、駆動プレート27を最前方位置から最後方位置まで移動させた場合、駆動プレート27の移動開始とともに後フィン群24Cの開作動が開始される。
【0028】
この状態から駆動プレート27を所定変位量D1だけ後方移動させると中央フィン群24B及び前フィン群24Aの開作動が同時に開始される。この状態からさらに駆動プレート27を後方移動させると後フィン群29が全体状態に達する。この状態からさらに駆動プレート27を所定変位量D3だけ後方移動させると中央フィン群24Bが全開状態に達する。この状態からさらに駆動プレート27を所定変位量D4だけ後方移動させると前フィン群24Aが全開状態に達する。
【0029】
このような場合、後フィン群24Cと中央フィン群24Bは、駆動プレート27の変位量に対して略一定且つ同一の変化量で、全閉状態から全開状態に至る。すわなち、後カム部29Cの連接縁41及び中央カム部29Bの連接縁41は、それぞれ単一の傾斜部分からなり、これらの傾斜部分の傾斜角が略同一になるように各連接縁41が成形されている。
【0030】
くわえて、後フィン群24Cが全開状態に達してから中央フィン群24Bが全開状態に達するまでのタイムラグ(駆動プレート27の変位量D3)は、中央フィン群24Bが全開状態に達してから前フィン群24Aが全開状態に達するまでのタイムラグ(駆動プレート27の変位量D4)と略同一になるように、上記各カム部29A,29B,29Cの全開点P2が設定されている。
【0031】
また、後フィン群24Cが開作動を開始してから中央フィン群24Bが開作動を開始するまでの駆動プレート27の変位量D1(後フィン群24Cが開作動を開始してから中央フィン群24Bが開作動を開始するまでのタイムラグ)に対して、中央フィン群24Bの開作動を開始させる位置から前フィン24Aの開作動を開始させる位置までの駆動プレート27の変位量D2(中央フィン群が開作動を開始する時間と前フィンが開作動を開始する時間とのタイムラグ)が短くなるように、上記各カム部29A,29B,29Cの開始点P1が設定されている。なお、本脱穀装置では、変位量D2は零になっている。
【0032】
ちなみに、各フィン群24A,24B,24Cを全閉状態から全開作動させるにあたり、前フィン群24Aは、開作動が開始されると、まず後フィン群24Cよりも緩やかにフィン19の開度が大きくなっていき、その後、駆動プレート27が所定変位量D5だけ後方に移動する間は開度が略一定になり、その後、中央フィン群24B及び後フィン群24Cと略同一の変化量で開度が大きくなっていき、全開状態に達する。
【0033】
この場合、前カム部29Aの連接縁41は、図4に示すように、中央カム部29B及び後カム部29Cの連接縁41の傾斜部よりも傾斜が緩い傾斜部41aが開始点P1から連続するように成形され、中央カム部29B及び後カム部29Cの連接縁41の傾斜部と略同一傾斜角の傾斜部41bが全開点P2に連続するように成形され、これら2つの傾斜部41a,41bが駆動プレート27の移動方向に対して略平行な連接部41cによって連接されている。
【0034】
次に、他の実施形態について、前述した実施形態と異なる部分について説明する。
図6(A)乃至(F)は、それぞれの実施形態における駆動プレートの最後方位置からの変位量に対する各フィン群の開度を示す特性グラフである。同図(A)に示す例では、各フィン群24A,24B,24Cを全閉状態(最閉状態)から全開作動させるにあたり、前フィン群24Aを、開作動開始から略一定且つ中央フィン群24B及び後フィン群24Cよりも小さな変化量で、全開状態まで開作動させる。
【0035】
同図(B)に示す例では、各フィン群24A,24B,24Cを全閉状態から全開作動させるにあたり、中央フィン群24Bが開作動を開始してから駆動プレート27が所定変位量D2だけ後方に移動すると、前フィン群24Aが中央フィン群24B及び後フィン群24Cと略同一の変化量で開度が上昇していく。その後、前フィン群24Aは、駆動プレート27が所定変位量D5だけ後方に移動する間は開度が略一定になり、その後、中央フィン群24B及び後フィン群24Cと略同一の変化量で開度が大きくなっていき、全開状態に達する。
【0036】
同図(C)は、各フィン群24A,24B,24Cを全閉状態から全開作動させるにあたり、同図(B)に示す例に対して、前フィン群24Aを中央フィン群24Bによりも早いタイミングで開作動させる例につき示している。そして、前フィン群24Aが開作動を開始してから駆動プレート27が所定変位量D2、後方移動すると、中央フィン群24Bも開作動を開始する。
【0037】
同図(D)は、各フィン群24A,24B,24Cを全閉状態から全開作動させるにあたり、同図(B)に示す例に対して、中央フィン群24B及び後フィン群24Cよりも小さな変化量で前フィン群24Aの開作動を開始する例につき示している。そして、その後は、中央フィン群24B及び後フィン群24Cと略同一の変化量で、前フィン群24Aを開作動させていき、全開状態に達する。
【0038】
同図(E)は、各フィン群24A,24B,24Cを全閉状態から全開作動させるにあたり、図5に示す例に対して、中央フィン群24Bの開作動が後フィン群24Cの開作動と同一タイミングで開始される例につき示している。ちなみに、中央フィン群24Bは、開作動が開始されると、まず後フィン群24Cよりも緩やかにフィン19の開度が大きくなっていき、その後、駆動プレート27が所定変位量だけ後方に移動する間は開度が略一定になり、その後、後フィン群24Cと略同一の変化量で開度が大きくなっていき、全開状態に達する。
【0039】
同図(F)は、各フィン群24A,24B,24Cを全閉状態から全開作動させるにあたり、図5に示す例に対して、各フィン群24A,24B,24Cの開作動が同一タイミングで開始される例につき示している。ちなみに、中央フィン群24Bは、開作動が開始されると、まず後フィン群24Cよりも緩やかにフィン19の開度が大きくなっていき、その後、後フィン群24Cと略同一の変化量で開度が大きくなっていき、全開状態に達する。前フィン群24Aは、開作動が開始されると、まず後フィン群24C及び中央フィン群24Bよりも緩やかにフィン19の開度が大きくなっていき、その後、後フィン群24Cと略同一の変化量で開度が大きくなっていき、全開状態に達する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用した脱穀装置の側面図である。
【図2】チャフシーブのフィン部分を示す側面図である。
【図3】フィン部分の正面図である。
【図4】駆動プレートの要部側面図である。
【図5】駆動プレートの最後方位置からの変位量に対する各フィン群の開度を示す特性グラフである。
【図6】(A)乃至(F)は、それぞれの実施形態における駆動プレートの最後方位置からの変位量に対する各フィン群の開度を示す特性グラフである。
【符号の説明】
【0041】
1 扱室
6 揺動選別体
19 フィン
24A 前フィン群(フィン群)
24B 中央フィン群(フィン群)
24C 後フィン群(フィン群)
27 駆動プレート(開閉手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(1)の下方の選別風路に、脱穀後の扱降物を後方に移送して漏下させる揺動選別体(6)を設け、該揺動選別体(6)に、開度調節により選別風の吹き抜け量及び扱降物の漏下量を調整する複数のフィン(19)を前後並列配置し、該複数のフィン(19)を前フィン群(24A)と中央フィン群(24B)と後フィン群(24C)とに分割して各フィン群(24A),(24B),(24C)を各別の開度で開閉作動させることが可能な開閉手段(27)を備え、該開閉手段(27)が、各フィン群(24A),(24B),(24C)を最閉状態から全開作動させるにあたり、後フィン群(24C)、中央フィン群(24B)、前フィン群(24A)の順に各フィン群(24A),(24B),(24C)を全開作動させる脱穀装置において、各フィン群(24A),(24B),(24C)を最閉状態から全開作動させるにあたり、後フィン群(24C)が全開状態に達してから中央フィン群(24B)が全開状態に達するまでのタイムラグが、中央フィン群(24B)が全開状態に達してから前フィン群(24A)が全開状態に達するまでのタイムラグと略同一になる一方、後フィン群(24C)が開作動を開始してから中央フィン群(24B)が開作動を開始するまでのタイムラグより、中央フィン群(24B)が開作動を開始する時間と前フィン群(24A)が開作動を開始する時間とのタイムラグが短くなるように開閉手段(27)を構成した脱穀装置。
【請求項2】
各フィン群(24A),(24B),(24C)を最閉状態から全開作動させるにあたり、前フィン群(24A)と中央フィン群(24B)が同じタイミングで開作動を開始するように開閉手段(27)を構成した請求項1の脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−225767(P2009−225767A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78338(P2008−78338)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】