説明

苗植機

【課題】 本発明は、苗植付け体を上下動機構により所定の作動軌跡で上下動させて圃場に苗を植え付ける苗植付装置と、苗植付装置に苗を供給する苗供給装置を設け、苗供給装置には、苗を上方から受け入れて内側に収容する複数の苗収容体と、苗収容体を苗植付け体の上方を通過するように周回移動させる移動機構と、苗植付け体の上方位置で苗収容体の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて苗植付け体に苗を供給する開放機構を設けた苗植機において、苗を苗植付け体内に円滑に案内できるようにすることを課題とする。
【解決手段】 苗植機において、苗収容体(22)内の下端の苗落下孔(22b)を偏心させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗植機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体の左右傾斜を水平センサで検出して機体を左右方向で水平になるように制御して苗植付作業を行なう苗植機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−46661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、苗植付け体を上下動機構により所定の作動軌跡で上下動させて圃場に苗を植え付ける苗植付装置と、苗植付装置に苗を供給する苗供給装置を設け、苗供給装置には、苗を上方から受け入れて内側に収容する複数の苗収容体と、苗収容体を苗植付け体の上方を通過するように周回移動させる移動機構と、苗植付け体の上方位置で苗収容体の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて苗植付け体に苗を供給する開放機構を設けた苗植機において、苗を苗植付け体内に円滑に案内できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、苗植付け体(20)を上下動機構(21)により所定の作動軌跡で上下動させて圃場に苗を植え付ける苗植付装置(5)と、苗植付装置(5)に苗を供給する苗供給装置(6)を設け、苗供給装置(6)には、苗を上方から受け入れて内側に収容する複数の苗収容体(22)と、苗収容体(22)を苗植付け体(20)の上方を通過するように周回移動させる移動機構(23)と、苗植付け体(20)の上方位置で苗収容体(22)の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて苗植付け体(20)に苗を供給する開放機構(24)を設け、苗収容体(22)内の下端の苗落下孔(22b)を偏心させた苗植機としたものである
【発明の効果】
【0006】
よって、苗を苗植付け体20内に円滑に案内できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】苗植機の全体側面図である。
【図2】苗植機の全体平面図である。
【図3】底蓋の突起を示す図である。
【図4】底蓋の突起と支持軸との関係を示す図である。
【図5】覆土鎮圧輪の支持構成を示す要部の作用説明用平面図である。
【図6】覆土鎮圧輪の支持構成を示す要部の作用説明用側面図である。
【図7】苗収容体部の他の例を示す作用説明用一部断面側面図である。
【図8】覆土鎮圧輪の他の支持構成を示す要部の作用説明用平面図である。
【図9】苗植機の他の例を示す全体側面図である。
【図10】苗植付け体の高さ調節部を示す作用説明用側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の実施の一形態の苗植機1を以下に説明する。尚、以下の説明では、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン3を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
【0009】
この苗植機は、機体を前進走行可能とする走行車体4と、該走行車体4の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル2と、圃場に苗を植付ける苗植付装置5と、該苗植付装置5に苗を供給する苗供給装置6を備えている。
【0010】
走行車体は、図示例では、エンジン3と、該エンジン3の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の駆動車輪である後輪7と、該後輪7の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪8とを備えている。
【0011】
エンジン3の後側にはミッションケース9を配置し、そのミッションケース9は、その左側部からエンジン3の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン3の左側部と連結している。このケース部分にエンジン3の出力軸が入り込んでミッションケース9内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。ミッションケース9の左右両側部には、前後に長い走行用の左右伝動ケース10の前部を回動自在に取り付けている。具体的には、走行用の伝動ケース10の前部の機体内側部に、該伝動ケース10と一体回転可能に設けたアクスルケース11を設け、このアクスルケース11をミッションケース9の左右両側部に回動自在に取付けて、走行用の左右伝動ケース10をミッションケース9の左右両側部に対して各々回動自在に取付けている。そして、この走行用の伝動ケース10の後部側方に突出させた車軸12に後輪7を装着している。伝動ケース10の前部の回動軸心位置には、ミッションケース9から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース9内の走行部系変速伝動部を経た走行用の動力が伝動ケース10内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース10内の伝動機構を介して、伝動ケース10の後端側の車軸12に伝動し、後輪7が駆動回転するようになっている。
【0012】
尚、ミッションケース9内に設けた左右それぞれのサイドクラッチ(図示せず)により、左右各々の後輪7の駆動を断つことができる構成になっている。従って、機体を旋回させるときには、前記サイドクラッチにより旋回内側となる左右一方の後輪7を非駆動状態にしてスム−ズに旋回できるようになっている。
【0013】
また、走行用の伝動ケース10には、該伝動ケース10の前部側を回動支点として後輪7を上下させるよう上下回動する駆動手段が連結している。具体的には、伝動ケース10のミッションケース9への取付部には、上方に延びるアーム13を一体的に取り付けていて、これがミッションケース9に固定された昇降用油圧シリンダA(図示せず)のピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に応じて伸縮作動可能な左右傾斜制御用油圧シリンダB(図示せず)で連結している。
【0014】
昇降用油圧シリンダAが作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記アーム13は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダAのピストンロッドが機体前方に移動してシリンダ内に引っ込むと、左右の前記アーム13は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が上方に回動して、機体が下降する。この昇降用油圧シリンダAは、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動にともなって動作するセンサー14によって作動する。センサー14の動作は機体に対する畝上面高さを検出する動作となり、そのセンサー14の検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう昇降用油圧シリンダAが作動するよう構成している。また、操縦ハンドル2近傍に配置した植付・昇降操作具15の人為操作によって機体を手動上昇或は下降させるよう昇降用油圧シリンダAが作動する構成ともしている。尚、この植付・昇降操作具15は、苗植付装置5及び苗供給装置6の駆動の入切も行える構成となっている。
【0015】
また、前記左右傾斜制御用油圧シリンダBが伸縮作動すると、その左右傾斜制御用油圧シリンダBと連結する左側のアーム13が回動して、左側の後輪7のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。この左右傾斜制御用油圧シリンダBは、後述の畝面の左右傾斜を検出する左右傾斜センサCの検出結果に基づいて機体を畝面の左右傾斜に平行になるように作動する構成している。
【0016】
前記左右前輪8は、エンジン3下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた横フレーム16の左右両側部に、上下に長い縦フレーム17を取付け、その下端部側方に固着した車軸18に回転自在に取り付けている。従って、左右前輪8は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。横フレーム16の左右両側部に対して縦フレーム17を上下調節可能に設けていて、前輪8の高さ調節をすることができるようになっている。
【0017】
前記操縦ハンドル2は、機体後部に設けていて、後輪7の車軸12より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース9に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けている。機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2aは、作業者がそのグリップ部2aを楽に手で握れるように適宜高さに調節できる構成となっている。なお、図例ではグリップ部2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0018】
尚、上記走行車体4は、接地して駆動回転する走行駆動部を、前後車輪を備えた四輪式の走行駆動部の構成としたものであるが、左右クローラー走行装置を設けたクローラー式の走行駆動部の構成とすることもできる。
【0019】
苗植付装置5は、先端が下方に向かうくちばし状の苗植付け体20と、該苗植付け体20の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに苗植付け体20を上下動させる上下動機構21と、くちばし状の苗植付け体20の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と苗植付け体20の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能する開状態とに苗植付け体20を開閉する開閉機構とを備えている。
【0020】
そして、苗供給装置6は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する複数の苗収容体22と、該苗収容体22を苗植付け体20の上方を通過するように周回移動させる移動機構23と、苗植付け体20の上方位置で苗収容体22の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて苗植付け体20に苗を供給する苗落下供給機構となる開放機構24を備えている。
【0021】
苗植付装置5は、苗植付け体20を左右に略等間隔となる設定間隔で複数体並べて配備した複数条植の構成としている。本例では、苗植付け体20を左右に設定間隔で四体並べて配備した四条植えの構成としている。
【0022】
四体の苗植付け体20は、ミッションケース9から伝動される伝動ケース26の左右両側部に設けた上下動機構21に二体づつ装着している。尚、前記伝動ケース26は、機体フレーム19に下部を固定した取付部材25の上部に固着されている。前記上下動機構21は、伝動ケース26に対して前部を上下回動自在に装着し後部を苗植付け体20に連結した上側と下側の昇降リンクを備えている。そして、別途設けた駆動機構により伝動ケース26内からの動力で上下の昇降リンクを上下動させ、左右の苗植付け体20が上下動する構成となっている。そして、上昇位置では苗植付け体20の下端部が圃場面より上方に位置し、下降位置では苗植付け体20の下端部が圃場面より下方に位置する。苗植付け体20の開閉機構は、伝動ケース26内からの動力で作動し、上下動機構21の作動に連動して、苗植付け体20が下降下端位置に達すると該苗植付け体20の下部側を左右に開いて下方に開放状態とし、苗植付け体20が上昇上端位置に達すると該苗植付け体20の下部側を閉じて閉塞状態とする構成である。
【0023】
四体の苗植付け体20のうち、左右外側の苗植付け体20は左右内側の苗植付け体20より後側に位置している。また、左右の上下動機構21は、180度位相を異ならせて作動する構成となっており、左右一方の外側の苗植付け体20と左右他方の内側の苗植付け体20とが圃場において同じ前後位置に苗を植付けるようにしている。従って、この苗植機は、千鳥状に4条の苗を植付ける構成となっている。
【0024】
苗供給装置6は、上下に開口する筒状体と該筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋27とを有し互いにループ状に連結する複数の苗収容体22と、該苗収容体22を前記苗植付け体20の上方近傍を通過する状態で機体平面視左右に長い長円形状のループ状の軌跡で左回りに周回動させる移動機構23と、前記苗収容体22の底蓋27を苗植付け体20の上方位置で開放する開放機構24を設けた構成である。この苗供給装置6は、前記苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、該円筒外周部に外側から回動自在に係合する係合部(丸孔)を有して二つの苗収容体22を連結する連結体を複数設け、該連結体の係合部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に係合し該円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。即ち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンのように連結した構成である。これにより、苗収容体22は、直線的に移動する部分28でも円弧状に移動する部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から苗植付け体20に苗を供給する個所で苗収容体22が苗植付け体20に対して位置ズレが生じにくくなり苗供給が適正に行われて適確な苗の移植ができる。苗収容体22の個数と周回動する範囲を設定したうえで、苗収容体22の上側開口部を可能な限り広く形成できて、機体のコンパクト化を図りつつ苗収容体22への苗補給作業をできるだけ容易に行えるものとなる。
【0025】
苗供給装置6の移動機構23は、無端チェーンのように互いに連結する苗収容体22を左右に設けた移動機構としてのスプロケット23の外周の円弧状切欠部に係合させて巻き掛け、この左右のスプロケット23を伝動ケース26内から取り出した動力で駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
【0026】
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分とスプロケット23により前記直線状部分28から前側又は後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の後輪7より機体内側に配置している。また、苗植付け体20は、後輪7の車軸12位置より後側に配置している。
【0027】
苗供給装置6の開放機構24は、苗収容体22の周回軌跡下方で底蓋27が下方に回動しないように底蓋27を下方から支持する支持体30を設け、この支持体30を苗植付け体20の上方位置には設けないようにすることで、苗植付け体20の上方位置を苗収容体22が通過するとき、底蓋27が支持体30による支持状態が解かれて下方回動し苗収容体22内の苗が下方に落下可能になるように開放する構成としている。苗収容体22の底蓋27が開くタイミングは、苗植付け体20が苗収容体22の直下まで上昇したときとなるように調整しておく。また、上記構成に代えて、苗植付け体20が苗収容体22の直下まで上昇したときに、苗植付け体20に設けた開放作動部材が、苗植付け体20の上方に位置する苗収容体22の底蓋27が開くのを規制する規制手段を規制解除動作させる構成も採用できる。
【0028】
苗供給装置6は、四体の苗植付け体20に対して苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
このように四体の苗植付け体20に対して苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成とした場合は、各々の苗植付け体20に対応して落下供給する苗を収容する苗収容体22を各別に設けて、この各別の苗収容体22を各々1個づつ備えて周回移動経路で隣接させた4個の苗収容体22からなる苗収容ユニットを構成し(図3・図4に示すように、落下供給位置31で苗収容体22の符号3を記した底蓋27が開き、落下供給位置32で苗収容体22の符号1を記した底蓋27が開き、落下供給位置33で苗収容体22の符号2を記した底蓋27が開き、落下供給位置34で苗収容体22の符号4を記した底蓋27が開く構成となっており、この符号1乃至4を記した底蓋27を有する4個の苗収容体22が1つの苗収容ユニットを構成し、該苗収容ユニットが連続して設けられて周回移動するループ状の苗収容ユニットが形成されている)、移動機構23により前記苗収容ユニットを同一の周回移動経路で複数組(6組)周回移動させる構成とし、計24個の苗収容体22を周回移動させる。
【0029】
従って、四体の苗植付け体20に対応する4箇所の落下供給位置31,32,33,34を、苗収容体22の同一の周回移動経路上に設定している。
また、左右一方側の二体の苗植付け体20が上下動機構21により上死点位置まで上動したとき、該苗植付け体20に落下供給する各々の苗収容体22が対応する落下供給位置に同時に到達する構成となっており、これから上下動機構21が半周期作動して左右他方側の二体の苗植付け体20が上死点位置まで上動したとき、該苗植付け体20に落下供給する各々の苗収容体22が対応する落下供給位置に同時に到達する構成となっている。
【0030】
尚、厳密には、苗植付け体20が上死点位置に到達する手前のタイミングで苗収容体22の底蓋27が開き始め、苗植付け体20が上死点位置に到達したときには前記底蓋27が確実に開いた状態となるよう設定しており、苗植付け体20への苗供給が適確に行われるようにしている。従って、苗植付装置5の上下動機構21の作動と移動機構23による苗収容ユニットの移動とは同じ周期で行われ、この半周期の作動で苗収容体22がその配列の2ピッチ分移動する構成となっている。
【0031】
これにより、苗収容体22が4箇所の落下供給位置31,32,33,34を直列的に通過しながら四体の苗植付け体20に対して苗供給漏れが生じることなく苗を供給でき、且つ4箇所の落下供給位置31,32,33,34を通過した後に苗が供給されなかった苗収容体22が生じないよう余すことなく苗植付け体20に対して苗を供給できるものとなり、苗供給作業が余裕をもって行え、且つ四体の苗植付け体20に対して確実に苗を供給できる。
【0032】
また、少なくとも、苗収容体22の周回移動方向下手側の苗植付け体20に落下供給する苗収容体22が、苗収容体22の周回移動方向上手側の苗植付け体20の上方を通過するときは、その苗収容体22については開放動作されないようにする開放機構24を設けている。
【0033】
この開放機構24について説明すると、苗収容体22の底蓋27に突起35を設け、この突起35を当該苗収容体22の落下供給位置32,33,34より周回移動方向上手側の落下供給位置31,32,33を通過するときに下方から支持する支持軸30を設けている。尚、前記底蓋27は、周回移動方向下手側の回動支点軸回りに回動して周回移動方向上手側から開く構成となっている。
【0034】
具体的には、図3に示すように、各々の落下供給位置31,32,33,34に対応する苗収容体22ごとに底蓋27の突起35の形状を異ならせており、この突起35は、苗収容体22の周回外側に短く突出するもの、苗収容体22の周回内側に短く突出するもの、苗収容体22の周回内側に長く突出するもの及び苗収容体22の周回外側に長く突出するものの4種類を落下供給位置31,32,33,34に対応して設定している。
【0035】
一方、支持軸30は、苗収容体22の周回移動経路に沿って延び、底蓋27の突起35の種類に対応して該突起35を支持するべく、苗収容体22の周回内側から外側まで位置を異ならせた4種類のもので構成される。
【0036】
従って、周回移動方向上手側(左側)から順に第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34と定義すると、第一の落下供給位置31では周回内側から3番目の支持軸30を欠如させ、第二の落下供給位置32では周回内側から2番目の支持軸30を欠如させ、第三の落下供給位置33では周回内側から1番目の支持軸30を欠如させ、第四の落下供給位置34では周回内側から4番目の支持軸30を欠如させている。尚、周回内側から3番目の支持軸30は第四の落下供給位置34でも欠如し、周回内側から2番目の支持軸30は第三の落下供給位置33でも欠如し、第三及び第四の落下供給位置33,34で前記2及び3番目の支持軸30が当該落下供給位置33,34で開くべき底蓋27の開放の支障にならないようにしている。
【0037】
尚、周回移動経路の前側の直線状部分28等、苗補給のために全ての底蓋27を閉じておく必要がある区域では、1乃至4番目の支持軸30を全て配置してもよいが、底蓋27の中央付近を支持する共通の支持軸30aを設けた構成とすれば、構成が簡単になる。
【0038】
第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34のうち、第二及び第三の落下供給位置32,33は周回移動経路の直線状部分28に位置し、第一及び第四の落下供給位置31,34は周回移動経路の円弧状部分29で第二及び第三の落下供給位置32,33が位置する直線状部分28とは前後反対側(前側)の直線状部分28に近い位置にある。
【0039】
これにより、隣接する落下供給位置31,32,33,34の前記周回移動経路に沿う互いの配列間隔を異ならせると共に、前記互いの配列間隔のうち狭い配列間隔が前記直線状部分28に位置し広い配列間隔の少なくとも一部が前記円弧状部分29に位置するように第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34が設定され、左右方向における第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34の互いの間隔が略同一となるよう設定されている。
【0040】
また、第二乃至第四の落下供給位置32,33,34において対応する苗植付け体20の上方位置で適確に苗を供給できるように、第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34を周回移動経路の左右中央に対して周回移動上手側に若干ずらせて設定している。
【0041】
そのため、第一の落下供給位置31が対応する左端の苗植付け体20の位置に対して若干ずれ、該苗植付け体20へ適確に苗を供給できなくなるおそれがある。
そこで、第一の落下供給位置31にのみ、苗収容体22からの苗を苗植付け体20側へ案内する案内具となる苗シューターを設けている。
【0042】
このように一部の落下供給位置31にのみ苗シューターを設けることで、機体の軽量化及びコストダウンが図れる。この苗シューターは、苗収容体22の周回移動方向(後方)に傾斜して設けられ、周回移動方向上手側から開く底蓋27の開放動作に干渉せず、また底蓋27の回動で周回移動方向上手側に若干傾くが、その傾きと同じ方向に苗シューターが配置されているので、苗を苗シューター上で円滑に案内することができる。
【0043】
また、前記苗シューターは、苗供給装置6側のフレームから支持されており、苗植付装置5側に設けていないので、上下動機構21で上下動させる部分の重量を増大させることなく、苗植付け体20の上下動を円滑に行える。
【0044】
尚、第一の落下供給位置31が対応する左端の苗植付け体20の位置に対して若干ずれ、該苗植付け体20へ適確に苗を供給できなくなるおそれがある為に、上例では苗シューターを設ける例を説明したが、図7に示すように、第一の落下供給位置31に対応する左端の苗植付け体20へ苗を供給する苗収容体22内に下端の苗落下孔22bが偏心した小径スリーブ22aを嵌めて、苗を苗植付け体20内に円滑に案内する構成にしても良い。
【0045】
この苗植機は、苗植付け体20が植付けた苗に対して覆土鎮圧するための覆土鎮圧輪37を各苗植付け体20の苗植付け個所の各後方左右両側近傍位置に設けている。即ち、4つの苗植付け体20に対して左右方向に4組の覆土鎮圧輪37を並べて配置している。
【0046】
この覆土鎮圧輪37は、転動輪である。その構成は、機体に固定された取付部材25にパイプ材38aを固定し、その内部を貫通して回動自在に左右方向の回動支軸38を設けている。そして、最も右側の苗植付け体20に対する覆土鎮圧輪37は、回動支軸38に先端側を固定した右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39aに遊転自在に装着されている。また、他の3つの苗植付け体20に対する覆土鎮圧輪37は、回動支軸38に先端側を回動自在に装着した内覆土鎮圧輪支持フレ−ム39b・39cと左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dに各々遊転自在に装着されている。
【0047】
前記覆土鎮圧輪支持フレ−ム39は、平面視で前側(回動支点軸38側)が開放するようなU字型であり、パイプフレ−ムを適宜折り曲げて構成されている。この覆土鎮圧輪支持フレ−ム39の後端部には各植付条ごとに上下方向に延びるロッド40の下端を連結し、各植付条のロッド40(計4本)の上端を左右に延びるパイプ状の左右フレ−ム41の適宜位置で貫通させ、前後方向のピンで前記左右フレ−ム41に対してロッド40が左右方向に移動しないようにしている。
【0048】
そして、最も右側の苗植付け体20に対する覆土鎮圧輪37を装着した右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39aに固着された回動支軸38の左端部は、左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの左外側部まで延設されて後方に向けて設けた検出部材38cの基部が固着されている。
【0049】
一方、左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dには左外側方に向けて設けた板体39d’の基部が固着してあり、該板体39d’にインナーワイヤの先端を固着し、前記検出部材38cにアウターワイヤの先端を固着して圃場面(畝上面)の左右傾斜を検出するセンサワイヤSが設けられている。
【0050】
即ち、回動支軸38に固着された右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39aと検出部材38cとは上下方向に同じ動きをし、左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dは回動支軸38に回動自在に装着されているので、圃場面(畝上面)に左右傾斜があると検出部材38cと板体39d’との間隔Lが変動し、その変動をセンサワイヤSが検出する。このように、最も右側の苗植付け体20に対する覆土鎮圧輪37と最も左側の苗植付け体20に対する覆土鎮圧輪37を左右傾斜センサCとしての機能を持たせている。
【0051】
そして、センサワイヤSの他端は、前記左右傾斜制御用油圧シリンダBを伸縮作動させるローリング制御バルブに連携されており、例えば圃場面(畝上面)の右側が左側よりも高くなった場合には、右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39aに装着された覆土鎮圧輪37は圃場面(畝上面)に沿って上動するので、右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39aも上動し、回動支軸38を介して検出部材38cも上動回動して検出部材38cと板体39d’との間隔Lが所定値よりも広くなる方向に変動し、その変動にてセンサワイヤSのインナーワイヤが引かれてローリング制御バルブが左右傾斜制御用油圧シリンダBを縮小作動させる方向に切り替えられる。
【0052】
すると、左側の後輪7は上動するために機体は左側が低くなる方向に傾斜する。そして、圃場面(畝上面)に沿った状態まで機体が傾斜すると、検出部材38cと板体39d’との間隔Lが所定値に戻るので、センサワイヤSにてローリング制御バルブは中立になり、左右傾斜制御用油圧シリンダBの作動は停止する。
【0053】
逆に、圃場面(畝上面)の左側が右側よりも高くなった場合には、左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dに装着された覆土鎮圧輪37は圃場面(畝上面)に沿って上動するので、左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dも上動し、板体39d’も上動して検出部材38cと板体39d’との間隔Lが所定値よりも狭くなる方向に変動し、その変動にてセンサワイヤSのインナーワイヤが押されてローリング制御バルブが左右傾斜制御用油圧シリンダBを伸長作動させる方向に切り替えられる。
【0054】
すると、左側の後輪7は下動するために機体は左側が高くなる方向に傾斜する。そして、圃場面(畝上面)に沿った状態まで機体が傾斜すると、検出部材38cと板体39d’との間隔Lが所定値に戻るので、センサワイヤSにてローリング制御バルブは中立になり、左右傾斜制御用油圧シリンダBの作動は停止する。
【0055】
このように、左右両側の覆土鎮圧輪37の高さ変動により圃場面(畝上面)の傾斜を検出して、機体を圃場面(畝上面)の傾斜に沿うように制御する構成にすると、適正な圃場面(畝上面)の傾斜検出が行えて、圃場面(畝上面)に複数条(この実施例では4条)植付ける苗植機でも、圃場面(畝上面)の傾斜状態に応じて各条の植付が適正に行なえ、良好な植付作業が行える。
【0056】
また、左右一端側の覆土鎮圧輪37を装着した右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39aに固着された回動支軸38を他の覆土鎮圧輪37を装着した内覆土鎮圧輪支持フレ−ム39b・39cと左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの回動支軸として利用し、回動支軸38を左右反対側の覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの外側部まで延設して、覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの外側部に傾斜を検出する検出部D(検出部材38c・板体39d’・センサワイヤS)を設けた構成としたので、簡潔な構成で覆土鎮圧輪37を利用した左右傾斜センサCができる。
【0057】
更に、最も外側に位置する覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの外側部に検出部D(検出部材38c・板体39d’・センサワイヤS)を配置しているので、機体側方から該検出部Dの調整やメンテナンスが行なえて作業性が良い。
【0058】
尚、上記の機体に前部を回動自在に支持した左右伝動ケース10の先端部に各々設けた左右駆動車輪7と片方の左伝動ケース10を回動させて片方の左後輪7を上下移動させる左右傾斜制御用油圧シリンダBと左右傾斜センサCの検出に基づいて左右傾斜制御用油圧シリンダBを作動させるローリング制御バルブとによって、左右傾斜センサCの苗植付け圃場面の左右方向の高低差の検出に基づいて左右最外側の苗植付け体20の圃場面に対する高さを所定の高さに制御する制御機構Vを構成している。
【0059】
図8は、覆土鎮圧輪37の支持構成の他の例を示し、前例の右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39aと内覆土鎮圧輪支持フレ−ム39b・39cと左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの各左右覆土鎮圧輪37を単独で上下動可能に支持すべく、各覆土鎮圧輪支持フレ−ム39a・39b・39c・39dを左右覆土鎮圧輪37毎に分離して支持する構成としている。
【0060】
具体的には、最も右側の苗植付け体20に対する左右覆土鎮圧輪37の内の右覆土鎮圧輪37をパイプ材38aに回動自在に支持された回動支軸38に固定した右覆土鎮圧輪支持フレ−ム右片39a−1に回転自在に装着し、左覆土鎮圧輪37を回動支軸38に回動自在に装着した右覆土鎮圧輪支持フレ−ム左片39a−2に回転自在に装着している。また、他の3つの苗植付け体20に対する左右覆土鎮圧輪37は、全て各内覆土鎮圧輪支持フレ−ム右片39b−1・内覆土鎮圧輪支持フレ−ム左片39b−2,内覆土鎮圧輪支持フレ−ム右片39c−1・内覆土鎮圧輪支持フレ−ム左片39c−2,左覆土鎮圧輪支持フレ−ム右片39d−1・左覆土鎮圧輪支持フレ−ム左片39d−2に独立して上下動自在に支持されている。尚、右覆土鎮圧輪支持フレ−ム右片39a−1に固着した回動支軸38を左右反対側の左覆土鎮圧輪支持フレ−ム左片39d−2の外側部まで延設して、左覆土鎮圧輪支持フレ−ム左片39d−2の外側部に傾斜を検出する検出部D(検出部材38c・板体39d−2’・センサワイヤS)を設けた構成として左右傾斜センサCを構成している。
【0061】
このように、全ての左右覆土鎮圧輪37を各々独立して上下動自在に構成することにより、かまぼこ状の畝(畝上面が円弧状に形成された畝)でも適切に植付けた苗の鎮圧作業が適正に行なえて良好な苗の移植作業が行える。
【0062】
そして、前記左右フレ−ム41は、機体フレーム19に固着された左右方向の回動軸42回りに前後乃至上下に回動する回動ア−ム43に固着されている。尚、前記回動軸42は機体フレーム19から左右に延設され、該回動軸42の両端部に回動ア−ム43を左右それぞれ設け、左右それぞれの回動ア−ム43が左右フレ−ム41の適宜位置を支持した構成となっている。そして、左右の回動ア−ム43を繋ぐようにU字状の回動レバー44を固着して設けており、該回動レバー44が左右の回動ア−ム43と一体で回動するようになっている。従って、該回動レバー44を回動操作することにより、左右の回動ア−ム43を回動させて全ての植付条(計4条分)の覆土鎮圧輪37を同時に上下動させることもできる。よって、前記覆土鎮圧輪支持フレ−ム39、ロッド40、左右フレ−ム41、回動ア−ム43及び回動レバー44等により、覆土鎮圧輪支持機構を構成している。
【0063】
操縦ハンドル2近傍には機体を走行させずに苗植付装置5及び苗供給装置6のみを駆動させるための空苗植えレバ−45を設けており、該空苗植えレバ−45により苗植付装置5及び苗供給装置6のみを駆動させてこれらの装置5,6の作動の確認や点検が行える構成となっている。図1に示すように前記空苗植えレバ−45を下向きになるよう操作すると、空苗植え機能がオフとなって植付・昇降操作具15の操作で機体を走行させながら苗植付装置5及び苗供給装置6を作動させる通常の植付が行える状態となる。一方、前記空苗植えレバ−45を上向きになるよう操作すると、空苗植え機能がオンとなって走行停止状態で苗植付装置5及び苗供給装置6のみが作動する。
【0064】
この苗植機1は、苗供給装置6に苗を補給する作業者が乗車して苗補給作業が行えるよう、作業者が座る作業者用座席46を設けている。具体的には、苗供給装置6の前側となる機体左右中央位置に後向きに作業者用座席46を配置している。
【0065】
この座席46に座る作業者は、苗供給装置6の前側部に向って後側向き姿勢で着座して、苗供給装置6の前側部、特に苗収容体22の周回移動経路における前側の直線状部分28に対して苗補給作業を行う。また、本例の苗植機1は、畝溝を走行する後輪7の後側で機体後部に設けた操縦ハンドル2の左右方向外側に、作業者が立って前に歩きながら苗供給装置6の後側部に苗を補給する作業を可能とする作業空間Wを形成しており、この作業空間Wに立つ作業者から苗供給装置6の後側部に対して苗補給作業を行うことができる。
【0066】
尚、座席46を支持する略水平方向に延びる座席フレーム47を設け、座席46は前記座席フレーム47に対して後側の回動支点軸回りに後方へ回動できる構成となっており、前記座席フレーム47よりその近傍に位置する燃料タンクの給油キャップ48が低い位置にある。これにより、燃料タンクに燃料を補給するときは、座席46を後方へ回動させ、座席フレーム47に燃料を収容する補給タンク等を置いて、手動ポンプ等により容易に燃料タンクへ燃料を補給することができる。
【0067】
作業者用座席46の後側及び左右両側には、ステップ49を設けている。このステップ49は、機体側面視で作業者用座席46の下方位置から前輪8の上方位置すなわち機体前端近傍にわたって延設している。従って、作業者は、機体前方を介して該ステップ49に乗降することができる。後輪7は大径車輪で、前輪8は小径車輪であり、機体側面視で、この小径車輪の前輪8の上方にステップ49の前側部分が位置するように設けている。走行用の伝動ケース10を下方回動させて後輪7を下降させると、機体が前下がりに傾斜して前記ステップ49も前側に傾斜するため、作業者が機体前方と該ステップ49との間で容易に乗降することができる。また、後輪7を下降させても、機体前方の地面と該ステップ49との間の段差があまり大きくならないので、容易に乗降することができる。
【0068】
作業者用座席46の左右両側で機体側面視で後輪7の車軸12の上方位置に、苗供給装置6に補給する苗を収容可能な苗載台50を設けている。
苗供給装置6の上方部には前方が低くなるように傾斜して配置した後部苗載台51が配置されている。この後部苗載台51は支持フレーム52により苗供給装置6のフレーム部に固定支持されており、セルトレイTを長手方向が左右方向に向くようにして2個載置して少しスペースSPがある前後長さにした載置台部53と、セルトレイTの前後方向の脱落を防止する前後壁部54とから構成している。そして、載置台部53の後半部分53aは回動支軸54を回動支点として矢印イ−ロ方向に回動固定自在に構成されている。
【0069】
植付作業者が一人で作業者用座席46に着座して苗供給装置6に苗を補給する作業をする場合には、載置台部53の後半部分53aを矢印イ方向に上動させた実線の状態にして、2個載置されたセルトレイTのうち手前側(下方側)に位置するセルトレイTから苗を取り出して苗供給装置6に苗を補給する。そして、手前側(下方側)に位置するセルトレイTの苗がなくなると、手前側(下方側)に位置するセルトレイTを後部苗載台51から取ると、上方にあるセルトレイTが自動的に下方に滑り落ちて来て、苗補給作業が容易な位置となる。よって、効率よく苗の移植作業が行える。
【0070】
また、植付作業者が二人若しくは三人で作業者用座席46に着座して苗供給装置6に苗を補給する作業をする作業者と畝溝を走行する後輪7の後側で機体後部に設けた操縦ハンドル2の左右方向外側の作業空間Wに立って前に歩きながら苗供給装置6に苗を補給する作業者とがいる場合には、載置台部53の後半部分53aを矢印ロ方向に下動させた点線の状態にすると、載置台部53の前半部分は前方が低くなるように傾斜した状態で後半部分は後方が低くなるように傾斜した状態となり、作業者用座席46に着座して苗供給装置6に苗を補給する作業をする作業者は載置台部53の前半部分の前方が低くなるように傾斜した状態に載置されたセルトレイTから苗を取り出して苗供給装置6に苗を補給し、作業空間Wに立って前に歩きながら苗供給装置6に苗を補給する作業者は後半部分の後方が低くなるように傾斜した状態に載置されたセルトレイTから苗を取り出して苗供給装置6に苗を補給すると、その作業性が非常に良くて効率よく苗の移植作業が行える。
【0071】
左右最外側の右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39a及び左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの左右外側部位には、各々左右サイドマーカ55が設けられている。この左右サイドマーカ55は、各々左右移動調節及び上下移動調節自在に構成されており、苗植付作業時に苗を植付けている畝の左右外側位置に合わせておき、作業者用座席46に着座して苗供給装置6に苗を補給する作業をする作業者が畝の左右外側位置に左右サイドマーカ55が位置しているか視認して、機体が畝に沿って走行しているか確認する。この時、左右サイドマーカ55は左右最外側の右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39a及び左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの左右外側部位に設けられているので、視認性が良くて作業性が非常に良い。
【0072】
また、畝の端で機体を旋回させる際に、回動レバー44を回動操作して全ての植付条の覆土鎮圧輪37を同時に上動させるが、この時、左右サイドマーカ55は左右最外側の右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39a及び左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの左右外側部位に設けられているので、左右サイドマーカ55も同時に上動して、旋回時の邪魔にならず旋回作業も良好に行なえて作業性が良い。
【0073】
以上のとおり、上記の苗植機1は、左右一対の前輪8と左右一対の後輪7が畝を跨いだ状態で前進走行しながら、苗植付け体20が圃場に千鳥状に4条に苗を植付ける。苗供給装置6は苗植付け体20に苗を供給する。作業者は、作業者用座席46に着座して苗供給装置6に苗を補給する作業を行うことができる。
【0074】
尚、上述では、苗収容体22の周回移動経路における第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34の互いの間隔において、左右両外側部の各々の間隔をXピッチ、左右中央部の間隔をYピッチとすると、X=1+4n,Y=3+4m(n,mは0以上の整数とする)であれば、第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34で各々対応する苗収容体22から苗植付け体20へ苗を供給する構成とすることができることを開示したが、他に、X=2+4n,Y=3+4mの形態であっても、第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34で各々対応する苗収容体22から苗植付け体20へ苗を供給する構成とすることができる。従って、苗収容体22の周回移動経路の左右中央部に円弧状部分が位置するとき等、前記周回移動経路に応じて所望の植付条間あるいは千鳥植えの場合は前後方向の千鳥間隔が得られるように、周回移動経路における第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34の互いの間隔を設定すればよい。
【0075】
尚、上述では、左右二対づつの苗植付け体20が半周期位相をずらせて作動し、第一及び第二の落下供給位置31,32と第三及び第四の落下供給位置33,34とで落下する苗を供給する苗収容体22が到達するタイミングが異なる場合について説明したが、全ての苗植付け体20が同期して作動し全ての落下供給位置31,32,33,34に同時に苗を供給する構成としてもよい。このとき、落下供給位置31,32,33,34の互いの間隔は、X=2+4n,Y=1+4mの形態又はX=3+4n,Y=1+4mの形態とすればよい。
【0076】
また、上述では、底蓋27の突起35を、苗収容体22の周回外側に短く突出するもの、苗収容体22の周回内側に短く突出するもの、苗収容体22の周回内側に長く突出するもの及び苗収容体22の周回外側に長く突出するものの4種類を設定したものについて説明したが、この構成によると、各々の底蓋27が開放されるタイミングは周回移動において落下供給位置31,32,33,34での一回しかなく、その後第四の落下供給位置34に到達するまで底蓋27が閉じないので、歩行しながら周回移動経路の円弧状部分29や後側の直線状部分28で苗補給する際に、苗補給する必要のある苗収容体22を判別し易く、苗補給作業性が向上する。また、この構成によると、第二及び第三の落下供給位置32,33では底蓋27が開かないように支持軸を追加し、且つ苗植付装置5の上下動機構21の作動に対して移動機構23の作動速度を2倍に増速すれば、第一及び第四の落下供給位置31,34でのみ苗が供給されることになり、植付条間の広い2条植えを行うことができる。
【0077】
図9は他の例を示す苗移植機の側面図を示し、上例と異なる点は、苗移植作業時の機体の進行方向が逆で、操縦ハンドル2が前となる方向(作業者用座席46に着座した作業者が前を見ている方向)に進行して苗の移植作業を行なう。
【0078】
この場合、機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう昇降用油圧シリンダAを作動させるセンサー14の回動支点14aをセンサ14の接地点Aよりも機体前進方向に対して後方となる位置に配置している。
【0079】
これは、苗移植作業時に機体の進行方向前側となる車輪7が進行方向後側を回動支点として上下動する左右伝動ケース10により上下動して機体の畝に対する高さ調節をする制御となる為に、センサー14も車輪7と同様にセンサ14の接地点Aよりも機体前進方向に対して後方となる位置に回動支点14aを設けた方が適切なセンシングが行なえ、機体の上下動制御が良好に行えて、適切な苗移植作業が行える。
【0080】
また、機体の植付速度が非常に遅い場合は、センサ14の接地点Aを機体側面視で前後に配置された苗植付け体20の中間部に位置させると、前後の苗植付け体20が苗を植付ける位置の平均的な畝高さが検出できるので、適正な畝に対する機体の上下動制御が行えて、苗の植付深さが適切となり良好な苗移植作業が行える。尚、機体の進行速度が少し速い場合には、進行速度を加味して、センサ14の接地点Aを機体側面視で前後に配置された苗植付け体20の前側の苗植付け体20の植付位置側方となるようにすれば、適正な畝に対する機体の上下動制御が行えて、苗の植付深さが適切となり良好な苗移植作業が行える。
【0081】
最後に、4条植えの苗移植機においては、畝がかまぼこ状になっている関係で左右外側の植付深さが浅くなる傾向がある。そこで、内側2条の苗植付け体20に対して左右各外側1条の苗植付け体20を上下調節できる構成として、左右各外側1条の苗植付け体20を内側2条の苗植付け体20よりも下方に設定できる構成としている。
【0082】
即ち、内側の苗植付け体20と外側の苗植付け体20を連結する連結軸56は、各々高さ変更機構57を介して前記上下動機構21に支持されている。前記高さ変更機構57は、前記連結軸56に固着された機体背面視コの字型のプレートで構成される上下移動部材58と、該上下移動部材58を囲むように機体背面視コの字型のプレートで構成される基部材59と、前記上下移動部材58及び基部材59に上下に貫通する螺子軸60と、該螺子軸60の上端に該螺子軸60と一体で回転するトルクワイヤ61とを備えて構成される。尚、前記基部材59は、上下動機構21と連結されている。
【0083】
また、前記基部材59の上下各々の横プレート部分59aの上下間に前記上下移動部材58の上下各々の横プレート部分58aが位置し、上下移動部材58及び基部材59の前記横プレート部分58a,59bが機体平面視で重複している。そして、前記螺子軸60は、軸方向に移動しないように基部材59の上下各々の横プレート部分59aに回転自在に支持されると共に、上下移動部材58の上下各々の横プレート部分58aに固着したウエルドナット62に螺合している。
【0084】
従って、基部材59の上下各々の横プレート部分59aが螺子軸60を支持する軸支持部となり、上下移動部材58の上下各々の横プレート部分58aに固着したウエルドナット62が螺子軸60に螺合する螺合部となる。そして、前記トルクワイヤ61の他端を作業者用座席46の近傍に配置した操作ハンドル63に連結して、操作ハンドル63を回動操作するとトルクワイヤ61を介して螺子軸60が回動する構成となっている。
【0085】
よって、作業者が作業者用座席46の近傍に配置した操作ハンドル63を回動操作して螺子軸60を回転させることにより、基部材59に対して上下移動部材58が螺子軸60に沿って上下に移動し、連結軸56を上下に移動させて左右方向外側の苗植付け体20の高さを変更する構成となっている。尚、上下移動部材58は、該部材58の上下の横プレート部分58aが基部材59の上下各々の横プレート部分59aに当接することにより上下移動が規制され、所定範囲内でのみ上下移動可能に構成されている。この上下移動部材58の上下移動可能範囲は、左右方向外側の苗植付け体20が左右方向内側の苗植付け体20と略同じ高さから左右方向内側の苗植付け体20より低位となる高さまで上下移動できるように設定されている

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗植付け体(20)を上下動機構(21)により所定の作動軌跡で上下動させて圃場に苗を植え付ける苗植付装置(5)と、苗植付装置(5)に苗を供給する苗供給装置(6)を設け、苗供給装置(6)には、苗を上方から受け入れて内側に収容する複数の苗収容体(22)と、苗収容体(22)を苗植付け体(20)の上方を通過するように周回移動させる移動機構(23)と、苗植付け体(20)の上方位置で苗収容体(22)の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて苗植付け体(20)に苗を供給する開放機構(24)を設け、苗収容体(22)内の下端の苗落下孔(22b)を偏心させた苗植機

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−24106(P2012−24106A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243437(P2011−243437)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2006−320434(P2006−320434)の分割
【原出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】