説明

車両ドア装置

【課題】風によって急に車両ドアが開くことに対する注意を促すことができる車両ドア装置を提供すること。
【解決手段】コントローラ10、風速計50、スピーカ60などを備える。コントローラ10は、I/F部11、CPU12、RAM13、ROM14などを備え、風速計50、スピーカ60などが電気的に接続される。風速計50は、車両ドアの開扉動作に作用する方向の風速を検出する。スピーカ60は、コントローラ10からの信号に基づいて音声を出力する。そして、コントローラ10は、風速計50によって出力された風速が所定の風速に達するとスピーカ60によって注意を促す報知をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ドアを自動開閉する車両ドア装置として特許文献1に示すものがあった。特許文献1に示す車両ドア装置は、モータなどを用いて常に円滑に車両ドアを自動開閉させるものである。
【特許文献1】特開2005−162525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、車両によっては、特許文献1に示すようなモータなどを用いて常に円滑に車両ドアを自動開閉させる車両ドア装置が装備されてない車両もありうる。
【0004】
円滑に車両ドアを自動開閉させるモータなどが装備されていない車両では、車両ドアを開けようとした際に車両ドアの開扉動作に作用する方向に風が吹いていた場合、この風によって急に車両ドアが開いてしまい、乗員を驚かせてしまうという問題がある。また、車両の周囲に他の車両などの障害物があった場合、風によって急に車両ドアが開いてしまうと、車両ドアが障害物に接触してしまう可能性もありうる。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、風によって急に車両ドアが開くことに対する注意を促すことができる車両ドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に記載の車両ドア装置は、音声及び/又は光を出力する出力部と、車両ドアの開扉動作に作用する方向の風速を検出する風速センサと、車両ドアの開扉を検出する開扉検出部と、車両ドアが開扉した状態が検出されると共に、風速センサによって出力された風速が所定の風速に達すると、出力部にて音声及び/又は光を出力する制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
このように、車両ドアの開扉が検出される共に、車両ドアの開扉動作に作用する方向の風速が所定の風速に達すると、出力部にて音声及び/又は光を出力することによって、車両ドアが急に開くことに対して注意を促すことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の車両ドア装置では、車両ドアを開閉駆動する車両ドア駆動部と、車両ドアの開扉速度を検出する車両ドア速度センサとを備え、制御部は、開扉速度が所定の速度に達すると開扉速度が遅くなるように車両ドア駆動部にて車両ドアを駆動することを特徴とするである。
【0009】
このように、車両ドアの開扉速度が所定の速度に達すると開扉速度が遅くなるように車両ドアを駆動することによって、車両ドアが急に開くことを防止することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の車両ドア装置では、車両ドアを開閉駆動する車両ドア駆動部を備え、制御部は、風速センサによって出力された風速が所定の風速に達すると開扉速度が遅くなるように車両ドア駆動部にて車両ドアを駆動することを特徴とするものである。
【0011】
このように、車両ドアの開扉動作に作用する方向の風速が所定の風速に達すると開扉速度が遅くなるように車両ドアを駆動することによっても、車両ドアが急に開くことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態における車両ドア装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、本発明の実施の形態における車両ドア装置の概略構成を示すイメージ図である。図3は、本発明の実施の形態における車両ドア装置の処理動作を示すフローチャートである。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態における車両ドア装置は、コントローラ10、ドアフックセンサ20、ドア開閉モータ30、ドア速度センサ40、風速計50、スピーカ60などを備える。
【0014】
コントローラ10は、本発明における制御部に相当するものであり、インターフェース部(I/F部)11、CPU12、RAM13、ROM14などを備える。そして、コントローラ10は、ワイヤーハーネスなどを介してドアフックセンサ20、ドア開閉モータ30、ドア速度センサ40、風速計50、スピーカ60と電気的に接続される。
【0015】
CPU12は、I/F部11を介して入力されるドアフックセンサ20、ドア速度センサ40、風速計50からの検出信号などの各種信号、及びROM14に記憶されたプログラムに従って、所定の演算処理を行う共に、演算結果などのデータを一時的にRAM13に記憶するなどして、ドア開閉モータ30、スピーカ60を駆動制御するための駆動電圧・制御信号などを出力する。また、ROM14には、上記プログラムに加えて後ほど説明する風速の基準値、車両ドアの開扉速度の基準値なども記憶される。
【0016】
ドアフックセンサ20は、本発明における開扉検出部に相当するものである。ドアフックセンサ20は、車両ドアの端部に設けられ、車両ドアに設けられるフック部材と車体に設けられるストライカー部材とが係合されているか否か、つまり、車両ドアが開扉されているか、閉扉されているかを検出するセンサである。車両ドアは、車室内側にはドアレバーが設けられると共に、車室外側にはドアノブが設けられる。また、車両ドアは、閉じている状態では、フック部材とストライカー部材とが係合されている。そして、車両ドアは、ドアレバーを引くか、もしくはドアノブを引くと、フック部材とストライカー部材との係合が解除され開くようになっている。なお、ドアレバー及びドアノブは、それぞれドアレバー及びドアノブが引かれると、ドアレバー及びドアノブが引かれたことを示すドアレバー信号、ドアノブ信号をコントローラ10に出力する信号出力部を備える。
【0017】
なお、車両ドアの開閉に関しては、携帯機と車両側ユニットとの相互通信を用いるものであってもよい。すなわち、車両側ユニットから送信されるリクエスト信号に応答して、携帯機がIDコードを含むレスポンス信号を返送する相互通信によって、車両側ユニットが、携帯機からレスポンス信号を受信し、そのレスポンス信号に含まれるIDコードを予め登録してある登録コードと照合する。そして、その照合結果において、携帯機が正規の携帯機であると判定され、車両ドアに設けられるタッチセンサや操作ボタンなどが操作された場合にフック部材とストライカー部材との係合・係合の解除を行う。
【0018】
ドア開閉モータ30は、本発明における車両ドア駆動部に相当するものである。ドア開閉モータ30は、図2に示すように車両ドアなどに設けれ、車両ドアを自動式に開閉させるための駆動源となるものであり、例えば、ステッピングモータ、ブラシレスモータ、ブラシ付きモータ等で構成され、コントローラ10からの制御信号・駆動電圧に基づいて回転軸(不図示)を回転させ、リンク機構部(不図示)を駆動させることによって車両ドアを開閉する。
【0019】
ドア速度センサ40は、本発明における車両ドア速度センサに相当するものである。ドア速度センサ40は、例えば、複数のスリットが環状に設けられた円板と光学素子とを備えてなる光学式ロータリエンコーダ等からなるエンコーダと、エンコーダが出力するパルスをカウントするカウンタなどを備える。また、ドア速度センサ40は、図2に示すように、車両ドアの回動軸中心(例えば、後述するドアヒンジ46)に配設される。
【0020】
そして、エンコーダは、車両ドアの開度に応じた数のパルスをカウンタに出力する。カウンタは、エンコーダから出力されたパルス数をカウントし、このパルス周期から車両ドアの開扉速度を検出する。
【0021】
風速計50は、本発明における風速センサに相当するものである。風速計50は、車両ドアの開扉動作に作用する方向の風圧に基づいて、車両ドアの開扉動作に作用する方向の風速を検出する。この風圧計50としては、例えば、ピエゾ抵抗効果により内部抵抗が大きく変化することを利用して圧力の大きさを検出する公知の半導体圧力センサを用いることができる。この風圧計50は、少なくとも車両の外部天井、後部バンパー、車両ドアの外部側壁などに配設される。
【0022】
スピーカ60は、本発明における出力部に相当するものである。スピーカ60は、図2に示すように車室内に設けられ、コントローラ10からの制御信号に基づいて、音声を出力するものである。また、本発明の出力部としては、コントローラ10からの制御信号に基づいて発光するインジケータを設けるようにしてもよい。そして、コントローラ10は、スピーカ60及び/又はインジケータに対して制御信号を出力して、スピーカ60に音声を出力させる、及び/又はインジケータを発光させる。
【0023】
ここで、図3を用いて本実施の形態における車両ドア装置の処理動作について説明する。
【0024】
図3に示すフローチャートは、ドアレバーもしくはドアノブが引かれた場合にスタートする。すなわち、コントローラ10(CPU12)は、ドアレバー信号もしくはドアノブ信号が出力されると図3のフローチャートに示す処理動作を実行する。
【0025】
なお、携帯機と車両側ユニットとの相互通信を用いる場合は、照合結果において、携帯機が正規の携帯機であると判定されると、図3に示すフローチャートがスタートするようにしてもよい。
【0026】
ステップS10では、CPU12は、ドアフックセンサ20を用いてドアフック検出を行う。つまり、CPU12は、ドアフックセンサ20を用いて、車両ドアに設けられるフック部材と車体に設けられるストライカー部材とが係合されているか否かを検出する。これは、風速検出を行うか否かを判定するためである。本発明は、風によって急に車両ドアが開くことに対する注意を促すことを目的とするものであるので、車両ドアが開扉する場合のみ、すなわち、フック部材とストライカー部材との係合が解除された場合のみ風速検出を行えばよい。
【0027】
ステップS20では、CPU12は、ステップS10での検出結果に基づいて、ドアフック開か否か、すなわちフック部材とストライカー部材との係合が解除されているか否かを判定する。CPU12は、ドアフックセンサ20からフック部材とストライカー部材との係合が解除していることを示す検出信号が出力されるとドアフック開とみなしてステップS30へ進み、ドアフックセンサ20からフック部材とストライカー部材とが係合していることを示す検出信号が出力されるとドアフック開でないとみなしてステップS10へ戻る。
【0028】
ステップS30では、CPU12は、スピーカ60にて風によって急に車両ドアが開く危険性があることを示す音声(音声コーション)を出力するか否かを判定するために、風速計50を用いて風速検出を行う。
【0029】
ステップS40では、CPU12は、ステップS30での検出結果に基づいて、風速が所定値以上であるか否かを判定する。すなわち、CPU12は、ステップS30で検出した風速と、ROM14に記憶している風速に関する基準値とを比較する。そして、CPU12は、検出した風速が所定値以上であると判定した場合は音声コーションが必要であるとみなしてステップS50へ進み、風速が所定値以上でないと判定した場合は音声コーションが必要でないとみなしてステップS10へ戻る。
【0030】
ステップS50では、CPU12は、ステップS40での判定にて車両ドアの開扉動作に作用する方向の風速が所定値以上であり、風によって急に車両ドアが開く危険性があるので、乗員に急に車両ドアが開くことに対する注意を促すために、スピーカ60を用いて音声コーションを行う。CPU12は、「風が強いので、ドアを開ける場合は注意してください」などを示す制御信号をスピーカ60に出力することによって、音声コーションを行う。
【0031】
このように、車両ドアの開扉動作に作用する方向の風速が所定値以上である場合に、音声コーションを行うことによって、必要な時にのみ乗員に風によって急に車両ドアが開くことに対する注意を促すことができる。
【0032】
ステップS60では、CPU12は、ドア速度センサ40を用いて車両ドア速度を検出する。これは、風によって車両ドアが勢い良く開いてしまうことを防止するための制御を行うか否かを判定するためである。
【0033】
ステップS70では、CPU12は、ステップS60での検出結果に基づいて、車両ドア速度が所定値以上であるか否かを判定する。すなわち、CPU12は、ステップS60で検出した車両ドア速度と、ROM14に記憶している車両ドア速度に関する基準値とを比較する。そして、CPU12は、検出した車両ドア速度が基準値以上であると判定した場合はステップS80へ進み、検出した車両ドア速度が基準値以上でないと判定した場合はステップS90へ進む。
【0034】
ステップS80では、CPU12は、ドア開閉モータ30をオンにする、すなわち、車両ドアの開扉速度が遅くなるようにドア開閉モータ30に対して車両ドアを駆動することを示す制御信号・駆動電圧を出力する。これによって、車両ドアには、ドア開扉モータ30によって車両ドアの閉方向への力が加えられる。したがって、風速が所定値以上(風が強い)にも係わらず、風によって車両ドアが勢い良く開いてしまうことを防止することができる。
【0035】
ステップS90では、CPU12は、風速が所定値以上でなく(風がさほど強くなく)、車両ドアが勢い良く開いてしまう可能性が低いため、ドア開閉モータ30をオフにする、すなわち、ドア開閉モータ30に対して車両ドアを閉方向に駆動することを示す制御信号・駆動電圧を出力しない。
【0036】
ステップS100では、CPU12は、車両ドアが閉まったか否かを判定するために、ドアフックセンサ20を用いてドアフック検出を行う。そして、ステップS110では、CPU12は、ステップS10での検出結果に基づいて、ドアフック開か否か、すなわちフック部材とストライカー部材との係合が解除されているか否かを判定する。CPU12は、ドアフックセンサ20からフック部材とストライカー部材との係合が解除していることを示す検出信号が出力されるとドアフック開とみなしてステップS60へ戻り、ドアフックセンサ20からフック部材とストライカー部材とが係合していることを示す検出信号が出力されるとドアフック開でないとみなしてステップS120へ進む。
【0037】
ステップS120では、CPU12は、ドア開閉モータ30をオフにして、風によって車両ドアが勢い良く開いてしまうことを防止するための制御を終了する。なお、CPU12は、ステップS90にてドア開閉モータ30をオフにした場合は、このオフ状態を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態における車両ドア装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における車両ドア装置の概略構成を示すイメージ図である。
【図3】本発明の実施の形態における車両ドア装置の処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
10 コントローラ、11 インターフェース(I/F)部、12 CPU、13 RAM、14 ROM、20 ドアフックセンサ、30 ドア開閉モータ、40 ドア速度センサ、50 風速計、60 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声及び/又は光を出力する出力部と、
車両ドアの開扉動作に作用する方向の風速を検出する風速センサと、
前記車両ドアの開扉を検出する開扉検出部と、
前記車両ドアの開扉が検出されると共に、前記風速センサによって出力された風速が所定の風速に達すると、前記出力部にて音声及び/又は光を出力する制御部と、
を備えることを特徴とする車両ドア装置。
【請求項2】
前記車両ドアを開閉駆動する車両ドア駆動部と、前記車両ドアの開扉速度を検出する車両ドア速度センサとを備え、前記制御部は、前記開扉速度が所定の速度に達すると当該開扉速度が遅くなるように前記車両ドア駆動部にて前記車両ドアを駆動することを特徴とする請求項1に記載の車両ドア装置。
【請求項3】
前記車両ドアを開閉駆動する車両ドア駆動部を備え、前記制御部は、前記風速センサによって出力された風速が所定の風速に達すると当該開扉速度が遅くなるように前記車両ドア駆動部にて前記車両ドアを駆動することを特徴とする請求項1に記載の車両ドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−238025(P2007−238025A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66251(P2006−66251)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】