説明

自動弁装置

【課題】テスト制水弁が確実に全開していることを遠隔監視して火災発生時に確実に水噴霧ができるようにする。
【解決手段】テスト制水弁14に、全開位置でスイッチ接点をオンし、当該全開位置を外れた閉側位置でスイッチ接点をオフする開閉検出スイッチ46を設け、圧力スイッチ28に接続された防災受信盤36からの信号線44に開閉検出スイッチ46のスイッチ接点を挿入接続する。テスト制水弁14を全開位置以外の閉側位置に操作している場合は、開閉検出スイッチ46のスイッチ接点のオフにより、防災受信盤36に信号線の断線を検知させてテスト制水弁14が全開位置にないことを報知させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル等に設置された水噴霧ノズルに消火用水を加圧供給して噴霧させる自動弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路のトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両を守るため、非常用設備が設置されている。このような非常用設備としては、火災の監視と通報のため火災検知器や非常電話が設けられ、火災の消火や延焼防止のために消火栓装置やトンネル防護のための水噴霧ヘッドから水を噴霧させる自動弁装置が設けられる。
【0003】
自動弁装置は消火栓装置と同様に50メートル間隔で設置され、1台の自動弁装置は5メートル間隔に配置した複数の水噴霧ヘッドから散水する機能を有する。
【0004】
図3は従来の自動弁装置の概略構成を示している。図3において、自動弁装置10は、自動弁12、テスト制水弁14、止め弁16、パイロット弁18、手動起動弁20、圧力調整弁22、自動排水弁24、テスト放水弁26及び圧力スイッチ28を備える。自動弁12の一次側には給水管30が接続され、ポンプ設備からの加圧水が供給される。テスト制水弁14の2次側にはトンネル内に設置した複数の水噴霧ヘッド32がヘッド配管34により接続される。
【0005】
トンネル内で火災が検知された場合の自動弁装置10の水噴霧動作は、火災検知に基づき防災受信盤36が電動弁を用いたパイロット弁18に放水起動信号を送信しての遠隔的に開制御する。パイロット弁18が開くと、一次側の加圧水が止め弁16、パイロット弁18、圧力調整弁22を介して自動弁12のシリンダ室12aに供給され、ピストン12bを左側にストロークして、弁体12cを弁座からリフトして開放し、二次側に規定圧力に調圧された加圧消火用水を供給し、水噴霧ヘッド32からトンネル内に放水させる。
【0006】
またトンネル内の非常用設備は、半年又は1年に一度、定期点検が実施される。その中で自動弁装置10の点検は、点検員がトンネル内に出向いて自動弁12の二次側に設けているテスト用制水弁14をハンドル操作により全閉位置に操作し、テスト放水弁26を開操作することで、自動弁12の二次側から排水系に至るテスト放水用の経路を準備し、この状態で防災受信盤36からの放水起動信号により自動弁装置10を起動して水噴霧ヘッド32から実放水することなく排水系にテスト放水し、自動弁12の二次側に加圧水の流水があると圧力スイッチ28がオンし、オン信号を防災受信盤36に送信して圧力正常を報知させることで、自動弁12の動作、圧力調整弁22による自動弁12の2次側の自動調圧機能、圧力スイッチ28の動作を含む動作性能の確認ができる。
【0007】
テスト放水による動作性能が圧力スイッチ28のオン信号から確認できたら、パイロット弁18を閉じて自動弁12を全閉に戻す。続いて、テスト放水弁26を閉操作し、テスト制水弁14を全開位置に操作して点検を終了する。この際、自動弁24の2次側からテスト放水弁26間にある消火用水は、圧力低下に伴い自動排水弁24が開くことでドレインに排水される。
【0008】
図4は図3の圧力スイッチ28を取り出して示した回路図であり、スイッチ接点28aは導入圧力が設定圧力未満の場合は図示のようにオフしており、テスト放水による加圧水の導入で設定圧力以上になるとスイッチ接点28aがオンし、防災受信盤36にオン信号を送る。
【0009】
またスイッチ接点28aと並列に終端抵抗40を接続し、スイッチ接点28aがオフしている定常状態で終端抵抗40に断線監視電流を流しており、防災受信盤36からの信号線44に断線が発生すると断線監視電流が断たれ、これを防災受信盤36で検知して断線警報を出すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−126120号公報
【特許文献2】特許第3777538号公報
【特許文献3】特開2005−069344号公報
【特許文献4】特開2005−287980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような自動弁装置の点検にあっては、テスト放水による点検が終了した場合、テスト制水弁14を全閉位置から全開位置に戻す切替操作を行わなければならないが、人為的な操作であることから、万が一、テスト制水弁の開操作を忘れるか、或いは開操作を行っても全開位置まで操作しなかった場合は、自動弁12の2次側の流路が遮断状態となるか、あるいは充分な流路が確保できない状態となり、火災検知に伴い自動弁装置を起動した場合に、水噴霧ヘッド32から放水することができないか、或いは水噴霧ヘッドへ充分な量の消火用水が供給できないという問題がある。
【0012】
この問題を解決するためには、テスト制水弁14に開閉検出スイッチを設け、防災受信盤36からの信号線に接続し、防災受信盤36側でテスト制水14弁が全開位置あるか否かを表示すれば良い。
【0013】
しかしながら、テスト制水弁に開閉検出スイッチを設けた場合、開閉検出スイッチに対し防災受信盤から信号線を引き出して接続する必要があり、特に、既設のトンネルに設置した自動弁装置で防災受信盤から新たに信号線を敷設することは困難であり、簡単には対応できないという問題がある。
【0014】
本発明は、防災受信盤から新たに信号線を敷設することなく、テスト制水弁に開閉検出スイッチを設けて、点検終了に伴い全開位置に操作されているか否かの確認が簡単にできるようにする自動弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、
圧力調整弁による制御圧を受けて2次圧力を規定圧力に調圧した2次側加圧水を水噴霧ノズルに供給して散水させる自動弁と、
水噴霧時又はテスト放水時に防災受信盤からの制御信号により開制御され、自動弁の1次側加圧水を圧力調整弁に供給して自動弁へ制御圧を供給させるパイロット弁と、
自動弁の二次側に配置され、定常時に全開位置に操作され、テスト放水時に全閉位置に操作されるテスト用制水弁と、
テスト放水時に開放操作され、自動弁の2次側から排水側に加圧水を流すテスト放水弁と、
防災受信盤からの信号線に接続され、放水時に自動弁の2次側に加圧水が流入し、自動弁の2次側圧力が所定の圧力以上の場合にスイッチ接点をオンする圧力スイッチと、
圧力スイッチのスイッチ接点に並列接続され、防災受信盤からの信号線に断線監視電流を流す終端器と、
を備えた自動弁装置に於いて、
テスト制水弁に、全開位置でスイッチ接点をオンし、当該全開位置を外れた閉側位置でスイッチ接点をオフする開閉検出スイッチを設け、
防災受信盤からの信号線に、圧力スイッチのスイッチ接点と終端器との並列回路と直列に開閉検出スイッチのスイッチ接点を接続し、
テスト制水弁を全開位置以外の閉側位置に操作している場合の開閉検出スイッチのスイッチ接点のオフにより、防災受信盤に信号線の断線を検知させてテスト制水弁が全開位置にないことを報知させることを特徴とする。
【0016】
ここで、開閉検出スイッチは、テスト制水弁の開閉操作に伴い全開位置と全閉位置との間で移動する開閉連動部材の全開位置でスイッチ接点をオンし、開閉連動部材が全開位置を外れた閉側位置でスイッチ接点をオフするリミットスイッチである。
【0017】
テスト放水時において、開閉検出スイッチは、テスト制水弁を全閉位置に操作してスイッチ接点をオフしたテスト放水状態で、スイッチ接点をオン位置に操作して信号線による断線状態を解消して防災受信盤からの制御信号によるパイロットを開制御可能とする。
【0018】
防災受信盤からの距離が遠くなる自動弁装置については、信号線を直接防災受信盤と接続せず、中継器を経由して自動弁と接続される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、自動弁の2次側に配置したテスト制水弁に、全開位置でスイッチ接点をオンし、当該全開位置を外れた閉側位置でスイッチ接点をオフする開閉検出スイッチを設け、圧力スイッチに接続された防災受信盤からの信号線に開閉検出スイッチのスイッチ接点を直列に接続し、テスト制水弁を全開位置以外の閉側位置に操作している場合は、開閉検出スイッチのスイッチ接点のオフにより、防災受信盤に信号線の断線を検知させてテスト制水弁が全開位置にないことを報知させるようにしたため、自動弁装置の点検が終了した場合にテスト制水弁の開操作を忘れるか、或いは開操作を行っても全開位置まで操作されなかった場合は、防災受信盤においてテスト制水弁が正常な全開位置にないことが報知され、これを受けてテスト制水弁を確実に全開位置に操作することとなり、火災検知に伴い自動弁装置を起動した場合に、水噴霧ヘッド32から放水することができないか、或いは水噴霧ヘッドへ充分な量の消火用水が供給できないという問題を確実に防止することができる。
【0020】
またテスト制水弁に設けた開閉検出スイッチは、既に設けられている圧力スイッチに対する防災受信盤からの信号線に接続することで対応でき、防災受信盤から新たに信号線を敷設する必要はなく、既設の自動弁装置であって簡単且つ容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による自動弁装置の概略を示した説明図
【図2】図1に設けた圧力スイッチとテスト制水弁の開閉検出スイッチの信号線に対する接続の実施形態を示した回路図
【図3】従来の自動弁装置の概略を示した説明図
【図4】従来の信号線に対する圧力スイッチの接続を示した回路図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明による自動弁装置の概略を示した説明図である。図1において、自動弁装置10は、自動弁12、テスト制水弁14、止め弁16、パイロット弁18、手動起動弁20、圧力調整弁22、自動排水弁24、テスト放水弁26及び圧力スイッチ28を備える。
【0023】
自動弁12は常時は閉じており、一次側には給水配管30が接続され、給水配管30には所定圧力範囲、例えば0.7MPa〜1.77MPaの範囲となる加圧水が充填され、火災時にはポンプ設備から加圧水が供給される。
【0024】
自動弁12の二次側にはテスト制水弁14が設けられ、その二次側にヘッド配管34を介して複数の水噴霧ヘッド32を接続している。テスト制水弁14は、定常時は全開位置に操作しており、点検時には水噴霧ヘッド32から実際に消火用水を散水することなく排水側に消火用水を流して行うテスト放水のため、全閉位置に操作する。
【0025】
ここで、自動弁12の圧力制御機構およびその制御機器を説明する。自動弁12の圧力制御機構は、シリンダ室12aにリターンスプリングを介してピストン12bを摺動自在に収納しており、ピストン12bの移動で弁体12cを移動して自動弁12を開放するようにしている。
【0026】
火災時における自動弁12の水噴霧動作は、火災検知に伴い防災受信盤36から信号線42を介して放水起動信号が電動弁を用いたパイロット弁18へ送信され、パイロット弁18が遠隔的に開制御される。パイロット弁18が開くと、一次側の加圧水が止め弁16、パイロット弁18、圧力調整弁22を介して自動弁12のシリンダ室12aに供給され、ピストン12bを左側にストロークして、弁体12cを弁座からリフトして開放し、二次側に加圧消火用水を供給し、水噴霧ヘッド32からトンネル内に散水させる。
【0027】
自動弁12は全開方向に制御されるため、二次側の圧力値は一次側の圧力値に近付く。一方、二次側の加圧水が圧力調整弁22のパイロットポートPLに入るが、この二次側の圧力値が設定値より高い場合、自動弁用圧力調整弁12は一次圧ポートP1とシリンダポートCLの間の流路を閉じる。
【0028】
このためパイロット弁18から圧力調整弁22を通って自動弁12のシリンダ室12aに対する加圧水の供給が止まり、シリンダ室12aの加圧水は圧力調整弁22を通って二次側に排出することで圧力が下がり、リターンスプリングによるピストン12bの戻りで弁体12cの開度が小さくなる。これによって二次側圧力値が減少し、は設定値に近付く。
【0029】
二次側圧力値が規定値より小さくなると圧力調整弁22のP1とPLのポートが連通し、これによってシリンダ室12aに加圧水が入り、自動弁12は開方向に動く。これにより、弁体10cの開度を大きくして二次側圧力を大きくする。このような圧力調整弁22による自動弁12の開閉調整の繰り返しで二次側圧力を設定値に調整する。
【0030】
水噴霧ヘッド32からの散水を停止したい場合には防災受信盤36に折れる放水停止操作による放水停止信号を信号線42を介してパイロット弁18に送り、遠隔的に閉制御する。パイロット弁18を閉じると自動弁12のシリンダ室12aの加圧水が圧力調整弁22のシリンダポートCLから入り、圧力調整弁22の内部に設けた流路を経由して、自動弁10の二次側に流れ、弁体12cを緩やかに閉鎖する。
【0031】
このような自動弁装置10につき本願第1発明の実施形態にあっては、自動弁12の2次側に配置したテスト制水弁14に開閉検出スイッチ46を設けている。開閉検出スイッチ46としては例えばリミットスイッチが使用される。開閉検出スイッチ46はスイッチ接点を備えており、制水弁14の操作ハンドル14aの弁体駆動軸などに設けた開閉連動部材48の動きによりスイッチ接点を開閉するように配置している。
【0032】
即ち、開閉検出スイッチ46は、操作ハンドル14aによりテスト制水弁14を全開位置に操作した場合の開閉連動部材48の動きを受けてスイッチ接点をオンし、オン信号を出力する。また操作ハンドル14aを閉方向に操作し、テスト制水弁14が全開位置から閉鎖側に動いて開閉連動部材48が全開位置から外れると、スイッチ接点がオフとなるようにしている。これによってテスト制水弁14を開操作したが、全開位置まで操作していない場合にも、スイッチ接点をオフするようにし、全開位置に操作した場合にのみスイッチ接点をオンするようにしている。
【0033】
テスト制水弁14に設けた開閉検出スイッチ46は防災受信盤36から引き出された圧力スイッチ28に対する信号線44の途中に接続されており、開閉検出スイッチ46の専用信号線は不要であり、圧力スイッチ28に対する信号線44を使用して防災受信盤36に接続できる。このため開閉検出スイッチ46を新たに設けても、防災受信盤36から専用の信号線を敷設して接続する必要はなく、既設の自動弁装置10であっても簡単且つ容易に対応できる。
【0034】
図2は図1に設けた圧力スイッチとテスト制水弁の開閉検出スイッチの信号線に対する接続状態の実施形態を示した回路図であり、図2(A)はテスト制水弁14の全開位置の状態、図2(B)はテスト制水弁14の閉鎖側に操作した状態を示している。
【0035】
図2(A)において、圧力スイッチ28にはスイッチ接点28aが設けられ、防災受信盤36からの一対の信号線44をスイッチ接点28aに接続し、またスイッチ接点28aと並列に終端抵抗40を接続している。圧力スイッチ28のスイッチ接点28aは定常状態で導入圧力がないことからオフしており、自動弁12の開栓により自動弁12の二次側に流れる加圧水の圧力が所定の設定圧力以上になるとオンし、オン信号を送出する。
【0036】
テスト制水弁に設けた開閉検出スイッチ46はスイッチ接点46aを備え、スイッチ接点46aは定常状態ではテスト制水弁14を全開位置に操作していることから、全開位置への操作に対応してスイッチ接点46aをオンしている。またテスト放水のためにテスト放水弁14を全閉位置に操作すると、全開位置から閉鎖側に操作した際にスイッチ接点46aはオフとなる。
【0037】
テスト制水弁14に設けた開閉検出スイッチ46のスイッチ接点46aは、防災受信盤36から引き出されて圧力スイッチ28に接続した信号線44の一方に挿入接続されている。即ち、信号線44により、開閉検出スイッチ46のスイッチ接点は、圧力スイッチ28におけるスイッチ接点28aと終端抵抗40との並列回路と直列に接続されている。
【0038】
図2(A)の定常監視状態で防災受信盤36からの信号線44に、万が一、断線が起きたとすると、終端抵抗40により信号線44に流している断線監視電流が断たれ、これを防災受信盤36側で検知して断線警報を出すようにしている。
【0039】
図2(B)はテスト制水弁14を点検によるテスト放水のために全開位置から全閉位置に操作した場合であり、全開位置にあるテスト制水弁14を閉鎖側へ操作して全開位置から外れると、スイッチ接点46aが図示のようにオフする。スイッチ接点46aがオフすると、信号線44は擬似的な断線状態となり、終端抵抗40により流れていた断線監視電流が断たれ、防災受信盤36で断線検知に基づく断線警報が報知される。
【0040】
このため自動弁装置10の点検を行っていることが分かっている状態で、防災受信盤36で特定の自動弁装置について断線警報が報知された場合、防災受信盤36側にいる点検員や監視員は、テスト制水弁の閉操作が行われたことを認識できる。
【0041】
次に図1の実施形態における自動弁装置の点検動作を説明する。自動弁装置10の点検は、点検員がトンネル内に出向いて自動弁12の二次側に設けているテスト用制水弁14をハンドル操作により全閉位置に操作する。これに伴い図2の開閉検出スイッチ46のスイッチ接点46aがオフし、防災受信盤36で信号線44の断線を示す障害警報が報知され、テスト制水弁14を閉操作したことが分かる。
【0042】
また点検員はテスト放水弁26を開操作することで、自動弁12の二次側から排水系に至るテスト放水用の経路を準備する。
【0043】
この状態で防災受信盤36側の操作でテスト放水を遠隔起動する場合、テスト制水弁14の全閉操作に伴い防災受信盤36で断線警報が出されており、この断線警報状態では防災受信盤36側の操作による遠隔起動ができない場合がある。
【0044】
そこで、防災受信盤36による遠隔起動のため、テスト制水弁14に設けているオフ状態にある開閉検出スイッチ46のスイッチ接点46aを指先などで操作して強制的にスイッチ接点46aをオンし、防災受信盤36の断線警報を復旧させ、この警報復旧状態で防災受信盤36で放水起動操作を行って放水起動信号をパイロット弁18に送ってテスト放水を起動させる。
【0045】
このように開閉検出スイッチ46を人為的な操作でオン可能とするため、開閉検出スイッチ46はテスト制水弁46の人為的なオン操作が可能なように設けている。
【0046】
なお、防災受信盤36が断線警報状態でも信号線42からパイロット弁18に放水起動信号を送出可能としている場合には、スイッチ接点46aの人為的なオン操作は必要ない。
【0047】
また現場操作でテスト放水を起動する場合には、テスト制水弁14を全閉位置に操作し、テスト放水弁26を開位置に操作した後に、手動起動弁20を開操作する現場起動を行っても良い。
【0048】
遠隔操作または現場操作により自動弁装置10を起動すると、水噴霧ヘッド32から実放水することなく排水系にテスト放水し、テスト放水により自動弁12の二次側に圧力が発生すると圧力スイッチ28のスイッチ接点28aがオンする。このとき開閉検出スイッチ46はテスト制水弁14の閉鎖に伴いスイッチ接点46aをオフした擬似的な断線状態にあり、圧力スイッチ28のスイッチ接点28aがオンしてもオン信号を防災受信盤36に送ることができない。
【0049】
そこで、テスト制水弁14に設けているオフ状態にある開閉検出スイッチ46のスイッチ接点46aを指先などで操作して強制的にスイッチ接点46aをオンして信号線44の擬似的な断線状態を解消すると共に、防災受信盤36の断線警報を復旧させ、この断線警報復旧状態で圧力スイッチ28からオン信号を防災受信盤36に送信して自動弁作動を表示させることで、自動弁12の動作、圧力調整弁22による自動弁12の2次側の自動調圧機能、圧力スイッチ28の動作を含む動作性能の確認を行う。
【0050】
テスト放水による作動が圧力スイッチ28のオン信号による自動弁作動表示から確認できたら、防災受信盤36の放水停止操作により送信される放水停止信号によるパイロット弁18の閉制御、または手動起動弁20の閉操作を行い、これに伴い自動弁12が全閉して、テスト放水を停止する。続いて、テスト放水弁26を閉操作し、またテスト制水弁14を全開位置に操作して点検を終了する。
【0051】
このとき防災受信盤36で断線警報が継続していた場合は、テスト制水弁14が全開位置に戻っていないことが分かり、断線警報が復旧するようにテスト制水弁14を全開位置に操作する。なお、テスト放水を停止した場合、自動弁24の2次側からテスト放水弁26間にある消火用水は、圧力低下に伴い自動排水弁24が開くことでドレインに排水される。
【0052】
なお、上記の実施形態にあっては、防災受信盤から自動弁装置に直接に信号線を接続した場合を例にとっているが、防災受信盤からの距離が遠くなる自動弁装置については途中に中継器を設けており、本発明は、中継器を経由して防災受信盤からの信号線を自動弁装置に接続する場合を含む。
【0053】
また本発明における自動弁装置としては、放水起動を行った場合に放水圧力を規定の低圧から規定の高圧に2段階に切替える段階放水機能月の自動弁装置にも適用することができる。この段階放水機能付きの自動弁装置としては例えば前述した特許文献3及び特許文献4に記載されたものが含まれる。
【0054】
また上記の実施形態は、圧力スイッチに終端抵抗も設けた場合を例とっているが、終端抵抗以外にダイオードやコンデンサなどの適宜の終端素子を接続する終端器を含む。
【0055】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0056】
10:自動弁装置
12:自動弁
14:テスト制水弁
16:止め弁
18:パイロット弁
20:手動起動弁
22:圧力調整弁
24:自動排水弁
26:テスト放水弁
28:圧力スイッチ
28a,46a:スイッチ接点
30:給水管
32:ミス噴霧ヘッド
34:ヘッド配管
36:防災受信盤
40:終端抵抗
42,44:信号線
46:開閉検出スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力調整弁による制御圧を受けて2次圧力を規定圧力に調圧した2次側加圧水を水噴霧ノズルに供給して散水させる自動弁と、
水噴霧時又はテスト放水時に防災受信盤からの制御信号により開制御され、前記自動弁の1次側加圧水を前記圧力調整弁に供給して前記自動弁へ前記制御圧を供給させるパイロット弁と、
前記自動弁の二次側に配置され、定常時に全開位置に操作され、テスト放水時に全閉位置に操作されるテスト制水弁と、
テスト放水時に開放操作され、前記自動弁の2次側から排水側に加圧水を流すテスト放水弁と、
前記防災受信盤からの信号線に接続され、放水時に前記自動弁の2次側に加圧水が流入し、前記自動弁の2次側圧力が所定の圧力以上の場合にスイッチ接点をオンする圧力スイッチと、
前記圧力スイッチのスイッチ接点に並列接続され、前記防災受信盤からの信号線に断線監視電流を流す終端器と、
を備えた自動弁装置に於いて、
前記テスト制水弁に、全開位置でスイッチ接点をオンし、当該全開位置を外れた閉側位置で前記スイッチ接点をオフする開閉検出スイッチを設け、
前記防災受信盤からの信号線に、前記圧力スイッチのスイッチ接点と前記終端器との並列回路と直列に前記開閉検出スイッチのスイッチ接点を接続し、
前記テスト制水弁を全開位置以外の閉側位置に操作している場合の前記開閉検出スイッチのスイッチ接点のオフにより、前記防災受信盤に前記信号線の断線を検知させて前記テスト制水弁が全開位置にないことを報知させることを特徴とする自動弁装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動弁装置に於いて、前記開閉検出スイッチは、前記テスト制水弁の開閉操作に伴い全開位置と全閉位置との間で移動する開閉連動部材の全開位置でスイッチ接点をオンし、前記開閉連動部材が前記全開位置を外れた閉側位置で前記スイッチ接点をオフするリミットスイッチであることを特徴とする自動弁装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動弁装置に於いて、前記開閉検出スイッチは、前記テスト制水弁を全閉位置に操作して前記スイッチ接点をオフしたテスト放水状態で、前記スイッチ接点をオン位置に操作した場合に前記信号線による断線状態を解消して前記防災受信盤からの制御信号による前記パイロットを開制御可能としたことを特徴とする自動弁装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の自動弁装置に於いて、前記防災受信盤からの信号線を、中継器を経由して前記自動弁に接続したことを特徴とする自動弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−34532(P2013−34532A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170939(P2011−170939)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】