説明

苗ロール装填型苗移植機

【課題】苗ロールのロングマット苗が苗載台の往復横移動の折り返し動作で左右に揺すられた際の幅寸法の縮小を抑制して欠株なしに移植走行することができる苗ロール装填型苗移植機を提供する。
【解決手段】苗ロール装填型苗移植機は、所定の幅寸法で長く連続するロングマット苗Mをロール状に形成した苗ロールRを繰出し可能に保持するロールホルダ10と、そのロングマット苗Mを植付用の?取り口を形成した苗受板14に到達する位置まで繰出しつつその幅寸法に及ぶ範囲の往復横移動によりロングマット苗Mの先端を上記?取り口に順次移動する苗載台11とを備えてロングマット苗Mを株分け移植するように構成され、上記苗載台11には、繰り出されたロングマット苗Mの幅寸法を維持するマット苗幅維持手段16を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロングマット苗をロール状に形成した苗ロールをロールホルダで苗載台上に繰出し可能に保持し、苗載台の横移動によりロングマット苗を植付用の?取り口まで順次移動して移植走行する苗ロール装填型苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の苗移植機は、所定の幅寸法で長く連続するロングマット苗をロール状に形成した苗ロールをロールホルダで苗載台上に繰出し可能に保持し、この苗載台が植付用の?取り口を形成した苗受板に到達する位置までそのロングマット苗を繰出しつつ同ロングマット苗の幅寸法に及ぶ範囲の横移動を行い、上記?取り口に臨むロングマット苗からその全幅について植付具が順次株分けして圃場に植付けすることから、苗載台の往復横移動を繰り返すことにより単一のロングマット苗により連続で長行程の移植走行をすることができる。
【0003】
しかしながら、苗ロールのロングマット苗は、不織布等による容易に変形しうる長い帯状の基材によって形成されることから、苗載台の往復横移動の折り返し動作の際に左右に揺すられることによりその両側縁部に圧縮作用を受けて幅寸法が縮小され、また、水耕栽培による苗ロールのロングマット苗が、苗載台の横移動の際に苗受板に擦られつつ植付具による苗の?取りによってその周辺の苗が?取り口に連れ出されてロングマット苗の幅が縮むので、このロングマット苗がその本来の幅寸法の範囲で苗載台によって横移動したときに欠株を生じる事態を招くことがある。
【特許文献1】特開2001−78523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、苗ロールのロングマット苗が苗載台の往復横移動の折り返し動作で左右に揺すられた際の幅寸法の縮小を抑制して欠株なしに移植走行することができる苗ロール装填型苗移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、所定の幅寸法で長く連続するロングマット苗(M)をロール状に形成した苗ロール(R)を繰出し可能に保持するロールホルダ(10)と、そのロングマット苗(M)を付設の苗送り手段によって植付用の?取り口を形成した苗受板(14)に到達する位置まで繰出しつつその幅寸法に及ぶ範囲の往復横移動によりロングマット苗(M)の先端を上記?取り口に順次移動する苗載台(11)とを備えてロングマット苗(M)を株分け移植する苗ロール装填型苗移植機において、上記苗載台(11)には、繰り出されたロングマット苗(M)の幅寸法を維持するマット苗幅維持手段を設けたことを特徴とする。
【0006】
上記苗ロールはロールホルダに繰出し可能に保持され、そのロングマット苗は苗載台により植付用の?取り口を形成した苗受板に到達する位置まで繰出されるとともに、ロングマット苗の本来の幅寸法に及ぶ範囲の往復横移動によりロングマット苗の先端が上記?取り口に順次移動されることによりロングマット苗が株分け移植され、この時、マット苗幅維持手段によりその幅寸法が維持される。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記苗幅維持手段は、苗受板(14)の直前位置でロングマット苗(M)の幅中央位置を苗載台(11)の底板(11b)より高く支持する案内支持材(16a)により形成したことを特徴とする。
上記案内支持材により、ロングマット苗が幅中央位置を高くスライド可能に支持されることから、その両外側に延ばされつつ苗受板まで送られる。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1の構成において、前記苗幅維持手段は、苗受板(14)の直前位置でロングマット苗(M)の幅中央位置を苗載台(11)の底板(11b)より高く持ち上げるように苗載台(11)の底板(11b)から一部を突出して回転可能な回転体(21)を設けてなることを特徴とする。
上記回転体により、ロングマット苗が幅中央位置を高く上昇されて左右に延ばされる。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1の構成において、前記苗幅維持手段は、前記苗送り手段としての左右の苗送りベルト(23,23)を設け、両者をハの字状に先を開いて配置してなることを特徴とする。
上記左右の苗送りベルトにより、苗載台に沿ってロングマット苗が下降すると左右の苗送りベルトの移送力によって左右に拡開される。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1の構成において、前記苗幅維持手段は、前記苗送り手段としての並列配置の左右の苗送りベルト(24,24)を設け、それぞれの表面にロングマット苗(M)の左右外側部と接触して移送動作によってそれぞれの外側方向に作用する突起(24a,24a)を形成してなることを特徴とする。
上記突起を形成した左右の苗送りベルトにより、ロングマット苗はその左右外側部がベルト表面の突起によって移送されつつそれぞれの外側方向に作用を受ける。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1の構成において、前記苗幅維持手段は、ロングマット苗(M)を外側部ほど移送下手側で押さえる苗押さえ(25)を設けてなることを特徴とする。
上記苗押さえにより、ロングマット苗はまず苗押さえの幅中央位置に接触し、移送に連れて押さえ位置が外側部に移動してロングマット苗の幅中央から左右外側へ広げられるように作用を受ける。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の構成により、上記苗ロール装填型苗移植機は、マット苗幅維持手段によりロングマット苗の幅方向の縮みが抑えられて本来の幅寸法が維持されつつ植付用の?取り口を形成した苗受板に到達することから、ロングマット苗の本来の幅寸法に及ぶ範囲の横移動によりその全幅について順次株分けされ、欠株を生じることなく長行程の移植走行をすることができる。
【0013】
請求項2の案内支持材、請求項3の回転体、請求項4の左右の苗送りベルト、請求項5の左右の苗送りベルトの突起、請求項6の苗押さえにより、簡易な構成で苗幅維持手段を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の一実施例である苗移植機の側面図を図1に示す。
この苗移植機1は、左右の操舵輪2、2と左右の後輪3、3とにより4輪駆動可能に走行支持される機体について、ステアリングハンドル4a等を有する機体操縦用のステアリングポスト4と、このステアリングポスト4に臨む運転席4bが配置され、この運転席4bの下側に苗移植機の各部に動力を供給するエンジン5が搭載され、これらステアリングポスト4および運転席4bの基部にステップフロア6を設け、その後端部は後輪3のフェンダーカバーを兼ねる。また、機体後部には、苗ロールRを装着することによりそのロングマット苗を機体走行と連動して植付け走行する植付部7を平行リンク機構7aを介して昇降可能に設ける。なお、本明細書では苗移植機1の前進側を向いて左方向、右方向をそれぞれ左側、右側という。
【0015】
植付部7は、その拡大側面図を図2に示すように、エンジン5から動力を受ける伝動ケース7bを中心に構成され、ロングマット苗をロール状に形成した苗ロールRの巻取芯Cを両外側から保持するロールホルダ10を備えてそのロングマット苗を案内移送する植付条数分の傾斜路からなる苗載台11、所定の周回軌跡Tに沿って一株分の苗を?取って土中に植込む植付装置12、圃場の苗植付面を整地するフロート13等から構成される。
【0016】
苗ロールRは、苗載台11の案内幅に適合する幅寸法でその案内長さより長く連続するロングマット苗Mを巻取芯Cに巻き付けてロール状に形成したものである。ロールホルダ10は、苗ロールRのロングマット苗Mを繰出し可能に苗載台11に保持し、同苗載台11に対して着脱可能に構成する。
【0017】
苗載台11は、ロングマット苗Mを傾斜路に沿って移送する苗送りベルト15による苗送り手段を備えるとともに後述のマット苗幅維持手段を付設し、その下端にはロングマット苗Mの先端を受ける?取り口付きの苗受板14を備え、この苗受板14まで苗ロールRのロングマット苗Mを案内する。この苗載台11を横移動可能に構成し、苗ロールRの幅寸法と等しい範囲で機体幅方向に往復駆動することにより、苗受板14の不図示の?取り口から植付装置12がロングマット苗Mの全幅について順次株分け可能に構成する。
【0018】
マット苗幅維持手段は、苗載台11に繰り出されて苗受板14まで移送されるロングマット苗Mの幅寸法を維持するためのものである。その具体的な構成を6条植えの苗載台11について適用した苗載台の側面図、その要部A矢視図、要部B矢視図(a〜c)を図3に示す。
【0019】
苗載台11の傾斜路は、各条についてロングマット苗Mをスライド可能に支持する底板11bとその両側に立ち上がってマット苗を案内する左右の仕切部11s、11sとから構成する。傾斜路には、苗受板14の近傍にロングマット苗Mを移送する左右の苗送りベルト15、15を設ける。
【0020】
マット苗幅維持手段は、苗受板14の直前位置に断面が山形に盛り上がってその両側に形成される傾斜面によりロングマット苗Mをスライド可能に支持する案内支持材16aによって形成する。この案内支持材16aの入口側は、ロングマット苗Mをスムーズに案内するために、苗載台11の傾斜路を進むに連れてその幅中央位置で底板11bから次第に高まる形状に構成する。
【0021】
このように上記案内支持材16aによってマット苗幅維持手段を構成することにより、ロングマット苗Mが苗受板14まで送られる際にその幅中央から山形の傾斜面に沿って左右に開くように延ばされることから苗受板14の位置では当初のロングマット苗Mの幅寸法が維持されるので、植付装置12によってロングマット苗Mの全幅について順次株分けされ、欠株を生じることなく植付けすることができる。
【0022】
この場合において、上記マット苗幅維持手段16aに代えて伝動機構の部品交換によって苗載台の横移動量を苗ロールのロングマット苗の縮小幅に合わせることが可能であるが、一般の個別補充用の箱形マット苗と共用できないという問題があり、これに対して上述の如くのマット苗幅維持手段16aを設けることにより、両タイプのマット苗を圃場により使い分けて苗移植機の機動的な運用が可能となる。
【0023】
(別構成例)
次に、別構成のマット苗幅維持手段について説明する。
マット苗幅維持手段は、苗載台の第1の別構成例について、要部拡大による側面図、そのA、B矢視図(a〜c)を図4に示すように、苗載台11の傾斜路を通過するロングマット苗Mの中央を持ち上げるように植付条別に底板11bから一部を突出して回転可能な回転体21とその両側位置でロングマット苗Mの両側を移送する左右の苗送りベルト15、15を設けて構成する。これら左右の苗送りベルト15、15の表面には、ロングマット苗Mの底面を滑ることなく捉える複数の突起15a…を形成し、これら複数の突起15a…はロングマット苗Mを両側に広げるようにハの字状に配列して構成する。
【0024】
上記構成により、苗載台11の傾斜路に沿ってロングマット苗Mが下降すると左右の苗送りベルト15、15の複数の突起15a…に捉えられつつ中央部がリフトローラ21によりその高さまで上昇されて左右にロングマット苗Mが延ばされることから、苗受板14位置では当初のマット苗幅が維持される。
【0025】
また、マット苗幅維持手段は、苗載台の第2の別構成例について、要部斜視図、側面図、その要部A矢視図(a〜c)を図5に示すように、左右の苗送りベルト15、15の下方で苗受板14の直前位置にロングマット苗Mを左右に引っ張るように横方向に動く左右の横送りベルト22,22を設けて構成する。これら左右の横送りベルト22,22は、左右の苗送りベルト15、15からベベルギヤ等による伝動系22tを介してローラー軸間を連結し、連動動作可能に構成する。
【0026】
上記構成により、苗載台11の傾斜路に沿ってロングマット苗Mが下降すると左右の横送りベルト22,22を横切る際にロングマット苗Mが左右に引っ張られることから苗受板14位置では当初のマット苗幅が維持される。
【0027】
また、マット苗幅維持手段は、苗載台の第3の別構成例について、側面図、そのA矢視図(a、b)を図6に示すように、苗載台11の下部において、ロングマット苗Mを拡開しつつ移送するように左右の苗送りベルト23,23をハの字状に先を開いて配置して構成する。
【0028】
上記構成により、苗載台11に沿ってロングマット苗Mが下降すると左右の苗送りベルト23,23の移送力によって左右に拡開されることから苗受板14位置では当初のマット苗幅が維持される。
【0029】
また、マット苗幅維持手段は、苗載台の第4の別構成例について、側面図、その要部A矢視図、要部斜視図(a〜c)を図7に示すように、苗載台11の下部において、ロングマット苗Mを移送する所定の突起24a,24bを表面に形成した左右の苗送りベルト24,24を並列して配置する。これら左右の苗送りベルト24,24の突起24a,24bは、ロングマット苗Mの両外側位置で接する突起24a,24aがロングマット苗Mを拡開するように、外側に向けて形成する。
【0030】
上記構成により、苗載台11に沿ってロングマット苗Mが下降すると左右の苗送りベルト24,24の両外側の突起24a,24aにより拡開作用を受けることから苗受板14位置では当初のマット苗幅が維持される。
【0031】
また、マット苗幅維持手段は、苗載台の第5の別構成例について、側面図、その要部A矢視図(a、b)を図8に示すように、苗載台11の傾斜路下部において、苗受板14の直前位置にロングマット苗Mを外側部ほど移送下手側で押さえる苗押さえ25を設けることによりマット苗幅維持手段を構成する。この苗押さえ25により、ロングマット苗Mはまず苗押さえ25の幅中央位置に接触し、移送に連れて押さえ位置が外側部に移動することから、ロングマット苗Mはその幅中央から左右外側へ広げられるように作用を受けて当初のマット苗幅が維持される。
【0032】
(装着作業補助)
次に、苗ロール装着作業補助に関する苗載台のロールホルダの構成について説明する。
苗移植機の植付け作業において、苗載台11に新たな苗ロールRを装着する際は、従来は、苗ロールRの巻取り中心に合うように片手でロールホルダ10を保持しつつ他方の手で凡そ10kgの重量の苗ロールRを装着するという作業負担を強いられていたことから、その負担軽減のために苗ロールRの装着のためにロールホルダの一時支持装置を苗載台に設けたものである。
【0033】
その具体的な構成は、苗載台の第6の別構成例として、装着前状態の側面図とその要部A矢視図(a、b)を図9に示すように、苗載台11に対して回動可能にロールホルダ10の支軸10bを支持し、その回動操作のためのハンドル10hを設けるとともに、苗載台11に連結したばね鋼製のフック31を受けてロールホルダ10を所定高さに保持するアーム10aを設ける。
【0034】
苗ロールRの装着の際は、使用状態の側面図を同図(c)に示すように、ハンドル10hの操作によってロールホルダ10を上方に回動し、フック31をアーム10aに掛止することによってロールホルダ10が苗ロールRの装着高さ位置に浮いたように掛止保持される。この状態で苗ロールRをロールホルダ10の装着口10rに容易に装着することができる。
【0035】
(苗送り補正)
次に、ロングマット苗Mの終端部の苗送りのためのロールホルダ移動装置について説明する。
ロールホルダ移動装置32は、苗載台の第7の別構成例として、移動動作の前後を2条に併記した斜視図を図10に示すように、ロールホルダに移動装置32を設ける。すなわち、ロールホルダ10の基部に延長部32sを連結し、この延長部32sを上段と下段の2ポジションに選択保持可能な左右のポジションガイド32p、32pを苗載台11に設け、そのシフト操作のための握り32hを延長部32sに取付けて構成する。
【0036】
通常時は、苗ロールRの装着時を含め、図の右条側のように、延長部32sを上段位置として使用する。苗ロールRからロングマット苗Mが終端まで繰り出されてロングマット苗Mの巻き部分が無くなった場合は、それまで苗ロールRに巻き付いていたロングマット苗Mが苗ロールRから切り離されて同苗ロールRによる苗押さえ作用が無くなることから、植付け性能に支障を来たさないように、図の左条側のように、握り32hを持って延長部32sを下段位置に移動操作することにより、ロールホルダ10をワンタッチで延長するように移動できる。したがって、特段の押さえ手段を要することなく、塩ビパイプ等によって構成した巻取芯Cによって残りのロングマット苗Mの苗押さえを兼用することができる。
【0037】
また、ロールホルダ移動装置は、苗載台の第8の別構成例として、側面図、その要部A矢視図、要部拡大図(a〜c)を図11に示すように、ロールホルダ10の支軸10bの取付穴を長穴に形成した左右の支持ガイド33g、33gと、その長穴の範囲でロールホルダ10を移動する高さ調節レバー33hにポジションホルダ33pを備えて好きな位置で止められるように構成する。
【0038】
上記ロールホルダの移動装置33は、ロールホルダ10の高さを下げることにより、苗ロールRのロングマット苗Mが減って巻取芯Cから離れた後も、苗を苗送りベルトに押し付けられることから、苗を押さえる力が無くなって移送ベルトによる苗送りが不完全となる事態を回避することができる。
【0039】
(ロールホルダ支持部)
次に、ロールホルダを苗載台に取付けるための支持部について説明する。
苗載台の第9の別構成例として、側面図、そのA矢視図、要部拡大図(a〜c)を図12に示すように、苗載台11には、ロールホルダ10の支軸10bを傾斜に沿って所定位置まで案内する左右の案内支持材34,34を設ける。これら案内支持材34,34により、少々横にずれて差し込んでも、ロールホルダ10を各条の中心位置に装着することができる。
【0040】
また、苗載台の第10の別構成例(6条植え)として、側面図、そのA矢視図(a、b)を図13に示すように、苗載台11には、隣接するロールホルダ10の支軸10bをずらして受ける左右の支持材35,35を設ける。条間30cm仕様では、苗タンクフェンスとなる仕切部11sの幅が20mmしかないので、従来のものは隣接のロールホルダ10の支軸10bが干渉しないように、引っ掛ける位置が薄く限られて作業が困難であったが、上記支持材35,35により、隣接のロールホルダ10の支軸10bの出っ張りを大きくとっても干渉しないので、ゆとりをもって装着操作することができる。
【0041】
この場合において、苗載台11には、隣接するロールホルダ10の支軸10bをずらし、かつ、機体の左右対称に構成する。このように構成することにより、機体の左右のバランスを均一にすることができる。
【0042】
また、通常の箱形マット苗は、苗が減っても苗送りベルトへの面圧は変わらないが、苗ロールによる苗供給については、苗送りベルトの一線上に苗ロールの荷重が掛かり、苗を掻き取って残りの苗ロールが小さくなるほど軽くなることから、苗が減るほど面圧が減ることとなり、苗送り力が減って送り量が減ってしまう可能性があった。
【0043】
その解決のために、苗載台の第11の別構成例として、側面図とそのA矢視図(a、b)を図14に示すように、苗載台11に磁石41を取付け、ロールホルダ10の苗ロール側が下がるほど、磁石41に引っ張られて苗移送ベルト15,15側に苗を押し付ける荷重を増やすように構成する。
【0044】
同様に、苗ロールRを苗送りベルト15,15へ押し付けるような方向にスプリングで引っ張るようにし、そのスプリングの力を苗ロールがまだ大きいうちは弱く、苗ロールを使っていって小さくなって苗ロールRの荷重が減るほどスプリングの力を強くなるようにして、苗の残り重量が変化しても、常に移送ベルトへの押し付け荷重が変わらないように構成する。
上記のように構成することにより、苗の残り量に関係なく、一定の送り量が確保できる。
【0045】
(苗ロールの取扱い)
次に、苗ロールのセット作業について説明すると、苗ロールRをロールホルダ10にセットする作業においては、苗ロールRは大きくて又重たく持ち運びがしにくいので、植付け途中でロングマット苗Mが無くなった場合に苗ロールRを苗載台11まで運ぶのが大変であった。
【0046】
上記問題を解決するために、苗載台の第12の別構成例についての側面図とそのA矢視図(a、b)を図15示すように、植付部の前部に補助苗ロールRをセットしておくための苗ロール受け57を苗載台11上部に設ける。この苗ロール受け57により、苗載台11のロングマット苗が無くなっても直ぐに交換することができる。
【0047】
また、苗ロールRのセット作業に際しては、苗ロール置場53の苗ロールRを苗載台11上のロールホルダ10に直接に装着することができないので一旦どこかに置く必要があり、従来はそのための場所が無いので畦畔側でやらざるを得なかった。
【0048】
この問題を解決するために、苗移植機の別構成例の要部斜視図を図16に示すように、走行本体部の前部には平板51にポール52…を起立して苗ロールRの2段積みが可能な苗ロール置場(苗ロール置きポール)53を設け、苗載台11には苗ロール置台54を設け、また、植付部7を回り込むようにラウンドステップ56を設ける。
【0049】
苗ロール置台54は施肥タンク55後方で苗ロールR使用時には空きスペースとなる苗載台11の上部1/3の部分に設ける。ラウンドステップ56は、苗移植機の別構成例の正面図、側面図、平面図(a〜c)を図17に示すように、植付部7の最後部とその周辺に及ぶ歩行用のステップであり、植付部7の後方のリヤステップ56rと走行本体部のステップ6とを機体側方の通路ステップ56sで結んで構成する。
【0050】
上記苗ロール置台54により、苗補給時期に達したら、オペレータは、ラウンドステップ56に降りる前に、苗ロール置場53にある苗ロールRを苗載台11上の苗ロール置台54に全条分を一旦置き、その後、ラウンドステップ56に降りて塩ビパイプ等による巻取芯を外し、苗載台11の苗ロールRを取出してロールホルダ10に取付けることができる。
【0051】
また、苗ロールRのセット作業に際し、オペレータ席から苗ロールRをロールホルダ10にセットすることができず植付部7からに限られており、その場合でも圃場の中に降りてやるのは困難であったが、植付部7の最後部にラウンドステップ56を設けたので、圃場の中で苗補給する際は、上記ラウンドステップ56を使用することにより、圃場に降りずに苗ロールRをロールホルダ10にセットすることができる。
【0052】
また、圃場の途中で苗ロールRをセットし直す場合は、植付部7の後方からしか苗ロールRを苗載台11に載せることができないので、オペレータが圃場の中に降りなければならなかったが、上記ラウンドステップ56により、圃場に降りずに靴に泥が付かないで苗ロールRをセットし直すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】苗移植機の側面図である。
【図2】植付部の拡大側面図である。
【図3】苗載台の構成例の側面図とその要部A、B矢視図(a〜c)である。
【図4】別構成例1の要部拡大による側面図、そのA、B矢視図(a〜c)である。
【図5】別構成例2の要部斜視図、側面図、その要部A矢視図(a〜c)である。
【図6】別構成例3の側面図とそのA矢視図(a、b)である。
【図7】別構成例4の側面図、その要部A矢視図、要部斜視図(a〜c)である。
【図8】別構成例5の側面図とそのA矢視図(a、b)である。
【図9】別構成例6の側面図、そのA矢視図、使用状態の側面図(a〜c)である。
【図10】別構成例7の動作前後を2条に併記した斜視図である。
【図11】別構成例8の側面図、そのA矢視図、要部拡大図(a〜c)である。
【図12】別構成例9の側面図とそのA矢視図(a、b)である。
【図13】別構成例10の側面図とそのA矢視図(a、b)である。
【図14】別構成例11の側面図とそのA矢視図(a、b)である。
【図15】別構成例12の側面図とそのA矢視図(a、b)である。
【図16】苗移植機の別構成例の要部斜視図である。
【図17】苗移植機の別構成例の正面図、側面図、平面図(a〜c)である。
【符号の説明】
【0054】
1 苗移植機
7 植付部
10 ロールホルダ
11 苗載台
11s 仕切部
11b 底板
12 植付装置
14 苗受板
15 苗送りベルト
15a 突起
16a 案内支持材(マット苗幅維持手段)
21 回転体(マット苗幅維持手段)
22 横送りベルト(マット苗幅維持手段)
23 苗送りベルト(マット苗幅維持手段)
24 苗送りベルト
24a 突起(マット苗幅維持手段)
25 苗押さえ(マット苗幅維持手段)
C 巻取芯
M ロングマット苗
R 苗ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の幅寸法で長く連続するロングマット苗(M)をロール状に形成した苗ロール(R)を繰出し可能に保持するロールホルダ(10)と、そのロングマット苗(M)を付設の苗送り手段によって植付用の?取り口を形成した苗受板(14)に到達する位置まで繰出しつつその幅寸法に及ぶ範囲の往復横移動によりロングマット苗(M)の先端を上記?取り口に順次移動する苗載台(11)とを備えてロングマット苗(M)を株分け移植する苗ロール装填型苗移植機において、
上記苗載台(11)には、繰り出されたロングマット苗(M)の幅寸法を維持するマット苗幅維持手段を設けたことを特徴とする苗ロール装填型苗移植機。
【請求項2】
前記苗幅維持手段は、苗受板(14)の直前位置でロングマット苗(M)の幅中央位置を苗載台(11)の底板(11b)より高く支持する案内支持材(16a)により形成したことを特徴とする請求項1記載の苗ロール装填型苗移植機。
【請求項3】
前記苗幅維持手段は、苗受板(14)の直前位置でロングマット苗(M)の幅中央位置を苗載台(11)の底板(11b)より高く持ち上げるように苗載台(11)の底板(11b)から一部を突出して回転可能な回転体(21)を設けてなることを特徴とする請求項1記載の苗ロール装填型苗移植機。
【請求項4】
前記苗幅維持手段は、前記苗送り手段としての左右の苗送りベルト(23,23)を設け、両者をハの字状に先を開いて配置してなることを特徴とする請求項1記載の苗ロール装填型苗移植機。
【請求項5】
前記苗幅維持手段は、前記苗送り手段としての並列配置の左右の苗送りベルト(24,24)を設け、それぞれの表面にロングマット苗(M)の左右外側部と接触して移送動作によってそれぞれの外側方向に作用する突起(24a,24a)を形成してなることを特徴とする請求項1記載の苗ロール装填型苗移植機。
【請求項6】
前記苗幅維持手段は、ロングマット苗(M)を外側部ほど移送下手側で押さえる苗押さえ(25)を設けてなることを特徴とする請求項1記載の苗ロール装填型苗移植機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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