説明

自動調整型スタッド

履物品は、様々な種類の状況、環境変化、および加えられる力に適合する自動調整型スタッドを含みうる。自動調整型スタッドは、装着者がその上で歩いたり走ったりする表面の種類に基づき圧縮または伸張する、異なるレベルの圧縮性および/または収縮性の第1の部分および第2の部分を有しうる。この自動調整型スタッドを伴う履物は、表面に損傷をもたらすことなく、多様な硬度の表面間を容易に移行しうるが、さらに装着者に表面の種類毎に必要な量の静止摩擦ももたらす。装着者は、異なる表面上での装着者の多様な静止摩擦の必要性に合わせるために自身の履物を複数回変更する必要なく、様々な表面上を移動することができるという恩恵を享受する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明の局面は概して、製造品および衣料品のための静止摩擦(traction)要素に関する。いくつかのより具体的な例において、本発明の局面は、履物品のための自動調整型静止摩擦要素に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの衣料品が、静止摩擦要素から恩恵を受ける。そのような衣料品は、表面または別の部材と接触し、静止摩擦要素によりもたらされる摩擦および安定性の増加の恩恵を受ける。典型的には、静止摩擦要素は、衣料品の接地面の一部を形成する。多くの静止摩擦要素は、衣料品の表面から地面または衣料品と接触する他の表面に伸びる突起物を形成する。いくつかの静止摩擦要素は、衣料品が地面または表面と接触すると、地面または表面を突き刺すように形づくられるかまたは構成される。他の静止摩擦要素は、衣料品とそれと接触する表面との間の摩擦を増加させるように地面とかみ合うように形づくられるかまたはそのような特徴を有する。このような静止摩擦要素は、静止摩擦要素と地面または表面との間の側方安定性を向上させ、衣料品が地面または表面と接触するときに、それが滑り動くまたはスリップする危険性を減ずる。
【0003】
多くの人々は、履物、衣服、および運動競技者用かつ保護用の装具を着用し、これらの衣料品が使用中に静止摩擦と安定性をもたらすことを期待する。例えば、履物品は、履物品の接地面を形成するソール構造に取り付けられた静止摩擦要素を含みうる。静止摩擦要素は、着用者の足と地面との間に支持的かつ確実な接触をもたらすのを助ける保持特性をもたらす。典型的には、これらの静止摩擦要素は、履物の接地面の表面積を増大させ、多くの場合、地面を突き刺す、および/または履物の接地面とそれが接触する地面または表面との間に摩擦を生じさせるように通常形づくられるか構成される、突起物を形成する。
【0004】
通常、これらの静止摩擦要素は、履物品に対して静的である固体の突起物である。これは、静止摩擦要素および履物が単一のユニットとして動く、すなわち、静止摩擦要素は履物に対して固定された状態であることを意味する。静止摩擦要素は、歩みまたは走りのサイクルの屈伸運動および屈曲運動によって履物のソール構造の残りの部分と同じように前進する。この構成は、衣料品に加えられる様々な力または履物品が用いられている環境の変化に適合することができないため、静止摩擦能を制限する。
【0005】
サッカー、野球およびフットボールなどの特定のスポーツに取り組んでいる運動競技者は多くの場合、静止摩擦要素を有する履物を利用する。これらの運動競技者は、急なスタート、停止、ひねりおよび方向転換を有する様々な動きを行う。加えて、多くの運動競技者は、異なる状況および特徴を有する表面を伴う様々な環境下で履物品を履くことを望む。多くの場合、固定静止摩擦要素は、運動競技者が様々な動きを行うのに必要とするのに充分な支持および静止摩擦を提供することができない。固定静止摩擦要素は、これらの運動競技者の動きの変化、または運動競技者が履物品を履く様々な環境に適合することはとてもできない。むしろ、固定静止摩擦要素は、運動競技者により行われる動きの種類または履物品が履かれる環境の特徴に関わらず、全ての動きの間におよび全ての環境下で同じ種類および量の静止摩擦を与える。
【0006】
さらに、運動競技者がその上で履物品を履くことを望む様々な表面は、異なる硬度および外形を含む多くの異なる特徴を有する。例えば、運動競技者は、芝生または芝生と似た性質の合成物質で作られた競技場の上でスタッド付き履物を利用する可能性がある。これらの競技場の多くは屋外であり、かつフィールドの状況は、天候状況、表面に対して行われる様々な程度の保守、および地域的な(地理学的な)表面の違いなどに供される。例えば、どちらかと言えば軟らかい芝生のフィールド上で通常練習している運動競技者は、運動競技者が別の場所で競技を行うかまたはフィールド状況が天候によって表面が硬くなったときなどに、自身の滑り止めの付いた履物が硬い芝生のフィールド上では異なって機能することに気が付く可能性がある。全ての面に対して同一の滑り止めを装着することによって、装着者は、少なくとも履物品上に備え付けられた固定静止摩擦要素がフィールド状況下での使用に対してよく設計されていないような環境下で、落下する、滑り動く、および/または他の方法で自身を傷つける危険性がより高い。代替法は、様々な種類の静止摩擦を有する複数の異なる滑り止め付き履物を購入し、複数の異なる表面に対応することである。しかし、この方法は、費用がかかり、かつ不便である。
【0007】
したがって、いくつかの静止摩擦要素が現在入手可能だが、当技術分野において改良の余地がある。例えば、衣料品が接触する表面の種類と静止摩擦要素に加えられる力の種類に基づいて自動的に調整される静止摩擦をユーザーに与えるように自動調整しうる静止摩擦要素を備えた衣料品は、当技術分野において望ましい進歩である。
【発明の概要】
【0008】
概要
本発明の局面の少なくとも一部の基本的な理解を提供するために、以下に本発明の局面の一般的な概要を示す。この概要は、本発明の広範な概説ではない。本発明の鍵となるまたはクリティカルな要素を特定すること、および/または本発明の範囲を線引きすることを意図しない。以下の概要は、下記に提供されるより詳細な説明の前段階として、本発明の概念の一部を一般的な形態で示すだけである。
【0009】
本発明の局面は、履物などの衣料品のための自動調整型静止摩擦要素に関する。例示的な履物の態様において、履物品は、1つまたは複数の自動調整型静止摩擦要素または「自動調整型スダット」を有するソール構造を組み込みうる。
【0010】
ある例において、自動調整型スタッドは、第1の収縮性(retractability)を有する第1の部分および第1の収縮性より小さな第2の収縮性を有する第2の部分を含みうる。第2の部分は、第1の部分を取り囲みうる。自動調整型スタッドが第1の硬度の表面と接触するとき、第1の部分および第2の部分は実質的に引っ込まない可能性があり、かつ自動調整型スタッドが第2の硬度の表面と接触するとき、第1の部分は引っ込み、第2の部分は実質的に引っ込まず、ここで第1の硬度は第2の硬度より小さい。
【0011】
さらに別の例では、自動調整型スタッドは、衝撃減衰アセンブリ、プランジャー、および先端部を含みうる。衝撃減衰アセンブリは、第1の表面、第2の表面およびそれらを通る穴を含みうる。プランジャーは、衝撃減衰アセンブリの第1の表面に隣接して配置され、かつ力がプランジャーに加えられると衝撃減衰アセンブリを活性化するようにさらに配置されうる。プランジャーの少なくとも一部は、衝撃減衰アセンブリの穴を通って伸びる。先端部は、衝撃減衰アセンブリの第2の表面に隣接して配置されうる。先端部は、衝撃減衰アセンブリの穴を通って伸びるプランジャーの部分と係合しうる。先端部およびプランジャーは、衝撃減衰アセンブリの両側に配置されうる。衝撃減衰アセンブリが第1の活性化されていない状態であるとき、先端部は引っ込んだ位置にあってもよく、衝撃減衰アセンブリが第2の活性化状態であるとき、先端部は伸張した位置にあってもよい。
【0012】
さらに別の例において、ソール構造は、ソール基部材およびそれに取り付けた少なくとも1つの自動調整型スタッドを含みうる。自動調整型スタッドは、任意の上記の例示的態様であってもよい。いくつかの例において、ソール構造は、自動調整型スタッドの同じ態様または異なる態様のいずれかの1つを上回る自動調整型スタッドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明およびその特定の利点のより完全な理解は、添付の図面に沿って以下の説明を参照することによって得ることができ、図において、同様の参照番号は同様の特徴を示し、ここで:
【図1】本発明の局面による、複数の自動調整型スタッドを有する履物品のソール構造の一部の底面図を図示する。
【図2】本発明の局面による、自動調整型スタッドの構成要素の分解図を図示する。
【図3】図3Aおよび3Bは、本発明の局面による、引っ込んだ位置および伸張した位置での自動調整型スタッドの側面斜視図をそれぞれ図示する。
【0014】
添付の図面は必ずしも実物大に描かれていないことを読者は留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本発明の様々な例示的態様の以下の説明において、本明細書の一部を形成し、かつ本発明の局面が実施されうる種々の例示的デバイス、システムおよび環境が例として示される、添付の図面について言及がなされる。本発明の範囲から逸脱することなく、部分の他の特定の配置、例示的デバイス、システム、および環境が利用されうること、および構造的および機能的改変がなされうることが、理解されるべきである。
【0016】
本明細書に開示の履物品は、自動調整型スタッドが接触する表面の種類および/または自動調整型スタッドに加えられる力の種類に基づきその静止摩擦特性を変化させ、それによりスタッドを付けた履物のより優れた全般的な他用途性および安定性を提供しかつ装着者が不測のまたは不慣れなフィールド状況によりけがをする機会を減らす、1つまたは複数の自動調整型スタッドを含む。
【0017】
A. 定義セクション
後の種々の態様の説明を助けかつ明確にするために、本明細書において様々な用語を定義する。他に指示のない限り、以下の定義が本明細書全体にわたって(特許請求の範囲を含む)適用される。
【0018】
本明細書で用いられる用語「圧縮性」は、凝縮する、よりコンパクトになる、または別の方法で大きさを低減させる第1の部分および/または第2の部分の能力を意味する。本明細書で用いられる用語「圧縮性」は、任意の方法で大きさを低減させる(高さ、幅、厚さ、容量、または任意の他の大きさの低減)自動調整型スタッドの部分の能力を記載するために用いられる。自動調整型スタッドの特定の部分は、特定のレベルの「圧縮性」を有するとして記載されてもよく、それは、自動調整型スタッドの別の部分と比較して圧縮される能力を有するよう構築されていることを意味する。
【0019】
例えば、自動調整型スタッドの第1の部分および第2の部分は、相互に関連するように、異なる「圧縮性」を割り当てられうる。第1の部分は、(体育館、人工芝、または凍結したもしくは凍結に近い状態の競技場のような硬い表面など)規定された硬度を有する表面に対して第2の部分より多くまたは少なく(態様に応じて)圧縮されうる。原子的に言うと、固形物に加えられる任意の力は、物体中の原子をある程度「圧縮」する(入手可能な最も硬い金属で作られている物体でさえ)。しかしながら、本明細書で用いられる用語「圧縮性」は、自動調整型スタッドの特定の部分で生じる圧縮の量の測定可能な違いを指すことを意味する。
【0020】
本明細書で用いられる用語「実質的に圧縮されていない」および「圧縮された」は、自動調整型スタッドの様々な部分の圧縮のレベルを記載することを意味する。上記のとおり、原子的に言うと、最も硬い物質で作られた物体であっても加えられた任意の力は、ある程度物体を「圧縮」する。用語「実質的に圧縮されていない」は、圧縮が生じないかまたは非常に少量の圧縮だけが生じる(例えば、原子同士が互いにほんのわずか近づくとき)圧縮のレベルを含むことを意図する。たとえば、チタンなどの硬い金属は、自動調整型スタッドの一部を形成するのに用いられうる。このチタン金属部分は典型的には、大抵の力が加えられても実質的に圧縮されずまたは大きさが低減しないため、「実質的に圧縮されていない」形態でそのような力に耐えることができる。
【0021】
用語「実質的に圧縮されていない」の使用は、上記のチタンの例など、原子のみが動くが、静止摩擦能の目に見えてわかる変化が生じないレベルの圧縮性を含むことを意味する。本明細書で用いられる用語「圧縮された」は、運動競技者またはユーザーの視点から自動調整型スタッドの任意の部分の容量もしくは大きさの目に見えて分かるもしくは検出可能な違い、または定規などの一般的に入手可能な測定ツールにより測定可能であるかまたは人間の目により検出可能である大きさもしくは容量の違いを記載するために用いられる。違いは、常にではないが、多くの場合、自動調整型スタッドの静止摩擦特性が運動競技者/装着者の視点から目に見えて分かる変化を呈するような大きさまたは容量の変化をもたらす。いくつかの例示的構造において、自動調整型スタッドは、その圧縮されていない大きさ/形状の5〜15%まで圧縮されうる。例えば、圧縮が垂直方向に生じている場合、自動調整型スタッドの高さは、圧縮されているときに実質的に圧縮されていないときより5%低下しうる。
【0022】
本明細書で用いられる用語「収縮性」は、引っ込むまたは他の方法でその大きさをより小さくする自動調整スタッドの任意の部分の能力を意味する。いくつかの状況において、用語「収縮性」は、自動調整型スタッドの一部分が別の部分の中に引き戻されることを意味する。例えば、自動調整型スタッドの第1の部分は、自動調整型スタッドの第2の部分の内部空間内に逆カスケード方式で引っ込みうるまたは引き戻されうる。
【0023】
本明細書で用いられる用語「硬度」は、自動調整型スタッドと接触する表面の種類を記載するために用いられる。例えば、軟表面は、硬表面より低い硬度レベルを有する。軟表面は、芝生の競技場または弾力性のある地面を有するフィールドを含みうる。硬表面は、人工的な競技場または堅い地面を有する競技場を含みうる。下記により詳細に記載するように、自動調整型スタッドは、態様に応じて、硬表面または軟表面のいずれか上で活性化され(圧縮され/引っ込められ)うる。
【0024】
B. 自動調整型スタッドを有する履物品の一般的な説明
以下の記載および添付の図は、自動調整型スタッドを備える様々な履物品を開示する。自動調整型スタッドは、これに限定されないが、履物、運動用具、防具、およびマットなどの、自動調整型スタッドから恩恵を受けうる任意の製造品または衣料品に組み込まれうる。
【0025】
履物品のソール構造は、自動調整型スタッドを備えうる。自動調整型スタッドは、ソール構造とは分離した要素であってもよく、またはソール構造と一体的に形成されるかもしくはソール構造内に取り込まれてもよい。いくつかの例において、自動調整型スタッドは、ソール構造から完全に着脱可能(および/または置換可能)であってもよい。他の例において、自動調整型スタッドは、ソール構造に恒久的に取り付けられてもよく、別個の構造であってもよく、またはソール構造と同じ材料片から形成されてもよい。
【0026】
ソール構造は、任意の種類の履物品内に組み込まれうる。さらに具体的な例では、ソール構造は、運動競技者が自動調整型スタッドを備えるソール構造から恩恵を受けうる、サッカー、フットボール、野球、陸上競技、ゴルフ、登山、ハイキング、および任意の他の運動または活動を含むがこれに限定されない、運動のための競技用履物内に組み込まれる。
【0027】
概して、履物品は、ソール構造に取り付けられたアッパーを含む。ソール構造は、履物品の長さに沿って伸び、履物品の接地面を形成するアウトソールを含みうる。静止摩擦要素は、ソール構造および/または接地面(例えばアウトソール)の部分に取り付けられかつそれを形成しうる。いくつかの例において、ソール構造は、ソール基部材および1つまたは複数の自動調整型スタッドを含む。
【0028】
履物品は一般的に、説明目的のために3つの領域に分けらうる。各領域の境界は、履物の様々な領域間の厳密な区分を定義することを意図しない。履物の領域は、前足領域、中足(midfoot)領域、およびかかと領域としうる。前足領域は概して、中足指節関節および指骨を含む装着者の足の部分に関する。中足領域は概して、中足骨および足の「アーチ」を含む装着者の足の部分に関する。かかと領域は概して、かかとまたは踵骨を含む装着者の足の部分に関する。
【0029】
1つまたは複数の自動調整型スタッドは、履物品のソール構造の任意の領域または領域の組み合わせにおいて配置されうる。例えば、1つまたは複数の自動調整型スタッドは、履物品の前足領域に配置されうる。さらに、自動調整型スタッドは、内側および外側を含む履物品の任意の側の上に配置されうる。より具体的な例において、自動調整型スタッドは、履物のソール構造の内側縁または外側縁に沿って配置されうる。自動調整型スタッドはまた、履物品のかかと領域に置かれうる。自動調整型スタッドは、装着者がそれを最も必要とするときに、すなわち、特定の目標とされた活動の間に、および/または特定の種類の力が地面および/または装着者の足によりソール構造に加えられたときに、さらなる静止摩擦を与えるように戦略的に配置されうる。自動調整型スタッドは、ソール構造上におよびソール構造の任意の領域中に任意の適当な構成で配置されうる。
【0030】
運動競技者は、特定の動きの間に彼らの履物における自動調整型スタッドのさらなる静止摩擦能により大きな恩恵を受けうる。運動競技活動に参加する運動競技者は、例えば、突然のまたは急激なスタート、停止、方向転換および/またはひねりの動きを行う必要がある可能性がある。運動競技者はまた、かれらの動きの方向の素早い変更も行う。さらに、運動競技者は、様々な表面(例えば、多種多様なフィールドの状況または地形)上で競争することを希望する可能性がある。運動競技者は、これらの動きの間におよびこれらの異なる使用環境において、自動調整型スタッドから恩恵を受ける可能性がある。
【0031】
概して、静止摩擦要素(および具体的は自動調整型スタッド)は、ソール構造とそれらが接触する地面または表面との間に摩擦を生じさせ、様々な動きの間に履物品のユーザーに支持と安定性をもたらす。静止摩擦要素は、ソール構造の表面領域を増大させ、多くの場合、地面との接触が生じると地面を突き刺すように成形されるおよび/または構成される。そのような接触は、地面との履物の側方および後方へのスリップおよび滑りを低減し、装着者の安定性を向上させる。自動調整型スタッドは、特定の動きに合わせられ、かつソール構造が接触する地形または表面の種類およびソール構造に加えられる力の種類に基づきその特性を変化させることができる、静止摩擦を提供することができる。
【0032】
自動調整型スタッドは、任意の適当な形状および大きさであってよい。自動調整型スタッドの表面は、滑らかまたは粗い質感であってもよく、曲線状または比較的平面であってもよい。自動調整型スタッドは、滑らかな表面を有してよく、または多角形など、角または「面」を有してもよい。自動調整型スタッドは、円錐形、長方形、ピラミッド型、多角形、または他の任意の形状であってもよい。1つの例において、履物品は、形状が全て均一である複数の自動調整型スタッドを備えうる。別の例において、単一の履物品上の複数の自動調整型スタッドは、様々な形状を有しうる。自動調整型スタッドは、任意の大きさであってよい。複数の自動調整型スタッドがソール構造に取り付けられている例示的構成において、各自動調整型スタッドは、同じ大きさおよび/または形状である、またはそれらは様々な大きさおよび/または形状である可能性がある。自動調整型スタッドの接地面は、点、平面、または任意の他の適切な構成であってよい。
【0033】
ソール構造は、1つまたは複数の自動調整型スタッドを含みうる。いくつかの例において、ソール構造は、1つの自動調整型スタッドを備える。別の例において、ソール構造は、複数の自動調整型スタッドを備える。自動調整型スタッドは、ソール構造の前足領域またはソール構造の任意の他の領域内に配置されうる。例えば、ソール構造は、複数の自動調整型スタッドを含みうる。複数の自動調整型スタッドの第1の部分は、ソール構造の前足領域の内側縁に沿って配置され、複数の自動調整型スタッドの第2の部分は、ソール構造の前足領域の外側縁に沿って配置されうる。本質的には、複数のスタッドは、ソール構造の縁に沿って前足領域を枠で囲むように配置されうる。この配置は、側方-横向きの動きの間に装着者にさらなる静止摩擦をもたらすのを助ける。
【0034】
別の例において、自動調整型スタッドは、スタッドを付けた履物のソール構造のかかと領域に配置されうる。さらに他の例において、自動調整型スタッドは、前足領域とかかと領域の両方に配置されうる。自動調整型スタッドの構成を変化させることによって、履物の静止摩擦能の種類を変化させるおよび/またはさらにカスタマイズし、装着者が特定の動きを行うかまたは様々な特性を有する表面上で活動に参加するとき、装着者にさらなる静止摩擦を与えることができる。
【0035】
履物品は、様々な種類の自動調整型スタッドを含みうる。いくつかの自動調整型スタッドは、表面状況が変化すると(すなわち、硬度および外形など)、活性化されうる。例えば、自動調整型スタッドは、表面状況が比較的硬い状況から比較的軟らかい状況へと変化するときに活性化されうる。自動調整型スタッドは、履物品が接触する表面の状況の任意の変化により活性化されうる。
【0036】
ある例において、自動調整型スタッドは、第1の収縮性を有する第1の部分、および第1の収縮性より低い第2の収縮性を有する第2の部分を含む。第2の部分は第1の部分を取り囲む。自動調整型スタッドが第1の硬度の表面と接触するとき、第1の部分および第2の部分は実質的に引っ込まず、自動調整型スタッドが第2の硬度の表面と接触するとき、第1の部分は引っ込みかつ第2の部分は引っ込まず、ここで第1の硬度は第2の硬度より小さい。
【0037】
第1の部分は、熱可塑性ポリウレタン、熱硬化性材料、金属、ゴム、種々のプラスチックなどを含むがこれに限定されない、任意の種類の材料を含みうる。金属は、金属(例えば、鉄、アルミニウム、チタン、これらの金属の1つまたは複数を含む合金など)の合金であってもよい。第1の部分は、第1の硬度(比較的軟らかい表面)を有する表面と接触すると実質的に引っ込まない状態のままである。第1の部分は、第2の硬度(比較的硬い表面)を有する表面と接触すると引っ込む。第1の部分は、硬い表面と接触すると引っ込む材料または構造を含む。そのような構成は、軟らかい(すなわち柔軟な)地面で第1の部分を伸張させ、さらなる静止摩擦をもたらす。
【0038】
第1の部分は、引っ込むおよび伸張する能力を有する任意の構造をとることができる。例示的構成において、第1の部分は、それを通る穴を有する衝撃減衰アセンブリ、力が加えられると衝撃減衰アセンブリを活性化するように配置されるプランジャー、およびプランジャーの一部と係合する先端部を含みうる。プランジャーの少なくとも一部は、衝撃減衰アセンブリの穴を通って伸びる。先端部は、衝撃減衰アセンブリを通って伸びるプランジャーの部分と係合する。衝撃減衰アセンブリが第1の活性化されていない状態である(衝撃減衰アセンブリを活性化するのに十分な力がプランジャーに加えられていない)とき、先端部は引っ込んだ位置にあり、衝撃減衰アセンブリが第2の活性化した状態であるとき、先端部は伸張した位置にある。
【0039】
衝撃減衰アセンブリは、衝撃減衰要素および衝撃減衰構成要素ハウジングを含みうる。衝撃減衰要素は、自動調整型スタッドに加えられた力を和らげるまたは他の方法で吸収する(および転嫁する)。いくつかの例において、力はプランジャーに加えられる。衝撃減衰要素は、板バネなどのバネを含みうる。衝撃減衰要素はまた、力が自動調整型スタッドから取り除かれた後に、衝撃減衰アセンブリがその第1の活性化されていない状態に戻るようバイアスをかけることも助けうる。衝撃減衰要素は、自動調整型スタッドが硬い表面と接触するときに自動調整型スタッドに加えられる力を受け止めうる。この構造は、第1の部分が軟らかい地面中に伸張し、それによって軟らかい地面でさらなる静止摩擦を与えることを可能にする。衝撃減衰アセンブリは、衝撃減衰要素を活性化しかつ第1の部分を伸張させるのに十分な大きな力が加えられるまで(すなわち、自動調整型スタッドが十分な軟らかさの地面と接触するとき)、第1の部分にその引っ込んだ位置へとバイアスを加える。衝撃減衰要素は、衝撃減衰要素ハウジングの内部により画定される空間内に嵌合するような形状および大きさをとりうる。
【0040】
自動調整型スタッドのこの態様の第2の部分は、第1の部分を取り囲む。第2の部分は、硬質TPU、熱硬化性材料、金属、または他の硬質プラスチックなど任意の適当な材料を含みうる。第2の部分は、幅広い種類の通常の力(例えば、ランニング、跳躍、鋭いターン、方向転換、ひねり、旋回、装着者の体重など)に変形せずに耐えることができる硬度を有する材料を含む。
【0041】
第2の部分は、第1の部分が自由に引っ込みかつ伸張しうるような形で、第1の部分に近接するように、いくつかの例では接触するように配置される。いくつかの例示的構築物において、第1の部分は、第2の部分内の内部空間内に引っ込みかつ伸張する。上記のとおり、第1の部分のいくつかの例は、伸長しまた引っ込む、衝撃減衰アセンブリ、プランジャー、および先端部の組み合わせを含む。この組み合わせは、自動調整型スタッドの第2の部分内に(および第2の部分から)少なくとも部分的に伸張しかつ引っ込みうる。第2の部分は、常に実質的に引っ込まない状態のままである(静的または静止した)。第1の部分が引っ込むとき、その接地面は、いくつかの例における第2の部分の高さと同じ高さでありうる。他の例において、第1の部分の接地面は、第2の部分内に引っ込んでいてもよく、または第2の部分の接地面をわずかに超えて伸びていてもよい。いずれの構成においても、第1の部分は、それが引っ込んだ位置にあるとき、自動調整型スタッドの全体的な高さ(大きさ)を低減させる。この構造は、自動調整型スタッドが硬い地面と接触すると第1の部分が引っ込み、かつ自動調整型スタッドが軟らかい地面と接触すると第1の部分が伸張することを可能にする。(軟らかい地面において)伸張した位置では、第1の部分は、運動競技者/装着者に対してさらなる静止摩擦を提供することができる。
【0042】
いくつかの例示的構成において、第1の部分および第2の部分は、円筒形の形状であり、ソール構造の表面から離れて伸張するにつれ、先細になりうる。このような構成では、第1の部分は、第2の部分の内側で引っ込みかつ伸張しうるように、第2の部分の半径よりわずかに小さい半径を有しうる。第1の部分および第2の部分は、平坦な側面または任意の他の形状を有しうる。
【0043】
自動調整型スタッドのこれらの例示的構成は、自動調整型スタッドが比較的軟らかい地面(例えば、第1の部分が引っ込むのを防ぐのに十分な軟らかさの地面)と接触するときに有用である。自動調整型スタッドのこれらの構成は、第1の部分が伸張しているときに軟らかい地面において「活性化」され、軟らかい地面に突き刺さることができ、運動競技者/装着者にさらなる静止摩擦を与える。硬い地面は、第1の部分を第2の部分内に引っ込ませ、かつより第2の部分の高さを超えて露出する第1の部分はほとんどない(または全くない)。
【0044】
これらの例示的構成において、第1の部分は、任意の適当な量を伸張しうる。例えば、引っ込んだ第1の部分の大きさは、引っ込んでいない第1の部分の大きさより少なくとも5%小さい可能性がある。別の例では、伸張した第1の部分の大きさは、引っ込んでいない第1の部分の大きさより少なくとも25%小さくてもよく、あるいは少なくとも50%小さくてもよい。
【0045】
本発明の具体的な例を下記により詳細に記載する。読者は、これらの具体例が本発明の例を図示することのみを目的として記載されており、本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことを、理解するはずである。
【0046】
C. 自動調整型スタッドを有する履物品の具体例
本願における様々な図は、本発明による自動調整型スタッドを有する履物品の例を図示する。同じ参照番号が1つより多くの図面に現れるとき、その参照番号は、全体を通して同一のまたは類似の部分を指すように、本明細書および図面において一貫して用いられる。
【0047】
図1〜3Bは、自動調整型スタッドの具体的な例を図示する。図1は、履物品100の前足領域の一部の底面図を図示する。履物品100は、アッパーおよびアッパーに取り付けられたソール構造102を有する(アッパーはこれらの図では示されず)。7個の自動調整型スタッド104、106、108、110、112、114および116は、この例示的ソール構造102に取り付けられる。1番目104の自動調整型スタッドは、装着者の足が履物品100内に挿入されたときに、装着者の足の第1指節骨(「親指」)のほぼ真下に配置されるようにソール構造102上に配置される。2番目106および3番目108の自動調整型スタッドは、第1中足骨および/または第2中足骨の縦方向の長さに沿って伸びるように、ソール構造102の前足領域の内側縁に沿って(および場合により中足領域に及んで)配置される。
【0048】
4番目110、5番目112、6番目114および7番目116の自動調整型スタッドは、図1に図示するソール構造102の外側縁に沿って配置される。4番目110および5番目112の自動調整型スタッドは、装着者の足が履物品100内に挿入されているときに装着者の足の第5中足骨の縦方向の長さに沿っておよび場合により第4中足骨の一部に沿って伸びるように、ソール構造102の前足領域内に配置される。6番目114および7番目116の自動調整型スタッドは、装着者の足が履物品100内に挿入される場合に、装着者の足の第4中足骨および/または第5中足骨の縦方向の長さおよび場合により足根骨の一部に沿ってソール構造102の前足領域および中足領域の一部内に配置される。
【0049】
図1に例示する自動調整型スタッド104、106、108、110、112、114および116は概して、ソール構造102の前足領域内に全て配置される。しかし、代替的な例では、1個または複数個の自動調整型スタッドは、かかと領域など履物品100の任意の他の領域中に配置されてもよい。さらに他の例では、自動調整型スタッドは、前足領域中に配置される必要はない。
【0050】
1つの例示的自動調整型スタッド構造が、図2に関連してより詳細に図示される。この自動調整型スタッド200は、衝撃減衰アセンブリ202、プランジャー204、および先端部206を含み、それらは図2に図示される。衝撃減衰アセンブリ202は、衝撃減衰アセンブリ202のほぼ中心領域に、衝撃減衰アセンブリ202を通って伸びる穴208を画定する。衝撃減衰アセンブリ202は、第1の表面210および第1の表面210の反対側の第2の表面212を有する。プランジャー204は、衝撃減衰アセンブリ202の第1の表面210に隣接して配置される。プランジャー204はさらに、力がプランジャー204に加えられると衝撃減衰アセンブリ202を活性化するように配置される。プランジャー204の少なくとも一部は、衝撃減衰アセンブリ202の穴208を通って伸びる。先端部206は、衝撃減衰アセンブリ202の第2の表面212に隣接して配置される。先端部206は、衝撃減衰アセンブリ202の穴208を通って伸びるプランジャー204の部分と係合する。先端部206およびプランジャー204は、衝撃減衰アセンブリ202の両側に配置され、衝撃減衰アセンブリ202中の穴208を介して相互に係合する。先端部206は、衝撃減衰アセンブリ202が第1の活性化していない状態であるとき引っ込んだ位置にあり、衝撃減衰アセンブリ202が第2の活性化状態であるとき伸張した位置にある。
【0051】
衝撃減衰アセンブリ202の第2の表面212の少なくとも一部および先端部206は、自動調整型スタッドの接地面を形成する。衝撃減衰アセンブリ202は、衝撃減衰要素214および衝撃減衰要素ハウジング216を含む。衝撃減衰要素214は、衝撃減衰要素ハウジング216内に嵌合するように成形される。衝撃減衰要素214は、第1の部分218および第2の部分220を有する。第1の部分218は、この例では板バネを含む。衝撃減衰要素214の第1の部分218は、第2の部分220の半径より大きな半径を有する。衝撃減衰要素214の第2の部分220は概して、筒状であり、かつ第1の部分218より大きな高さ/長さを有する。衝撃減衰要素ハウジング216はまた、第1の部分222および第2の部分224も含む。衝撃減衰要素ハウジング216の第1の部分222は、内部空間226、肩部228を画定する。衝撃減衰要素214が衝撃減衰要素ハウジング216内に配置されるとき、衝撃減衰要素214の第1の部分218は、衝撃減衰要素ハウジング216の肩部228に近接して(およびこの例では物理的に接触して)配置されるように、衝撃減衰ハウジング216の第1の部分222の内部空間226内に配置される。
【0052】
衝撃減衰要素ハウジング216の第2の部分224は概して筒状であり、かつ衝撃減衰要素214の第2の部分220よりわずかに大きい。衝撃減衰要素214が衝撃減衰要素ハウジング216内に配置されるとき、衝撃減衰要素214の第2の部分220は、衝撃減衰要素ハウジング216の第2の部分224に嵌合する(またはその中に嵌合するよう配置される)。代替的な態様において、衝撃減衰要素214の第1の部分218は、任意の適当な種類の衝撃減衰要素(例えば、圧縮可能な発泡体、任意の種類の適当なバネなど)を含みうる。
【0053】
いくつかの例示的構築物において、衝撃減衰アセンブリ202は、衝撃減衰要素214の第1の部分218内に等間隔で配置された4つのスリット232、および衝撃減衰要素ハウジング216の第1の部分222の内部空間226中に、スリット232に対応する間隔で等間隔に配置された4つの対応するタブ230を含む、保持機構を含む。衝撃減衰要素214が衝撃減衰要素ハウジング216内に配置されるとき、タブ230はスリット232内に嵌合する。タブ230がスリット232内に嵌合されるとき、衝撃減衰要素214は、衝撃減衰要素ハウジング216に対して回転するのを実質的に防止される。保持機構はまた、衝撃減衰要素ハウジング216に隣接する位置で衝撃減衰要素214を保持する。保持機構は、任意の数のタブおよび対応するスリットを含みうる。タブおよびスリットは、任意の適当な様式で間隔を取って配置されうる。
【0054】
衝撃減衰要素214の第1の部分218は、上記のとおり、板バネ233を含む。板バネ233は、衝撃減衰要素214が衝撃減衰要素ハウジング216内に配置されているとき、衝撃減衰要素ハウジング216の第1の部分222の肩部228に近接して配置される(およびこの例ではその上に載っているおよびそれと物理的に接触している)。プランジャー204は、第1の部分234および第2の部分236を有する。プランジャー204の第1の部分234は概して平坦であり、かつ力を受け止め衝撃減衰要素214を活性化する自動調整型スタッドの一部分である。プランジャー204の第2の部分236は、衝撃減衰アセンブリ208の穴208内に下方に伸びる。プランジャー204の第1の部分234は、衝撃減衰要素214の第1の部分218中の板バネ233を衝撃減衰要素ハウジング216の第1の部分222の肩部228に対して屈曲させる。この動作は、衝撃減衰ハウジング216の第2の部分224を下方に(ソール構造から離れて地面に向かう方向に)伸張させる。プランジャー204の動作は、先端部206を引っ込んだ位置から伸張した位置へと伸張させる。力が板バネ233を屈曲させているとき、衝撃減衰要素214は、その「第2の活性化した状態」であると考えられる。板バネ233がその自然な屈曲していない状態である(何ら力が加えられていない)とき、衝撃減衰要素214は、その「第1の活性化されていない状態」であると考えられる。
【0055】
先端部206は、第1の部分238および第2の部分240を有する。先端部206の第1の部分238は接地面を形成し、先端部206の第2の部分240は、衝撃減衰アセンブリ202の穴208内でプランジャー204の第2の部分236と係合する。先端部206は、衝撃減衰アセンブリ202に沿って伸びる。図10Aは、その引っ込んだ位置にある先端部206を図示する。図10Bは、その伸張した位置にある先端部206を図示する。その伸張した位置にある先端部206は、自動調整型スタッドにさらなる静止摩擦能を与える。先端部206がその引っ込んだ位置からその伸張した位置へと伸びるとき、衝撃減衰アセンブリ202および/または環状スタッド基部242(下記により詳細に記載する)から「段階的に生じている」ようにみえる。この構造は、スタッドが軟らかい地面と接触するとき、自動調整型スタッドのさらなる静止摩擦能を「活性化」する(先端部206が伸張される)。その状況は、力(例えば、装着者の足からなどの)がプランジャー204に加えられるときに起こる。地面が十分に硬いとき、プランジャー204に加えられる力(例えば、装着者の足により加えられる力など)は、硬い地面からの応答力と同等であるかそれより小さく、よって先端部206はその引っ込んだ位置にされる。地面が十分に軟らかいとき、プランジャー204に加えられる力(例えば、装着者の足により加えられる力など)は、軟らかい地面からの応答力より大きく、よって先端部206はその伸張した位置にされる。スタッド基部から伸びる先端部206のこの追加の長さは、軟らかい地面内により深く食い込み、さらなる静止摩擦をもたらす。
【0056】
自動調整型スタッドはまた、図2に示すような環状スタッド基部242も任意で含む。この例示的な環状スタッド基部242は、そこを通って画定される穴243を有する中心部分を有する。衝撃減衰アセンブリ202、プランジャー204、および先端部206は、環状スタッド基部242中の穴243を通って互いに係合する。この例示的構築物では、環状スタッド基部242は、履物品のソール構造に取り付けられ、自動調整型スタッドをソール構造に固着する。環状スタッド基部242は、第1の部分244および第2の部分246を含みうる。環状スタッド基部242の第1の部分244は、粘着(adhesive)、成型、セメントによる接合、結合(bonding)、接着剤による接着(gluing)、機械的コネクタなどの任意の適当な方式でソール構造に取り付けられる。環状スタッド基部242の第1の部分244は、環状スタッド基部242の第2の部分246の半径より大きい半径を有する。環状スタッド基部242の第1の部分244はまた、肩部250により内部空間248を画定する。内部空間248は、衝撃減衰部材の第1の部分222が肩部250の上に載るような大きさである。衝撃減衰要素214の板バネ233は、衝撃減衰部材202の第1の部分222内に嵌合し、かつ環状スタッド基部242の第1の部分244の肩部250に近接して配置される(またはこの例ではその上に物理的に載る)。環状スタッド基部242の第2の部分246は、この例示的構造において従来型の固定滑り止めとして機能する。
【0057】
自動調整型スタッドのこの例示的態様は、滑らかな曲線形を有する要素によって記載され、例示される。代替的な態様は、1つまたは複数の平らな側面またな任意の他の外形および形状の構成を有する要素を含みうる。
【0058】
D. 履物品における自動調整型スタッド
自動調整型スタッドを組み込む履物品は、「クリートシューズ」または「スパイクシューズ」として公知の運動競技用履物であってもよい。そのような自動調整型スタッドを備えたクリートシューズは、サッカー、野球、ゴルフ、フットボール、ハイキング、登山、ラクロス、およびフィールドホッケーなどの多様な運動において有用でありうる。
【0059】
履物品は、装着者の足を収容するための空間の範囲を共に画定する、ソール構造およびソール構造に取り付けられたアッパーを含みうる。ソール構造は、ソール基部材および少なくとも1つの上記自動調整型スタッドを含みうる。自動調整型スタッドは、ソール基部材に取り付けられる、またはそれと一体的に形成される。ソール構造は、2つまたはそれを上回る自動調整型スタッドを含んでもよい。ソール構造が2つまたはそれを上回る自動調整型スタッドを含む例では、自動調整型スタッドは全て同じ構築物であってもよく、またはそれらは異なる構築物であってもよい。例えば、ソール構造は、一方が上記の第1の態様に記載の構築物のものであり、かつ2番目が上記の第2の態様に記載の構築物のものである、2つの自動調整型スタッドを含みうる。
【0060】
自動調整型スタッドは、ソール構造の任意の領域においてソール基部材上に配置されうる。例えば、1つまたは複数の自動調整型スタッドは、ソール構造の前足領域および/またはかかと領域に配置されうる。より具体的には、1つまたは複数の自動調整型スタッドは、ソール構造の前足領域および/またはかかと領域の内側縁および外側縁のいずれかまたはその両方に沿って配置されうる。
【0061】
D. 結論
本発明は、本発明を実行する現在の実施形態を含む特定の例について記載しているが、多数の変形形態ならびに上記システムおよび方法の置換も実行されうる。よって、本発明の精神および範囲は、添付の特許請求の範囲に記載のとおりに広範に解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の収縮性を有する第1の部分;および
第1の部分を取り囲む、第1の収縮性より小さい第2の収縮性を有する第2の部分;
を含む、自動調整型スタッドであって、自動調整型スタッドが第1の硬度の表面と接触する際に、第1の部分および第2の部分は実質的に引っ込まず、かつ自動調整型スタッドが第2の硬度の表面と接触する際に、第1の部分は引っ込みかつ第2の部分は実質的に引っ込まず、かつ第1の硬度は第2の硬度より小さい、前記自動調整型スタッド。
【請求項2】
第1の部分が熱可塑性ポリウレタン材料を含む、請求項1記載の自動調整型スタッド。
【請求項3】
第2の部分が、熱可塑性ポリウレタンおよび金属材料の少なくとも1つを含む、請求項1記載の自動調整型スタッド。
【請求項4】
第1の部分が、
それを通る穴を有する衝撃減衰アセンブリ;
力がプランジャーに加えられると衝撃減衰アセンブリを活性化するように配置されたプランジャーであって、プランジャーの少なくとも一部が衝撃減衰アセンブリの穴を通って伸びる、プランジャー;および
衝撃減衰アセンブリの穴を通って伸びるプランジャーの部分と係合する先端部
を含み、
衝撃減衰アセンブリが第1の活性化されていない状態であるとき、先端部は引っ込んだ位置にあり、かつ衝撃減衰アセンブリが第2の活性化した状態であるとき、先端部が伸張した位置にある、請求項1記載の自動調整型スタッド。
【請求項5】
第1の部分が実質的に引っ込んでいないとき、衝撃減衰アセンブリの第1の活性化していない状態が生じ、かつ第1の部分が引っ込んでいるとき、衝撃減衰アセンブリの第2の活性化状態が生じる、請求項4記載の自動調整型スタッド。
【請求項6】
衝撃減衰アセンブリが、衝撃減衰要素および衝撃減衰ハウジングを含む、請求項4記載の自動調整型スタッド。
【請求項7】
衝撃減衰要素が板バネ構造を含む、請求項6記載の自動調整型スタッド。
【請求項8】
ソール基部材;および
ソール基部材に取り付けられる、少なくとも1つの請求項1記載の自動調整型スタッド
を含むソール構造。
【請求項9】
第1の自動調整型スタッドおよび第2の自動調整型スタッドを含む、少なくとも2つの自動調整型スタッドをさらに含む、請求項8記載のソール構造。
【請求項10】
第1の自動調整型スタッドが、ソール構造の前足領域の内側縁に沿ってソール基部材に取り付けられ、かつ第2の自動調整型スタッドが、ソール構造の前足領域の外側縁に沿ってソール基部材に取り付けられている、請求項9記載のソール構造。
【請求項11】
自動調整型スタッドが、ソール構造のかかと領域においてソール基部材に取り付けられている、請求項8記載のソール構造。
【請求項12】
第1の表面および第2の表面を有する衝撃減衰アセンブリであって、それを通る穴を有する、衝撃減衰アセンブリ;
衝撃減衰アセンブリの第1の表面に隣接して配置され、かつ力がプランジャーに加えられた際に衝撃減衰アセンブリを活性化するようにさらに配置されたプランジャーであって、プランジャーの少なくとも一部が衝撃減衰アセンブリの穴を通って伸びる、プランジャー;および
衝撃減衰アセンブリの第2の表面に隣接して配置される先端部であって、先端部が衝撃減衰アセンブリの穴を通って伸びるプランジャーの部分と係合し、かつ先端部およびプランジャーが衝撃減衰アセンブリの両側に配置される、先端部;
を含む自動調整型スタッドであって、
衝撃減衰アセンブリが第1の活性化されていない状態であるとき、先端部が引っ込んだ位置にあり、かつ衝撃減衰アセンブリが第2の活性化した状態であるとき、先端部は伸張した位置にある、前記自動調整型スタッド。
【請求項13】
衝撃減衰アセンブリの第2の表面の少なくとも一部および先端部が、自動調整型スタッドの接地面を形成する、請求項12記載の自動調整型スタッド。
【請求項14】
衝撃減衰アセンブリが衝撃減衰要素および衝撃減衰要素ハウジングを含み、かつ衝撃減衰要素が衝撃減衰要素ハウジング内に嵌合するよう成形される、請求項12記載の自動調整型スタッド。
【請求項15】
衝撃減衰アセンブリがバネを含む、請求項12記載の自動調整型スタッド。
【請求項16】
バネが板バネである、請求項15記載の自動調整型スタッド。
【請求項17】
衝撃減衰アセンブリが保持機構をさらに含み、衝撃減衰要素が衝撃減衰要素ハウジングに隣接する位置に保持されるように、保持機構が、衝撃減衰要素中の少なくとも1つの対応するスリット内に嵌合する衝撃減衰要素ハウジング上に少なくとも1つのタブを含む、請求項16記載の自動調整型スタッド。
【請求項18】
先端部が金属材料を含む、請求項12記載の自動調整型スタッド。
【請求項19】
環状スタッド基部をさらに含み、環状スタッド基部が、それを通る穴を伴う中心部分を有し、かつ衝撃減衰アセンブリ、プランジャー、および先端部が、環状スタッド基部中の穴を通ってお互いに係合している、請求項12記載の自動調整型スタッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520231(P2013−520231A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553921(P2012−553921)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022848
【国際公開番号】WO2011/106126
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】