説明

車両用ミラー装置

【課題】揺動可能なミラーホルダに作動ロッドの一端部が連結され、作動ロッドの軸線と直交する方向に延びる検出ロッドを備えるセンサのセンサケースが支持部材に固定され、検出ロッドの先端部が、静止状態にある検出ロッドに対して作動ロッドを押圧作動せしめることによる相互嵌合によって作動ロッドの他端部に嵌合、連結される車両用ミラー装置において、検出ロッドの変形を防止する。
【解決手段】検出ロッド96Aの先端部に当接して該検出ロッド96Aのミラーホルダ20とは反対側への移動限を定めるストッパ100Aが、支持部材34に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーを保持するミラーホルダが、該ミラーホルダを揺動可能に駆動する駆動手段を内蔵したアクチュエータケースに揺動可能に支承され、前記ミラーホルダに作動軸の一端部が連結され、前記作動軸の軸線と直交する方向に延びる検出ロッドを備えるセンサのセンサケースが前記アクチュエータケースに対する相対位置を不変とした支持部材に固定され、前記検出ロッドの先端部が、前記作動軸の軸方向位置に応じた前記ミラーホルダの揺動角度を前記センサで検出すべく、静止状態にある検出ロッドに対して前記作動軸を軸方向に押圧作動せしめることによる相互嵌合によって前記作動軸の他端部に連結される車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一端がミラーホルダに取付けられる作動軸の他端部に、外端を開放するとともに内方に向かうにつれて幅を狭くしたガイド部と、該ガイド部の内端に連なる円形の嵌合部とが設けられ、センサが備える検出ロッドが、前記ガイド部を介して嵌合部に嵌合されるようにした車両用ミラー装置が、たとえば特許文献1で開示されている。
【特許文献1】実開昭63−101248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、センサケースで支持することによって静止状態にある検出ロッドに対して作動軸を他端側に押圧作動せしめることにより、検出ロッドを作動軸の他端部に嵌合せしめるようにしており、そのような嵌合、連結時や、ミラーホルダに異常な外力が作用して作動軸が規定値以上移動したときには、センサケースで支持された検出ロッドに曲げ応力が作用して検出ロッドが変形する可能性があり、そのような変形が生じるとセンサの検出精度に悪影響を及ぼしてしまう。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、検出ロッドの変形を防止し得るようにした車両用ミラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ミラーを保持するミラーホルダが、該ミラーホルダを揺動可能に駆動する駆動手段を内蔵したアクチュエータケースに揺動可能に支承され、前記ミラーホルダに作動軸の一端部が連結され、前記作動軸の軸線と直交する方向に延びる検出ロッドを備えるセンサのセンサケースが前記アクチュエータケースに対する相対位置を不変とした支持部材に固定され、前記検出ロッドの先端部が、前記作動軸の軸方向位置に応じた前記ミラーホルダの揺動角度を前記センサで検出すべく、静止状態にある検出ロッドに対して前記作動軸を軸方向に押圧作動せしめることによる相互嵌合によって前記作動軸の他端部に連結される車両用ミラー装置において、前記検出ロッドの先端部に当接して該検出ロッドの前記ミラーホルダとは反対側への移動限を定めるストッパが、前記支持部材に設けられることを特徴とする。
【0006】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、合成樹脂から成る前記作動軸の他端部に、内端の幅が前記検出ロッドの外径よりも小さくなるようにして内方に向かうにつれて幅が狭くなるように形成されるとともに外端を開放したガイド部と、前記検出ロッドを嵌合させるようにしてガイド部の内端に連なる嵌合部と、前記検出ロッドの直径よりも狭い幅を有して前記嵌合部に連なる溝部とを有するスリット状の連結部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、検出ロッドの先端部を作動軸の他端部に嵌合して連結する際には、ストッパに先端部を当接せしめることによって静止状態にある検出ロッドに対して作動軸を軸方向に押圧作動せしめればよく、この際、検出ロッドの先端部はストッパで受けられているので検出ロッドに作動軸側から曲げ応力が作用することはない。またミラーホルダに異常な外力が作用して作動軸が規定値以上移動したときにも検出ロッドの先端部がストッパで受けられることによって検出ロッドに曲げ応力が作用することはない。したがって検出ロッドの先端部を作動軸の他端部に嵌合、連結する際、ならびに作動軸が規定値以上移動したときのいずれの状態でも、検出ロッドに曲げ応力が作用することを防止して検出ロッドの変形を確実に防止し、センサの検出精度低下を回避することができる。
【0008】
また請求項2記載の発明によれば、スットパで受けた状態の検出ロッドに対して、作動軸を押圧作動せしめると、作動軸は溝部の幅を広げるように弾性変形しつつ検出ロッドの先端部をガイド部から嵌合部に円滑に導いて嵌合部に嵌合せしめることができ、検出ロッドの先端部の作動軸の他端部への嵌合、連結が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図11は本発明の一実施例を示すものであり、図1は本発明を適用した車両用ドアミラーの一部切欠き正面図であって図2の1−1線矢視図、図2は図1の2−2線断面図、図3はアクチュエータケースの一部切欠き拡大正面図、図4はアクチュエータケース、駆動手段用コネクタおよびセンサ用コネクタの分解斜視図、図5は図1の5−5線拡大断面図、図6は図3の6−6線拡大断面図、図7は第2収容部の拡大正面図、図8は図1の8−8線拡大断面図、図9はミラーホルダの揺動に応じた作動軸の移動を説明するための断面図、図10は図8の10矢視図、図11はセンサを不要としたアクチュエータケースへの適用を説明するための斜視図である。
【0011】
先ず図1および図2において、車両のサイドドアには、ベース体15が取付けられており、合成樹脂製のハウジング16が車両の前後に回動することを可能として前記ベース体15に回動可能に支承される。
【0012】
合成樹脂から成るブラケット17が前記ベース体15で回動可能に支承されており、該ブラケット17を覆う前記ハウジング16が、ブラケット17に複数のねじ部材18…で取付けられる。前記ハウジング16の開口縁には、ハウジング16内に延びて該ハウジング16に取付けられるバイザー19の周縁部が連接されており、ミラーホルダ20に保持されたミラー23が、車両の後方側を視認することを可能として前記バイザー19内に配置される。
【0013】
ミラーホルダ20は、ミラー23が外面側に取付けられるホルダ主部21と、該ホルダ主部21の内面側に固定されるインナーホルダ22とから成り、このミラーホルダ20は、前記ブラケット17に固定されるアクチュエータケース24で前後、左右に揺動し得るようにして支承される。
【0014】
前記ミラーホルダ20は、鉛直方向に延びる第1の直線LAならびに水平方向に延びる第2の直線LBの交点Pでアクチュエータケース24に揺動可能に支承されるものであり、ミラーホルダ20を揺動駆動する一対の第1および第2駆動軸25A,25Bが軸線方
向の移動を可能としてアクチュエータケース24から突出され、一対の第1および第2作動軸26A,26Bがミラーホルダ20に連結される。
【0015】
第1駆動軸25Aは、第1の直線LAと直交する軸線を有して前記交点Pの下方に配置されるものであり、第1駆動軸25Aの一端部が第1の直線LAを含む平面内での首振りを可能として前記ミラーホルダ20に連結され、第2駆動軸25Bは、第2の直線LBと直交する軸線を有して前記交点Pの外側方に配置されるものであり、第2駆動軸25Bの一端部が第2の直線LBを含む平面内での首振りを可能として前記ミラーホルダ20に連結される。また第1作動軸26Aは、前記交点Pに関して第1駆動軸25Aと反対側で第1の直線LA上に配置されるものであり、第1作動軸26Aの一端部が第1の直線LAを含む平面内での首振りを可能として前記ミラーホルダ20に連結され、第2作動軸26Bは、前記交点Pに関して第2駆動軸25Bと反対側で第2の直線LB上に配置されるものであり、第2作動軸26Bの一端部が第2の直線LBを含む平面内での首振りを可能として前記ミラーホルダ20に連結される。
【0016】
第1駆動軸25Aのミラーホルダ20への連結部および交点P間の距離と、第2駆動軸25Bのミラーホルダ20への連結部および交点P間の距離とは同一に設定され、第1作動軸26Aのミラーホルダ20への連結部および交点P間の距離と、第2作動軸26Bのミラーホルダ20への連結部および交点P間の距離とは同一に設定されている。しかもこの実施例では、第1駆動軸25Aのミラーホルダ20への連結部、第2駆動軸25Bのミラーホルダ20への連結部、第1作動軸26Aのミラーホルダ20への連結部および第2作動軸26Bのミラーホルダ20への連結部と、前記交点Pとの間の距離は全て同一に設定されており、これによりミラーホルダ20におけるインナーホルダ22を左右で兼用することができる。
【0017】
アクチュエータケース24には、第1駆動軸25Aを軸方向に駆動する第1駆動手段27A、第2駆動軸25Bを軸方向に駆動する第2駆動手段27B、第1作動軸26Aの軸方向位置に応じて第1の直線LAを含む平面内でのミラーホルダ20およびミラー23の揺動角度を検出する第1センサ28A、ならびに第2作動軸26Bの軸方向位置に応じて第2の直線LBを含む平面内でのミラーホルダ20およびミラー23の揺動角度を検出する第2センサ28Bが内蔵される。
【0018】
図4を併せて参照して、アクチュエータケース24は、前記第1および第2駆動手段27A,27Bを収容する第1収容部31ならびに前記第1および第2センサ28A,28Bを収容する第2収容部32が連結部33を介して一体に連結されて成る合成樹脂製のケース主体34と、前記ミラーホルダ20を揺動可能に支承するとともに第1および第2駆動軸25A,25Bを突出させるようにして第1収容部31をミラーホルダ20側から覆う合成樹脂製の第1蓋部材35と、前記第1および第2作動軸26A,26Bを挿通させることを可能として第2収容部32をミラーホルダ20側から覆う合成樹脂製の第2蓋部材36とから成る。
【0019】
図5を併せて参照して、第1蓋部材35の外面には、第1および第2の直線LA,LBの交点Pに軸線を配置するようにして円筒状の支軸37が一体に突設されるとともに、横断面円弧状としてミラーホルダ20側に臨む支持座面38が支軸37を囲むようにして設けられる。一方、前記ミラーホルダ20のインナーホルダ22には、横断面円弧状である前記支持座面38と中心を同一とした円弧状の横断面形状を有するように外面および内面が形成される受け部39が一体に設けられており、その受け部39の外面は前記支持座面38に摺接される。また受け部39内に突入する前記支軸37には、前記受け部39の内面に摺接する横断面円弧状の外面を有する挟持部材40が軸方向移動可能に装着されており、支軸37の先端にねじ部材41で固定されるリテーナ42および挟持部材40間に、
前記受け部39を支持座面38および挟持部材40間に挟む方向に挟持部材40を付勢するばね43が縮設される。
【0020】
このようにしてミラーホルダ20の一部を構成するインナーホルダ22が、アクチュエータケース24における第1蓋部材35に、支持座面38に受け部39を摺接させるようにして揺動可能に支承されることになる。
【0021】
第1駆動手段27Aは、電動モータ45Aと、該電動モータ45Aの出力軸に設けられるウォームギヤ46Aと、該ウォームギヤ46Aに噛合するとともに第1駆動軸25Aに螺合するウォームホイル47Aとで構成される。
【0022】
ウォームホイル47Aは、第1駆動軸25Aを同軸に囲繞するように形成されて第1収容部31に回転自在に支承される。一方、第1駆動軸25Aの外面には雄ねじ48が刻設されており、該雄ねじ48に螺合する内歯49…を先端に有する複数個たとえば5個の腕部50…が周方向に等間隔をあけてウォームホイル47Aに一体に連設される。また前記各腕部50…のうち一部の腕部50…の先端には外側に突出する突部51…が突設され、残余の腕部50…の先端寄り外面には外側に突設する突部52…が突設されており、突部51…,52…間で軸方向の移動を阻止されるようにして全ての腕部50…にはばね53が巻き付けられており、このばね53のばね力により、各腕部50…の先端の内歯49…が第1駆動軸25Aの雄ねじ48に螺合される。
【0023】
また第1駆動軸25Aの一端部には球状頭部54が一体に設けられており、この球状頭部54が、ミラーホルダ20におけるインナーホルダ22に設けられた軸受部55に首振り可能に嵌合される。しかも球状頭部54には第1の直線LAに沿う係合突部56が突設されており、前記軸受部55に設けられた係止スリット57に係合突部56を係合するようにして球状頭部54が軸受部55に嵌合される。これにより第1駆動軸25Aの一端部は、その軸線まわりの回転を阻止されるとともに第1の直線LAを含む平面内での首振りを可能としてミラーホルダ20のインナーホルダ22に連結されることになる。
【0024】
第2駆動手段27Bは、電動モータ45Bと、該電動モータ45Bの出力軸に設けられるウォームギヤ46Bと、該ウォームギヤ46Bに噛合するとともに第2駆動軸25Bに螺合するウォームホイル47Bとを有して、第1駆動手段27Aと同様に構成されるものであり、第2駆動軸25Bの一端部は、その軸線まわりの回転を阻止されるとともに第2の直線LBを含む平面内での首振りを可能として、ミラーホルダ20のインナーホルダ22に連結される。
【0025】
第1および第2駆動手段27A,27Bは、第1および第2の直線LA,LBの交点Pを通るとともに第1および第2駆動軸25A,25B間の中央を通る平面PL(図3参照)に関して対称に配置されて第1収容部31に収容される。
【0026】
第1収容部31の周縁部には、第1および第2駆動手段27A,27Bを囲むようにして無端状に連なる嵌合壁部58が第1蓋部材35側に突出するようにして設けられ、第1蓋部材35の周縁部には、その嵌合壁部58を嵌合せしめるようにして無端状に連なる嵌合溝59が設けられる。而して嵌合溝59に嵌合壁58を嵌合するようにして第1収容部31を覆う第1蓋部材35は、その周方向複数箇所たとえば4箇所で第1収容部31に弾発係合される。すなわち図6で示すように、第1蓋部材35の周方向に間隔をあけた複数箇所たとえば4箇所には係合爪60…が突設されており、第1収容部31の前記各係合爪60…に対応する部分には、係合爪60…を弾発的に係合させる係止孔61…を形成するようにして門形に形成される係止部62…が一体に設けられる。
【0027】
第1蓋部材35には、第1および第2駆動軸25A,25Bを突出させる円筒部63A,63Bがミラーホルダ20側に向けて一体に突設されており、それらの円筒部63A,63Bの外周部および第1および第2駆動軸25A,25Bの一端寄り外周部には、第1および第2駆動軸25A,25Bを囲繞するブーツ64A,64Bの両端部が装着される。
【0028】
第1収容部31の外周部において、第1および第2駆動手段27A,27Bにおけるウォームホイル47A,47B間に位置する部分には外側方に張り出す鍔部65が設けられ、第1および第2駆動手段27A,27Bにおける電動モータ45A,45Bの外側方に位置する部分には鍔部66,67がそれぞれ設けられる。一方、第1蓋部材35には、前記鍔部65〜67にそれぞれ重合する鍔部68,69,70がそれぞれ設けられ、相互に重なった鍔部65〜67,68〜70は、ねじ部材71…でブラケット17にそれぞれ締結される。
【0029】
さらに第1および第2収容部31,32間を連結する連結部33に対応して、第1蓋部材35には該連結部33に重なる鍔部72が一体に設けられており、相互に重なった鍔部72および連結部33はねじ部材73でブラケット17に締結される。
【0030】
図7および図8において、第2収容部32には、直角四辺形の横断面形状を有するとともに第2蓋部材36とは反対側の端部を閉じた有底のガイド孔75A,75Bが第1および第2作動軸26A,26Bをそれぞれ摺動可能に挿入せしめるようにして設けられるとともに、直角四角形の横断面形状を有するとともに第2蓋部材36とは反対側を閉じた有底の取付け孔76A,76Bが第1および第2センサ28A,28Bを挿入、固定するようにして前記ガイド孔75A,75Bに隣接した位置に設けられる。
【0031】
第2収容部32の周縁部には、無端状に連なる嵌合壁部77が第2蓋部材36側に突出するようにして設けられ、第2蓋部材36の周縁部には、その嵌合壁部77を嵌合せしめるようにして無端状に連なる嵌合溝78が設けられる。而して嵌合溝78に嵌合壁77を嵌合するようにして第2収容部32を覆う第2蓋部材36は、その周方向複数箇所たとえば5箇所で第2収容部32に弾発係合される。
【0032】
すなわち第2蓋部材36において第1蓋部材35とは反対側の側面には、相互に間隔をあけて複数たとえば3つの係合爪79…が突設されており、第2収容部32の前記各係合爪79…に対応する部分には、係合爪79…を弾発的に係合させる係止孔80…(図4参照)を形成するようにして門形に形成される係止部81…が一体に設けられる。
【0033】
また第2蓋部材36において第1蓋部材35側の側面には、先端部が二股に分岐するように形成されて第2収容部32側に延びる複数たとえば2つの係合爪82…が一体に設けられており、これらの係合爪82…は、連結部33に設けられた係止孔83…に挿通されて連結部33に弾発係合される。
【0034】
第1作動軸26Aは、基本的には直角四辺形であるものの各隅角部が丸められた形の横断面形状を有する作動軸主部84と、該作動軸主部84の一端に首部85を介して連なる球状頭部86と、第1の直線LAを含む平面内で二股に分かれて作動軸主部84の他端側に連なるとともに作動軸主部84から離反するにつれて相互間の間隔が広がるように彎曲形成された一対の彎曲摺接部87,87と、第1の直線LAと直交する平面内で二股に分かれて作動軸主部84の他端側に連なる一対の脚部88,89とを一体に備える。
【0035】
第1作動軸26Aの他端側はガイド孔75Aに挿入されるものであり、両彎曲摺接部87…が、それらの彎曲摺接部87…の内面に装着された板ばね90のばね力によってガイ
ド孔75Aの相互に対向する内側面に弾発的に摺接する。
【0036】
取付け孔76Aは、ガイド孔75Aにその内方側で隣接するようにして第2収容部32に設けられており、ガイド孔75Aおよび取付け孔76A間の隔壁には、ガイド孔75Aおよび取付け孔76Aの長手方向に延びるスリット91が設けられる。
【0037】
取付け孔76Aに挿入、固定されるセンサ28Aは、リニアポテンショメータであり、金属製のセンサケース92内に収容、固定されるとともに抵抗体が設けられた基板93上をブラシ94が摺動するように構成されるものであり、ブラシ94には、第1の直線LAを含む平面および第1作動軸26Aの軸線と直交する方向に延びる検出ロッド96Aが連設され、この検出ロッド96Aは、前記スリット91側に臨んでセンサケース92に設けられた開口部95に挿通される。
【0038】
検出ロッド96Aの先端は、静止状態にある該検出ロッド96Aに対して第1作動軸26Aを軸方向に押圧作動せしめることによる相互嵌合によって第1作動軸26Aの他端部に連結される。
【0039】
図9において、検出ロッド96Aの先端を連結するために、第1作動軸26Aの他端側における一方の脚部88には、第1作動軸26Aの軸線に沿う方向に延びるスリット状の連結部97が設けられるものであり、この連結部97は、内端の幅が前記検出ロッド96Aの外径よりも小さくなるようにして内方に向かうにつれて幅が狭くなるように形成されるとともに外端を開放したガイド部97aと、前記検出ロッド96Aを嵌合させるようにしてガイド部97aの内端に連なる円形の嵌合部97bと、検出ロッド96Aの直径よりも狭い幅を有して前記嵌合部97bに連なる溝部97bとから成る。
【0040】
一方、センサ28Aとは反対側でガイド孔75Aの内面に開口する略T字状のあり溝98が第2収容部32に設けられており、前記嵌合部97bに嵌合された状態にある検出ロッド96Aと同軸である軸部分99aと、軸部分99aの先端に連なる係合部分99bとで略T字状に形成されるガイド突部99が、第1作動軸26Aの他端側における他方の脚部89に一体に突設される。
【0041】
これにより、第1作動軸26Aは、第1の直線LAを含む平面に直交するとともに同軸である検出ロッド96Aおよびガイド突部99の軸部分99aの軸線まわりに揺動することを可能として第2収容部32に支承されつつ、ガイド孔75Aに摺動可能に挿入されることになり、第1作動軸26Aの揺動軸線と同軸の軸線を有する前記検出ロッド96Aが、その軸線まわりの回動を可能として第1作動軸26Aに連結されることになる。
【0042】
また支持部材であるケース主体34の第2収容部32には、検出ロッド96Aの先端部に当接して該検出ロッド96Aのミラーホルダ20とは反対側への移動限を定めるストッパ100Aが、前記連結部97のガイド部97a内に嵌入することを可能としつつガイド孔75Aの閉塞端から突出するようにして一体に突設される。
【0043】
第1作動軸26Aの一端の球状頭部86は、ミラーホルダ20におけるインナーホルダ22に設けられた軸受部101に首振り可能に嵌合される。しかも球状頭部86には第1の直線LAに沿う係合突部102が突設されており、前記軸受部101に設けられた係止スリット103に係合突部102を係合するようにして球状頭部86が軸受部101に嵌合される。したがって第1作動軸26Aの一端部は、その軸線まわりの回転を阻止されるとともに第1の直線LAを含む平面内での首振りを可能としてミラーホルダ20のインナーホルダ22に連結されることになる。
【0044】
第2作動軸26Bは第1作動軸26Aと同様に構成されてガイド孔75Bに摺動可能に挿入され、センサ28Bはセンサ28Aと同様に構成されて取付け孔76Bに挿入、固定され、ガイド孔75Bおよび取付け孔76Bは、第1および第2の直線LA,LBの交点Pを通り第1および第2駆動軸25A,25B間の中央を通る平面PLに関して、ガイド孔75Aおよび取付け孔76Aと対称の位置で第2収容部32に設けられる。また第2作動軸26Bの一端部は、その軸線まわりの回転を阻止されるとともに第2の直線LBを含む平面内での首振りを可能として、ミラーホルダ20のインナーホルダ22に連結される。さらに第2作動軸26Bは、第2の直線LBを含む平面に直交する軸線まわりに揺動することを可能として第2収容部32に支承されつつガイド孔75Bに挿入され、センサ28Bの検出ロッド96Bは、第2作動軸26Bの揺動軸線と同軸の軸線まわりに回動することを可能として第2作動軸26Bに連結され、検出ロッド96Bの先端部に当接して該検出ロッド96Bのミラーホルダ20とは反対側への移動限を定めるストッパ100Bがガイド孔76Bの閉塞端に突設される。
【0045】
第2蓋部材36には、第1および第2作動軸26A,26Bを突出させる横断面四角形状の筒部105A,105Bがミラーホルダ20側に突出するようにして一体に突設されており、それらの筒部105A,105Bの外周および第1および第2作動軸26A,26Bの一端寄り外周部には、第1および第2作動軸26A,26Bを囲繞するブーツ106A,106Bの両端部が装着される。
【0046】
ところで、センサ28A,28B間で第2収容部32には、両センサ28A,28Bの出力端子に連なるバスバー107,108、両センサ28A,28Bの電源端子に共通に連なるバスバー109、ならびに両センサ28A,28Bの接地端子に共通に連なるバスバー110が合成樹脂製の被覆部111で覆われて成るバスバー組立体112が配置される。また第2収容部32の第2蓋部材36とは反対側の面には凹部113が設けられており、前記バスバー107〜110の一部を折り曲げて形成される接続端子107a,108a,109a,110aが前記凹部113に臨んで配置される。
【0047】
図10を併せて参照して、前記凹部113には、前記各接続端子107a〜110aに接続される端子を有するセンサ用コネクタ114が着脱可能に嵌合される。また第1収容部31において第1蓋部材35と反対側の面には凹部120が設けられており、電動モータ45Aに接続されるべき一対の接続端子115,116ならびに電動モータ45Bに接続されるべき一対の接続端子117,118を有する駆動手段用コネクタ119が、前記凹部120に着脱可能に嵌合される。
【0048】
次にこの実施例の作用について説明すると、アクチュエータケース24は、第1および第2収容部31,32が連結部33を介して一体に連結されて成るケース主体34と、第1収容部31を覆う第1蓋部材35と、第2収容部32を覆う第2蓋部材36とから成り、第1収容部31には、ミラーホルダ20に一端部が首振り可能に連結される第1および第2駆動軸25A,25Bを個別に軸方向に駆動する第1および第2駆動手段27A,27Bが収容され、前記ミラーホルダ20に一端部が首振り可能に連結される第1および第2作動軸26A,26Bの軸方向位置すなわちミラーホルダ20の揺動角度を検出する第1および第2センサ28A,28Bが収容され、第1蓋部材35は第1およ第2駆動軸25A,25Bを突出させるようにして第1収容部31を覆い、第2蓋部材36は、第1および第2作動軸26A,26Bを挿通させることを可能として第2収容部32を覆うものである。
【0049】
ところで、図11で示すように、目視による遠隔操作によってミラーホルダを駆動するだけの機能を有するドアミラーのアクチュエータケース122は、第1および第2駆動手段27A,27Bを収容するケース主体121と、該ケース主体121を覆う蓋部材35
とで構成されればよく、このようなアクチュエータケース122では、上述のアクチュエータケース24における第1蓋部材35を共用化することができる。
【0050】
すなわちケース主体121を、第1蓋部材35の鍔部72に対応した鍔部123を有するようにして、第1収容部31にほぼ対応した形状に形成することで、第1蓋部材35を共用化することが可能となるものであり、第1蓋部材35を型成形するときの金型を、目視による遠隔操作によってミラーホルダを駆動するだけの機能を有する車両用ミラー装置のアクチュエータケース122と共用化してコスト低減を図ることができる。
【0051】
しかも第1および第2駆動手段27A,27Bを収容する第1収容部31ならびに第1および第2センサ28A,28Bを収容する第2収容部32が連結部33を介して一体に連結されるものであるので、ミラーホルダ20の揺動支点と、両センサ28A,28Bの作動部との相対寸法精度を高めるにあたっての部品精度管理および調整を容易として組付工数を低減することができる。
【0052】
ところで、ミラーホルダ20に一端部が首振り可能に連結される第1および第2作動軸26A,26Bの他端側には、ケース主体34における第2収容部32に固定されるセンサ28A,28Bの検出ロッド96A,96Bが、静止状態にある検出ロッド96A,96Bに対して第1および第2作動軸26A,26Bを軸方向に押圧作動せしめることによる相互嵌合によって連結されるものであるが、第2収容部32には、検出ロッド96A,96Bの先端部に当接して該検出ロッド96A,96Bのミラーホルダ20とは反対側への移動限を定めるストッパ100A,100Bが設けられる。
【0053】
したがって検出ロッド96A,96Bの先端部を第1および第2作動軸26A,26Bの他端部に嵌合して連結する際には、ストッパ100A,100Bに先端部を当接せしめることによって静止状態にある検出ロッド96A,96Bに対して作動軸を軸方向に押圧作動せしめればよく、この際、検出ロッド96A,96Bの先端部はストッパ100A,100Bで受けられているので検出ロッド96A,96Bに第1および第2作動軸26A,26B側から曲げ応力が作用することはない。またミラーホルダ20に異常な外力が作用して第1および第2作動軸26A,26Bが規定値以上移動したときにも検出ロッド96A,96Bの先端部がストッパ100A,100Bで受けられることによって検出ロッド96A,96Bに曲げ応力が作用することはない。この結果、検出ロッド96A,96Bの先端部を第1および第2作動軸26A,26Bの他端部に嵌合、連結する際、ならびに第1および第2作動軸26A,26Bが規定値以上移動したときのいずれの状態でも、検出ロッド96A,96Bに曲げ応力が作用することを防止して検出ロッド96A,96Bの変形を確実に防止し、センサ28A,28Bの検出精度低下を回避することができる。
【0054】
しかも合成樹脂から成る第1および第2作動軸26A,26Bが他端側に備える脚部88…に、内端の幅が検出ロッド96A,96Bの外径よりも小さくなるようにして内方に向かうにつれて幅が狭くなるように形成されるとともに外端を開放したガイド部97aと、検出ロッド96A,96Bを嵌合させるようにしてガイド部97aの内端に連なる嵌合部97bと、前記検出ロッド96A,96Bの直径よりも狭い幅を有して前記嵌合部97bに連なる溝部97cとを有するスリット状の連結部97が設けられるので、スットパ100A,100Bで受けた状態の検出ロッド96A,96Bに対して、第1および第2作動軸26A,26Bを押圧作動せしめると、第1および第2作動軸96A,96Bは溝部97cの幅を広げるように弾性変形しつつ検出ロッド96A,96Bの先端部をガイド部97aから嵌合部97bに円滑に導いて嵌合部97bに嵌合せしめることができ、検出ロッド96A,96Bの先端部の第1および第2作動軸26A,26Bの他端部への嵌合、連結が容易となる。
【0055】
さらに第1および第2作動軸26A,26Bは、第1および第2の直線LA,LBを含む平面に直交する軸線まわりに揺動することを可能としてケース主体34の第2収容部32に支承されつつガイド孔75A,75Bに挿入されるものであり、第1および第2作動軸26A,26Bの揺動軸線と同軸の軸線を有する検出ロッド96A,96Bが、その軸線まわりの回動を可能として第1および第2作動軸26A,26Bに連結されている。
【0056】
したがって、図9で示すように、第1作動軸26Aのミラーホルダ20への連結部が、ミラーホルダ20の揺動に応じて第1駆動軸25Aのミラーホルダ20への連結部、ミラーホルダ20の支点、ならびに第1作動軸26Aのミラーホルダ20への連結部を結ぶ第1の直線LAに沿う方向に移動することで、第1作動軸26Aは、第1の直線LAを含む平面に直交する軸線まわりに揺動しつつガイド孔75A内を移動するが、検出ロッド96Aは、第1作動軸26Aの揺動軸線と同軸の軸線を有し、軸線まわりの回動を可能として第1作動軸26Aに連結されるので、第1作動軸26Aのガイド孔75A内での揺動にかかわらず、検出ロッド96Aの位置を、第1作動軸26Aの軸方向位置に対応した位置に安定的に維持することができ、したがってセンサ28Aによる第1作動軸26Aの軸方向位置検出精度を安定化し、センサ28Aによるミラーホルダ20の第1の直線LAを含む平面内での揺動角検出精度を高めることができる。
【0057】
また第2作動軸26Bも、ミラーホルダ20の揺動に応じて第2の直線LBを含む平面に直交する軸線まわりに揺動しつつガイド孔75B内を移動することになり、検出ロッド96Bは、第2作動軸26Bの揺動軸線と同軸の軸線を有し、軸線まわりの回動を可能として第2作動軸26Bに連結されるので、第2作動軸26Bのガイド孔75B内での揺動にかかわらず、検出ロッド96Bの位置を、第1作動軸26Bの軸方向位置に対応した位置に安定的に維持することができ、したがってセンサ28Bによる第2作動軸26Bの軸方向位置検出精度を安定化し、センサ28Bによるミラーホルダ20の第2直線LBを含む平面内での揺動角検出精度を高めることができる。
【0058】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明を適用した車両用ドアミラーの一部切欠き正面図であって図2の1−1線矢視図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】アクチュエータケースの一部切欠き拡大正面図である。
【図4】アクチュエータケース、駆動手段用コネクタおよびセンサ用コネクタの分解斜視図である。
【図5】図1の5−5線拡大断面図である。
【図6】図3の6−6線拡大断面図である。
【図7】第2収容部の拡大正面図である。
【図8】図1の8−8線拡大断面図である。
【図9】ミラーホルダの揺動に応じた作動軸の移動を説明するための断面図である。
【図10】図8の10矢視図である。
【図11】センサを不要としたアクチュエータケースへの適用を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
20・・・ミラーホルダ
23・・・ミラー
24・・・アクチュエータケース
26A,26B・・・作動軸
27A,27B・・・駆動手段
28A,28B・・・センサ
34・・・支持部材であるケース主体
92・・・センサケース
96A,96B・・・検出ロッド
97・・・連結部
97a・・・ガイド部
97b・・・嵌合部
97c・・・溝部
100A,100B・・・ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー(23)を保持するミラーホルダ(20)が、該ミラーホルダ(20)を揺動可能に駆動する駆動手段(27A,27B)を内蔵したアクチュエータケース(24)に揺動可能に支承され、前記ミラーホルダ(20)に作動軸(26A,26B)の一端部が連結され、前記作動軸(26A,26B)の軸線と直交する方向に延びる検出ロッド(96A,96B)を備えるセンサ(28A,28B)のセンサケース(92)が前記アクチュエータケース(24)に対する相対位置を不変とした支持部材(34)に固定され、前記検出ロッド(96A,96B)の先端部が、前記作動軸(26A,26B)の軸方向位置に応じた前記ミラーホルダ(20)の揺動角度を前記センサ(28A,28B)で検出すべく、静止状態にある検出ロッド(96A,96B)に対して前記作動軸(26A,26B)を軸方向に押圧作動せしめることによる相互嵌合によって前記作動軸(26A,26B)の他端部に連結される車両用ミラー装置において、前記検出ロッド(96A,96B)の先端部に当接して該検出ロッド(96A,96B)の前記ミラーホルダ(20)とは反対側への移動限を定めるストッパ(100A,100B)が、前記支持部材(34)に設けられることを特徴とする車両用ミラー装置。
【請求項2】
合成樹脂から成る前記作動軸(26A,26B)の他端部に、内端の幅が前記検出ロッド(96A,96B)の外径よりも小さくなるようにして内方に向かうにつれて幅が狭くなるように形成されるとともに外端を開放したガイド部(97a)と、前記検出ロッド(96A,96B)を嵌合させるようにしてガイド部(97a)の内端に連なる嵌合部(97b)と、前記検出ロッド(96A,96B)の直径よりも狭い幅を有して前記嵌合部(97b)に連なる溝部(97c)とを有するスリット状の連結部(97)が設けられることを特徴とする請求項2記載の車両用ミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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