説明

自動二輪車

【課題】後端部に後輪の車軸が軸支される伝動ケース内に、ベルト式無段変速機を収容する変速機室ならびに歯車減速機を収容する歯車室が形成され、後輪に設けられるドラム式ブレーキが備えるブレーキシューの周方向一端部を支持するアンカーピンが、伝動ケースのうちブレーキパネルを構成する壁部に挿通、固定される自動二輪車において、伝動ケースの大型化を回避しつつアンカーピンおよびブレーキカムのレイアウト上の自由度を高める。
【解決手段】歯車減速機25を構成する複数の歯車94,95,97,98の少なくとも1つが設けられる歯車軸96の端部を支持するための軸受孔111と、アンカーピン90を挿通、固定するためのアンカーピン支持孔115とが、アンカーピン90の一端部を軸受孔111側に臨ませるようにしつつアンカーピン支持孔115を軸受孔111に連ならせて伝動ケース61の壁部63aに設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと、該エンジンのクランクケースで回転自在に支承されるクランクシャフトからの回転動力を無段階に変速するベルト式無段変速機と、そのベルト式無段変速機および後輪の車軸間に介設される歯車減速機とを有するパワーユニットが車体フレームに揺動可能に支承され、前記クランクケースに連なって後方に延びるとともに後端部には前記車軸が軸支される伝動ケース内に、前記ベルト式無段変速機を収容する変速機室ならびに前記歯車減速機を収容する歯車室が形成され、前記後輪に設けられるドラム式ブレーキが備えるブレーキシューの周方向一端部を支持するアンカーピンが、前記伝動ケースのうちブレーキパネルを構成する壁部に挿通、固定される自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
後輪に設けられるドラム式ブレーキのアンカーピンを、パワーユニットの一部を構成するベルト式無段変速機および歯車減速機を収容する伝動ケースのうちブレーキパネルを構成する壁部に挿通、固定するようにした自動二輪車が、特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2627583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、アンカーピンを挿通、固定するためのアンカーピン支持孔が、歯車減速機が備える複数の軸の軸受孔と重ならない位置で伝動ケースのうちブレーキパネルを構成する部分に設けられており、アンカーピン支持孔を配置し得るスペースが限られてしまい、それに伴ってブレーキカムを配置するスペースも限定されてしまうので、アンカーピンおよびブレーキカムのレイアウト上の自由度が小さくなる。これを解決するために、歯車減速機が備える複数の軸の軸受孔の1つと軸方向に重なる位置に単純にアンカーピン支持孔を配置すると、伝動ケースのうちブレーキパネルを構成する壁部が後輪の車軸に沿う方向に厚くなり、伝動ケースの大型化を招くことになる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、伝動ケースの大型化を回避しつつアンカーピンおよびブレーキカムのレイアウト上の自由度を高めた自動二輪車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、該エンジンのクランクケースで回転自在に支承されるクランクシャフトからの回転動力を無段階に変速するベルト式無段変速機と、そのベルト式無段変速機および後輪の車軸間に介設される歯車減速機とを有するパワーユニットが車体フレームに揺動可能に支承され、前記クランクケースに連なって後方に延びるとともに後端部には前記車軸が軸支される伝動ケース内に、前記ベルト式無段変速機を収容する変速機室ならびに前記歯車減速機を収容する歯車室が形成され、前記後輪に設けられるドラム式ブレーキが備えるブレーキシューの周方向一端部を支持するアンカーピンが、前記伝動ケースのうちブレーキパネルを構成する壁部に挿通、固定される自動二輪車において、前記歯車減速機を構成する複数の歯車の少なくとも1つが設けられる歯車軸の端部を支持するための軸受孔と、前記アンカーピンを挿通、固定するためのアンカーピン支持孔とが、前記アンカーピンの一端部を前記軸受孔側に臨ませるようにしつつ前記アンカーピン支持孔を前記軸受孔に連ならせて前記伝動ケースの前記壁部に設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記歯車減速機は、前記ベルト式無段変速機の出力端である伝動軸に設けられる駆動歯車と、前記後輪の車軸に設けられる被動歯車と、前記歯車軸に固設されて前記駆動歯車に噛合する第1中間歯車と、前記歯車軸に固設されて前記被動歯車に噛合する第2中間歯車とから成り、前記アンカーピン支持孔との間に前記車軸を挟む位置に配置されるカム軸が前記伝動ケースの前記壁部に回動可能に支承され、前記カム軸の回動に応じて前記ブレーキシューを拡縮作動せしめるブレーキカムが、前記ブレーキシューの周方向他端部に当接するようにして前記カム軸に設けられることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記軸受孔が、前記アンカーピン支持孔との間に前記歯車室側に臨む段部を形成するようにして前記アンカーピン支持孔よりも大径に形成され、前記歯車軸の端部外周および前記軸受孔の内周間に軸受が介装されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記軸受孔および前記アンカーピン支持孔が、前記アンカーピン支持孔に挿通された前記アンカーピンを前記壁部に固定するための締結部材を、前記歯車室側から前記アンカーピン支持孔に挿入して締結操作することを可能とするとともに、前記軸受孔に前記軸受を前記歯車室側から挿入して取付け得るように形成されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第3または第4の特徴の構成に加えて、液密に閉じられた状態の前記歯車室に臨む前記軸受が、アウターレースおよびインナーレース間に複数のボールが設けられて成るボールベアリングであり、前記軸受孔および前記アンカーピン支持孔が、それらの軸線方向から見て複数の前記ボールの一部が前記アンカーピン支持孔内に位置するように相互に偏心して配置されることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記締結部材が、前記アンカーピン支持孔内で前記アンカーピンの一端部に螺合して前記壁部に係合、当接するナットであり、前記歯車軸の前記アンカーピン側の端面と、前記壁部に当接、係合した状態にある前記ナットとの間の距離が、前記ナットを前記壁部に当接するまで前記アンカーピンに螺合せしめる際の前記ナットの軸方向移動距離よりも小さく設定されることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第5の特徴の構成に加えて、前記アンカーピンの外周および前記アンカーピン支持孔の内周間に環状のシール部材が介装されることを第7の特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、第1〜第7の特徴の構成のいずれかに加えて、前記伝動ケースが、前記変速機室を形成する変速機ケースと、該変速機ケースとの間に前記歯車室を形成するようにして後輪側から前記変速機ケースに締結される内側カバーとから成り、前記アンカーピン支持孔および前記軸受孔が設けられる前記壁部が前記内側カバーに形成されることを第8の特徴とする。
【0014】
なお実施の形態の第4軸受孔111が本発明の軸受孔に対応し、実施の形態の第3シール部材119が本発明のシール部材に対応する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、歯車減速機が備える複数の歯車の少なくとも1つが設けられる歯車軸の端部を支持するための軸受孔と、アンカーピンを挿通、固定するためのアンカーピン支持孔とを軸方向で重なる位置で伝動ケースの壁部に設けても、アンカーピンの一端部を軸受孔側に臨ませるようにしつつアンカーピン支持孔が軸受孔に連なって形成されるので、壁部の厚み、ひいては車軸の軸線に沿う方向での伝動ケースの寸法が大きくなることを回避しつつ、歯車軸およびアンカーピンを相互に干渉することなく配置することができ、アンカーピンの配置上の自由度を高めることができ、それに応じてブレーキカムの配置上の自由度も高めることができる。
【0016】
また本発明の第2の特徴によれば、アンカーピン支持孔との間に後輪の車軸を挟む位置で伝動ケースの壁部に、ブレーキシューを拡縮作動せしめるブレーキカムが設けられるカム軸が回動可能に支承されるので、アンカーピンおよびブレーキカムをその配置上の自由度を高めつつ歯車軸の周囲にコンパクトに配置することができ、歯車軸の配置上の自由度も高めることができる。
【0017】
本発明の第3の特徴によれば、軸受孔と、この軸受孔よりも小径のアンカーピン支持孔との間に形成された段部によって、歯車軸の端部外周および軸受孔の内周間に介装される軸受がアンカーピン支持孔側に移動するのを規制することができ、前記軸受およびアンカーピンの干渉が生じることを防止することができる。
【0018】
本発明の第4の特徴によれば、アンカーピンを壁部に固定するための締結部材を歯車室側から締結操作することが可能であり、壁部に軸受を歯車室側から組付けることが可能であるので、アンカーピンの固定および軸受の組付けを同一方向から行うことができるようにして組付け性の向上を図ることができる。
【0019】
本発明の第5の特徴によれば、軸受孔およびアンカーピン支持孔が、それらの軸線方向から見てボールベアリングが備える複数のボールの一部がアンカーピン支持孔内に位置するように相互に偏心して配置されるので、歯車室内の潤滑油が、ボールベアリングのインナーレースおよびアウターレース間を経て歯車軸の端部側に回り込み易くなり、潤滑性を高めることができる。
【0020】
本発明の第6の特徴によれば、壁部に当接するようにアンカーピンの一端部にナットが螺合することでアンカーピンが壁部に固定されるのであるが、ナットの弛み方向の移動が歯車軸の端部で規制されるので、ナットがアンカーピンから脱落してしまうことを防止することができる。
【0021】
本発明の第7の特徴によれば、アンカーピンの外周およびアンカーピン支持孔の内周間に介装される環状のシール部材によって、ドラム式ブレーキ内および歯車室間にわたる軸受孔およびアンカーピン支持孔が壁部に設けられるにもかかわらず、歯車室の液密保持状態が維持される。
【0022】
さらに本発明の第8の特徴によれば、歯車室が、変速機室を形成する変速機ケースと、後輪側から変速機ケースに締結される内側カバーとの間に形成され、アンカーピン支持孔および軸受孔が設けられる壁部が内側カバーに形成されるので、本発明の構造を従来の自動二輪車に適用するにあたって小さな内側カバーの交換だけですむ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】図1の2矢示部拡大図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図3の4矢示部拡大図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】図6の7矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図1〜図7を参照しながら説明する。なお以下の説明で前後、上下および左右の各方向は自動二輪車に搭乗した乗員から見た方向を言うものとする。
【0025】
先ず図1において、この自動二輪車は低床式のフロア11を有するスクータ型自動二輪車であり、その車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク12を操向可能に支承するヘッドパイプ13と、該ヘッドパイプ13に前端部が接合される左右一対のサイドフレーム14…とを備える。サイドフレーム14は、ヘッドパイプ13から下方に垂下されるダウンフレーム部14aと、ダウンフレーム部14aの下端に連なるとともに前記フロア11の下方で後方に延びるとともに後半部が後ろ上がりに傾斜するように形成されるロアフレーム部14bと、ロアフレーム部14bの後端に連なるとともに前記フロア11の後方で上方に立ち上がる立ち上がりフレーム部14cと、乗車用シート15を支持すべく立ち上がりフレーム部14cの後端から後方に延びるシートレール部14dとを一体に有して、単一のパイプが屈曲成形されて成る。
【0026】
前記サイドフレーム14…におけるロアフレーム部14b…間には前記フロア11の下方に位置する燃料タンク16が支持され、前記乗車用シート15で上方から覆われる収納ボックス17が、たとえばヘルメット18,19を収納可能としてサイドフレーム14…における立ち上がりフレーム部14c…およびシートレール部14d…で支持される。
【0027】
前記サイドフレーム14…におけるロアフレーム部14b…および立ち上がりフレーム部14c…の連設部に設けられるブラケット20に、ユニットスイング式のパワーユニットPの前側下部に設けられるハンガ部132に一端が軸133を介して連結されるリンク21の他端が軸135を介して連結され、前記パワーユニットPは、上下に揺動することを可能としつつ車体フレームFに揺動可能に支承され、後輪WRは該パワーユニットPの後部に軸支される。また左側の前記サイドフレーム14におけるシートレール部14dの後部および前記パワーユニットPの後部間にはリヤクッションユニット22が設けられる。
【0028】
図2および図3を併せて参照して、前記パワーユニットPは、エンジンEと、該エンジンEのクランクシャフト23からの回転動力を無段階に変速するベルト式無段変速機24と、そのベルト式無段変速機24および後輪WRの車軸26間に介設される歯車減速機25とを有する。
【0029】
単気筒の水冷4サイクルエンジンである前記エンジンEのエンジン本体28は、左右に2分割された左および右ケース半体29L,29Rが結合されて成るクランクケース29と、該クランクケース29に結合されるシリンダボディ30と、該シリンダボディ30に結合されるシリンダヘッド31と、該シリンダヘッド31に結合されるヘッドカバー32とを備え、前上がりにわずかに傾斜したシリンダ軸線を有してシリンダボディ30に設けられるシリンダボア33にピストン34が摺動可能に嵌合される。前記クランクケース29には、車体フレームFの幅方向に延びるクランクシャフト23が回転自在に支承されており、該クランクシャフト23に前記ピストン34が連接される。
【0030】
前記クランクケース29における右ケース半体29Rを回転自在に貫通するクランクシャフト23の右側端部にはアウターロータ35が固定され、該アウターロータ35とともに発電機37を構成するようにしてアウターロータ35で囲繞されるインナーステータ36が、右ケース半体29Rに締結される支持板38に固定される。
【0031】
前記クランクケース29の前記右ケース半体29Rには、前記発電機37を囲む筒状のシュラウド39が結合されており、このシュラウド39の右側にラジエータ40が配設され、そのラジエータ40を覆うラジエータカバー41が前記シュラウド39に締結される。前記クランクシャフト23には、前記ラジエータ40に冷却風を流通させるための冷却ファン42が、前記発電機37および前記ラジエータ40間に配置されるようにして固定される。
【0032】
ところで、前記ピストン34の頂部を臨ませてシリンダボディ30およびシリンダヘッド31間に形成される燃焼室43への吸気を制御する吸気弁51(図2参照)ならびに前記燃焼室43からの排気を制御する排気弁52(図1参照)を開閉駆動する動弁装置44が、シリンダヘッド31およびヘッドカバー32間に収容されており、この動弁装置44が備えるカム軸45が、前記クランクシャフト23と平行な軸線まわりに回転することを可能としてシリンダヘッド31に支承される。
【0033】
前記クランクシャフト23および前記カム軸45間には、前記クランクケース29から前記シリンダヘッド31にわたって前記エンジン本体28に形成されるカムチェーン室46を走行するカムチェーン47を含む調時伝動装置48が設けられ、この調時伝動機構48によってクランクシャフト23からの動力が1/2の減速比で前記カム軸45に伝達される。また前記カム軸45には、前記シリンダヘッド31の右側面に取付けられる冷却水ポンプ49のポンプ軸50が同軸にかつ相対回転不能に連結される。
【0034】
図1に注目して、エンジン本体28におけるシリンダヘッド31の上部側面には吸気装置54が接続されるものであり、この吸気装置54は、前記パワーユニットPに支持されるエアクリーナ55と、該エアクリーナ55およびシリンダヘッド31間に設けられるスロットルボディ56とを備える。また前記シリンダヘッド31の下部側面に接続される排気装置57は、シリンダヘッド31の下部に接続されるとともにエンジン本体28の右側下部から後輪WRの右側方側に延出される排気管58と、該排気管58に接続されて後輪WRの右側方に配置される排気マフラー59とを備える。
【0035】
前記後輪WRの左側には、前記クランクケース29の前記左ケース半体29Lに連なって後方に延びる伝動ケース61が配置されており、この伝動ケース61内には、前記ベルト式無段変速機24を収容する変速機室66と、前記歯車減速機25を収容する歯車室67とが形成される。
【0036】
而して前記伝動ケース61は、前記変速機室66を形成する変速機ケース62と、後輪側から前記変速機ケース62に締結される内側カバー63とで構成される。前記変速機ケース62は、クランクケース29の前記左ケース半体29Lに一体に連なって後輪WRの左側方まで後方に延びるケース主体64と、前記変速機室66を前記ケース主体64との間に形成するようにして該ケース主体64を外側から覆う外側カバー65とが相互に締結されて成り、前記内側カバー63は、前記ケース主体64の後部との間に前記歯車室67を形成するようにして前記ケース主体64の後部に前記後輪WR側から締結される。
【0037】
ベルト式無段変速機24は、前記クランクシャフト23に設けられる駆動プーリ70と、ベルト式無段変速機24の出力端である伝動軸73に設けられる従動プーリ71と、駆動プーリ70および従動プーリ71に巻き掛けられる無端状のVベルト72とを備えるものであり、前記クランクケース29から変速機室66内に突入する前記クランクシャフト23の一端部に前記駆動プーリ70が設けられ、クランクシャフト23と平行な軸線を有してケース主体64、前記外側カバー65および前記内側カバー63で回転自在に支承される前記伝動軸73に従動プーリ71が設けられる。
【0038】
駆動プーリ70は、クランクシャフト23に固定された固定プーリ半体74と、固定プーリ半体74に対して近接・離間が可能な可動プーリ半体75とを備え、可動プーリ半体75は、クランクシャフト23に固定されたランププレート76および可動プーリ半体75間に配置されるウエイトローラ77に作用する遠心力によって軸方向に駆動される。
【0039】
図4を併せて参照して、前記従動プーリ71は、伝動軸73を同軸に囲繞しつつ該伝動軸73に相対回転可能に支承される円筒状の内筒80に固定される固定プーリ半体78と、前記内筒80に対する軸方向相対移動および相対回動を可能として前記内筒80を同軸に囲繞する外筒81に固定されることで前記固定プーリ半体78に対する近接・離反を可能とした可動プーリ半体79とで構成され、固定プーリ半体78および可動プーリ半体79間にVベルト72が巻き掛けられる。また可動プーリ半体79および固定プーリ半体78間の相対回転位相差に応じて両プーリ半体78,79間に軸方向の分力を作用せしめるトルクカム機構82が、前記内筒80および前記外筒81間に設けられ、可動プーリ半体79はコイルスプリング83によって固定プーリ半体78側に向けて弾発付勢され、前記内筒80および伝動軸73間には、エンジン回転数が設定回転数を超えるのに伴って動力伝達状態となる遠心クラッチ84が設けられる。
【0040】
従動プーリ71における固定プーリ半体78および可動プーリ半体79間の軸方向間隔は、前記トルクカム機構82によって生じる軸方向の力と、コイルスプリング83によって生じる軸方向の弾性力と、固定プーリ半体78および可動プーリ半体79間の間隔をあける方向に作用するVベルト72からの力とのバランスにより決定され、駆動プーリ70において可動プーリ半体75を固定プーリ半体74に近接させることによりVベルト72の駆動プーリ70への巻き掛け半径が大きくなると、Vベルト72の従動プーリ71への巻き掛け半径が小さくなる。
【0041】
再び図3において、前記駆動プーリ70における固定プーリ半体74の外面には、変速機ケース62内に冷却風を流通させる冷却ファンとしての機能を前記固定プーリ半体74に果たさせるための複数のフィン85…が突設される。
【0042】
前記後輪WRには、ドラム式ブレーキBが設けられるものであり、このドラム式ブレーキBは、前記後輪WRのホイール87に一体に設けられて前記伝動ケース61側に突出する円筒状のブレーキドラム88と、該ブレーキドラム88の内周に摺接することを可能として円弧状に形成される一対のブレーキシュー89…と、それらのブレーキシュー89…の周方向一端部を支持するアンカーピン90と、前記両ブレーキシュー89…を拡縮作動せしめるようにして前記両ブレーキシュー89…の周方向他端に当接するブレーキカム91と、前記ブレーキシュー89…を前記ブレーキドラム88の内周から離反させる方向に付勢するばね92…とを備える。
【0043】
ところで前記伝動ケース61における内側カバー63は、変速機ケース62におけるケース主体64に後輪WR側から対向する壁部63aを閉塞端に有して前記変速機ケース62側に向けて開放した皿状に形成され、複数のボルト93,93…でケース主体64に締結されるものであり、前記壁部63aは、前記ブレーキドラム88の開放端を閉じるブレーキパネルを構成するようにして前記内側カバー63に形成され、前記アンカーピン90は、前記内側カバー63の前記壁部63aに挿通、固定される。
【0044】
後輪WRの車軸26の一端部は、内側カバー63の前記壁部63aを液密に貫通して歯車室67内に突入されており、この車軸26の一端部はケース主体64および内側カバー63で回転自在に支承され、前記歯車室67に収容される歯車減速機25は、前記伝動軸73および前記車軸26間に設けられる。
【0045】
前記歯車減速機25は、前記伝動軸73に設けられる駆動歯車94と、前記車軸26に設けられる被動歯車95と、中間歯車軸96に固設されて前記駆動歯車94に噛合する第1中間歯車97と、前記中間歯車軸96に固設されて前記被動歯車95に噛合する第2中間歯車98とから成る。
【0046】
前記ケース主体64および前記内側カバー63には中間歯車軸96の両端部が回転自在に支承されており、駆動歯車94よりも大径である第1中間歯車97は、駆動歯車94に噛合するようにして前記中間歯車軸96に一体に形成され、第1中間歯車97よりも大径であって前記被動歯車95よりも小径である第2中間歯車98が、前記被動歯車95に噛合するようにして前記中間歯車軸96に固定される。
【0047】
前記伝動軸73の一端部は、前記変速機ケース62における外側カバー65に第1ボールベアリング99を介して回転自在に支承され、前記ケース主体64には、前記伝動軸73の中間部を回転自在に貫通させる第1貫通孔100が設けられ、前記内側カバー63の前記壁部63aには、前記伝動軸73の他端部を挿入せしめる有底の第1軸受孔101が歯車室67側に開口するようにして設けられる。前記伝動軸73の中間部外周および第1貫通孔100の内周間には、前記変速機室66側から順に環状の第1シール部材102および第2ボールベアリング103が介装され、第1軸受孔101の内周および前記伝動軸73の他端部外周間に第3ボールベアリング104が介装される。
【0048】
図5および図6を併せて参照して、前記内側カバー63の前記壁部63aには、第1貫通孔100の後方斜め下に位置する第2貫通孔105が前記後輪WRの車軸26を回転自在に貫通せしめるようにして設けられ、前記ケース主体64には、第2貫通孔105と同軸かつ有底の第2軸受孔106が前記歯車室67側に開放するようにして設けられる。前記車軸26の中間部外周および第2貫通孔105の内周間には、前記歯車室67側から順に環状の第2シール部材107および第4ボールベアリング108が介装され、第2軸受孔106の内周および前記車軸26の一端部外周間には第5ボールベアリング109が介装される。
【0049】
前記中間歯車軸96は、伝動軸73の下方かつ車軸26の前方に配置されており、前記ケース主体64には、前記中間歯車軸96の一端部を挿入せしめる有底の第3軸受孔110が歯車室67側に開口するようにして設けられ、前記内側カバー63の前記壁部63aには、前記中間歯車軸96の他端部を挿入せしめる第4軸受孔111が第3軸受孔110と同軸に設けられる。前記中間歯車軸96の一端部外周および第3軸受孔110の内周間には第6ボールベアリング112が介装され、前記中間歯車軸96の他端部外周および第4軸受孔111の内周間には、アウターレース113aおよびインナーレース113b間に複数のボール113c…が設けられて成る第7ボールベアリング113が介装される。
【0050】
前記ドラム式ブレーキBの一部を構成する前記アンカーピン90は、前記伝動ケース61における内側カバー63の壁部63aに設けられるアンカーピン支持孔115に挿通、固定される。このアンカーピン支持孔115は、前記歯車減速機25を構成する複数の歯車すなわち駆動歯車94、被動歯車95、第1中間歯車97および第2中間歯車98の少なくとも1つが設けられる歯車軸、この実施の形態では第1中間歯車97および第2中間歯車98が設けられる中間歯車軸96の他端部を支持する第4軸受孔111側に前記アンカーピン90の一端部を臨ませるようにしつつ、第4軸受孔111に連なるようにして前記壁部63aに設けられる。
【0051】
第4軸受孔111および前記アンカーピン支持孔115は、前記アンカーピン支持孔115に挿通された前記アンカーピン90を前記壁部63aに固定するための締結部材であるナット117を前記歯車室67側から前記アンカーピン支持孔115に挿入して締結操作することを可能とするとともに、第7ボールベアリング113を前記歯車室67側から第4軸受孔111に挿入して取付けることを可能として形成されるものであり、第4軸受孔111は前記アンカーピン支持孔115よりも大径に形成される。
【0052】
前記アンカーピン支持孔115は、前記アンカーピン90を挿通せしめる小径孔部115aと、前記歯車室67側に臨む環状の締結面118と前記小径孔部115aとの間に形成するようにして小径孔部115aよりも大径であるものの第4軸受孔111よりも小径である大径孔部115bとを同軸に有し、大径孔部115bと、第4軸受孔111との間には、前記歯車室67側に臨む段部116が形成される。
【0053】
前記ナット117は、前記アンカーピン90が一端部に同軸に有するねじ軸部90aに螺合して前記壁部63aに形成される前記締結面118に当接、係合するものであり、前記アンカーピン支持孔115の大径孔部115bは、第4軸受孔111よりも小径であるものの前記ナット117を回転操作可能な直径を有するように形成される。
【0054】
ところで第4軸受孔111および前記アンカーピン支持孔115は、相互に偏心して配置されるものであり、第7ボールベアリング113が備える複数のボール113c…の一部が、第4軸受孔111および前記アンカーピン支持孔115の軸線方向から見て前記アンカーピン支持孔115内に位置するようにして、第4軸受孔111の中心軸線および前記アンカーピン支持孔115の中心軸線間に偏差量αが生じるように第4軸受孔111および前記アンカーピン支持孔115が偏心して配置される。
【0055】
前記ナット117が前記壁部63aの前記締結面118に当接、係合することで前記アンカーピン90が前記壁部63aに固定されるのであるが、アンカーピン90の前記壁部63aへの固定状態での前記中間歯車軸96の前記アンカーピン90側の端面と、前記ナット117との間の距離L1は、前記壁部63aの締結面118に当接するまで前記ナット117をアンカーピン90に螺合せしめる際の前記ナット117の軸方向移動距離L2よりも小さく設定される。
【0056】
また前記アンカーピン支持孔115における小径孔部115aの内周および前記アンカーピン90の外周間には、前記歯車室67の液密に閉じられた状態を保持するための環状の第3シール部材119が介装される。
【0057】
前記壁部63aには、前記アンカーピン支持孔115との間に前記車軸26を挟む位置に配置されるカム軸120が、軸受筒121を介して回動可能に支承されており、このカム軸120に前記ブレーキカム91が設けられる。
【0058】
しかも前記壁部63aからの前記カム軸120の突出部にはレバー122が固着されており、前記ケース主体64の後端下部に一体に突設されたケーブル支持部123で支持されたアウターケーブル124とともにブレーキケーブル126を構成するようにして前記アウターケーブル124内に移動可能に挿通されるインナーケーブル125が前記レバー122に連結される。
【0059】
図7を併せて参照して、前記伝動ケース61におけるケース主体64の後端上部には、前記被動歯車95の外周に先端部を近接、対向させる車輪速センサ128が取付けられるものであり、この車輪速センサ128が備えるフランジ部129がボルト130で前記ケース主体64に締結される。
【0060】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、伝動ケース61内に、ベルト式無段変速機24を収容する変速機室66ならびに歯車減速機25を収容する歯車室67が形成され、後輪WRに設けられるドラム式ブレーキBが備えるブレーキシュー89の周方向一端部を支持するアンカーピン90が、伝動ケース61の一部を構成する内側カバー63に形成される壁部63aに挿通、固定されるのであるが、歯車減速機25を構成する複数の歯車94,95,97,98の少なくとも1つが設けられる中間歯車軸96の端部を支持するための第4軸受孔111と、アンカーピン90を挿通、固定するためのアンカーピン支持孔115とが、アンカーピン90の一端部を第4軸受孔111側に臨ませるようにしつつアンカーピン支持孔115を第4軸受孔111に連ならせて前記壁部63aに設けられるので、第4軸受孔111およびアンカーピン支持孔115とを軸方向で重なる位置に配置していても、壁部63aの厚み、ひいては車軸26の軸線に沿う方向での伝動ケース61の寸法が大きくなることを回避しつつ、中間歯車軸96およびアンカーピン90を相互に干渉することなく配置することができ、アンカーピン90の配置上の自由度を高めることができ、それに応じてブレーキカム91の配置上の自由度も高めることができる。
【0061】
アンカーピン支持孔115との間に車軸26を挟む位置に配置されるカム軸120が前記壁部63aに回動可能に支承され、カム軸120の回動に応じてブレーキシュー89…を拡縮作動せしめるブレーキカム91が、ブレーキシュー89…の周方向他端部に当接するようにして前記カム軸120に設けられるので、アンカーピン90およびブレーキカム91をその配置上の自由度を高めつつ中間歯車軸96の周囲にコンパクトに配置することができ、中間歯車軸96の配置上の自由度も高めることができる。
【0062】
また第4軸受孔111が、前記アンカーピン支持孔115との間に前記歯車室67側に臨む段部116を形成するようにして前記アンカーピン支持孔115よりも大径に形成されており、中間歯車軸96の端部外周および第4軸受孔111の内周間に第7ボールベアリング113が介装されるので、第4軸受孔111およびアンカーピン支持孔115間に形成された段部116によって、第7ボールベアリング113がアンカーピン支持孔115側に移動するのを規制することができ、第7ボールベアリング113およびアンカーピン90の干渉が生じることを防止することができる。
【0063】
また第4軸受孔111およびアンカーピン支持孔115が、前記アンカーピン支持孔115に挿通されたアンカーピン90を壁部63aに固定するためのナット117を前記歯車室67側から前記アンカーピン支持孔115の大径孔部115bに挿入して締結操作することを可能とするとともに第4軸受孔111に第7ボールベアリング113を前記歯車室67側から挿入して取付け得るように形成されるので、アンカーピン90を壁部63aに固定するためのナット117を歯車室67側から締結操作することが可能であり、壁部63aに第7ボールベアリング113を歯車室67側から組付けることが可能であるので、アンカーピン90の固定および第7ボールベアリング113の組付けを同一方向から行うことができるようにして組付け性の向上を図ることができる。
【0064】
また第4軸受孔111および前記アンカーピン支持孔115が、第7ボールベアリング113が備える複数のボール113c…の一部が第4軸受孔111および前記アンカーピン支持孔115の軸線方向から見て前記アンカーピン支持孔115内に位置するように相互に偏心して配置されるので、歯車室67内の潤滑油が、第7ボールベアリング113のアウターレース113aおよびインナーレース113b間を経て中間歯車軸96の端部側に回り込み易くなり、潤滑性を高めることができる。
【0065】
またアンカーピン支持孔115の大径孔部115b内で前記アンカーピン90の一端部に螺合するナット117が壁部63aの締結面118に係合、当接することでアンカーピン90が壁部63aに固定されるのであるが、前記中間歯車軸96の前記アンカーピン90側の端面と、前記壁部63aの締結面118に当接、係合した状態にある前記ナット117との間の距離L1が、前記締結面118に当接するまで前記ナット117を前記アンカーピン90に螺合せしめる際の前記ナット117の軸方向移動距離L2よりも小さく設定されるので、ナット117の弛み方向の移動が中間歯車軸96の端部で規制されることになり、ナット117がアンカーピン90から脱落してしまうことを防止することができる。
【0066】
また前記アンカーピン90の外周と、前記アンカーピン支持孔115の小径孔部115aの内周との間に環状の第3シール部材119が介装されるので、ドラム式ブレーキB内および歯車室67間にわたる第4軸受孔111およびアンカーピン支持孔119が壁部63aに設けられるにもかかわらず、歯車室67の液密保持状態が維持される。
【0067】
さらに伝動ケース61が、変速機室66を形成する変速機ケース62と、該変速機ケー ス62との間に歯車室67を形成するようにして後輪WR側から変速機ケース62に締結される内側カバー63とから成り、前記アンカーピン支持孔115および第4軸受孔111が設けられる前記壁部63aが前記内側カバー63に形成されるので、本発明の構造を従来の自動二輪車に適用するにあたって小さな内側カバー63の交換だけですむ。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0069】
24・・・ベルト式無段変速機
25・・・歯車減速機
26・・・車軸
61・・・伝動ケース
63・・・内側カバー
63a・・・壁部
66・・・変速機室
67・・・歯車室
73・・・伝動軸
89・・・ブレーキシュー
90・・・アンカーピン
91・・・ブレーキカム
94・・・駆動歯車
95・・・被動歯車
96・・・中間歯車軸
97・・・第1中間歯車
98・・・第2中間歯車
111・・・軸受孔である第4軸受孔
113・・・軸受である第7ボールベアリング
113a・・・アウターレース
113b・・・インナーレース
113c・・・ボール
115・・・アンカーピン支持孔
116・・・段部
117・・・締結部材であるナット
119・・・シール部材である第3シール部材
120・・・カム軸
B・・・ドラム式ブレーキ
WR・・・後輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)と、該エンジン(E)のクランクケース(29)で回転自在に支承されるクランクシャフト(23)からの回転動力を無段階に変速するベルト式無段変速機(24)と、そのベルト式無段変速機(24)および後輪(WR)の車軸(26)間に介設される歯車減速機(25)とを有するパワーユニット(P)が車体フレーム(F)に揺動可能に支承され、前記クランクケース(29)に連なって後方に延びるとともに後端部には前記車軸(26)が軸支される伝動ケース(61)内に、前記ベルト式無段変速機(24)を収容する変速機室(66)ならびに前記歯車減速機(25)を収容する歯車室(67)が形成され、前記後輪(WR)に設けられるドラム式ブレーキ(B)が備えるブレーキシュー(89)の周方向一端部を支持するアンカーピン(90)が、前記伝動ケース(61)のうちブレーキパネルを構成する壁部(63a)に挿通、固定される自動二輪車において、前記歯車減速機(25)を構成する複数の歯車(94,95,97,98)の少なくとも1つが設けられる歯車軸(96)の端部を支持するための軸受孔(111)と、前記アンカーピン(90)を挿通、固定するためのアンカーピン支持孔(115)とが、前記アンカーピン(90)の一端部を前記軸受孔(111)側に臨ませるようにしつつ前記アンカーピン支持孔(115)を前記軸受孔(111)に連ならせて前記伝動ケース(61)の前記壁部(63a)に設けられることを特徴とする自動二輪車。
【請求項2】
前記歯車減速機(25)は、前記ベルト式無段変速機(24)の出力端である伝動軸(73)に設けられる駆動歯車(94)と、前記後輪(WR)の車軸(26)に設けられる被動歯車(95)と、前記歯車軸(96)に固設されて前記駆動歯車(94)に噛合する第1中間歯車(97)と、前記歯車軸(96)に固設されて前記被動歯車(95)に噛合する第2中間歯車(98)とから成り、前記アンカーピン支持孔(115)との間に前記車軸(26)を挟む位置に配置されるカム軸(120)が前記伝動ケース(61)の前記壁部(63a)に回動可能に支承され、前記カム軸(120)の回動に応じて前記ブレーキシュー(89)を拡縮作動せしめるブレーキカム(91)が、前記ブレーキシュー(89)の周方向他端部に当接するようにして前記カム軸(120)に設けられることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
【請求項3】
前記軸受孔(111)が、前記アンカーピン支持孔(115)との間に前記歯車室(67)側に臨む段部(116)を形成するようにして前記アンカーピン支持孔(115)よりも大径に形成され、前記歯車軸(96)の端部外周および前記軸受孔(111)の内周間に軸受(113)が介装されることを特徴とする請求項1または2記載の自動二輪車。
【請求項4】
前記軸受孔(111)および前記アンカーピン支持孔(115)が、前記アンカーピン支持孔(115)に挿通された前記アンカーピン(90)を前記壁部(63a)に固定するための締結部材(117)を、前記歯車室(67)側から前記アンカーピン支持孔(115)に挿入して締結操作することを可能とするとともに、前記軸受孔(111)に前記軸受(113)を前記歯車室(67)側から挿入して取付け得るように形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動二輪車。
【請求項5】
液密に閉じられた状態の前記歯車室(67)に臨む前記軸受(113)が、アウターレース(113a)およびインナーレース(113b)間に複数のボール(113c)が設けられて成るボールベアリングであり、前記軸受孔(111)および前記アンカーピン支持孔(115)が、それらの軸線方向から見て複数の前記ボール(113c)の一部が前記アンカーピン支持孔(115)内に位置するように相互に偏心して配置されることを特徴とする請求項3または4記載の自動二輪車。
【請求項6】
前記締結部材が、前記アンカーピン支持孔(115)内で前記アンカーピン(90)の一端部に螺合して前記壁部(63a)に係合、当接するナット(117)であり、前記歯車軸(96)の前記アンカーピン(90)側の端面と、前記壁部(63a)に当接、係合した状態にある前記ナット(117)との間の距離(L1)が、前記ナット(117)を前記壁部(63a)に当接するまで前記アンカーピン(90)に螺合せしめる際の前記ナット(117)の軸方向移動距離(L2)よりも小さく設定されることを特徴とする請求項4記載の自動二輪車。
【請求項7】
前記アンカーピン(90)の外周および前記アンカーピン支持孔(115)の内周間に環状のシール部材(119)が介装されることを特徴とする請求項5記載の自動二輪車。
【請求項8】
前記伝動ケース(61)が、前記変速機室(66)を形成する変速機ケース(62)と、該変速機ケース(62)との間に前記歯車室(67)を形成するようにして後輪(WR)側から前記変速機ケース(62)に締結される内側カバー(63)とから成り、前記アンカーピン支持孔(115)および前記軸受孔(111)が設けられる前記壁部(63a)が前記内側カバー(63)に形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−68231(P2013−68231A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205095(P2011−205095)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】