説明

走査装置

【課題】共焦点走査を行うフォーク部材を支持するマウントの永久歪みを防止しつつ、ぶれや歪みなどのない画像を取得する。
【解決手段】共焦点用ピンホールとして機能する点光源を有するフォーク部材と、該フォーク部材を支持するマウントを有する走査型共焦点内視鏡の走査装置において、フォーク部材の基端に棒状磁石が接続されており、棒状磁石の基端に対向する電磁石が設けられており、電磁石への通電を制御して所定のタイミングにて磁極が交互に反転するように電磁石を磁化してフォーク部材を振動させる制御手段を有する走査装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査装置に関し、より詳しくは、走査型共焦点内視鏡における走査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、医師が患者の体腔内を観察する1つの手段として、共焦点レーザによる走査を用いた走査型共焦点内視鏡を使用した検査が行われている。このような従来の走査型共焦点内視鏡としては、特許文献1に開示のものが挙げられる。図5(a)に従来の走査型共焦点内視鏡の先端部における走査装置200の模式図を示す。また、図5(b)には、図5(a)におけるチューニングフォーク201の模式図を示す。図5(a),(b)には、走査装置200が走査を行っていない休止状態にある場合を示す。便宜上、図5(a)に示すように、走査装置200の長手方向に沿って先端側を正の方向とするZ軸、走査装置200の長手方向に垂直で紙面上側方向を正の方向とするY軸、長手方向に垂直で紙面奥側方向を正の方向とするX軸をそれぞれ設定する。以降の説明においても同様とする。
【0003】
走査装置200は、2つの歯部を有するチューニングフォーク201、チューニングフォーク201の歯部を振動させるXスキャン用のXドライブコイル202とYスキャン用のYドライブコイル203、チューニングフォーク201を貫通させて把持するマウント204を有する。チューニングフォーク201の一方の歯部には、長手方向に沿って、光源からの照明光を導光する図示しない光ファイバが設けられている。光ファイバは、歯部の先端まで延在している。光ファイバからの出射光は、チューニングフォーク201の先端側に設けられたレンズユニット205に進行する。
【0004】
また、チューニングフォーク201の歯部には永久磁石からなるバイアス磁石206が設けられており、バイアス磁石206によりチューニングフォーク201にバイアス磁界が印加されている。そして、Xドライブコイル202とバイアス磁石206のそれぞれによって生成される磁場の相互作用によって歯部のX軸方向への駆動力が生まれる。チューニングフォーク201の歯部上におけるバイアス磁石206の位置は任意に調節可能であり、バイアス磁石206の位置を変更して所望の周波数にて歯部を振動させることができる。図5(b)に示すように、バイアス磁石206は、便宜上、S極側がチューニングフォーク201の歯部と接するように設けられている。このため、バイアス磁石206のチューニングフォーク201に対する設置面がN極に磁化されている。したがって、チューニングフォーク201の基端はS極に磁化されている。また、フォークの後端はYスキャンに用いられる永久磁石207が設けられている。便宜上、永久磁石207は、Y軸正方向側にS極が、Y軸負方向側にN極が配置されるように設けられる。図5(a)に示すように、走査装置200が休止状態にある場合、バイアス磁石206によってチューニングフォーク201の基端がS極に磁化されているため、チューニングフォーク201の基端が永久磁石207のN極側に引き寄せられた状態で静止している。
【0005】
図6(a)〜(c)に、時間0,t,t,t,tにおける走査装置200の駆動時の状態をそれぞれ示す。また、図7に、走査装置200を駆動する際のYドライブコイル205への電流の入力状態を示す。
【0006】
図6(b)に示すように、時間0においては、Yドライブコイル205によるチューニングフォーク201の磁化は行われないが、図5(a)において説明したように、バイアス磁石206によってチューニングフォーク201の基端がS極に磁化されているため、チューニングフォーク201の基端が永久磁石207のN極側に引き寄せられ、チューニングフォーク201の基端は永久磁石207に対して中立位置からN極側にずれた位置にある。時間0からtにかけては、Yドライブコイル205に流れるプラス電流が大きくなり、チューニングフォーク201の基端がより強くN極に磁化されていく。時間tにおいて、図6(a)に示すように、チューニングフォーク201の基端は永久磁石207のS極側に引き寄せられ、チューニングフォーク201の先端はY軸負方向に傾いた状態となる。時間tからtにかけては、Yドライブコイル205に流れるプラス電流が徐々に小さくなり、時間tにおいて、Yドライブコイル205に流れる電流が0となる。時間tにおいては、時間0と同様、図6(b)に示すように、Yドライブコイル205によるチューニングフォーク201の磁化は行われず、チューニングフォーク201の基端は永久磁石207に対して中立位置からN極側にずれた位置に移動する。
【0007】
時間tからtにかけては、Yドライブコイル205に流れるマイナス電流が大きくなり、チューニングフォーク201の基端がより強くS極に磁化されていく。時間tにおいて、図6(c)に示すように、チューニングフォーク201の基端は永久磁石207のN極側に引き寄せられ、チューニングフォーク201の先端はY軸正方向に傾いた状態となる。時間tからtにかけては、Yドライブコイル205に流れるマイナス電流が小さくなる。そして、時間tにおいては、Yドライブコイル205に流れる電流は0になり時間0,tの状態と同じになる。そして、時間0からtまでの状態を周期的に繰り返すことにより、チューニングフォーク201はY軸方向に周期的に振動する。
【0008】
したがって、チューニングフォーク201がX軸方向とY軸方向に振動することにより、照明光による観察対象物の走査を行う。観察対象物から反射した光は、レンズユニット205の対物レンズに入射して光ファイバに戻り、後段の光検出器などを経由して観察画像が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−514970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような従来の走査型共焦点内視鏡の走査装置では、図5(a)に示すように休止状態において、Yスキャン用の永久磁石と対向するチューニングフォークの基端が中立位置から永久磁石の一方の磁極に引き寄せられる状態、あるいは他方の磁極から反発される状態が継続する。このため、走査装置が休止状態にあるときには、チューニングフォークを把持するマウントに対して常にチューニングフォークから変形力が加わることによって、マウントの永久歪みが生じる可能性がある。また、走査装置が駆動状態にあるときには、Yドライブコイルに流れる電流値が0Aになったときに、永久磁石に対するチューニングフォークの基端の位置が中立位置からずれてしまい、取得する画像にぶれや歪みなどが発生する可能性がある。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、チューニングフォークを支持するマウントの永久歪みを防止しつつ、ぶれや歪みなどのない画像を取得することが可能な走査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決する本発明の一実施形態による走査装置は、共焦点用ピンホールとして機能する点光源を有するフォーク部材と、該フォーク部材を支持するマウントを有する走査型共焦点内視鏡の走査装置において、フォーク部材の基端に棒状磁石が接続されており、棒状磁石の基端に対向する電磁石が設けられており、電磁石への通電を制御して所定のタイミングにて磁極が交互に反転するように電磁石を磁化してフォーク部材を振動させる制御手段を有する。したがって、走査装置が休止状態にあるときは、フォーク部材の振動を発生させる電磁石に流れる電流値を0Aにしてフォーク部材を電磁石に対して中立位置に静止させることで、従来の走査装置において懸念されていたマウントの永久歪みを防止することができる。また、走査装置が駆動状態にあるときも、コイルに流れる電流値を0Aにしてフォーク部材が中立位置に移動したときに電磁石に流れる電流値も0Aになり、フォーク部材が中立位置からずれることがないため、画像のぶれや歪みなどの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の走査装置によれば、フォーク部材を支持するマウントの永久歪みを防止しつつ、ぶれや歪みなどのない画像を取得することができる。さらに、従来の走査装置と比較して、フォーク部材の振動を行うコイルを削除することができるため、走査装置の省スペース化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1(a)は、本発明の一実施形態における走査装置を有する共焦点光学ユニットを示す概略図であり、図1(b)は、走査装置の内部構成の概略を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態における走査装置の断面概略図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、本発明の一実施形態における走査装置の駆動状態を示す断面概略図である。
【図4】図4(a),(b)は、本発明の一実施形態における走査装置の電磁石への通電状態を示すグラフである。
【図5】図5(a)は、従来の走査装置の断面概略図であり、図5(b)は、従来の走査装置におけるチューニングフォークを示す図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、従来の走査装置の駆動状態を示す断面概略図である。
【図7】図7は、従来の走査装置のYドライブコイルへの通電状態を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における走査装置について説明する。なお、複数の図にまたがって同じ部材を示す場合は同じ番号を付すこととする。
【0016】
図1(a)は、本発明の実施形態における走査装置100を有する共焦点光学ユニット10を示す概略図である。以降においては、共焦点光学ユニット10の構成を説明するにあたり、便宜上、共焦点光学ユニット10の長手方向にZ軸を規定し、Z軸に直交しかつ互いに直交する2つの軸をX軸、Y軸とする。図1(a)に示すように、内視鏡先端側をZ軸の正の方向、紙面上方向をY軸の正の方向、紙面手前側方向をX軸の正の方向とする。なお、図1(a)では、走査装置100の構成要素のうち、内筒102,光ファイバ103,形状記憶合金104を示すに留める。
【0017】
共焦点光学ユニット10は、走査型共焦点内視鏡の先端部に設けられている。図1(a)に示すように、共焦点光学ユニット10は、ユニットの各構成部品を収容する金属製の外筒101を有している。外筒101は、外筒101の内壁面形状に対応する外壁面形状を持つ内筒102を、同軸でかつZ軸方向にスライド自在に保持している。光ファイバ103の射出端は、外筒101、内筒102の各基端面に形成された開口を通じて内筒102の内部に支持されている。また、光ファイバ103の出射端は、共焦点用ピンホールとして機能する点光源とみなすことができる。
【0018】
共焦点光学ユニット10は、内筒102の基端面と外筒101の内壁面との間に、圧縮コイルばね105を有している。なお、圧縮コイルばね105の代わりに任意の弾性材料を用いることができる。圧縮コイルばね105は、内筒102の基端面と外筒101の内壁面とによって、自然長からZ軸方向に初期的に圧縮した状態で狭持されている。
【0019】
共焦点光学ユニット10は、Z軸方向に伸縮する形状記憶材料からなるガイド部材としての形状記憶合金104を有している。形状記憶合金104は、一端が内筒102の基端面に、他端が外筒101の内壁面に、それぞれ固定されている。形状記憶合金104は、常温下で外力が加わると変形して、通電により一定温度以上に加熱されると形状記憶効果によって所定の形状に復元する性質を有する。
【0020】
形状記憶合金104は、常温下では、圧縮コイルばね105の復元力が加わることによってZ軸方向に伸びている。形状記憶合金104は、形状記憶効果による復元力が圧縮コイルばね105の復元力より大きくなるように設計されている。
【0021】
形状記憶合金104の形状は、形状記憶合金104への通電による形状記憶合金104自体の加熱によって制御される。具体的には、形状記憶合金104は、通電によって加熱されると、圧縮コイルばね105の復元力に抗してZ軸方向に収縮する。形状記憶合金104の一端と固定されている内筒102は、形状記憶合金104の収縮に伴い、内筒102に支持された光ファイバ103と共に外筒101の内部をZ軸方向に後退する。形状記憶合金104の収縮量は、形状記憶合金104への通電量によって精密に制御される。この通電量(すなわち、光ファイバ103のZ軸方向の移動量)は、術者による内視鏡の操作部におけるZ軸移動量の調節操作に応じて変動する。
【0022】
形状記憶合金104は、通電が停止して常温に戻ると、又は通電量の減少によって温度が低下すると、形状記憶効果による復元力がなくなる、又は弱くなる。そして、圧縮コイルばね105の復元力によってZ軸方向に伸びる。内筒102は、圧縮コイルばね105の復元力によって基端面が押されて、光ファイバ103と共に外筒101の内部をZ軸方向に前進する。
【0023】
光ファイバ103の射出端から射出するレーザ光は、走査装置100のレンズユニットを介して被写体の表面又は表層で焦点を結ぶ。この焦点位置は、点光源として機能する光ファイバ103の射出端の進退に応じてZ軸方向に変位する。すなわち、共焦点光学ユニット10は、光ファイバ103の射出端の二軸方向(X軸方向及びY軸方向)の移動と、圧縮コイルばね105及び形状記憶合金104による射出端の一軸方向(Z軸方向)の移動とを行うことによって、被写体を三次元走査する。
【0024】
光ファイバ103の射出端に入射した光は、光ファイバ103の内部を伝搬する。光ファイバ103の内部を伝搬した光は、内視鏡が接続されるビデオプロセッサ(図示せず)に送られ、光検出器によって検出される。ビデオプロセッサは、例えば、走査型共焦点内視鏡と接続される接続コネクタに組み込まれたフォトカプラにより光ファイバ103からの光を光源の光と分離する。この検出信号は、画像生成回路に入力され、画像生成回路は、順次入力される検出信号の検出タイミングに応じて、各検出信号によって表現される点像への画素アドレスの割当てを行う。画像生成回路は、割り当てた画素アドレスに従って、各点像の空間的配列によって構成される画像の信号をフレームメモリにフレーム単位でバッファリングする。バッファリングされた信号は、所定のタイミングでフレームメモリから掃き出されて、NTSCやPALなどの所定の規格に準拠した映像信号に変換される。変換された映像信号がモニタに順次入力されることにより、モニタに、高倍率かつ高解像度の被写体の三次元共焦点画像が表示される。
【0025】
図1(b)は、走査装置100の内部構成を示す斜視図である。走査装置100は、2つの歯部を有するフォーク部材であるチューニングフォーク111、チューニングフォーク111の歯部を振動させるXスキャン用のXドライブコイル112、チューニングフォーク111を貫通させて把持するウレタンなどの弾性素材からなるマウント114を有する。チューニングフォーク111の一方の歯部には、長手方向に沿って、光源からの照明光を導光する光ファイバ103が設けられている。光ファイバ103は、歯部の先端まで延在している。光ファイバ103からの出射光は、チューニングフォーク111の先端側に設けられたレンズユニット115に進行する。
【0026】
チューニングフォーク111は電磁鋼板などの磁気透過性を有する素材からなる。また、チューニングフォーク111の歯部には永久磁石からなるバイアス磁石116が設けられており、Xドライブコイル112とバイアス磁石116のそれぞれによって生成される磁場の相互作用によって歯部の駆動力が生まれる。チューニングフォーク111の歯部上におけるバイアス磁石116の位置は任意に調節可能であり、バイアス磁石116の位置を変更して所望の周波数にて歯部を振動させることができる。
【0027】
チューニングフォーク111の基端には、チューニングフォーク111の長手方向に延びる永久磁石からなる棒状磁石113が接着剤118によって接続されている。棒状磁石113はチューニングフォーク111の一部を構成し、棒状磁石113の幅及び厚さはチューニングフォーク111の基端における幅及び厚さと概ね同一である。本実施形態においては、便宜上、棒状磁石113のN極がチューニングフォーク111の基端と向かい合うように構成されている。
【0028】
また、走査装置100は、棒状磁石113の基端に対向する位置に設けられた電磁石117を含む。電磁石117は、ビデオプロセッサ内のコントローラなどによる通電制御に基づいて、N極又はS極に磁化されたり、磁極を有さない状態に遷移したりする。したがって、従来では、形状記憶合金への通電を行って形状記憶合金を変形する際に、形状記憶合金の発熱が原因で永久磁石の熱減磁が発生して走査装置の走査動作に影響を及ぼす可能性があったが、本発明では、形状記憶合金104への通電に伴う形状記憶合金104の発熱を考慮しつつ電磁石の通電を制御することで、熱減磁を懸念することなく走査装置の走査動作を行うことができる。電磁石117の具体的な通電制御については後述する。
【0029】
図2に、本実施形態における、走査を行っていない休止状態にある走査装置100の側方断面図を示す。図2に示すように、休止状態では、電磁石117への通電が停止されているため、電磁石117には磁極が発生しない。したがって、電磁石117に磁極が生じていないため、チューニングフォーク111の基端に接続されている棒状磁石113は、電磁石117に対して中立位置にて静止した状態となる。すなわち、チューニングフォーク111も電磁石117に対して中立位置にて静止した状態にある。このため、本発明においては、走査装置100の休止状態において、チューニングフォーク111の静止位置が中立位置からずれることはないため、マウント114の永久歪みを防止することができる。
【0030】
図3(a)〜(c)に、本実施形態において時間0,t,t,t,tにおける走査装置100の駆動時の状態をそれぞれ示す。また、図4に、走査装置100を駆動する際の電磁石117への電流の入力状態の時間変化を示す。便宜上、図3(a)と図4からわかるように、電磁石117にプラス電流を流したときに、電磁石117には、Y軸正方向側にN極がY軸負方向側にS極が発生するものとする。以下、図3(a)〜(c)と図4を参照しながら説明する。
【0031】
時間0においては、図4に示すように、電磁石117に流れる電流は0である。また、図3(b)に示すように、棒状磁石113の基端は電磁石117に対して中立位置にある。時間0からtにかけては、電磁石117に流れるプラス電流が大きくなり、電磁石117に生じる磁極が強くなっていく。時間tにおいて、図3(a)に示すように、棒状磁石113の基端は電磁石117に生じるN極側に引き寄せられるため、チューニングフォーク111の先端はY軸負方向に傾いた状態となる。
【0032】
時間tからtにかけては、電磁石117に流れるプラス電流が徐々に小さくなり、電磁石117に発生する磁力が徐々に弱くなる。そして、時間tにおいて、電磁石117に流れる電流が0となる。時間tにおいては、時間0と同様、図3(b)に示すように、棒状磁石113の基端は電磁石117に対して中立位置に移動する。
【0033】
時間tからtにかけては、電磁石117には徐々に大きなマイナス電流が流れ、電磁石117に生じる磁極が強くなっていく。時間tにおいて、図3(c)に示すように、棒状磁石113の基端は電磁石117のN極側に引き寄せられるため、チューニングフォーク111の先端はY軸正方向に傾いた状態となる。
【0034】
時間tからtにかけては、電磁石117に流れるマイナス電流が小さくなる。そして、時間tにおいては、電磁石117に流れる電流は0となる。時間tにおいては、時間0,tと同様、図3(b)に示すように、棒状磁石113の基端は電磁石117に対して中立位置に移動する。そして、時間0からtまでの状態を周期的に繰り返すことにより、チューニングフォーク111はY軸方向に周期的に振動する。
【0035】
本実施形態では、時間0,t,tにおいて、電磁石117には磁極が発生していない。したがって、棒状磁石113の基端は、中立位置から正負いずれかのY軸方向に引き寄せられることなく中立位置に移動する。すなわち、チューニングフォーク111が中立位置からずれないため、光ファイバ103により取得した画像においてもぶれや歪みなどが発生しない。
【0036】
以上が本発明の実施形態についての説明であるが、本発明は上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において種々の変形が可能である。例えば、上記の説明では、チューニングフォークの基端に接着固定された棒状磁石のS極が電磁石に対向するように構成しているが、棒状磁石の極を反転させて設けても、本発明の効果を達成することができる。また、バイアス磁石によるチューニングフォークの基端の磁化を加味して、バイアス磁石によりチューニングフォークの基端がS極に磁化されているときは、上記の説明の通り、N極がチューニングフォークの基端と向かい合うように棒状磁石を接着固定し、逆に、チューニングフォークの基端がN極に磁化されているときは、S極がチューニングフォークの基端と向かい合うように棒状磁石を接着固定することで、本発明の効果を得る上でより好適な構成を達成することができると言える。
【符号の説明】
【0037】
100 走査装置
104 形状記憶合金
111 チューニングフォーク
113 棒状磁石
114 マウント
117 電磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共焦点用ピンホールとして機能する点光源を有するフォーク部材と、該フォーク部材を支持するマウントを有する走査型共焦点内視鏡の走査装置において、
前記フォーク部材の基端に棒状磁石が接続されており、
前記棒状磁石の基端に対向する電磁石が設けられており、
前記電磁石への通電を制御して所定のタイミングにて磁極が交互に反転するように該電磁石を磁化して前記フォーク部材を振動させる制御手段を有する、
ことを特徴とする走査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−40177(P2012−40177A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183915(P2010−183915)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】