茎葉収穫機
【課題】隣接条の茎葉株を引き抜く事態を防止して圃場の荒れを招くことなく、能率よく茎葉の収穫作業をすることができる茎葉収穫機を提供する。
【解決手段】茎葉収穫機は、収穫条の茎葉株の茎葉部をその下側位置からガイドして掬上げる分草体(37)と、掬上げられた茎葉部をその左右両側から引起こす周回ラグ機構(40)を備えた左右引起こし装置(42)と、引起こされた茎葉部を受けて切断する刈取装置(51)と、上記左右引起こし装置を圃場面から一定高さ位置に追従可能に支持する左右橇体(36)とを備えた収穫部を機体前部に備えて茎葉の収穫走行が可能に構成され、上記左右引起こし装置(42)の少なくとも一方には、その外側位置で茎葉部を引起こす左右補助引起こし装置(81)を設けたものである。
【解決手段】茎葉収穫機は、収穫条の茎葉株の茎葉部をその下側位置からガイドして掬上げる分草体(37)と、掬上げられた茎葉部をその左右両側から引起こす周回ラグ機構(40)を備えた左右引起こし装置(42)と、引起こされた茎葉部を受けて切断する刈取装置(51)と、上記左右引起こし装置を圃場面から一定高さ位置に追従可能に支持する左右橇体(36)とを備えた収穫部を機体前部に備えて茎葉の収穫走行が可能に構成され、上記左右引起こし装置(42)の少なくとも一方には、その外側位置で茎葉部を引起こす左右補助引起こし装置(81)を設けたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地表に露出している甘藷や馬鈴薯等の作物の蔓や茎や葉(以下、茎葉という)を収穫する茎葉収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来茎葉処理機として、特許文献1に示されるように、左右一対の掻込ベルトの外周部に掻込爪を突出した周回ラグ機構による掻込装置を備えたものがある。この掻込装置は、掻込爪により畝上の茎葉部を引っ掛けて持ち上げることによって一対の掻込ベルト間に掻き寄せ、引抜き装置に導くことができる。
また、特許文献2に示されるように、掻き込み機構の先端に分草装置を取付けたものがある。この分草装置によって畝面や畝間に倒伏した茎葉を引き起こし、掻込装置を介して搬送装置に茎葉を送ることにより茎葉を収穫することができる。
【特許文献1】特開2002−253019号公報
【特許文献2】特開2005−160467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、隣接条の茎葉が収穫条の茎葉と絡まっている圃場状況においては、いずれの茎葉処理機でも、絡まった隣接条の茎葉を含めて刈取りすることとなり、その結果、隣接条の茎葉株が引き抜かれる事態を招くという欠点がある。
また、カッタで切断する際に、隣接条を含む大量の茎葉の処理ができずに刈取走行の中断を余儀なくされることにより、収穫作業に支障を招くという問題がある。
【0004】
本発明の目的は、隣接条の茎葉株を引き抜く事態を防止して圃場の荒れを招くことなく、能率よく茎葉の収穫作業をすることができる茎葉収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、収穫条の茎葉株の茎葉部をその下側位置からガイドして掬上げる分草体と、掬上げられた茎葉部をその左右両側から引起こす周回ラグ機構を備えた左右引起こし装置と、引起こされた茎葉部を受けて切断する刈取装置と、上記左右引起こし装置を圃場面から一定高さ位置に追従支持する左右橇体とを備えた収穫部を機体前部に備えて茎葉の収穫走行が可能な茎葉収穫機において、上記左右引起こし装置の少なくとも一方には、その外側位置で茎葉部を引起こす周回ラグ機構を備えた左右補助引起こし装置を設けたことを特徴とする。
【0006】
上記茎葉収穫機は、左右引起こし装置が収穫条の茎葉を引起こすとともに、その外側の左右補助引起こし装置が隣接畝との間で茎葉を引起こすことにより、絡みついている隣接条の茎葉を分離して収穫条の茎葉だけが収穫できる。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記左右補助引起こし装置は、左右それぞれの側について左右引起こし装置より前側に配置したことを特徴とする。
上記茎葉収穫機は、左右補助引起こし装置が左右引起こし装置より先行することから、隣接条の茎葉を引起こした後に左右引起こし装置が収穫条の茎葉を引起こして収穫する。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2の構成において、前記左右分草体は、左右引起こし装置と左右補助引起こし装置との間で且つ両者より前側に配置したことを特徴とする。
上記茎葉収穫機は、左右引起こし装置と左右補助引起こし装置との間で左右分草体が先行して圃場面から茎葉を掬い上げ、これを左右引起こし装置と左右補助引起こし装置により引き起こし動作する。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1または請求項2の構成において、前記切断装置は、左右補助引起こし装置の幅内で且つ左右引起こし装置の幅を超える切断範囲を有することを特徴とする。
上記茎葉収穫機は、引き起こされた茎葉について、左右補助引起こし装置の幅内で左右引起こし装置の幅を超える範囲について主として収穫条の茎葉が切断される。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1または請求項2の構成において、前記左右橇体は、左右引起こし装置とその外側の左右補助引起こし装置との間に装着することを特徴とする。
上記茎葉収穫機は、左右橇体が左右引起こし装置とその外側の左右補助引起こし装置との間で両者を同時に支持しつつ圃場面に追従することから、引き起こし作用が作業高さと対応して一定に保持される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明は、絡みついている隣接条の茎葉を分離して収穫条の茎葉だけが収穫できるので、隣接条の茎葉株を引き抜く事態を防止して圃場の荒れを抑えつつ、隣接条に及ぶ大量の茎葉を取り込んだ場合の刈取装置の過負荷停止による収穫作業の中断を防止することができる。
【0012】
請求項2に係る発明の茎葉収穫機は、隣接条の茎葉を引起こしてから左右引起こし装置が収穫条の茎葉を引起こして収穫することから、隣接条の茎葉の分離が確実化される。
【0013】
請求項3に係る発明の茎葉収穫機は、左右分草体が先行して圃場面から茎葉を掬い上げ、左右引起こし装置と左右補助引起こし装置により引き起こしすることから、茎葉の取込み漏れが抑えられる。
【0014】
請求項4に係る発明の茎葉収穫機により、左右補助引起こし装置の幅内で且つ左右引起こし装置の幅を超える範囲について茎葉が切断され、主として収穫条の茎葉が刈取られることから、隣接条の茎葉株を引き抜く事態を防止して圃場の荒れを抑えつつ、隣接条に及ぶ大量の茎葉を取り込んだ場合の切断装置の過負荷停止による収穫作業の中断を防止することができる。
【0015】
請求項5に係る発明の茎葉収穫機は、左右橇体によって引き起こし作用が作業高さと対応して一定に保持されるので、斑のない収穫が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、本発明の実施の適用対象例としての甘藷の茎葉収穫機の基本構成について説明する。
図1、図2に示すように、甘藷の茎葉収穫機は、機体を走行させる走行装置Aと、操縦者が機体を操作するために搭乗する操縦部Bと、茎葉を収容する収容体23を載置する載置部Cと、茎葉を機体内側へ寄せる茎葉寄せ装置Dと、該茎葉寄せ装置Dで寄せられた茎葉を刈り取る刈取装置Eと、該刈取装置Eで刈り取られた茎葉を後方に搬送する搬送装置Fと、該搬送装置Fにて搬送されてきた茎葉を収容する収容部Gとから構成される。
【0017】
以下において各部の構成を具体的に説明する。
走行装置Aは、機体前部側の左右転輪2,2と機体後部側の左右駆動スプロケット3,3と、該左右転輪2,2と左右駆動スプロケット3,3との間に取り付けた転輪4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右一対のクローラ1L,1Rを構成する。また、フレーム6の後部下部にギアボックス7を取り付け、該フレーム6の上面の左側部にエンジン9と油圧ポンプ10を取り付ける。そして、該エンジン9の駆動軸11aと油圧ポンプ10の駆動軸11bの各々の左端部にプーリ12a,12bを取り付けると共に、該プーリ12a,12b間にベルト13を巻き掛ける。さらに、該エンジン9の駆動軸11aの右端部にプーリ15a取り付け、該プーリ15aとギアボックス7の入力軸7aに取り付けるプーリ15bとの間にベルト16を巻き掛ける。そして、前記ギアボックス7から左右方向にドライブシャフト8を延出させ、該ドライブシャフト8の両端にクローラ1L,1Rの駆動スプロケット3,3を軸着させてフレーム6の下部に一定の左右間隔を設けて取り付けた左右クローラ1L,1Rを駆動する構成としている。
【0018】
操縦部Bは、前記フレーム6の上面の左側部に操縦台17を取り付け、該操縦台17には左右クローラ1L,1Rの回転方向や回転速度を調節して、機体の前後進や走行速度を切り換える左右走行操作レバー18a,18bと、後述する茎葉寄せ装置Dを昇降動作させる昇降レバー19a,19bと、搬送装置Fを昇降動作させる昇降レバー19cを取り付ける。そして、該操縦台17の後部に操縦者が搭乗する座席20を取り付けている。
【0019】
上記のように、機体の前後進や走行速度を切り換える左右走行操作レバー18a,18bや茎葉寄せ装置Dを昇降動作させる昇降レバー19a,19bや、搬送装置Fを昇降動作させる昇降レバー19cが操縦台17に設けられていることによって、操縦者は座席20に着座したまま機体の操作を行うことができるため、操縦者の労力を軽減することができる。
【0020】
載置部Cは、前記フレーム6の右側部に回動軸21を取り付け、該回動軸21に載置板22を折りたたみ可能に取り付けている。
【0021】
上記のように、載置板22を折りたたみ可能に設けていることにより、刈り取られた茎葉を収容する収容袋23が満杯になったとき、載置板22を展開することによって満杯になった収容袋23をフレーム6と載置板22の上に載置することができ、収容袋23を圃場に下ろす作業が省略されるため、作業能率を向上させることができると共に、圃場に下ろした収容袋23を回収する作業が省略されるため、作業者の労力が軽減される。
【0022】
(茎葉寄せ装置)
茎葉寄せ装置Dは、フレーム6の左右前側下部に左右ステー24を、左右クローラ1L,1Rよりも前方且つ後述する刈取装置Eよりも後側上方に取り付け、該左右ステー24の左右間に連結軸25を取り付けると共に、該連結軸25に左右回動アーム26を各々独立して上下方向に回動自在に取り付ける。そして、左右回動アーム26の前端部に左右ステー33を取り付け、該左右ステー33の後方位置に左右リンクアーム35を取り付け、該左右リンクアーム35と左右ステー33に左右カバーフレーム34を取り付ける。
【0023】
また、前記フレーム6の右側前端上部に支持フレーム27を取り付ける。そして、該支持フレーム27及び操縦部Bの操縦台17の上端部に左右リンクアーム28の基部を各々独立して上下方向に回動自在に取り付ける。また、該支持フレーム27及び操縦部Bの操縦台17の略中央部に左右固定フレーム29を取り付ける。さらに、該左右固定フレーム29の機体外側下部と左右回動アーム26の略中央部との間に左右バランススプリング30を取り付けると共に、左右固定フレーム29の機体内側上部と左右リンクアーム28の前端下部との間に左右シリンダ31を取り付ける。また、前記左右リンクアーム28の前端部と左右回動アーム26の略中央部との間に遊動機能を有する左右ワイヤー66を取り付ける。なお、左右ワイヤー66はチェーン等で構成してもよい。
【0024】
そして、前記左右カバーフレーム34の下端部から、機体後外側方向に延出させると共に後端部を上方に折り曲げた左右橇体36を取り付け、該左右橇体36の前部に後述する左右引起こしラグが通過する空間部を設けた左右分草体37を取り付けると共に、該左右分草体37の機体外側に左右ナロウガイド65を取り付ける。
【0025】
(引起し装置42)
そして、前記左右カバーフレーム34の内部上端に左右スプロケット38aを取り付け、左右カバーフレーム34の内部下端に左右スプロケット38bを取り付けると共に、該左右スプロケット38aと左右スプロケット38bとの間に左右チェーン39を巻き掛ける。そして、該左右チェーン39に引起しラグ40を取り付け、左右カバーフレーム34,34の機体内側上部に左右スプロケット38aを各々回転させる左右油圧モーター41を取り付けて、周回ラグ機構40による左右引起し装置42が構成される。
【0026】
(ガイド32、掻き上げ装置49)
また、前記左右カバーフレーム34の機体内側下部に左右フレーム43を取り付けると共に、該左右フレーム43に左右プレート44を後上り傾斜姿勢に設ける。そして、該左右プレート44の上端部の左右間隔を下端部の左右間隔と略同一または下端部の左右間隔よりも広くなるように取り付ける。また、前記左右プレート44の前端部に左右従動プーリ45を回動軸に軸着して取り付け、左右プレート44の後端部に左右駆動プーリ46を回動軸に軸着して取り付けると共に、該左右従動プーリ45と左右駆動プーリ46との間に左右ラグ付ベルト47を取り付ける。さらに、左右プレート44の下面から、後端部が機体外側方向に向けて開放された左右案内ガイド32を、後述の搬送装置Fの上方且つ機体後方に向けて後上り傾斜姿勢に設けると共に、前記左右駆動プーリ46の回動軸に、左右駆動プーリ46を回転させる左右油圧モーター48を各々取り付けることによって、左右掻き上げ装置49が構成される。
【0027】
(掻き込み装置74)
さらに、掻き込みローラ50にナイロンパイプ等の軟質材からなる掻き込み爪67を取り付けると共に、該掻き込みローラ50の中心部に回動軸68を設ける。そして、後述する搬送装置Fの左右フレーム55に左右支柱69を取り付け、該左右支柱69の左右上端部間にフレーム70を取り付けると共に、左右支柱69の上端部に左右フレーム71を取り付ける。また、該左右フレーム71の前端部に左右ジョイントアーム72を取り付け、該左右ジョイントアーム72間に掻き込みローラ50の回動軸68を回動自在に取り付けると共に、該左右ジョイントアーム72の左右一側に、掻き込みローラ50を回転させる油圧モーター73を取り付けて、掻き込み装置74を構成する。
【0028】
上記のように、フレーム6の左右前端下部に左右ステー24を、左右クローラ1L,1Rよりも前方に取り付けていることによって、左右ステー24の左右間に連結軸25を設けて左右ステー24を連結することができるので、機体の耐久性が強化される。
また、左右ステー24や連結軸25が刈取装置Eよりも上方に取り付けられていることによって、左右ステー24や連結軸25が畦や茎葉の刈り株に接触して機体の走行を妨げることを防止できるので、作業能率が向上する。
【0029】
また、機体の走行による振動等の影響を受けにくいフレーム6の左右前側下部に取り付けた左右ステー24の左右間に連結軸25を取り付けると共に、該連結軸25に左右引起こし装置42を前端部に備えた左右回動アーム26を取り付けたことによって、左右引起こし装置42もまた機体の走行による振動等の影響を受けにくくなるので、左右引起こし装置42の作業位置を安定させることができ、作業能率が向上する。
【0030】
さらに、左右回動アーム26が左右バランススプリング30によって上動方向に付勢されていると共に、左右引起こし装置42の下部に左右橇体36が取り付けられていることによって、左右引起こし装置42は圃場の起伏に応じて自由に上下動して、左右引起こし装置42の作業位置が適正になるので、作業能率が向上する。
【0031】
そして、左右回動アーム26が、左右各々独立して上下方向に回動自在に取り付けられていることによって、左右引起こし装置42は左右各々圃場の起伏に応じて自由に上下動して、左右引起こし装置42の左右各々の作業位置が適正になるので、作業能率が向上する。
【0032】
また、左右橇体36は機体後外側方向に延出させられていることによって、畝に敷設したマルチを傷つけることなく左右引起し装置42を畝に近づけることができるので、茎葉の引起しが効率よく行われ作業能率が向上すると共に、後端部を上方に折り曲げていることによって、機体を後退させるときに左右橇体36の後端部が圃場に刺さって機体の後退を妨げる事が防止され、作業能率が向上する。
【0033】
そして、左右回動アーム26と左右リンクアーム28とが遊動機能を有する左右ワイヤー66によって連結されていることによって、昇降レバー19a,19bを操作して左右シリンダ31を伸縮させて左右リンクアーム28を上下動させると左右回動アーム26が左右ワイヤー66によって上下動させられるので、左右引起こし装置42の作業位置を圃場条件等に合わせて調節することができ、作業能率が向上する。
【0034】
さらに、左右回動アーム26と左右リンクアーム28とが遊動機能を有する左右ワイヤー66によって連結されていることによって、左右引起こし装置42が圃場の起伏に合わせて自由に上下動するので、左右引起こし装置42の作業位置が適正になり、作業能率が向上する。
【0035】
また、左右掻き上げ装置49が左右引起し装置42に連結されていることによって、左右引起し装置42の作業位置が変わると、左右掻き上げ装置49の作業位置も連動して変わり、掻き込み装置74への茎葉の掻き上げ効率が変化しにくいので、作業能率を安定させることができる。
【0036】
そして、左右掻き上げ装置49の上端部の左右間隔が、下端部の左右間隔と略同一または下端部の左右間隔よりも上端部の左右間隔の方が広くなるように設けられていることによって、左右掻き上げ装置49の後部上端で茎葉が詰まって搬送装置Fに落下しなくなることが防止されるので、作業能率が向上する。
【0037】
さらに、左右案内ガイド32は、その後端部が機体外側方向に向けて開放されていると共に、搬送装置Fの上方且つ機体後方に向けて後上り傾斜姿勢に設けていることによって、茎葉を搬送装置F上に載るように誘導することができるので、圃場に落下する茎葉が少なくなり、圃場に落ちた茎葉を回収する作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、左右案内部材32の終端部に茎葉が詰まることが防止でき、作業能率が向上する。
【0038】
また、搬送装置Fの搬送始端部上方且つ左右引起し装置42の間に掻き込み装置74が設けられていることによって、刈取装置Eで刈り取られた茎葉が搬送装置Fに掻き込まれるため、刈り取られた茎葉が搬送装置Fに載り易くなり、圃場に落下する茎葉が少なくなるため作業能率が向上すると共に、茎葉の回収作業が省略されるため作業者の労力を軽減することができる。
【0039】
刈取装置Eは、前記左右フレーム55の前端下部にレシプロカッター51を取り付け、左右フレーム55の左右一側部にモーター52を取り付け、該モーター52の駆動軸53に偏心カム54を取り付けると共に、該偏心カム54をレシプロカッター51に取り付けている。
【0040】
搬送装置Fは、前記左右フレーム55の前後端にローラ55a,55bを取り付け、該ローラ55a,55b間に弾性材より構成する平ベルト56を巻き掛けると共に、ローラ55bの回動軸にモーター57を取り付ける。そして、前記左右フレーム55の略中央部下部に左右フレーム55を連結する第1繋ぎフレーム58を取り付け、該第1繋ぎフレーム58とフレーム6との間にシリンダ59を取り付ける。また、前記左右フレーム55を連結する第2繋ぎフレーム60と第3繋ぎフレーム61を、左右フレーム55の前部下部に取り付ける。そして、左右転輪63を各々左右アーム63aに取り付け、該左右アーム63aを第3繋ぎフレーム61に上下方向に回動自在に取り付けると共に、第2繋ぎフレーム60にシリンダ62の基部を枢着する。また、各左右アーム63aの上端より後部に延出した左右延出部材63bの後部に左右シリンダ62の前端を枢着している。
【0041】
上記のように、刈り取られた茎葉が弾性材より構成される平ベルト56の上面に載せられて搬送されることによって、茎葉が潰されたり引き摺られたりして傷付きにくくなると共に、搬送途中に選別作業を行えるので作物の商品価値を高めることができる。
【0042】
また、操作レバー19cを操作してシリンダ59及び左右シリンダ62を伸縮させることによって、搬送装置Fの平ベルト56と左右転輪63との傾斜角度を作業条件に適した角度に調節することができ、刈取装置Eで茎葉が刈り取られやすくなると共に、刈り取られた茎葉が搬送装置Fに載り易くなり作業能率が向上する。
【0043】
収容部Gは、前記フレーム6の後部に回動軸94を取り付け、該回動軸94に茎葉を収容する収容袋23を載置する載置台64を折りたたみ可能に取り付けると共に、左右フレーム55に収容袋23を吊り下げる吊り下げ枠93を取り付けている。
【0044】
上記のように、茎葉を収穫する収容袋23を吊り下げ枠93のフックに吊り下げて取り付けていることにより、該収容袋23が茎葉で満杯になったときは吊り下げ枠93のフックから満杯になった収容袋23を外して載置部Cの載置板22等に載置し、新しい収容袋23を吊り下げ体93のフックに引っ掛けるだけで収容を再開できるので、交換作業が簡単になる。
【0045】
また、載置部Cの載置板22と収容部Gの載置台64が折りたたみ可能であることによって、該載置板22と載置台64とを折りたたむことによって機体サイズをコンパクトにすることができ、軽トラック等にも積み込みやすくなる。
なお、本実施例では茎葉を収容する手段として収容袋23を例示しているが、載置台64上にコンテナ等を載置して茎葉を収容してもよい。
【0046】
(引起こし部)
次に、引起こし部の追加機能について説明する。
図3の正面視関係図および、図4の要部側面図に示すように、車幅方向について、左右の引起こし装置42、42の外側には、補助引起こし装置81、81をそれぞれ配置して引起こし装置42と2連に構成する。左右の補助引起こし装置81、81は、畝間に倒伏している茎葉部を引起こすための周回ラグ機構81aをそれぞれ備える。また、刈取装置Eのレシプロカッター51の切断範囲は、左右の補助引起こし装置81、81の間の幅寸法内で、左右の引起こし装置42、42間の幅寸法より広く構成する。
【0047】
上記茎葉収穫機は、引起こし装置42、42が収穫条の茎葉を引き起こすとともに、その外側の補助引起こし装置81、81が隣接畝との間で茎葉を引起こすことから、外側の掻き分けと内側の掻き上げによって、互いに重なって絡みついている隣接条の茎葉を分離して主として収穫条の茎葉が収穫できるので、隣接条の茎葉株を引き抜く事態を防止して圃場の荒れを抑えつつ、隣接条に及ぶ大量の茎葉を取り込んだ場合の刈取装置の過負荷停止による収穫作業の中断を防止することができる。
引き起こされた茎葉については、左右の引起こし装置42、42の幅を超えて左右の補助引起こし装置81、81の幅内の主として収穫条の茎葉が刈取装置Eによって切断されることから、隣接条の茎葉の分離が確実化される。
【0048】
また、図5の正面視関係図ならびに、図6の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、上記補助引起こし装置81は、引起こし装置42より前側に配置し、左右の分草体37、37の先端部は、作業畝の刈取りのために引起こし装置42のセンターから車幅方向について外側で、前後方向については補助引起こし装置81のラグ先端位置より先行する範囲に設定する。また、収穫の繰り返しによってクローラ跡の溝が深くなることから補助引起こし装置81を引起こし装置42より下位に構成する。
【0049】
このように、補助引起こし装置81を引起こし装置42より前側に配置することにより、先行する補助引起こし装置81が畝間の茎葉を掻き分けてから時間差で引起こし装置42が収穫条の茎葉を掻き上げ動作を行い、また、作業畝の刈り取りのために作業畝側に分草体37、37が必要となる。
【0050】
左右の分草体37、37は、図7の正面視関係図、および図8の要部側面図に示すように、左右のそれぞれの側において、引起こし装置42と補助引起こし装置81のケース間に配置する。このように構成することにより、確実な掬い上げが可能となる。また、分草体37、37は、図9の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、本体部の先端より内側バー37aを下に分岐させ、外側の本体部の上部へ茎葉を誘動させるため、内側バー37aに蔓等の茎葉が入り込むことがない。
【0051】
左右のフロート83、83は、図10の正面視関係図、および図11の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、左右のそれぞれの側において、引起こし装置42と補助引起こし装置81の間に配置し、スプリング付きのパンタグラフ機構36sを介して連結する。このように構成することにより、引起こし装置42と補助引起こし装置81の高さを平均的に合わせることができる。また、引起こし装置42および補助引起こし装置81に対して上下位置を調節可能に構成することにより、圃場条件により高さを変えることができる。
る。
【0052】
次に、切り分け手段については、図12の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、補助引起こし装置81の上部には、長い蔓がケースの上を乗り越えないように、それぞれに絡分けバー82、82を設ける。この絡分けバー82、82の下面にはカッター82sを設けることによって絡んだ蔓を切断する。また、図13の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、補助引起こし装置81の上部にカッター82cを設けることによっても同様の効果を得ることができる。
【0053】
次に、フロート83、83の形状については、図14の要部平面図に示すように、ゲージ輪63、63と干渉しないように切欠き83b、83bを前後に長くすることによって接地圧を下げることができる。また、図15の要部側面図に示すように、左右の補助引起こし装置81、81からマーカ84、84を出すことにより、簡易な構成でオペレータの視認性を確保することができる。
【0054】
また、図16の要部平面図に示すように、引起こし装置42と補助引起こし装置81のそれぞれにフロート83、85を取付け、引起こし装置42のケースから補助引起こし装置81のケースを吊り下げてこの補助引起こし装置81を引起こし装置42に対し自動スイングさせることにより、蔓を確実に掬い上げることができる。
この場合において、分草体37b、37cは引起こし装置42と補助引起こし装置81のそれぞれから取付ける。また、引起こし装置42と補助引起こし装置81の同時スイングと引起こし装置42に対して補助引起こし装置81をスイングする両スウイングとする。
【0055】
次に、引起こし部の動作については、図17の要部側面図に示すように、引起こし部を構成する引起こし装置42と補助引起こし装置81のそれぞれのラグ退没動作位置40b、81bが補助引起こし装置81の方が引起こし装置42より早く退没動作するように構成することで、蔓が内側で折れないようにすることができる。
【0056】
また、図18の正面視関係図、および図19の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、補助引起こし装置81を畝間略中央で縦掻き分け動作するタテ引起こし装置とし、その後方内側に横掬い上げ動作するヨコ掬上げ装置86を設け、対向する左右のヨコ掬上げ装置86、86の周回ラグ機構86a、86aの間を大きく広げて構成し、このヨコ掬上げ装置86、86の後方に掻込みベルト47、47を設け、また、両ヨコ掬上げ装置86、86の間に上方から掻込み装置74を設ける。
【0057】
それぞれの周回ラグ機構については、図20の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、タテ引起こし装置81のラグ端軌跡の下端位置の方がヨコ掬上げ装置86より下った位置に構成し、掻込みベルト47の方がヨコ掬上げ装置86よりラグ端軌跡下端位置を高く構成する。また、掻込みベルト47のラグ端軌跡については、ヨコ掬上げ装置86のラグ端軌跡に対し、下端部が軌跡内、上端部が軌跡外とすることにより、蔓等の茎葉を確実に刈取装置Eへ誘導することができる。ラグ退没動作位置86b、81bは、ヨコ掬上げ装置86の方がタテ引起こし装置81より早く退没し、また、ヨコ掬上げ装置86の退没動作位置の方が掻込みベルト47のラグより高く構成する。
【0058】
タテ引起こし装置81とヨコ掬上げ装置86の傾斜角度は、図21の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、ヨコ掬上げ装置86の傾斜を緩くすることにより、絡んでいる蔓を引き離す効果があり、また、掻込みベルト47の傾斜をヨコ掬上げ装置86より緩くすることにより、ヨコ掬上げ装置86に絡んだ蔓等の茎葉を引き離して中に寄せることができる。
【0059】
タテ引起こし装置81とヨコ掬上げ装置86の両ケースの内側端部間を繋ぐ内カバー87を設けることにより、掻き分けた蔓を内方に滑り易くすることができる。タテ引起こし装置81の外側にはヨコ掬上げ装置86の後方まで外カバー88を延ばして隣接条の茎葉がヨコ掬上げ装置86に巻き込まれないように構成する。上記内カバー87の下端はヨコ掬上げ装置86の下端部での効果を出すために三角状とし、上方に向かって徐々に直線化する。
【0060】
補助引起こし装置81と引起こし装置42のタテ2連構成の場合は、図22の正面視関係図(a)および要部側面図(b)に示すように、内側の左右の引起こし装置42、42は上部を近付けて内傾構成することにより、掻き上げられた茎葉を畝幅の中央に寄せることができる。その傾斜角度をハンドルHやモータMにより変更可能に構成することにより、長い茎葉は小傾斜、短い茎葉は大傾斜として茎葉長さに応じた調節が可能となる。それぞれの傾斜の回動点Sは下端部近くで傾斜ケースに近くすることで、ラグ81a先端の狂いを小さくすることができる。また、図23の正面視関係図(a)および要部側面図(b)に示すように、外側の左右の補助引起こし装置81、81は傾斜角度を可変に構成することにより、絡んだ茎葉の分離性を上げることができる。
【0061】
上記の場合において、内側の引起こし装置42は、図24の正面視関係図(a)および要部側面図(b)に示すように、左右それぞれの側について、外側の補助引起こし装置81より短くして内側に大きく傾けることにより、短い蔓に対応することができる。その傾斜角度は、正面視で可変に構成する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】茎葉収穫機の側面図
【図2】図1の茎葉収穫機の平面図
【図3】引起こし装置の正面視関係図
【図4】図3の引起こし部の要部側面図
【図5】別の引起こし部の正面視関係図
【図6】図5の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図7】別の引起こし部の正面視関係図
【図8】図7の引起こし部の要部側面図
【図9】別の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図10】別の引起こし部の正面視関係図
【図11】図10の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図12】別の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図13】別の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図14】別の引起こし部の要部平面図
【図15】別の引起こし部の要部側面図
【図16】別の引起こし部の要部平面図
【図17】別の引起こし部の要部側面図
【図18】別の引起こし部の正面視関係図、および図19の
【図19】図18の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図20】別の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図21】別の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図22】別の引起こし部の正面視関係図(a)および要部側面図(b)
【図23】別の引起こし部の正面視関係図(a)および要部側面図(b)
【図24】別の引起こし部の正面視関係図(a)および要部側面図(b)
【符号の説明】
【0063】
1L,1R クローラ
6 フレーム
26 左右回動アーム
30 左右バランススプリング
34 左右カバーフレーム
36 左右橇体
37 分草体
37a 内側バー
40 ラグ(周回ラグ機構)
42 引起し装置
49 掻き上げ装置
51 レシプロカッター
55 左右フレーム
74 掻き込み装置
81 補助引起こし装置
81a 周回ラグ機構
A 走行装置
D 茎葉寄せ装置
E 刈取装置
F 搬送装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、地表に露出している甘藷や馬鈴薯等の作物の蔓や茎や葉(以下、茎葉という)を収穫する茎葉収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来茎葉処理機として、特許文献1に示されるように、左右一対の掻込ベルトの外周部に掻込爪を突出した周回ラグ機構による掻込装置を備えたものがある。この掻込装置は、掻込爪により畝上の茎葉部を引っ掛けて持ち上げることによって一対の掻込ベルト間に掻き寄せ、引抜き装置に導くことができる。
また、特許文献2に示されるように、掻き込み機構の先端に分草装置を取付けたものがある。この分草装置によって畝面や畝間に倒伏した茎葉を引き起こし、掻込装置を介して搬送装置に茎葉を送ることにより茎葉を収穫することができる。
【特許文献1】特開2002−253019号公報
【特許文献2】特開2005−160467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、隣接条の茎葉が収穫条の茎葉と絡まっている圃場状況においては、いずれの茎葉処理機でも、絡まった隣接条の茎葉を含めて刈取りすることとなり、その結果、隣接条の茎葉株が引き抜かれる事態を招くという欠点がある。
また、カッタで切断する際に、隣接条を含む大量の茎葉の処理ができずに刈取走行の中断を余儀なくされることにより、収穫作業に支障を招くという問題がある。
【0004】
本発明の目的は、隣接条の茎葉株を引き抜く事態を防止して圃場の荒れを招くことなく、能率よく茎葉の収穫作業をすることができる茎葉収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、収穫条の茎葉株の茎葉部をその下側位置からガイドして掬上げる分草体と、掬上げられた茎葉部をその左右両側から引起こす周回ラグ機構を備えた左右引起こし装置と、引起こされた茎葉部を受けて切断する刈取装置と、上記左右引起こし装置を圃場面から一定高さ位置に追従支持する左右橇体とを備えた収穫部を機体前部に備えて茎葉の収穫走行が可能な茎葉収穫機において、上記左右引起こし装置の少なくとも一方には、その外側位置で茎葉部を引起こす周回ラグ機構を備えた左右補助引起こし装置を設けたことを特徴とする。
【0006】
上記茎葉収穫機は、左右引起こし装置が収穫条の茎葉を引起こすとともに、その外側の左右補助引起こし装置が隣接畝との間で茎葉を引起こすことにより、絡みついている隣接条の茎葉を分離して収穫条の茎葉だけが収穫できる。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記左右補助引起こし装置は、左右それぞれの側について左右引起こし装置より前側に配置したことを特徴とする。
上記茎葉収穫機は、左右補助引起こし装置が左右引起こし装置より先行することから、隣接条の茎葉を引起こした後に左右引起こし装置が収穫条の茎葉を引起こして収穫する。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2の構成において、前記左右分草体は、左右引起こし装置と左右補助引起こし装置との間で且つ両者より前側に配置したことを特徴とする。
上記茎葉収穫機は、左右引起こし装置と左右補助引起こし装置との間で左右分草体が先行して圃場面から茎葉を掬い上げ、これを左右引起こし装置と左右補助引起こし装置により引き起こし動作する。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1または請求項2の構成において、前記切断装置は、左右補助引起こし装置の幅内で且つ左右引起こし装置の幅を超える切断範囲を有することを特徴とする。
上記茎葉収穫機は、引き起こされた茎葉について、左右補助引起こし装置の幅内で左右引起こし装置の幅を超える範囲について主として収穫条の茎葉が切断される。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1または請求項2の構成において、前記左右橇体は、左右引起こし装置とその外側の左右補助引起こし装置との間に装着することを特徴とする。
上記茎葉収穫機は、左右橇体が左右引起こし装置とその外側の左右補助引起こし装置との間で両者を同時に支持しつつ圃場面に追従することから、引き起こし作用が作業高さと対応して一定に保持される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明は、絡みついている隣接条の茎葉を分離して収穫条の茎葉だけが収穫できるので、隣接条の茎葉株を引き抜く事態を防止して圃場の荒れを抑えつつ、隣接条に及ぶ大量の茎葉を取り込んだ場合の刈取装置の過負荷停止による収穫作業の中断を防止することができる。
【0012】
請求項2に係る発明の茎葉収穫機は、隣接条の茎葉を引起こしてから左右引起こし装置が収穫条の茎葉を引起こして収穫することから、隣接条の茎葉の分離が確実化される。
【0013】
請求項3に係る発明の茎葉収穫機は、左右分草体が先行して圃場面から茎葉を掬い上げ、左右引起こし装置と左右補助引起こし装置により引き起こしすることから、茎葉の取込み漏れが抑えられる。
【0014】
請求項4に係る発明の茎葉収穫機により、左右補助引起こし装置の幅内で且つ左右引起こし装置の幅を超える範囲について茎葉が切断され、主として収穫条の茎葉が刈取られることから、隣接条の茎葉株を引き抜く事態を防止して圃場の荒れを抑えつつ、隣接条に及ぶ大量の茎葉を取り込んだ場合の切断装置の過負荷停止による収穫作業の中断を防止することができる。
【0015】
請求項5に係る発明の茎葉収穫機は、左右橇体によって引き起こし作用が作業高さと対応して一定に保持されるので、斑のない収穫が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、本発明の実施の適用対象例としての甘藷の茎葉収穫機の基本構成について説明する。
図1、図2に示すように、甘藷の茎葉収穫機は、機体を走行させる走行装置Aと、操縦者が機体を操作するために搭乗する操縦部Bと、茎葉を収容する収容体23を載置する載置部Cと、茎葉を機体内側へ寄せる茎葉寄せ装置Dと、該茎葉寄せ装置Dで寄せられた茎葉を刈り取る刈取装置Eと、該刈取装置Eで刈り取られた茎葉を後方に搬送する搬送装置Fと、該搬送装置Fにて搬送されてきた茎葉を収容する収容部Gとから構成される。
【0017】
以下において各部の構成を具体的に説明する。
走行装置Aは、機体前部側の左右転輪2,2と機体後部側の左右駆動スプロケット3,3と、該左右転輪2,2と左右駆動スプロケット3,3との間に取り付けた転輪4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右一対のクローラ1L,1Rを構成する。また、フレーム6の後部下部にギアボックス7を取り付け、該フレーム6の上面の左側部にエンジン9と油圧ポンプ10を取り付ける。そして、該エンジン9の駆動軸11aと油圧ポンプ10の駆動軸11bの各々の左端部にプーリ12a,12bを取り付けると共に、該プーリ12a,12b間にベルト13を巻き掛ける。さらに、該エンジン9の駆動軸11aの右端部にプーリ15a取り付け、該プーリ15aとギアボックス7の入力軸7aに取り付けるプーリ15bとの間にベルト16を巻き掛ける。そして、前記ギアボックス7から左右方向にドライブシャフト8を延出させ、該ドライブシャフト8の両端にクローラ1L,1Rの駆動スプロケット3,3を軸着させてフレーム6の下部に一定の左右間隔を設けて取り付けた左右クローラ1L,1Rを駆動する構成としている。
【0018】
操縦部Bは、前記フレーム6の上面の左側部に操縦台17を取り付け、該操縦台17には左右クローラ1L,1Rの回転方向や回転速度を調節して、機体の前後進や走行速度を切り換える左右走行操作レバー18a,18bと、後述する茎葉寄せ装置Dを昇降動作させる昇降レバー19a,19bと、搬送装置Fを昇降動作させる昇降レバー19cを取り付ける。そして、該操縦台17の後部に操縦者が搭乗する座席20を取り付けている。
【0019】
上記のように、機体の前後進や走行速度を切り換える左右走行操作レバー18a,18bや茎葉寄せ装置Dを昇降動作させる昇降レバー19a,19bや、搬送装置Fを昇降動作させる昇降レバー19cが操縦台17に設けられていることによって、操縦者は座席20に着座したまま機体の操作を行うことができるため、操縦者の労力を軽減することができる。
【0020】
載置部Cは、前記フレーム6の右側部に回動軸21を取り付け、該回動軸21に載置板22を折りたたみ可能に取り付けている。
【0021】
上記のように、載置板22を折りたたみ可能に設けていることにより、刈り取られた茎葉を収容する収容袋23が満杯になったとき、載置板22を展開することによって満杯になった収容袋23をフレーム6と載置板22の上に載置することができ、収容袋23を圃場に下ろす作業が省略されるため、作業能率を向上させることができると共に、圃場に下ろした収容袋23を回収する作業が省略されるため、作業者の労力が軽減される。
【0022】
(茎葉寄せ装置)
茎葉寄せ装置Dは、フレーム6の左右前側下部に左右ステー24を、左右クローラ1L,1Rよりも前方且つ後述する刈取装置Eよりも後側上方に取り付け、該左右ステー24の左右間に連結軸25を取り付けると共に、該連結軸25に左右回動アーム26を各々独立して上下方向に回動自在に取り付ける。そして、左右回動アーム26の前端部に左右ステー33を取り付け、該左右ステー33の後方位置に左右リンクアーム35を取り付け、該左右リンクアーム35と左右ステー33に左右カバーフレーム34を取り付ける。
【0023】
また、前記フレーム6の右側前端上部に支持フレーム27を取り付ける。そして、該支持フレーム27及び操縦部Bの操縦台17の上端部に左右リンクアーム28の基部を各々独立して上下方向に回動自在に取り付ける。また、該支持フレーム27及び操縦部Bの操縦台17の略中央部に左右固定フレーム29を取り付ける。さらに、該左右固定フレーム29の機体外側下部と左右回動アーム26の略中央部との間に左右バランススプリング30を取り付けると共に、左右固定フレーム29の機体内側上部と左右リンクアーム28の前端下部との間に左右シリンダ31を取り付ける。また、前記左右リンクアーム28の前端部と左右回動アーム26の略中央部との間に遊動機能を有する左右ワイヤー66を取り付ける。なお、左右ワイヤー66はチェーン等で構成してもよい。
【0024】
そして、前記左右カバーフレーム34の下端部から、機体後外側方向に延出させると共に後端部を上方に折り曲げた左右橇体36を取り付け、該左右橇体36の前部に後述する左右引起こしラグが通過する空間部を設けた左右分草体37を取り付けると共に、該左右分草体37の機体外側に左右ナロウガイド65を取り付ける。
【0025】
(引起し装置42)
そして、前記左右カバーフレーム34の内部上端に左右スプロケット38aを取り付け、左右カバーフレーム34の内部下端に左右スプロケット38bを取り付けると共に、該左右スプロケット38aと左右スプロケット38bとの間に左右チェーン39を巻き掛ける。そして、該左右チェーン39に引起しラグ40を取り付け、左右カバーフレーム34,34の機体内側上部に左右スプロケット38aを各々回転させる左右油圧モーター41を取り付けて、周回ラグ機構40による左右引起し装置42が構成される。
【0026】
(ガイド32、掻き上げ装置49)
また、前記左右カバーフレーム34の機体内側下部に左右フレーム43を取り付けると共に、該左右フレーム43に左右プレート44を後上り傾斜姿勢に設ける。そして、該左右プレート44の上端部の左右間隔を下端部の左右間隔と略同一または下端部の左右間隔よりも広くなるように取り付ける。また、前記左右プレート44の前端部に左右従動プーリ45を回動軸に軸着して取り付け、左右プレート44の後端部に左右駆動プーリ46を回動軸に軸着して取り付けると共に、該左右従動プーリ45と左右駆動プーリ46との間に左右ラグ付ベルト47を取り付ける。さらに、左右プレート44の下面から、後端部が機体外側方向に向けて開放された左右案内ガイド32を、後述の搬送装置Fの上方且つ機体後方に向けて後上り傾斜姿勢に設けると共に、前記左右駆動プーリ46の回動軸に、左右駆動プーリ46を回転させる左右油圧モーター48を各々取り付けることによって、左右掻き上げ装置49が構成される。
【0027】
(掻き込み装置74)
さらに、掻き込みローラ50にナイロンパイプ等の軟質材からなる掻き込み爪67を取り付けると共に、該掻き込みローラ50の中心部に回動軸68を設ける。そして、後述する搬送装置Fの左右フレーム55に左右支柱69を取り付け、該左右支柱69の左右上端部間にフレーム70を取り付けると共に、左右支柱69の上端部に左右フレーム71を取り付ける。また、該左右フレーム71の前端部に左右ジョイントアーム72を取り付け、該左右ジョイントアーム72間に掻き込みローラ50の回動軸68を回動自在に取り付けると共に、該左右ジョイントアーム72の左右一側に、掻き込みローラ50を回転させる油圧モーター73を取り付けて、掻き込み装置74を構成する。
【0028】
上記のように、フレーム6の左右前端下部に左右ステー24を、左右クローラ1L,1Rよりも前方に取り付けていることによって、左右ステー24の左右間に連結軸25を設けて左右ステー24を連結することができるので、機体の耐久性が強化される。
また、左右ステー24や連結軸25が刈取装置Eよりも上方に取り付けられていることによって、左右ステー24や連結軸25が畦や茎葉の刈り株に接触して機体の走行を妨げることを防止できるので、作業能率が向上する。
【0029】
また、機体の走行による振動等の影響を受けにくいフレーム6の左右前側下部に取り付けた左右ステー24の左右間に連結軸25を取り付けると共に、該連結軸25に左右引起こし装置42を前端部に備えた左右回動アーム26を取り付けたことによって、左右引起こし装置42もまた機体の走行による振動等の影響を受けにくくなるので、左右引起こし装置42の作業位置を安定させることができ、作業能率が向上する。
【0030】
さらに、左右回動アーム26が左右バランススプリング30によって上動方向に付勢されていると共に、左右引起こし装置42の下部に左右橇体36が取り付けられていることによって、左右引起こし装置42は圃場の起伏に応じて自由に上下動して、左右引起こし装置42の作業位置が適正になるので、作業能率が向上する。
【0031】
そして、左右回動アーム26が、左右各々独立して上下方向に回動自在に取り付けられていることによって、左右引起こし装置42は左右各々圃場の起伏に応じて自由に上下動して、左右引起こし装置42の左右各々の作業位置が適正になるので、作業能率が向上する。
【0032】
また、左右橇体36は機体後外側方向に延出させられていることによって、畝に敷設したマルチを傷つけることなく左右引起し装置42を畝に近づけることができるので、茎葉の引起しが効率よく行われ作業能率が向上すると共に、後端部を上方に折り曲げていることによって、機体を後退させるときに左右橇体36の後端部が圃場に刺さって機体の後退を妨げる事が防止され、作業能率が向上する。
【0033】
そして、左右回動アーム26と左右リンクアーム28とが遊動機能を有する左右ワイヤー66によって連結されていることによって、昇降レバー19a,19bを操作して左右シリンダ31を伸縮させて左右リンクアーム28を上下動させると左右回動アーム26が左右ワイヤー66によって上下動させられるので、左右引起こし装置42の作業位置を圃場条件等に合わせて調節することができ、作業能率が向上する。
【0034】
さらに、左右回動アーム26と左右リンクアーム28とが遊動機能を有する左右ワイヤー66によって連結されていることによって、左右引起こし装置42が圃場の起伏に合わせて自由に上下動するので、左右引起こし装置42の作業位置が適正になり、作業能率が向上する。
【0035】
また、左右掻き上げ装置49が左右引起し装置42に連結されていることによって、左右引起し装置42の作業位置が変わると、左右掻き上げ装置49の作業位置も連動して変わり、掻き込み装置74への茎葉の掻き上げ効率が変化しにくいので、作業能率を安定させることができる。
【0036】
そして、左右掻き上げ装置49の上端部の左右間隔が、下端部の左右間隔と略同一または下端部の左右間隔よりも上端部の左右間隔の方が広くなるように設けられていることによって、左右掻き上げ装置49の後部上端で茎葉が詰まって搬送装置Fに落下しなくなることが防止されるので、作業能率が向上する。
【0037】
さらに、左右案内ガイド32は、その後端部が機体外側方向に向けて開放されていると共に、搬送装置Fの上方且つ機体後方に向けて後上り傾斜姿勢に設けていることによって、茎葉を搬送装置F上に載るように誘導することができるので、圃場に落下する茎葉が少なくなり、圃場に落ちた茎葉を回収する作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、左右案内部材32の終端部に茎葉が詰まることが防止でき、作業能率が向上する。
【0038】
また、搬送装置Fの搬送始端部上方且つ左右引起し装置42の間に掻き込み装置74が設けられていることによって、刈取装置Eで刈り取られた茎葉が搬送装置Fに掻き込まれるため、刈り取られた茎葉が搬送装置Fに載り易くなり、圃場に落下する茎葉が少なくなるため作業能率が向上すると共に、茎葉の回収作業が省略されるため作業者の労力を軽減することができる。
【0039】
刈取装置Eは、前記左右フレーム55の前端下部にレシプロカッター51を取り付け、左右フレーム55の左右一側部にモーター52を取り付け、該モーター52の駆動軸53に偏心カム54を取り付けると共に、該偏心カム54をレシプロカッター51に取り付けている。
【0040】
搬送装置Fは、前記左右フレーム55の前後端にローラ55a,55bを取り付け、該ローラ55a,55b間に弾性材より構成する平ベルト56を巻き掛けると共に、ローラ55bの回動軸にモーター57を取り付ける。そして、前記左右フレーム55の略中央部下部に左右フレーム55を連結する第1繋ぎフレーム58を取り付け、該第1繋ぎフレーム58とフレーム6との間にシリンダ59を取り付ける。また、前記左右フレーム55を連結する第2繋ぎフレーム60と第3繋ぎフレーム61を、左右フレーム55の前部下部に取り付ける。そして、左右転輪63を各々左右アーム63aに取り付け、該左右アーム63aを第3繋ぎフレーム61に上下方向に回動自在に取り付けると共に、第2繋ぎフレーム60にシリンダ62の基部を枢着する。また、各左右アーム63aの上端より後部に延出した左右延出部材63bの後部に左右シリンダ62の前端を枢着している。
【0041】
上記のように、刈り取られた茎葉が弾性材より構成される平ベルト56の上面に載せられて搬送されることによって、茎葉が潰されたり引き摺られたりして傷付きにくくなると共に、搬送途中に選別作業を行えるので作物の商品価値を高めることができる。
【0042】
また、操作レバー19cを操作してシリンダ59及び左右シリンダ62を伸縮させることによって、搬送装置Fの平ベルト56と左右転輪63との傾斜角度を作業条件に適した角度に調節することができ、刈取装置Eで茎葉が刈り取られやすくなると共に、刈り取られた茎葉が搬送装置Fに載り易くなり作業能率が向上する。
【0043】
収容部Gは、前記フレーム6の後部に回動軸94を取り付け、該回動軸94に茎葉を収容する収容袋23を載置する載置台64を折りたたみ可能に取り付けると共に、左右フレーム55に収容袋23を吊り下げる吊り下げ枠93を取り付けている。
【0044】
上記のように、茎葉を収穫する収容袋23を吊り下げ枠93のフックに吊り下げて取り付けていることにより、該収容袋23が茎葉で満杯になったときは吊り下げ枠93のフックから満杯になった収容袋23を外して載置部Cの載置板22等に載置し、新しい収容袋23を吊り下げ体93のフックに引っ掛けるだけで収容を再開できるので、交換作業が簡単になる。
【0045】
また、載置部Cの載置板22と収容部Gの載置台64が折りたたみ可能であることによって、該載置板22と載置台64とを折りたたむことによって機体サイズをコンパクトにすることができ、軽トラック等にも積み込みやすくなる。
なお、本実施例では茎葉を収容する手段として収容袋23を例示しているが、載置台64上にコンテナ等を載置して茎葉を収容してもよい。
【0046】
(引起こし部)
次に、引起こし部の追加機能について説明する。
図3の正面視関係図および、図4の要部側面図に示すように、車幅方向について、左右の引起こし装置42、42の外側には、補助引起こし装置81、81をそれぞれ配置して引起こし装置42と2連に構成する。左右の補助引起こし装置81、81は、畝間に倒伏している茎葉部を引起こすための周回ラグ機構81aをそれぞれ備える。また、刈取装置Eのレシプロカッター51の切断範囲は、左右の補助引起こし装置81、81の間の幅寸法内で、左右の引起こし装置42、42間の幅寸法より広く構成する。
【0047】
上記茎葉収穫機は、引起こし装置42、42が収穫条の茎葉を引き起こすとともに、その外側の補助引起こし装置81、81が隣接畝との間で茎葉を引起こすことから、外側の掻き分けと内側の掻き上げによって、互いに重なって絡みついている隣接条の茎葉を分離して主として収穫条の茎葉が収穫できるので、隣接条の茎葉株を引き抜く事態を防止して圃場の荒れを抑えつつ、隣接条に及ぶ大量の茎葉を取り込んだ場合の刈取装置の過負荷停止による収穫作業の中断を防止することができる。
引き起こされた茎葉については、左右の引起こし装置42、42の幅を超えて左右の補助引起こし装置81、81の幅内の主として収穫条の茎葉が刈取装置Eによって切断されることから、隣接条の茎葉の分離が確実化される。
【0048】
また、図5の正面視関係図ならびに、図6の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、上記補助引起こし装置81は、引起こし装置42より前側に配置し、左右の分草体37、37の先端部は、作業畝の刈取りのために引起こし装置42のセンターから車幅方向について外側で、前後方向については補助引起こし装置81のラグ先端位置より先行する範囲に設定する。また、収穫の繰り返しによってクローラ跡の溝が深くなることから補助引起こし装置81を引起こし装置42より下位に構成する。
【0049】
このように、補助引起こし装置81を引起こし装置42より前側に配置することにより、先行する補助引起こし装置81が畝間の茎葉を掻き分けてから時間差で引起こし装置42が収穫条の茎葉を掻き上げ動作を行い、また、作業畝の刈り取りのために作業畝側に分草体37、37が必要となる。
【0050】
左右の分草体37、37は、図7の正面視関係図、および図8の要部側面図に示すように、左右のそれぞれの側において、引起こし装置42と補助引起こし装置81のケース間に配置する。このように構成することにより、確実な掬い上げが可能となる。また、分草体37、37は、図9の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、本体部の先端より内側バー37aを下に分岐させ、外側の本体部の上部へ茎葉を誘動させるため、内側バー37aに蔓等の茎葉が入り込むことがない。
【0051】
左右のフロート83、83は、図10の正面視関係図、および図11の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、左右のそれぞれの側において、引起こし装置42と補助引起こし装置81の間に配置し、スプリング付きのパンタグラフ機構36sを介して連結する。このように構成することにより、引起こし装置42と補助引起こし装置81の高さを平均的に合わせることができる。また、引起こし装置42および補助引起こし装置81に対して上下位置を調節可能に構成することにより、圃場条件により高さを変えることができる。
る。
【0052】
次に、切り分け手段については、図12の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、補助引起こし装置81の上部には、長い蔓がケースの上を乗り越えないように、それぞれに絡分けバー82、82を設ける。この絡分けバー82、82の下面にはカッター82sを設けることによって絡んだ蔓を切断する。また、図13の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、補助引起こし装置81の上部にカッター82cを設けることによっても同様の効果を得ることができる。
【0053】
次に、フロート83、83の形状については、図14の要部平面図に示すように、ゲージ輪63、63と干渉しないように切欠き83b、83bを前後に長くすることによって接地圧を下げることができる。また、図15の要部側面図に示すように、左右の補助引起こし装置81、81からマーカ84、84を出すことにより、簡易な構成でオペレータの視認性を確保することができる。
【0054】
また、図16の要部平面図に示すように、引起こし装置42と補助引起こし装置81のそれぞれにフロート83、85を取付け、引起こし装置42のケースから補助引起こし装置81のケースを吊り下げてこの補助引起こし装置81を引起こし装置42に対し自動スイングさせることにより、蔓を確実に掬い上げることができる。
この場合において、分草体37b、37cは引起こし装置42と補助引起こし装置81のそれぞれから取付ける。また、引起こし装置42と補助引起こし装置81の同時スイングと引起こし装置42に対して補助引起こし装置81をスイングする両スウイングとする。
【0055】
次に、引起こし部の動作については、図17の要部側面図に示すように、引起こし部を構成する引起こし装置42と補助引起こし装置81のそれぞれのラグ退没動作位置40b、81bが補助引起こし装置81の方が引起こし装置42より早く退没動作するように構成することで、蔓が内側で折れないようにすることができる。
【0056】
また、図18の正面視関係図、および図19の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、補助引起こし装置81を畝間略中央で縦掻き分け動作するタテ引起こし装置とし、その後方内側に横掬い上げ動作するヨコ掬上げ装置86を設け、対向する左右のヨコ掬上げ装置86、86の周回ラグ機構86a、86aの間を大きく広げて構成し、このヨコ掬上げ装置86、86の後方に掻込みベルト47、47を設け、また、両ヨコ掬上げ装置86、86の間に上方から掻込み装置74を設ける。
【0057】
それぞれの周回ラグ機構については、図20の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、タテ引起こし装置81のラグ端軌跡の下端位置の方がヨコ掬上げ装置86より下った位置に構成し、掻込みベルト47の方がヨコ掬上げ装置86よりラグ端軌跡下端位置を高く構成する。また、掻込みベルト47のラグ端軌跡については、ヨコ掬上げ装置86のラグ端軌跡に対し、下端部が軌跡内、上端部が軌跡外とすることにより、蔓等の茎葉を確実に刈取装置Eへ誘導することができる。ラグ退没動作位置86b、81bは、ヨコ掬上げ装置86の方がタテ引起こし装置81より早く退没し、また、ヨコ掬上げ装置86の退没動作位置の方が掻込みベルト47のラグより高く構成する。
【0058】
タテ引起こし装置81とヨコ掬上げ装置86の傾斜角度は、図21の要部側面図(a)および要部平面図(b)に示すように、ヨコ掬上げ装置86の傾斜を緩くすることにより、絡んでいる蔓を引き離す効果があり、また、掻込みベルト47の傾斜をヨコ掬上げ装置86より緩くすることにより、ヨコ掬上げ装置86に絡んだ蔓等の茎葉を引き離して中に寄せることができる。
【0059】
タテ引起こし装置81とヨコ掬上げ装置86の両ケースの内側端部間を繋ぐ内カバー87を設けることにより、掻き分けた蔓を内方に滑り易くすることができる。タテ引起こし装置81の外側にはヨコ掬上げ装置86の後方まで外カバー88を延ばして隣接条の茎葉がヨコ掬上げ装置86に巻き込まれないように構成する。上記内カバー87の下端はヨコ掬上げ装置86の下端部での効果を出すために三角状とし、上方に向かって徐々に直線化する。
【0060】
補助引起こし装置81と引起こし装置42のタテ2連構成の場合は、図22の正面視関係図(a)および要部側面図(b)に示すように、内側の左右の引起こし装置42、42は上部を近付けて内傾構成することにより、掻き上げられた茎葉を畝幅の中央に寄せることができる。その傾斜角度をハンドルHやモータMにより変更可能に構成することにより、長い茎葉は小傾斜、短い茎葉は大傾斜として茎葉長さに応じた調節が可能となる。それぞれの傾斜の回動点Sは下端部近くで傾斜ケースに近くすることで、ラグ81a先端の狂いを小さくすることができる。また、図23の正面視関係図(a)および要部側面図(b)に示すように、外側の左右の補助引起こし装置81、81は傾斜角度を可変に構成することにより、絡んだ茎葉の分離性を上げることができる。
【0061】
上記の場合において、内側の引起こし装置42は、図24の正面視関係図(a)および要部側面図(b)に示すように、左右それぞれの側について、外側の補助引起こし装置81より短くして内側に大きく傾けることにより、短い蔓に対応することができる。その傾斜角度は、正面視で可変に構成する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】茎葉収穫機の側面図
【図2】図1の茎葉収穫機の平面図
【図3】引起こし装置の正面視関係図
【図4】図3の引起こし部の要部側面図
【図5】別の引起こし部の正面視関係図
【図6】図5の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図7】別の引起こし部の正面視関係図
【図8】図7の引起こし部の要部側面図
【図9】別の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図10】別の引起こし部の正面視関係図
【図11】図10の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図12】別の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図13】別の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図14】別の引起こし部の要部平面図
【図15】別の引起こし部の要部側面図
【図16】別の引起こし部の要部平面図
【図17】別の引起こし部の要部側面図
【図18】別の引起こし部の正面視関係図、および図19の
【図19】図18の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図20】別の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図21】別の引起こし部の要部側面図(a)および要部平面図(b)
【図22】別の引起こし部の正面視関係図(a)および要部側面図(b)
【図23】別の引起こし部の正面視関係図(a)および要部側面図(b)
【図24】別の引起こし部の正面視関係図(a)および要部側面図(b)
【符号の説明】
【0063】
1L,1R クローラ
6 フレーム
26 左右回動アーム
30 左右バランススプリング
34 左右カバーフレーム
36 左右橇体
37 分草体
37a 内側バー
40 ラグ(周回ラグ機構)
42 引起し装置
49 掻き上げ装置
51 レシプロカッター
55 左右フレーム
74 掻き込み装置
81 補助引起こし装置
81a 周回ラグ機構
A 走行装置
D 茎葉寄せ装置
E 刈取装置
F 搬送装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫条の茎葉株の茎葉部をその下側位置からガイドして掬上げる分草体(37)と、掬上げられた茎葉部をその左右両側から引起こす左右引起こし装置(42)と、引起こされた茎葉部を受けて切断する刈取装置(51)と、上記左右引起こし装置(42)を圃場面から一定高さ位置に追従支持する左右橇体(36)とを備えた収穫部を機体前部に備えて茎葉の収穫走行が可能な茎葉収穫機において、
上記左右引起こし装置(42)の少なくとも一方には、その外側位置で茎葉部を引起こす左右補助引起こし装置(81)を設けたことを特徴とする茎葉収穫機。
【請求項2】
前記左右補助引起こし装置(81)は、左右それぞれの側について左右引起こし装置(42)より前側に配置したことを特徴とする請求項1記載の茎葉収穫機。
【請求項3】
前記左右分草体(37)は、左右引起こし装置(42)と左右補助引起こし装置(81)との間で且つ両者より前側に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の茎葉収穫機。
【請求項4】
前記切断装置(51)は、左右補助引起こし装置(81)の幅内で且つ左右引起こし装置(42)の幅を超える切断範囲を有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の茎葉収穫機。
【請求項5】
前記左右橇体(36)は、左右引起こし装置(42)とその外側の左右補助引起こし装置(81)との間に装着することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の茎葉収穫機。
【請求項1】
収穫条の茎葉株の茎葉部をその下側位置からガイドして掬上げる分草体(37)と、掬上げられた茎葉部をその左右両側から引起こす左右引起こし装置(42)と、引起こされた茎葉部を受けて切断する刈取装置(51)と、上記左右引起こし装置(42)を圃場面から一定高さ位置に追従支持する左右橇体(36)とを備えた収穫部を機体前部に備えて茎葉の収穫走行が可能な茎葉収穫機において、
上記左右引起こし装置(42)の少なくとも一方には、その外側位置で茎葉部を引起こす左右補助引起こし装置(81)を設けたことを特徴とする茎葉収穫機。
【請求項2】
前記左右補助引起こし装置(81)は、左右それぞれの側について左右引起こし装置(42)より前側に配置したことを特徴とする請求項1記載の茎葉収穫機。
【請求項3】
前記左右分草体(37)は、左右引起こし装置(42)と左右補助引起こし装置(81)との間で且つ両者より前側に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の茎葉収穫機。
【請求項4】
前記切断装置(51)は、左右補助引起こし装置(81)の幅内で且つ左右引起こし装置(42)の幅を超える切断範囲を有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の茎葉収穫機。
【請求項5】
前記左右橇体(36)は、左右引起こし装置(42)とその外側の左右補助引起こし装置(81)との間に装着することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の茎葉収穫機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2009−55803(P2009−55803A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223997(P2007−223997)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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