説明

車両用灯具のコンビネーションランプ

【課題】構造が簡素で製造コストが安価であり、且つ厚みの比較的厚い部分を極力小さくして厚みの薄い部分を大きく確保した車両用灯具のコンビネーションランプを提供すること。
【解決手段】導光板10の裏面をプリズムレンズ部16と双曲柱面部15で構成し、導光板10の表面の前記プリズムレンズ部16に対応する領域からは、主に導光板10の端面に配置された赤色LED20から出射してプリズムレンズ部16で反射して導光板10内を導光された光L1が出射し、導光板10の表面の前記双曲柱面部15に対応する領域からは、主に双曲柱面部15の近傍に配置された白色LED25から出射してそのまま導光板10内を導光された光L2が出射するようにした。そして、導光板10の赤色光出射領域(A)にテールランプとストップランプの2つ機能を持たせ、白色光出射領域(B)にバックランプの機能を持たせた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明灯、表示灯、信号灯など機能別に区画された複数の区画領域で構成された車両用灯具のコンビネーションランプに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコンビネーションランプとしては、例えば、図9((a)は正面図、(b)は(a)のIb−Ib矢視断面図)に示す構成のものが提案されている。
【0003】
それは、中央に赤色に点灯するストップランプ81、その一方の片側に黄色に点灯するターンランプ82、他方の片側に白色に点灯するバックランプ83の機能領域を設け、各機能領域はランプハウジング84で仕切られたランプ収容室85、86、87内に夫々多数の赤色LED88、黄色LED89、白色LED90を配設したものである。
【0004】
そして、夫々のランプ収容室85、86、87から出射された赤色光、黄色光、白色光は、前面の透明カバー91を透過して外部に照射される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−159009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで上記コンビネーションランプ80は、赤色LED88からの赤色光、黄色LED89からの黄色光、白色LED90からの白色光の夫々が前面の透明カバー91に到達するまえに互いに混合しないように、必ず遮光用の仕切りを設ける必要がある。もしも、異なる色調の光同士が透明カバー91に到達するまえに混合すると、透明カバー91を透過した照射光は、所定の機能領域から所望の色調の光を照射するものとはならない。
【0007】
従って、所定の機能領域から所望の色調の光を得るためには、例えばランプハウジング84による遮光用のランプ収容室を設けることが必須要件となる。その結果、ランプハウジング84の構造が複雑して成形金型費が高くなり、製造コストの上昇に繋がる。
【0008】
また、特許文献1の図1によると、各ランプ収容室85、86、87に配設された赤色LED88、黄色LED89、白色LED90はいずれも透明カバー91の直下に配設されており、その結果、コンビネーションランプ80は全面に亘って厚みの厚いものとなってしまう。
【0009】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、構造が簡素で製造コストが安価であり、且つ厚みの比較的厚い部分を極力小さくして厚みの薄い部分を大きく確保した車両用灯具のコンビネーションランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、少なくとも一端面を第1の光入射部とし、表面を光出射部とすると共に表面に対向する裏面を、連続する凸状の三角形のプリズムカットが平行に延設されてなるプリズムレンズ部と第2の光入射部とする導光板と、前記第1の光入射部の近傍に配置された第1のLED光源と前記第2の光入射部の近傍に配置された第2のLED光源と、を備え、前記導光板の光出射部の、前記プリズムレンズ部に対応する領域からは、主に前記第1のLED光源から出射して前記第1の光入射部から導光板内に入射して前記プリズムレンズ部で反射された反射光が出射し、前記導光板の光出射部の、前記第2の光入射部に対応する領域からは、主に前記第2のLED光源から出射して前記第2の光入射部から導光板板内に入射した光がそのまま出射することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記プリズムレンズ部は、前記第1のLED光源からの光を前記光出射部に向けて全反射する全反射面を有することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2において、前記プリズムレンズ部は、該プリズムレンズ部に面接触して設けられた反射部材、又は該プリズムレンズ部に沿って前記プリズムレンズ部の頂点が接触した状態に設けられた反射部を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、請求項1〜請求項3の何れかにおいて、前記第1のLED光源は赤色光を発する赤色LEDであり、前記第2のLED光源は白色光を発する白色LEDであり、前記第1のLED光源の点灯時における前記導光板の光出射部の赤色光出射領域はテールランプとストップランプの何れか又は両方の機能を持ち、前記第2のLED光源の点灯時における前記導光板の光出射部の白色光出射領域はバックランプの機能を持つことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項5に記載された発明は、請求項1〜請求項3の何れかにおいて、前記第1のLED光源は橙色光を発する橙色LEDであり、前記第2のLED光源は白色光を発する白色LEDであり、前記第1のLED光源の点灯時における前記導光板の光出射部の橙色光出射領域はターンランプとマーカーランプの何れか又は両方の機能を持ち、前記第2のLED光源の点灯時における前記導光板の光出射部の白色光出射領域はポジションランプとDRLランプの2つの機能を持つことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用灯具のコンビネーションランプは、一端面を第1の光入射部、表面を光出射部、裏面をプリズムレンズ部と第2の光入射部とする導光板と、第1の光入射部の近傍に配置された第1のLED光源と第2の光入射部の近傍に配置された第2のLED光源とを備え、導光板の光出射部の、プリズムレンズ部に対応する領域からは第1のLED光源から出射してプリズムレンズ部で反射された反射光が出射すると共に第2の光入射部に対応する領域からは第2のLED光源から出射してそのまま導光板内を導光された光が出射するようにした。
【0016】
その結果、実現したコンビネーションランプは、第1のLED光源からの出射光と第2のLED光源からの出射光が混ざるのを防止するための、物理的な遮光手段を設ける必要はない。そのため、遮光部材が不要である、或いは既存の部材に対して遮光部の形成が不要であることから構造の簡素化を図ることが可能となり、安価な製造コストを実現することができる。
【0017】
また、コンビネーションランプの厚みは、導光板の厚みと導光板の下方に配置された第2のLED支持体の厚みとで決まるが、第2のLED支持体が配置された領域はコンビネーションランプ全体に対して一部の領域であり、その他の領域はほぼ導光板の厚みで決まる。そのため、導光板の下方の、第2のLED支持体が配置された領域以外の領域に、例えばLED制御回路等のコンビネーションランプの構成に必要とされる装置、部品等を配設することができる。
【0018】
そのため、導光板の下方のスペースを有効に活用することができ、結果的に、車両の、コンビネーションランプを装着した近傍のスペースを有効に利用できることにもなり、車両の室内空間以外の省スペース化に対する設計自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態の平面説明図である。
【図2】図1のA−A断面説明図である。
【図3】図2の部分拡大説明図である。
【図4】同じく、図2の部分拡大説明図である。
【図5】第2の実施形態の平面説明図である。
【図6】図5のB−B断面説明図である。
【図7】図6の部分拡大説明図である。
【図8】他の実施形態の平面説明図である。
【図9】従来例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の好適な実施形態を図1〜図8を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0021】
図1及び図2は第1の実施形態に係わる説明図であり、図1は平面説明図、図2は図1のA−A断面説明図である。
【0022】
図2より、本実施形態のコンビネーションランプ1は、発光色が赤色の赤色LED光源20及び発光色が白色の白色LED光源25、導光板10、赤色LED光源20を支持する第1のLED支持体30及び白色LED光源25を支持する第2のLED支持体35を備えている。なお、以下、赤色LED光源及び白色LED光源は、夫々赤色LED及び白色LEDと略称する。
【0023】
導光板10は、PMMAやポリカーボネート等の無色透明樹脂を用いて射出成形により形成され、略板状の外形形状を呈している。導光板10の第1の端面11には、赤色LED20の発光源となるLED素子(図示せず)を封止した透光性封止部21を収容するための凹部12が形成されている。
【0024】
凹部12は図3(図2の部分拡大説明図)に示すように、赤色LED20を第1のLED支持体30を介して導光板10に装着したときに、赤色LED20からの出射光が導光板10に入射するときの第1の光入射面13を有し、該第1の光入射面13は赤色LED素子22の主光出射面23上の、該赤色LED素子22の主光出射方向を示す光軸Xが交わる位置Xpを中心とする球面からなっている。
【0025】
これにより、赤色LED20からの出射光は、赤色LED素子22上の位置Xpを中心とする球面状の第1の光入射面13で屈折することなく、放射状に直進して導光板10内に入射する。
【0026】
図2に戻って、導光板10の一方の面(表面)は平坦面からなり、導光板10内を導光された光が外部に照射されるときの光出射面14となっており、他方の面(裏面)は一部の領域が、導光板10の屈折率を考慮した凸状の双曲線が延設されてなる双曲柱面部15で構成され、他の領域が、連続する凸状(凹状でもある)の三角形のプリズムカットが平行に延設されてなるプリズムレンズ部16で構成されている。
【0027】
プリズムレンズ部16は、図3にあるように、赤色LED20に対向する側の全ての面Pが、導光板10の第1の端面11に装着した赤色LED20を点灯したときに、赤色LED20の出射光を反射して反射光が光出射面14の方向に且つ光出射面14と略垂直方向に向かうような角度に設定してある。
【0028】
図2に戻って、導光板10の、プリズムレンズ部16及び赤色LED20の透光性封止部21を収容する凹部12が形成された第1の端面11に対向する側に位置する第2の端面17には、夫々の面に直接接触した状態の反射部材(鏡面反射部材あるいは拡散反射部材)40が配置されている。
【0029】
赤色LED20は例えば、プリント基板等の第1のLED支持体30に実装され、透光性封止部21を凹部12に収容した状態で第1のLED支持体30を介して導光板10に装着されている。
【0030】
白色LED25は例えば、フレキシブル配線基板等の曲面形状が可能な第2のLED支持体35に実装され、導光板10の双曲柱面部15の下方近傍に配置された状態で第2のLED支持体35を介して導光板10に装着されている。
【0031】
この場合、白色LED25は、図4(図2の部分拡大説明図)のように、白色LED素子26の主光出射面27上の、該白色LED素子26の主光出射方向を示す光軸Xが交わる位置Xpを、導光板10の双曲柱面部15の焦点Fの位置に位置させる。
【0032】
これにより、白色LED25からの出射光は、白色LED素子26上の位置Xpを焦点Fの位置とする双曲柱面状の第2の光入射面18で屈折されて、略平行光が導光板10内に入射する。
【0033】
図2に戻って、このような構成のコンビネーションランプ1において、赤色LED20を点灯すると、赤色LED20からの出射光は、導光板10の第1の端面11に形成された凹部12の第1の光入射面13に向かって放射状に照射され、上述のように該第1の光入射面13から、光路が屈折することなく直進して導光板10内に入射する。
【0034】
導光板10内に入射した光のうち、プリズムレンズ部16に向かう光L1は、導光板10内を導光されてプリズムレンズ部16の各面Pに至り、夫々の面Pで反射して反射光が光出射面14の方向に且つ光出射面14と略垂直方向に向かい、更に導光板10内を導光されて光出射面14から光路が屈折することなく直進して導光板10外に向けて出射される。そのため、光出射面14からの出射光L1は、光出射面14の正面方向に照射されることになる。
【0035】
このとき、各面Pのうち、赤色LED20の近傍に位置して、到達した赤色LED20からの光が面Pの法線となす角度が臨界角よりも小さい場合、その光は面Pから導光板10外に出射して該面Pに接触配置された反射部材40で反射されて再度面Pから導光板10内に入射し、導光板10内を導光されて光出射面14から導光板10外に向けて出射される。
【0036】
一方、赤色LED20から離れた位置に位置して、到達した赤色LED20からの光が面Pの法線となす角度が臨界角よりも大きい場合、その光は面Pで反射(全反射)して導光板10内を導光されて光出射面14から導光板10外に向けて出射される。
【0037】
従って、反射部材40は、赤色LED20からの出射光の利用効率を高めるために有効に機能するものである。
【0038】
また、導光板10内に入射した光のうち、光出射面14に向かう光は、その殆どが光出射面14で反射(全反射)されてプリズムレンズ部16に向かい、導光板10内を導光されてプリズムレンズ部16で反射(全反射)或いは反射部材40で反射されて光出射面14に向かう。
【0039】
このように、光出射面14による反射(全反射)、プリズムレンズ部16による反射(全反射)、及び反射部材40による反射のうちの、光学的に選ばれた反射の繰り返しにより最終的に光出射面14から導光板10外に向けて出射される。
【0040】
また、導光板10内に入射した光のうち、赤色LED20に対向する第2の端面17に向かう光は、導光板10内を導光されて第2の端面17から導光板10外に出射して第2の端面17に接触配置された反射部材40で反射されて再度第2の端面17から導光板10内に入射し、上記同様、光学的に選ばれた反射の繰り返しにより最終的に光出射面14から導光板10外に向けて出射される。
【0041】
以上のように、赤色LED20から出射して導光板10の第1の端面11側から導光板10内に入射し、導光板10内を導光されて光出射面14から導光板10外に出射される光は、光出射面14の正面方向に向かう光L1とその他の方向に向かう光とが混在し、正面方向に明るく且つ周囲にも適宜な明るさを有する配光特性を形成するものとなる。
【0042】
これに対し、導光板10の裏面の双曲柱面部15の下方近傍に位置する白色LED25を点灯すると、白色LED25からの出射光L2は、導光板10の裏面に形成された双曲柱面部15の第2の光入射面18に向かって放射状に照射され、上述のように該第2の光入射面18で屈折されて平行光となって導光板10内に入射し、導光板10内を導光されて光出射面14から光路が屈折することなく直進して導光板10外に向けて出射される。
【0043】
このように、白色LED25から出射して導光板10の第2の光入射面18から導光板10内に入射し、導光板10内を導光されて光出射面14から導光板10外に出射される光は、その多くが光出射面14の正面方向に向かう光L2となり、特に正面方向に明るい配光特性を形成するものとなる。
【0044】
そこで、導光板10を光出射面14側から見ると、図1のように、光出射面14は2つの領域(A)、(B)で構成され、領域(A)からは赤色LED20からの赤色光が出射され、領域(A)で囲まれた領域(B)からは白色LED25からの白色光が出射される。
【0045】
従って、赤色光を出射する領域(A)にテールランプとストップランプの何れか又は両方の機能を持たせてそれに対応する制御(点灯)操作を行い、白色光を出射する領域(B)にバックランプの機能を持たせてそれに対応する制御(点灯)操作を行うことにより、多機能のコンビネーションランプを実現することができる。テールランプはマーカーランプとも兼用しても良い。
【0046】
実現したコンビネーションランプは、赤色LEDから出射された赤色光と白色LEDから出射された白色光が混ざるのを防止するための、物理的な遮光手段を設ける必要はない。そのため、遮光部材が不要である、或いは既存の部材に対して遮光部の形成が不要であることから構造の簡素化を図ることが可能となり、安価な製造コストを実現することができる。
【0047】
また、コンビネーションランプの厚みは、導光板の厚みと導光板の下方近傍に配置された第2のLED支持体の厚みとで決まるが、第2のLED支持体が配置された領域はコンビネーションランプ全体に対して一部の領域であり、その他の領域はほぼ導光板の厚みで決まる。そのため、導光板の下方の、第2のLED支持体が配置された領域以外の領域に、例えばLED制御回路等のコンビネーションランプの構成に必要とされる装置、部品等を配設することができる。
【0048】
これにより、導光板の下方のスペースを有効に活用することができ、結果的に、車両の、コンビネーションランプを装着した近傍のスペースを有効に利用できることにもなり、車両の、室内空間を除く省スペース化に対する設計自由度を高めることができる。
【0049】
なお、光源に上記以外の異なる発光色のLED光源を組み合わせ、それにより別な機能の組み合わせによるコンビネーションランプを実現することができる。例えば、光源に橙色LEDと白色LEDを組み合わせ、領域(A)には橙色LEDからの橙色出射光によってターンランプとマーカーランプの何れか又は両方の機能を持たせ、領域(B)からは白色LEDからの白色出射光によってポジションランプとDRLランプの2つの機能を持たせることも可能である。
【0050】
次に、第2の実施形態について、図5及び図6を参照して説明する。図5は第2の実施形態に係わる平面説明図、図6は図5のB−B断面説明図である。
【0051】
本実施形態のコンビネーションランプは、上述の第1の実施形態に対して導光板の形状、特にプリズムレンズ部の形状が異なる。それに伴い、LED光源からの出射光を導光板の両端面から導光板内に入射するようにしたものである。
【0052】
この場合、図6より、第1のLED支持体30に支持された赤色LED20が該第1のLED支持体30を介して導光板60の第1の端面11に装着されていると同時に、第3のLED支持体70に支持された赤色LED20が該第3のLED支持体70を介して導光板60の第2の端面17に装着されている。
【0053】
そこで、導光板60は、第1のLED支持体30に支持された赤色LED20と同様に、第3のLED支持体70に支持された赤色LED20の発光源となるLED素子(図示せず)を封止した透光性封止部21を収容するために凹部61が形成されている。
【0054】
凹部61は、図7(図6の部分拡大説明図)に示すように、赤色LED20を導光板60に装着したときに、赤色LED20からの出射光が導光板60に入射するときの第3の光入射面62を有し、該第3の光入射面62は赤色LED素子22の主光出射面23上の、該赤色LED素子20の主光出射方向を示す光軸Xが交わる位置Xpを中心とする球面からなっている。
【0055】
これにより、この赤色LED20からの出射光は、赤色LED素子22上の位置Xpを中心とする球面状の第3の光入射面62で屈折することなく、放射状に直進して導光板60内に入射する。
【0056】
図6に戻って、導光板60の一方の面(表面)は平坦面からなり、導光板60内を導光された光が外部に照射されるときの光出射面14となっており、他方の面(裏面)は一部の領域が、導光板60の屈折率を考慮した凸状の双曲線が延設されてなる双曲柱面部15で構成され、他の領域が、互いに対向する両端面11、17から中央部に向かって光出射面14側に傾斜しており、傾斜しながら連続する凸状(凹状でもある)の三角形のプリズムカットが平行に延設されてなるプリズムレンズ部63、64で構成されている。
【0057】
第1の端面11から延びる第1のプリズムレンズ部63は、第1の端面11側に配置された赤色LED20に対向する側の全ての面P1が、導光板60の第1の端面11に装着した赤色LED20を点灯したときに、赤色LED20の出射光を反射して反射光が光出射面14の方向に且つ光出射面14と略垂直方向に向かうような角度に設定してある。
【0058】
また、第2の端面17から延びる第2のプリズムレンズ部64は、第2の端面17側に配置された赤色LED20に対向する側の全ての面P2が、導光板60の第2の端面17に装着した赤色LED20を点灯したときに、赤色LED20の出射光を反射して反射光が光出射面14の方向に且つ光出射面14と略垂直方向に向かうような角度に設定してある。
【0059】
第1のプリズムレンズ部63及び第2のプリズムレンズ部64には、直接接触した状態の反射部材(鏡面反射部材あるいは拡散反射部材)40が配置されている。
【0060】
このような構成のコンビネーションランプ50において、第1の端面11側に配置された赤色LED20を点灯すると、赤色LED20からの出射光は、導光板60の第1の端面11に形成された凹部12の第1の光入射面13に向かって放射状に照射され、上述のように該第1の光入射面13から、光路が屈折することなく直進して導光板60内に入射する。
【0061】
導光板60内に入射した光のうち、第1のプリズムレンズ部63に向かう光L10は、導光板60内を導光されて第1のプリズムレンズ部63の各面P1に至り、夫々の面P1で反射して反射光が光出射面14の方向に且つ光出射面14と略垂直方向に向かい、更に導光板60内を導光されて光出射面14から光路が屈折することなく直進して導光板60外に向けて出射される。そのため、光出射面14からの出射光L10は、光出射面14の正面方向に照射されることになる。
【0062】
このとき、各面P1のうち、赤色LED20の近傍に位置して、到達した赤色LED20からの光が面P1の法線となす角度が臨界角よりも小さい場合、その光は面P1から導光板60外に出射して該面P1に接触配置された反射部材40で反射されて再度面P1から導光板60内に入射し、導光板60内を導光されて光出射面14から導光板60外に向けて出射される。
【0063】
一方、赤色LEDから離れた位置に位置して、到達した赤色LED20からの光が面P1の法線となす角度が臨界角よりも大きい場合、その光は面P1で反射(全反射)して導光板60内を導光されて光出射面14から導光板60外に向けて出射される。
【0064】
従って、反射部材40は、第1の端面11側に配置された赤色LED20からの出射光の利用効率を高めるために有効に機能するものである。
【0065】
また、導光板60内に入射した光のうち、光出射面14に向かう光は、その殆どが光出射面14で反射(全反射)されて第1のプリズムレンズ部63及び第2のプリズムレンズ部64に向かい、導光板60内を導光されて第1のプリズムレンズ部63及び第2のプリズムレンズ部64で反射(全反射)或いは反射部材40で反射されて光出射面14に向かう。
【0066】
このように、光出射面14による反射(全反射)、第1のプリズムレンズ部63及び第2のプリズムレンズ部64による反射(全反射)、及び反射部材40による反射のうちの、光学的に選ばれた反射の繰り返しにより最終的に光出射面14から導光板60外に向けて出射される。
【0067】
一方、第2の端面17側に配置された赤色LED20を点灯すると、赤色LED20からの出射光は、導光板60の第2の端面17に形成された凹部61の第3の光入射面62に向かって放射状に照射され、上述のように該第3の光入射面62から、光路が屈折することなく直進して導光板60内に入射する。
【0068】
導光板60内に入射した光のうち、第2のプリズムレンズ部64に向かう光L11は、導光板60内を導光されて第2のプリズムレンズ部64の各面P2に至り、夫々の面P2で反射して反射光が光出射面14の方向に且つ光出射面14と略垂直方向に向かい、更に導光板60内を導光されて光出射面14から光路が屈折することなく直進して導光板60外に向けて出射される。そのため、光出射面14からの出射光L11は、光出射面14の正面方向に照射されることになる。
【0069】
このとき、各面P2のうち、赤色LED20の近傍に位置して、到達した赤色LED20からの光が面P2の法線となす角度が臨界角よりも小さい場合、その光は面P2から導光板60外に出射して該面P2に接触配置された反射部材40で反射されて再度面P2から導光板60内に入射し、導光板60内を導光されて光出射面14から導光板60外に向けて出射される。
【0070】
一方、赤色LEDから離れた位置に位置して、到達した赤色LED20からの光が面P2の法線となす角度が臨界角よりも大きい場合、その光は面P2で反射(全反射)して導光板60内を導光されて光出射面14から導光板60外に向けて出射される。
【0071】
従って、反射部材40は、第2の端面17側に配置された赤色LED20からの出射光の利用効率を高めるために有効に機能するものである。
【0072】
また、導光板60内に入射した光のうち、光出射面14に向かう光は、その殆どが光出射面14で反射(全反射)されて第2のプリズムレンズ部64及び第1のプリズムレンズ部63に向かい、導光板60内を導光されて第2のプリズムレンズ部64及び第1のプリズムレンズ部63で反射(全反射)或いは反射部材40で反射されて光出射面14に向かう。
【0073】
このように、光出射面14による反射(全反射)、第2のプリズムレンズ部64及び第1のプリズムレンズ部63による反射(全反射)、及び反射部材40による反射のうちの、光学的に選ばれた反射の繰り返しにより最終的に光出射面14から導光板10外に向けて出射される。
【0074】
以上のように、赤色LED20から出射して導光板60の第1の端面11側から導光板60内に入射し、導光板60内を導光されて光出射面14から導光板60外に出射される光は、光出射面14の正面方向に向かう光L10とその他の方向に向かう光とが混在し、同様に、赤色LED20から出射して導光板60の第2の端面17側から導光板60内に入射し、導光板60内を導光されて光出射面14から導光板60外に出射される光は、光出射面14の正面方向に向かう光L11とその他の方向に向かう光とが混在し、いずれも正面方向に明るく且つ周囲にも適宜な明るさを有する配光特性を形成するものとなる。
【0075】
従って、第1の端面11側に配置された赤色LED20と第2の端面17側に配置された赤色LED20を同時に点灯すると、上記光10と光11とによって正面方向の明るさが大幅に向上し、それ以外の光によって全体の明るさも明るくなる。
【0076】
これに対し、導光板60裏面の双曲柱面部15の下方近傍に位置する白色LED25を点灯すると、白色LED25からの出射光L12は、導光板60の裏面に形成された双曲柱面部15の第2の光入射面18に向かって放射状に照射され、上述のように該第2の光入射面18で屈折されて平行光となって導光板60内に入射し、導光板60内を導光されて光出射面14から光路が屈折することなく直進して導光板60外に向けて出射される。
【0077】
このように、白色LED25から出射して導光板60の第2の光入射面18から導光板60内に入射し、導光板60内を導光されて光出射面14から導光板60外に出射される光は、その多くが光出射面14の正面方向に向かう光L12となり、特に正面方向に明るい配光特性を形成するものとなる。
【0078】
そこで、導光板60を光出射面14側から見ると、図5のように、光出射面14は2つの領域(A)、(B)で構成され、領域(A)からは赤色LED20からの赤色光が出射され、領域(A)で囲まれた領域(B)からは白色LED25からの白色光が出射される。
【0079】
従って、赤色光を出射する領域(A)にテールランプとストップランプの何れか又は両方の機能を持たせてそれに対応する制御(点灯)操作を行い、白色光を出射する領域(B)にバックランプの機能を持たせてそれに対応する制御(点灯)操作を行うことにより、多機能のコンビネーションランプを実現することができる。テールランプはマーカーランプとも兼用しても良い。
【0080】
実現したコンビネーションランプは、赤色LEDから出射された赤色光と白色LEDから出射された白色光が混ざるのを防止するための、物理的な遮光手段を設ける必要はない。そのため、遮光部材が不要である、或いは既存の部材に対して遮光部の形成が不要であることから構造の簡素化を図ることが可能となり、安価な製造コストを実現することができる。
【0081】
また、コンビネーションランプの厚みは、導光板の厚みと導光板の下方に配置された第2のLED支持体の厚みとで決まるが、第2のLED支持体が配置された領域はコンビネーションランプ全体に対して一部の領域であり、その他の領域はほぼ導光板の厚みで決まる。そのため、導光板の下方の、第2のLED支持体が配置された領域以外の領域に、例えばLED制御回路等のコンビネーションランプの構成に必要とされる装置、部品等を配設することができる。
【0082】
そのため、導光板の下方のスペースを有効に活用することができ、結果的に、車両の、コンビネーションランプを装着した近傍のスペースを有効に利用できることにもなり、車両の室内空間以外の省スペース化に対する設計自由度を高めることができる。
【0083】
なお、光源に上記以外の異なる発光色のLED光源を組み合わせ、それにより別な機能の組み合わせによるコンビネーションランプを実現することができる。例えば、光源に橙色LEDと白色LEDを組み合わせ、領域(A)には橙色LEDからの橙色出射光によってターンランプの機能を持たせ、領域(B)からは白色LEDからの白色出射光によってポジションランプとDRLランプの2つの機能を持たせることも可能である。また、ターンランプはマーカーランプとしても、さらには両方の機能を兼用しても良い。
【0084】
ところで、上述の第1の実施例及び第2の実施例は共に、1つの領域(B)が領域Aによって囲まれた構成とするものであったが、例えば図8(導光板60を光出射面14側から見た図)に示すように、領域(A)で囲まれた中に複数箇所(図8では2箇所)の領域(B)を設ける構成とすることも可能である。
【0085】
何れにしても、導光板の端面に配置されたLEDから出射された光は、端面の光入射面から導光板内に入射して、主に導光板の裏面に形成されたプリズムレンズ部による反射(全反射)によって導光板の光出射面の所定の領域から外部に向けて出射され、導光板の下方近傍に配置されたLEDから出射された光は、導光板の裏面に形成された光入射面から導光板内に入射して、主にそのまま導光板の光出射面の、前記領域とは異なる所定の領域から外部に向けて出射される構成であればよい。
【0086】
このような構成を満足するものであれば、異なる発光色のLED光源の組み合わせ、及び各LED光源からの光が出射される各領域の形状寸法及び配置については特に限定されるものではない。
【0087】
なお、上述の第1の実施例及び第2の実施例においては、反射部材を導光板のプリズムレンズ部の面に直接接触(面接触)した状態で配置したが、必ずしもこれに限られるものではなく、プリズムレンズ部に沿って該プリズムレンズ部の頂点が接触した状態に配置してもよい。また、LED支持体の、プリズムレンズ部と対向する側に配置してもよい。
【0088】
ところで、上述の構成からなるコンビネーションランプは、これをインナーレンズとし、導光板の光出射方向の前面に配光形成のレンズカットを施したアウターレンズを配置して、このインナーレンズとアウターレンズで灯具を形成することができる。
【0089】
また、導光板の表面(光出射面)に配光形成のレンズカットを施して、LED光源を装着した導光板のみで灯具とすることもできる。
【符号の説明】
【0090】
1… コンビネーションランプ
10… 導光板
11… 第1の端面
12… 凹部
13… 第1の光入射面
14… 光出射面
15… 双曲柱面部
16… プリズムレンズ部
17… 第2の端面
18… 第2の光入射面
20… 赤色LED光源
21… 透光性封止部
22… 赤色LED素子
23… 主光出射面
25… 白色LED光源
26… 白色LED素子
27… 主光出射面
30… 第1のLED支持体
35… 第2のLED支持体
40… 反射部材
50… コンビネーションランプ
60… 導光板
61… 凹部
62… 第3の光入射面
63… 第1のプリズムレンズ部
64… 第2のプリズムレンズ部
70… 第3のLED支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端面を第1の光入射部とし、表面を光出射部とすると共に表面に対向する裏面を、連続する凸状の三角形のプリズムカットが平行に延設されてなるプリズムレンズ部と第2の光入射部とする導光板と、
前記第1の光入射部の近傍に配置された第1のLED光源と前記第2の光入射部の近傍に配置された第2のLED光源と、を備え、
前記導光板の光出射部の、前記プリズムレンズ部に対応する領域からは、主に前記第1のLED光源から出射して前記第1の光入射部から導光板内に入射して前記プリズムレンズ部で反射された反射光が出射し、前記導光板の光出射部の、前記第2の光入射部に対応する領域からは、主に前記第2のLED光源から出射して前記第2の光入射部から導光板内に入射した光がそのまま出射することを特徴とする車両用灯具のコンビネーションランプ。
【請求項2】
前記プリズムレンズ部は、前記第1のLED光源からの光を前記光出射部に向けて全反射する全反射面を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具のコンビネーションランプ。
【請求項3】
前記プリズムレンズ部は、該プリズムレンズ部に面接触して設けられた反射部材、又は該プリズムレンズ部に沿って前記プリズムレンズ部の頂点が接触した状態に設けられた反射部を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具のコンビネーションランプ。
【請求項4】
前記第1のLED光源は赤色光を発する赤色LEDであり、前記第2のLED光源は白色光を発する白色LEDであり、前記第1のLED光源の点灯時における前記導光板の光出射部の赤色光出射領域はテールランプとストップランプの何れか又は両方の機能を持ち、前記第2のLED光源の点灯時における前記導光板の光出射部の白色光出射領域はバックランプの機能を持つことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の車両用灯具のコンビネーションランプ。
【請求項5】
前記第1のLED光源は橙色光を発する橙色LEDであり、前記第2のLED光源は白色光を発する白色LEDであり、前記第1のLED光源の点灯時における前記導光板の光出射部の橙色光出射領域はターンランプとマーカーランプの何れか又は両方の機能を持ち、前記第2のLED光源の点灯時における前記導光板の光出射部の白色光出射領域はポジションランプとDRLランプの2つの機能を持つことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の車両用灯具のコンビネーションランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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