超音波検査方法及び超音波検査装置
【課題】規則的に配列する凹凸形状の検査体の超音波検査において、導波物質で検査表面を覆うことなく、簡便に検査可能な領域を拡大する超音波検査方法及び超音波検査装置を提供することにある。
【解決手段】制御部103は、超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子を選択する切替制御回路103Bと、前記超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子から超音波を送信するタイミングを遅延させる遅延制御回路103Cと、受信部から得られる信号を加算処理する加算部103Dとを備える。加算部103Dは、振動素子の組合せ毎の画像を合成処理して得られる検査画像を表示部104に表示する。
【解決手段】制御部103は、超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子を選択する切替制御回路103Bと、前記超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子から超音波を送信するタイミングを遅延させる遅延制御回路103Cと、受信部から得られる信号を加算処理する加算部103Dとを備える。加算部103Dは、振動素子の組合せ毎の画像を合成処理して得られる検査画像を表示部104に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波検査方法及び超音波検査装置に係り、特に、凹凸形状を有する検査体の検査に好適な超音波検査方法及び超音波検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体やICなどの微細な構造物(検査対象)の内部のはく離やボイドなどの検査においては、従来、単一焦点型の超音波プローブをスキャナなどにより機械的に二次元走査する方法が実用化されている。
【0003】
また、半導体の構造が微細化する一方で、それを封止する材料であるモールド樹脂も、機械強度を高めるとともに半導体で発生する熱を排除するために、様々な材料が開発されている。モールド樹脂は、エポキシ系樹脂とカーボンやシリカガラスなどのフィラーと呼ばれる微細な繊維状や球形の充填剤を混ぜて製造されている。
【0004】
このようなモールド樹脂で封止された状態の半導体を超音波を用いて検査する際においては、このモールド樹脂中のフィラーがノイズ源となっていた。
【0005】
そのため、アレイ型超音波センサを用いた超音波検査において、アレイ型超音波センサの一部の圧電振動素子に遅延時間を与えて超音波を集束して送・受信する際に、超音波の集束位置は同一の状態で前記圧電振動素子の送信素子と受信素子の組合せを複数回切替えることで超音波の伝搬経路の異なる反射信号を複数回収録し、得られた反射信号を加算あるいは平均化処理して、順次アレイ方向に電子的に走査し、検査対象内部を画像化することで、超音波の伝搬経路で重畳するノイズの影響を低減し、SN比を向上できるようにし、さらに、検査対象内部からの反射信号が超音波波形であっても、超音波波形の所定の時間にゲート処理を行った反射強度であっても、検査画像であっても、SN比を向上する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、凹凸形状の検査体に超音波を入射して超音波検査する方法として、検査体の検査表面が平坦となるように、音響インピーダンス値が検査体と同一または近似する導波物質によって検査表面を覆う手法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4644621号公報
【特許文献2】特開平9−133664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年の検査対象である半導体やICの構造は、微細化の一途をたどっている。半導体の構造が微細化する一方で、半導体で発生する熱を排除するために、半導体に凹凸形状の冷却ピン(ヒートシンク)を接着させて冷却効率を向上させているが、その接着状態の検査が必要とされている。これは、冷却ピンと半導体の間にボイドや欠陥が存在して接着状態が不完全な場合、冷却効率は低下するからである。
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の方法では、半導体の構造上、凹凸形状側からの超音波入射が不可避であるため、検査場所によっては超音波の伝搬路にピンが存在し、そこでの超音波反射が大きいため検査領域まで超音波が伝搬せず、検査の不可能な領域が存在した。
【0010】
また、特許文献2記載の方法では、検査体の検査表面が平坦となるように、音響インピーダンス値が検査体と同一または近似する導波物質によって検査表面を覆う手法が開示されている。しかし、この方法では、前記導波物質によって検査表面を覆う工程が必要であり、時間と手間がかかる。
【0011】
本発明の目的は、規則的に配列する凹凸形状の検査体の超音波検査において、簡便に検査可能な領域を拡大する超音波検査方法及び超音波検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、アニュラアレイ超音波プローブを備える超音波検査装置により、規則的に配列する凹凸形状を有する被検査体の超音波検査方法であって、超音波を送信する前記超音波プローブの振動素子の組合せを、複数組選択し、遅延時間を与えて前記組合せ毎に超音波を送信し、予め選択した複数組の超音波素子の組合せ毎に前記超音波を受信することを、超音波の送信方向に対して直交する平面上に2次元走査して行い、前記振動素子の組合せ毎の画像を合成処理して得られる検査画像を表示するようにしたものである。
かかる方法により、規則的に配列する凹凸形状の検査体の超音波検査において、簡便に検査可能な領域を拡大し得るものとなる。
【0013】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記複数組の組合せの振動素子の面積の和が同じ値となる。
【0014】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記組合せ毎に与える遅延時間の曲線形状が異なるものである。
【0015】
(4)また、上記目的を達成するために、本発明は、アニュラアレイ超音波プローブと、検査対象に超音波を送信する送信部と、前記検査対象からの超音波の反射波を受信する受信部と、前記送信部及び前記受信部を制御する制御部と、前記受信部により受信された超音波信号に基づく前記検査対象の検査画像を表示する表示部と、前記超音波プローブをその超音波の送信方向に対して直交する平面上の2次元を機械的に走査する走査手段とを有する超音波検査装置であって、前記制御部は、前記超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子を選択する切替制御回路と、前記超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子から超音波を送信するタイミングを遅延させる遅延制御回路と、前記走査手段による2次元走査を制御する走査制御回路と、前記受信部から得られる信号を加算処理する加算部とを備え、前記送信部は、前記切替制御回路からの指令により、使用する振動素子を選択し、また、前記遅延制御回路からの指令により、各振動素子から超音波を送信するタイミングを遅延させるとともに、振動素子の組合せ毎に超音波の送・受信を行い、前記加算部は、振動素子の組合せ毎の画像を合成処理して得られる検査画像を前記表示部に表示するようにしたものである。
かかる構成により、規則的に配列する凹凸形状の検査体の超音波検査において、簡便に検査可能な領域を拡大し得るものとなる。
【0016】
(5)上記(4)において、好ましくは、複数のアニュラアレイ型振動素子を有するアレイ超音波プローブを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、規則的に配列する凹凸形状の検査体の超音波検査において、簡便に検査可能な領域を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による超音波検査装置に用いる圧電振動素子の構成図である。
【図4】本発明の一実施形態による超音波検査装置による検査内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による超音波検査装置の送信の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態による超音波検査装置の受信の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態による超音波検査装置による3次元スキャンの説明図である。
【図8】本発明の一実施形態による超音波検査装置の送信の説明図である。
【図9】本発明の一実施形態による超音波検査装置の送信の説明図である。
【図10】本発明の一実施形態による超音波検査装置による検査結果に関する説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態による超音波検査装置による検査内容を示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施形態による超音波検査装置の送信の説明図である。
【図13】本発明のその他の実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部の構成を示す斜視図である。
【図14】本発明のその他の実施形態による超音波検査装置に用いる圧電振動素子の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図10を用いて、本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による超音波検査装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。
【0020】
検査対象100は、例えば、半導体装置などである。検査対象100が半導体装置の場合、検査対象100は、例えば、被冷却体100Aと、冷却ピン100Bとからなる。
【0021】
ここで、本実施形態による超音波検査装置は、検査対象100の被冷却体100Aと冷却ピン100Bとの間のはく離やボイドなどを検査するために用いられる。
【0022】
本実施形態による超音波検査装置は、探傷部101と、送・受信部102と、制御部103と、表示部104とから構成される。
【0023】
探傷部101は、検査対象100に超音波を送・受信するアレイ超音波プローブ101Aと、超音波プローブ101Aに備えられた圧電振動素子101Bと、超音波プローブ101Aを機械的に走査する走査手段101Cとからなる。
【0024】
圧電振動素子101Bは、図3を用いて後述するが、環状の超音波素子が同心円状に配置されたものである。圧電信号素子101Bは、X−Y平面上に配置されている。圧電振動素子101Bから送信された超音波は、例えば、検査対象100の配線基板100Aと第1の半導体層100Bとの間に集束するように、送・受信部101によって制御される。この超音波が集束する位置は、X−Y平面に直交するZ軸方向に、電子的に変えることができる。すなわち、電子的にスキャンできる。
【0025】
一方、X方向及びY方向については、超音波プローブ101Aは、走査手段101Cによって機械的に走査できる。
【0026】
送・受信部102は、パルサ102Aと、レシーバ102Bとを備える。パルサ102Aは、アレイ超音波プローブ101Aに遅延時間を与えて超音波を送信するために電圧を印加する。パルサ102Aは、送信遅延回路102Cと、送信切替回路102Dと、送信増幅器102Eとを備えている。
【0027】
レシーバ102Bは、超音波プローブ101Aによって受信した超音波を、アナログ・デジタル変換して受信信号とするとともに受信の遅延時間を与える。レシーバ102Bは、受信切替回路102Iと、受信増幅器102Hと、A/D変換器102Gと、遅延メモリ102Fとを備える。
【0028】
制御部103は、走査制御回路103Aと、切替制御回路103Bと、遅延制御回路103Cと、加算回路103Dと、制御・処理用コンピュータ103Eと、記憶装置103Fとを備える。
【0029】
走査制御回路103Aは、走査手段101Cによるアレイ超音波プローブ101Aの走査を制御する。切替制御回路103Bは、超音波の送・受信に使用する素子を切り替える。遅延制御回路103Cは、送・受信時の遅延時間を制御する。加算回路103Dは、受信信号を加算する。制御・処理用コンピュータ103Eは、これらを制御し、受信した信号を収録するとともに処理を行う。記憶装置103Fは、切替制御回路103Bによる切替制御の情報や、遅延制御回路103Cによる遅延制御の際に用いる遅延時間の情報などを保持している。
【0030】
表示部104は、受信信号及び検査画像を表示するものである。表示部104は、検査モード切替器104Aを備えている。表示部104には、受信信号を表示する第1表示部104Bや、検査結果の画像を表示する第2表示部104C、検査結果の合成処理画像を表示する第3表示部104Dがある。検査モード切替器104Aは、受信信号を表示するか、画像を表示するかなど検査モードを切り替える。
【0031】
まず、制御・処理用コンピュータ103Eは、走査手段101Cを動作する際には走査制御回路103Aへ制御信号を送信し、超音波を送・受信して検査対象からの反射信号を収録する際には切替制御回路103Bへ超音波を送・受信する圧電振動素子101Bの選択のための送・受信素子切替信号を送信するとともに遅延制御回路103Cを通じて超音波を集束して送・受信するための各圧電振動素子101Bへの遅延時間を与える。
【0032】
送信信号と遅延時間を受取った送信遅延回路102Cは、与えられた遅延時間で送信信号を送信切替手段としての送信切替回路102Dに送る。送信切替回路102Dは、送信遅延回路102Cから遅延時間を付与して送信された送信信号を受け、切替制御回路103Bからの送信素子切替信号に基づき、送信素子を切替えて、送信信号を送信増幅器102Eへ送信する。送信増幅器102Eは送信信号を増幅してアレイ超音波プローブ101Aの各電圧振動素子に超音波を送信するための駆動電圧を印加する。この際に、送信切替回路102Dは、アレイ超音波プローブ101Aが持つ一部の圧電振動素子101Bに対して、個々にあるいは複数の圧電振動素子101Bに同時に送信信号を送ることが可能である。一般には送受信素子の切替にマルチプレクサ等の切替器を用いる。
【0033】
次に、増幅された送信信号を受けた複数の圧電振動素子101Bは、圧電効果で超音波を送信するが、ここでは、複数の圧電振動素子101Bの超音波の送・受信について説明する。前述の説明のように、送信信号に遅延時間を与えて圧電振動素子101Bに電圧を印加すると、各圧電振動素子101Bは遅延時間に対応した時間遅れで超音波を送信する。超音波を集束する場合には、各圧電振動素子101Bから集束位置までの幾何学的な距離、つまり各媒質での超音波の音速と境界面での屈折を考慮した距離に対応した遅延時間で各電圧振動素子に電圧を印加する。例えば、検査対象が複数の材質により構成される場合には、式(1)で示されるスネルの法則で、各媒質間での屈折角度を求め、超音波の幾何学的な伝搬経路を計算し、圧電振動素子101Bの遅延時間を決定する。
sinθ1/ν1=sinθ2/ν2 …(1)
ここで、θは超音波の入射角度及び屈折角度、vは音速、θ及びvの添え字1、2は媒質番号である。このようにして、検査対象の所定の位置に超音波を集束して送信する。
【0034】
一方、超音波を受信する際には、圧電振動素子101Bのそれぞれで受信した超音波に対応して、圧電効果により生じた受信信号を受信切替回路102Iで受信素子を個々あるいは複数切替えて受信する。更に、受信信号を受信増幅器102Hで増幅して、アナログ−デジタル変換器102Gでアナログであった受信信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された受信信号は、記憶装置である遅延メモリ102Iに記憶される。この際に、遅延メモリ102Fでは、超音波送信時と同様に超音波を焦点に集束して受信する際には、遅延制御回路103Cから送信された遅延時間を各素子からの受信信号に付与して、記憶される。更に、遅延時間を与えられた受信信号は、加算回路103Dで加算され、制御・処理用コンピュータ103Eに送られる。
【0035】
次に、図2〜図3を用いて、本実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部101の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部の構成を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態によるアニュラアレイ超音波プローブの構成を示す図である。
【0036】
ここでは、一般におけるアニュラアレイ超音波プローブを用いた超音波検査の走査方法を説明する。図2に示すように、水槽201は水で満たされており、アニュラアレイ超音波プローブ101Aを水浸させて検査を行う。走査手段101Cにより、X方向及びY方向に機械的に移動させて、二次元方向を走査する。一方、アニュラアレイ超音波プローブ101Aの圧電振動素子101Bへ送る送信信号の遅延時間を制御して、水面201Aから水槽の底面201Bの方向に超音波を送信し集束させて焦点を形成し、焦点深さ方向(Z方向)に電子的な走査ができる。
【0037】
図3(A)に示すように、本実施形態の圧電振動素子101Bは、8個の振動素子S1,S2,…,S8から構成されている。振動素子S1の平面形状は円形である。振動素子S2,…,S8の平面形状は、円環状である。各振動素子S1,S2,…,S8は、同心状に配置されている。また、各素子の間には、ギャップが設けられている。なお、振動素子の数は、8個として例示しているが、16個や32個の素子でも良い。
【0038】
次に、図3(B)に示すように、圧電振動素子101Bは、バッキング材B1にFPC基板B2が接着されている。FPC基板B2の表面には、予めアニュラアレイ形状の信号電極B3がプリントされている。FPC基板B2がアニュラアレイ形状の信号電極B3がプリントされていない面が、バッキング材B1に接着されている。FPC基板B2の、アニュラアレイ形状の信号電極がプリントされた面に圧電膜B4が接着されている。圧電膜B4の上には、接地電極B5が形成されている。
【0039】
信号電極B3,圧電膜B4,接地電極B5からなる積層構造体において、信号電極B3のみが、図3(A)に示した8個の振動素子S1,S2,…,S8と同様に、円環状で、かつ、同心円状に形成されている。圧電膜B4及び接地電極B5は、8個の振動素子S1,S2,…,S8及びそれぞれの間のギャップを含めた円形の形状となっている。ニュラアレイ形状の信号電極B3は、8個の円環状からなり、それぞれが、図3(A)に示した8個の振動素子S1,S2,…,S8に対応する。そして、例えば、最内周の信号電極B3と、圧電膜B4及び接地電極B5によって、一つの振動素子S1が構成される。
【0040】
バッキング材B1としては、例えばポリテトラフルオロチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の合成樹脂を用いる。圧電膜B4としては、例えばポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンと三フッ化エチレンの共重合体等の高分子圧電膜を用いる。信号電極B3及び接地電極B5としては、例えば金、銀、銅、白金、アルミニウム等の金属を用いる。
【0041】
図3(A)に示した8個の振動素子S1,S2,…,S8において、振動素子S8の外径が例えば、10mm程度の場合、個々の振動素子の間のギャップは、例えば、数十μm程度であり、最外周の振動素子S8の幅も数十μm程度である。ここで、圧電膜B4として、高分子圧電膜を用いた場合、数十μm程度の幅に加工したり、ギャップを数十μmとするのが加工が難しいものである。それに対して、信号電極B3は、金等の金属であるため、エッチング等の手法により容易に数十μmの線幅やギャップとできるため、本実施形態では、信号電極B3のみをアニュラー形状としている。なお、信号電極B3をアニュラー形状とする代わりに、接地電極B5としている側をアニュラー形状とすることもできる。この場合、信号電極側が接地電極として用いられる。
【0042】
次に、図4を用いて、本実施形態による超音波検査装置による検査内容について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による超音波検査装置による検査内容を示すフローチャートである。
【0043】
ステップS10において、制御・処理用コンピュータ103Eは、焦点位置等の検査条件を設定し、記憶装置103Fに記憶する。
【0044】
次に、ステップS20において、制御・処理用コンピュータ103Eは、遅延時間を設定し、記憶装置103Fに記憶する。
【0045】
次に、ステップS30において、制御・処理用コンピュータ103Eは、振動素子の組合せを選択し、記憶装置103Fに記憶する。
【0046】
次に、ステップS40において、制御・処理用コンピュータ103Eは、振動素子の組合せが適切かどうかを判断する。
【0047】
次に、ステップS50において、検査を実行するが、その際、遅延制御回路103Cは、ステップS20にて記憶された送信遅延時間を送信遅延回路102Cや遅延メモリ102Fに設定する。また、切替制御回路103Bは、ステップS30にて記憶された振動素子の組合せを送信切替回路102Dや受信切替回路102Iに設定する。そして、超音波を圧電振動素子101Bを送信し、検査対象100からの反射波を受信する。この送・受信を操作制御回路103Aにより、走査手段101CをX−Y面内で移動して繰り返し実行される。
【0048】
次に、ステップS60において、制御・処理用コンピュータ103Eは、受信信号を処理して画像を表示する。
【0049】
そして、ステップS70において、制御・処理用コンピュータ103Eは、全検査領域データの収録が収集したか否かを判定して、終了していなければ、振動素子の組合せを変更するか判断する。
【0050】
そして、ステップS80において、振動素子の組合せを変更するか判断する場合、振動素子の組合せを再設定し、振動素子の組合せを変更しない場合、焦点位置等の検査条件を再設定する。
【0051】
なお、感度の小さい検査部位があった場合には、振動素子の組合せを変化させて再検査を行う。振動素子の組合せの変更は、例えば感度の小さい検査部位の振動素子数を増加させる方法等により行う。例えば予め各検査部位の波高値のばらつき範囲を設定し、検査により得られる収録データのばらつきを照合する方法等により、検査の終了を判定する。
【0052】
次に、図5〜図10を用いて、本実施形態による超音波検査装置による検査方法の原理について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による超音波検査装置の送信の説明図である。図6は、本発明の一実施形態による超音波検査装置の受信の説明図である。図7は、本発明の一実施形態による超音波検査装置による3次元スキャンの説明図である。図8は、本発明の一実施形態による検査画像の表示結果の説明図である。図9は、本発明の一実施形態による振動素子の組合せを変更した場合の超音波検査装置の送信の説明図である。図10は、本発明の一実施形態による超音波プローブと被検査体の距離を変更した場合の超音波検査装置の送信の説明図である。
【0053】
最初に、図5を用いて、送信時の検査原理について説明する。
【0054】
本実施形態では、焦点位置等の検査条件を設定して制御・処理用コンピュータ103Eにより、例えば前述の遅延時間の計算法により遅延時間を計算する。次に、検査で使用する圧電振動素子101Bの振動素子の組合せを選択する。これらの遅延時間及び振動素子の組合せ情報は、記憶装置103Fに記憶されている。
【0055】
前述の遅延時間の計算法により遅延時間を計算する際に、各媒質の縦波音速を使用する場合、遅延時間DAと遅延時間DBの曲線形状は一致する。
【0056】
送信遅延回路102Cは、図示のように、振動素子の組合せ及び遅延時間が設定される。例えば、遅延時間DAは、図中の黒丸で示すように、振動素子の組合せCAは、内周側の3素子とする。例えば、図3(A)の例では、素子S1,S2,S3とする。そのときの遅延時間は、中央の素子S1の遅延時間が一番長く、外周に行くに従って、図示のように遅延時間が短くする。このような振動素子の組合せ及び遅延時間としたとき、圧電振動素子101Bから送信された超音波は、検査対象100の内部の焦点位置fに集束する。
【0057】
また、遅延時間DBは、図中の黒丸で示すように、振動素子の組合せCBは、内周側の5素子とする。例えば、図3(A)の例では、素子S4,…,S8とする。そのときの遅延時間は、素子S4の遅延時間が一番長く、しかも、遅延時間DAの場合よりも長くする。また、外周に行くに従って、図示のように遅延時間が短くする。このような使用する素子及び遅延時間としたとき、圧電振動素子101Bから送信された超音波は、検査対象100の内部の焦点位置fに集束する。なお、以上の例では、遅延時間DAの曲線形状と、遅延時間DBの曲線形状は同じものである。
【0058】
ここで、焦点距離fの位置が、例えば、図1にて説明した半導体装置100の被冷却体100Aと冷却ピン100Bとの間の位置である。この界面に超音波を集束して、この界面におけるはく離やボイドなどを検査する。
【0059】
そこで、送信切替回路102Dにより選択した圧電振動素子101Bに計算した遅延時間Dの内、遅延時間DAを与えた送信信号を送り、検査部位で超音波を集束させ、検査部位に焦点fを形成する。
【0060】
送信の際の振動素子の組合せの選択は、例えば振動素子の素子面積の和が各組み合わせで同一または近似する値となるようにする。例えば、振動素子の組合せCA(素子S1+S2+S3)の面積と振動素子の組合せCB(素子S4+S5+S6+S7+S8)の面積が同一または近似する値となるようにする。これにより、単位素子面積当たりの超音波出力を同じにでき、結果として得られる同一の欠陥に対する反射信号の信号強度を同じにできる。従って、図8にて後述するように、2つの画像を加算処理して合成した場合に、同じ欠陥に対する画像の濃度を同じにできる。但し、内周側の素子を用いて、まっすぐ超音波を検査対象に入射した場合と、外周側の素子を用いて、少し斜めの角度で超音波を検査対象に入射された場合では、同じエリアに超音波を入射させてもそのエネルギーが変わる。この分、表示される画像の濃淡には多少の差が生じることになる。
【0061】
次に、受信時について説明する。図6に示すように、焦点fで反射した超音波を圧電振動素子101Bで受信して、受信信号を得る。受信の際の圧電振動素子は、受信切替回路102Iにより選択されるが、例えば送信の際に選択した圧電振動素子を選択する方法や全素子を選択し使用する方法等がある。図示の例では、送信の際に選択した圧電振動素子を選択している。受信信号は、遅延メモリ102Fにて、遅延時間DA’で遅延され、図1の加算回路103Dで加算され、制御・処理用コンピュータ103Eに送られる。制御・処理用コンピュータ103Eでは、遅延時間の発信間隔時間により収録データを分割処理する。
【0062】
次に、図7に示すように、走査手段101Cにより圧電振動素子101Bを、機械的にX−Y平面内で、二次元方向に移動させる。例えば、圧電振動素子101Bは、原点の位置を(x0,y0)とし、最大移動された位置を(xm,yn)とすると、走査手段101Cは、X方向に(xm−x0)だけ移動し、Y方向に(yn−y0)だけ移動する。
【0063】
そして、例えば、位置(x0,y0)において、焦点位置fにおける超音波の反射波を振動素子の組合せ毎(例えば、(素子S1+S2+S3)と、(素子S4+S5+S6+S7+S8)毎)に検出する。それが終了すると、走査手段101Cにより圧電振動素子101Bを、機械的移動して、例えば、次の位置(xi,yj)において、焦点位置fにおける超音波の反射波を振動素子の組合せ毎に検出する。それが終了すると、走査手段101Cにより圧電振動素子101Bを、機械的移動して、例えば、最後の位置(xm,yn)において、焦点位置fにおける超音波の反射波を振動素子の組合せ毎に検出する。
【0064】
これらの二次元方向の機械的走査と、振動素子の組合せの電子的選択を繰り返して、各点の収録データを得る。
【0065】
次に、図8に示すように、収録データを処理して振動素子の組合せ毎に画像を表示する。画像は、グレイスケールによる濃淡画像として表示される。振動素子の組合せCAの収録データからは検査画像PCAが得られ、振動素子の組合せCBの収録データからは検査画像PCBが得られる。また、振動素子の組合せCAの収録データと振動素子の組合せCBの収録データを加算処理あるいは平均化処理等をすることにより検査画像PCCが得られる。振動素子の組合せCAでは、冷却ピン下の領域に超音波が伝搬せず、検査画像PCAからは冷却ピン下領域の検査が不可能であるが、凹下領域の検査が可能である。振動素子の組合せCBでは、凹下の領域に超音波が伝搬せず、検査画像PCBからは凹下領域の検査が不可能であるが、冷却ピン下領域の検査が可能である。各収録データを処理し検査画像PCCを表示することで、検査可能な領域を拡大することができる。
【0066】
以下、図9及び図10を用いて、変形例について説明する。
【0067】
図9では、振動素子の組合せを変更している。図4のステップS50で検査を終了しない場合、振動素子の組み合わせを変更するかを選択する。超音波のビーム幅が広いこと等により、検査画像に凹凸形状に起因する像が写る場合は、使用する振動素子の数を減らして振動素子の組合せを再選択する。例えば、遅延時間DCは、図中の黒丸で示すように、振動素子の組合せCCは、内周側の2素子と変更した。例えば、図3(A)の例では、素子S1,S2とする。また、遅延時間DDは、図中の黒丸で示すように、振動素子の組合せCDは、4素子と変更した。例えば、図3(A)の例では、素子S4,S5,S6,S7とする。振動素子の組合せは、振動素子の組合せCCの面積S1+S2と振動素子の組合せCDの面積S4+S5+S6+S7が同一または近似する値となるようにする。以下、超音波の送・受信方法及び画像表示方法は図5〜図8と同様である。
【0068】
また、振動素子の組み合わせを変更する場合は、例えば、受信波形の信号が小さく、検査画像が不鮮明な場合は、使用する振動素子の数を増やして振動素子の組合せを再選択する。最初に、内周側の2素子と、外周側の4素子を用いていた場合には、これを、内周側3素子で、外周側5素子に増やすこともできる。さらに、内周側4素子で、外周側6素子というようにして、中間領域の素子を重複して用いることもできる。なお、この場合、素子の面積の和は同一にならないことになる。
【0069】
このように、振動素子の組合せを変更して再検査することで、検査可能な領域が拡大できる。
【0070】
図10では、超音波プローブと被検査体の距離を変化させている。図4のステップS50で検査を終了しない場合、振動素子の組み合わせを変更するかを選択する。振動素子の組み合わせを変更しない場合は、例えば、振動素子の組合せCAは、内周側の3素子と変更していない。例えば、図3(A)の例では、素子S1,S2,S3とする。遅延時間DEは、図中の黒丸で示すように、遅延時間DAよりも曲率形状が緩やかになっている。一方、振動素子の組合せCBは5素子と変更していない。例えば、図3(A)の例では、素子S4,S5,S6,S7,S8とする。遅延時間DFは、図中の黒丸で示すように、遅延時間DAよりも曲率形状が緩やかになっている。以下、超音波の送・受信方法及び画像表示方法は図5〜図8と同様である。振動素子の組合せを変更して再検査することで、検査可能な領域が拡大できる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、凹凸形状の検査体の超音波検査において、導波物質で検査表面を覆うことなく、簡便に検査可能な領域を拡大することができる。更に、検査工程を短縮できる。
【0072】
次に、図11及び図12を用いて、本発明の他の実施形態による超音波検査装置の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態による超音波検査装置の構成は、図1に示したものと同様である。本実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部の構成は、図2に示したものと同様である。本実施形態によるアニュラアレイ超音波プローブの構成は、図3に示したものと同様である。
【0073】
最初に、図11を用いて、本実施形態による超音波検査装置による検査内容について説明する。
図11は、本発明の他の実施形態による超音波検査装置による検査内容を示すフローチャートである。
【0074】
ステップS10〜ステップS70においては、図4の本発明の一実施形態による超音波検査装置による検査内容を示すフローチャートと同様である。
【0075】
そして、ステップS80において、振動素子の組合せを変更するか判断する場合、ステップS30において、振動素子の組合せを再設定する。一方、振動素子の組合せを変更しない場合、ステップS90において、水と被検査体の境界で屈折する際に発生する超音波伝搬モードの変換を利用するかを判断する。
【0076】
そして、ステップS90において、超音波伝搬モードの変換を利用する場合、ステップS2において、遅延時間の際設定を行う。一方、超音波伝搬モードの変換を利用しない場合、ステップS10において、焦点位置等の検査条件を再設定する。
【0077】
超音波伝搬モードの変換の利用は、振動素子から送信された超音波が水中を縦波で伝搬し、水と被検査体の境界面で発生する屈折波を利用する。屈折波は、スネルの法則(式1)を満たすように、縦波、横波、表面波の超音波伝搬モードが存在する。この内、遅延時間による電子制御により、横波を集束させて検査することで、波長が短くなり分解能が向上する。例えば、被検査体がアルミの場合、アルミの縦波音速は約6200m/sであり、横波は約3000m/sであるため、横波の波長は縦波の波長の半分程度となり、分解能は約2倍となる。
【0078】
次に、図12を用いて、本実施形態の超音波検査装置による超音波伝搬モードの変換を利用して遅延時間を変更した場合の超音波検査装置の送信内容について説明する。
図12は、本発明の他の実施形態の超音波検査装置によるによる超音波伝搬モードの変換を利用して遅延時間を変更した場合の超音波検査装置の送信の説明図である。
【0079】
図12では、振動素子の組み合わせ毎に遅延時間を計算している。例えば、振動素子の組合せCAは、内周側の3素子と変更していない。例えば、図3(A)の例では、素子S1,S2,S3とする。遅延時間DAは、図中の黒丸で示すように、変更していない。一方、振動素子の組合せCBは5素子と変更していない。例えば、図3(A)の例では、素子S4,S5,S6,S7,S8とする。しかし、遅延時間DB”は、図中の黒丸で示すように、変更している。例えば、前述の遅延時間の計算法により遅延時間を計算において、水の縦波音速と冷却ピンの横波音速を使用する場合、遅延時間DBよりも遅延時間DB”の曲線形状は緩やかになる。以下、超音波の送・受信方法及び画像表示方法は図6〜図9と同様である。振動素子の組合せ毎の遅延時間を変更して、超音波伝搬モードの変換の利用して再検査することで、検査可能な領域が拡大できる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、凹凸形状の検査体の超音波検査において、導波物質で検査表面を覆うことなく、簡便に検査可能な領域を拡大することができる。更に、検査工程を短縮できる。
【0081】
次に、図13及び図14を用いて、本発明のその他の実施形態による超音波検査装置の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態による超音波検査装置の構成は、図1に示したものと同様である。
【0082】
図13は、本発明のその他の実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部の構成を示す斜視図である。図14は、本発明のその他の実施形態による複数のアニュラアレイ超音波プローブの構成を示す図である。
【0083】
図13に示すように、図2のアニュラアレイ超音波プローブ101Aと違い、本実施形態では、複数のアニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…を有するアレイ超音波プローブ1301Aを水浸させて検査を行う。例えば、図14では、アニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…101Bhの数は8組であるが、16組や32組でも良く、組数に制限はない。
【0084】
複数のアニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…を有すうアレイ超音波プローブ1301Aは、FPC基板に信号電極を加工して形成する。複数のアニュラー形状の信号電極の加工をしたFPC基板を用いることにより、圧電膜、接地電極は加工してアニュラー形状にする必要がないため、容易に作製できる。材料は図3(B)の材料例と同様である。
【0085】
走査手段101Cにより、X方向及びY方向に機械的に移動させて、二次元方向を走査する。この際、各複数のアニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…の各振動素子の組合せで、各点の収録データを得る。制御・処理用コンピュータ103Eで予め記憶してある位置情報を利用して、各受信信号を処理し検査画像を表示する。
【0086】
複数のアニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…を有すうアレイ超音波プローブ1301Aを用いることで、機械走査の回数を低減できるため、検査時間が短縮できる。例えば、図14では、複数のアニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…101Bhを有すうアレイ超音波プローブ1301Aを用いることで、アニュラアレイ超音波プローブ101Aを用いる検査に比べて、一度のX方向の走査で8倍のデータを収録することが可能であり、すなわち、X方向の走査回数および検査時間を1/8に低減できる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、凹凸形状の検査体の超音波検査において、導波物質で検査表面を覆うことなく、簡便に検査可能な領域を拡大することができる。更に、検査工程を短縮できると共に、一度の二次元走査において、検査可能であり、検査時間が短縮できる。
【符号の説明】
【0088】
100…検査対象
101…探傷部
101A…アニュラアレイ超音波プローブ
101B…圧電振動素子
101C…走査手段
102…送・受信部
102A…パルサ
102B…レシーバ
102C…送信遅延回路
102D…送信切替回路
102E…送信増幅器
102F…受信切替回路
102G…受信増幅器
102H…アナログ−デジタル変換機
102I…遅延メモリ
103…制御部
103A…走査制御回路
103B…切替制御回路
103C…遅延制御回路
103D…加算回路
103E…制御・処理用コンピュータ
103F…記憶装置
104…表示部
104A…検査モード切替器
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波検査方法及び超音波検査装置に係り、特に、凹凸形状を有する検査体の検査に好適な超音波検査方法及び超音波検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体やICなどの微細な構造物(検査対象)の内部のはく離やボイドなどの検査においては、従来、単一焦点型の超音波プローブをスキャナなどにより機械的に二次元走査する方法が実用化されている。
【0003】
また、半導体の構造が微細化する一方で、それを封止する材料であるモールド樹脂も、機械強度を高めるとともに半導体で発生する熱を排除するために、様々な材料が開発されている。モールド樹脂は、エポキシ系樹脂とカーボンやシリカガラスなどのフィラーと呼ばれる微細な繊維状や球形の充填剤を混ぜて製造されている。
【0004】
このようなモールド樹脂で封止された状態の半導体を超音波を用いて検査する際においては、このモールド樹脂中のフィラーがノイズ源となっていた。
【0005】
そのため、アレイ型超音波センサを用いた超音波検査において、アレイ型超音波センサの一部の圧電振動素子に遅延時間を与えて超音波を集束して送・受信する際に、超音波の集束位置は同一の状態で前記圧電振動素子の送信素子と受信素子の組合せを複数回切替えることで超音波の伝搬経路の異なる反射信号を複数回収録し、得られた反射信号を加算あるいは平均化処理して、順次アレイ方向に電子的に走査し、検査対象内部を画像化することで、超音波の伝搬経路で重畳するノイズの影響を低減し、SN比を向上できるようにし、さらに、検査対象内部からの反射信号が超音波波形であっても、超音波波形の所定の時間にゲート処理を行った反射強度であっても、検査画像であっても、SN比を向上する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、凹凸形状の検査体に超音波を入射して超音波検査する方法として、検査体の検査表面が平坦となるように、音響インピーダンス値が検査体と同一または近似する導波物質によって検査表面を覆う手法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4644621号公報
【特許文献2】特開平9−133664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年の検査対象である半導体やICの構造は、微細化の一途をたどっている。半導体の構造が微細化する一方で、半導体で発生する熱を排除するために、半導体に凹凸形状の冷却ピン(ヒートシンク)を接着させて冷却効率を向上させているが、その接着状態の検査が必要とされている。これは、冷却ピンと半導体の間にボイドや欠陥が存在して接着状態が不完全な場合、冷却効率は低下するからである。
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の方法では、半導体の構造上、凹凸形状側からの超音波入射が不可避であるため、検査場所によっては超音波の伝搬路にピンが存在し、そこでの超音波反射が大きいため検査領域まで超音波が伝搬せず、検査の不可能な領域が存在した。
【0010】
また、特許文献2記載の方法では、検査体の検査表面が平坦となるように、音響インピーダンス値が検査体と同一または近似する導波物質によって検査表面を覆う手法が開示されている。しかし、この方法では、前記導波物質によって検査表面を覆う工程が必要であり、時間と手間がかかる。
【0011】
本発明の目的は、規則的に配列する凹凸形状の検査体の超音波検査において、簡便に検査可能な領域を拡大する超音波検査方法及び超音波検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、アニュラアレイ超音波プローブを備える超音波検査装置により、規則的に配列する凹凸形状を有する被検査体の超音波検査方法であって、超音波を送信する前記超音波プローブの振動素子の組合せを、複数組選択し、遅延時間を与えて前記組合せ毎に超音波を送信し、予め選択した複数組の超音波素子の組合せ毎に前記超音波を受信することを、超音波の送信方向に対して直交する平面上に2次元走査して行い、前記振動素子の組合せ毎の画像を合成処理して得られる検査画像を表示するようにしたものである。
かかる方法により、規則的に配列する凹凸形状の検査体の超音波検査において、簡便に検査可能な領域を拡大し得るものとなる。
【0013】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記複数組の組合せの振動素子の面積の和が同じ値となる。
【0014】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記組合せ毎に与える遅延時間の曲線形状が異なるものである。
【0015】
(4)また、上記目的を達成するために、本発明は、アニュラアレイ超音波プローブと、検査対象に超音波を送信する送信部と、前記検査対象からの超音波の反射波を受信する受信部と、前記送信部及び前記受信部を制御する制御部と、前記受信部により受信された超音波信号に基づく前記検査対象の検査画像を表示する表示部と、前記超音波プローブをその超音波の送信方向に対して直交する平面上の2次元を機械的に走査する走査手段とを有する超音波検査装置であって、前記制御部は、前記超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子を選択する切替制御回路と、前記超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子から超音波を送信するタイミングを遅延させる遅延制御回路と、前記走査手段による2次元走査を制御する走査制御回路と、前記受信部から得られる信号を加算処理する加算部とを備え、前記送信部は、前記切替制御回路からの指令により、使用する振動素子を選択し、また、前記遅延制御回路からの指令により、各振動素子から超音波を送信するタイミングを遅延させるとともに、振動素子の組合せ毎に超音波の送・受信を行い、前記加算部は、振動素子の組合せ毎の画像を合成処理して得られる検査画像を前記表示部に表示するようにしたものである。
かかる構成により、規則的に配列する凹凸形状の検査体の超音波検査において、簡便に検査可能な領域を拡大し得るものとなる。
【0016】
(5)上記(4)において、好ましくは、複数のアニュラアレイ型振動素子を有するアレイ超音波プローブを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、規則的に配列する凹凸形状の検査体の超音波検査において、簡便に検査可能な領域を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による超音波検査装置に用いる圧電振動素子の構成図である。
【図4】本発明の一実施形態による超音波検査装置による検査内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による超音波検査装置の送信の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態による超音波検査装置の受信の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態による超音波検査装置による3次元スキャンの説明図である。
【図8】本発明の一実施形態による超音波検査装置の送信の説明図である。
【図9】本発明の一実施形態による超音波検査装置の送信の説明図である。
【図10】本発明の一実施形態による超音波検査装置による検査結果に関する説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態による超音波検査装置による検査内容を示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施形態による超音波検査装置の送信の説明図である。
【図13】本発明のその他の実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部の構成を示す斜視図である。
【図14】本発明のその他の実施形態による超音波検査装置に用いる圧電振動素子の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図10を用いて、本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による超音波検査装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による超音波検査装置の構成を示すブロック図である。
【0020】
検査対象100は、例えば、半導体装置などである。検査対象100が半導体装置の場合、検査対象100は、例えば、被冷却体100Aと、冷却ピン100Bとからなる。
【0021】
ここで、本実施形態による超音波検査装置は、検査対象100の被冷却体100Aと冷却ピン100Bとの間のはく離やボイドなどを検査するために用いられる。
【0022】
本実施形態による超音波検査装置は、探傷部101と、送・受信部102と、制御部103と、表示部104とから構成される。
【0023】
探傷部101は、検査対象100に超音波を送・受信するアレイ超音波プローブ101Aと、超音波プローブ101Aに備えられた圧電振動素子101Bと、超音波プローブ101Aを機械的に走査する走査手段101Cとからなる。
【0024】
圧電振動素子101Bは、図3を用いて後述するが、環状の超音波素子が同心円状に配置されたものである。圧電信号素子101Bは、X−Y平面上に配置されている。圧電振動素子101Bから送信された超音波は、例えば、検査対象100の配線基板100Aと第1の半導体層100Bとの間に集束するように、送・受信部101によって制御される。この超音波が集束する位置は、X−Y平面に直交するZ軸方向に、電子的に変えることができる。すなわち、電子的にスキャンできる。
【0025】
一方、X方向及びY方向については、超音波プローブ101Aは、走査手段101Cによって機械的に走査できる。
【0026】
送・受信部102は、パルサ102Aと、レシーバ102Bとを備える。パルサ102Aは、アレイ超音波プローブ101Aに遅延時間を与えて超音波を送信するために電圧を印加する。パルサ102Aは、送信遅延回路102Cと、送信切替回路102Dと、送信増幅器102Eとを備えている。
【0027】
レシーバ102Bは、超音波プローブ101Aによって受信した超音波を、アナログ・デジタル変換して受信信号とするとともに受信の遅延時間を与える。レシーバ102Bは、受信切替回路102Iと、受信増幅器102Hと、A/D変換器102Gと、遅延メモリ102Fとを備える。
【0028】
制御部103は、走査制御回路103Aと、切替制御回路103Bと、遅延制御回路103Cと、加算回路103Dと、制御・処理用コンピュータ103Eと、記憶装置103Fとを備える。
【0029】
走査制御回路103Aは、走査手段101Cによるアレイ超音波プローブ101Aの走査を制御する。切替制御回路103Bは、超音波の送・受信に使用する素子を切り替える。遅延制御回路103Cは、送・受信時の遅延時間を制御する。加算回路103Dは、受信信号を加算する。制御・処理用コンピュータ103Eは、これらを制御し、受信した信号を収録するとともに処理を行う。記憶装置103Fは、切替制御回路103Bによる切替制御の情報や、遅延制御回路103Cによる遅延制御の際に用いる遅延時間の情報などを保持している。
【0030】
表示部104は、受信信号及び検査画像を表示するものである。表示部104は、検査モード切替器104Aを備えている。表示部104には、受信信号を表示する第1表示部104Bや、検査結果の画像を表示する第2表示部104C、検査結果の合成処理画像を表示する第3表示部104Dがある。検査モード切替器104Aは、受信信号を表示するか、画像を表示するかなど検査モードを切り替える。
【0031】
まず、制御・処理用コンピュータ103Eは、走査手段101Cを動作する際には走査制御回路103Aへ制御信号を送信し、超音波を送・受信して検査対象からの反射信号を収録する際には切替制御回路103Bへ超音波を送・受信する圧電振動素子101Bの選択のための送・受信素子切替信号を送信するとともに遅延制御回路103Cを通じて超音波を集束して送・受信するための各圧電振動素子101Bへの遅延時間を与える。
【0032】
送信信号と遅延時間を受取った送信遅延回路102Cは、与えられた遅延時間で送信信号を送信切替手段としての送信切替回路102Dに送る。送信切替回路102Dは、送信遅延回路102Cから遅延時間を付与して送信された送信信号を受け、切替制御回路103Bからの送信素子切替信号に基づき、送信素子を切替えて、送信信号を送信増幅器102Eへ送信する。送信増幅器102Eは送信信号を増幅してアレイ超音波プローブ101Aの各電圧振動素子に超音波を送信するための駆動電圧を印加する。この際に、送信切替回路102Dは、アレイ超音波プローブ101Aが持つ一部の圧電振動素子101Bに対して、個々にあるいは複数の圧電振動素子101Bに同時に送信信号を送ることが可能である。一般には送受信素子の切替にマルチプレクサ等の切替器を用いる。
【0033】
次に、増幅された送信信号を受けた複数の圧電振動素子101Bは、圧電効果で超音波を送信するが、ここでは、複数の圧電振動素子101Bの超音波の送・受信について説明する。前述の説明のように、送信信号に遅延時間を与えて圧電振動素子101Bに電圧を印加すると、各圧電振動素子101Bは遅延時間に対応した時間遅れで超音波を送信する。超音波を集束する場合には、各圧電振動素子101Bから集束位置までの幾何学的な距離、つまり各媒質での超音波の音速と境界面での屈折を考慮した距離に対応した遅延時間で各電圧振動素子に電圧を印加する。例えば、検査対象が複数の材質により構成される場合には、式(1)で示されるスネルの法則で、各媒質間での屈折角度を求め、超音波の幾何学的な伝搬経路を計算し、圧電振動素子101Bの遅延時間を決定する。
sinθ1/ν1=sinθ2/ν2 …(1)
ここで、θは超音波の入射角度及び屈折角度、vは音速、θ及びvの添え字1、2は媒質番号である。このようにして、検査対象の所定の位置に超音波を集束して送信する。
【0034】
一方、超音波を受信する際には、圧電振動素子101Bのそれぞれで受信した超音波に対応して、圧電効果により生じた受信信号を受信切替回路102Iで受信素子を個々あるいは複数切替えて受信する。更に、受信信号を受信増幅器102Hで増幅して、アナログ−デジタル変換器102Gでアナログであった受信信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された受信信号は、記憶装置である遅延メモリ102Iに記憶される。この際に、遅延メモリ102Fでは、超音波送信時と同様に超音波を焦点に集束して受信する際には、遅延制御回路103Cから送信された遅延時間を各素子からの受信信号に付与して、記憶される。更に、遅延時間を与えられた受信信号は、加算回路103Dで加算され、制御・処理用コンピュータ103Eに送られる。
【0035】
次に、図2〜図3を用いて、本実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部101の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部の構成を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態によるアニュラアレイ超音波プローブの構成を示す図である。
【0036】
ここでは、一般におけるアニュラアレイ超音波プローブを用いた超音波検査の走査方法を説明する。図2に示すように、水槽201は水で満たされており、アニュラアレイ超音波プローブ101Aを水浸させて検査を行う。走査手段101Cにより、X方向及びY方向に機械的に移動させて、二次元方向を走査する。一方、アニュラアレイ超音波プローブ101Aの圧電振動素子101Bへ送る送信信号の遅延時間を制御して、水面201Aから水槽の底面201Bの方向に超音波を送信し集束させて焦点を形成し、焦点深さ方向(Z方向)に電子的な走査ができる。
【0037】
図3(A)に示すように、本実施形態の圧電振動素子101Bは、8個の振動素子S1,S2,…,S8から構成されている。振動素子S1の平面形状は円形である。振動素子S2,…,S8の平面形状は、円環状である。各振動素子S1,S2,…,S8は、同心状に配置されている。また、各素子の間には、ギャップが設けられている。なお、振動素子の数は、8個として例示しているが、16個や32個の素子でも良い。
【0038】
次に、図3(B)に示すように、圧電振動素子101Bは、バッキング材B1にFPC基板B2が接着されている。FPC基板B2の表面には、予めアニュラアレイ形状の信号電極B3がプリントされている。FPC基板B2がアニュラアレイ形状の信号電極B3がプリントされていない面が、バッキング材B1に接着されている。FPC基板B2の、アニュラアレイ形状の信号電極がプリントされた面に圧電膜B4が接着されている。圧電膜B4の上には、接地電極B5が形成されている。
【0039】
信号電極B3,圧電膜B4,接地電極B5からなる積層構造体において、信号電極B3のみが、図3(A)に示した8個の振動素子S1,S2,…,S8と同様に、円環状で、かつ、同心円状に形成されている。圧電膜B4及び接地電極B5は、8個の振動素子S1,S2,…,S8及びそれぞれの間のギャップを含めた円形の形状となっている。ニュラアレイ形状の信号電極B3は、8個の円環状からなり、それぞれが、図3(A)に示した8個の振動素子S1,S2,…,S8に対応する。そして、例えば、最内周の信号電極B3と、圧電膜B4及び接地電極B5によって、一つの振動素子S1が構成される。
【0040】
バッキング材B1としては、例えばポリテトラフルオロチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の合成樹脂を用いる。圧電膜B4としては、例えばポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンと三フッ化エチレンの共重合体等の高分子圧電膜を用いる。信号電極B3及び接地電極B5としては、例えば金、銀、銅、白金、アルミニウム等の金属を用いる。
【0041】
図3(A)に示した8個の振動素子S1,S2,…,S8において、振動素子S8の外径が例えば、10mm程度の場合、個々の振動素子の間のギャップは、例えば、数十μm程度であり、最外周の振動素子S8の幅も数十μm程度である。ここで、圧電膜B4として、高分子圧電膜を用いた場合、数十μm程度の幅に加工したり、ギャップを数十μmとするのが加工が難しいものである。それに対して、信号電極B3は、金等の金属であるため、エッチング等の手法により容易に数十μmの線幅やギャップとできるため、本実施形態では、信号電極B3のみをアニュラー形状としている。なお、信号電極B3をアニュラー形状とする代わりに、接地電極B5としている側をアニュラー形状とすることもできる。この場合、信号電極側が接地電極として用いられる。
【0042】
次に、図4を用いて、本実施形態による超音波検査装置による検査内容について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による超音波検査装置による検査内容を示すフローチャートである。
【0043】
ステップS10において、制御・処理用コンピュータ103Eは、焦点位置等の検査条件を設定し、記憶装置103Fに記憶する。
【0044】
次に、ステップS20において、制御・処理用コンピュータ103Eは、遅延時間を設定し、記憶装置103Fに記憶する。
【0045】
次に、ステップS30において、制御・処理用コンピュータ103Eは、振動素子の組合せを選択し、記憶装置103Fに記憶する。
【0046】
次に、ステップS40において、制御・処理用コンピュータ103Eは、振動素子の組合せが適切かどうかを判断する。
【0047】
次に、ステップS50において、検査を実行するが、その際、遅延制御回路103Cは、ステップS20にて記憶された送信遅延時間を送信遅延回路102Cや遅延メモリ102Fに設定する。また、切替制御回路103Bは、ステップS30にて記憶された振動素子の組合せを送信切替回路102Dや受信切替回路102Iに設定する。そして、超音波を圧電振動素子101Bを送信し、検査対象100からの反射波を受信する。この送・受信を操作制御回路103Aにより、走査手段101CをX−Y面内で移動して繰り返し実行される。
【0048】
次に、ステップS60において、制御・処理用コンピュータ103Eは、受信信号を処理して画像を表示する。
【0049】
そして、ステップS70において、制御・処理用コンピュータ103Eは、全検査領域データの収録が収集したか否かを判定して、終了していなければ、振動素子の組合せを変更するか判断する。
【0050】
そして、ステップS80において、振動素子の組合せを変更するか判断する場合、振動素子の組合せを再設定し、振動素子の組合せを変更しない場合、焦点位置等の検査条件を再設定する。
【0051】
なお、感度の小さい検査部位があった場合には、振動素子の組合せを変化させて再検査を行う。振動素子の組合せの変更は、例えば感度の小さい検査部位の振動素子数を増加させる方法等により行う。例えば予め各検査部位の波高値のばらつき範囲を設定し、検査により得られる収録データのばらつきを照合する方法等により、検査の終了を判定する。
【0052】
次に、図5〜図10を用いて、本実施形態による超音波検査装置による検査方法の原理について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による超音波検査装置の送信の説明図である。図6は、本発明の一実施形態による超音波検査装置の受信の説明図である。図7は、本発明の一実施形態による超音波検査装置による3次元スキャンの説明図である。図8は、本発明の一実施形態による検査画像の表示結果の説明図である。図9は、本発明の一実施形態による振動素子の組合せを変更した場合の超音波検査装置の送信の説明図である。図10は、本発明の一実施形態による超音波プローブと被検査体の距離を変更した場合の超音波検査装置の送信の説明図である。
【0053】
最初に、図5を用いて、送信時の検査原理について説明する。
【0054】
本実施形態では、焦点位置等の検査条件を設定して制御・処理用コンピュータ103Eにより、例えば前述の遅延時間の計算法により遅延時間を計算する。次に、検査で使用する圧電振動素子101Bの振動素子の組合せを選択する。これらの遅延時間及び振動素子の組合せ情報は、記憶装置103Fに記憶されている。
【0055】
前述の遅延時間の計算法により遅延時間を計算する際に、各媒質の縦波音速を使用する場合、遅延時間DAと遅延時間DBの曲線形状は一致する。
【0056】
送信遅延回路102Cは、図示のように、振動素子の組合せ及び遅延時間が設定される。例えば、遅延時間DAは、図中の黒丸で示すように、振動素子の組合せCAは、内周側の3素子とする。例えば、図3(A)の例では、素子S1,S2,S3とする。そのときの遅延時間は、中央の素子S1の遅延時間が一番長く、外周に行くに従って、図示のように遅延時間が短くする。このような振動素子の組合せ及び遅延時間としたとき、圧電振動素子101Bから送信された超音波は、検査対象100の内部の焦点位置fに集束する。
【0057】
また、遅延時間DBは、図中の黒丸で示すように、振動素子の組合せCBは、内周側の5素子とする。例えば、図3(A)の例では、素子S4,…,S8とする。そのときの遅延時間は、素子S4の遅延時間が一番長く、しかも、遅延時間DAの場合よりも長くする。また、外周に行くに従って、図示のように遅延時間が短くする。このような使用する素子及び遅延時間としたとき、圧電振動素子101Bから送信された超音波は、検査対象100の内部の焦点位置fに集束する。なお、以上の例では、遅延時間DAの曲線形状と、遅延時間DBの曲線形状は同じものである。
【0058】
ここで、焦点距離fの位置が、例えば、図1にて説明した半導体装置100の被冷却体100Aと冷却ピン100Bとの間の位置である。この界面に超音波を集束して、この界面におけるはく離やボイドなどを検査する。
【0059】
そこで、送信切替回路102Dにより選択した圧電振動素子101Bに計算した遅延時間Dの内、遅延時間DAを与えた送信信号を送り、検査部位で超音波を集束させ、検査部位に焦点fを形成する。
【0060】
送信の際の振動素子の組合せの選択は、例えば振動素子の素子面積の和が各組み合わせで同一または近似する値となるようにする。例えば、振動素子の組合せCA(素子S1+S2+S3)の面積と振動素子の組合せCB(素子S4+S5+S6+S7+S8)の面積が同一または近似する値となるようにする。これにより、単位素子面積当たりの超音波出力を同じにでき、結果として得られる同一の欠陥に対する反射信号の信号強度を同じにできる。従って、図8にて後述するように、2つの画像を加算処理して合成した場合に、同じ欠陥に対する画像の濃度を同じにできる。但し、内周側の素子を用いて、まっすぐ超音波を検査対象に入射した場合と、外周側の素子を用いて、少し斜めの角度で超音波を検査対象に入射された場合では、同じエリアに超音波を入射させてもそのエネルギーが変わる。この分、表示される画像の濃淡には多少の差が生じることになる。
【0061】
次に、受信時について説明する。図6に示すように、焦点fで反射した超音波を圧電振動素子101Bで受信して、受信信号を得る。受信の際の圧電振動素子は、受信切替回路102Iにより選択されるが、例えば送信の際に選択した圧電振動素子を選択する方法や全素子を選択し使用する方法等がある。図示の例では、送信の際に選択した圧電振動素子を選択している。受信信号は、遅延メモリ102Fにて、遅延時間DA’で遅延され、図1の加算回路103Dで加算され、制御・処理用コンピュータ103Eに送られる。制御・処理用コンピュータ103Eでは、遅延時間の発信間隔時間により収録データを分割処理する。
【0062】
次に、図7に示すように、走査手段101Cにより圧電振動素子101Bを、機械的にX−Y平面内で、二次元方向に移動させる。例えば、圧電振動素子101Bは、原点の位置を(x0,y0)とし、最大移動された位置を(xm,yn)とすると、走査手段101Cは、X方向に(xm−x0)だけ移動し、Y方向に(yn−y0)だけ移動する。
【0063】
そして、例えば、位置(x0,y0)において、焦点位置fにおける超音波の反射波を振動素子の組合せ毎(例えば、(素子S1+S2+S3)と、(素子S4+S5+S6+S7+S8)毎)に検出する。それが終了すると、走査手段101Cにより圧電振動素子101Bを、機械的移動して、例えば、次の位置(xi,yj)において、焦点位置fにおける超音波の反射波を振動素子の組合せ毎に検出する。それが終了すると、走査手段101Cにより圧電振動素子101Bを、機械的移動して、例えば、最後の位置(xm,yn)において、焦点位置fにおける超音波の反射波を振動素子の組合せ毎に検出する。
【0064】
これらの二次元方向の機械的走査と、振動素子の組合せの電子的選択を繰り返して、各点の収録データを得る。
【0065】
次に、図8に示すように、収録データを処理して振動素子の組合せ毎に画像を表示する。画像は、グレイスケールによる濃淡画像として表示される。振動素子の組合せCAの収録データからは検査画像PCAが得られ、振動素子の組合せCBの収録データからは検査画像PCBが得られる。また、振動素子の組合せCAの収録データと振動素子の組合せCBの収録データを加算処理あるいは平均化処理等をすることにより検査画像PCCが得られる。振動素子の組合せCAでは、冷却ピン下の領域に超音波が伝搬せず、検査画像PCAからは冷却ピン下領域の検査が不可能であるが、凹下領域の検査が可能である。振動素子の組合せCBでは、凹下の領域に超音波が伝搬せず、検査画像PCBからは凹下領域の検査が不可能であるが、冷却ピン下領域の検査が可能である。各収録データを処理し検査画像PCCを表示することで、検査可能な領域を拡大することができる。
【0066】
以下、図9及び図10を用いて、変形例について説明する。
【0067】
図9では、振動素子の組合せを変更している。図4のステップS50で検査を終了しない場合、振動素子の組み合わせを変更するかを選択する。超音波のビーム幅が広いこと等により、検査画像に凹凸形状に起因する像が写る場合は、使用する振動素子の数を減らして振動素子の組合せを再選択する。例えば、遅延時間DCは、図中の黒丸で示すように、振動素子の組合せCCは、内周側の2素子と変更した。例えば、図3(A)の例では、素子S1,S2とする。また、遅延時間DDは、図中の黒丸で示すように、振動素子の組合せCDは、4素子と変更した。例えば、図3(A)の例では、素子S4,S5,S6,S7とする。振動素子の組合せは、振動素子の組合せCCの面積S1+S2と振動素子の組合せCDの面積S4+S5+S6+S7が同一または近似する値となるようにする。以下、超音波の送・受信方法及び画像表示方法は図5〜図8と同様である。
【0068】
また、振動素子の組み合わせを変更する場合は、例えば、受信波形の信号が小さく、検査画像が不鮮明な場合は、使用する振動素子の数を増やして振動素子の組合せを再選択する。最初に、内周側の2素子と、外周側の4素子を用いていた場合には、これを、内周側3素子で、外周側5素子に増やすこともできる。さらに、内周側4素子で、外周側6素子というようにして、中間領域の素子を重複して用いることもできる。なお、この場合、素子の面積の和は同一にならないことになる。
【0069】
このように、振動素子の組合せを変更して再検査することで、検査可能な領域が拡大できる。
【0070】
図10では、超音波プローブと被検査体の距離を変化させている。図4のステップS50で検査を終了しない場合、振動素子の組み合わせを変更するかを選択する。振動素子の組み合わせを変更しない場合は、例えば、振動素子の組合せCAは、内周側の3素子と変更していない。例えば、図3(A)の例では、素子S1,S2,S3とする。遅延時間DEは、図中の黒丸で示すように、遅延時間DAよりも曲率形状が緩やかになっている。一方、振動素子の組合せCBは5素子と変更していない。例えば、図3(A)の例では、素子S4,S5,S6,S7,S8とする。遅延時間DFは、図中の黒丸で示すように、遅延時間DAよりも曲率形状が緩やかになっている。以下、超音波の送・受信方法及び画像表示方法は図5〜図8と同様である。振動素子の組合せを変更して再検査することで、検査可能な領域が拡大できる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、凹凸形状の検査体の超音波検査において、導波物質で検査表面を覆うことなく、簡便に検査可能な領域を拡大することができる。更に、検査工程を短縮できる。
【0072】
次に、図11及び図12を用いて、本発明の他の実施形態による超音波検査装置の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態による超音波検査装置の構成は、図1に示したものと同様である。本実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部の構成は、図2に示したものと同様である。本実施形態によるアニュラアレイ超音波プローブの構成は、図3に示したものと同様である。
【0073】
最初に、図11を用いて、本実施形態による超音波検査装置による検査内容について説明する。
図11は、本発明の他の実施形態による超音波検査装置による検査内容を示すフローチャートである。
【0074】
ステップS10〜ステップS70においては、図4の本発明の一実施形態による超音波検査装置による検査内容を示すフローチャートと同様である。
【0075】
そして、ステップS80において、振動素子の組合せを変更するか判断する場合、ステップS30において、振動素子の組合せを再設定する。一方、振動素子の組合せを変更しない場合、ステップS90において、水と被検査体の境界で屈折する際に発生する超音波伝搬モードの変換を利用するかを判断する。
【0076】
そして、ステップS90において、超音波伝搬モードの変換を利用する場合、ステップS2において、遅延時間の際設定を行う。一方、超音波伝搬モードの変換を利用しない場合、ステップS10において、焦点位置等の検査条件を再設定する。
【0077】
超音波伝搬モードの変換の利用は、振動素子から送信された超音波が水中を縦波で伝搬し、水と被検査体の境界面で発生する屈折波を利用する。屈折波は、スネルの法則(式1)を満たすように、縦波、横波、表面波の超音波伝搬モードが存在する。この内、遅延時間による電子制御により、横波を集束させて検査することで、波長が短くなり分解能が向上する。例えば、被検査体がアルミの場合、アルミの縦波音速は約6200m/sであり、横波は約3000m/sであるため、横波の波長は縦波の波長の半分程度となり、分解能は約2倍となる。
【0078】
次に、図12を用いて、本実施形態の超音波検査装置による超音波伝搬モードの変換を利用して遅延時間を変更した場合の超音波検査装置の送信内容について説明する。
図12は、本発明の他の実施形態の超音波検査装置によるによる超音波伝搬モードの変換を利用して遅延時間を変更した場合の超音波検査装置の送信の説明図である。
【0079】
図12では、振動素子の組み合わせ毎に遅延時間を計算している。例えば、振動素子の組合せCAは、内周側の3素子と変更していない。例えば、図3(A)の例では、素子S1,S2,S3とする。遅延時間DAは、図中の黒丸で示すように、変更していない。一方、振動素子の組合せCBは5素子と変更していない。例えば、図3(A)の例では、素子S4,S5,S6,S7,S8とする。しかし、遅延時間DB”は、図中の黒丸で示すように、変更している。例えば、前述の遅延時間の計算法により遅延時間を計算において、水の縦波音速と冷却ピンの横波音速を使用する場合、遅延時間DBよりも遅延時間DB”の曲線形状は緩やかになる。以下、超音波の送・受信方法及び画像表示方法は図6〜図9と同様である。振動素子の組合せ毎の遅延時間を変更して、超音波伝搬モードの変換の利用して再検査することで、検査可能な領域が拡大できる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、凹凸形状の検査体の超音波検査において、導波物質で検査表面を覆うことなく、簡便に検査可能な領域を拡大することができる。更に、検査工程を短縮できる。
【0081】
次に、図13及び図14を用いて、本発明のその他の実施形態による超音波検査装置の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態による超音波検査装置の構成は、図1に示したものと同様である。
【0082】
図13は、本発明のその他の実施形態による超音波検査装置に用いる探傷部の構成を示す斜視図である。図14は、本発明のその他の実施形態による複数のアニュラアレイ超音波プローブの構成を示す図である。
【0083】
図13に示すように、図2のアニュラアレイ超音波プローブ101Aと違い、本実施形態では、複数のアニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…を有するアレイ超音波プローブ1301Aを水浸させて検査を行う。例えば、図14では、アニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…101Bhの数は8組であるが、16組や32組でも良く、組数に制限はない。
【0084】
複数のアニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…を有すうアレイ超音波プローブ1301Aは、FPC基板に信号電極を加工して形成する。複数のアニュラー形状の信号電極の加工をしたFPC基板を用いることにより、圧電膜、接地電極は加工してアニュラー形状にする必要がないため、容易に作製できる。材料は図3(B)の材料例と同様である。
【0085】
走査手段101Cにより、X方向及びY方向に機械的に移動させて、二次元方向を走査する。この際、各複数のアニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…の各振動素子の組合せで、各点の収録データを得る。制御・処理用コンピュータ103Eで予め記憶してある位置情報を利用して、各受信信号を処理し検査画像を表示する。
【0086】
複数のアニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…を有すうアレイ超音波プローブ1301Aを用いることで、機械走査の回数を低減できるため、検査時間が短縮できる。例えば、図14では、複数のアニュラアレイ超音波振動素子101Ba、101Bb…101Bhを有すうアレイ超音波プローブ1301Aを用いることで、アニュラアレイ超音波プローブ101Aを用いる検査に比べて、一度のX方向の走査で8倍のデータを収録することが可能であり、すなわち、X方向の走査回数および検査時間を1/8に低減できる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、凹凸形状の検査体の超音波検査において、導波物質で検査表面を覆うことなく、簡便に検査可能な領域を拡大することができる。更に、検査工程を短縮できると共に、一度の二次元走査において、検査可能であり、検査時間が短縮できる。
【符号の説明】
【0088】
100…検査対象
101…探傷部
101A…アニュラアレイ超音波プローブ
101B…圧電振動素子
101C…走査手段
102…送・受信部
102A…パルサ
102B…レシーバ
102C…送信遅延回路
102D…送信切替回路
102E…送信増幅器
102F…受信切替回路
102G…受信増幅器
102H…アナログ−デジタル変換機
102I…遅延メモリ
103…制御部
103A…走査制御回路
103B…切替制御回路
103C…遅延制御回路
103D…加算回路
103E…制御・処理用コンピュータ
103F…記憶装置
104…表示部
104A…検査モード切替器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニュラアレイ超音波プローブを備える超音波検査装置により、規則的に配列する凹凸形状を有する被検査体の超音波検査方法であって、
超音波を送信する前記超音波プローブの振動素子の組合せを、複数組選択し、
遅延時間を与えて前記組合せ毎に超音波を送信し、
予め選択した複数組の超音波素子の組合せ毎に前記超音波を受信することを、超音波の送信方向に対して直交する平面上に2次元走査して行い、
前記振動素子の組合せ毎の画像を合成処理して得られる検査画像を表示することを特徴とする超音波検査方法。
【請求項2】
請求項1記載の超音波センサ方法において、
前記複数組の組合せの振動素子の面積の和が同じ値となることを特徴とする超音波検査方法。
【請求項3】
請求項1記載の超音波センサ方法において、
前記組合せ毎に与える遅延時間の曲線形状が異なることを特徴とする超音波検査方法。
【請求項4】
アニュラアレイ超音波プローブと、
検査対象に超音波を送信する送信部と、
前記検査対象からの超音波の反射波を受信する受信部と、
前記送信部及び前記受信部を制御する制御部と、
前記受信部により受信された超音波信号に基づく前記検査対象の検査画像を表示する表示部と、
前記超音波プローブをその超音波の送信方向に対して直交する平面上の2次元を機械的に走査する走査手段とを有する超音波検査装置であって、
前記制御部は、
前記超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子を選択する切替制御回路と、
前記超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子から超音波を送信するタイミングを遅延させる遅延制御回路と、
前記走査手段による2次元走査を制御する走査制御回路と、
前記受信部から得られる信号を加算処理する加算部とを備え、
前記送信部は、前記切替制御回路からの指令により、使用する振動素子を選択し、また、前記遅延制御回路からの指令により、各振動素子から超音波を送信するタイミングを遅延させるとともに、振動素子の組合せ毎に超音波の送・受信を行い、
前記加算部は、振動素子の組合せ毎の画像を合成処理して得られる検査画像を前記表示部に表示することを特徴とする超音波検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の超音波センサ装置において、
複数のアニュラアレイ型振動素子を有するアレイ超音波プローブを備えることを特徴とする超音波検査装置。
【請求項1】
アニュラアレイ超音波プローブを備える超音波検査装置により、規則的に配列する凹凸形状を有する被検査体の超音波検査方法であって、
超音波を送信する前記超音波プローブの振動素子の組合せを、複数組選択し、
遅延時間を与えて前記組合せ毎に超音波を送信し、
予め選択した複数組の超音波素子の組合せ毎に前記超音波を受信することを、超音波の送信方向に対して直交する平面上に2次元走査して行い、
前記振動素子の組合せ毎の画像を合成処理して得られる検査画像を表示することを特徴とする超音波検査方法。
【請求項2】
請求項1記載の超音波センサ方法において、
前記複数組の組合せの振動素子の面積の和が同じ値となることを特徴とする超音波検査方法。
【請求項3】
請求項1記載の超音波センサ方法において、
前記組合せ毎に与える遅延時間の曲線形状が異なることを特徴とする超音波検査方法。
【請求項4】
アニュラアレイ超音波プローブと、
検査対象に超音波を送信する送信部と、
前記検査対象からの超音波の反射波を受信する受信部と、
前記送信部及び前記受信部を制御する制御部と、
前記受信部により受信された超音波信号に基づく前記検査対象の検査画像を表示する表示部と、
前記超音波プローブをその超音波の送信方向に対して直交する平面上の2次元を機械的に走査する走査手段とを有する超音波検査装置であって、
前記制御部は、
前記超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子を選択する切替制御回路と、
前記超音波プローブの振動素子の組合せに応じて、使用する振動素子から超音波を送信するタイミングを遅延させる遅延制御回路と、
前記走査手段による2次元走査を制御する走査制御回路と、
前記受信部から得られる信号を加算処理する加算部とを備え、
前記送信部は、前記切替制御回路からの指令により、使用する振動素子を選択し、また、前記遅延制御回路からの指令により、各振動素子から超音波を送信するタイミングを遅延させるとともに、振動素子の組合せ毎に超音波の送・受信を行い、
前記加算部は、振動素子の組合せ毎の画像を合成処理して得られる検査画像を前記表示部に表示することを特徴とする超音波検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の超音波センサ装置において、
複数のアニュラアレイ型振動素子を有するアレイ超音波プローブを備えることを特徴とする超音波検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−108892(P2013−108892A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255128(P2011−255128)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】
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