説明

装着式動作補助装置、そのインタフェース装置及びプログラム

【課題】パラメータ設定を容易に行うことのできる装着式動作補助装置、そのインタフェース装置及びプログラムの提供。
【解決手段】装着式動作補助装置は、動力を付与する駆動源132と、生体電位信号に応じた動力を前記駆動源に発生させる第1指令信号を生成する随意制御手段111と、装着者1のタスクのフェーズを特定し、このフェーズに応じた動力を前記駆動源に発生させる第2指令信号を生成する自律制御手段112と、前記第1及び第2指令信号に基づいて駆動電流を生成し、前記駆動源に供給する生成手段131と、前記動力の強弱に対応する座標軸を表示する画面を有する表示手段141と、前記画面内の指定された位置の座標を検出する検出手段143と、前記検出された座標に対応するパラメータを抽出し、抽出したパラメータを随意制御手段111に設定する設定手段121と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装着式動作補助装置に係り、特に装着者の動作を補助又は代行する装着式動作補助装置、そのインタフェース装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
身体障害者や高齢者にとっては、健常者であれば簡単に行える動作でも非常に困難である場合が多い。このため、今日では、これらの人達の動作を補助又は代行するために、種々のパワーアシスト装置の開発が進められている。
【0003】
パワーアシスト装置としては、例えば、利用者(以下「装着者」という)に装着される装着式動作補助装置(以下、単に「動作補助装置」という)が知られている(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。この動作補助装置は、装着者の筋活動に伴う筋電位信号を検出する筋電位センサ(生体信号検出手段)と、装着者の各関節の角変位を検出する関節角度検出手段と、装着者にアシスト力としてのトルクを付与する駆動モータ等の駆動源と、当該駆動源を制御する制御手段とを備える。
【0004】
この動作補助装置では、筋電位センサによる検出結果と、関節角度検出手段による検出結果とに基づいて、制御手段が駆動モータを適宜制御することにより、装着者の意思に応じかつ現動作に適したトルクを当該装着者に付与することができる。
【0005】
動作補助装置を装着者に装着させる際には、装着者に所望のアシスト力を付与するために、動作補助装置に種々のパラメータが設定される。パラメータの設定には、パラメータの変化量がアシスト力にどのように反映されるかといった専門的な知識が要求される。そのため、パラメータ設定作業が困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−230099号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Takao Nakai, Suwoong Lee, Hiroaki Kawamoto and Yoshiyuki Sankai, “Development of Power Assistive Leg for Walking Aid using EMG and Linux”, Second Asian Symposium on Industrial Automation and Robotics, BITECH, Bangkok, Thailand, May 17-18, 2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、パラメータ設定を容易に行うことのできる装着式動作補助装置、そのインタフェース装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による装着式動作補助装置は、装着者に対して動力を付与する駆動源と、前記装着者の筋活動に伴う生体電位信号を検出する第1検出手段と、前記装着者の関節の角度を検出する第2検出手段と、前記生体電位信号に対してフィルタ処理及び増幅を含む信号処理を行い、前記信号処理後の前記生体電位信号に応じた動力を前記駆動源に発生させるための第1指令信号を生成する第1制御手段と、前記装着者の動作パターンを分類するタスクを構成するフェーズに対応する前記装着者の関節角度の基準パラメータを格納する第1格納手段と、前記第2検出手段により検出された関節角度と、前記基準パラメータとを比較して、前記装着者の動作パターンのフェーズを特定し、このフェーズに応じた動力を前記駆動源に発生させるための第2指令信号を生成する第2制御手段と、前記第1指令信号及び前記第2指令信号を合成して合成指令信号を生成する合成手段と、前記合成指令信号に基づいて駆動電流を生成し、前記駆動源に供給する生成手段と、前記駆動源が前記装着者に対して付与する動力の強弱又は前記生体電位信号の変化に対する前記装着者に付与される動力の変化の応答速度に対応する第1座標軸を表示する画面を有する表示手段と、前記画面内の任意の位置の指定を入力する入力手段と、前記指定された位置の座標を検出する第3検出手段と、前記画面内の座標と、前記第1制御手段における前記信号処理のパラメータとの対応関係を規定するパラメータテーブルを格納する第2格納手段と、前記パラメータテーブルから前記検出された座標に対応するパラメータを抽出し、抽出したパラメータを前記第1制御手段に設定する設定手段と、を備えるものである。
【0010】
本発明の一態様による装着式動作補助装置のインタフェース装置は、装着者に対して動力を付与する駆動源と、前記装着者の筋活動に伴う生体電位信号を検出する第1検出手段と、前記装着者の関節の角度を検出する第2検出手段と、前記生体電位信号に対してフィルタ処理及び増幅を含む信号処理を行い、前記信号処理後の前記生体電位信号に応じた動力を前記駆動源に発生させるための第1指令信号を生成する第1制御手段と、前記装着者の動作パターンを分類するタスクを構成するフェーズに対応する前記装着者の関節角度の基準パラメータを格納する第1格納手段と、前記第2検出手段により検出された関節角度と、前記基準パラメータとを比較して、前記装着者の動作パターンのフェーズを特定し、このフェーズに応じた動力を前記駆動源に発生させるための第2指令信号を生成する第2制御手段と、前記第1指令信号及び前記第2指令信号を合成して合成指令信号を生成する合成手段と、前記合成指令信号に基づいて駆動電流を生成し、前記駆動源に供給する生成手段と、座標と前記第1制御手段における前記信号処理のパラメータとの対応関係を規定するパラメータテーブルを格納する第2格納手段と、与えられた座標に対応するパラメータを前記パラメータテーブルから抽出し、抽出したパラメータを前記第1制御手段に設定する設定手段と、を備える装着式動作補助装置に対する前記動力の調整指示を受け付けるインタフェース装置であって、前記駆動源が前記装着者に対して付与する動力の強弱に対応する座標軸を表示する画面を有する表示手段と、前記画面内の任意の位置の指定を入力する入力手段と、前記指定された位置の座標を検出する第3検出手段と、前記検出した座標を前記設定手段に送信する通信手段と、を備えるものである。
【0011】
本発明の一態様による装着式動作補助装置のインタフェースプログラムは、装着者に対して動力を付与する駆動源と、前記装着者の筋活動に伴う生体電位信号を検出する第1検出手段と、前記装着者の関節の角度を検出する第2検出手段と、前記生体電位信号に対してフィルタ処理及び増幅を含む信号処理を行い、前記信号処理後の前記生体電位信号に応じた動力を前記駆動源に発生させるための第1指令信号を生成する第1制御手段と、前記装着者の動作パターンを分類するタスクを構成するフェーズに対応する前記装着者の関節角度の基準パラメータを格納する第1格納手段と、前記第2検出手段により検出された関節角度と、前記基準パラメータとを比較して、前記装着者の動作パターンのフェーズを特定し、このフェーズに応じた動力を前記駆動源に発生させるための第2指令信号を生成する第2制御手段と、前記第1指令信号及び前記第2指令信号を合成して合成指令信号を生成する合成手段と、前記合成指令信号に基づいて駆動電流を生成し、前記駆動源に供給する生成手段と、座標と前記第1制御手段における前記信号処理のパラメータとの対応関係を規定するパラメータテーブルを格納する第2格納手段と、与えられた座標に対応するパラメータを前記パラメータテーブルから抽出し、抽出したパラメータを前記第1制御手段に設定する設定手段と、を備える装着式動作補助装置に対する前記動力の調整指示を受け付けるインタフェース装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記駆動源が前記装着者に対して付与する動力の強弱に対応する座標軸を表示手段の画面に表示するステップと、前記画面内の任意の位置の指定を入力するステップと、前記指定された位置の座標を検出するステップと、前記検出した座標を前記設定手段に送信するステップと、をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装着式動作補助装置のパラメータ設定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る装着式動作補助装置のブロック図である。
【図2】タスク及びフェーズの一例を示す図である。
【図3】インタフェース装置の表示画面の一例を示す図である。
【図4】パラメータテーブルの一例を示す図である。
【図5】同実施形態に係る装着式動作補助装置を装着した状態を後側からみた斜視図である。
【図6】インタフェース装置の表示画面の一例を示す図である。
【図7】インタフェース装置の表示画面の一例を示す図である。
【図8】パラメータ設定方法を説明するフローチャートである。
【図9】パラメータテーブルの一例を示す図である。
【図10】パラメータテーブルの一例を示す図である。
【図11】変形例による装着式動作補助装置のブロック図である。
【図12】変形例による装着式動作補助装置を装着した状態を後側からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る装着式動作補助装置の制御系システムを示すブロック図である。装着式動作補助装置100は、生体電位信号検出手段101、関節角度検出手段103、重心位置検出手段104、制御装置110、パラメータ設定装置120、駆動信号生成手段131、駆動源(アクチュエータ)132及びインタフェース装置140を備える。装着者1は、この装着式動作補助装置100を装着した人間である。
【0016】
生体電位信号検出手段101は、装着者1が発生する筋力に応じた筋電位を検出する。人が動こうとした場合には、その意思は電気信号となり体内の神経を通じて脳から筋肉へ伝達される。このとき、生体電位信号検出手段101は、皮膚表面に生じる生体電位信号を検出する。
【0017】
関節角度検出手段103は、装着者1の動作に応じた関節角度を検出し、制御装置110へ出力する。
【0018】
重心位置検出手段104は、装着者1の動作に応じた重心位置を検出し、制御装置110へ出力する。
【0019】
制御装置110は、随意制御手段111、自律制御手段112、データ格納手段113及び指令信号合成手段114を有する。
【0020】
随意制御手段111は、生体電位信号検出手段101により検出された生体電位信号(筋電位信号)に対して、フィルタ処理(スムージング処理)及び増幅を含む信号処理を行う。そして、随意制御手段111は、信号処理を施した生体電位信号を用いて、装着者1の意思に従った動力を駆動源(アクチュエータ)132に発生させるための随意指令信号を生成する。なお、フィルタ処理のカットオフ周波数(時定数)及び増幅のゲイン等の信号処理のパラメータは、パラメータ設定装置120により設定される。パラメータの設定方法については後述する。
【0021】
データ格納手段113は、装着者1のタスクのフェーズを特定するための基準パラメータデータベースと、特定されたフェーズに応じて装着者1の動きをアシストするためのアシストパラメータとを格納する。タスクとは、人間の主要な動作パターンを分類したものである。フェーズとは、各タスクを構成する一連の最小動作単位である。
【0022】
図2に、基準パラメータデータベースに格納される各タスク及び各フェーズの一例を示す。
【0023】
図2に示されるように、装着者1の動作を分類するタスクとしては、例えば、座位状態から立位状態に移行する立ち上がり動作データを有するタスクAと、立ち上がった装着者1が歩行する歩行動作データを有するタスクBと、立った状態から座位状態に移行する座り動作データを有するタスクCと、立った状態から階段を昇り降りする階段昇降動作データを有するタスクDとが、基準パラメータデータベースに格納されている。
【0024】
そして、各タスクには、複数のフェーズデータが設定されており、例えば、歩行動作のタスクBには、左脚に重心を置いて立脚した状態から右脚を前に振り出そうとするときの動作データ(関節角度や重心位置の軌跡、トルクの変動、生体電位信号の変化など)を有するフェーズB1と、右脚を前に出した状態から着地して重心を移すときの動作データを有するフェーズB2と、右脚に重心を置いて立脚した状態から左脚を前に振り出そうとするときの動作データを有するフェーズB3と、左脚を右脚の前に出した状態から着地して重心を移すときの動作データを有するフェーズB4と、が設定されている。
【0025】
このように、人間の一般的な動作を分析すると、各フェーズにおける各関節の角度や重心の移動等の典型的な動作パターンが決まっていることが分かる。そこで、人間の多数の基本動作(タスク)を構成する各フェーズについて、典型的な関節角度の変位や重心移動の状態等を経験的に求め、それらを基準パラメータデータベースに格納しておく。
【0026】
また、各フェーズについては、複数のパターンのアシストパターンが割り当てられており、同じフェーズでも各アシストパターンで異なったアシストがされる。
【0027】
例えば、人間は体の大きさや、筋力の状態などにより、また、歩行速度などによって、異なる歩行パターンを有している。また、動作の目的(例えば、リハビリ目的、トレーニング目的、歩様の改善目的、動作(力の)補助目的等)によっても歩行パターンが異なる。そのため、各装着者によって最も自然に感じられるアシストが異なり、目的に適したアシストも異なる。そのため、目的とするアシストに応じて、複数のアシストパターンの中から、最適なアシストパターンを選択できるように、各フェーズについて多数のアシストパターンが割り当てられている。
【0028】
自律制御手段112は、関節角度検出手段103により検出された関節角度及び重心位置検出手段104により検出された重心位置等の装着者の動作の状態をあらわすパラメータと、データ格納手段113に格納された基準パラメータとを比較して、装着者1の動作のタスク及びフェーズを特定する。自律制御手段112は、装着者の動作の状態に応じてフェーズを特定したら、そのフェーズに割り当てられたアシストパターンの中から、予め設定された目的に応じて、最適なアシストパターンを選択し、このアシストパターンに応じた動力を駆動源(アクチュエータ)132に発生させるための自律指令信号を生成する。
【0029】
指令信号合成手段114は、随意制御手段111により生成された随意指令信号と、自律制御手段112により生成された自律指令信号とを合成し、合成指令信号を駆動信号生成手段131へ出力する。随意指令信号と自律指令信号との合成比を各タスクのフェーズ毎に予め設定してデータ格納手段113に格納しておいてもよい。
【0030】
合成指令信号は、動作の開始から終了まで変化する随意的制御による動力と、フェーズ毎に自律的制御による動力とを加算した動力を駆動源132に発生させる波形を有する。
【0031】
駆動信号生成手段131は、合成指令信号に応じた駆動信号(駆動電流)を生成し、駆動源132に供給することにより、駆動源132を駆動する。駆動源132は、駆動信号に応じたアシスト力(動力)を装着者1に付与する。
【0032】
インタフェース装置140は、表示手段141、入力手段142、座標検出手段143及び通信手段144を有する。インタフェース装置140は、装着者1等から、アシスト力の強弱や応答速度についての指示を受け付ける。
【0033】
例えば、表示手段141が、図3に示すような、縦軸(y軸)がアシスト力に対応し、横軸(x軸)が応答速度に対応する座標系(座標平面)を表示する。装着者1は、入力手段142を介して、アシスト力を大きくしたい場合は座標系における縦軸の値の大きい位置を指定し、アシスト力を小さくしたい場合は縦軸の値の小さい位置を指定する。
【0034】
また、装着者1は、入力手段142を介して、応答速度を速くしたい(付与されるアシストの反応を俊敏にしたい)場合は座標系の横軸の値の小さい位置(図中左側)を指定し、応答速度を遅くしたい(付与されるアシストの反応を安定的にしたい)場合は横軸の値の大きい位置(図中右側)を指定する。
【0035】
表示手段141及び入力手段142は、例えばタッチパネルで構成される。
【0036】
座標検出手段143は、入力手段142を介して指定された位置の座標を検出する。通信手段144は、検出された座標をパラメータ設定装置120へ送信する。
【0037】
パラメータ設定装置120は、パラメータ設定手段121、データ格納手段122及び通信手段123を有する。通信手段123は、インタフェース装置140の通信手段144から送信された座標を受信する。
【0038】
データ格納手段122は、表示手段141に表示される座標平面における座標と、随意制御手段111における信号処理のパラメータ(増幅のゲイン及びフィルタ処理のカットオフ周波数)の設定値との対応関係を示すパラメータテーブルを格納する。
【0039】
図4は、データ格納手段122に格納され、図3に示す座標系に対応するパラメータテーブルの一例を示す。Gijは、入力座標が(x、y)の場合に随意制御手段111に設定する増幅のゲインを示す。また、Fijは、入力座標が(x、y)の場合に随意制御手段111に設定するフィルタ処理のカットオフ周波数を示す。
【0040】
例えば、x座標の値が大きい程、随意制御手段111に設定するフィルタ処理のカットオフ周波数Fijを低くする。カットオフ周波数が低い程、生体電位信号の変化は緩やかになり、装着者1に付与されるアシスト力の反応が安定的になる。また、y座標の値が大きい程、随意制御手段111に設定する増幅のゲインGijを大きくする。ゲインが大きい程、生体電位信号の値は大きくなり、装着者1に付与されるアシスト力も大きくなる。
【0041】
パラメータ設定手段121は、通信手段123が受信した座標に対応するパラメータをデータ格納手段122に格納されたパラメータテーブルから抽出する。そして、パラメータ設定手段121は、抽出したパラメータを随意制御手段111に設定する。
【0042】
また、データ格納手段122は、インタフェース装置140の表示手段141に表示できる複数の座標系やタッチキーについての情報と、各座標系に応じたパラメータテーブルを記憶する。また、データ格納手段122は、座標上に表示する入力ガイドについての情報を記憶する。入力ガイドについては後述する。
【0043】
通信手段123は、データ格納手段122から座標系についての情報を読み出し、通信手段144へ送信する。そのため、インタフェース装置140は、様々な座標系やタッチキーを表示することができる。
【0044】
また、データ格納手段122は、前回使用時にインタフェース装置140の表示手段141に表示していた座標系や、装着者1に指定された座標を記憶することができる。通信手段123は、電源投入時等の設定開始時に、データ格納手段122から前回使用座標系の情報を読み出し、通信手段144へ送信する。そのため、インタフェース装置140は、表示手段141に前回使用していた座標系を表示することができる。
【0045】
通信手段144と通信手段123との通信は、無線通信で行ってもよいし、有線通信で行ってもよい。
【0046】
図5は、本実施形態に係る装着式動作補助装置100を装着した状態を後側からみた斜視図である。
【0047】
装着式動作補助装置100は、例えば、骨格筋の筋力低下により歩行が不自由な下肢運動機能障害者、又は、歩行運動のリハビリを行う患者などのように自力歩行が困難な人の歩行動作を補助(アシスト)する装置であり、脳からの信号により筋力を発生させる際に生じる生体信号(表面筋電位)を検出し、検出した生体信号に基づいてアクチュエータからの駆動力を装着者1に付与するように作動する。
【0048】
装着式動作補助装置100を装着した装着者1は、自らの意思で歩行動作を行うと、その際に発生した生体信号に応じた駆動トルクがアシスト力として動作補助装置100から付与される。これにより、例えば、通常歩行で必要とされる半分の力で歩行することが可能になる。従って、装着者1は、自身の筋力と、アクチュエータからの駆動トルクとの合力によって全体重を支えながら歩行することができる。
【0049】
その際、動作補助装置100は、歩行動作に伴う重心の移動に応じて付与されるアシスト力が装着者1の意思を反映するように制御している。そのため、動作補助装置100のアクチュエータは、装着者1の意思に反するような負荷を与えないように制御されており、装着者1の動作を妨げない。
【0050】
図5に示すように、動作補助装置100は、腰部フレーム10、脚部フレーム11〜14、締結ベルト21〜24、パワーユニット31〜34、筋電位センサ41〜44、靴51、52及びコントロールユニット60を有する。また、動作補助装置100は、パワーユニット31〜34やコントロールユニット60等に電力を供給する電源(図示せず)を備える。電源は腰部フレーム10に取り付けることができる。
【0051】
腰部フレーム10は、装着者1の腰回りを支持するためのフレームであり、装着者1の胴体に固定される。
【0052】
腰部フレーム10には、パワーユニット31、32が腰部フレーム10に対して回動自在となるように連結されている。パワーユニット31、32は、脚部フレーム11、12を介してパワーユニット33、34に連結される。パワーユニット33、34は、脚部フレーム11、12に対して回動自在となるように連結されている。
【0053】
靴51、52は、フレーム13、14を介してパワーユニット33、34に連結される。動作補助装置100の荷重は全て靴51、52で支えられるため、装着者1にかかることはない。
【0054】
パワーユニット31〜34は、大腿、下腿それぞれの関節(股関節、膝関節)に該当する部分に設けられる。フレーム11、12は装着者1の腿外側に沿うように設けられ、フレーム13、14は装着者1の脛外側に沿うように設けられる。従って、フレーム11〜14は、装着者1の脚と同じ動作を行えるように構成されている。
【0055】
フレーム11、12は締結ベルト21、22により、装着者1の腿に締結される。また、フレーム13、14は締結ベルト23、24により、装着者1の膝下に締結される。
【0056】
パワーユニット31〜34は、駆動モータを含み、駆動モータの回転軸が、ギヤを介して被駆動側となるフレーム11〜14に駆動トルクを伝達する。この駆動トルクは、締結ベルト21〜24を介して装着者1の脚にアシスト力として伝達される。
【0057】
駆動モータは、関節角度を検出する角度センサを有する。角度センサは、例えば、関節角度に比例したパルス数をカウントするローカリエンコーダにより構成される。角度センサは検出した関節角度をコントロールユニット60へ出力する。
【0058】
パワーユニット31〜34は、図1における関節角度検出手段103、駆動信号生成手段131及び駆動源132に相当する。
【0059】
筋電位センサ41、42は、装着者1の尻に貼着され、大殿筋の表面筋電位を検出する。これにより、例えば、後ろに蹴る力や階段を昇るときの筋力に応じた筋電位が検出される。
【0060】
筋電位センサ43、44は、装着者1の膝上後側に貼着され、大腿二頭筋の表面電位を検出する。これにより、膝から下を後ろに戻す筋力に応じた筋電位が検出される。
【0061】
また、図示していないが、装着者1の腿の付け根部分前側に貼着され、腸腰筋の表面筋電位を検出することにより、脚を前に出すときの筋力に応じた筋電位を検出する筋電位センサ、及び、装着者1の膝上前側に貼着され、大腿四頭筋の表面筋電位を検出し、膝から下を前に出す筋力に応じた筋電位を検出する筋電位センサも設けられている。
【0062】
筋電位センサは、検出した筋電位をコントロールユニット60へ出力する。筋電位センサ41〜44は、生体電位信号検出手段101に相当する。
【0063】
靴51、52には中敷センサ(図示せず)が設けられている。中敷センサは、例えば、右脚、左脚の前側、後側に対する反力を検出する反力センサを含む。反力センサは、例えば、印加された荷重に応じた電圧を出力する圧電素子からなり、重心位置等を検出することができる。中敷センサは、検出結果をコントロールユニット60へ出力する。中敷センサは、重心位置検出手段104に相当する。
【0064】
装着者1は、上述したように、インタフェース装置140を用いて、アシスト力や応答速度が所望の値となるように調整することができる。コントロールユニット60は、制御装置110及びパラメータ設定装置120に相当する。
【0065】
次に、インタフェース装置140を用いたアシスト力等の調整方法について説明する。図6(a)にインタフェース装置140の表示手段141及び入力手段142に相当するタッチパネルに表示される画面の例を示す。図6(a)に示すように、タッチパネルには、縦軸がアシスト力に対応し、横軸が応答速度に対応する座標系(座標軸)が表示される。
【0066】
装着者1が画面上の任意の位置を指定すると、その位置の座標が検出され、パラメータ設定装置120へ送信される。パラメータ設定装置は、上述したように、パラメータテーブルから、座標に対応したパラメータを抽出する。
【0067】
タッチパネルには、座標切り換えキー601、入力ガイド切り換えキー602、動作選択キー603、膝関節選択キー604、股関節選択キー605及び決定キー606が表示される。
【0068】
座標切り換えキー601を押圧することで、表示される座標軸を切り換えることができる。例えば、図6(a)の表示画面で座標切り換えキー601を押圧することで、図6(b)に示すような座標系に切り換わる。図6(b)に示す座標系は、縦軸(y軸)がアシスト力に対応し、横軸(x軸)がアシストの前後バランスに対応する。前後バランスは、前側(図中右側)を指示することで、関節を前方向に動かす力への反応を強くでき、後側(図中左側)を指示することで、関節を後方向に動かす力への反応を強くできる。
【0069】
タッチパネルには、入力ガイドとして装着者1の症状や状態に適した領域が表示される。図6(a)、(b)には症状A〜Cの各々に好適な領域が示されている。
【0070】
症状Aの領域は、脚を前に振り出す筋肉が衰えている状態の人に適した領域であって、脚を前に振り出しやすいように、股関節の屈曲方向へのアシスト及び膝関節の伸展方向へのアシストを強く設定する。
【0071】
症状Bの領域は、前後の別なく両方の筋肉が衰えている状態の人に適した領域であって、両脚の膝関節及び股関節のアシストを同程度のレベルに設定する。
【0072】
症状Cの領域は、脚を後ろに蹴り出す力の衰えている状態の人に適した領域であって、脚を後ろに蹴り出しやすいように、股関節の伸展方向のアシスト及び膝関節の屈曲方向のアシストを強く設定する。
【0073】
図6(a)、(b)からわかるように、座標系の異なる図6(a)と図6(b)とでは、同じ症状でも好適な領域の位置は異なる。装着者1は、自らの症状に合わせて、入力ガイドに示された領域を指定することで、適切なアシスト力が付与される。
【0074】
膝関節選択キー604、股関節選択キー605を押圧することで、それぞれの関節に対するアシストの強さ等を個別に設定することができる。関節の指定がない場合は、膝関節/股関節のアシストは同程度のレベルに設定される。
【0075】
決定キー606を押圧すると、上述したように、パラメータ設定手段121が、抽出したパラメータを随意制御手段111に設定する。
【0076】
入力ガイド切り換えキー602を押圧することで、表示される入力ガイドを切り換えることができる。例えば、図7(a)は、入力ガイドとして、自力歩行の能力に応じた領域を示している。図7(a)の表示画面で入力ガイド切り換えキー602を押圧することで、図7(b)に示すように、目的とする動作に応じた入力ガイドが示される。
【0077】
動作選択キー603を押圧することで、パラメータの設定対象となる動作を選択することができる。例えば、図7(b)の表示画面では、パラメータの設定対象の動作として、立ち上がり動作又は歩行動作を選択することができる。
【0078】
このようなインタフェース装置140を用いたパラメータ設定方法を図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0079】
(ステップS101)電源が投入され、パラメータ設定動作が開始されると、パラメータ設定装置120のデータ格納手段122に前回使用時のパラメータ等が保存されているか否かが検出される。保存されている場合はステップS102へ進み、保存されていない場合はステップS103へ進む。
【0080】
(ステップS102)データ格納手段122から、前回使用時に、インタフェース装置140の表示手段141に表示されていた座標系、使用されていたパラメータテーブル、パラメータ等が読み出される。
【0081】
(ステップS103)データ格納手段122から、予め保存されている標準の座標系、パラメータテーブル、パラメータ等が読み出される。
【0082】
(ステップS104)表示手段141に座標系が表示される。
【0083】
具体的には、通信手段123が、ステップS102又はS103においてデータ格納手段122から読み出された座標系、入力ガイド、タッチキー等の情報を、通信手段144へ送信する。そして、表示手段141が、通信手段144の受信した情報に基づいて、座標系、入力ガイド、タッチキー等の表示を行う。
【0084】
(ステップS105)座標切り換えキー601が押圧された場合はステップS106へ進み、押圧されなかった場合はステップS107へ進む。
【0085】
(ステップS106)表示手段141に異なる座標系が表示される。
【0086】
具体的には、通信手段144が、座標切り換え指示があったことを通信手段123に通知する。通信手段123は、データ格納手段122から表示手段141に表示されている座標系とは異なる座標系の情報を読み出し、通信手段144に送信する。そして、表示手段141が、通信手段144の受信した情報に基づいて、異なる座標系の表示を行う。
【0087】
ステップS105及びS106は、表示手段141に所望の座標系が表示されるまで繰り返される。
【0088】
(ステップS107)パラメータ設定手段121が、表示手段141に表示されている座標系に対応したパラメータテーブルを読み込む。例えば、表示手段141に図6(a)に示すような座標系が表示されている場合、図4に示すようなパラメータテーブルが読み込まれる。
【0089】
また、表示手段141に図6(b)に示すような座標系が表示されている場合、図9に示すようなパラメータテーブルが読み込まれる。KFijは、入力座標が(x、y)の場合に、随意制御手段111における膝関節の屈曲に対応する筋電位の増幅(ゲイン)を示す。
【0090】
また、KEijは、入力座標が(x、y)の場合に、随意制御手段111における膝関節の伸展に対応する筋電位の増幅(ゲイン)を示す。
【0091】
また、HFijは、入力座標が(x、y)の場合に、随意制御手段111における股関節の屈曲に対応する筋電位の増幅(ゲイン)を示す。
【0092】
また、HEijは、入力座標が(x、y)の場合に、随意制御手段111における股関節の伸展に対応する筋電位の増幅(ゲイン)を示す。
【0093】
パラメータ設定手段121は、さらに、図10に示すような、自律制御手段112のための複数のアシストパターンが記録されたパラメータテーブルを読み込んでもよい。このようなパラメータテーブルは各フェーズについて用意されている。図10において、f11(x、y)〜fnn(x、y)は、各アシストパターンを表す関数であって、トルクの出力パターンや、関節角度の軌跡のパターン等を表すものである。自律制御手段112がフェーズを特定すると、特定されたフェーズに対応するパラメータテーブルが読み込まれる。そして、入力座標に基づいて、読み込まれたパラメータテーブルからアシストパラメータが選択される。自律制御手段112は、選択されたアシストパラメータに応じた自律指令信号を生成する。
【0094】
(ステップS108)入力ガイド切り換えキー602が押圧された場合はステップS109へ進み、押圧されなかった場合はステップS110へ進む。
【0095】
(ステップS109)表示手段141に異なる入力ガイドが表示される。
【0096】
具体的には、通信手段144が、入力ガイド切り換え指示があったことを通信手段123に通知する。通信手段123は、データ格納手段122から表示手段141に表示されている入力ガイドとは異なる入力ガイドの情報を読み出し、通信手段144に送信する。そして、表示手段141が、通信手段144の受信した情報に基づいて、異なる入力ガイドの表示を行う。
【0097】
(ステップS110)膝関節選択キー604/股関節選択キー605が押圧された場合はステップS111へ進み、押圧されなかった場合はステップS112へ進む。
【0098】
(ステップS111)ステップS110で選択された関節に対応する筋電位を処理する随意制御手段111の増幅のゲインやフィルタ処理のカットオフ周波数がパラメータ設定対象として指定される。
【0099】
(ステップS112)動作選択キー603が押圧された場合はステップS113へ進み、押圧されなかった場合はステップS114へ進む。
【0100】
(ステップS113)パラメータの設定対象となる動作が指定される。指定される動作は例えば歩行動作、立ち上がり動作、着席動作等である。
【0101】
(ステップS114)表示手段141に表示された座標系の任意の座標が装着者1により指定される。
【0102】
(ステップS115)座標検出手段143が、ステップS114で指定された座標を検出する。そして、通信手段144が、検出された座標を通信手段123へ送信する。
【0103】
(ステップS116)パラメータ設定手段121が、ステップS115で検出された座標を通信手段123から受け取る。そして、パラメータ設定手段121は、パラメータテーブルを参照して、座標に対応するパラメータを抽出する。
【0104】
(ステップS117)決定キー606が押圧された場合はステップS118へ進み、押圧されなかった場合はステップS105に戻る。
【0105】
(ステップS118)パラメータ設定手段121が、ステップS116で抽出したパラメータを随意制御手段111に設定する。
【0106】
装着者は、インタフェース装置140に表示された座標系の所望の座標を指定することで、アシスト力、アシストバランス、反応速度等を調整し、設定することができる。装着者は、パラメータの設定に際し、パラメータの変化量がアシスト力にどのように反映されるかといった専門的な知識を持たなくてもパラメータを設定できる。
【0107】
このように、本実施形態に係る装着式動作補助装置のインタフェース装置を用いることで、装着式動作補助装置のパラメータ設定を容易に行うことができる。
【0108】
上記実施形態では、インタフェース装置の表示手段141及び入力手段142がタッチパネルである例について説明したが、表示手段141である液晶画面等にカーソルを表示させ、入力手段142であるボタンを用いてカーソルを動かし、座標等を指定するようにしてもよい。
【0109】
図11に示すように、制御装置110と駆動信号生成手段131との間に、制御装置110から出力される合成指令信号を調節する調節手段133を設け、パラメータ設定装置120が調節手段133に含まれるアンプのパラメータを設定するようにしてもよい。このような構成でも、アシストの強弱を調整することができる。
【0110】
上記実施形態では、データ格納手段122にパラメータテーブルが格納されていたが、パラメータを算出するための関数を格納していてもよい。パラメータ設定手段121は、インタフェース装置140から座標を受け取ると、座標のx、yの値を関数に入力し、随意制御手段111に設定するパラメータを算出する。
【0111】
上記実施形態では、表示手段141は縦軸、横軸の2軸を表示していたが、1軸のみ表示してもよい。例えば、表示手段141は、アシスト力の強弱を調整する軸のみを表示する。その場合、データ格納手段122には、1軸のみの座標に対応したパラメータテーブルを格納しておくことが好適である。あるいはまた、表示手段141は、生体電位信号の変化に追従して装着者1に付与される動力が変化する際の応答速度を調整する軸のみを表示してもよい。
【0112】
上述した実施形態で説明したインタフェース装置140の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、インタフェース装置140の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、図12に示すように、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0113】
また、インタフェース装置140の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0114】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0115】
100 装着式動作補助装置
101 生体電位信号検出手段
103 関節角度検出手段
104 重心位置検出手段
110 制御装置
120 パラメータ設定装置
131 駆動信号生成手段
132 駆動源(アクチュエータ)
140 インタフェース装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者に対して動力を付与する駆動源と、
前記装着者の筋活動に伴う生体電位信号を検出する第1検出手段と、
前記装着者の関節の角度を検出する第2検出手段と、
前記生体電位信号に対してフィルタ処理及び増幅を含む信号処理を行い、前記信号処理後の前記生体電位信号に応じた動力を前記駆動源に発生させるための第1指令信号を生成する第1制御手段と、
前記装着者の動作パターンを分類するタスクを構成するフェーズに対応する前記装着者の関節角度の基準パラメータを格納する第1格納手段と、
前記第2検出手段により検出された関節角度と、前記基準パラメータとを比較して、前記装着者の動作パターンのフェーズを特定し、このフェーズに応じた動力を前記駆動源に発生させるための第2指令信号を生成する第2制御手段と、
前記第1指令信号及び前記第2指令信号を合成して合成指令信号を生成する合成手段と、
前記合成指令信号に基づいて駆動電流を生成し、前記駆動源に供給する生成手段と、
前記駆動源が前記装着者に対して付与する動力の強弱又は前記生体電位信号の変化に対する前記装着者に付与される動力の変化の応答速度に対応する第1座標軸を表示する画面を有する表示手段と、
前記画面内の任意の位置の指定を入力する入力手段と、
前記指定された位置の座標を検出する第3検出手段と、
前記画面内の座標と、前記第1制御手段における前記信号処理のパラメータとの対応関係を規定するパラメータテーブルを格納する第2格納手段と、
前記パラメータテーブルから前記検出された座標に対応するパラメータを抽出し、抽出したパラメータを前記第1制御手段に設定する設定手段と、
を備える装着式動作補助装置。
【請求項2】
前記第1座標軸は、前記駆動源が前記装着者に対して付与する動力の強弱に対応し、
前記パラメータテーブルは、前記画面内の座標と、前記第1制御手段における増幅のゲインとの対応関係を規定し、
前記設定手段は、前記パラメータテーブルから前記検出された座標に対応するゲインを抽出し、抽出したゲインを前記第1制御手段に設定することを特徴とする請求項1に記載の装着式動作補助装置。
【請求項3】
前記第1座標軸は、前記生体電位信号の変化に対する前記装着者に付与される動力の変化の応答速度に対応し、
前記パラメータテーブルは、前記画面内の座標と、前記第1制御手段におけるフィルタ処理のカットオフ周波数との対応関係を規定し、
前記設定手段は、前記パラメータテーブルから前記検出された座標に対応するカットオフ周波数を抽出し、抽出したカットオフ周波数を前記第1制御手段に設定することを特徴とする請求項1に記載の装着式動作補助装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記生体電位信号の変化に対する前記装着者に付与される動力の変化の応答速度に対応する第2座標軸をさらに表示することができ、
前記パラメータテーブルは、前記画面内の座標と、前記第1制御手段におけるフィルタ処理のカットオフ周波数との対応関係を規定し、
前記設定手段は、前記パラメータテーブルから前記検出された座標に対応するカットオフ周波数を抽出し、抽出したカットオフ周波数を前記第1制御手段に設定することを特徴とする請求項2に記載の装着式動作補助装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記装着者に付与される動力の前後バランスに対応する第2座標軸をさらに表示することができ、
前記パラメータテーブルは、前記画面内の座標と、前記装着者の膝関節の伸展、膝関節の屈曲、股関節の伸展及び股関節の屈曲の各々に対応する前記生体電位信号の増幅のゲインとの対応関係を規定し、
前記設定手段は、前記パラメータテーブルから前記検出された座標に対応する前記膝関節の伸展、膝関節の屈曲、股関節の伸展及び股関節の屈曲の各々についてのゲインを抽出し、抽出したゲインを前記第1制御手段に設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の装着式動作補助装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記装着者に付与される動力の前後バランスに対応する第3座標軸を表示することができ、
前記入力手段は、前記第1〜第3座標軸のうち、前記表示手段に表示する1つ又は2つの座標軸の切り換え指示を受け付けることができ、
前記パラメータテーブルは、前記画面内の座標と、前記装着者の膝関節の伸展、膝関節の屈曲、股関節の伸展及び股関節の屈曲の各々に対応する前記生体電位信号の増幅のゲインとの対応関係を規定し、
前記設定手段は、前記表示手段に前記第3座標軸が表示されている場合、前記パラメータテーブルから前記検出された座標に対応する前記膝関節の伸展、膝関節の屈曲、股関節の伸展及び股関節の屈曲の各々についてのゲインを抽出し、抽出したゲインを前記第1制御手段に設定することを特徴とする請求項4に記載の装着式動作補助装置。
【請求項7】
前記第2格納手段は、複数の症状又は複数の目的動作に応じた領域を示す入力ガイド情報を格納し、
前記表示手段は、前記座標軸と共に、前記入力ガイド情報に基づいた領域を表示することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の装着式動作補助装置。
【請求項8】
装着者に対して動力を付与する駆動源と、前記装着者の筋活動に伴う生体電位信号を検出する第1検出手段と、前記装着者の関節の角度を検出する第2検出手段と、前記生体電位信号に対してフィルタ処理及び増幅を含む信号処理を行い、前記信号処理後の前記生体電位信号に応じた動力を前記駆動源に発生させるための第1指令信号を生成する第1制御手段と、前記装着者の動作パターンを分類するタスクを構成するフェーズに対応する前記装着者の関節角度の基準パラメータを格納する第1格納手段と、前記第2検出手段により検出された関節角度と、前記基準パラメータとを比較して、前記装着者の動作パターンのフェーズを特定し、このフェーズに応じた動力を前記駆動源に発生させるための第2指令信号を生成する第2制御手段と、前記第1指令信号及び前記第2指令信号を合成して合成指令信号を生成する合成手段と、前記合成指令信号に基づいて駆動電流を生成し、前記駆動源に供給する生成手段と、座標と前記第1制御手段における前記信号処理のパラメータとの対応関係を規定するパラメータテーブルを格納する第2格納手段と、与えられた座標に対応するパラメータを前記パラメータテーブルから抽出し、抽出したパラメータを前記第1制御手段に設定する設定手段と、を備える装着式動作補助装置に対する前記動力の調整指示を受け付けるインタフェース装置であって、
前記駆動源が前記装着者に対して付与する動力の強弱に対応する座標軸を表示する画面を有する表示手段と、
前記画面内の任意の位置の指定を入力する入力手段と、
前記指定された位置の座標を検出する第3検出手段と、
前記検出した座標を前記設定手段に送信する通信手段と、
を備えることを特徴とする装着式動作補助装置のインタフェース装置。
【請求項9】
装着者に対して動力を付与する駆動源と、前記装着者の筋活動に伴う生体電位信号を検出する第1検出手段と、前記装着者の関節の角度を検出する第2検出手段と、前記生体電位信号に対してフィルタ処理及び増幅を含む信号処理を行い、前記信号処理後の前記生体電位信号に応じた動力を前記駆動源に発生させるための第1指令信号を生成する第1制御手段と、前記装着者の動作パターンを分類するタスクを構成するフェーズに対応する前記装着者の関節角度の基準パラメータを格納する第1格納手段と、前記第2検出手段により検出された関節角度と、前記基準パラメータとを比較して、前記装着者の動作パターンのフェーズを特定し、このフェーズに応じた動力を前記駆動源に発生させるための第2指令信号を生成する第2制御手段と、前記第1指令信号及び前記第2指令信号を合成して合成指令信号を生成する合成手段と、前記合成指令信号に基づいて駆動電流を生成し、前記駆動源に供給する生成手段と、座標と前記第1制御手段における前記信号処理のパラメータとの対応関係を規定するパラメータテーブルを格納する第2格納手段と、与えられた座標に対応するパラメータを前記パラメータテーブルから抽出し、抽出したパラメータを前記第1制御手段に設定する設定手段と、を備える装着式動作補助装置に対する前記動力の調整指示を受け付けるインタフェース装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記駆動源が前記装着者に対して付与する動力の強弱に対応する座標軸を表示手段の画面に表示するステップと、
前記画面内の任意の位置の指定を入力するステップと、
前記指定された位置の座標を検出するステップと、
前記検出した座標を前記設定手段に送信するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−135486(P2012−135486A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290769(P2010−290769)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(506310865)CYBERDYNE株式会社 (3)
【Fターム(参考)】