説明

車両用灯具

【課題】基板から剥離した保護カバーの基板からの脱落を防ぐ。
【解決手段】車両用灯具1は、光源モジュール100と、給電モジュール300とを備える。光源モジュール100は、半導体発光素子110と、半導体発光素子110へ電力を伝達する電極140が形成され、半導体発光素子110を支持する基板120と、基板120に接する端部の外周縁の少なくとも一部から突出したフランジ部134を有し、半導体発光素子110を被覆する保護カバー130と、を含む。給電モジュール300は、基板120を係止する本体部310と、本体部310に形成され、電力を半導体発光素子110へ供給する給電端子330と、本体部310に形成され、フランジ部134から見て基板120と対向する側に設けられ、保護カバー130の脱落を防止するカバー脱落防止部340と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に半導体発光素子を光源とする車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などの半導体発光素子を光源として用いた車両用灯具が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された車両用灯具は、次のような構成を有する。すなわち、車両用灯具は、半導体発光素子と、半導体発光素子へ電力を伝達する面状電極部が形成され、半導体発光素子を支持するセラミック基板とを有する発光モジュールを備える。また、給電端子を有し、セラミック基板を保持して発光モジュールに給電する給電用アタッチメントを備え、ホルダーが給電用アタッチメントにスライド嵌合して、発光モジュールが給電用アタッチメントに固定されている。そして、この光源モジュールが保持された給電用アタッチメントが放熱体に取り付けられ、クリップによって放熱体に位置決め固定されている。
【特許文献1】特開2008−16362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況において、本発明者らは以下の課題を認識するに至った。一般に、半導体発光素子を光源とする光源モジュールは、半導体発光素子を被覆する保護カバーを有している。このような光源モジュールを車両用灯具に適用した場合、保護カバーが外部からの衝撃などにより基板から剥離するおそれがある。保護カバーが基板から剥離すると、剥離した保護カバーが基板から脱落し、半導体発光素子や他の光学系に接触して傷をつけたり、もしくはこれらに付着したりして、所望の配光パターンが得られなくなってしまうおそれがある。通常、保護カバーは、たとえば樹脂製接着剤により基板に接着固定されるか、もしくは、保護カバーの端部に挿入された金属を溶融して接着固定されており、特許文献1の車両用灯具においても、剥離防止を十分に考慮して保護カバーが基板へ接着固定されている。
【0005】
ここで、基板から脱落した保護カバーの半導体素子や他の光学系への接触や付着のおそれを排除して、車両用灯具の信頼性のさらなる向上を図ろうとした場合、その方法として、一つには保護カバーを基板に対してより確実に固定し、剥離を防ぐことが考えられる。この場合、たとえば接着剤を新規に開発し、もしくは改良することで実現することができる。しかしながら、このような方法では、多額のコストと時間がかかってしまう。
【0006】
一方、他の方法として、剥離した保護カバーの基板からの脱落を防ぐことによっても、保護カバーの半導体発光素子もしくは他の光学系への接触のおそれを排除することができ、車両用灯具の信頼性を向上せしめることができる。
【0007】
本発明は、発明者らによるこうした認識に基づいてなされたものであり、その目的は、基板から剥離した保護カバーの基板からの脱落を防ぐための技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具であり、この車両用灯具は、光源モジュールと、給電モジュールとを備え、光源モジュールは、半導体発光素子と、半導体発光素子へ電力を伝達する電極が形成され、半導体発光素子を支持する基板と、基板に接する端部の外周縁の少なくとも一部から突出したフランジ部を有し、半導体発光素子を被覆する保護カバーと、を含み、給電モジュールは、基板を係止する本体部と、本体部に形成され、電力を半導体発光素子へ供給する給電端子と、本体部に形成され、フランジ部から見て基板と対向する側に設けられ、保護カバーの脱落を防止するカバー脱落防止部と、を含むことを特徴とする。
【0009】
この態様によれば、基板から剥離した保護カバーの基板からの脱落を防ぐことができる。
【0010】
上記態様において、本体部は、開口部を備え、当該開口部の周縁に給電端子およびカバー脱落防止部が設けられ、光源モジュールは、開口部から半導体発光素子が臨むように本体部に係止され、フランジ部は、光源モジュールが本体部に係止された状態で、少なくとも一部が周縁に接し、これにより光源モジュールと給電モジュールとが位置決めされていてもよい。これによれば、より簡単に光源モジュールと給電モジュールとの位置決めが可能となり、車両用灯具の組み付け作業が容易になるという効果が得られる。また、光源モジュールと給電モジュールとの位置決めが簡単にできるため、半導体発光素子への確実な給電をより簡単に実現できるという効果が得られる。
【0011】
また、上記態様において、開口部およびフランジ部は、略四角形であってもよい。これによれば、より簡単に光源モジュールと給電モジュールとを位置決めすることが可能となり、組み付け作業がより容易になるとともに、半導体発光素子への確実な給電をより簡単に実現できるという効果が得られる。
【0012】
また、上記態様において、保護カバーは、基板に接着固定されており、カバー脱落防止部は、フランジ部に対して所定のクリアランスを持って設けられていてもよい。これによれば、カバー脱落防止部と保護カバーとが接触して保護カバーが脱落してしまうおそれを低減できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板から剥離した保護カバーの基板からの脱落を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0015】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る車両用灯具の概略垂直断面図である。図2は、灯具ユニット、およびブラケットを分解状態で示す概略斜視図である。図2において、ブラケットは、その一部を抜き出した状態を示している。
【0016】
図1に示すように、実施形態1に係る車両用灯具1は、灯具ボディ2と、灯具ボディ2の前端開口部に取り付けられた透光カバー4とで形成された灯室3内に、光源モジュール100を含む灯具ユニット10が収容された構成である。また、灯室3内には光源モジュール100を支持するブラケット200が収容されており、灯具ユニット10は、ブラケット200に固定されている。また、図2に示すように、ブラケット200には、給電端子330を有し、外部からの電力を光源モジュール100に供給するための給電モジュール300が取り付けられている。
【0017】
灯具ユニット10は、反射型のプロジェクタ型灯具ユニットであり、光源モジュール100と、光源モジュール100からの光を車両前方へ反射するリフレクタ20とを備える。また、灯具ユニット10は、ブラケット200に固定されたシェード30と、シェード30に保持された投影レンズ40とを備える。
【0018】
光源モジュール100は、光源として、たとえば発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子110を備える。光源モジュール100は、半導体発光素子110の照射軸が灯具ユニット10の照射方向(図1中左方向)と略垂直となる略鉛直上方に向けられた状態で、ブラケット200の後述する光源搭載部220上に載置されている。なお、半導体発光素子110の照射軸は、その形状や前方に照射される配光に応じて調整可能である。
【0019】
リフレクタ20は、たとえば回転楕円面の一部で構成された反射面が内側に形成された反射部材であり、その前端に設けられた係合部22によってシェード30に固定されている。
【0020】
シェード30は、ブラケット200の光源搭載部220の車両前方側にボルト38によってねじ止め固定されている。シェード30は、略水平に配置された平面部32を有しており、この平面部32よりも前方領域は下方に凹状に湾曲された湾曲部34として構成され、半導体発光素子110から出射した光を反射しないようになっている。シェード30は、その第1焦点が半導体発光素子110近傍に位置し、そしてその第2焦点がシェード30の平面部32と湾曲部34とが為す稜線36近傍に位置するように設計配置されている。
【0021】
投影レンズ40は、リフレクタ20の反射面にて反射した光を灯具前方に投影する、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズであって、車両前後方向に延びる光軸上に配置され、シェード30の車両前方側先端部にて固定されている。投影レンズ40の後方焦点は、例えばリフレクタ20の第2焦点と略一致するように構成されている。また、投影レンズ40は、その後側焦点を含む後側焦点面上の像を、灯具前方に配置された鉛直仮想スクリーン上に反転像として投影するように構成されている。
【0022】
光源モジュール100の半導体発光素子110から出射した光は、リフレクタ20の反射面にて反射され、第2焦点を通って投影レンズ40に入射する。投影レンズ40に入射した光は、投影レンズ40で集光されて略平行な光として前方に照射される。また、シェード30の稜線36を境界線として、一部の光が平面部32にて反射し、光が選択的にカットされて車両前方に投影される配光パターンに斜めカットオフラインが形成される。
【0023】
ブラケット200は、平板状の取付部210と、光源モジュール100が搭載される光源搭載部220とを備える。取付部210および光源搭載部220は、たとえば熱伝導性の高い金属材料から成り、取付部210が光源搭載部220の車両後方側に配置されて、各部は一体的に形成されている。
【0024】
取付部210は、所定の辺縁部に図示しない螺孔を有し、ブラケット200は、取付部210の螺孔が灯具ボディ2を貫通して前方に延出するエイミングスクリュー60と、レベリングシャフト62に螺合することで、灯具ボディ2に取り付けられている。レベリングシャフト62はレベリングアクチュエータ64に接続されている。車両用灯具1は、エイミングスクリュー60、レベリングシャフト62およびレベリングアクチュエータ64によって、灯具ユニット10の光軸を水平方向あるいは垂直方向に調整できるように構成されている。
【0025】
また、取付部210は、その車両後方側の主表面に放熱フィン212を有する。放熱フィン212は左右に等間隔に離隔して複数設けられており、光源モジュール100で発生した熱は、光源搭載部220から取付部210に伝達され、放熱フィン212において効率的に拡散される。
【0026】
光源搭載部220は、取付部210の車両前方側の主表面から車両前方に突出し、その上面に光源モジュール100が載置される。また、光源搭載部220は、その車両前方側の主表面に、シェード30の位置決め用の環状凸部222を有する。環状凸部222はその一部に切り欠きを有し、またその中心軸が後述する挿入孔250の中心軸と一致するように設けられている。
【0027】
ブラケット200は、車両前後方向に貫通し、ボルト38が挿入される挿入孔250を有する。ボルト38は挿入孔250の車両後方側から挿入され、その螺溝部が光源搭載部220の前端面から突出する。そして、突出した螺溝部にシェード30が螺合することで、シェード30が光源搭載部220に固定される。その際、シェード30は、環状凸部222によって光源搭載部220に対して位置決めされる。
【0028】
以下、光源モジュール100、ブラケット200、および給電モジュール300の構成と、これらの組み付け方法について詳細に説明する。図3は、光源モジュール100の概略斜視図である。図4は、光源モジュール100、ブラケット200、および給電モジュール300を分解状態で示す概略斜視図である。図5は、光源モジュール100および給電モジュール300の組み付け状態を示す概略斜視図である。なお、図4において、ブラケット200は、その一部を抜き出した状態を示している。
【0029】
図3に示すように、光源モジュール100は、半導体発光素子110と、半導体発光素子110を支持する基板120と、半導体発光素子110を被覆する保護カバー130と、を備える。
【0030】
基板120は、たとえばセラミックなどで形成された熱伝導性絶縁基板である。基板120は、略直方体形状であり、一方の面における長手方向の両端部に、半導体発光素子110へ電力を伝達するための電極140が形成されている。基板120の内部における当該一方の面側の表層部には、一対の配線層142が形成されており、配線層142の一端と電極140とが電気的に接続されている。
【0031】
それぞれの配線層142における電極140と接続されていない側の端部は、基板120の中心方向に延び、その一部が基板120から露出している。そして、半導体発光素子110が、基板120の当該一方の面上に搭載され、図示しない素子電極が基板120から露出した配線層142の端部と電気的に接続されている。これにより、半導体発光素子110が配線層142を介して電極140と電気的に接続されている。本実施形態では、電極140と配線層142とが一体的に形成され、配線層142の一端が基板120の端部において露出しており、当該露出部が電極140を形成している。なお、複数の半導体発光素子110が基板120に搭載されていてもよい。
【0032】
保護カバー130は、略半球状のドーム部132と、ドーム部132の基板120に接する端部の外周縁から突出した、平面視略四角形状のフランジ部134とを備える。保護カバー130は、基板120の半導体発光素子110が搭載された側の面に、半導体発光素子110をドーム部132で覆うようにして固定されている。保護カバー130は、基板120に搭載された状態で、たとえばフランジ部134の所定位置に設けられた図示しない貫通孔に樹脂製接着剤や溶融した金属などが充填され、これにより基板120に対して接着固定されている。なお、フランジ部134は、ドーム部132端部の外周縁の少なくとも一部から突出していればよい。
【0033】
図4に示すように、給電モジュール300は、基板120を係止する本体部310と、本体部310に形成され、電力を半導体発光素子110へ供給する給電端子330と、本体部310に形成され、保護カバー130の脱落を防止するカバー脱落防止部340と、を備える。給電モジュール300は、半導体発光素子110の照射光を遮らない位置から半導体発光素子110へ電力を供給するためにブラケット200に取り付けられている。
【0034】
本体部310は、平面視略長方形状であって、略平板状に形成されたベース部312と、ベース部312の長手方向の一方の端部領域において、一方の主表面から下方に突設された突出部314とを有している。本体部310は、樹脂材料によって各部が一体に形成されている。
【0035】
ベース部312には、一方の主表面側から他方の主表面側、すなわち上下方向に貫通した、平面視略四角形状の開口部316が形成されている。開口部316の周縁部、すなわち内周面における一対の短辺部のそれぞれには、給電端子330が設けられている。給電端子330は、その一端部が対向する他方の短辺部側に延びるように開口部316の周縁に突設されており、他端部がそれぞれ後述する給電入力部318に接続されている。
【0036】
また、開口部316の周縁部における一対の長辺部のそれぞれには、カバー脱落防止部340が、対向する他方の長辺部側に延びるように突設されている。カバー脱落防止部340は、開口部316の一方の長辺部と他方の長辺部にそれぞれ2つずつ所定の間隔をおいて設けられている。本実施形態のカバー脱落防止部340は平面視略直角三角形状であり、各カバー脱落防止部340の斜辺が開口部316の中心方向を向くように開口部316の周縁に設けられている。また、カバー脱落防止部340の斜辺は、ドーム部132の曲面に合わせて円弧状に湾曲している。したがって、開口部316の略中央には、4つのカバー脱落防止部340の斜辺によって形成される略円形の開口が形成されている。
【0037】
突出部314には、給電入力部318が設けられている。給電入力部318は、たとえば、図示しない外部電源に接続されるコネクター端子である。
【0038】
光源モジュール100は、ホルダー350によって給電モジュール300に固定される。ホルダー350は左右に延びる基部352と、基部352の左右両端部から後方へ突出する側部354とを有する。2つの側部354のそれぞれには、他方の側部354側に延びるように突出した受け突部356が設けられている。
【0039】
光源モジュール100は、給電モジュール300の開口部316に下方から挿入され、電極140にそれぞれ給電端子330が上方から押し付けられて接続される。そして、4つのカバー脱落防止部340の斜辺によって形成される略円形の開口から保護カバー130のドーム部132が突出し、開口部316の上方に半導体発光素子110が臨んだ状態で、ホルダー350が給電モジュール300に対して前方からスライドされる。ホルダー350は、図5に示すように、基部352および側部354がベース部312の下面に接した状態で結合される。ホルダー350が給電モジュール300に挿入されると、ホルダー350の受け突部356によって基板120の下面の一部が下方から受けられ、光源モジュール100が給電モジュール300の本体部310に係止される。電極140に給電端子330が接続されることにより、半導体発光素子110が配線層142、電極140、給電端子330を介して給電入力部318に電気的に接続される。
【0040】
光源モジュール100が給電モジュール300に固定された状態において、カバー脱落防止部340は、フランジ部134から見て基板120と対向する側に位置している。そのため、基板120から剥離した保護カバー130は、カバー脱落防止部340によって移動が規制され、その結果、基板120からの脱落が防止される。また、この状態で、フランジ部134は、開口部316の長辺部と平行に延びる2辺が開口部316の長辺部に接した状態となる。これにより、光源モジュール100が給電モジュール300に対して位置決めがなされている。
【0041】
カバー脱落防止部340は、光源モジュール100が給電モジュール300に固定された状態において、フランジ部134に対して所定のクリアランスを持って設けられている。すなわち、カバー脱落防止部340の下面とフランジ部134の上面との間に所定のクリアランスを持つように、カバー脱落防止部340がベース部312に設けられている。
【0042】
フランジ部134の所定位置に設けられた貫通孔に樹脂製接着剤や溶融した金属などが充填され、これにより保護カバー130が基板120に対して接着固定された場合、充填された接着剤などの高さが、フランジ部134の高さを超えていることがある。この場合、接着剤などとカバー脱落防止部340の下面とが干渉し、保護カバー130の基板120からの剥離、保護カバー130の破損、および電極140と給電端子330との接続不良などを招くおそれがある。これに対し、カバー脱落防止部340とフランジ部134との間にフランジ部134もしくは接着剤と干渉せず、かつ保護カバー130の脱落を防止できる程度のクリアランスを持たせることで、このような事態を回避することができる。たとえば、フランジ部134の高さを相対値で0.18、接着剤の高さを最大で0.5とした場合、基板120からフランジ部134の下面までの距離を最大で0.55とする。すなわち、クリアランスを最大で0.37となるようにする。
【0043】
また、カバー脱落防止部340は、光源モジュール100が給電モジュール300に固定された状態で、ドーム部132に対しても所定のクリアランスを持って設けられている。すなわち、カバー脱落防止部340の湾曲した斜辺とドーム部132の側面との間に所定のクリアランスを持つように、カバー脱落防止部340がベース部312に設けられている。
【0044】
保護カバー130の寸法精度、保護カバー130の基板120への取り付け精度、基板120の寸法精度、基板120の本体部310への取り付け精度などの誤差によって、光源モジュール100が給電モジュール300に取り付けられた際に、カバー脱落防止部340とドーム部132とが干渉してしまうことがある。この場合、保護カバー130の基板120からの剥離、保護カバー130の破損、および電極140と給電端子330との接続不良などを招くおそれがある。これに対し、カバー脱落防止部340とドーム部132との間にドーム部132と干渉せず、かつ保護カバー130の脱落を防止できる程度のクリアランスを持たせることで、このような事態を回避することができる。
【0045】
なお、開口部316の形状は特に限定されず、半導体発光素子110および保護カバー130の形状に合わせて適宜変更可能である。また、フランジ部134の形状も特に限定されず、光源モジュール100が給電モジュール300に係止された状態で、フランジ部134の少なくとも一部が開口部316の周縁に接し、これにより光源モジュール100と給電モジュール300とが位置決め可能であればよい。さらに、カバー脱落防止部340の形状も特に限定されず、基板120から剥離した保護カバー130のフランジ部134と係り合って、保護カバー130が基板120から脱落するのを防止できる形状であればよい。
【0046】
上述のようにして光源モジュール100が固定された給電モジュール300は、ブラケット200の光源搭載部220に固定される。
【0047】
光源搭載部220は、ベース部224と、ベース部224から下方へ突出した取付突部226とを有する。取付突部226の前端面には、環状凸部222が突設されている。ベース部224の上面には位置決め部228が設けられている。位置決め部228は、前方を向く第1位置決め面228aと、左右方向で向き合った第2位置決め面228bとを有している。ベース部224の後端側には、左右に離隔して前後に延びる後端側挿入孔230が形成されている。ベース部224の前端面には前端側挿入孔232が形成され、前端側挿入孔232の内部には、上方に開口された係合穴234が形成されている。
【0048】
給電モジュール300は、光源搭載部220に対してクリップ240によって固定される。クリップ240は、たとえばバネ性を有する板状の金属材料によって各部が一体的に形成されている。クリップ240は、左右方向に延びる連結部242と、連結部242の左右両端部における上縁からそれぞれ後方へ突出した押さえ突部244と、連結部242の中央部における下縁から後方へ突出した挿入突部246とを有する。押さえ突部244は、突出方向における中間部にそれぞれ下方へ突出した係合突条244aを有している。係合突条244aは左右に延びるように形成されている。挿入突部246には、切り起こし状の係合突片246aが形成されており、係合突片246aは前斜め下方へ突出するように切り起こされている。
【0049】
光源モジュール100が固定された給電モジュール300は、前方からスライドされて、光源搭載部220のベース部224上に配置される。給電モジュール300がベース部224上に配置される際には、基板120の後端面が位置決め部228の第1位置決め面228aに前方から突き当てられて光源モジュール100の光源搭載部220に対する前後方向における位置決めがなされる。また、基板120の左右両側面の各後端部は、それぞれ位置決め部228の第2位置決め面228bに当接されて光源モジュール100の光源搭載部220に対する左右方向における位置決めがなされる。光源モジュール100が光源搭載部220に対して位置決めされた状態において、基板120の下面は光源搭載部220と面接触している。
【0050】
このように光源モジュール100が光源搭載部220に対して位置決めされた状態において、光源搭載部220の後端側挿入孔230にクリップ240の押さえ突部244がそれぞれ前方から挿入されるとともに、光源搭載部220の前端側挿入孔232にクリップ240の挿入突部246が前方から挿入される。給電モジュール300は、クリップ240の係合突条244aによって光源搭載部220の方向に押さえられ、また、クリップ240の係合突片246aが光源搭載部220の係合穴234の前側開口縁に係合することにより、クリップ240によって光源搭載部220に固定される。
【0051】
給電モジュール300が光源搭載部220に固定された状態において、外部電源に接続された図示しない電源コードのコネクタが給電モジュール300の給電入力部318に接続される。
【0052】
以上説明した構成による作用効果を総括すると、本実施形態に係る車両用灯具1において、光源モジュール100の保護カバー130は、基板120に接する端部の外周縁の少なくとも一部から突出したフランジ部134を有する保護カバー130を備えている。また、給電モジュール300は、フランジ部134から見て基板120と対向する側に設けられ、保護カバー130の脱落を防止するカバー脱落防止部340を備えている。これにより、保護カバー130が基板120から剥離しても、フランジ部134がカバー脱落防止部340に引っ掛かるため、基板120から剥離した保護カバー130の基板120からの脱落を防ぐことができる。また、本実施形態に係る車両用灯具1は、保護カバー130にフランジ部134を設け、本体部310にカバー脱落防止部340を設けるという簡単な構成であるため、製造コストおよび製造時間の増大を抑えることができる。また、保護カバー130の脱落を防ぐことができるため、車両用灯具1の信頼性の向上を図ることができる。
【0053】
また、本実施形態の車両用灯具1では、給電モジュール300の本体部310が開口部316を備え、開口部316の周縁に給電端子330およびカバー脱落防止部340が設けられている。そして、光源モジュール100が本体部310に係止された状態で、カバー脱落防止部340の少なくとも一部が開口部316の周縁に接し、これにより光源モジュール100と給電モジュール300とが位置決めされる。そのため、より簡単に光源モジュール100と給電モジュール300との位置決めが可能となり、車両用灯具1の組み付け作業が容易になるという効果が得られる。また、光源モジュール100と給電モジュール300との位置決めが簡単にできるため、半導体発光素子110への確実な給電をより簡単に実現できるという効果が得られる。
【0054】
さらに、本実施形態の車両用灯具1では、開口部316およびフランジ部134が、略四角形である。そのため、より簡単に光源モジュール100と給電モジュール300とを位置決めすることが可能となり、組み付け作業がより容易になるとともに、半導体発光素子110への確実な給電をより簡単に実現できるという効果が得られる。
【0055】
また、本実施形態の車両用灯具1では、カバー脱落防止部340がフランジ部134に対して所定のクリアランスを持って設けられている。そのため、カバー脱落防止部340と保護カバー130とが接触して保護カバー130が脱落してしまうおそれを低減できる。
【0056】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれるものである。
【0057】
例えば、上述の実施形態1において、灯具ユニット10は、車両前方に投影される配光パターンに斜めカットオフラインが形成されるロービーム用灯具ユニットであるが、斜めカットオフラインを形成しないハイビーム用灯具ユニットなどであってもよい。また、灯具ユニット10は、プロジェクタ型のものを用いたが、パラボラ型や直射型の灯具ユニットを用いることも可能である。
【0058】
また、上述の各実施形態の車両用灯具は、たとえば自動車用ヘッドランプや、テールランプ、もしくはフォグランプ、ドライビングランプなどの補助前照灯などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施形態1に係る車両用灯具の概略垂直断面図である。
【図2】灯具ユニット、およびブラケットを分解状態で示す概略斜視図である。
【図3】光源モジュールの概略斜視図である。
【図4】光源モジュール、ブラケット、および給電モジュールを分解状態で示す概略斜視図である。
【図5】光源モジュールおよび給電モジュールの組み付け状態を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 車両用灯具、 2 灯具ボディ、 3 灯室、 4 透光カバー、 10 灯具ユニット、 20 リフレクタ、 22 係合部、 100 光源モジュール、 110 半導体発光素子、 120 基板、 130 保護カバー、 132 ドーム部、 134 フランジ部、 140 電極、 142 配線層、 200 ブラケット、 210 取付部、 212 放熱フィン、 220 光源搭載部、 224 ベース部、 226 取付突部、 228 位置決め部、 228a 第1位置決め面、 228b 第2位置決め面、 230 後端側挿入孔、 232 前端側挿入孔、 234 係合穴、 240 クリップ、 242 連結部、 244 押さえ突部、 244a 係合突条、 246 挿入突部、 246a 係合突片、 250 挿入孔、 300 給電モジュール、 310 本体部、 312 ベース部、 314 突出部、 316 開口部、 318 給電入力部、 330 給電端子、 340 カバー脱落防止部、 350 ホルダー、 352 基部、 354 側部、 356 受け突部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源モジュールと、給電モジュールとを備え、
前記光源モジュールは、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子へ電力を伝達する電極が形成され、前記半導体発光素子を支持する基板と、
前記基板に接する端部の外周縁の少なくとも一部から突出したフランジ部を有し、前記半導体発光素子を被覆する保護カバーと、含み、
前記給電モジュールは、
前記基板を係止する本体部と、
前記本体部に形成され、前記電力を前記半導体発光素子へ供給する給電端子と、
前記本体部に形成され、前記フランジ部から見て前記基板と対向する側に設けられ、前記保護カバーの脱落を防止するカバー脱落防止部と、を含むことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記本体部は、開口部を備え、当該開口部の周縁に前記給電端子および前記カバー脱落防止部が設けられ、
前記光源モジュールは、前記開口部から前記半導体発光素子が臨むように前記本体部に係止され、
前記フランジ部は、前記光源モジュールが前記本体部に係止された状態で、少なくとも一部が前記周縁に接し、これにより前記光源モジュールと前記給電モジュールとが位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記開口部および前記フランジ部は、略四角形であることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記保護カバーは、前記基板に接着固定されており、前記カバー脱落防止部は、前記フランジ部に対して所定のクリアランスを持って設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−55897(P2010−55897A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218699(P2008−218699)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】