説明

複合部品

【課題】低コストで作製することができ、容易に特性を測定することができる、複合部品を提供する。
【解決手段】複合部品は、少なくとも一方主面に表面電極が形成された第1基体と、金属薄板の折り曲げ加工によって表面部24s,26s,28s,31と接続部とが形成された接続部材を樹脂モールド成型してなる第2基体12とが、第1基体の表面電極と第2基体12の表面部24s,26s,28s,31とを介して接合されてなる。少なくとも一部の接続部材は、接続部の一部が第2基体12の側面12sに露出して形成された側面電極部34を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合に関し、詳しくは、第1基体と第2基体とを接合してなる複合部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高周波送受信機などに用いられるアンテナ付き高周波モジュール(複合部品)が提供されている。例えば、高速道路料金の支払をノンストップで行うことを目的としたETC装置に搭載されるものがある。
【0003】
例えば特許文献1には、図12の断面図に示すアンテナ付き高周波モジュールが開示されている。このアンテナ付き高周波モジュールは、高周波回路の部品112が設けられたプリント基板111と、高周波回路の近傍に設けられたアンテナ端123と、このアンテナ端123に接続されたアンテナ(アンテナ用放射電極)117と、このアンテナ117とプリント基板111との間に設けられたグランドプレーン114とを備え、アンテナ117はアンテナ端123の上方あるいは下方に設けられている。プリント基板111の側面あるいは底面には外部と接続される端子125が設けられている。
【0004】
プリント基板111上に設けられた高周波回路を覆うように金属製のケース113が設けられ、このケース113がグランドに接続されるとともに、このケース113の上面にアンテナ117が載置されている。ケース113の脚115は、グランドにしっかりとはんだ116で電気的にも機構的にも接続されているので、このケース113の上面全面をアンテナ117のグランドプレーン114としている。
【0005】
ケース113には、アンテナ117を嵌合する凹部118が設けられ、凹部118にアンテナ117が実装されている。アンテナ117の上面に形成されている導体パターン119と、アンテナ端123に電気的に接続される第一の給電端子120aとは、はんだ122で接合されている。第一の給電端子120aは、その断面が「T」字型の形状であり、アンテナ117に設けられた孔121を貫通し、アンテナ117の抜け落ち、ずれを防止する。アンテナ117側に取り付けられる第一の給電端子120aは、プリント基板111側のアンテナ端123にはんだ124で固定された第二の給電端子120bに、嵌合される。これにより、アンテナ117以外を組み立てた状態で特性検査を行った後、アンテナ117を取り付けることができる。
【0006】
プリント基板111の側面と底面に接続端子125が設けられている。本モジュールは、マザー基板127に接続端子125がはんだ126を介して接合され、マザー基板127に接続、固定される。
【特許文献1】特開2002−111381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、大容量通信を必要とするマルチメディア用無線通信システムの機器の小型化と低価格化の要求が増している。小型化機器に対応したアンテナ素子を内蔵する半導体モジュールを、大容量通信を必要とするマルチメディア用無線通信システムのサブシステムとして使用することにより、種々の環境におけるマルチメディア通信が可能となる。
【0008】
しかしながら、図12に示した従来のアンテナ付き高周波モジュール(複合部品)には、次のような問題点がある。
【0009】
(1)本モジュールは、接続端子とはんだで接合され、マザー基板に接続、固定される。特許文献1には、アンテナ特性の測定するための測定用端子については記載されていない。仮に測定用端子を設けるとしたら、プリント基板に引き回し配線を設けて、マザー基板上に設置けることが一般的であると考えられる。しかしながら、アンテナ特性を測定するための測定用端子をマザー基板上に設けると、アンテナと測定用端子とのライン長が長くなる。そのため、ラインの寄生インダクタ成分の影響が多くなり、測定精度が劣化してしまう。他方、測定用端子をプリント基板に配置することも考えられる。この場合、アンテナと測定用端子のライン長が比較的短くなるが、近年の基板の小型化に伴い、測定用端子を設置する場所が少なく、測定用端子を設けると、部品の搭載量が少なくなってしまう。また、比較的短いもののライン長による寄生インダクタンスの発生や、アンテナと基板の接続部(特にはんだ接続部)における信号損失が生じてしまう。
【0010】
(2)ケース上面にアンテナ素子を嵌合する凹部が設けられている。その下には、凹部とプリント基板との隙間より高い部品を実装することができず、凹部の下以外の領域に部品を実装する必要がある。これにより、配線回路の配置に制約が生じ、設計の自由度を広くとれない。そして実装領域に制限がかかり、基板の小型化が困難である。また、凹部の形成により、製品の低背化が困難である。
【0011】
(3)アンテナ付き高周波モジュールは、マザー基板へ実装するためのはんだ付けの際に、ケースとプリント基板の距離がはんだの再溶融などで変化して、アンテナ特性ずれが発生しないように考慮する必要がある。また、プリント基板に搭載する表面実装部品に過度の熱が加わらないように考慮する必要がある。そのため、融点の違う3種類のはんだを使用しなければならない。それぞれのリフロー条件が異なるため、3つのリフロープロファイルで加熱する必要があり、量産する場合にはリフロープロファイルごとに専用炉を設置する必要があり、加工コストがかかる。
【0012】
(4)アンテナの有無の状態での高周波モジュール特性検査が可能ではあるが、アンテナの取り外し取り付け作業が必要なため、工数がかかりコスト高となる。取り付け取り外しの際にアンテナ端及び給電端子が損傷し、高周波信号の損失が生じる可能性がある。
【0013】
(5)アンテナを取り外し可能にするため、アンテナに設けた孔にT字型の給電端子を貫通するとともに、アンテナ上に形成した導体パターンとはんだ付けしている。このようなアンテナの構成は複雑であり、製作の工数がかかりコスト高である。
【0014】
本発明は、かかる実情に鑑み、低コストで作製することができ、容易に特性を測定することができる、複合部品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した複合部品を提供する。
【0016】
複合部品は、少なくとも一方主面に表面電極が形成された第1基体と、金属薄板の折り曲げ加工によって形成された表面部と接続部とを含む接続部材を樹脂モールド成型してなる第2基体とが、前記第1基体の前記表面電極と前記第2基体の前記表面部とを介して接合されてなる。少なくとも一部の前記接続部材は、前記接続部の一部が前記第2基体の側面に露出して形成された側面電極部を有している。
【0017】
上記構成によれば、第1基体に、金属薄板の折り曲げ加工と樹脂モールド成形により形成した第2基体を接合することにより、複合部品を低コストで作製することができる。複合部品の特性は、第2基体の側面に露出している接続部材の側面電極部を利用することにより、第1基体と第2基体とが接合された状態のままで、容易に測定することができる。
【0018】
好ましい一態様として、前記第1基体の前記一方主面上に表面実装型電子部品が搭載されている。前記第2基体は、(1)前記第1基体の前記一方主面上に搭載された前記表面実装型電子部品の周囲に配置される支持部と、(2)前記支持部に接続され、前記第1基体の前記一方主面上に搭載された前記表面実装型電子部品を覆う天板部と、を有する、ケース型基体である。前記天板部には、前記金属薄板によって形成されたアンテナ用放射電極が設けられている。前記支持部には、前記アンテナ用放射電極に電気的に接続され、前記側面電極が形成された前記接続部材が設けられている。当該接続部材の前記側面電極部は、前記アンテナ用放射電極のアンテナ特性を測定するための測定用電極部である。
【0019】
この場合、アンテナ用放射電極を有する複合部品について、第1基体と第2基体とが接合した状態のまま、部品の取り外し作業なしに、アンテナ用放射電極のアンテナ特性を測定することができる。アンテナ用放射電極と側面電極部との間のライン長を短くすることができるので、精度よく測定することができる。
【0020】
また、表面実装型電子部品の上にアンテナ用放射電極を配置することができるので、複合部品の小型化が容易である。また、接続部材によって、アンテナ用放射電極と第1基体との間を電気的に接続する構成を簡単にすることができるので、複合部品の低背化が容易である。
【0021】
アンテナ用放射電極の位置は第2基体の樹脂モールド成型によって保持されるので、はんだの種類を減らし、加工コストを低減することができる。
【0022】
好ましくは、前記ケース型基体は、前記天板部に、前記アンテナ用放射電極と対向して配置されたグランド電極が設けられている。
【0023】
この場合、グランド電極は、アンテナ用放射電極と第1基体に搭載された表面実装型電子部品との間に設けられているので、電磁シールの効果が得られる。
【0024】
好ましくは、前記金属薄板は可撓性を有している。
【0025】
この場合、金属薄板は、第2基体の樹脂の変形に追随して変形する。第2基体は、金属薄板に拘束されることなく変形できるので、第1基体と第2基体との間の接合部に作用する応力を緩和し、第1基体と第2基体との間や複合部品と回路基板との間の接合信頼性を向上することができる。
【0026】
好ましくは、前記第1基体は、複数のセラミック層を積層してなるセラミック多層基板である。
【0027】
セラミック多層基板は、内部に電気回路を構成することにより実装密度を高めることができるので、複合部品に好適である。
【発明の効果】
【0028】
本発明の複合部品は、低コストで作製することができ、容易に特性を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図11を参照しながら説明する。
【0030】
図1の断面図に示すように、複合部品10は、基板14の一方主面(図において上面)14aにケース12が接合されている。
【0031】
基板14は、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、アルミナ基板、単層又は多層のセラミック基板などを用いることができる。複数のセラミック層を積層してなるセラミック多層基板は、内部に電気回路を構成することにより実装密度を高めることができるので、複合部品10の基板14に好適である。
【0032】
基板14の一方主面14aには、導電パターンが形成され、ダイボンドされたり、Au,Al,Cuなどのワイヤー74によってワイヤーボンドされたSi半導体基板やGaAs半導体基板を含むICチップ72や、コンデンサやインダクタなどのチップ部品70が搭載されている。ICチップ72の周囲には、ICチップ72を被覆するように、封止材76が充填されている。封止材76は、ICチップ72やワイヤー74を、機械的破壊もしくは熱や水分といった環境から保護する。
【0033】
基板14の一方主面14aにワイヤーボンド実装がない場合、すなわち、表面実装部品、AuもしくははんだバンプによるICフリップチップ実装のみの場合には、表面実装部品と基板14との間のアンダーフィル樹脂の有無にかかわらず、封止材76は要らない。
【0034】
基板14は、ケース12とは反対側の他方主面14bに、チップ部品80やICチップ82が搭載されている。図2の断面図に示す複合部品10aのように、必要に応じて、基板14の他方主面14bに金属ケース16が接合される。金属ケース16は、特に、高周波用に用いられる場合の電磁シールド用である。
【0035】
電磁シールドが不要な場合は、図3の断面図に示す複合部品10bのように、基板14の他方主面14bには、表面実装型電子部品80,82を被覆するようにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂17を塗布したり、トランスファー成形し、底面18を平らにする。
【0036】
ケース12は、図1に示したように、無線信号を送信及び/又は受信するためのアンテナ板22、グランド板24などが、ケース本体20と一体にモールド樹脂を用いて一体成型されている。ケースは、基板14の一方主面14a上に搭載された表面実装型電子部品70,72の周囲に配置される支持部12aと、支持部12aに接続され、基板14の一方主面14a上に搭載された表面実装型電子部品70,72を覆う天板部12bとを有する。
【0037】
図1、図4の上方から見た斜視図、及び図5の平面図に示すように、アンテナ板22は、ケース本体20の上面20aに配置され、外部に露出している。
【0038】
グランド板24は、図1に示すように、アンテナ板22の下に配置され、ケース本体20の内部を貫通しており、図5に示すように、ケース本体20から外部に延出している延出部分24p,24q,24m,24nを有する。すなわち、延出部分24p,24q,24m,24nは、ケース本体20から飛び出ている。延出部分24p,24q,24m,24nには、複合部品10を他の装置に取り付ける際の位置決めのために用いてもよい。図1に示すように、グランド板24に接続された接続部材24kは折り曲げられ、接続部材24kの先端には、ケース本体20の底面20bに露出する接続端子24sが形成されている。
【0039】
図5に示したように、グランド板24の図において左側の延出部分24m,24nを形成する切り欠き24x内に、給電端子28が配置されている。給電端子28は、図5の直線A−Aに沿って切断した断面図である図6に示すように、ケース本体20内にアンテナ板22と間隔を設けて配置され、図において上側28tがアンテナ板22と容量結合し、下側には、ケース本体20の底面20bに露出する接続端子28sが形成されている。
【0040】
図5に示したように、図において左上側には、グランド板24に隣接して供給電源用端子26がケース本体20から飛び出ている。供給電源端子26は、複合部品10を他の装置に取り付ける際に、プラス側電源端子に接続され、グランド板24の延出部分24pはマイナス側電源端子に接続される。
【0041】
図5の線B−Bに沿って切断された断面図である図7に示すように、ケース12の支持部12aに、金属薄板の折り曲げ加工により形成された測定用接続部材30が配置されている。測定用接続部材30は、図5に示すように、第1片31〜第7片37が直角に折り曲げられている。第1片31は、図8の下方から見た斜視図及び図9の底面図に示すように、ケース本体20の底面20bに露出する。第4片34は、図4及び図8に示すように、ケース21の外周面12sに露出する。第6片36は、アンテナ板22及びグランド板24と間隔を設けて配置され、アンテナ板22と容量結合している。したがって、ケース21の外周面12sに露出している測定用接続部材30の第4片34を利用すれば、複合部品10のアンテナ板22のアンテナ特性を、カバー12と基板14とが接合された状態のままで、容易に測定することができる。このとき、アンテナ板22と測定用接続部材30の第4片34とのライン長を短くすることができるので、精度よく測定することができる。
【0042】
図8及び図9に示すように、ケース本体20の底面20bに露出している接続端子24s,26s,28sや測定用接続部材30の第1片31は、図1に示すように、基板14の一方主面14a上に形成された導電パターン(図示せず)に、はんだや導電性接着剤を介して電気的に接続され、これによって、ケース12と基板14とが接合される。なお、測定用接続部材30の複数の第1片31は、全部又は一部が基板14に接合されない構成としてもよい。
【0043】
図1に示すように、ケース本体20にモールド成型されたグランド板24は、アンテナ板22と基板14との間にあるので、アンテナ板22により形成されるアンテナ素子と基板14側に形成される周波数変換回路及び増幅回路との間で起きる電磁的相互干渉の影響を防ぐことができる。
【0044】
ケース12のモールド成型の際に、型内には、図10の平面図に示す形状に打ち抜かれた板部材40,50,60が、適宜形状に折り曲げ加工された後に配置され、金型内の空洞部に樹脂が充填される。各板部材40,50,60は、青銅、洋白、Ni合金などの金属薄板を金型で打ち抜き、折り曲げ加工される。図10は、打ち抜き後、折り曲げ加工前の形状を示している。
【0045】
図10(a)に示した第1の板部材40は、枠部42に、位置決めピンを挿通するための貫通穴44が形成されている。枠部44の内側には、アンテナ板22になる部分が形成され、接続部46を介して枠部44に接続されている。
【0046】
図10(b)に示した第2の板部材50は、枠部52に、位置決めピンを挿通するための貫通穴54が形成されている。枠部52の内側には、グランド板24、供給電源端子26、グランド板24に接続された接続部材24k、給電端子28になる部分が形成され、接続部56を介して枠部52に接続されている。接続部材24k、供給電源端子26、給電端子28になる部分は、樹脂成形の前に、塑性加工で折り曲げ、それ自体が容易にX、Y、Zの3方向に弾性変形するように、所定形状に形成される。
【0047】
図10(c)に示した第3の板部材60は、枠部62に、位置決めピンを挿通するための貫通穴64が形成されている。枠部62の内側には、測定用接続部材30になる部分が接続部66を介して枠部62に接続されている。測定用接続部材30になる部分は、樹脂成形の前に、塑性加工で折り曲げ、それ自体が容易にX、Y、Zの3方向に弾性変形するように、所定形状に形成される。
【0048】
第2及び第3の板部材50,60の厚みは、50〜300μmが好ましい。厚みが50μm未満では、折り曲げ加工時のばらつきが大きくなり、折り曲げて形成した各端子の位置や高さのばらつきが大きくなる。端子位置がばらつき、ケース12と基板14の位置合わせ精度が悪いと、基板14側の接合パッドサイズの余裕を大きくしなければならず、基板14の小型化、ひいては複合部品10の小型化を損ねる。高さがばらつくと、例えば、基板14とケース12と間のはんだの厚みがばらつき、接合信頼性が損なわれる。また、高さのばらつきを大きく見込んで設計すると、複合部品10の低背化を阻害する。グランド板24の延出部分24p,24q,24m,24nを利用して、複合部品10を他の装置に取り付ける場合、板部材50の厚みが50μm未満では、機械的保持力が不足する。熱応力や衝撃応力で、第2の板部材50の折り曲げ部が繰り返し疲労を受けるが、厚みが薄いと疲労破壊し易く、接合信頼性を損ねる。板部材50,60の厚みが300μmを越えると、折り曲げ加工が困難になる。
【0049】
第2及び第3の板部材50,60は、基板14に接合する部分24s,26s,28s,31があるので、基板14の導電パターン(図示せず)との接合性を上げるべく、Ni/Sn、Ni/Au、Ni/はんだなどのめっきが施される。これは、基板14とケース12との接合に使用されるはんだや導電性接着剤との濡れ性を良くするためである。必要に応じて、基板14に接合される部分24s,26s,28s,31の接合面のみの部分めっきを選択してもよい。
【0050】
次に、複合部品の製造手順について、図11の工程図を参照しながら説明する。
【0051】
まず、基板14とケース12をそれぞれ別個に製造する。ケース12は、前述したように、モールド成型により、ケース本体20を、アンテナ板22、グランド板24、供給電源端子26、給電端子28等とともに一体成型する。
【0052】
そして、図11(a)に示すように、基板14の一方主面14aに、はんだもしくはAg等を含む導電性ペーストを印刷し、これに表面実装型電子部品70を搭載し、リフローもしくは熱硬化する。導体であるはんだもしくは導電性ペーストにより、表面実装型電子部品70を基板14の一方主面14aに形成された導電パターン(図示せず)に電気的に接続する。
【0053】
次いで、基板14の一方主面14aを洗浄し、基板14の一方主面14aに形成されたワイヤーボンドパッド(図示せず)の汚れを除去する。これは、次にワイヤー74(図11(b)参照)との接合性を向上させるためである。
【0054】
次いで、図11(b)に示すように、Si半導体基板やGaAs半導体基板を含むICチップ72をエポキシ系樹脂又は導電性樹脂等で、基板14の一方主面14aに搭載、熱硬化した後、ICチップ72の電極端子と基板14の一方主面14aに形成されたワイヤーボンドパッドとの間を、Au、Al、Cu等のワイヤー74で接合し、電気的に接続する。ワイヤーボンドパッドには、接合強度を上げるため、Ni/AuやNi/Pd/Au等のめっきを施すことが好ましい。
【0055】
次いで、図11(c)に示すように、ICチップ72の周囲に、エポキシ系樹脂からなる封止材76を充填し、熱硬化する。
【0056】
次に、図11(d)に示すように、基板14の一方主面14aに導電性接着材又ははんだを塗布し、これにケース12を搭載し、リフローもしくは熱硬化し、ケース12と基板14とを接合すると同時に、電気的に接続する。
【0057】
次いで、図11(e)に示すように、上下を反転して、基板14の他方主面14bに、はんだもしくはAg等を含む導電性ペーストを印刷し、表面実装型電子部品80を搭載する。また、はんだバンプ等の付いたICチップ84をフリップチップ実装し、リフローもしくは熱硬化する。必要に応じて、フリップチップ実装したICチップ84と基板14との間に、エポキシ系樹脂からなるアンダーフィル樹脂87を充填、熱硬化する。
【0058】
次いで、図11(f)に示すように、必要に応じて、洋白又はりん青銅等からなる金属ケース16を、基板14の他方主面14bもしくは基板14の側面に搭載、接合する。
【0059】
金属ケース16を搭載、接合する工程は、図11(e)に示した基板14の他方主面14bに表面実装型電子部品80,84を搭載する工程と同時に行ってもよい。例えば、リフローもしくは熱硬化により、表面実装型電子部品80,84と金属ケース16を同時に接合するようにしてもよい。
【0060】
以上により、複合部品が完成する。
【0061】
以上に説明した複合部品10は、金属薄板を加工したアンテナ板22、グランド板24、供給電源用端子26、給電端子28、測定用接続部材30がケース本体20と一体となったケース12を、樹脂モールド成型によって作製することができる。そのため、工程が簡素化され、容易にかつ安価に作製できる。
【0062】
アンテナ特性の測定するための端子である第4片34を含む測定用接続部材30をケース12の支持部12aに形成することにより、従来のように測定端子をマザー基板上に設ける必要はないため、ライン長が短く、インダクタ成分の影響が少なくなり、測定精度が向上する。また、基板上に測定端子を形成する必要もないため、基板の小型化が可能となる。
【0063】
アンテナ特性の測定するための端子である第4片34がケース12の外周面12sに露出するように、測定用接続部材30はコの字形状に折り曲げ加工されている。このように折り曲げ加工された測定用接続部材30が一体成型されたケース12は、外力が加わった場合、測定用接続部材30のコの字の部分で応力を分散することができ、ケース12の変形が小さくなる。そのため、振動やねじりに強くなる。
【0064】
アンテナ特性の測定するための端子である第4片34がケース12の外周面12sに露出しているので、横から測定用ピンを測定端子である第4片34に当てながら測定することができるため、基板を押圧する負荷荷重が作用しない。
【0065】
アンテナへの給電は、アンテナ板22下にある給電端子28と容量結合にて供給される。そのため、従来品のようなプリント基板上にアンテナとアンテナ端を接続する給電端子を設置する必要はない。基板の小型化の際に、基板上に給電端子を設置する領域を確保する必要がないため、基板の小型化が可能である。
【0066】
また、アンテナへの給電は、アンテナ板22の下にある給電端子28と容量結合にて供給され、従来のアンテナとアンテナ端を接続する給電端子のようにはんだで接合する構造でないため、はんだによる高周波信号の損失もない。
【0067】
アンテナ板22はケース12上にモールド成型されているため、従来品のように金属ケース上面にアンテナ素子を嵌合する凹部を設ける必要がない。このため、ケース12と基板14との隙間の制限がなく、配線回路の配置の自由度が広くとれる。よって、基板12の小型化が可能である。
【0068】
アンテナ板22はケース12上にモールド成型されているため、従来品ように金属ケース上面にアンテナ素子を嵌合する凹部を設ける必要はない。そのため、製品の低背化が可能である。
【0069】
アンテナ板22、グランド板24、供給電源用端子26、給電端子28、測定用接続部材30を一体で樹脂モールド成型したケース12は、基板14が、表裏面に表面実装型電子部品を実装したセラミック多層基板である場合、基板14のLGA電極部とはんだ接合することができる。よって、はんだ溶融によるケース12と基板14の距離の変化に起因するアンテナ特性ずれはない。すなわち、アンテナ付き高周波モジュールを作製する場合、はんだの種類は融点の異なる2種類もしくは1種類でよく、従来品のような融点の違う3種類のはんだを使用する必要はない。そのため、3つのリフロープロファイルを準備したり、量産のためにリフロープロファイルごとに専用炉を設置したりする必要がないため、コストダウンとなる。
【0070】
複合部品10は、アンテナ板22と給電端子26がモールド成型されている。アンテナ有り無しの高周波モジュール特性検査は、基板14に実装しているスイッチコネクタのオンオフにて行うことができる。よって、従来品のようなアンテナの取り外し取り付け作業は必要ないため、工数がかからずコストダウンとなる。そして、従来品のようなアンテナの取り付け取り外しの際にアンテナ端及び給電端子が損傷し、高周波信号の損失が生じる可能性もない。
【0071】
基板14の表裏面に半導体チップ及び表面実装型電子部品を搭載することで、基板の小型化及び低価格化が実現できる。
【0072】
ケース12と基板14とは、接続端子24s,26s,28s,31を介して接続されており、接続端子24s,26s,28s,31は、金属薄板を折り曲げ加工された接続部材24x、供給電源用端子26、給電端子28、測定用接続部材30の端部に形成されている。接続部材24x、供給電源用端子26、給電端子28、測定用接続部材30は可撓性を有するので、ケース12と基板14との間の接合部に応力が作用したときに、弾性変形で応力を吸収し、基板14とケース12の接合強度を向上させ、接合信頼性を向上することができる。よって、接続部材24x、供給電源用端子26、給電端子28、測定用接続部材30の材質選定の自由度は高い。
【0073】
ケース本体20の成形樹脂と、接続部材24x、供給電源用端子26、給電端子28、測定用接続部材30とは強固に接合されている必要はない。そのため、ケース本体20の樹脂材質の自由度も高い。
【0074】
安価な材質、折り曲げ易い材質、成型し易い材質を選定でき、工業上、有用である。
【0075】
<まとめ> 以上に説明したように、本発明の複合部品は、低コストで作製することができ、容易に特性を測定することができる。
【0076】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【0077】
例えば、基板(第1基体)のいずれか一方の主面にのみ、表面実装型電子部品を搭載するようにしてもよい。
【0078】
アンテナ板は、全体としてケース本体に保持されていればよく、ケース本体の表面又は内部に配置されずにケース本体から離れている部分があっても構わない。例えば、アンテナ板の周囲のみがケース本体の側面部に保持され、アンテナ板の中央部がケース本体から浮いた状態でも構わない。
【0079】
また、アンテナ板は、湾曲しながら、あるいは基板(第1基体)に対して非平行(例えば、斜め方向)に、基板(第1基体)に沿って延在してもよい。例えば、平板状の基板(第1基体)に、半筒状、半球状等の断面円弧状のケース本体が接合され、このケース本体の外表面に半筒状、半球状等の断面円弧状のアンテナ板が配置され、平板状の基板(第1基体)に沿って、湾曲したアンテナ板が延在しても構わない。この場合、アンテナ板と基板(第1基体)との間に配置されるグランド板は、アンテナ板に沿って平行にアンテナ板と同心の半筒状あるいは半球状に延在する湾曲部分と、基板(第1基体)と平行にケース本体よりも外側に延出している延出部分とを含むことが好ましい。
【0080】
アンテナ板やグランド板は、金属の板部材以外の材料を用いて形成してもよい。例えば、表面又は内部に金属膜や金属箔等が形成された樹脂シート等を用いて、アンテナ板やグランド板を形成しても構わない。
【0081】
また、基板(第1基体)は、ケース(第2基体)に接続される複数の表面電極が同一平面上に設けられた基板であればよく、ケース(第2基体)が接続される平面部以外の部分に、凸部や凹部が設けられていれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】複合部品の断面図である。(実施例)
【図2】複合部品の断面図である。(変形例1)
【図3】複合部品の断面図である。(変形例2)
【図4】ケースの上面を見る斜視図である。(実施例)
【図5】ケースの平面図である。(実施例)
【図6】図5の線A−Aに沿って切断した断面図である。(実施例)
【図7】図5の線B−Bに沿って切断した断面図である。(実施例)
【図8】ケースの底面を見る斜視図である。(実施例)
【図9】ケースの底面図である。(実施例)
【図10】板部材の平面図である。(実施例)
【図11】複合部品の製造工程図である。(実施例)
【図12】複合部品の断面図である。(従来例)
【符号の説明】
【0083】
10 複合部品
12 ケース(第2基体)
12a 支持部
12b 天板部
14 基板(第1基体)
14a 一方主面
14b 他方主面
20 ケース本体
22 アンテナ板(アンテナ用放射電極)
24 グランド板(グランド電極)
24a,24b,24m,24n 延出部分
24s 接続端子(表面部)
24x 接続部材
26 供給電源用端子(接続部材)
26s 接続端子(表面部)
28 給電端子(接続部材)
28s 接続端子(表面部)
30 測定用接続部材(接続部材)
31 第1片(表面部)
34 第4片(側面電極部)
70 チップ部品(表面実装型電子部品)
72 ICチップ(表面実装型電子部品)
80 チップ部品(表面実装型電子部品)
82,84 ICチップ(表面実装型電子部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方主面に表面電極が形成された第1基体と、金属薄板の折り曲げ加工によって形成された表面部と接続部とを含む接続部材を樹脂モールド成型してなる第2基体とが、前記第1基体の前記表面電極と前記第2基体の前記表面部とを介して接合されてなる複合部品であって、
少なくとも一部の前記接続部材は、前記接続部の一部が前記第2基体の側面に露出して形成された側面電極部を有していることを特徴とする複合部品。
【請求項2】
前記第1基体の前記一方主面上に表面実装型電子部品が搭載され、
前記第2基体は、
前記第1基体の前記一方主面上に搭載された前記表面実装型電子部品の周囲に配置される支持部と、
前記支持部に接続され、前記第1基体の前記一方主面上に搭載された前記表面実装型電子部品を覆う天板部と、
を有する、ケース型基体であり、
前記天板部には、前記金属薄板によって形成されたアンテナ用放射電極が設けられ、
前記支持部には、前記アンテナ用放射電極に電気的に接続され、前記側面電極が形成された前記接続部材が設けられ、
当該接続部材の前記側面電極部は、前記アンテナ用放射電極のアンテナ特性を測定するための測定用電極部であることを特徴とする、請求項1に記載の複合部品。
【請求項3】
前記ケース型基体は、前記天板部に、前記アンテナ用放射電極と対向して配置されたグランド電極が設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の複合部品。
【請求項4】
前記金属薄板は可撓性を有していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合部品。
【請求項5】
前記第1基体は、複数のセラミック層を積層してなるセラミック多層基板であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−109340(P2008−109340A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289567(P2006−289567)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】