説明

複数電源制御システムおよび電力変換装置

【課題】複数の電源を制御し、電源システム全体としての長寿命化を図る。
【解決手段】複数電源制御システム200は、外部要因によって出力可能な電力が変動する電源300それぞれの出力を制御する。電源300は、制御パラメータによって出力の増減制御が可能であり、かつ、出力が極大値近傍となるように制御パラメータを設定した状態で運用される。総電力を抑制すべき状況に至ったとき、統合制御装置100は各電源の信頼度に基づいて、電力を抑制すべき電源300を選択する。そして、選択された電源300の複数種類の電力抑制方法のうち、電源300への負荷が低い電力抑制方法により電力を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電源を制御するためのシステム、に関する。
【背景技術】
【0002】
世界経済の発展、特に、アジア地域の経済成長にともない、今後もエネルギー需要の増加は続くと考えられる。たとえば、国際エネルギー機関は、2030年における世界の一次エネルギー需要を2000年比66%増と予測している。こういった社会状況において、太陽、風力、バイオマス、地熱、潮汐力といった再生可能エネルギー(Renewable Energy)に対する期待が高まっている。
【0003】
再生可能エネルギーは、クリーンで永続利用可能という優れた特性を有するが、出力が安定しないという課題を指摘されている。たとえば、風力発電機は、風力という自然現象によって出力が変化するため、安定的な電力供給源となりにくい。このような課題に対処するため、風力発電や太陽光発電、太陽熱発電といった複数の再生可能エネルギー源を組み合わせることにより電力供給を安定させることを目的とした電源分散型の発電システムが提案されている(たとえば、特許文献1、2、3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−399118号公報
【特許文献2】特開2005−224009号公報
【特許文献3】特開平04−372528号公報
【特許文献4】特開2003−343416号公報
【特許文献5】特開2006−94652号公報
【特許文献6】特開2003−79057号公報
【特許文献7】特開2004−088900号公報
【特許文献8】特開平05−122855号公報
【特許文献9】特開昭58−095988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電源分散型の発電システムに含まれる電源の中には耐用年数の長いものもあれば短いものもある。電源分散型の発電システムを長期安定稼働させるためには、耐用年数の短い電源に対する物理的な負荷を軽減することが望ましい。特許文献6は、複数のマイクロガスタービンを発電源とする電源システムを開示している。特許文献6では、各マイクロガスタービンの余寿命を推定し、電力供給を抑制したいときには、余寿命が短いマイクロガスタービンから停止させている。
【0006】
実際に、電源分散型の発電システムを運用する場合、いずれかの電源を停止させてしまうよりも、いずれかの電源の出力を抑制する方が現実的である。本発明者は、耐用年数の短い電源から優先的に電力抑制することにより、このような電源の負荷を効果的に抑制できるのではないかと考えた。更に、電力を抑制しても、かえって電源にかかる物理的負荷が大きくなってしまう場合があることを本発明者は認識した。
【0007】
本発明は、本発明者による上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、複数の電源を制御し、電源システム全体としての長寿命化を実現するためのシステム、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る複数電源制御システムは、外部要因によって出力可能な電力が変化する電源である複数の不規則電源と接続される。不規則電源は、制御パラメータによる出力の増減制御が可能であり、かつ、出力が極大値近傍となるように制御パラメータが設定された状態で運用される電源である。このシステムは、複数の不規則電源それぞれの出力を制御する出力制御部と、複数の不規則電源全体から単位時間中に出力される総電力量を取得する計測部と、総電力量が所定の出力抑制条件を充足するか否かを判定する条件判定部と、出力抑制条件が充足されたとき、複数の不規則電源のうち耐用性が低い不規則電源から優先的に選択する電源選択部を備える。出力制御部は、制御パラメータの値を増加させることによる電力抑制方法と減少させることによる電力抑制方法のうち、選択された不規則電源の耐用性への影響が低い方の電力抑制方法により、選択された不規則電源から出力される電力を抑制する。
【0009】
ここでいう「不規則電源」とは、再生可能エネルギーに由来する電源であってもよいし、燃料電池のように外気温によって出力が影響される電源であってもよい。「複数の不規則電源」は、太陽光発電と風力発電のような異種の電源であってもよいし、太陽光発電と太陽光発電のように同種の電源であってもよい。計測部は電力量を自ら計測してもよいし、外部センサから計測値を取得してもよい。「優先的に選択する」とは、耐用性が低い不規則電源ほど選択されやすいように制御することを意味する。たとえば、耐用性だけでなくそれ以外のパラメータに基づく総合判断であってもよい。複数の電源のうち耐用性の低い電源から優先的に電力抑制し、更に、複数の電力抑制方法のうち、電源の耐用性に対する影響が最も低い電力抑制方法を採用して電力抑制するため、システムを長期にわたって安定稼働させやすくなる。
【0010】
出力制御部は、選択された不規則電源が非単結晶半導体による太陽電池であるときには、太陽電池の出力電圧を増加させて太陽電池の出力電流を減少させることにより、非単結晶半導体による太陽電池から出力される電力を抑制してもよい。このような制御方法によれば、非単結晶半導体による太陽電池の結晶構造に対する物理的な負荷を抑制しやすくなるため、太陽電池を長寿命化させやすくなる。なお、非単結晶半導体による太陽電池には特に低い信頼度(耐用性の高さを示す値)を設定しておき、このような太陽電池が優先的に、あるいは、確実に電力抑制対象となるようにしてもよい。
【0011】
出力制御部は、選択された不規則電源が風力発電機であるときには、風力発電機の出力電圧を減少させて風力発電機における風車の回転速度を減少させることにより、風力発電機から出力される電力を抑制してもよい。このような制御方法によれば、風車の軸受部に対する物理的な負荷を抑制しやすくなるため、風力発電機を長寿命化させやすくなる。なお、風力発電機には特に低い信頼度を設定しておき、風力発電機が優先的に、あるいは、確実に電力抑制対象となるようにしてもよい。
【0012】
このシステムは、複数の不規則電源の運用状態を監視する監視部と、各不規則電源の運用状態に応じて、信頼度情報を更新する信頼度更新部と、を更に備えてもよい。このような制御方法によれば、各電源の運用状態に応じて信頼度を動的に更新できるため、複数の電源の使用終期を揃えやすくなる。
【0013】
このシステムは、複数の不規則電源からの電力により充電されるリチウムイオン電池の充放電を制御する充放電制御部、を更に備え、条件判定部は、リチウムイオン電池の充電率が所定の閾値を超えたときに出力抑制条件が成立したと判定し、充放電制御部は、出力抑制条件の成立を契機として総電力量が抑制されるとき、リチウムイオン電池を放電させてもよい。リチウムイオン電池の充電率を考慮して総電力を抑制することにより、リチウムイオン電池の長寿命化が図られるため、ひいては、システム全体としての安定稼働性を向上させやすくなる。
【0014】
本発明に係る別の複数電源制御システムは、外部要因によって出力可能な電力が変化する電源である複数の不規則電源のうちの一以上と接続され、不規則電源から出力される電力のうち共通電力線に供給すべき電力の大きさを制御する複数の電力変換装置と、複数の電力変換装置を制御する統合制御装置を備える。不規則電源は、制御パラメータによる出力の増減制御が可能であり、かつ、出力が極大値近傍となるように制御パラメータが設定された状態で運用される電源である。統合制御装置は、複数の不規則電源から共通電力線に供給される単位時間あたりの総電力量を取得する計測部と、総電力量が所定の出力抑制条件を充足するか否かを判定する条件判定部と、出力抑制条件が充足されたとき、不規則電源の耐用性の高さを示す信頼度情報を参照し、複数の不規則電源のうち耐用性が低い不規則電源から優先的に選択する電源選択部と、選択された不規則電源の制御を担当とする電力変換装置に出力の抑制指示を送信する抑制指示部と、を含む。電力変換装置は、接続先の不規則電源の出力を制御する出力制御部と、統合制御装置から抑制指示を受信する抑制指示受信部と、を含み、出力制御部は、抑制指示を受信したとき、制御パラメータの値を増加させることによる電力抑制方法と減少させることによる電力抑制方法のうち、選択された不規則電源の耐用性への影響が低い方の電力抑制方法により、選択された不規則電源の出力を抑制する。
【0015】
本発明に係るある電力変換装置は、外部要因によって出力可能な電力が変化する電源である不規則電源と接続される。この装置は、不規則電源から出力される電力のうち共通電力線に提供すべき電力を制御する出力制御部と、不規則電源の耐用性を示す信頼度情報を保持する信頼度情報保持部と、別の不規則電源と接続されている他の電力変換装置と信頼度情報を送受信する通信部と、を備える。出力制御部は、所定の出力抑制条件が充足されたとき、他の電力変換装置から受信した信頼度情報を参照し、他の電力変換装置が担当している不規則電源の耐用性よりも自装置が担当している不規則電源の耐用性が低いときには、制御パラメータの値を基準点から増加させることによる電力抑制方法と減少させることによる電力抑制方法のうち、担当している不規則電源の耐用性への影響が低い方の電力抑制方法により、担当している不規則電源の出力を抑制する。
【0016】
この装置は、接続先の不規則電源の運用状態を監視する監視部と、接続先の不規則電源の運用状態に応じて、信頼度情報を更新する信頼度更新部と、を更に備えてもよい。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の電源を制御することにより、システム全体としての長寿命化を実現しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態における複数電源制御システムの構成を示す図である。
【図2】総電力を調整するための計測過程と計算過程を示すタイムチャートである。
【図3】第1の実施形態における統合制御装置の機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態における電力変換装置の機能ブロック図である。
【図5】第1の実施形態における出力制御回路の回路図である。
【図6】太陽電池の電流電圧特性を示すグラフである。
【図7】太陽電池の電力電圧特性を示すグラフである。
【図8】風力発電の電流電圧特性を示すグラフである。
【図9】第1の実施形態において総電力を抑制する過程のフローチャートである。
【図10】第2の実施形態における複数電源制御システムのハードウェア構成図である。
【図11】第2の実施形態における電力変換装置の機能ブロック図である。
【図12】第2の実施形態において総電力を抑制する過程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。まず、第1の実施形態として、統合制御装置が複数の電源を統括的に制御するタイプの電源制御システムについて説明する。次に、第2の実施形態として、複数の電力変換装置が複数の電源を自律的に制御するタイプの電源制御システムについて説明する。以下、第1の実施形態および第2の実施形態を特に区別しないときには、単に「本実施形態」とよぶ。
【0021】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態における複数電源統合システム200の構成を示すブロック図である。複数電源統合システム200は、複数の電源を制御することにより、システム全体からの安定的な電力供給を実現するシステムである。同図の場合、「複数の電源」には、太陽電池302、風力発電304、バイオマス306、燃料電池308(以下、特に区別しないときには単に「電源300」とよぶ)が該当する。複数の電源300という意味では、電源群310ともよぶ。本実施形態における複数電源制御システム200は、家庭やマンションなどの集合住宅、小規模村落への電力供給を目的として設計された電源分散型の電源システムである。
【0022】
各電源300は、互いに干渉せず、独自に発電する。太陽電池302、風力発電304、バイオマス306、燃料電池308は、それぞれ電力変換装置312a〜d(以下、単に「電力変換装置312」とよぶ)を介して、共通電力線400と接続される。電力変換装置312は、後述の方法にて、各電源300から共通電力線400への電力供給量を制御する。本実施の形態においては、電力変換装置312と電源300は1対1で接続されるが、1対多であってもよい。共通電力線400は、直流電力を送電する電力線である。各電源300から共通電力線400に供給された電力の合計(以下、「総電力」とよぶ)は、共通電力線400からインバータ402を介して、電気機器等の各種負荷に供給される。総電力の全部または一部は、売電されてもよい。
【0023】
統合制御装置100は、複数の電力変換装置312、共通電力線400およびバッテリー404と接続される。統合制御装置100は、総電力を計測し、計測結果に基づいて各電力変換装置312に出力制御を指示する。総電力が需要を上回るときには余剰分はバッテリー404を充電する。総電力が需要を下回るときにはバッテリー404が不足分を補う。総電力が需要を上回り、かつ、バッテリー404の充電率も高いときには、統合制御装置100は1以上の電力変換装置312に電力の供給を抑制させる。
【0024】
本実施形態における統合制御装置100は、1分間隔で総電力を計測する。「総電力」は、この1分間の計測時間中に発電された1秒当たりの電力量(Ws)である。いいかえれば、平均の電力である。統合制御装置100は、自ら計測してもよいし、外部センサから計測値を取得してもよい。計測時間の長さを1分間としたのはあくまでも例示であり、統合制御装置100や電源300の性能、動作環境等に基づいて、最適な計測時間を決定すればよい。
【0025】
電源群310の中には、耐用年数の長い電源300もあれば、短い電源300もある。各電源300には、耐用性の高さを示す指標値として0〜100の範囲の「信頼度」が設定される。複数電源制御システム200の管理者は、推定される耐用年数が長い電源300ほど高い信頼度を設定しておく。たとえば、MTTF(Mean Time To Failure)やMTBF(Mean Time Between Failure)に基づき、これらの値が大きな電源300ほど高い信頼度を設定してもよい。信頼度の値は、複数電源制御システム200の運用条件等に鑑みて実験やシミュレーションにより決定すればよい。
【0026】
複数電源制御システム200は、通常、20年以上の長期安定稼働を期待される。そのためには、信頼度の低い電源300(以下、「低信頼度電源」とよぶ)にかかる物理的負荷をなるべく軽減することが望ましい。そこで、本実施形態においては、総電力を抑制したいときには低信頼度電源から優先的に電力抑制する。いいかえれば、低信頼度電源から休ませる。
【0027】
統合制御装置100は、所定の「出力抑制条件」が成立したとき、低信頼度電源を担当する電力変換装置312に電力抑制を指示する。指示を受信した電力変換装置312は、後述の方法にて該当電源300の供給電力を抑制する。出力抑制条件とは、総電力を抑制すべき状況が発生したときに成立する条件として任意に定めればよい。たとえば、総電力が閾値を超えたときや、総電力の単位時間あたりの上昇度が閾値を超えたときに成立する条件として定義されてもよい。出力抑制条件は、バッテリー404の充電率が閾値を超えたときや、複数電源制御システム200の管理者から電力抑制指示を受けたときに成立するとしてもよい。以下においては、電力抑制対象として選択された電源300のことを「抑制対象電源」とよぶ。本実施の形態においては、信頼度の最も低い電源300を抑制対象電源として選択する。
【0028】
なお、電源300としては、このほかにも、潮汐力、地熱、雪氷熱といったさまざまな再生可能エネルギー由来の電源が考えられる。また、再生可能エネルギーに由来する電源に限らず、外部要因によって出力可能な電力が変化する電源は複数電源制御システム200の制御対象となり得る。
【0029】
図2は、総電力を調整するための計測過程と計算過程を示すタイムチャートである。まず、時刻t〜tにおいて、統合制御装置100は総電力を計測する。この計測結果を「M1」とよぶ。本実施の形態においては、時刻t〜tの計測期間は1分間である。次に、時刻t〜tにおいて、統合制御装置100は、計測結果M1に基づいて総電力調整の要否を判定し、総電力を調整する。この調整処理を「A1」とよぶ。ここでいう調整とは、電力抑制やその解除、バッテリー404の充放電等の処理を含むが、詳細については図9に関連して後に詳述する。調整処理A1の完了後、時刻t〜tにおいて再び総電力を計測する。この計測結果を「M2」とよぶ。計測が完了した時刻t〜tにおいて、計測結果M2に基づく調整処理A2が実行される。このように、総電力の計測と調整が繰り返し実行される。
【0030】
図3は、第1の実施形態における統合制御装置100の機能ブロック図である。統合制御装置100は、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子デバイスで実現でき、ソフトウェア的にはデータ送受信機能のあるプログラム等によって実現されるが、以下に説明する図3等ではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できる。ここでは、各機能ブロックの構成を中心として説明する。具体的な処理内容については、構成の説明後に詳述する。
【0031】
統合制御装置100は、計測部110、データ処理部120および信頼度情報保持部140を含む。計測部110は総電力を計測する。データ処理部120は、計測部110や信頼度情報保持部140から取得されたデータを元にして各種のデータ処理を実行する。データ処理部120は、計測部110と信頼度情報保持部140の間のインタフェースの役割も果たす。信頼度情報保持部140は、各電源300の信頼度が登録された信頼度情報を保持するための記憶領域である。
【0032】
データ処理部120は、条件判定部122、電源選択部124、信頼度更新部126、電源制御部130および充放電制御部136を含む。条件判定部122は、出力抑制条件の成否を判定する。電源選択部124は、出力抑制条件が成立したとき、信頼度情報を参照して抑制対象電源を選択する。第1の実施形態においては、信頼度が最も低い電源300を抑制対象電源として選択する。
【0033】
電源制御部130は、電力変換装置312を介して電源300からの電力供給量を制御する。電源制御部130は、指示部132と監視部134を含む。指示部132は、出力抑制条件が成立したとき、抑制対象電源を担当する電力変換装置312に対して、電力抑制を指示する。なお、出力抑制条件が成立状態から不成立状態に戻ったときには、抑制対象電源の電力抑制を解除させる。監視部134は、電力変換装置312を介して、各電源300の運用情報を受信する。運用情報は、電源300に対する累積負荷を定量的に示す数値情報であればよい。たとえば、運用情報には、電源300が供給した電力の積算値や出力電流の積算値、総稼働時間などが含まれてもよい。風力発電304であれば風車の総回転数を運用情報に含めてもよい。運用情報を受信することにより、監視部134は各電源300の運用状態を監視する。信頼度更新部126は、運用情報に基づいて信頼度情報を更新する。たとえば、ある電源300が10万(kWh)分の電力量を供給するごとに信頼度を1ずつ低下させてもよい。信頼度更新部126が信頼度を更新するアルゴリズムは、電源300の性能、使用環境等に基づいて実験やシミュレーション等により決定されればよいが、いずれにしても、電源300に対する累積負荷が大きくなるほど信頼度が低下させることが好ましい。
【0034】
なお、統合制御装置100と電力変換装置312は、信頼度情報や運用情報等の各種データを専用通信線や無線システムにより送受してもよいし、共通電力線400等の電力系統に交流信号として重畳することにより送受してもよい。
【0035】
充放電制御部136は、バッテリー404の充放電を制御する。本実施形態におけるバッテリー404はリチウムイオン電池である。総電力が需要を上回るときには余剰電力によりバッテリー404が充電される。一方、総電力が需要を下回るときにはバッテリー404から共通電力線400に不足分を放電させる。リチウムイオン電池は、一般的には、50%〜80%の充電率で利用するのが好ましいとされる。リチウムイオン電池を充電率100%にすると、負極側に金属リチウムが析出する可能性があるため好ましくない。そこで、条件判定部122は、バッテリー404の充電率が所定の閾値、たとえば、75%を超えたときにも出力抑制条件が成立したと判定し、総電力を抑制させる。このとき、充放電制御部136は、抑制分をバッテリー404からの放電により補填する。このような処理方法により、電源300だけでなくバッテリー404の長寿命化を図る。
【0036】
図4は、第1の実施形態における電力変換装置312の機能ブロック図である。電力変換装置312も、ハードウェア的には、各種電子回路素子で実現でき、ソフトウェア的にはデータ送受信機能のあるプログラム等によって実現されるが、図4もそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックもハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できる。
【0037】
電力変換装置312は、出力制御部320、指示受信部322および運用情報送信部324を含む。出力制御部320は、図5に関連して後述する昇圧チョッパ回路を含み、その入力インピーダンスを制御することにより供給電力を増減させる。指示受信部322は、統合制御装置100の指示部132から、抑制指示等の各種指示を受信する。抑制指示を受信したとき、出力制御部320は電源300から共通電力線400に供給する電力を抑制する。運用情報送信部324は、運用情報を取得し、統合制御装置100に送信する。
【0038】
図5は、第1の実施形態における出力制御回路330の回路図である。出力制御回路330は、2つの入力端子P、Pと2つの出力端子P、Pの4端子を備える典型的な昇圧チョッパ回路である。入力端子P、Pには電源300が接続され、出力端子P、Pには共通電力線400が接続される。入力端子Pから出力端子Pへの経路にはインダクタLとダイオードDが直列に挿入される。インダクタLとダイオードDの中間点Pと、入力端子Pと出力端子Pの中間点Pとの間にはトランジスタTrが接続される。トランジスタTrは、オン・オフが周期的に繰り返されるため、中間点Pから中間点Pまでの経路は周期的に導通・非導通となる。ダイオードDと出力端子Pの中間点Pと、中間点Pと出力端子Pの中間点Pとの間にはコンデンサCが接続される。
【0039】
入力端子P、P間の電圧を入力電圧Vin、入力端子Pに流入する電流を入力電流Iinとすると、電源300からみた入力インピーダンスZinは、Zin=Vin/Iinとして定義される。出力端子P、P間の電圧を出力電圧Vout、出力端子Pから流出する電流を出力電流Ioutとする。トランジスタTrのオン・オフのタイミングを制御することにより、入力インピーダンスZinが変化する。このため、トランジスタTrのオン・オフのデューティー比によって、出力電圧Voutや出力電流Ioutも変化する。
【0040】
トランジスタTrのオン時間の割合が大きくなるときには、入力インピーダンスZinが小さくなり、出力電圧Voutは小さくなり、出力電流Ioutは大きくなる。トランジスタTrのオン時間の割合が小さくなるときには、入力インピーダンスZinが大きくなり、出力電圧Voutは大きくなり、出力電流Ioutは小さくなる。出力制御回路330の入力インピーダンスZinをトランジスタTrのデューティー比によって制御することにより、電源300の動作状態を制御できる。
【0041】
次に、太陽電池302と風力発電304のそれぞれについて、電力抑制方法を説明する。
【0042】
(1)太陽電池
図6は、太陽電池の電流電圧特性を示すグラフである。同図において横軸は出力電圧Vout、縦軸は出力電流Ioutを示す。太陽電池は、出力電圧Voutが最小となるときに出力電流Ioutが最大となる。入力インピーダンスを調整して出力電圧Voutを上昇させると、出力電流Ioutは徐々に低下する。電源300が供給する電力は出力電圧Voutと出力電流Ioutの積で表されるため、出力電流Ioutや出力電圧Voutを制御パラメータとして調整することにより、電力の大きさを調整できる。より具体的には、出力制御回路330におけるトランジスタTrのデューティー比を制御パラメータとして、電力を調整している。太陽電池の電流電圧特性がグラフG1により表されるときには、同図の点S(出力電流Iout=Is、出力電圧Vout=Vs)において電力最大となる。以下、点Sのことを「基準点」とよぶ。太陽光が強くなると電流電圧特性はグラフG3のようになり、出力可能な電力が大きくなる。反対に、太陽光が弱くなると、電流電圧特性はグラフG2のようになり、出力可能な電力が小さくなる。いずれにしても、太陽電池302を管轄する電力変換装置312aは、与えられた日照条件の下で、電力最大となる基準点Sに制御パラメータを設定する。
【0043】
太陽電池には、単結晶半導体型太陽電池と非単結晶半導体型太陽電池がある。単結晶シリコンなどを用いる単結晶半導体型太陽電池は、耐用年数が長いというメリットがある反面、コストが高くなる。多結晶シリコンやアモルファスシリコンなどを用いる非単結晶半導体型太陽電池は、低コストというメリットがあるが耐用性の面では単結晶半導体型太陽電池に劣る。これは発電時におけるキャリアの移動が太陽電池の結晶構造を損傷するためである。多結晶型の場合には、発電時における電荷の移動によって粒界の結晶欠陥が促進される。アモルファスシリコンの場合には、電荷の移動によって珪素−水素結合が分離されてしまう。したがって、コスト面で有利な非単結晶型太陽電池を長期にわたって利用するためには、キャリアの移動量、すなわち、非単結晶半導体型太陽電池の出力電流Ioutをなるべく抑制する必要がある。
【0044】
図7は、太陽電池の電力電圧特性を示すグラフである。同図において横軸は出力電圧Vout、縦軸は電力Pを示す。図7のグラフは図6のグラフG1に基づく。電力Pは、出力電圧Vout=Vsのとき極大値Pmaxとなる。したがって、出力電圧Voutを基準点Sに設定している場合(出力電圧Vout=Vs)には、出力電圧VoutをVsより増加させても減少させても、電力を抑制できる。ここで図6を参照すると、出力電圧VoutをVsよりも大きくすると、出力電流IoutはIsよりも小さくなる。一方、出力電圧VoutをVsよりも小さくすると、出力電流IoutはIsよりも大きくなる。したがって、非単結晶型太陽電池を抑制対象電源とする場合には、出力電圧VoutをVsよりも増加させて電力を抑制する方法と減少させて電力を抑制させる方法のいずれも選択可能であるが、耐用性を考慮して前者を選択する。このような制御方法によれば、電力抑制時に非単結晶型太陽電池の内部を流れる電流量も抑制できるため、非単結晶型太陽電池の長寿命化を実現しやすくなる。本実施形態においては、出力制御回路330の入力インピーダンスを増加させる、すなわち、トランジスタTrのオン時間の割合を減少させることにより、出力電流Ioutを抑制しつつ、供給電力を抑制する。
【0045】
(2)風力発電
図8は、風力発電の電流電圧特性を示すグラフである。同図において横軸は出力電圧Vout、縦軸は出力電流Ioutを示す。風力発電は、出力電圧Voutを上昇させると、出力電流Ioutは上昇して極大値に到達した後に徐々に減少するという電流電圧特性を示す。風力発電においても、出力電流Ioutや出力電圧Voutを制御パラメータとして調整することにより、電力の大きさを調整できる。風力発電機の電流電圧特性がグラフG1により表されるときには、同図の基準点S(出力電流Iout=Is、出力電圧Vout=Vs)において電力最大となる。風力が強くなると電流電圧特性はグラフG3のようになり、出力可能な電力が大きくなる。反対に、風力が弱くなると、電流電圧特性はグラフG2のようになり、出力可能な電力が小さくなる。いずれにしても、風力発電304を管轄する電力変換装置312bは、与えられた風力条件の下で、電力最大となる基準点Sに制御パラメータを設定する。
【0046】
複数電源制御システム200の導入コストを抑制するためには、風力発電機の耐用性をある程度犠牲にせざるを得ない場合も考えられる。そして、風力発電機は、通常、プロペラの軸受部が最も経年劣化しやすい。したがって、低コストな風力発電機を長期にわたって利用するためには、風力発電機の回転数をなるべく抑制する必要がある。
【0047】
風力発電機が発生させる電力は、プロペラの回転速度とトルクの積として表される。そして、回転速度と出力電圧は正比例関係にあるため、出力制御回路330の入力インピーダンスを制御することにより風量発電機の回転速度を制御できる。
【0048】
電力Pは、出力電圧Vout=Vsのとき極大値Pmaxとなる。したがって、出力電圧Voutを基準点に設定している場合(出力電圧Vout=Vs)には、出力電圧VoutをVsより増加させても減少させても、電力を抑制できる。風力発電を抑制対象電源とする場合には、出力電圧VoutをVsよりも増加させて電力を抑制する方法と減少させて電力を抑制させる方法のいずれも選択可能であるが、耐用性を考慮して後者を選択する。このような制御方法によれば、風力発電機のプロペラの回転速度を抑制できるため、風力発電機の長寿命化させやすくなる。すなわち、トランジスタTrがオン時間の割合を増加させることにより、回転速度を減少させつつ、供給電力を抑制する。
【0049】
図9は、第1の実施形態において総電力を抑制する過程のフローチャートである。同図に示す処理は、一定の時間間隔で繰り返し実行される。まず、計測部110は、総電力を計測する(S10)。条件判定部122は、出力抑制条件の成否を判定する(S12)。出力抑制条件が成立するときには(S12のY)、電源選択部124は抑制対象電源を選択し(S14)、指示部132は抑制対象電源を管轄する電力変換装置312に電力抑制を指示する(S16)。出力抑制条件は、総電力やバッテリー404の充電率が閾値を超過したときに成立する。指示受信部322にて抑制指示を受信した電力変換装置312は、出力制御回路330の入力インピーダンスを変化させることにより、抑制対象電源の電力供給を抑制する(S16)。バッテリー404の充電率が所定の閾値以上となり、放電が必要であれば(S18のY)、充放電制御部136はバッテリー404を放電させる(S20)。放電不要であれば(S18のN)、S20はスキップされる。出力抑制条件が成立しないときには(S12のN)、S14からS20までの処理はスキップされる。この場合には、必要に応じて抑制対象電源の制御パラメータを基準点に戻し、電力抑制を解除してもよい。
【0050】
各電力変換装置312は運用情報を送信し、統合制御装置100の監視部134はこれを受信する(S22)。信頼度更新部126は、新たに受信した運用情報に基づいて信頼度情報を更新する(S24)。
【0051】
[第2の実施形態]
図10は、第2の実施形態における複数電源制御システムの構成を示すブロック図である。複数電源制御システム202も、複数の電源を制御することにより、システム全体からの安定的な電力供給を実現するシステムである。図1と同一の符号を付した構成は、図1で説明した構成と同一または同様の機能を有する。第2の実施形態における複数電源制御システム202は、統合制御装置100を含まない代わりに電力監視装置150を備える。電力監視装置150は、統合制御装置100の計測部110に相当し、総電力を監視する。いずれかの電力変換装置412が電力監視装置150の機能を兼備してもよい。第2の実施形態における電力変換装置412は、第1の実施形態における電力変換装置312よりも機能が拡大されているが、詳細については後述する。
【0052】
第2の実施形態においても、図2と同様、総電力の計測と総電力の調整が繰り返し実行される。ただし、総電力を計測するのは電力監視装置150であり、各電力変換装置412が自律的に総電力を調整する点で異なる。
【0053】
図11は、第2の実施形態における電力変換装置412の機能ブロック図である。電力変換装置412は、出力制御部420、データ処理部340、信頼度情報保持部350および運用情報保持部352を含む。出力制御部420は、第1の実施形態における電力変換装置312の出力制御部320の機能に加えて、自らが担当する電源300(以下、「担当電源」とよぶ)を抑制対象電源とすべきか判定する機能も備える。データ処理部340は、出力制御部420や信頼度情報保持部350、運用情報保持部352から取得されたデータを元にして各種のデータ処理を実行する。データ処理部340は、出力制御部420と信頼度情報保持部350、運用情報保持部352との間のインタフェースの役割も果たす。信頼度情報保持部350は、担当電源の信頼度が登録された信頼度情報を保持する。また、必要に応じて他の電力変換装置412が担当する電源300の信頼度情報も保持する。運用情報保持部352は、担当電源の運用情報を保持する。
【0054】
データ処理部340は、条件判定部342、信頼度更新部344、通信部348および監視部346を含む。条件判定部342は、電力監視装置150による総電力の計測結果に基づいて、出力抑制条件の成否を判定する。なお、いずれか一つの電力変換装置412によって出力抑制条件の成否を判定し、他の電力変換装置412はその判定結果を受信するとしてもよい。あるいは、電力変換装置412以外の専用装置から出力抑制指示を受信してもよい。通信部348は、他の電力変換装置412と信頼度情報を送受する。これにより、電力変換装置412は、担当電源の信頼度だけでなく他の電源300の信頼度も取得できる。監視部346は、担当電源を監視して運用情報を取得し運用情報保持部352に登録する。信頼度更新部344は運用情報に基づいて信頼度情報を更新する。
【0055】
なお、電力変換装置412も、信頼度情報等の各種データを専用通信線や無線システムにより送受してもよいし、共通電力線400等の電力系統に交流信号として重畳することにより送受してもよい。
【0056】
出力制御部420は、出力抑制条件が成立したとき、各電源300の信頼度情報を参照し、担当電源を抑制対象電源とすべきか判定する。第2の実施形態においては、担当電源300の信頼度が他の電源300の信頼度のいずれよりも低いとき、担当電源を抑制対象電源として選択する。
【0057】
図12は、第2の実施形態において総電力を抑制する過程のフローチャートである。同図に示す処理も、一定の時間間隔で繰り返し実行される。まず、通信部348により、各電力変換装置412はお互いに信頼度情報を交換する(S30)。次に、各電力変換装置412は、総電力の計測結果を電力監視装置150から取得し(S32)、条件判定部342は出力抑制条件の成否を判定する(S34)。出力抑制条件が成立するとき(S34のY)、出力制御部420は、担当電源を抑制対象電源とすべきか判定する(S36)。出力抑制条件が不成立の場合には(S34のN)、S36およびS38の処理はスキップされる。抑制対象電源として選択するときには(S36のY)、出力制御回路330の入力インピーダンスを制御することにより、供給電力を抑制する(S38)。抑制対象電源として選択しないときには(S36のN)、S38の処理はスキップされる。監視部346は、運用状態を監視し、運用情報を登録する(S40)。信頼度更新部344は、運用情報に基づいて信頼度情報を更新する(S42)。
【0058】
第2の実施形態においても、バッテリー404としてリチウムイオン電池を利用する場合には、いずれかの電力変換装置412がバッテリー404の充放電を制御することにより、バッテリー404の長寿命化を図ってもよい。
【0059】
以上、第1および第2の実施形態に基づいて複数電源制御システム200、202を説明した。複数電源制御システム200、202によれば、各電源300からの総電力を定期的に計測し、総電力を抑制したいときには、各電源300の耐用年数を考慮して抑制対象電源を選択できる。そして、抑制対象電源の電力抑制方法が複数存在するとき、抑制対象電源に対する物理的負荷が軽い方の電力抑制方法を選択するため、耐用年数が短くなっている電源300の使用可能期限を延長させやすくなる。また、運用状態に応じて信頼度情報を更新するため、複数の電源300の使用終期を揃えやすい構成となっている。
【0060】
更に、リチウムイオン電池の充電率を考慮して総電力を抑制するため、リチウムイオン電池の長寿命化が図られ、複数電源制御システム200、202全体としての安定稼働性が向上する。
【0061】
第2の実施形態においては、電力変換装置412が自律的に信頼度情報を更新・交換する。このため、電源300や電力変換装置412の追加・削除によるメンテナンス負荷が軽減される。たとえば、新たな電源300を追加するときには、その電源300を担当電源とする電力変換装置412を追加し、信頼度を初期設定してやればよい。あとは、各電力変換装置412が信頼度情報の更新・交換を自動的に行う。このため、拡張性に優れた複数電源制御システム202を提供できる。
統合制御装置100や電力変換装置412は、いずれかの電源300の信頼度が所定の閾値よりも小さくなったとき、警告情報を送信する警告部を備えてもよい。
【0062】
本実施の形態においては、太陽電池と風力発電についての電圧抑制方法について説明したが、「制御パラメータによる出力の増減制御が可能であり、かつ、出力が極大値近傍となる基準点に制御パラメータが設定された状態で運用される電源」であれば本発明における電圧抑制方法を応用可能である。各電源300に、あらかじめ、制御パラメータの値を基準点よりも増加させる領域と減少させる領域のいずれが耐久性への影響が少ない領域であるかを設定しておいてもよい。そして、電力変換装置312、412は、この設定にしたがって、極大値から電力抑制するときの制御パラメータの変更方法を判断すればよい。
【0063】
本実施の形態においては、低信頼度電源を抑制対象電源として選択したが、変形例として、信頼度以外の要素に基づいて抑制対象電源を選択してもよい。たとえば、電力制御しやすい電源、すなわち、制御性の高い電源を優先的に抑制対象電源として選択してもよい。制御性を所定範囲、たとえば、0〜100の範囲で正規化した値を制御度として定義し、制御度/信頼度の比率が最も高い電源、すなわち制御度が高く信頼度が低い電源を抑制対象電源として選択してもよい。このような制御方法によれば、信頼度だけでなく制御性も考慮して抑制対象電源を選択できる。
【0064】
天候などの外的要因により大電力を供給している電源を抑制対象電源として優先的に選択してもよい。たとえば、風力が所定値以上となっているときには、風力発電機の物理的負荷を抑制するため、風力発電機を抑制対象電源として選択してもよい。このほかにも、総電力を大きく抑制したいときには供給電力の大きい電源の電力を抑制し、総電力を少しだけ抑制したいときには供給電力の小さい電源の電力を抑制してもよい。
【0065】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0066】
100 統合制御装置
110 計測部
120 データ処理部
122 条件判定部
124 電源選択部
126 信頼度更新部
130 電源制御部
132 指示部
134 監視部
136 充放電制御部
140 信頼度情報保持部
150 電力監視装置
200 複数電源制御システム
202 複数電源制御システム
300 電源
302 太陽電池
304 風力発電
306 バイオマス
308 燃料電池
310 電源群
312 電力変換装置
320 出力制御部
322 指示受信部
324 運用情報送信部
330 出力制御回路
340 データ処理部
342 条件判定部
344 信頼度更新部
346 監視部
348 通信部
350 信頼度情報保持部
400 共通電力線
402 インバータ
404 バッテリー
412 電力変換装置
420 出力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部要因によって出力可能な電力が変化し、かつ、制御パラメータによる出力の増減制御が可能な電源である複数の不規則電源に接続されるシステムであって、
前記複数の不規則電源それぞれの出力を制御する出力制御部と、
前記複数の不規則電源全体から単位時間中に出力される総電力量を取得する計測部と、
前記総電力量が所定の出力抑制条件を充足するか否かを判定する条件判定部と、
前記出力抑制条件が充足されたとき、不規則電源の耐用性の高さを示す信頼度情報を参照し、前記複数の不規則電源のうち耐用性が低い不規則電源から優先的に選択する電源選択部と、を備え、
前記不規則電源は、出力が極大値近傍となるように制御パラメータが設定された状態で運用されており、
前記出力制御部は、前記制御パラメータの値を増加させることによる電力抑制方法と減少させることによる電力抑制方法のうち、前記選択された不規則電源の耐用性への影響が低い方の電力抑制方法により、前記選択された不規則電源から出力される電力を抑制することを特徴とする複数電源制御システム。
【請求項2】
前記不規則電源は、再生可能エネルギーに由来する電源であることを特徴とする請求項1に記載の複数電源制御システム。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記選択された不規則電源が非単結晶半導体による太陽電池であるときには、前記太陽電池の出力電圧を増加させて前記太陽電池の出力電流を減少させることにより、前記非単結晶半導体による太陽電池から出力される電力を抑制することを特徴とする請求項1または2に記載の複数電源制御システム。
【請求項4】
前記出力制御部は、前記選択された不規則電源が風力発電機であるときには、前記風力発電機の出力電圧を減少させて前記風力発電機における風車の回転速度を減少させることにより、前記風力発電機から出力される電力を抑制することを特徴とする請求項1または2に記載の複数電源制御システム。
【請求項5】
前記複数の不規則電源の運用状態を監視する監視部と、
各不規則電源の運用状態に応じて、前記信頼度情報を更新する信頼度更新部と、を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の複数電源制御システム。
【請求項6】
前記複数の不規則電源からの電力により充電されるリチウムイオン電池の充放電を制御する充放電制御部、を更に備え、
前記条件判定部は、前記リチウムイオン電池の充電率が所定の閾値を超えたときに前記出力抑制条件が成立したと判定し、
前記充放電制御部は、前記出力抑制条件の成立を契機として前記総電力量が抑制されるとき、前記リチウムイオン電池を放電させることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の複数電源制御システム。
【請求項7】
外部要因によって出力可能な電力が変化し、かつ、制御パラメータによる出力の増減制御が可能な電源である複数の不規則電源のうちの一以上と接続され、不規則電源から出力される電力のうち共通電力線に供給すべき電力の大きさを制御する複数の電力変換装置と、
前記複数の電力変換装置を制御する統合制御装置と、を備え、
前記不規則電源は、出力が極大値近傍となるように制御パラメータが設定された状態で運用されており、
前記統合制御装置は、
前記複数の不規則電源から前記共通電力線に供給される単位時間あたりの総電力量を取得する計測部と、
前記総電力量が所定の出力抑制条件を充足するか否かを判定する条件判定部と、
前記出力抑制条件が充足されたとき、不規則電源の耐用性の高さを示す信頼度情報を参照し、前記複数の不規則電源のうち耐用性が低い不規則電源から優先的に選択する電源選択部と、
前記選択された不規則電源の制御を担当とする電力変換装置に出力の抑制指示を送信する抑制指示部と、を含み、
前記電力変換装置は、
接続先の不規則電源の出力を制御する出力制御部と、
前記統合制御装置から前記抑制指示を受信する抑制指示受信部と、を含み、
前記出力制御部は、前記抑制指示を受信したとき、前記制御パラメータの値を増加させることによる電力抑制方法と減少させることによる電力抑制方法のうち、前記選択された不規則電源の耐用性への影響が低い方の電力抑制方法により、前記選択された不規則電源の出力を抑制することを特徴とする複数電源制御システム。
【請求項8】
外部要因によって出力可能な電力が変化し、かつ、制御パラメータによる出力の増減制御が可能な電源である不規則電源と接続される装置であって、
不規則電源から出力される電力のうち共通電力線に提供すべき電力を制御する出力制御部と、
前記不規則電源の耐用性の高さを示す信頼度情報を保持する信頼度情報保持部と、
別の不規則電源と接続されている他の電力変換装置と信頼度情報を送受信する通信部と、を備え、
前記不規則電源は、出力が極大値近傍となるように制御パラメータが設定された状態で運用される電源であり、
前記出力制御部は、所定の出力抑制条件が充足されたとき、前記他の電力変換装置から受信した信頼度情報を参照し、前記他の電力変換装置が担当している不規則電源の耐用性よりも自装置が担当している不規則電源の耐用性が低いときには、前記制御パラメータの値を増加させることによる電力抑制方法と減少させることによる電力抑制方法のうち、前記担当している不規則電源の耐用性への影響が低い方の電力抑制方法により、前記担当している不規則電源の出力を抑制することを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
接続先の不規則電源の運用状態を監視する監視部と、
前記接続先の不規則電源の運用状態に応じて、前記信頼度情報を更新する信頼度更新部と、を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−10504(P2011−10504A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153512(P2009−153512)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】