説明

蓋材及びそれを備えた密封容器

【課題】簡易な構成で蓋材の剥離強度を安定させることのできる蓋材、及びそれを備えた密封容器を提供する。
【解決手段】蓋材3は、基材層5と、中間層6と、熱可塑性樹脂層7とが順次積層されてなる構成であり、熱可塑性樹脂層7の表面を容器本体2のフランジ部2aに対向させて熱接着させる。熱可塑性樹脂層7は、中間層6と対向する側から第1ポリオレフィン層8、第1接着性樹脂層9a、EVOH層10、第2接着性樹脂層9b、第2ポリオレフィン層11が順次積層された5層構造であり、EVOH層10に対する第1接着性樹脂層9aの剥離強度を第2接着性樹脂層9bよりも小さくすることにより、第1接着性樹脂層9aとEVOH層10との間で剥離可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状、ゲル状または固体状の内容物を充填した容器の開口部を密封する蓋材、及び蓋材により密封して流通するカップ状の密封容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乳飲料、ジュース、コーヒー、ココア、紅茶等の液体飲料や固形状、粉末状の食品を充填した容器本体を蓋材で密封して流通する密封容器として、例えば特許文献1に開示されているような、紙の上面と下面とに、厚さ4〜9μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを積層し、この下面側二軸延伸ポリエステルフィルムの下面に熱可塑性樹脂のヒートシール層を設けてなる蓋材を、飲料入り合成樹脂製容器の開口部にヒートシールし、更にこの合成樹脂製容器の上側に、ストロー突き刺し用切れ目を有する合成樹脂製カバーを被せた密封容器が広く用いられている。
【0003】
特許文献1に記載の密封容器は、合成樹脂製カバーを被せているので流通やハンドリング時に蓋材に直接外力が加わることを防止でき、また蓋材に塵埃が付着することを防止できる。しかし、容器本体、蓋材以外に合成樹脂製カバーを別途手配する必要があり、部材点数やカバーを被せる工程が増えるためコストアップに繋がるという問題があった。一方、ユーザ側にとっても、使用後にカバーを分別して廃棄しなければならず面倒であるという問題があった。
【0004】
また、例えば特許文献2に開示されているように、易突き刺し性蓋材で容器本体の開口部を密封し、使用時に易突き刺し性蓋材にストローを突き刺して使用する密封容器も知られている。特許文献2に記載の密封容器は、特許文献1のように合成樹脂製カバーを設けていないので、製造者およびユーザの双方にとって利便性の高いものであるが、易突き刺し性蓋材のストロー突き刺し部分には微細穿孔や微細孔が施されており、しかも外面に露出しているために、流通時やハンドリング時に衝撃や外力が加わると破れやすいという問題や、ストロー突き刺し部分に塵埃が付着しやすく不衛生であるという問題があった。
【0005】
そこで、流通時やハンドリング時に外力によって蓋材が破損することがなく、使用時には開口部を容易に形成できる密封容器が提案されており、例えば特許文献3には、基材層と、中間層と、熱接着性樹脂層とが順次積層されてなる蓋材を、容器本体の開口部の口縁部に熱接着性樹脂層面を対向させて熱接着させた密封容器であって、蓋材が周縁外方に突出した摘み部を有し、熱接着性樹脂層の中間層と対向する側が少なくともポリプロピレン樹脂であり、中間層と熱接着性樹脂層がポリエチレン樹脂層を介してポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂層間で剥離可能に積層された構成からなり、熱接着性樹脂層にはストロー挿入孔形成用ハーフカットが形成され、且つ、摘み部近傍に1箇所乃至複数箇所の開封開始用ハーフカットが形成された密封容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2594337号公報
【特許文献2】特開平7−217069号公報
【特許文献3】特開2010−143583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3の密封容器では、流通時にストロー挿入孔が基材層及び中間層で被覆されているため衛生的であるが、蓋材をポリエチレン樹脂層とポリプロピレン樹脂層との層間で剥離させるため、剥離強度を安定させるのが困難であった。また、開封後の容器本体側には剛性の低い熱接着性樹脂層のみが残存するため、蓋材を剥離した後の残部の強度が低下して外力により破損するおそれもあった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、簡易な構成で蓋材の剥離強度を安定させることのできる蓋材、及びそれを備えた密封容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも基材層と最内層である熱可塑性樹脂層とを含む積層体により形成され、容器本体の開口部の開口縁に前記熱可塑性樹脂層を対向させて熱接着される熱接着部と、該熱接着部の周縁から外側に突出する摘み部と、を備えた密封容器用の蓋材であって、前記熱可塑性樹脂層は、前記基材層側から第1ポリオレフィン層、第1接着性樹脂層、EVOH層、第2接着性樹脂層、第2ポリオレフィン層が順次積層された構造であり、前記EVOH層に対する層間剥離強度が前記第1接着性樹脂層と前記第2接着性樹脂層とで異なることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の蓋材において、前記第1接着性樹脂層は、前記第2接着性樹脂層に比べて前記EVOH層に対する層間剥離強度が小さいことを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の蓋材において、前記EVOH層に対する前記第1接着性樹脂層の層間剥離強度F1が5gf/15mm幅〜100gf/15mm幅、前記EVOH層に対する前記第2接着性樹脂層の層間剥離強度F2が50gf/15mm幅以上、F1とF2の強度差が50gf/15mm幅以上であることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の蓋材において、前記摘み部近傍には1箇所ないし複数個所の開封開始用ハーフカットラインが前記第2ポリオレフィン層から前記EVOH層に亘って形成され、前記熱接着部の内側に内容物の取り出し口形成用ハーフカットラインが前記第2ポリオレフィン層から前記EVOH層に亘って形成されることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の蓋材において、前記第2接着性樹脂層は、前記第1接着性樹脂層に比べて前記EVOH層に対する層間剥離強度が小さいことを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の蓋材において、前記EVOH層に対する前記第1接着性樹脂層の層間剥離強度F1が50gf/15mm幅以上、前記EVOH層に対する前記第2接着性樹脂層の層間剥離強度F2が5gf/15mm幅〜100gf/15mm幅、F1とF2の強度差が50gf/15mm幅以上であることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の蓋材において、前記熱接着部の内側に内容物の取り出し口形成用ハーフカットラインが前記第2ポリオレフィン層から前記第2接着性樹脂層に亘って形成されることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の蓋材において、前記基材層と前記熱可塑性樹脂層との間に中間層を設けたことを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の蓋材と、該蓋材の前記熱接着部が熱接着されることにより開口部が封止される容器本体と、を備えた密封容器である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の構成によれば、EVOH層と第1接着性樹脂層、若しくはEVOH層と第2接着性樹脂層との間で安定した層間剥離が起こるため、簡易な構成で蓋材の剥離強度を安定させることができる。
【0019】
本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の蓋材において、EVOH層に対する第1接着性樹脂層の層間剥離強度を第2接着性樹脂層に比べて小さくすることにより、EVOH層と第1接着性樹脂層との間で蓋材を安定して剥離させることができる。また、蓋材の一部を剥離した後の容器本体側にEVOH層が残存するため、蓋材を剥離した後の残部の強度も維持可能となる。
【0020】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の蓋材において、EVOH層に対する第1接着性樹脂層の層間剥離強度F1を5gf/15mm幅〜100gf/15mm幅、EVOH層に対する第2接着性樹脂層の層間剥離強度F2を50gf/15mm幅以上、F1とF2の強度差を50gf/15mm幅以上とすることにより、蓋材の円滑かつ確実な剥離が可能となる。従って、蓋材の剥離時に力を要したり、容器本体側に残存するべきEVOH層まで剥離したりする不具合がなくなる。
【0021】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第2又は第3の構成の蓋材において、蓋材の摘み部近傍に1箇所ないし複数個所の開封開始用ハーフカットラインを第2ポリオレフィン層からEVOH層に亘って形成し、熱接着部の内側に内容物の取り出し口形成用ハーフカットラインを第2ポリオレフィン層からEVOH層に亘って形成することにより、流通時には内容物の取り出し口となる開口孔部分が基材層によって保護され、外部に露出せず衛生的であるとともに、使用時には蓋材の剥離によって取り出し口を容易に且つ安定して形成できる。また、開封開始用ハーフカットラインによって蓋材の剥離を円滑に開始させることができる。
【0022】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1の構成の蓋材において、EVOH層に対する第2接着性樹脂層の層間剥離強度を第1接着性樹脂層に比べて小さくすることにより、EVOH層と第2接着性樹脂層との間で蓋材を安定して剥離させることができる。
【0023】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第5の構成の蓋材において、EVOH層に対する第1接着性樹脂層の層間剥離強度F1を50gf/15mm幅以上、EVOH層に対する第2接着性樹脂層の層間剥離強度F2を5gf/15mm幅〜100gf/15mm幅、F1とF2の強度差を50gf/15mm幅以上とすることにより、蓋材の円滑かつ確実な剥離が可能となる。従って、蓋材の剥離時に力を要したり、基材層と共に剥離するべきEVOH層まで容器本体側に残存したりする不具合がなくなる。
【0024】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第5又は第6の構成の蓋材において、熱接着部の内側に内容物の取り出し口形成用ハーフカットラインを第2ポリオレフィン層から第2接着性樹脂層に亘って形成することにより、流通時には内容物の取り出し口となる開口孔部分が基材層によって保護され、外部に露出せず衛生的であるとともに、使用時には蓋材の剥離によって取り出し口を容易に且つ安定して形成できる。
【0025】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1乃至第7のいずれかの構成の蓋材において、基材層と熱可塑性樹脂層との間に中間層を設けることにより、流通時における蓋材のバリア性、密封性、耐突き刺し性等を向上させることができる。
【0026】
また、本発明の第9の構成によれば、上記第1乃至第8のいずれかの構成の蓋材と、該蓋材の熱接着部が熱接着されることにより開口部が封止される容器本体と、を備えることにより、簡易な構成で蓋材を円滑に、且つ安定して剥離できる密封容器となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の蓋材を用いて密封された密封容器の概略断面図
【図2】本発明の第1実施形態に係る蓋材を裏面側から見た平面図
【図3】第1実施形態の蓋材の積層構造を示す部分断面図
【図4】第1実施形態の蓋材が装着された密封容器の開口部周辺の部分断面図
【図5】図4の状態から蓋材を剥離する様子を示す部分断面図
【図6】蓋材を剥離した後の密封容器を上方から見た平面図
【図7】本発明の第2実施形態の蓋材が装着された密封容器の開口部周辺の部分断面図
【図8】図7の状態から蓋材を剥離する様子を示す部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の包装体について説明する。図1は、本発明の蓋材を用いて密封された密封容器の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示すように、密封容器1は、底面から上方の開口部に向かってテーパ形状である容器本体2の開口縁に形成されたフランジ部2aに蓋材3を熱接着したものである。密封容器1内には液状の内容物4(ここでは飲料)が充填されている。
【0029】
容器本体2は、上方に開口部を備え、下方に底面を有する構造であれば使用でき、形状が限定されるものではない。容器本体2としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂の射出成形品あるいは上記熱可塑性樹脂シートを真空成形、圧空成形して得られるシート成形品を使用できる。また、紙、金属箔、プラスチックやそれらを組み合わせた複合材料を用いてインモールド成形したインモールド成形品も使用できる。なお、蓋材3との熱融着のために、少なくともフランジ部2aの上面は蓋材3の熱可塑性樹脂層7(図2参照)と熱融着可能な材質としておく必要がある。
【0030】
図2は、本発明の第1実施形態に係る蓋材の積層構成を示す部分断面図である。蓋材3は、基材層5と、中間層6と、熱可塑性樹脂層7とが順次積層されてなる構成であり、熱可塑性樹脂層7の表面を容器本体2のフランジ部2aに対向させて熱接着させる。
【0031】
基材層5は、蓋材3を構成する基本素材となること、更に、金属または金属酸化物の薄膜からなるバリア層(後述)を設ける場合、バリア層を保持する基材となること等から、それらの形成、加工等の条件に耐え、かつ、その特性を損なうことなくそれらを良好に保持することができ、更に、包装体の製造に際し、加工作業性、耐熱性、滑り性、耐ピンホール性、水蒸気またはガスバリア性、その他の諸物性において優れたものであることが好ましい。
【0032】
基材層5としては、コート紙、片アート紙、上質紙、クラフト紙等の紙や、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム等の単体ないしそれらの積層体が用いられ、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムが特に好適に用いられる。2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの具体的な材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン−2、6−ナフタレート樹脂、ポリブチレン−2、6−ナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂等の各種のポリエステル系樹脂を使用することができる。また、これらのフィルムに酸化アルミニウム、酸化珪素等の無機酸化物を蒸着したフィルムや、これらのフィルムにポリビニルアルコールや塩化ビニリデン等のバリア性樹脂をコーティングもしくは共押出ししたフィルムを用いることができる。基材層5の厚さは、通常6〜50μm程度である。
【0033】
中間層6は、密封容器1に封入される内容物4が水分や酸素により変質し易い場合、包装体1に高い水蒸気バリア性、ガスバリア性、耐突き刺し(耐ピンホール)性、耐熱性、耐光性、品質保全性、作業性、衛生性等を付与するものである。
【0034】
中間層6としては、基材層5に用いる紙、フィルム、アルミニウム箔等の金属箔や、金属または金属酸化物を蒸着した蒸着膜金属箔、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂フィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。また、これらを組み合わせて積層した複合材も使用でき、包装目的や内容物の種類、内容物の充填等の条件により適宜決定すればよい。また、フィルムには酸化チタン、カーボンブラック等の顔料を添加して着色してもよい。中間層6の厚さは、9〜100μm程度である。
【0035】
熱可塑性樹脂層7は、中間層6と対向する側から第1ポリオレフィン層8、第1接着性樹脂層9a、EVOH層10、第2接着性樹脂層9b、第2ポリオレフィン層11が順次積層された5層構造である。
【0036】
第1ポリオレフィン層8、第2ポリオレフィン層11は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等のポリエチレン、またはポリプロピレン等から選択されるポリオレフィン系樹脂が用いられ、好ましいものとしては、未延伸ポリエチレンを挙げることができる。第1ポリオレフィン層8、第2ポリオレフィン層11の厚さとしては、ヒートシール性等を考慮すると、10μm〜100μm程度、特に15μm〜50μm程度であることが好ましい。
【0037】
なお、第2ポリオレフィン層11は、対向する容器本体2のフランジ部2aと同一の材質を用いることで容器本体2と蓋材3との熱融着強度を高めることができる。例えば、蓋材3の第2ポリオレフィン層11と対向する容器本体2のフランジ部2aがポリプロピレンであれば、第2ポリオレフィン層11としてポリプロピレン層を用い、フランジ部2aがポリエチレンであれば、第2ポリオレフィン層11としてポリエチレン層を用いることが好ましい。
【0038】

EVOH層10は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)の層であり、蓋材3に剥離性、バリア性、強度(剛性)を付与するものである。EVOH層10の厚さは、5〜20μm程度である。
【0039】
第1接着性樹脂層9a、第2接着性樹脂層9bは、第1ポリオレフィン層8、第2ポリオレフィン層11とEVOH層10とを所定の剥離強度で接着するものである。第1接着性樹脂層9a、第2接着性樹脂層9bとしては、ポリオレフィン樹脂に無水マレイン酸を導入して接着性を付与した変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン等の変性ポリオレフィンが用いられる。
【0040】
第1ポリオレフィン層8、第2ポリオレフィン層11として通常の押し出しフィルムを使用すると、オレフィンが酸化されてしまい好ましくない。そこで、本実施形態では、第1ポリオレフィン層8、第1接着性樹脂層9a、EVOH層10、第2接着性樹脂層9b、第2ポリオレフィン層11から成る5層共押しフィルムを用いている。
【0041】
蓋材3の具体的な製造方法は、基材層5と中間層6とを予め低密度ポリエチレン層を介してサンドイッチラミネーションした中間体フィルムを形成しておき、この中間体フィルムの中間層6と、5層共押しフィルムの第1ポリオレフィン層8とを、押出しラミネーターを用いて熱溶融させたポリエチレン樹脂をダイスより溶融押出しした低密度ポリエチレン層を介してサンドイッチラミネーションすることにより蓋材3の積層構造を形成する。そして、第2ポリオレフィン層11側から開封開始用ハーフカットL1及び飲み口形成用ハーフカットL2を形成し、開封開始用ハーフカットL1及び飲み口形成用ハーフカットL2の位置に合わせて所望の形状に打ち抜いて蓋材3が形成される。
【0042】
また、熱溶融させたポリエチレン樹脂に代えて、ドライラミネート層を用いて基材層5と中間層6、中間層6と熱可塑性樹脂層7をラミネートすることもできる。ドライラミネート層を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或いは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。
【0043】
また、本実施形態の蓋材3では、後述するようにEVOH層10に対する第1接着性樹脂層9aの剥離強度を第2接着性樹脂層9bよりも小さくすることにより、第1接着性樹脂層9aとEVOH層10との間で剥離可能としている。
【0044】
なお、図2に示した蓋材3の積層構造は好ましい一例であり、少なくとも基材層5と最内層である熱可塑性樹脂層7とを含む積層構造であれば良い。蓋材3の具体的な構成を例示すると
(1)二軸延伸ポリエステルフィルム(基材層5)/低密度ポリエチレン層(接着層)/未延伸ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂とEVOH樹脂と変性ポリエチレン樹脂と未延伸ポリエチレン樹脂の5層共押しフィルム(熱可塑性樹脂層7)
(2)二軸延伸ポリエステルフィルム(基材層5)/ドライラミネート層(接着層)/アルミ箔(中間層6)/ドライラミネート層(接着層)/未延伸ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂とEVOH樹脂と変性ポリエチレン樹脂と未延伸ポリエチレン樹脂の5層共押しフィルム(熱可塑性樹脂層7)
(3)片アート紙(基材層5)/低密度ポリエチレン層(接着層)/アルミ箔(中間層6)/低密度ポリエチレン(接着層)/未延伸ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂とEVOH樹脂と変性ポリエチレン樹脂と未延伸ポリエチレン樹脂の5層共押しフィルム(熱可塑性樹脂層7)
等が挙げられる。
【0045】
図3は、第1実施形態の蓋材を裏面側から見た平面図であり、図4は、第1実施形態の蓋材が装着された密封容器1の開口部周辺の部分断面図である。図3に示すように、円形状の蓋材3は、開封を容易にするために周縁に外方に突出した摘み部3aを有している。また、摘み部3a近傍の熱接着性樹脂層7には複数箇所の開封開始用ハーフカットL1が形成されている。図3に示すように、開封開始用ハーフカットL1は、少なくとも1箇所が熱接着部形成予定部(図3のハッチング部分)の摘み部3aとの接点を中点として摘み部3a側に2mm離れた位置から摘み部3aと反対側に2mm離れた範囲(以下、最適範囲という)に形成することが好ましい。
【0046】
また、開封開始用ハーフカットL1は曲線でもよいが、開封方向に対して略直交する直線状とする方が熱可塑性樹脂層7内の第1ポリオレフィン層8とEVOH層10との間で剥離が容易となるので好ましい。また、開封開始用ハーフカットL1は複数箇所設ける方が蓋材3と容器本体2のフランジ部2aとの位置合わせにズレが生じても蓋材3の剥離が容易となるので好ましい。また、複数箇所形成する場合には、0.5〜2.0mm間隔で形成するのがよい。なお、開封開始用ハーフカットL1を1箇所とする場合には、上記最適範囲に形成することが肝要である。
【0047】
また、蓋材3の熱接着部形成予定部で囲まれた領域内であって、容器本体2の開口部と対向する熱可塑性樹脂層7には飲み口形成用ハーフカットL2が形成されている。図4に示すように、開封開始用ハーフカットL1及び飲み口形成用ハーフカットL2は、第2ポリオレフィン層11、第2接着性樹脂層9b、及びEVOH層10を貫通するように形成されている。そして、容器本体2のフランジ部2aと第2ポリオレフィン層11とがヒートシールの熱により融着して熱接着部13が形成される。
【0048】
図5は、図4の状態から蓋材を剥離する様子を示す部分断面図であり、図6は、蓋材を剥離した後の密封容器を上方から見た平面図である。図4〜図6を参照しながら本発明の密封容器の飲み口形成方法について説明する。図4に示した蓋材3の摘み部3aを指で摘み引っ張り上げることにより、図5に示すように、蓋材3の開封開始用ハーフカットL1を起点として剥離が開始され、第1接着性樹脂層9aとEVOH層10との間で順次層間剥離する。剥離が飲み口形成用ハーフカットL2に達すると、飲み口形成用ハーフカットL2で囲まれた部分(図3参照)のEVOH層10、第2接着性樹脂層9b、第2ポリオレフィン層11は基材層5や中間層6と一体化して持ち上げられ、図6に示すように、フランジ部2aに熱接着された状態で残存するEVOH層10、第2接着性樹脂層9b、第2ポリオレフィン層11に飲み口15が形成される。
【0049】
第1熱接着性樹脂層9aとEVOH層10との間で層間剥離された蓋材3は、図6のように完全に剥離して密封容器1から取り除いても良いし、飲み口15が形成されたところで剥離を止めて折り返してもよい。図4に示すように、開封するまでは開封開始用ハーフカットL1及び飲み口形成用ハーフカットL2は基材層5、中間層6で保護されているために、流通時やハンドリング時に衝撃や外力が加わることがあっても蓋材3が破損することがない。また、飲み口形成用ハーフカットL2周辺は、使用に際して飲み口15を形成するまでは直接外部と触れることがないために衛生的である。
【0050】
さらに、蓋材3の剥離後においても容器本体2の開口部にEVOH層10が残存するため、開封後の容器本体2に残存するフィルム(蓋材3の残部)の耐突き刺し性等が向上する。
【0051】
蓋材3の第1接着性樹脂層9aとEVOH層10との層間剥離強度F1は、層間剥離が容易となる5gf/15mm幅〜100gf/15mm幅の範囲が好ましい。また、第2接着性樹脂層9bとEVOH層との層間剥離強度F2は50gf/15mm幅以上が好ましい。
【0052】
さらに、EVOH層10よりも内側の層を容器本体2側に残したまま蓋材3を剥離可能とするためには、層間剥離強度F1とF2がF1<F2であることが必要である。このとき、F1とF2の強度差が小さすぎるとEVOH層10より内側の層も蓋材3の剥離と共に剥離されてしまい、飲み口15が安定して形成できなくなる。そのため、F1とF2の強度差は50gf/15mm幅以上であることが好ましい。
【0053】
層間剥離強度F1、F2は、EVOH層10のエチレン含有量や、第1接着性樹脂層9a、第2接着性樹脂層9bの種類や厚みを変更することで調整可能である。層間剥離強度F1、F2の好ましい数値としては、F1=40gf/15mm幅、F2=2kgf/15mm幅が挙げられる。なお、本明細書中における剥離強度および熱接着強度は、T字剥離により得られる測定値で示すものである。
【0054】
図7は、本発明の第2実施形態に係る蓋材が装着された密封容器の開口部周辺の部分断面図であり、図8は、図7の状態から蓋材を剥離する様子を示す部分断面図である。本実施形態の蓋材3は、EVOH層10に対する第2接着性樹脂層9bの層間剥離強度F2がEVOH層10に対する第1接着性樹脂層9aの層間剥離強度F1よりも小さくなっている。また、開封開始用ハーフカットL1は形成されておらず、飲み口形成用ハーフカットL2は第2ポリオレフィン層11、第2接着性樹脂層9bのみを貫通するように形成されている。蓋材3の他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。また、層間剥離強度F1、F2の好ましい範囲は第1実施形態の層間剥離強度F1、F2の好ましい範囲を入れ替えた値となり、層間剥離強度F1、F2の強度差の好ましい範囲は第1実施形態と同様である。
【0055】
図7に示した蓋材3の摘み部3aを指で摘み引っ張り上げることにより、図8に示すように、軟らかい第2ポリオレフィン層11及び第2接着性樹脂層9bが容器本体2のフランジ部2aの端縁で破断される。これにより、開封開始用ハーフカットL1を設けなくともフランジ部2aを起点として剥離が開始され、第2接着性樹脂層9bとEVOH層10との間で順次層間剥離する。剥離が飲み口形成用ハーフカットL2に達すると、飲み口形成用ハーフカットL2で囲まれた部分(図3参照)の第2接着性樹脂層9b、第2ポリオレフィン層11は基材層5や中間層6と一体化して持ち上げられ、図8に示すように、フランジ部2aに熱接着された状態で残存する第2接着性樹脂層9b、第2ポリオレフィン層11に飲み口15が形成される。
【0056】
この構成により、第1実施形態と同様に、開封するまでは飲み口形成用ハーフカットL2は基材層5、中間層6で保護されているために、流通時やハンドリング時に衝撃や外力が加わることがあっても蓋材3が破損することがない。また、飲み口形成用ハーフカットL2周辺は、使用に際して飲み口15を形成するまでは直接外部と触れることがないために衛生的である。
【0057】
また、本実施形態では蓋材3の剥離後に容器本体2の開口部にEVOH層10が残存しないため、開封後の容器本体2に残存するフィルム(蓋材3の残部)の耐突き刺し性等は第1実施形態に比べて劣る。しかし、開封後の密封容器1の剛性が要求されない用途においては、安定した開封性を備える本実施形態の蓋材3も有効に使用することができる。
【0058】
上記第2実施形態の蓋材3は、基材層5と中間層6とを予め積層した中間体フィルムに、第1実施形態で用いた第1ポリオレフィン層8、第1接着性樹脂層9a、EVOH層10、第2接着性樹脂層9b、第2ポリオレフィン層11から成り、層間剥離強度F1が層間剥離強度F2よりも小さい5層共押しフィルムの表裏面を、第1実施形態とは逆にしてラミネートすることにより容易に製造することができる。この場合、第1実施形態の第1ポリオレフィン層8、第1接着性樹脂層9aが第2実施形態の第2ポリオレフィン層11、第2接着性樹脂層9bとなり、第1実施形態の第2ポリオレフィン層11、第2接着性樹脂層9bが第2実施形態の第1ポリオレフィン層8、第1接着性樹脂層9aとなる。
【0059】
こうして得られた本発明の密封容器1は、液状、ゲル状、固形状、粉末状等の食品や飲料の容器として、流通時のハンドリング性、内容物の取り出し性、製造性等の優れた特性を有することから、使用性及びコスト等を著しく改良した密封容器を提供できるものである。
【0060】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では内容物4として飲料を充填し、飲み口形成用ハーフカットL2を形成したが、例えば飲み口形成用ハーフカットL2に代えてストロー孔形成用ハーフカットを形成しても良い。また、内容物4が固形状である場合は内容物の形状や大きさに応じた取り出し口形成用ハーフカットを形成すれば良い。
【0061】
さらに、内容物4の種類によっては取り出し口形成用ハーフカットを形成する必要がない場合もある。例えば、内容物4が芳香剤である場合、ポリオレフィン層は芳香成分を透過するため、ハーフカットを形成しない第2実施形態の蓋材3を用いることで、容器本体2に残存した第2ポリオレフィン層11及び第2接着性樹脂層9bを介して芳香成分を徐放できる芳香剤用の容器となる。
【0062】
また、上記の蓋材3の製造方法は好ましい一例に過ぎず、例えば蓋材3を構成する積層フィルムの製造方法として、通常の包装材料を製造するときに使用する積層法、例えば、ウエットラミネーション法、インフレーション法、その他の方法を用いることもできる。
【0063】
また、必要ならば上記各層の積層を行う際に、被積層基材の表面に、例えばアンカーコート処理、コロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理、ブラスト処理等の前処理を任意に施すことができる。以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0064】
厚さ25μmの二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材層5の片面に、熱可塑性樹脂層7として、直鎖低密度ポリエチレン26μm、無水マレイン酸を0.5重量%含有した酸変性ポリエチレン2μm、EVOH8μm、無水マレイン酸を1.5重量%含有した酸変性ポリエチレン3μm、直鎖低密度ポリエチレン36μmから成る5層共押しフィルム(三菱樹脂製)を、厚さ15μmの低密度ポリエチレン樹脂(接着層)を介して積層した。積層する際は、厚さ26μmの直鎖低密度ポリエチレン(第1ポリオレフィン層8)が基材層5に対向するようにした。
【0065】
得られた積層シートの熱可塑性樹脂層7側の面に、開封開始用ハーフカットL1及び飲み口形成用ハーフカットL2を形成し、さらに所定の形状に打ち抜いて図3に示したような第1実施形態の蓋材3を作製した。
【実施例2】
【0066】
基材層5の片面に、実施例1で用いた積層シートを厚さ36μmの直鎖低密度ポリエチレンが基材層5に対向するように積層する以外は実施例1と同様の方法により第2実施形態の蓋材3を作製した。
【比較例】
【0067】
熱可塑性樹脂層7として、厚さ20μmのポリエチレン層と厚さ30μmの片面コロナ処理した未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)との積層構造を用いる以外は実施例1と同様の方法により蓋材3を作製した。
〔試験例1〕
【0068】
実施例1、2、及び比較例で作成した蓋材3を、容器本体2のフランジ部2aに熱融着させて密封容器を作製し、蓋材3の剥離性(開封性)を評価した。その結果、実施例1、2で作製した蓋材3は、酸変性ポリエチレン層とEVOH層との間で安定して剥離し、飲み口が形成された。一方、比較例で作製した蓋材3は、ポリエチレン層とポリプロピレン層との間の剥離が安定せず、容器本体2側に残存するべきポリプロピレン層まで剥離する場合があった。
〔試験例2〕
【0069】
実施例1、2で作成した蓋材3を、容器本体2のフランジ部2aに熱融着させて密封容器を作製し、蓋材3の剥離後に容器本体2側に残存したフィルム(熱可塑性樹脂層7)のヤング率、コシ、突き刺し強度を測定した。フィルムのコシはJISK7127に準拠したループスティフネスの測定法を用いた。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
表1から明らかなように、容器本体2側にEVOH層が残存する実施例1では、EVOH層が残存しない実施例2に比べてフィルムのヤング率が約3倍、コシが約10倍、突き刺し強度が1.5倍に向上した。この結果より、第1実施形態の蓋材3を用いることで、開封後の容器本体上面の剛性がより高くなることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、内容物として液状、ゲル状、固形状、粉末状等の食品や飲料を充填する密封容器の蓋材に利用可能であり、蓋材の最内層である熱可塑性樹脂層が、基材層側から第1ポリオレフィン層、第1接着性樹脂層、EVOH層、第2接着性樹脂層、第2ポリオレフィン層が順次積層された構造であり、EVOH層に対する層間剥離強度が第1接着性樹脂層と第2接着性樹脂層とで異なるものである。
【0073】
本発明の利用により、EVOH層と第1接着性樹脂層若しくは第2接着性樹脂層との間で安定した層間剥離が起こるため、簡易な構成で蓋材の剥離強度を安定させることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 密封容器
2 容器本体
2a フランジ部
3 蓋材
3a 摘み部
4 内容物
5 基材層
6 中間層
7 熱可塑性樹脂層
8 第1ポリオレフィン層
9a 第1接着性樹脂層
9b 第2接着性樹脂層
10 EVOH層
11 第2ポリオレフィン層
13 熱接着部
15 飲み口(取り出し口)
L1 開封開始用ハーフカット
L2 飲み口形成用ハーフカット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材層と最内層である熱可塑性樹脂層とを含む積層体により形成され、容器本体の開口部の開口縁に前記熱可塑性樹脂層を対向させて熱接着される熱接着部と、該熱接着部の周縁から外側に突出する摘み部と、
を備えた密封容器用の蓋材であって、
前記熱可塑性樹脂層は、前記基材層側から第1ポリオレフィン層、第1接着性樹脂層、EVOH層、第2接着性樹脂層、第2ポリオレフィン層が順次積層された構造であり、前記EVOH層に対する層間剥離強度が前記第1接着性樹脂層と前記第2接着性樹脂層とで異なることを特徴とする蓋材。
【請求項2】
前記第1接着性樹脂層は、前記第2接着性樹脂層に比べて前記EVOH層に対する層間剥離強度が小さいことを特徴とする請求項1に記載の蓋材。
【請求項3】
前記EVOH層に対する前記第1接着性樹脂層の層間剥離強度F1が5gf/15mm幅〜100gf/15mm幅、前記EVOH層に対する前記第2接着性樹脂層の層間剥離強度F2が50gf/15mm幅以上、F1とF2の強度差が50gf/15mm幅以上であることを特徴とする請求項2に記載の蓋材。
【請求項4】
前記摘み部近傍には1箇所ないし複数個所の開封開始用ハーフカットラインが前記第2ポリオレフィン層から前記EVOH層に亘って形成され、前記熱接着部の内側に内容物の取り出し口形成用ハーフカットラインが前記第2ポリオレフィン層から前記EVOH層に亘って形成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の蓋材。
【請求項5】
前記第2接着性樹脂層は、前記第1接着性樹脂層に比べて前記EVOH層に対する層間剥離強度が小さいことを特徴とする請求項1に記載の蓋材。
【請求項6】
前記EVOH層に対する前記第1接着性樹脂層の層間剥離強度F1が50gf/15mm幅以上、前記EVOH層に対する前記第2接着性樹脂層の層間剥離強度F2が5gf/15mm幅〜100gf/15mm幅、F1とF2の強度差が50gf/15mm幅以上であることを特徴とする請求項5に記載の蓋材。
【請求項7】
前記熱接着部の内側に内容物の取り出し口形成用ハーフカットラインが前記第2ポリオレフィン層から前記第2接着性樹脂層に亘って形成されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の蓋材。
【請求項8】
前記基材層と前記熱可塑性樹脂層との間に中間層を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の蓋材。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の蓋材と、
該蓋材の前記熱接着部が熱接着されることにより開口部が封止される容器本体と、
を備えたことを特徴とする密封容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−76766(P2012−76766A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221894(P2010−221894)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】