説明

車両用灯具ユニット

【課題】機能の異なる複数のランプ(例えば、ロービーム用ヘッドランプとデイタイムランニングランプ)の両立が可能な車両用灯具ユニットを提供する。
【解決手段】投影レンズ11と、前記投影レンズ11と組み合わされた第1ランプ構成要素と、第2ランプ構成要素と、を備えており、前記第1ランプ構成要素は、第1半導体発光素子12と、回転楕円系の第1反射面13と、第1シェード14と、を備えており、第2ランプ構成要素は、前記第1ランプ構成要素からの光のうち前記投影レンズ11を透過する光の光路と前記第1シェード14との間のスペースに、前記投影レンズ11を透過する光を遮らないように配置された第2半導体発光素子15及び第2反射面16と、を備えており、当該第2反射面16で反射される前記第2半導体発光素子15からの光が、前記投影レンズ11を透過して前方に照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具ユニットに係り、特に、機能の異なる複数のランプ(例えば、ロービーム用ヘッドランプとデイタイムランニングランプ)の両立が可能な車両用灯具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用灯具の分野においては、図7に示すように、ロービーム用ヘッドランプAや昼間前方へ車両の存在を示すために用いられるデイタイムランニングランプT等の各種ランプを配置した車両用灯具200が知られている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Bosch Automotive Handbook(7th edition) P968
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1においては、機能の異なるランプ(例えば、ロービーム用ヘッドランプA、デイタイムランニングランプT)を別個のランプとして構成して車両前部の異なる箇所に配置する構成であるため(図7参照)、その構成上、限られたスペースに機能の異なる複数のランプ(例えば、ロービーム用ヘッドランプA、デイタイムランニングランプT)を配置することが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、機能の異なる複数のランプ(例えば、ロービーム用ヘッドランプとデイタイムランニングランプ)の両立が可能な車両用灯具ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両前後方向に延びる光軸上に配置された投影レンズと、前記投影レンズと組み合わされて第1ランプを構成する第1ランプ構成要素と、前記投影レンズと組み合わされて第2ランプを構成する第2ランプ構成要素と、を備えており、前記第1ランプ構成要素は、前記投影レンズの車両後方側焦点より後方側かつ前記光軸近傍に、略上向きに光を放射するように配置された第1半導体発光素子と、第1焦点が前記第1半導体発光素子近傍に設定され、第2焦点が前記投影レンズの車両後方側焦点近傍に設定された回転楕円系の反射面であって、前記第1半導体発光素子からの光が入射するように、前記第1半導体発光素子の上方に配置された第1反射面と、前記第1半導体発光素子からの光の一部を遮光するように、前記投影レンズと前記第1半導体発光素子との間に配置された第1シェードと、を備えており、前記第2ランプ構成要素は、前記第1半導体発光素子からの光のうち前記投影レンズを透過する光の光路と前記第1シェードとの間のスペースに、前記投影レンズを透過する光を遮らないように配置された第2半導体発光素子及び第2反射面と、を備えており、前記第2半導体発光素子は、略上向きに光を放射するように前記スペースに配置されており、前記第2反射面は、前記第2半導体発光素子からの光が入射するように、前記第1半導体発光素子の上方に配置されるとともに、当該第2反射面で反射される前記第2半導体発光素子からの光が、前記投影レンズを透過して前方に照射されるように前記スペースに配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、第1半導体発光素子から放射されて第1反射面に入射する光は、当該第1反射面で反射されて投影レンズの車両後方側焦点近傍で集光した後拡散する形となるため、第1半導体発光素子からの光のうち投影レンズを透過する光の光路とシェードとの間には、投影レンズを透過する光が通過しないスペースが形成され、このスペースに、他のランプ機能を実現するための第2ランプ構成要素(例えば、第2半導体発光素子、第2反射面)を配置することが可能となる。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、プロジェクタ型の車両用灯具ユニットのデッドスペースに、他のランプ機能を実現するための第2ランプ構成要素(例えば、第2半導体発光素子、第2反射面)を配置することが可能となるため、サイズを拡大することなく(又は、ほとんど拡大することなく)、一つのプロジェクタ型の車両用灯具ユニットで、機能の異なる複数のランプを両立させることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機能の異なる複数のランプ(例えば、ロービーム用ヘッドランプとデイタイムランニングランプ)の両立が可能な車両用灯具ユニットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の車両用灯具ユニット10をその光軸AXを含む鉛直面で切断した縦断面図である。
【図2】(a)第1半導体発光素子12の斜視図、(b)第2半導体発光素子15の斜視図である。
【図3】第1半導体発光素子12の指向特性の例である。
【図4】ロービーム用配光パターンP1の例である。
【図5】DRL用配光パターンP2の例である。
【図6】本実施形態の車両用灯具ユニット10に用いられるレンズ11の変形例である。
【図7】従来の車両用灯具200の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態である車両用灯具ユニットについて図面を参照しながら説明する。
【0012】
本実施形態の車両用灯具ユニット10は、DRL(デイタイムランニングランプ)又は車両用前照灯(兼ポジションランプ)として機能するコンビネーション型の車両用灯具ユニットであり、自動車等の車両の前面の左右両側にそれぞれ少なくとも1つ配置されている。車両用灯具ユニット10には、その光軸調整が可能なように公知のエイミング機構(図示せず)が連結されている。
【0013】
図1は、車両用灯具ユニット10をその光軸AXを含む鉛直面で切断した縦断面図である。
【0014】
図1に示すように、車両用灯具ユニット10は、車両前後方向に延びる光軸AX上に配置されたレンズ11、レンズ11の車両後方側焦点F11より後方側かつ光軸AX近傍に配置された第1半導体発光素子12、第1半導体発光素子12の上方に配置された第1反射面13、第1反射面13で反射された第1半導体発光素子12からの光の一部を遮光するように、ヒートシンク18にネジNでネジ止めされることで、レンズ11と第1半導体発光素子12との間に配置されたシェード14、レンズ11とシェード14との間に配置された第2半導体発光素子15、第2半導体発光素子15の上方に配置された第2反射面16、レンズホルダー17、ヒートシンク18等を備えている。
【0015】
図1に示すように、レンズ11は、シェード14に一体的に形成されたレンズホルダー17に保持されて車両前後方向に延びる光軸AX上に配置されている。
【0016】
レンズ11は、例えば、車両前方側表面が凸面で車両後方側表面が平面の平凸非球面の投影レンズである。レンズ11は、透明樹脂(アクリルやポリカーボネイト等)を、金型に注入し、冷却、固化させることで成形された透明樹脂製レンズであってもよいし、ガラス製レンズであってもよい。レンズ11は、正面視で円形、楕円形であってもよいし、正面視でn角形(nは3以上の整数)の形状となるようにその外周がカットされた形状又はその他形状であってもよい。
【0017】
まず、レンズ11と組み合わされてロービーム用配光パターンを形成する第1ランプ(本実施形態では、プロジェクタ型の車両用灯具ユニットであるヘッドランプ)を構成する第1ランプ構成要素について説明する。
【0018】
第1ランプ構成要素は、第1半導体発光素子12、反射面13、第1シェード14等からなる。
【0019】
図2(a)は、第1半導体発光素子12の斜視図である。
【0020】
第1半導体発光素子12は、例えば、複数のチップ型LED12a(例えば、1mm角の青色LEDチップ×4)である。各LED12aのLEDチップは蛍光体(例えば、黄色蛍光体であるYAG蛍光体)で覆われている。LED12aは4つに限られず、1〜3又は5つ以上であってもよい。各LED12aは、DRL用配光パターンより明るさが求められるロービーム用配光パターンを形成するために、第2半導体発光素子15の各LED15aより高輝度のものが用いられる。
【0021】
各LED12aは、略上向き(図1中、斜め後方上向きを例示)に光を放射するようにヒートシンクの上面(図示せず)等に固定された第1基板KA上に実装されて、レンズ11の車両後方側焦点F11より後方側かつ光軸AX近傍に配置されている。各LED12aは、その一辺を光軸AXに直交する水平線に沿わせて所定間隔で一列(図1中紙面に直交する方向)にかつ光軸AXに対して対称となるように配置されている(図2(a)参照)。
【0022】
第1基板KAは、車両前端側KAaが車両後端側KAbより上方に位置するように水平面に対して傾斜して配置されている(図1参照)。これにより、各LED12aの軸AX12aが斜め後方上向きとなっている。なお、第1基板KAは、車両前端側KAaと車両後端側KAbとが同一水平面上に位置するように水平姿勢で配置されていてもよい。
【0023】
第1半導体発光素子12には、電源ケーブルCを介して点灯回路(図示せず)が電気的に接続されている。第1半導体発光素子12は、点灯回路から定電流が供給されることで点消灯制御される。第1半導体発光素子12から発生する熱量はヒートシンク18の作用により放熱される。
【0024】
図3は、第1半導体発光素子12(LED12a)の指向特性の例である。第2半導体発光素子15(LED15a)の指向特性も同様である。
【0025】
指向特性とは、第1半導体発光素子12(LED12a)上の軸AX12a上光度を100%とした場合の、第1半導体発光素子12(LED12a)に対して所定角度傾いた方向の光度の割合のことであり、第1半導体発光素子12(LED12a)が放射する光の広がりを表している。光度の割合が50%となる角度が半値角である。図4では、±60度が半値角である。
【0026】
なお、第1半導体発光素子12は、略点状に面発光する発光チップを有する素子状の光源であればよく、チップ型LED12aに限定されない。例えば、第1半導体発光素子12は、チップ型以外の発光ダイオードやレーザダイオードであってもよい。
【0027】
図1に示すように、第1反射面13は、第1焦点F113が第1半導体発光素子12近傍に設定され、第2焦点F213がレンズ11の車両後方側焦点F11近傍に設定された回転楕円系の反射面(回転楕円面又はこれに類する自由曲面等)である。
【0028】
第1反射面13は、第1半導体発光素子12から略上向きに放射される光のうち第1半導体発光素子12の軸AX12aに対して狭角方向に放射される相対的に高い光度の光(例えば、半値角付近から内の光。図3では±60度内の光)が入射するように、第1半導体発光素子12の側方(図1中、車両後方側の側方)からレンズ11に向かって延びて、第1半導体発光素子12の上方を覆っている。第1半導体発光素子12から放射されて第1反射面13に入射する光は、当該第1反射面13で反射されてレンズ11の車両後方側焦点F11近傍で集光した後、レンズ11を透過して前方に照射される。
【0029】
シェード14は、レンズ11の車両後方側焦点F11から第1半導体発光素子12側に延びるミラー面14aを含んでいる。シェード14の前端縁は、レンズ11の車両後方側の焦点面に沿って凹に湾曲している。ミラー面14aに入射し上向きに反射される光はレンズ11で屈折して路面方向に向かう。すなわち、ミラー面14aに入射した光がカットオフラインを境に折り返されてカットオフライン以下の配光パターンに重畳される形となる。
【0030】
第1半導体発光素子12から放射されて第1反射面13に入射する光は、当該第1反射面13で反射されてレンズ11の車両後方側焦点F11近傍で集光した後拡散する形となるため、第1半導体発光素子12からの光のうちレンズ11を透過する光の光路とシェード14(及びこれと一体的に形成されたレンズホルダー17)との間には、レンズ11を透過する光が通過しないスペースSが形成され(図1参照)、このスペースSに、他のランプ機能(本実施形態では、デイタイムランニングランプ又はポジションランプ)を実現するための第2ランプ構成要素(例えば、第2半導体発光素子15、第2反射面16)を配置することが可能となる。
【0031】
次に、レンズ11(主に光軸AX以下のレンズ部)と組み合わされてDRL用配光パターン又はポジションランプ用配光パターンを形成する第2ランプ(本実施形態では、デイタイムランニングランプ兼ポジションランプ)を構成する第2ランプ構成要素について説明する。
【0032】
第2ランプ構成要素は、第2半導体発光素子15、第2反射面16等からなる。第2半導体発光素子15、第2反射面16は、スペースSに、レンズ11を透過する第1反射面13からの光を遮らないように配置されている。
【0033】
図2(b)は、第2半導体発光素子15の斜視図である。
【0034】
第2半導体発光素子15は、例えば、複数のチップ型LED15a(例えば、1mm角の青色LEDチップ×4)である。各LED15aのLEDチップは蛍光体(例えば、黄色蛍光体であるYAG蛍光体)で覆われている。LED15aは4つに限られず、1〜3又は5つ以上であってもよい。
【0035】
各LED15aは、略上向き(図1中、斜め後方上向きを例示)に光を放射するようにレンズホルダー17の内周面等に固定された第2基板KB上に実装されて、レンズ11とシェード14との間のスペースSに配置されている。各LED15aは、その一辺を光軸AXに直交する水平線に沿わせて所定間隔で一列(図1中紙面に直交する方向)にかつ光軸AXに対して対称となるように配置されている。
【0036】
なお、第2半導体発光素子15は、略点状に面発光する発光チップを有する素子状の光源であればよく、チップ型LED15aに限定されない。例えば、第2半導体発光素子15は、チップ型以外の発光ダイオードやレーザダイオードであってもよい。
【0037】
第2反射面16は、第2半導体発光素子15から略上向きに放射される光のうち第2半導体発光素子15の軸AX15aに対して狭角方向に放射される相対的に高い光度の光(例えば、半値角付近から内の光。図3では±60度内の光)が入射するように、第2半導体発光素子15の側方(図1中、車両後方側の側方)からその光軸AX15a近傍まで前方斜め上方に向かって延びて、第2半導体発光素子15の上方を覆っている。
【0038】
第2反射面16は、当該第2反射面で反射される第2半導体発光素子15からの光が、レンズ11を透過して前方に照射されるように、スペースSに傾斜して配置されている。第2反射面16の水平面に対する傾斜角度は、仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンの上下方向に影響する。このため、第2反射面16の水平面に対する傾斜角度は、求められる配光規格の範囲に光が照射されるような傾斜角度とされている。
【0039】
第2反射面16は、例えば、これで反射され、レンズ11を透過して前方に照射される第2半導体発光素子15からの光が上下左右方向に拡散されて、仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンの上下左右幅がDRL用配光パターンに適した上下左右幅となるように設計された形状(例えば、凹面)とされている。上下左右方向の拡散の程度は、例えば、第2反射面16を調整することで、調整可能である。
【0040】
第2反射面16は、例えば、熱硬化性樹脂を、金型に注入し、冷却、固化させることで成形された基材に対して、アルミ蒸着等の鏡面処理を施すことで形成される放物面基調の反射面であって、複数の小区画反射面(図示せず)を含むマルチリフレクタとすることが可能である。仮想鉛直スクリーン上の必要なエリアを照射するように各小区画反射面を調整することで、DRL用配光パターンに適した上下左右幅かつ照度分布の配光パターンを形成することが可能となる。なお、第2反射面16が放物面基調の反射面である場合、第2半導体発光素子15は、第2反射面16の焦点近傍に配置するのが望ましい。
【0041】
第2半導体発光素子15には、電源ケーブルを介して点灯回路(図示せず)が電気的に接続されている。第2半導体発光素子15は、点灯回路から定電流が供給されることで点消灯制御される。第2半導体発光素子15から放射されて第2反射面16に入射する光は、当該第2反射面16で反射されてレンズ11を透過して前方に照射される。
【0042】
次に、上記構成の車両用灯具ユニット10の動作例について説明する。
【0043】
点灯回路(図示せず)に接続されたスイッチ(図示せず)によりロービームが選択された場合、点灯回路(図示せず)は、第2半導体発光素子15に定電流I1(ロービーム時の定電流I1<DRL時の定電流I2)を供給し、第1半導体発光素子12に定電流I3を供給する。これにより、第1半導体発光素子12及び第2半導体発光素子15が点灯する(第2半導体発光素子15はDRLが選択された場合より減光された状態で点灯する)。
【0044】
この場合、第2半導体発光素子15からの光は、後述のDRL選択時と同様の光路を辿る。これにより、仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に、水平線H−Hより上及び下で水平方向に拡がるポジションランプ用配光パターンに適した配光パターンが形成される。
【0045】
一方、第1半導体発光素子12からの光は、次の光路を辿る。
【0046】
すなわち、第1半導体発光素子12から放射されて第1反射面13に入射する光は、当該第1反射面13で反射されてレンズ11の車両後方側焦点F11近傍で集光した後、レンズ11を透過して前方に照射される。また、第1反射面13で反射されてミラー面14aに入射し上向きに反射される光はレンズ11で屈折して路面方向に向かう。すなわち、ミラー面14aに入射した光がカットオフラインを境に折り返されてカットオフライン以下の配光パターンに重畳される形となる。
【0047】
以上により、図4に示すように、仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置されている)上に、シェード14によって規定されるカットオフラインCLを上端縁に含むロービーム用配光パターンに適した配光パターンP1が形成される。
【0048】
次に、点灯回路(図示せず)に接続されたスイッチ(図示せず)によりDRLが選択された場合、点灯回路は、第2半導体発光素子15に定電流I2(ロービーム時の定電流I1<DRL時の定電流I2)を供給する。これにより、第2半導体発光素子15が点灯する(第1半導体発光素子12は点灯しない)。
【0049】
この場合、第2半導体発光素子15からの光は、次の光路を辿る。
【0050】
すなわち、第2半導体発光素子15から放射されて第2反射面16に入射する光は、当該第2反射面16で反射されてレンズ11を透過して前方に照射される。レンズ11を透過する第2半導体発光素子15からの光は、当該レンズ11(主にレンズ11のうち光軸AX以下の部分)の作用によって、上下左右幅がDRL用配光パターンに適した上下左右幅となるように拡散される。これは、レンズ11の形状により、第2反射面16からレンズ11に入光した光が屈折して拡散するためである(第2半導体発光素子15がレンズ11の車両後方側焦点F11からずれた位置に配置されているので拡散する)。
【0051】
これにより、図5に示すように、仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に、水平線H−Hより上及び下(例えば、水平線H−Hより上10度から下10度にかけての範囲)で水平方向に拡がるDRL用配光パターンに適した第2配光パターンP2が形成される。
【0052】
なお、第2反射面16を調整し、上下左右方向の拡散の程度を調整することで、欧州で求められる水平線H−Hより上10度から下5度にかけての範囲に拡散するDRL用配光パターン、北米で求められる水平線H−Hより上5度から下5度にかけての範囲に拡散するDRL用配光パターンを形成することが可能となる。
【0053】
なお、車両用灯具ユニット10は、各配光パターンP1、P2が仮想鉛直スクリーン上の適正範囲を照射するように公知のエイミング機構(図示せず)により光軸調整されている。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具ユニット10によれば、第1半導体発光素子12から放射されて第1反射面13に入射する光は、当該第1反射面13で反射されてレンズ11の車両後方側焦点F11近傍で集光した後拡散する形となるため、第1半導体発光素子12からの光のうちレンズ11を透過する光の光路とシェード14(及びこれと一体的に形成されたレンズホルダー17)との間には、レンズ11を透過する光が通過しないスペースSが形成され(図1参照)、このスペースSに、他のランプ機能を実現するための第2ランプ構成要素(例えば、第2半導体発光素子15、第2反射面16)を配置することが可能となる。
【0055】
すなわち、本実施形態の車両用灯具ユニット10によれば、プロジェクタ型の車両用灯具ユニットのデッドスペースSに、他のランプ機能を実現するための第2ランプ構成要素(例えば、第2半導体発光素子15、第2反射面16)を配置することが可能となるため、サイズを拡大することなく(又は、ほとんど拡大することなく)、一つのプロジェクタ型の車両用灯具ユニットで、機能の異なる複数のランプ(本実施形態では、ヘッドランプ、デイタイムランニングランプ、ポジションランプ)を両立させることが可能となる。
【0056】
次に、変形例について説明する。
【0057】
上記実施形態では、ロービームが選択された場合、第1半導体発光素子12及び第2半導体発光素子15が点灯する(第2半導体発光素子15はDRLが選択された場合より減光された状態で点灯する)ように説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、ロービームが選択された場合、第1半導体発光素子12のみを点灯し、第2半導体発光素子15を点灯しないようにしてもよい。
【0058】
なお、図6に示すように、レンズ11の一部(第1反射面13からの光が通過しない部分)にDRL用のレンズ面11a(拡散面。例えば、曲面)を形成し、このレンズ面11aで第2半導体発光素子15からの光を上下左右方向に拡散させることで、仮想鉛直スクリーン上に上下左右幅がDRL用配光パターンに適した上下左右幅の配光パターンを形成するようにしてもよい。この場合、DRL用のレンズ面11aに平行光が入光するように、第2反射面16を放物面系の反射面とし、第2半導体発光素子15を第2反射面16の焦点近傍に配置するのが望ましい。
【0059】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
10…車両用灯具ユニット、11…レンズ、12…第1半導体発光素子、12a…LEDチップ、13…第1反射面、14…シェード、14a…ミラー面、15…第2半導体発光素子、15a…LEDチップ、16…第2反射面、17…レンズホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延びる光軸上に配置された投影レンズと、
前記投影レンズと組み合わされて第1ランプを構成する第1ランプ構成要素と、
前記投影レンズと組み合わされて第2ランプを構成する第2ランプ構成要素と、
を備えており、
前記第1ランプ構成要素は、
前記投影レンズの車両後方側焦点より後方側かつ前記光軸近傍に、略上向きに光を放射するように配置された第1半導体発光素子と、
第1焦点が前記第1半導体発光素子近傍に設定され、第2焦点が前記投影レンズの車両後方側焦点近傍に設定された回転楕円系の反射面であって、前記第1半導体発光素子からの光が入射するように、前記第1半導体発光素子の上方に配置された第1反射面と、
前記第1半導体発光素子からの光の一部を遮光するように、前記投影レンズと前記第1半導体発光素子との間に配置された第1シェードと、
を備えており、
前記第2ランプ構成要素は、
前記第1半導体発光素子からの光のうち前記投影レンズを透過する光の光路と前記第1シェードとの間のスペースに、前記投影レンズを透過する光を遮らないように配置された第2半導体発光素子及び第2反射面と、を備えており、
前記第2半導体発光素子は、略上向きに光を放射するように前記スペースに配置されており、
前記第2反射面は、前記第2半導体発光素子からの光が入射するように、前記第1半導体発光素子の上方に配置されるとともに、当該第2反射面で反射される前記第2半導体発光素子からの光が、前記投影レンズを透過して前方に照射されるように前記スペースに配置されていることを特徴とする車両用灯具ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−62147(P2013−62147A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199844(P2011−199844)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】