説明

荷重検出装置および座席

【課題】製造コストを低減すると共に、意匠性を損なうことなく荷重を検出できる荷重検出装置および座席を提供すること。
【解決手段】荷重を受ける座面シート15と、座面シート15の外側に配設された支持フレーム11と、支持フレーム11を介して座面シート15を多方向から引張する複数のワイヤ17と、複数のワイヤ17が張られた状態でワイヤ17に取り付けられており、座面シート15に作用する荷重に応じた引張力を検出するテンションゲージ22とを備え、テンションゲージ22は、複数のワイヤ17に作用する引張力の合力を検出可能に設ける構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に乗車した乗員の体重を検出する荷重検出装置および座席に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の乗員を保護するものとしてエアバッグシステムが車内に設置されている。このエアバッグシステムは、事故の衝撃により折り畳まれたバッグ内に不活性ガスが供給され、バッグを瞬時に展開して乗員を事故の衝撃から保護している。ところで、このようなエアバッグシステムは、乗員の体重に応じて不活性ガスの供給量が調整され、体重の軽い乗員に対しては不活性ガスの供給量を少なくしてバッグの展開による衝撃を小さくし、体重の重い乗員に対しては不活性ガスの供給量を多くしてバッグにより十分な支持力を与えるようにしている。
【0003】
従来、このようなエアバッグシステムにおいて乗員の体重を検出する荷重検出装置として、複数の荷重センサにより乗員の体重を検出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この荷重検出装置は、座面の下側の4隅に位置する4つの荷重センサと、座席を4つの荷重センサを介して前後方向に移動可能に下方から支持する支持機構とを有して構成され、4つの荷重センサの検出結果に基づいて乗員の体重が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−233821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の荷重検出装置においては、4つの荷重センサにより乗員の体重を検出しているため、部品点数が多くなると共に、座席が4つの荷重センサにより下側から支持されているため、各センサに対して衝突時の衝撃に耐える機械的強度が要求され、製造コストが増加するという問題があった。また、座席が支持機構および4つの荷重センサにより下側から支持されるため、座席の位置が高くなり、意匠性が悪くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、製造コストを低減すると共に、意匠性を損なうことなく荷重を検出できる荷重検出装置および座席を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の荷重検出装置は、荷重を受ける荷重受面を有する荷重受部と、前記荷重受部の外側に配設された支持部と、前記支持部を介して前記荷重受部を多方向から引張する複数の引張部材と、前記複数の引張部材が張られた状態で前記引張部材に取り付けられており、前記荷重受部に作用する荷重に応じた引張力を検出する引張力検出部とを備え、前記引張力検出部は、前記複数の引張部材に作用する引張力の合力を検出可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、荷重受部を引張支持する複数の引張部材が張られた状態で引張力検出部に接続され、複数の引張部材の合力を引張力検出部により検出するようにしたので、単一の引張力検出部により荷重に応じた引張力を検出することができる。また、例えば、座席等の取付対象を外部から支持することにより荷重を検出する構成ではないため、取付対象の内部に組み込むことができ、取付対象の意匠性を損なうことがない。したがって、製造コストを低減すると共に、意匠性を損なうことなく荷重を検出することができる。
【0009】
また本発明は、上記荷重検出装置において、前記複数の引張部材の弛みを防止するための弛み防止部を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、複数の引張部材の伸びを吸収して弛みを防止し、引張検出部の検出精度を向上させることができる。
【0011】
また本発明は、上記荷重検出装置において、前記弛み防止部は、両端が前記引張部材に接続されたコイルばねであることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、コイルばねの収縮力により引張部材の伸びを吸収して弛みを防止すると共に、弛み防止部を安価に構成することができる。なお、この場合、コイルばねのばね係数は、引張検出部の検出結果に影響を与えない程度に設定されていることが好ましい。
【0013】
また本発明は、上記荷重検出装置において、前記引張部材は、弾性材料のワイヤであることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、複数の引張部材の伸びを抑制して、引張検出部の検出精度を向上させることができる。
【0015】
また本発明は、上記荷重検出装置において、前記荷重受部は、シート状に形成されており、前記複数の引張部材は、略半数が前記荷重受部を一方向に引張し、残りの略半数が前記荷重受部を一方向に対して逆方向に引張しており、前記複数の引張部材の略半数および残りの略半数は、前記引張力検出部を間に挟んだ2箇所においてそれぞれ接続されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、複数の引張部材により荷重受部を安定的に引張支持すると共に、単純な接続構成で単一の引張力検出部により引張力の合力を検出させることができる。
【0017】
本発明の座席は、上記荷重検出装置と、座面パッドとを備え、前記荷重受面は前記座面パッドの着座荷重を受けることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、製造コストを低減すると共に、意匠性を損なうことなく座席に着座した使用者の着座荷重を検出することができ、例えば、エアバッグシステム等の乗員保護装置に適用させることが可能となる。
【0019】
また本発明は、上記座席において、背もたれパッドを備え、前記荷重受面は前記座面パッドおよび背もたれパッドの着座荷重を受けることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、背もたれ付きの座席であっても、使用者の着座荷重を精度よく検出することができる。
【0021】
本発明の他の荷重検出装置は、荷重を受けて引張される複数の引張部材と、前記引張部材を支持する支持部と、前記複数の引張部材が張られた状態で前記引張部材に取り付けられており、前記引張部材に作用する荷重に応じた引張力を検出する引張力検出部とを備え、前記引張力検出部は、前記複数の引張部材に作用する引張力の合力を検出可能に設けられていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、荷重を受けた複数の引張部材が、張られた状態で引張力検出部に接続され、複数の引張部材の合力を引張力検出部により検出するようにしたので、単一の引張力検出部により荷重に応じた引張力を検出することができる。また、例えば、座席等の取付対象を支持することにより荷重を検出する構成ではないため、取付対象の内部に組み込むことができ、取付対象の意匠性を損なうことがない。したがって、製造コストを低減すると共に、意匠性を損なうことなく荷重を検出することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、製造コストを低減すると共に、意匠性を損なうことなく荷重を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る荷重検出装置の第1の実施の形態を示す図であり、荷重検出装置を備えた座席の側面模式図である。
【図2】本発明に係る荷重検出装置の第1の実施の形態を示す図であり、荷重検出装置の模式図である。
【図3】本発明に係る荷重検出装置の第1の実施の形態を示す図であり、座席による荷重検出動作の説明図である。
【図4】本発明に係る荷重検出装置の第2の実施の形態を示す図であり、荷重検出装置を備えた座席の側面模式図である。
【図5】本発明に係る荷重検出装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る荷重検出装置を備えた座席の側面模式図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る荷重検出装置の模式図であり、(a)は上面模式図、(b)は裏面模式図である。なお、図1に示す破線は、車両用の座席の輪郭を示している。また、以下の説明では荷重検出センサを備えた車両用の座席を例示して説明するが、荷重検出センサを取付可能なものであればよく、例えば、ベッド、便座等にも適用可能であり、人間だけでなく動物や物の荷重を検出するものにも適用可能である。
【0026】
図1に示すように、座席1は、座部2と背もたれ部3とを有する車両用の座席であり、座部2の図示しない座席カバーの内側には、乗員が着座する座面パッド5と座面パッド5を介して乗員の着座荷重を検出する荷重検出装置7とが設けられている。座面パッド5は、ウレタンフォームにより板状に形成され、荷重検出装置7に取り付けられている。
【0027】
荷重検出装置7は、着座荷重を引張力として検出するものであり、座面に対して平行となるように座席1の支持面に固定された矩形枠状の支持フレーム11を有して構成されている。支持フレーム11には、座席前側の支持部11aに第1のプーリ12が回転自在に設けられ、座席後側の支持部11bに第2のプーリ13が回転自在に設けられている。
【0028】
図2に示すように、支持フレーム11の中央には、座面シート15が位置され、この座面シート15は第1、第2のプーリ12、13に架けられた複数(本実施の形態では6つ)のワイヤ17により座席1の前後方向に引張支持されている。また、荷重検出装置7の座面シート15の裏面側には、第1、第2のプーリ12、13により折り返されて接続された複数のワイヤ17に適度な引張力を付与するコイルばね21と、複数のワイヤ17の引張力の合力を検出するテンションゲージ22とが設けられている。
【0029】
座面シート15は、矩形状に形成されており、乗員の着座荷重を受ける荷重受面に座面パッド5が位置ズレしないように取り付けられる。複数のワイヤ17は、弾性材料で形成されており、半数(本実施の形態では3つ)が座面シート15の座席前側の一辺部に取り付けられ、残りの半数(本実施の形態では3つ)が座席後側の他辺部にそれぞれ取り付けられている。なお、本実施の形態では、座面シート15の対向する辺部に複数のワイヤ17を半数ずつ取り付ける構成としたが、半数ずつではなく、略半数ずつ取り付ける構成、例えば、座面シート15の一辺部に4つのワイヤ17を取り付け、他辺部に3つのワイヤ17を取り付ける構成としてもよい。
【0030】
座面シート15の座席前側の一辺部に取り付けられた各ワイヤ17a、17b、17cは、座席幅方向に等間隔に配置され、第1のプーリ12に折り返されて座面シート15の裏面側において接続され、ワイヤ17gにまとめられている。同様に、座面シート15の座席前側の他辺部に取り付けられた各ワイヤ17d、17e、17fは、座席幅方向に等間隔に配置され、第2のプーリ13に折り返されて、座面シート15の裏面側において接続され、ワイヤ17hにまとめられている。
【0031】
このとき、ワイヤ17aから17cの長さは、ワイヤ17gに引張力が作用した場合に張るように調整されている。同様に、ワイヤ17dから17fの長さは、ワイヤ17hに引張力が作用した場合に張るように調整されている。そして、ワイヤ17gは、ワイヤ17aから17cが張られた状態を保つようにコイルばね21の一端に接続され、ワイヤ17hは、ワイヤ17dから17fが張られた状態を保つようにテンションゲージ22および中間ワイヤ23を介してコイルばね21の他端に接続されている。したがって、ワイヤ17gにはワイヤ17aから17cの引張力の合力が作用し、ワイヤ17hにはワイヤ17dから17fの引張力の合力が作用する。
【0032】
コイルばね21は、複数のワイヤ17にプリテンションを付与して弛みを防止するものであり、一端がワイヤ17gに接続され、他端が中間ワイヤ23を介してテンションゲージ22に接続されている。この構成により、複数のワイヤ17に対して収縮力が作用するため、ワイヤ17の伸びを吸収することが可能となる。この場合、コイルばね21のばね係数は、ワイヤ17に伸びが生じない程度に設定されているものとする。
【0033】
テンションゲージ22は、一端が中間ワイヤ23に接続され、他端がワイヤ17hに接続されている。また、テンションゲージ22には、図示しない信号線を介して図示しないECU(Electronic Control Unit)に接続されており、検出された引張力に応じた信号が出力される。このように、テンションゲージ22から出力された引張力は、荷重と相関関係を有しているため、エアバッグシステム等の乗員保護装置に利用される。
【0034】
ここで、図3を参照して本発明の第1の実施の形態に係る座席による荷重検出動作について説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る座席による荷重検出動作の説明図である。
【0035】
図3(a)に示すように、乗員Mが座面パッド5の上に着座すると、荷重検出装置7の座面シート15には矢印Gに示すように鉛直方向下方に着座荷重が作用する。座面シート15に着座荷重が作用すると、座面シート15を引張支持する複数のワイヤ17が矢印tに示す方向に引張される。
【0036】
このとき、座面シート15の裏側では、図3(b)に示すように、各ワイヤ17が矢印tに示すように各ワイヤ17の延在方向に沿って引張され、テンションゲージ22には矢印Tに示すように各ワイヤ17の引張力の合力が作用する。そして、テンションゲージ22に各ワイヤ17の引張力の合力が検出され、検出結果がECUに出力される。
【0037】
また、荷重検出装置7は、テンションゲージ22に検出される引張力の合力と着座荷重とが相関関係を有するように、座面シート15やワイヤ17の材質や張り具合等が調整されており、着座荷重を精度よく検出するように構成されている。
【0038】
以上のように、本実施の形態に係る荷重検出装置7によれば、座面シート15を引張支持する複数のワイヤ17が、張られた状態で接続され、接続された複数のワイヤ17の合力をテンションゲージ22により検出するようにしたので、単一のテンションゲージ22により荷重に応じた引張力を検出することができる。また、座席1の内部に取り付けられるため、座席1の意匠性を損なうことがない。したがって、製造コストを低減すると共に、意匠性を損なうことなく荷重を検出することができる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本発明の第2の実施の形態に係る荷重検出装置を備えた座席は、上述した第1の実施の形態に係る荷重検出装置を備えた座席と背もたれに、もたれ掛った場合の着座荷重を可能な点においてのみ相違している。したがって、特に相違点についてのみ説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態に係る荷重検出装置を備えた座席の側面模式図である。
【0040】
図4に示すように、座席31は、座部32と背もたれ部33とを有する車両用の座席であり、座部32の図示しない座席カバーの内側には、乗員が着座する座面パッド35と、乗員Mがもたれ掛る背もたれパッド36と、座面パッド35および背もたれパッド36を介して乗員Mの着座荷重を検出する荷重検出装置37とが設けられている。座面パッド35および背もたれパッド36は、ウレタンフォームにより板状に形成され、荷重検出装置37に取り付けられている。
【0041】
荷重検出装置37は、座面に対して平行となるように座席31の支持面に固定された矩形枠状の座面用支持フレーム41と、座面用支持フレーム41から立ち上がるU字枠状の背もたれ用フレーム42とを有して構成されている。座面用支持フレーム41には、座席前側の支持部41aに第1のプーリ44が回転自在に設けられ、座席後側の支持部41bに第2のプーリ45が回転自在に設けられている。背もたれ用支持フレーム42には、座面用支持フレーム41の座席後側の支持部41bの上方に位置する座席上側の支持部42aに第3のプーリ46が回転自在に設けられている。
【0042】
また、第2のプーリ45の近傍には、座部32と背もたれ部33との屈曲部分に第4のプーリ47が図示しないフレームに回動自在に設けられている。そして、第4のプーリ47にワイヤ51が架けられることにより座席31の前面側で側面視L字状にワイヤ51が張られ、第2のプーリ45にワイヤ51が架けられることにより座席31の背面側で側面視L字状にワイヤ51が張られる。
【0043】
座面用支持フレーム41の中央には、座面シート53が位置され、背もたれ用支持フレーム42の中央には、背面シート54が位置されており、それぞれ第1、第2、第3、第4のプーリ44、45、46、47に架けられた複数のワイヤ51により引張支持されている。また、荷重検出装置37の座面シート53の裏面側には、第1、第2のプーリ44、45により折り返されて接続された複数のワイヤ51に適度な引張力を付与するコイルばね48と、複数の引張力の合力を検出するテンションゲージ49とが設けられている。
【0044】
このように構成された座席31に乗員Mが着座すると、荷重検出装置37の座面シート53には矢印G1に示すように鉛直方向下方に着座荷重が作用すると共に、背面シート54には矢印G2に示すように後方に着座荷重が作用する。座面シート53および背面シート54に着座荷重が作用すると、複数のワイヤ51が矢印tの示す方向に引張される。
【0045】
このとき、座面シート53の裏側では、各ワイヤ51が延在方向に沿って引張され、テンションゲージ49には矢印Tに示すように各ワイヤ51の引張力の合力が作用する。そして、テンションゲージ49に各ワイヤ51の引張力の合力が検出され、検出結果がECUに出力される。
【0046】
以上のように、本実施の形態に係る荷重検出装置37によれば、座面シート53および背面シート54を引張支持する複数のワイヤ51が、張られた状態で接続され、接続された複数のワイヤ51の合力をテンションゲージ49により検出するようにしたので、単一のテンションゲージ49により荷重に応じた引張力を検出することができる。このように、背もたれ付きの座席31であっても、乗員Mの着座荷重を精度よく検出することが可能となる。
【0047】
なお、上記した各実施の形態においては、テンションゲージ22、49に検出される引張力の合力と着座荷重とが相関関係を有する構成としたが、複数のレンジに分けて着座荷重が検出されるようにしてもよい。これにより、座面シート15、53、背面シート54、ワイヤ17、51の材質や張り具合等の調整が容易となる。例えば、乗員Mが大人か子供かを判定して、エアバッグシステムを作動させるときに有効である。
【0048】
また、上記した各実施の形態においては、複数のワイヤ17、51により座面シート15、53を支持する構成としたが、座面シート15、53の一辺部および他辺部にそれぞれ一本ずつ接続した2本のワイヤ17、51により座面シート15、53を支持する構成としてもよい。
【0049】
また、上記した各実施の形態においては、ワイヤ17、51の引張力を検出するものとしてテンションゲージ22、49を使用する構成としたが、この構成に限定されるものではない。各ワイヤ17、51の引張力の合力を検出するものであればよく、例えば、引張力検出部を板状の起歪体と、起歪体に貼着された歪ゲージ等で構成するようにしてもよい。
【0050】
また、上記した各実施の形態においては、乗員Mの荷重を引張力として伝達するものとして、ワイヤ17、51を使用する構成としたが、この構成に限定されるものではない。乗員Mの荷重を引張力として伝達するものであればよく、例えば、帯状に形成された帯状部材を使用する構成としてもよい。
【0051】
また、上記した各実施の形態においては、乗員Mの荷重を受けるものとして座面シート15、53および背面シート54を使用する構成としたが、この構成に限定されるものではない。着座荷重を受ける荷重受面を有するものであればよく、荷重受部を板状に形成してもよいし、矩形状のシートではなく三角形状のシートで構成してもよい。
【0052】
また、上記した各実施の形態においては、ワイヤ17、51の弛みを防止するものとしてコイルばね21、48を使用する構成としたが、この構成に限定されるものではない。ワイヤ17、51の弛みを防止するものであれば、どのような構成であってもよい。また、ワイヤ17、51の弾性が十分に小さく、ワイヤ17、51の張りを維持可能な場合や、着座荷重を複数のレンジに分けて検出するような高度の検出精度が求められていない場合にはコイルばね21、48を除いた構成としてもよい。
【0053】
また、上記した各実施の形態においては、座面シート15、53および背面シート54により着座荷重を受ける構成としたが、この構成に限定されるものではない。図5に示すように、例えば、直に複数のワイヤ65により着座荷重を受けるようにしてもよい。この場合、複数のワイヤ65に座面パッド66が支持されるように構成される。この構成により、座面シートおよび背面シートが不要な分だけ部品点数を削減して、製造コストを低減させることが可能となる。
【0054】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明したように、本発明は、製造コストを低減すると共に、意匠性を損なうことなく荷重を検出できるという効果を有し、特に自動車に乗車した乗員の体重を検出する荷重検出装置および座席に有用である。
【符号の説明】
【0056】
1、31 座席
2、32 座部
3、33 背もたれ部
5、35 座面パッド
7、37 荷重検出装置
11 支持フレーム(支持部)
12、44 第1のプーリ(支持部)
13、45 第2のプーリ(支持部)
15、53 座面シート(荷重受部)
17、51、65 ワイヤ(引張部材)
21、48 コイルばね(弛み防止部)
22、49 テンションゲージ(引張力検出部)
36 背もたれパッド
41 座面用支持フレーム(支持部)
42 背面用支持フレーム(支持部)
46 第3のプーリ(支持部)
47 第4のプーリ(支持部)
54 背面シート(荷重受部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重を受ける荷重受面を有する荷重受部と、
前記荷重受部の外側に配設された支持部と、
前記支持部を介して前記荷重受部を多方向から引張する複数の引張部材と、
前記複数の引張部材が張られた状態で前記引張部材に取り付けられており、前記荷重受部に作用する荷重に応じた引張力を検出する引張力検出部とを備え、
前記引張力検出部は、前記複数の引張部材に作用する引張力の合力を検出可能に設けられていることを特徴とする荷重検出装置。
【請求項2】
前記複数の引張部材の弛みを防止するための弛み防止部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の荷重検出装置。
【請求項3】
前記弛み防止部は、両端が前記引張部材に接続されたコイルばねであることを特徴とする請求項2に記載の荷重検出装置。
【請求項4】
前記引張部材は、弾性材料のワイヤであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項5】
前記荷重受部は、シート状に形成されており、
前記複数の引張部材は、略半数が前記荷重受部を一方向に引張し、残りの略半数が前記荷重受部を一方向に対して逆方向に引張しており、
前記複数の引張部材の略半数および残りの略半数は、前記引張力検出部を間に挟んだ2箇所においてそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の荷重検出装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5に記載の荷重検出装置と、座面パッドとを備え、前記荷重受面は前記座面パッドの着座荷重を受けることを特徴とする座席。
【請求項7】
背もたれパッドを備え、前記荷重受面は前記座面パッドおよび背もたれパッドの着座荷重を受けることを特徴とする請求項6に記載の座席。
【請求項8】
荷重を受けて引張される複数の引張部材と、
前記引張部材を支持する支持部と、
前記複数の引張部材が張られた状態で前記引張部材に取り付けられており、前記引張部材に作用する荷重に応じた引張力を検出する引張力検出部とを備え、
前記引張力検出部は、前記複数の引張部材に作用する引張力の合力を検出可能に設けられていることを特徴とする荷重検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−160049(P2010−160049A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2429(P2009−2429)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】