説明

表示制御装置、及び表示装置

【課題】 複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に表示可能な表示部に対して、
複数の視方向のうちの所定の方向に対する表示映像を、使用者が所望する内容や状態に自
動的に切り替える制御を実施することができる表示制御装置を提供すること。
【解決手段】 複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に表示可能な表示部を制御
するための表示制御装置であって、所定の表示切替条件に基づいて、前記複数の視方向の
うちの所定の方向に対する表示映像の切替制御を行う表示制御手段を装備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示制御装置、及び表示装置に関し、より詳細には、複数の視方向に対する個
別の映像を同一画面上に表示可能な表示部に対する表示制御を実施するための表示制御装
置、及び該表示制御装置を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載される表示装置において、運転者に対する表示内容と、運転者以外の
乗員に対する表示内容とを異なるものにする技術について種々提案されている。例えば、
、下記の特許文献1には、図21に示したように、透明カバー51の両面に遮光帯52、
53を設け、運転席用映像を表示する帯状部群54から出射された光は運転者DRの目に
は入るが、助手席用映像を表示する帯状部群55から出射された光は運転者DRの目には
入らないようにし、他方、助手席用映像を表示する帯状部群55から出射された光は助手
席乗員PAの目には入るが、運転席用映像を表示する帯状部群54から出射された光は助
手席乗員PAの目には入らないようにした技術について開示されている。
【0003】
このような技術を採用することによって、図22に示したように、ナビゲーション装置
による地図映像57は、運転者DRからのみ見えるように(助手席乗員PAからは見えな
いように)表示装置56に表示され、DVD映像58は助手席乗員PAからのみ見えるよ
うに(運転者DRからは見えないように)表示装置56に表示させることができる。これ
によって、車両走行中であっても、助手席乗員PAはテレビや映画などを楽しむことがで
きる。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の表示装置では、運転者DRと助手席乗員PAとの間、
例えば、後方中央座席乗員からは、図23に示したような地図映像とDVD映像とが混ざ
り合った映像59が見えることとなり、運転者DRと助手席乗員PAとの間に位置する人
に対しては、DVD映像58、あるいは地図映像57などを単独で表示させることができ
ず、良好な表示映像を楽しむことができる座席位置(方向)が限られてしまうという課題
があった。
【0005】
一方、下記の特許文献2には、図24に示したように、液晶表示素子61とパララック
スバリア(スリットアレイ)62とを含んで構成され、液晶表示素子61の各画素61A
〜61Dに異なる画像信号が入力されると、4人の観察者A〜Dがそれぞれ異なる平面画
像を観察できる画像表示装置が開示されている。このような画像表示装置の構成を特許文
献1記載の表示装置に適用することにより、上記課題、すなわち、映像を楽しむことがで
きる座席位置(方向)が限られてしまうといった課題については解決することが可能であ
る。
【0006】
他方、1つの画面で、複数方向に対して異なる映像を映し出すことができるようになり
、異なる映像を楽しむことができる座席位置が増えた場合、各方向に対して表示する映像
の切替操作などが煩雑になる。
【0007】
このことに関し、特許文献2記載の画像表示装置では、リモートコントロール装置から
の信号に基づいて、該リモートコントロール装置を操作している観察者の方向を検出し、
該観察者の見ている画像部分だけを目的の画像に選択することができるようになっている

【0008】
しかしながら、特許文献2記載の画像表示装置においては、観察者B、C、Dが同じ画
像を見ようとした場合にも、観察者B、C、Dが、それぞれリモートコントロール装置で
同じ画像を選択する操作を行わなければならない。例えば、このような画像表示装置が車
両に搭載され、運転者DRに対しては、ナビゲーション装置の地図映像を表示させる一方
、助手席乗員PAや中央座席乗員に対しては、DVD映像を表示させようとした場合、助
手席乗員PAや中央座席乗員が個別にDVD映像への切替操作を行わなければならず、操
作が煩雑になってしまうという課題があった。
【0009】
また、特許文献1記載の表示装置では、運転席用映像が表示される帯状部群54(1つ
の画素列)と、助手席用映像が表示される帯状部群55(1つの画素列)とが横方向に交
互になるように表示制御されるようになっており、また、特許文献2記載の画像表示装置
では、観察者A〜Dが見る各画素61A〜61Dが横方向に交互になるように表示制御さ
れるようになっている。
【0010】
1つの画面で、複数の方向に対して異なる映像を表示させる場合、解像度が低くても支
障のない映像と、解像度が高い方が好ましい映像とを同時に表示させる場合も想定される
が、特許文献1、2記載の装置では、いずれの方向に映し出される映像も同じ解像度で表
示されるようになっているため、特定の映像の表示解像度を大きくしたりすることができ
ず、使用者にとってやや不満のある解像度でしか映像を表示させることができないという
課題もあった。
【特許文献1】特開2003−137005号公報
【特許文献2】特許第3503925号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、複数の視方向に対する個別の映像を同
一画面上に表示可能な表示部に対して、前記複数の視方向のうちの所定の方向に対する表
示映像を、使用者が所望する内容や状態に自動的に切り替える制御を実施することができ
、また、複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に表示可能な表示部に対して、前
記個別の映像のうちのいずれかの映像の視認性を向上させる制御を実施することができる
表示制御装置、及び表示装置を提供することを目的としている。
【0012】
上記目的を達成するために本発明に係る表示制御装置(1)は、複数の視方向に対する
個別の映像を同一画面上に表示可能な表示部を制御するための表示制御装置であって、所
定の表示切替条件に基づいて、前記複数の視方向のうちの所定の方向に対する表示映像の
切替制御を行う表示制御手段を備えていることを特徴としている。
【0013】
上記表示制御装置(1)によれば、前記表示切替条件に基づいて、前記所定の方向に対
する表示映像が切り替えられるので、使用者が所望する表示切替条件を予め設定しておく
ことにより、前記所定の方向に対する表示映像を、使用者が所望する状態に切り替えるこ
とができ、前記所定の方向に対する表示映像の切替操作の手間を省いたり、異なる方向に
映し出される各表示映像の視認性を高めたりする制御を実現することができる。
【0014】
また本発明に係る表示制御装置(2)は、上記表示制御装置(1)において、前記複数
の視方向のうちのどの方向に対する表示映像の切替が行なわれたかを判断する切替方向判
断手段と、前記表示切替条件が前記切替方向判断手段により判断された切替方向と関係す
るものであるか否かを判断する切替条件判断手段とを備え、前記表示制御手段が、前記切
替条件判断手段により、前記表示切替条件が前記切替方向と関係するものであると判断さ
れた場合、前記所定の方向に対する表示映像を前記切替方向と同じ表示映像に切り替える
制御を行うものであることを特徴としている。
【0015】
上記表示制御装置(2)によれば、前記表示切替条件が前記切替方向と関係するもので
あると判断された場合には、前記所定の方向に対する表示映像を前記切替方向と同じ表示
映像に切り替える制御が行われるので、前記所定の方向に対しては、前記切替方向と同じ
表示映像を常に表示させることができる。したがって、前記所定の方向に対しては、使用
者の切替操作の手間を省くことができる。
【0016】
また本発明に係る表示制御装置(3)は、上記表示制御装置(1)又は(2)において
、前記表示部には、1つの画面で、第1の方向と、第2の方向と、第3の方向とに対して
、異なる映像を映し出すための分離表示手段が装備され、前記表示制御手段が、前記表示
切替条件に基づいて、前記第2及び/又は第3の方向に対する表示映像の切替制御を行う
ものであることを特徴としている。
【0017】
上記表示制御装置(3)によれば、前記表示部には、1つの画面で、第1の方向(例え
ば、運転者の存在する方向)と、第2の方向(例えば、助手席乗員が存在する方向)と、
第3の方向(例えば、中央座席乗員が存在する方向)とに対して、異なる映像を映し出す
ための分離表示手段が装備され、前記表示制御手段により、前記表示切替条件に基づいて
、前記第2及び/又は第3の方向に対する表示映像の切替制御が行われるので、前記第2
及び/又は第3の方向に対する表示映像を、使用者が所望する状態に切り替えることがで
き、前記第2及び/又は第3の方向に対する表示映像の切替操作の手間を省いたり、異な
る方向に映し出される各表示映像の視認性を高めたりする制御を実現することができる。
【0018】
また本発明に係る表示制御装置(4)は、上記表示制御装置(3)において、前記表示
切替条件が、前記第2及び/又は第3の方向に対する表示映像を、前記第1の方向に対す
る表示映像と同じ映像に切り替えるという条件であることを特徴としている。
【0019】
上記表示制御装置(4)によれば、前記表示切替条件が、前記第2及び/又は第3の方
向に対する表示映像を、前記第1の方向に対する表示映像と同じ映像に切り替えるという
条件であるので、前記第1の方向(例えば、運転者の存在する方向)に対する表示映像が
切り替えられた場合、前記第1の方向に対する表示映像の切替に連動させて、前記第3の
方向(例えば、中央座席乗員の存在する方向)に対する表示映像も切り替えられることと
なり、前記第3の方向に存在する者は、切替操作を行うことなく、前記第1の方向に存在
する者と常に同じ映像を楽しむことができる。
【0020】
また本発明に係る表示制御装置(5)は、上記表示制御装置(3)において、前記表示
切替条件が、前記第3の方向に対する表示映像を、前記第2の方向に対する表示映像と同
じ映像に切り替えるという条件であることを特徴としている。
【0021】
上記表示制御装置(5)によれば、前記表示切替条件が、前記第3の方向に対する表示
映像を、前記第2の方向に対する表示映像と同じ映像に切り替えるという条件であるので
、前記第2の方向(例えば、助手席乗員の存在する方向)に対する表示映像が切り替えら
れた場合、前記第2の方向に対する表示映像の切替に連動させて、前記第3の方向(例え
ば、中央座席乗員の存在する方向)に対する表示映像も切り替えられることとなり、前記
第3の方向に存在する者は、切替操作を行うことなく、前記第2の方向に存在する者と常
に同じ映像を楽しむことができる。
【0022】
また本発明に係る表示制御装置(6)は、上記表示制御装置(3)において、前記表示
切替条件が、前記第2又は第3の方向に対する表示映像を出力しないという条件であるこ
とを特徴としている。
【0023】
上記表示制御装置(6)によれば、前記表示切替条件が、前記第2及び/又は第3の方
向に対する表示映像を出力しないという条件であるので、例えば、前記第3の方向(例え
ば、中央座席乗員の存在する方向)に対する表示映像を出力しないという条件の場合には
、前記第1の方向(例えば、運転者の存在する方向)に対する表示映像と、前記第2の方
向(例えば、助手席乗員の存在する方向)に対する表示映像とが、混じり合って映像が見
ずらくなるという影響(クロストークの影響)を小さくすることができ、前記第1の方向
に存在する者と、前記第2の方向に存在する者とに対して、より鮮明な映像を視認させる
ことができ、2方向に異なる映像を表示させる場合における視認性を高めることができる
。また、前記第2の方向(例えば、助手席乗員の存在する方向)に対する表示映像を出力
しないという条件の場合には、夜間等において、前記第2の方向に対する表示映像が、窓
に反射して運転者が眩惑されるような状態になることを防止することができる。
【0024】
また本発明に係る表示制御装置(7)は、上記表示制御装置(3)において、前記表示
切替条件が、前記第3の方向に対する表示映像には、該第3の方向用に設定された映像を
表示するという条件であることを特徴としている。
【0025】
上記表示制御装置(7)によれば、前記表示切替条件が、前記第3の方向に対する表示
映像には、該第3の方向用に設定された映像を表示するという条件であるので、前記第3
の方向に存在する者は、前記第1又は第2の方向に対する表示映像の切替等が行われた場
合であっても、前記第3の方向用の映像を常に楽しむことができる。
【0026】
また本発明に係る表示制御装置(8)は、上記表示制御装置(1)〜(3)のいずれか
において、前記表示切替条件を設定するための表示切替条件設定手段を備えていることを
特徴としている。
【0027】
上記表示制御装置(8)によれば、前記表示切替条件を設定するための表示切替条件設
定手段を備えているので、前記表示切替条件を状況等に応じて適宜設定することができ、
前記所定の方向に対する表示映像を、使用者が所望する状態に切り替えることができる。
【0028】
また本発明に係る表示装置(1)は、複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に
表示可能な表示部と、上記表示制御装置(1)〜(8)のいずれかとを含んで構成されて
いることを特徴としている。
【0029】
上記表示装置(1)によれば、複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に表示可
能な表示部に対して、上記表示制御装置(1)〜(8)の各制御を実現することができ、
上記表示制御装置(1)〜(8)のそれぞれの効果を得ることができる表示装置とするこ
とができる。
【0030】
また本発明に係る表示制御装置(9)は、複数の視方向に対する個別の映像を同一画面
上に表示可能な表示部を制御するための表示制御装置であって、前記表示部には、各視方
向に対する光の透過領域を変更するための光透過領域変更手段が装備され、該光透過領域
変更手段による各視方向に対する光の透過領域の変更と、前記各視方向に表示させる映像
の表示解像度とを対応させて制御する表示制御手段を備えていることを特徴としている。
【0031】
上記表示制御装置(9)によれば、前記光透過領域変更手段による各視方向に対する光
の透過領域の変更と、前記各視方向に表示させる映像の表示解像度とを対応させて表示制
御が行われるので、例えば、前記光透過領域変更手段による各視方向に対する光の透過領
域の変更に対応させて、前記各視方向に表示させる映像の表示解像度を調整して表示する
制御を行うことができ、前記各映像の視認領域の変更に対応させて、表示解像度を上げた
映像を表示させることができ、該映像の視認性を向上させることができる。または、前記
各視方向に表示させる映像の表示解像度の変更に対応させて、前記光透過領域変更手段に
よる各視方向に対する光の透過領域を変更して表示する制御を行うことができ、前記映像
の表示解像度の変更に対応させて、各映像の視認領域を広げたり、狭めることができ、所
定の映像の視認性を向上させることができる。
【0032】
また本発明に係る表示制御装置(10)は、上記表示制御装置(9)において、前記表
示部に映し出される映像数の変化を検出する映像数検出手段を備え、前記表示制御手段が
、前記映像数検出手段により検出された映像数に基づいて、前記光透過領域変更手段によ
る前記各視方向に対する光の透過領域の変更と、前記各視方向に表示させる映像の表示解
像度とを対応させて制御するものであることを特徴としている。
【0033】
上記表示制御装置(10)によれば、前記映像数検出手段により検出された映像数に基
づいて、前記光透過領域変更手段による前記各視方向に対する光の透過領域の変更と、前
記各視方向に表示させる映像の表示解像度とを対応させて表示制御が行われるので、前記
表示部に映し出される映像数に応じて、前記各視方向に対する光の透過領域の変更を行う
ことができる。例えば、前記表示部に映し出される映像数が1つの場合は、視野領域を1
つ、すなわち、分離表示しないように前記光透過領域変更手段による光の透過領域を変更
する。また、前記表示部に映し出される映像数が2つの場合には、視野領域を2つに分離
するように前記光透過領域変更手段による光の透過領域を変更する。さらに、前記表示部
に映し出される映像数が3つ以上の場合には、視野領域を3つ以上に分離するように前記
光透過領域変更手段による光の透過領域を変更することができる。そして、前記光透過領
域変更手段による光の透過領域の変更に対応させて、表示映像の表示解像度を調整する制
御が行われるので、前記表示部に映し出される映像数を少なくするほど、該映像の表示解
像度を上げることができ、視認性を向上させることができる。
【0034】
また本発明に係る表示制御装置(11)は、上記表示制御装置(9)において、前記表
示部に映し出される映像の種別を判別する映像種別判別手段を備え、前記表示制御手段が
、前記映像種別判別手段により判別された映像種別に基づいて、前記光透過領域変更手段
による前記各視方向に対する光の透過領域の変更と、前記各視方向に表示させる映像の表
示解像度とを対応させて制御するものであることを特徴としている。
【0035】
上記表示制御装置(11)によれば、前記表示部に映し出される映像の種別に応じて、
前記各視方向に対する光の透過領域と、前記各視方向に表示させる映像の表示解像度とを
対応させて制御することができ、例えば、映像の種別(映像ソース)に対応させた光の透
過領域の変更パターンなどを予め記憶させておき、各映像の種別を判別し、判別した各映
像の種別に応じて光の透過領域を変更する制御(例えば、予め設定された優先順位の高い
映像の視認領域を広げる制御など)を実現することができる。また、光の透過領域の変更
に対応させて、映像の表示解像度の調整も行われるので、例えば、光の透過領域を広げた
映像の表示解像度を上げることができ、映像の視認性も向上させることができる。
【0036】
また本発明に係る表示制御装置(12)は、上記表示制御装置(9)において、前記表
示部に映し出された、いずれかの映像に対する視認領域の変更操作を検出する視認領域変
更操作検出手段を備え、前記表示制御手段が、前記視認領域変更操作検出手段により検出
された前記視認領域の変更操作に基づいて、前記光透過領域変更手段による前記各視方向
に対する光の透過領域の変更と、前記各視方向に表示させる映像の表示解像度とを対応さ
せて制御するものであることを特徴としている。
【0037】
上記表示制御装置(12)によれば、前記表示部に映し出された、いずれかの映像に対
する視認領域の変更操作に応じて、前記各視方向に対する光の透過領域の変更と、前記各
視方向に表示させる映像の表示解像度とを対応させて制御することができる。例えば、視
認領域の変更操作が検出されたときの光の透過領域の変更パターンを予め記憶させておき
、視認領域の変更操作に対応させて、光の透過領域を変更する制御(例えば、視認領域の
変更操作が検出された映像の視認領域を広げる制御など)を実現することができる。また
、前記光の透過領域の変更に対応させて、映像の表示解像度の調整も行われるので、例え
ば、視認領域を広げた映像の表示解像度を上げることができ、映像の視認性も向上させる
ことができる。
【0038】
また本発明に係る表示制御装置(13)は、上記表示制御装置(9)において、前記表
示部に映し出された、いずれかの映像に対する操作を検出する操作検出手段を備え、前記
表示制御手段が、前記操作検出手段により検出された操作に基づいて、前記光透過領域変
更手段による前記各視方向に対する光の透過領域の変更と、前記各視方向に表示させる映
像の表示解像度とを対応させて制御するものであることを特徴としている。
【0039】
上記表示制御装置(13)によれば、前記表示部に映し出された、いずれかの映像に対
する操作に応じて、前記光透過領域変更手段による前記各視方向に対する光の透過領域の
変更と、前記各視方向に表示させる映像の表示解像度とを対応させて制御することができ
る。例えば、映像に対する操作が検出されたときの前記光の透過領域の変更パターンを予
め記憶させておき、映像に対する操作に対応させて、前記光の透過領域を変更する制御(
例えば、映像に対する何らかの操作が検出された方の映像の視認領域を広げる制御など)
を実現することができる。また、前記光透過領域変更手段による前記光の透過領域の変更
に対応させて、映像の表示解像度の調整も行われるので、例えば、前記操作が検出された
映像の視野領域が広げられるとともに表示解像度も上げることができ、視認性や操作性を
向上させることができる。
【0040】
また本発明に係る表示制御装置(14)は、上記表示制御装置(9)〜(13)におい
て、前記光透過領域変更手段が、液晶シャッターから構成され、該液晶シャッターの遮光
パターンが記憶された遮光パターン記憶手段を備え、前記表示制御手段が、前記遮光パタ
ーン記憶手段から光の透過領域の変更条件に対応した遮光パターンを読み出し、該遮光パ
ターンに基づいて前記液晶シャッターの制御を行うものであることを特徴としている。
【0041】
上記表示制御装置(14)によれば、前記表示制御手段が、前記遮光パターン記憶手段
から光の透過領域の変更条件に対応した遮光パターンを読み出し、該遮光パターンに基づ
いて前記液晶シャッターの制御を行うものであるので、前記液晶シャッターを制御するこ
とにより、前記各映像に対する光の透過領域を所定のパターンに自在に変更させることが
でき、多様な映像表示を実現することができる。
【0042】
また本発明に係る表示装置(2)は、複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に
表示可能に構成され、各視方向に対する光の透過領域を変更するための光透過領域変更手
段を備えた表示部と、上記表示制御装置(9)〜(14)にいずれかとを含んで構成され
ていることを特徴としている。
【0043】
上記表示装置(2)によれば、複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に表示可
能に構成され、各視方向に対する光の透過領域を変更するための光透過領域変更手段を備
えた表示部に対して、上記表示制御装置(9)〜(14)の各制御を実現することができ
、上記表示制御装置(9)〜(14)の各効果を得ることができる表示装置とすることが
できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明に係る表示制御装置及び表示装置の実施の形態を図面に基づいて説明する
。まず、図1〜図8に基づいて、本発明に係る表示制御装置及び表示装置が備えている、
複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に表示させる機能について詳細に説明する
。なお、ここでは2方向(左右方向)に対して個別の映像を同一画面上に表示させる機能
について説明するが、当該表示機能は、2方向のみの表示に限定される機能ではなく、3
方向以上に対して個別の映像を表示させる構成とすることも可能である。
【0045】
図1は、本発明に係る表示装置が備えている機能を概念的に示した図である。第1の画
像ソース101から出力された第1の画像データD1と、第2の画像ソース102から出
力された第2の画像データD2とが表示制御部103に入力され、表示制御部103で処
理された表示データD3が表示部104に出力されるように構成されている。
【0046】
本発明に係る表示装置では、表示部104に対して左側に位置する視聴者Lの方向には
、第1の画像データD1に基づく第1の表示画像105が視認可能に表示され、表示部1
04に対して右側に位置する視聴者Rの方向には、第2の画像データD2に基づく第2の
表示画像106が視認可能に表示されるようになっている。
【0047】
このように本発明に係る表示装置では、表示部104に対する視聴者の相対位置に応じ
て、換言すれば表示部104に対する視野角に応じて、視聴者Lに第1の表示画像105
を、視聴者Rに第2の表示画像106を同時に見せることができ、しかも各々の表示画像
105、106は表示部104の表示画面全体に映し出されるようになっている。
【0048】
第1の画像ソース101は、例えばDVDプレーヤからの映画画像やテレビ受信機から
の受信画像等としたり、第2の画像ソース102は、例えばカーナビゲーション装置から
の地図やルート案内画像等とすることができ、このような第1の画像データD1及び第2
の画像データD2が表示制御部103に供給され、表示制御部103では、それら画像デ
ータを表示部104で実質的に同時に表示するための処理が行われるようになっている。
斯る構成により、1つの画面で左右の視聴者L、Rに異なる情報やコンテンツを提示する
ことができる。もちろん、第1、第2の画像ソース101、102が同じであれば、左右
の視聴者L、Rが同じ画像を見ることもできる。
【0049】
図2は、本発明に係る表示装置が車両へ搭載された状態を示した斜視図である。表示装
置を構成する表示部104は、運転席107及び助手席108の前方のダッシュボードの
略中央に配設されており、表示装置に対する各種操作は、表示部104の液晶パネル11
0上に配設されたタッチパネル111や表示部104の液晶パネル110の枠部に配設さ
れた操作部112、又は赤外線や無線式のリモートコントローラ(図示せず)等の操作に
よって行われるようになっている。また車両の各ドアには表示装置に接続されたスピーカ
113が配設されており、表示画像に連動した音声や警告音等が出力されるようになって
いる。
【0050】
図2における運転席107に図1に示した視聴者Rが座り、助手席108に図1に示し
た視聴者Lが座ると想定した場合、表示部104に対する第1の視方向(運転席方向)か
ら見ることができる画像は、例えばカーナビゲーション装置からの地図等の画像であり、
同時に第2の視方向(助手席方向)から見ることができる画像は、例えばテレビ受信画像
やDVD画像等とすることができ、運転席107の視聴者Rがカーナビゲーションによる
運転支援を受けながら助手席108の視聴者LはテレビやDVDを楽しむことができる。
【0051】
しかもそれぞれの画像は、例えば7インチの画面全体を使用して表示されるため、従来
のマルチウインドウ表示のように画面サイズが小さくなることもない。つまり、運転者(
視聴者R)や同乗者(視聴者L)にとっては、あたかも各々に独立した専用のディスプレ
イがあるかのごとく、各視聴者L、Rが所望する情報やコンテンツの提示が可能となって
いる。
【0052】
次に、本発明に係る表示装置の表示部104の構成について詳細に説明する。図3(a
)は、本発明に係る表示装置の表示部104を正面から見たときの表示状態を模式的に示
した図であり、(b)は、(a)におけるB−B線断面図である。
【0053】
表示部104は、液晶パネル110とバックライト120とを含んで構成されており、
液晶パネル110は、TFT(Thin Film Transistor)基板121とカラーフィルター基
板122との間に液晶層123が挟持された一対の基板と、視差バリア124と、ガラス
基板125とが、バックライト120側に配設された偏光板126と、発光方向側の前面
に配設された偏光板127との間に挟持された構造となっている。また、液晶パネル11
0は、バックライト120から少し隔離して配設されており、RGB色(三原色)で構成
される画素を有している。
【0054】
液晶パネル110には、例えば、横方向が800画素、縦方向が480画素の液晶パネ
ルが採用され、液晶パネル110の各画素は、左側(助手席108)用画素Lと、右側
(運転席107)用画素Rとに縦方向に交互にグループ化されて表示制御されるように
なっている。すなわち、液晶パネル110の横方向の総画素の半数が第1の表示画像10
5の表示に、残りの半数の画素が第2の表示画像106の表示に使用されるようになって
いる。
【0055】
視差バリア124は、横方向に所定の間隔(各画素からの光の出射方向を右左のいずれ
か一方に規制することができる間隔)毎に設けられ、縦縞様に形成されている。視差バリ
ア124によって、左側(助手席)用画素LPは右側(運転席)への表示が遮断され、左
側(助手席)からは見えるようになっている一方、右側(運転席)用の画素RPは左側(
助手席)への表示が遮断され、右側(運転席)からは見えるようになっている。すなわち
、左側から液晶パネル110を見ると、視差バリア124が右側用画素RPを覆い隠し、左側用画素LPが見える一方、右側から液晶パネル110を見ると、視差バリア124が左側用画素LPを覆い隠し、右側用画素RPが見える。なお、この場合、正面付近から液晶パネル110を見ると、左側用画素LPの一部と右側用画素RPの一部とが見えるため、左右の表示画像が重なったように見える。このような視差バリア124については、例えば、特開平10−123461号公報、特開平11−84131号公報に開示された構成を応用することができる。
【0056】
なお、液晶パネル110の各画素に対する表示制御と視差バリア124の配置構成とを
変更すれば、3方向以上に異なる画像を表示することも可能である。また、視差バリア1
24を電気的に駆動可能な液晶シャッター等で構成して視野角を可変するようにしてもよ
い。
【0057】
また、図3の交互に並んだ左側用画素LP及び右側用画素RPはRGB色を有しているが、各グループ縦方向内は、R列、G列、B列のように単色で構成されていてもよく、ま
たRGBが複数混じった列として構成されていてもよい。
【0058】
図4は、表示部107を構成するTFT基板121の概略構成を示す回路図である。T
FT基板121は、走査線駆動回路131と、データ線駆動回路132と、走査線駆動回
路131に接続された走査線LSCAN1、2、3、…と、データ線駆動回路132に接続されたデータ線LDATA1、2、3、…と、各走査線LSCAN1、2、3、…、及びデータ線LDATA1、2、3、…によって囲まれた領域を一単位として形成された複数のサブピクセル133とを含んで構成されており、各サブピクセル133には、液晶層123に電圧を印
加する画素電極134とそれをスイッチング制御するTFT素子135とが形成されてい
る。
【0059】
走査線駆動回路131及びデータ線駆動回路132には、液晶パネル110を駆動させ
る、後述する表示パネル駆動部234が接続されており、表示パネル駆動部234は、走
査線駆動回路131及びデータ線駆動回路132の駆動タイミングを制御する。走査線駆
動回路131は、TFT素子135の選択走査を行い、またデータ線駆動回路132は画
素電極134への印加電圧を制御するように構成されている。
【0060】
各サブピクセル133は、第1の画像データD1と第2の画像データD2との合成デー
タ、又は第1及び第2の個々の画像データD1、D2に基づいて、例えばデータ線LDATA
1、3に第1の画素データ(左側用)を、またデータ線LDATA2、4に第2の画素データ(右側用)を駆動することによって、第1の表示画像105を形成する第1の画像データ
D1群と第2の表示画像106を形成する第2の画像データD2群とが形成されるように
なっている。なお、3方向に異なる画像を表示させる場合には、上記と同様な駆動制御に
より、第1、第2、第3の画像データ群を形成させるようにすればよい。
【0061】
図5は、本発明に係る表示装置が採用されたAV(Audio Visual)ナビゲーションシス
テムの要部を概略的に示したブロック図である。但し、図1〜4で説明した各部と同一機
能を有する構成部品には、同一符号を付すこととする。
【0062】
AVナビゲーションシステムは、CD/MD再生部201、ラジオ受信部202、TV
受信部203、DVD再生部204、HD(ハードディスク)再生部205、及びナビゲ
ーション部206を含む各種ソースを備えており、これら各種ソースは、信号ラインSL
201〜SL206を介して分配回路212にそれぞれ接続されている。また、外部音声/映像入力部207が信号ラインSL207を介して分配回路212に接続されている。外部音声/映像入力部207には、カメラ(例えば、後方監視用カメラ)208が接続されているが、ビデオカメラやゲーム機(図示せず)等も接続可能となっている。また、TV受信部203には、セレクタ209が接続され、ナビゲーション部206には、VICS情報受信部210とGPS情報受信部211とが接続されている。
【0063】
分配回路212は、信号ラインSL213〜SL215を介して音声調整回路213と、第1の画像調整回路214と、第2の画像調整回路215とにそれぞれ接続され、音声調整回路213はスピーカ113に、第1の画像調整回路214及び第2の画像調整回路215は、信号ラインSL216、SL217を介して画像出力部216に接続され、画像出力部216は、信号ラインSL218を介して表示部104の液晶パネル110に、信号ラインSL219を介してリア表示部217にそれぞれ接続されている。
【0064】
なお、リア表示部217は、車両の後席用に設けられたものであり、画像出力部216
を介して表示部104に表示される画像と同じもの、もしくは運転席用の画像か助手席用
の画像の一方を表示させることができるようになっている。表示部104は、バックライ
ト120、液晶パネル110、及びタッチパネル111を含んで構成され、タッチパネル
111への操作信号が制御部200に入力されるようになっている。
【0065】
また、明るさ検知手段(例えば、車両のライトスイッチや光センサ等)218、乗員検
知手段(例えば、圧力センサ等)219、無線通信機能を有する通信ユニット220、E
TC車載器221、リモコン送受信部222、操作部223、及びメモリ224が制御部
200に接続されている。
【0066】
制御部200は、制御ラインCL201〜CL207、CL212〜CL216、CL120等を介して各種ソース201〜206、分配回路212、各種調整回路213〜215、画像出力部216、及び表示部104など、システム内の各部に接続されており、システムの各部を統括的に制御するように構成されている。
【0067】
図6は、画像出力部216の概略構成を示したブロック図である、画像出力部216は
、第1の画像調整回路214と接続された第1の書込回路231と、第2の画像調整回路
215と接続された第2の書込回路232と、VRAM233と、表示パネル駆動部23
4とを含んで構成されている。
【0068】
例えば、第1の書込回路231は、調整された画像データのうち画像の奇数列に対応す
る画像データを、第2の書込回路232は、偶数列に対応する画像データをもとにし、そ
れぞれVRAM233における該当する領域に書き込む。表示パネル駆動部234は、液
晶パネル110を駆動させるための回路であり、VRAM233に保存されている画像デ
ータ(第1の画像データD1と第2の画像データD2の合成データ)に基づいて、液晶パ
ネル110の対応する画素を駆動させるようになっている。
【0069】
なお、VRAM233には第1の画像データD1と第2の画像データD2の合成された
マルチビュー表示用の画像に対応するように画像データの書込が行われているので、駆動
回路は一つでよく、その動作も通常の液晶表示装置の駆動回路の動作と同じである。また
、別の形態として、第1の画像データD1と第2の画像データD2とを合成せずに、それ
ぞれの画像データに基づいて、液晶パネル110の対応する画素を駆動する第1の表示パ
ネル駆動部及び第2の表示パネル駆動部を備える構成とすることもできる。
【0070】
図7は、メモリ224の概略構成を示したブロック図である。メモリ224は、ユーザ
が設定した第1の表示画像105及び第2の表示画像106の画質調整値をそれぞれ書き
込み可能な第1の画面RAM241及び第2の画面RAM242と、第1の表示画像10
5及び第2の表示画像106の各画質調整用に予め複数段階の調整値が選択可能に記憶さ
れた画質設定情報記憶手段243と、周囲環境に対する第1の表示画像105及び第2の
表示画像106の画質の調整状態を保持する対環境調整値保持手段244とを含んで構成
されている。画質設定情報記憶手段243、及び対環境調整値保持手段244は、フラッ
シュメモリなどの電気的書き換え可能な不揮発性メモリ又はバッテリバックアップされた
揮発性メモリにより構成されている。
【0071】
図8は、制御部200の概略構成を示したブロック図である。制御部200は、システ
ム内の各部と接続されたインターフェース251と、システム内の各部を統括的に制御す
るCPU252と、システムの動作に必要な各種のプログラムが記憶されたプログラム記
憶部(ROM)253と、各種のデータを記憶するデータ記憶部(RAM)254とを含
んで構成されている。なお、ROM253とRAM254は、CPU252に内蔵された
ものでも、外部に設けたものでもよく、ROM253はフラッシュメモリの様に電気的に
書き換え可能な不揮発性メモリでもよい。
【0072】
制御部200は、タッチパネル111、操作部223、又はリモコン225等からの操
作信号に基づいて、各種ソース201〜206及び分配回路212を制御するように構成
され、選択された2つのソース又は1つのソースの画像データや音声データの出力を制御
し、選択されたソースの画像データや音声データを、分配回路212を介して、画像デー
タであれば第1の画像調整回路214及び第2の画像調整回路215に、音声データであ
れば音声調整回路213にそれぞれ分配させる制御を行うようになっている。第1及び第
2の画像調整回路214、215では、制御部200からの制御信号に基づいて画像デー
タの輝度や色調、コントラストなどが調整され、調整された画像データは画像出力部21
6に出力され、画像出力部216では、制御部200からの制御信号に基づいて、液晶パ
ネル110を駆動させて画像を表示する処理が行われるようになっている。また、音声調
整回路213では、制御部200からの制御信号に基づいて各スピーカへの分配、音量、
音声などが調整され、調整された音声がスピーカから出力されるようになっている。また
、制御部200は、これら各種ソースをコントロールするための操作メニューを表示させ
る制御も行っている。
【0073】
例えばHD再生部205が選択された場合、ハードディスク(図示せず)に記録された
MP3ファイル等の音楽データやJPEGファイル等の画像データ、ナビゲーション用の
地図データ等が読み出され、音楽データ等を選択するためのメニュー表示や画像データが
表示部104に表示されるようになっている。なお、ナビゲーション部206は、ナビゲ
ーションのために利用される地図情報を記憶した地図情報記憶部(上記ハードディスクの
一部領域を使用)を備えており、VICS情報受信部210やGPS情報受信部211を
介して取得した情報を利用して生成されたナビゲーション画像も表示部104に表示させ
ることができるようになっている。またTV受信部203は、セレクタ209で選択され
たアンテナ226を介して、所望のアナログTV放送波やディジタルTV放送波を受信す
るように構成されている。
【0074】
また、制御部200は、明るさ検知手段218や乗員検知手段219により検知された
情報を元に、出力画像や音声の設定を変更する制御等を行うようになっている。また、通
信ユニット220とETC車載器221とが制御部200に接続されており、制御部20
0は、ETC車載器221からの料金情報等を表示部104に表示させる制御を行ったり
、携帯電話などと無線接続するための通信ユニット220を制御して、該制御に関する情
報を表示部104に表示させる制御等を行うようになっている。また、制御部200は、
画質設定情報やプログラム、車両情報等の各種設定情報をメモリ224に記憶させる処理
も行うようになっている。
【0075】
図9は、実施の形態(1)に係る表示制御装置が採用された表示装置を含んで構成され
るAV(Audio Visual)・ナビゲーションシステムの要部を概略的に示したブロック図で
あり、AV(Audio Visual)・ナビゲーションシステムに採用された表示装置は、上記図
1〜図8に基づいて説明したものと同様に、複数の視方向に対する個別の映像を同一画面
上に表示させる機能を有するものである。なお、本発明における映像とは、静止画像及び
動画像を含むものである。
【0076】
図中1は、車両のインストルメントパネル中央部に搭載される表示装置を示しており、
表示装置1には、制御信号ラインL1、映像信号ラインL2を介して、同じ車両に搭載さ
れる各種電子機器(例えば、ナビゲーション装置21、DVD再生装置22、TV受信機
23など)が接続されるようになっている。
【0077】
ナビゲーション装置21は、図示しない地図データベース、GPS受信機などを含んで
構成されており、これら地図データベース、GPS受信機などを使用して車両の現在位置
を検出し、車両の現在位置周辺の地図映像などの映像信号を出力するようになっている。
また、ナビゲーション装置21には、図示しないオーディオ装置が接続されており、該オ
ーディオ装置における、例えばCD再生画面や選曲画面などのオーディオ用画面を示す映
像信号も出力するようになっている。
【0078】
DVD再生装置22は、図示しないDVDの読取装置などを含んで構成され、読み取ら
れたDVD映像信号を出力するようになっている。またTV受信機23は、図示しないチ
ューナなどを含んで構成され、受信したTV放送の映像信号を出力するようになっている

【0079】
表示装置1は、マイクロコンピュータを含んで構成される制御部2と、上記の各種電子
機器から映像信号ラインL2を介して入力した映像信号を、制御部2からの制御信号に基
づいて表示用の映像データに合成する処理などを行う映像処理部3と、映像処理部3で合
成処理された映像データを一時的に記憶するビデオメモリ(VRAM)4と、VRAM4
に記憶された映像データを液晶パネル6に表示させるためのパネル駆動部5と、液晶パネ
ル6と、液晶パネル6前面に配設され、3方向(運転席方向、中央座席方向、助手席方向
)に対する映像の分離表示を可能にする分離表示シャッター7と、上記の各種電子機器に
対する操作指令や液晶パネル6に映し出される映像の切替指令などを与えるための各種操
作スイッチを備えた操作部8とを含んで構成されている。
【0080】
図10は、液晶パネル6と分離表示シャッター7との構造を模式的に示した図(部分水
平断面図)であり、液晶パネル6前面に複数の開口部(スリット)7aが配列された分離
表示シャッター7を配置することで、スリット7aを通して視認できる画素列6a〜6c
が見る方向(A〜C)によって切り替わるように構成されている。本実施の形態(1)で
は、分離表示シャッター7には、液晶パネル6上の画素列6a〜6cの3列に対して1つ
の割合でスリット7aが設けられており、それぞれの画素列6a〜6cに異なる映像信号
(すなわち、画素列6aに運転席用映像、画素列6bに中央座席用映像、画素列6cに助
手席用映像)を入力することにより、A〜Cの方向ではスリット7aを介して見える画素
、すなわち映像が異なることになり、Aの方向に存在する運転者DRには運転席用映像を
視認させ、Bの方向に存在する中央座席乗員REには中央座席用映像を視認させ、Cの方
向に存在する助手席乗員PAには助手席用映像を視認させることができるようになってい
る。
【0081】
また、表示装置1では、図示しない設定画面を通じて、画素列6bに入力する映像信号
(中央座席用映像)の表示切替条件が設定できるようになっており、例えば、条件a:運
転席用映像と連動させる(すなわち、運転座席用映像が切り替えられた場合、それに合わ
せて中央座席用映像も同じ映像に切り替える)、条件b:助手席用映像と連動させる(す
なわち、助手席用映像が切り替えられた場合、それに合わせて中央座席用映像も同じ映像
に切り替える)、条件c:画素列6bには映像を出力しない(あるいは、映像を出力しな
い代わりに黒画像を出力するようにしてもよい)、条件d:中央座席用に設定された映像
を表示する、といった条件の中から使用者が所望する条件を選択して設定することができ
るようになっている。なお、上記した条件dにおける中央座席用の映像は、図示しない別
の設定画面を通じて、使用者が適宜選択設定できるようになっている。
【0082】
制御部2では、操作部8からの表示映像の切替信号を検出すると、該切替信号を制御信
号ラインL1を介して各種電子機器へ送信し、各種電子機器では、前記切替信号に基づい
て、映像の切替や映像信号の出力制御などが実行されるようになっている。
【0083】
また、制御部2では、前記切替信号が、A〜Cの方向のうちのどの方向に対する表示映
像の切替であったかを判断し、使用者により設定された上記の表示切替条件が、前記判断
された切替方向と関係するものであるか否かを判断し、前記表示切替条件が前記切替方向
と関係するものであると判断された場合(すなわち、表示切替条件に条件aが設定されて
いた場合に、Aの方向(運転席方向)に対する表示映像の切替があった場合、又は表示切
替条件に条件bが設定されていた場合に、Cの方向(助手席方向)に対する表示映像の切
替があった場合)には、Bの方向(中央座席方向)に対する表示映像を前記切替方向(A
の方向又はCの方向)と同じ表示映像に切り替えるように映像処理部3、パネル駆動部5
の制御を行う。一方、前記表示切替条件が前記切替方向と関係するものではない(すなわ
ち、表示切替条件として上記の条件c、dのいずれかが設定されていた)と判断された場
合には、前記表示切替条件に応じた表示を行うように映像処理部3、パネル駆動部5の制
御を行うようになっている。
【0084】
また、ナビゲーション装置21、DVD再生装置22、TV受信機23から出力される
音声信号は、図示しないオーディオ装置に接続されたアンプ、スピーカを介して音声出力
されるようになっている。
【0085】
次に実施の形態(1)に係る表示制御装置が採用された表示装置1における制御部2の
行う処理動作を図11に示したフロ−チャ−トに基づいて説明する。なお本処理動作は、
運転者DRには運転席用映像を視認させ、中央座席乗員REには中央座席用映像を視認さ
せ、助手席乗員PAには助手席用映像を視認させるための分離表示が、操作部8を通じて
使用者から指示された場合に実行される。
【0086】
まず、ステップS1では、分離表示を行う操作があったか否かを判断し、分離表示を行
う操作がなかったと判断すれば処理を終える一方、分離表示を行う操作があったと判断す
ればステップS2に進む。
【0087】
ステップS2では、中央座席用映像の表示切替条件が何かを判断し、該表示切替条件が
、条件a(すなわち、運転席用映像に連動させる)であると判断すればステップS3に進
み、ステップS3では、中央座席用映像と運転席用映像とを同じ映像に切り替える処理、
例えば、運転席用映像がナビゲーション装置の地図映像であれば、中央座席用映像も地図
映像に切り替える処理(すなわち、図10における画素列6a、6bに地図映像信号を入
力する処理)を行い、その後処理を終える。
【0088】
また、ステップS2において、前記表示切替条件が、条件b(すなわち、助手席用映像
に連動させる)であると判断すればステップS4に進み、ステップS4では、中央座席用
映像と助手席用映像とを同じ映像に切り替える処理、例えば、助手席用映像がDVD映像
であれば、中央座席用映像もDVD映像に切り替える処理(すなわち、図10における画
素列6b、6cにDVDの映像信号を入力する処理)を行い、その後処理を終える。
【0089】
また、ステップS2において、前記表示切替条件が、条件c(すなわち、中央座席用映
像を表示しない)であると判断すればステップS5に進み、ステップS5では、中央座席
用映像を出力しない処理(すなわち、図10における画素列6bには映像信号を入力しな
い処理)を行い、その後処理を終える。
【0090】
また、ステップS2において、前記表示切替条件が、条件d(すなわち、中央座席用映
像には、中央座席用に設定された映像を表示する)であると判断すればステップS6に進
み、ステップS6では、中央座席用映像として、中央座席用に設定された映像を表示させ
る、例えば、中央座席用の映像として予めTV映像が設定されていれば、中央座席用映像
としてTV映像を表示させる処理(すなわち、図10における画素列6bにTV映像信号
を入力する処理)を行い、その後処理を終える。
【0091】
次に実施の形態(1)に係る表示制御装置が採用された表示装置1における制御部2の
行う別の処理動作を図12に示したフロ−チャ−トに基づいて説明する。なお本処理動作
は、図11に示した処理後(すなわち、分離表示されている場合)に実行される。
【0092】
まず、ステップS11では、運転席方向、中央座席方向、助手席方向のうちのどの方向
に対する表示映像の切替操作が行なわれたかを判断し、運転席方向に対する表示映像の切
替操作が行なわれたと判断すればステップS12に進む。
【0093】
ステップS12では、中央座席用映像の表示切替条件が、上記した条件aであるか否か
を判断し、前記表示切替条件が、条件aであると判断すればステップS13に進む。ステ
ップS13では、中央座席用映像と運転席用映像とを同じ映像に切り替える処理を行い、
その後処理を終える。
【0094】
一方ステップS12において、前記表示切替条件が、条件aではないと判断すればステ
ップS14に進む。ステップS14では、運転席用映像のみを切り替える処理を行い、そ
の後処理を終える。
【0095】
また、ステップS11において、助手席方向に対する表示映像の切替操作が行なわれた
と判断すればステップS15に進む。ステップS15では、前記表示切替条件が、上記し
た条件bであるか否かを判断し、前記表示切替条件が、条件bであると判断すればステッ
プS16に進む。ステップS16では、中央座席用映像と助手席用映像とを同じ映像に切
り替える処理を行い、その後処理を終える。
【0096】
一方ステップS15において、前記表示切替条件が、条件bではないと判断すればステ
ップS17に進む。ステップS17では、助手席用映像のみを切り替える処理を行い、そ
の後処理を終える。
【0097】
上記実施の形態(1)に係る表示制御装置によれば、予め設定された中央座席用映像の
表示切替条件に基づいて、中央座席乗員REの存在する方向に対する表示映像の切替制御
が行われるので、中央座席乗員REの方向に対する表示映像を、使用者が所望する状態に
自動的に切り替えることができ、中央座席乗員REの方向に対する表示映像の切替操作の
手間を省いたり、異なる方向に映し出される各表示映像の視認性を高めたりする制御を実
現することができる。
【0098】
また、中央座席用映像の表示切替条件として、中央座席乗員REの方向に対する表示映
像を、運転者DRの存在する方向に対する表示映像と同じ映像に切り替えるという条件が
設定されている場合には、運転者DRの方向に対する表示映像が切り替えられた場合、運
転者DRの方向に対する表示映像の切替に連動させて、中央座席乗員REの方向に対する
表示映像も切り替えられることとなり、中央座席乗員REは、切替操作を行うことなく、
運転者DRと常に同じ映像を楽しむことができる。
【0099】
また、中央座席用映像の表示切替条件として、中央座席乗員REの方向に対する表示映
像を、助手席乗員PAの方向に対する表示映像と同じ映像に切り替えるという条件が設定
されている場合には、助手席乗員PAの方向に対する表示映像が切り替えられた場合、該
助手席乗員PAの方向に対する表示映像の切替に連動させて、中央座席乗員REの方向に
対する表示映像も切り替えられることとなり、中央座席乗員REは、切替操作を行うこと
なく、助手席乗員PAと常に同じ映像を楽しむことができる。
【0100】
また、中央座席用映像の表示切替条件として、中央座席乗員REの方向に対する表示映
像を出力しないという条件が設定されている場合には、運転者DRの方向に対する表示映
像と、助手席乗員PAの方向に対する表示映像とが、混じり合って映像が見ずらくなると
いう影響(クロストークの影響)を小さくすることができ、運転者DRと、助手席乗員P
Aとに対して、より鮮明で良好な映像を視認させることができる。
【0101】
また、中央座席用映像の表示切替条件として、中央座席乗員REの方向に対する表示映
像には、中央座席用に設定された映像を表示するという条件が設定されている場合には、
中央座席乗員REは、運転者DR又は助手席乗員PAの方向に対する表示映像の切替等が
行われた場合であっても、中央座席用に設定された映像を常に楽しむことができる。
【0102】
なお、実施の形態(1)では、表示切替条件として、中央座席用映像の切替条件が設定
されている場合について説明したが、別の実施の形態では、助手席用映像の切替条件、又
は中央座席用映像と助手席用映像との切替条件が設定できるようになっていてもよい。例
えば、助手席に乗員がいない場合には、助手席の方向には映像を出力しないという条件を
設定することができる。なお、助手席に乗員がいるか否かは、例えば、助手席に設けた着
座センサ等からの信号に基づいて判断することができる。
【0103】
かかる構成によれば、助手席乗員PAの方向に対する表示映像を出力しないという条件
が設定されている場合には、夜間等において、助手席乗員用映像が、窓に反射して運転者
DRが眩惑されるような状態になることを防止することができる。
【0104】
図13は、実施の形態(2)に係る表示制御装置が採用された表示装置を含んで構成さ
れるAV・ナビゲーションシステムの要部を概略的に示したブロック図である。但し、図
1に示したAV・ナビゲーションシステムと同一機能を有する構成部品には同一符号を付
し、その説明をここでは省略する。
【0105】
図中1Aは、車両のインストルメントパネル中央部に搭載される表示装置を示しており
、表示装置1Aには、制御信号ラインL1、映像信号ラインL2を介して、同じ車両に搭
載される各種電子機器(例えば、ナビゲーション装置21、DVD再生装置22、TV受
信機23など)が接続されるようになっている。
【0106】
表示装置1Aは、マイクロコンピュータを含んで構成される制御部2Aと、映像処理部
3と、VRAM4と、パネル駆動部5と、液晶パネル6と、液晶パネル6に映し出される
各映像が単独で視認できる領域を変える、すなわち、各視方向に対する光の透過領域を変
更するための液晶シャッター(光透過領域変更手段)9と、液晶シャッター9の遮光パタ
ーン(シャッターパターン)に関するデータが記憶されたメモリ10と、メモリ10から
読み出されたシャッターパターンを示す画像データが一時的に記憶されるビデオメモリ(
VRAM)11と、VRAM11に記憶されたシャッターパターンを示す画像データを表
示させるように液晶シャッター9を駆動させるシャッター駆動部12と、操作部8とを含
んで構成されている。
【0107】
図14は、液晶パネル6と液晶シャッター9との構造を模式的に示した図(部分水平断
面図)である。液晶シャッター9は、液晶パネル6前面に配設されており、液晶シャッタ
ー9を構成する各液晶素子9bに電圧を印加する、しないの制御を行うことにより、各液
晶素子9bの光の透過状態を制御して、光を透過することのできるスリット9aを任意の
位置に形成することができるようになっている。なお図14には、A〜Cの3方向(運転
席方向、中央座席方向、助手席方向)に対する分離表示が行われる場合のシャッターパタ
ーンの一例を示している。
【0108】
スリット9aを形成するためのシャッターパターン(形状)に関するデータはメモリ1
0に予め記憶されており、制御部2Aは、視認領域の変更指令に対応したシャッターパタ
ーンをメモリ10から読み出し、読み出したシャッターパターンに基づいて液晶シャッタ
ー9の駆動制御を行うようになっている。このように液晶シャッター9が駆動制御される
ことによって、異なる方向に分離表示された映像の視認領域(見える割合)を変えること
が可能になっている。
【0109】
制御部2Aが実施する液晶シャッター9の駆動制御は、例えば、1)液晶パネル6に映
し出される映像数に応じて実施させたり、2)液晶パネル6に映し出される映像の種別(
分離表示される映像の組み合わせ状態など)に応じて実施させたり、3)使用者による視
認領域の変更操作があった場合に実施させたり、又は4)使用者による映像に対する操作
(例えば、ナビゲーション装置の各種メニュー操作、DVDのチャプター選択操作など)
があった場合に実施させることができる。また、このような液晶シャッター9を駆動させ
る条件を、図示しない設定画面を通じて使用者が設定できる構成とすることもできる。
【0110】
また、制御部2Aは、液晶シャッター9を駆動制御して、分離表示させた各映像の視認
領域の可変制御を行うとともに、該視認領域の可変制御に対応させて、各映像の表示解像
度の調整制御を実施したり、各映像の表示解像度の調整制御に対応させて、液晶シャッタ
ー9による視認領域の可変制御を実施するようになっている。
【0111】
図15は、液晶パネル6に映し出される映像数に応じて実施される、制御部2Aで行わ
れる液晶シャッター9の駆動制御と、液晶パネル6への映像出力制御とを説明するための
図である。
【0112】
図15(a)は、運転者DR、中央座席乗員RE、及び助手席乗員PAに対して地図映
像(NAVI)を表示している状態(分離表示を行っていない状態)を示している。この
場合、液晶シャッター9の全ての液晶素子9bが透過状態となるように制御され、一方、
液晶パネル6を構成する各画素列には、地図映像信号GNのみが入力されており、高精細な地図映像を映し出すことができるようになっている。
【0113】
図15(b)は、運転者DRには、地図映像を視認させ、助手席乗員PAには、DVD
映像(DVD)を視認させるための分離表示が行われている状態を示しており、液晶シャ
ッター9は、運転者DRの方向と、助手席乗員PAの方向とに分離表示するシャッターパ
ターンに制御され、一方、液晶パネル6を構成する各画素列には、地図映像信号GNとDVD映像信号GDとが交互に入力されるようになっている。
【0114】
また、図15(c)は、運転者DRには、地図映像を視認させ、中央座席乗員REには
、TV映像(TV)を視認させ、助手席乗員PAには、DVD映像を視認させるための分
離表示が行われている状態を示しており、液晶シャッター9は、運転者DRの方向と、中
央座席乗員REの方向と、助手席乗員PAの方向とに分離表示するシャッターパターンに
制御され、一方、液晶パネル6を構成する各画素列には、地図映像信号GNとTV映像信号GTと、DVD映像信号GDとが交互に入力されるようになっている。
【0115】
図16は、液晶パネル6に映し出される映像の種別に応じて実施される、制御部2Aで
行われる液晶シャッター9の駆動制御と、液晶パネル6への映像出力制御とを説明するた
めの図である。
【0116】
図16(a)は、運転者DR、助手席乗員PAに対して地図映像(NAVI)を表示し
ている状態(分離表示を行っていない状態)を示している(図15(a)と同じ状態)。
そして、助手席乗員PAにDVD映像を視認させる分離表示が、操作部8を介して使用者
から指示された場合、図16(b)に示した表示状態に切り替えられる。
【0117】
なお、視認領域を広げる映像の優先順位が予め設定されており、この場合、DVD映像
、TV映像、地図映像、CD映像(CDの再生画面)の順に優先順位が設定されている(
DVD映像の優先順位が最も高くなっている)。また、所定の設定画面を通じて使用者が
設定できるようになっていてもよい。
【0118】
図16(b)の場合、液晶シャッター9は、DVD映像の視認領域が広くなるシャッタ
ーパターンに制御され、一方、液晶パネル6を構成する各画素列には、地図映像信号GN
とDVD映像信号GDとが1:2の割合で入力されており、DVD映像の表示解像度を上
げる調整が行われるようになっている。また、DVD映像信号GDの割合を更に高める調
整も可能である。
【0119】
そして、DVDの再生が終了し、CDの選択画面を表示させる操作が行われると、図1
6(b)の状態から図16(c)の状態に切り替えられる。この場合、液晶シャッター9
は、地図映像の視認領域が広くなるシャッターパターンに制御され、一方、液晶パネル6
を構成する各画素列には、地図映像信号GNとCD映像信号G とが2:1の割合で入力
されており、地図映像の表示解像度を上げる調整が行われるようになっている。また、地
図映像信号GNの割合を更に高める調整も可能である。
【0120】
図17は、使用者による視認領域の変更操作があった場合、又は表示映像に対する操作
があった場合に実施される、制御部2Aで行われる液晶シャッター9の駆動制御と、液晶
パネル6への映像出力制御とを説明するための図である。
【0121】
図17(a)は、運転者DRには、地図映像を視認させ、助手席乗員PAには、DVD
映像(DVD)を視認させるための分離表示が行われている状態を示しており、液晶シャ
ッター9は、運転者DRの方向と、助手席乗員PAの方向とに分離表示するシャッターパ
ターンに制御され、一方、液晶パネル6を構成する各画素列には、地図映像信号GNとDVD映像信号GDとが交互に入力されるようになっている。
【0122】
図17(a)に示した状態で、DVD映像の視認領域の変更操作、又はDVD映像に対
する操作が検出されると図17(b)に示した表示状態に切り替えられる。すなわち、液
晶シャッター9が、DVD映像の視認領域が広くなるシャッターパターンに制御され、一
方、液晶パネル6を構成する各画素列には、地図映像信号GNとDVD映像信号GDとが1:2の割合で入力されており、DVD映像の表示解像度を上げる調整が行われている。
また、DVD映像に対する操作(チャプター選択操作など)の場合は、所定時間後に図1
7(a)の表示状態に戻るように制御することも可能である。
【0123】
次に実施の形態(2)に係る表示制御装置が採用された表示装置1Aにおける制御部2
Aの行う処理動作を図18に示したフロ−チャ−トに基づいて説明する。なお、本処理動
作は、分離表示する映像数の切替操作が検出された場合に実施される。
【0124】
まず、ステップS21では、分離表示する映像数の切替操作があったか否かを判断し、
分離表示する映像数の切替操作がなかったと判断すれば処理を終える一方、分離表示する
映像数の切替操作があったと判断すればステップS22に進む。
【0125】
ステップS22では、分離表示する映像数を判定する処理を行い、その後ステップS2
3に進む。ステップS23では、判定された映像数に対応したシャッターパターンが形成
されるように液晶シャッター9を駆動制御する処理、すなわち、判定された映像数に対応
したシャッターパターンを示すデータをメモリ10から読み出し、VRAM11に画像デ
ータとして書き込み、シャッター駆動部12を駆動させて、液晶シャッター9へ出力する
処理を行い、その後ステップS24に進む。
【0126】
ステップS24では、判定された映像数に応じた液晶パネル6への映像出力制御、すな
わち、判定された映像数に応じて映像データを合成して、VRAM4に書き込み、パネル
駆動部5を駆動させて、液晶パネル6へ出力する処理を行い、その後処理を終える。
【0127】
次に実施の形態(2)に係る表示制御装置が採用された表示装置1Aにおける制御部2
Aの行う別の処理動作を図19に示したフロ−チャ−トに基づいて説明する。なお、本処
理動作は、分離表示の操作が検出された場合に実施される。
【0128】
まず、ステップS31では、分離表示の操作(分離表示に切り替える操作や分離表示中
における映像切替操作などを含む)があったか否かを判断し、分離表示の操作がなかった
と判断すれば処理を終了する一方、分離表示の操作があったと判断すれば、ステップS3
2に進む。
【0129】
ステップS32では、分離表示された映像の種別(例えば、地図映像、DVD映像、T
V映像、またはCD映像なのか)を判定する処理を行い、その後ステップS33に進む。
ステップS33では、判定された映像種別に応じた液晶シャッター9の制御、例えば、運
転席用映像が地図映像、助手席用映像がDVD映像の場合は、DVD映像の視認領域を広
げるシャッターパターンをメモリ10から読み出し、VRAM11に書き込み、液晶シャ
ッター9へ出力する処理を行い、その後ステップS34に進む。
【0130】
ステップS34では、判定された映像種別に応じた、液晶パネル6への映像出力制御、
例えば、運転席用映像が地図映像、助手席用映像がDVD映像の場合は、液晶パネル6の
画素列に入力するDVDの映像信号の割合を高めて、DVD映像の表示解像度を上げた映
像を映し出す処理を行い、その後処理を終える。
【0131】
次に実施の形態(2)に係る表示制御装置が採用された表示装置1Aにおける制御部2
Aの行うさらに別の処理動作を図20に示したフローチャートに基づいて説明する。なお
、本処理動作は、分離表示されている場合に、いずれかの映像に対する視認領域の変更操
作が検出された場合に実行される。
【0132】
まず、ステップS41では、いずれかの映像に対する視認領域の変更操作があったか否
かを判断し、視認領域の変更操作がなかったと判断すれば処理を終了する一方、視認領域
の変更操作があったと判断すれば、ステップS42に進む。
【0133】
ステップS42では、視認領域の変更操作があった映像を判定する処理を行い、その後
ステップS43に進む。ステップS43では、判定された映像の視認領域を広げるように
液晶シャッター9を駆動制御する処理、例えば、運転席用映像に対する視認領域の変更操
作があった場合は、運転席用映像の視認領域を広げるシャッターパターンをメモリ10か
ら読み出し、VRAM11に書き込み、液晶シャッター9へ出力する処理を行い、その後
ステップS44に進む。
【0134】
ステップS44では、判定された映像に応じた、液晶パネル6への映像出力制御、例え
ば、運転座席用映像の視野領域を広げたシャッターパターンに対応するように、液晶パネ
ル6の画素列に入力する運転座席用映像の信号の割合を高めて、運転座席用映像の表示解
像度を上げた映像を映し出す処理を行い、その後処理を終える。
【0135】
上記実施の形態(2)に係る表示制御装置によれば、メモリ10から視認領域の変更条
件に対応したシャッターパターンを読み出し、該シャッターパターンに基づいて液晶シャ
ッター9による表示映像の視認領域の可変制御が行われるので、表示映像の視認領域を所
定のパターンに自在に変更させることができ、多様な映像表示を実現することができる。
また、表示映像の視認領域の可変制御と、液晶パネル6に映し出す表示映像の表示解像度
とを対応させるように表示制御が行われるので、表示映像の視認領域の変更に対応させて
、表示解像度を上げた映像を表示させることができ、所定の映像の視認領域を広げたり、
狭めることができ、所定の映像の視認性を向上させることができる。
【0136】
また、液晶パネル6に映し出される映像数に応じて、表示映像の視認領域を変更する制
御と、表示映像の表示解像度の調整制御とが対応付けて行われるので、液晶パネル6に映
し出される映像数を少なくするほど、表示映像の解像度を上げることができ、視認性を向
上させることができる。
【0137】
また、液晶パネル6に映し出される映像の種別に応じて、表示映像の視認領域を変更す
る制御と、表示映像の表示解像度の調整制御とが対応付けて行われるので、視認領域を広
げた映像の表示解像度も上げることができ、視認性も向上させることができる。
【0138】
また、液晶パネル6に映し出された、いずれかの映像に対する視認領域の変更操作に応
じて、表示映像の視認領域を変更する制御と、表示映像の表示解像度の調整制御とが対応
付けて行われるので、視認領域を広げた映像の表示解像度も上げることができ、視認性も
向上させることができる。
【0139】
また、液晶パネル6に映し出された、いずれかの映像に対する操作に応じて、表示映像
の視認領域を変更する制御と、表示映像の表示解像度の調整制御とが対応付けて行われる
ので、操作が検出された映像の視野領域が広げられるとともに表示解像度も上げることが
でき、視認性や操作性を向上させることができる。
【0140】
なお、上記実施の形態(1)、(2)では、本発明に係る表示制御装置、及び表示装置
を車載用のAV・ナビゲーションシステムに適用した場合について説明したが、本発明に
係る表示制御装置、及び表示装置は、車載用に限定されるものではなく、ホーム用等にも
適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明に係る表示装置が備えている機能を概念的に示した図である。
【図2】本発明に係る表示装置が車両へ搭載された状態を示した斜視図である。
【図3】(a)は、本発明に係る表示装置の表示部を正面から見たときの表示状態を模式的に示した図であり、(b)は、(a)におけるB−B線断面図である。
【図4】表示部を構成するTFT基板の概略構成を示す回路図である。
【図5】本発明に係る表示装置を含んで構成されるAVナビゲーションシステムの要部を概略的に示したブロック図である。
【図6】画像出力部の概略構成を示したブロック図である。
【図7】メモリの概略構成を示したブロック図である。
【図8】制御部の概略構成を示したブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態(1)に係る表示制御装置が採用された表示装置を含んで構成されるAV・ナビゲーションシステムの要部を概略的に示したブロック図である。
【図10】表示装置を構成する液晶パネルと表示分離シャッターとの構造を模式的に示した図である。
【図11】実施の形態(1)に係る表示制御装置が採用された表示装置における制御部の行う処理動作を示したフローチャートである。
【図12】実施の形態(1)に係る表示制御装置が採用された表示装置における制御部の行う別の処理動作を示したフローチャートである。
【図13】実施の形態(2)に係る表示制御装置が採用された表示装置を含んで構成されるAV・ナビゲーションシステムの要部を概略的に示したブロック図である。
【図14】表示装置を構成する液晶パネルと液晶シャッターとの構造を模式的に示した図である。
【図15】(a)〜(c)は、液晶パネルに映し出される映像数に応じて実施される、制御部で行われる液晶シャッターの駆動制御と、液晶パネルへの映像出力制御とを説明するための図である。
【図16】(a)〜(c)は、液晶パネルに映し出される映像の種別に応じて実施される、制御部で行われる液晶シャッターの駆動制御と、液晶パネルへの映像出力制御とを説明するための図である。
【図17】(a)、(b)は、使用者による視認領域の変更操作があった場合、又は表示映像に対する操作があった場合に実施される、制御部で行われる液晶シャッターの駆動制御と、液晶パネルへの映像出力制御とを説明するための図である。
【図18】実施の形態(2)に係る表示制御装置が採用された表示装置における制御部の行う処理動作を示したフローチャートである。
【図19】実施の形態(2)に係る表示制御装置が採用された表示装置における制御部の行う別の処理動作を示したフローチャートである。
【図20】実施の形態(2)に係る表示制御装置が採用された表示装置における制御部の行う更に別の処理動作を示したフローチャートである。
【図21】分離表示を実現する従来の表示装置の構造を模式的に示した図である。
【図22】(a)、(b)は表示装置を構成する表示部に表示される一例を示した図である。
【図23】表示装置を構成する表示部に表示される一例を示した図である。
【図24】分離表示を実現する従来の別の表示装置の構造を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0142】
1、1A 表示装置
2、2A 制御部
3 映像処理部
4 VRAM
5 パネル駆動部
6 液晶パネル
7 分離表示シャッター
8 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に表示可能な表示部を制御するための表
示制御装置であって、
所定の表示切替条件に基づいて、前記複数の視方向のうちの所定の方向に対する表示映
像の切替制御を行う表示制御手段を備えていることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記複数の視方向のうちのどの方向に対する表示映像の切替が行なわれたかを判断する
切替方向判断手段と、
前記表示切替条件が前記切替方向判断手段により判断された切替方向と関係するもので
あるか否かを判断する切替条件判断手段とを備え、
前記表示制御手段が、
前記切替条件判断手段により、前記表示切替条件が前記切替方向と関係するものである
と判断された場合、前記所定の方向に対する表示映像を前記切替方向と同じ表示映像に切
り替える制御を行うものであることを特徴とする請求項1記載の表示制御装置
【請求項3】
前記表示部には、1つの画面で、第1の方向と、第2の方向と、第3の方向とに対して
、異なる映像を映し出すための分離表示手段が装備され、
前記表示制御手段が、前記表示切替条件に基づいて、前記第2及び/又は第3の方向に
対する表示映像の切替制御を行うものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載
の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示切替条件が、前記第2及び/又は第3の方向に対する表示映像を、前記第1の
方向に対する表示映像と同じ映像に切り替えるという条件であることを特徴とする請求項
3記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示切替条件が、前記第3の方向に対する表示映像を、前記第2の方向に対する表
示映像と同じ映像に切り替えるという条件であることを特徴とする請求項3記載の表示制
御装置。
【請求項6】
前記表示切替条件が、前記第2又は第3の方向に対する表示映像を出力しないという条
件であることを特徴とする請求項3記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記表示切替条件が、前記第3の方向に対する表示映像には、該第3の方向用に設定さ
れた映像を表示するという条件であることを特徴とする請求項3記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記表示切替条件を設定するための表示切替条件設定手段を備えていることを特徴とす
る請求項1〜3のいずれかの項に記載の表示制御装置。
【請求項9】
複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に表示可能な表示部と、
請求項1〜8のいずれかの項に記載の表示制御装置とを含んで構成されていることを特
徴とする表示装置。
【請求項10】
複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に表示可能な表示部を制御するための表
示制御装置であって、
前記表示部には、各視方向に対する光の透過領域を変更するための光透過領域変更手段
が装備され、
該光透過領域変更手段による各視方向に対する光の透過領域の変更と、前記各視方向に
表示させる映像の表示解像度とを対応させて制御する表示制御手段を備えていることを特
徴とする表示制御装置。
【請求項11】
前記表示部に映し出される映像数の変化を検出する映像数検出手段を備え、
前記表示制御手段が、前記映像数検出手段により検出された映像数に基づいて、前記光
透過領域変更手段による前記各視方向に対する光の透過領域の変更と、前記各視方向に表
示させる映像の表示解像度とを対応させて制御するものであることを特徴とする請求項1
0記載の表示制御装置。
【請求項12】
前記表示部に映し出される映像の種別を判別する映像種別判別手段を備え、
前記表示制御手段が、前記映像種別判別手段により判別された映像種別に基づいて、前
記光透過領域変更手段による前記各視方向に対する光の透過領域の変更と、前記各視方向
に表示させる映像の表示解像度とを対応させて制御するものであることを特徴とする請求
項10記載の表示制御装置。
【請求項13】
前記表示部に映し出された、いずれかの映像に対する視認領域の変更操作を検出する視
認領域変更操作検出手段を備え、
前記表示制御手段が、前記視認領域変更操作検出手段により検出された前記視認領域の
変更操作に基づいて、前記光透過領域変更手段による前記各視方向に対する光の透過領域
の変更と、前記各視方向に表示させる映像の表示解像度とを対応させて制御するものであ
ることを特徴とする請求項10記載の表示制御装置。
【請求項14】
前記表示部に映し出された、いずれかの映像に対する操作を検出する操作検出手段を備
え、
前記表示制御手段が、前記操作検出手段により検出された操作に基づいて、前記光透過
領域変更手段による前記各視方向に対する光の透過領域の変更と、前記各視方向に表示さ
せる映像の表示解像度とを対応させて制御するものであることを特徴とする請求項10記
載の表示制御装置。
【請求項15】
前記光透過領域変更手段が、液晶シャッターから構成され、
該液晶シャッターの遮光パターンが記憶された遮光パターン記憶手段を備え、
前記表示制御手段が、前記遮光パターン記憶手段から光の透過領域の変更条件に対応し
た遮光パターンを読み出し、該遮光パターンに基づいて前記液晶シャッターの制御を行う
ものであることを特徴とする請求項10〜14のいずれかの項に記載の表示制御装置。
【請求項16】
複数の視方向に対する個別の映像を同一画面上に表示可能に構成され、各視方向に対す
る光の透過領域を変更するための光透過領域変更手段を備えた表示部と、
上記請求項10〜15のいずれかの項に記載の表示制御装置とを含んで構成されている
ことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−184859(P2006−184859A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257334(P2005−257334)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】