説明

車両用灯具

【課題】LED点灯制御回路を熱的に保護するとともに、全体の小型化を図ることができる車両用灯具を提供すること。
【解決手段】ハウジング2とその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内にLEDを光源とするポジションランプユニット(LEDユニット)とバルブ10〜12を光源とするハイビーム用ランプユニット5とロービーム用ランプユニット6及びターンランプユニット7を収容して成るヘッドランプ(車両用灯具)1において、前記ポジションランプユニット8を前記灯室内の上部に配置し、その下方に前記ロービーム用ランプユニット6を配置するとともに、前記ポジションランプユニット8のLED点灯制御回路20を前記灯室4内の下部に配置し、該LED点灯制御回路18と前記ポジションランプユニット8とを前記ハイビーム用ランプユニット5とターンランプユニット7の側方に配索された電源コード19によって接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングとその開口部を覆うハウジングによって画成される灯室内にLEDを光源とするLEDユニットとバルブを光源とするランプユニッを収容して成る車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば車両前端の左右に配置されるヘッドランプには、ハウジングとその開口部を覆うレンズによって画成される灯室内に、ハイビーム用(走行ビーム用)ランプユニットとロービーム用(すれ違いビーム用)ランプユニット、ターンランプユニット、ポジションランプユニット等を収容して成るコンビネーション型のものが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−114813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、斯かるコンビネーション型のヘッドランプにおいて、ハイビーム用及びロービーム用ランプニットの光源にバルブを使用し、ポジションランプユニットの光源にLEDを使用するとともに、該ポジションランプユニットとこれの点灯を制御するLED点灯制御回路をハイビーム用又はロービーム用ランプニットの上方に配置する構成を採用した場合、ハイビーム用又はロービーム用ランプユニットの点灯によって発生した熱によってLED点灯制御回路が加熱され、その作動安定性が害される可能性がある他、ヘッドランプ全体が大型化するという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、LED点灯制御回路を熱的に保護するとともに、全体の小型化を図ることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆うハウジングによって画成される灯室内にLEDを光源とするLEDユニットとバルブを光源とするランプユニットを収容して成る車両用灯具において、前記LEDユニットを前記灯室内の上部に配置し、その下方に前記ランプユニットを配置するとともに、前記LEDユニットのLED点灯制御回路を前記灯室内の下部に配置し、該LED点灯制御回路と前記LEDユニットとを前記ランプユニットの側方に配索された電源コードによって接続したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記LED点灯制御回路を前記ランプユニットから左右方向に離間した位置に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、LEDユニットを灯室内の上部に配置し、その下方にランプユニットを配置するとともに、LEDユニットのLED点灯制御回路を灯室内の下部に配置したため、ランプユニットからの熱によるLED点灯制御回路の加熱が抑制され、該LED点灯制御回路の作動安定性が高められる。又、LED点灯制御回路を灯室内下部のデッドスペースにコンパクトに配置することができるため、車両用灯具全体の小型化を図ることができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、LED点灯制御回路をランプユニットから左右方向に離間した位置に配置したため、ランプユニットからの熱がLED点灯制御回路に伝わりにくく、該LED点灯制御回路への熱的悪影響を一層確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る車両用灯具の正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】図1のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明に係る車両用灯具の一形態としてのヘッドランプの正面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4は図1のC−C線断面図である。
【0013】
本実施の形態に係るヘッドランプ1は、不図示の車両前端部の左右に設けられるものであって、ハウジング2とその前面開口部を覆うアウタレンズ3によって画成される灯室4(図2及び図4参照)内に、ハイビーム(走行ビーム)用ランプユニット5、ロービーム(すれ違いビーム)用ランプユニット6、ターンランプユニット7及びLEDユニットであるポジションランプユニット8を収容して構成されている。尚、図示のヘッドランプ1は、車両の左側端部に配されるものであるが、左右のヘッドランプ1は対称であって、その基本構成は同じであるため、以下、左側のヘッドランプ1についてのみ説明する。
【0014】
上記ハウジング2は、樹脂にて一体成形され、図2及び図4に示すように、その前面開口部の周縁には断面横U字状の嵌合凹部2aが形成されている。又、前記アウタレンズ3は、透明樹脂によって一体成形されており、その周縁に車両後方に向かって一体に突出する凸部3aがハウジング2の前記嵌合凹部2aに車両前方から嵌め込まれ、その嵌め込み部がホットメルト9によって接着されることによって該アウタレンズ3がハウジング2に接合一体化されている。
【0015】
前記ハイビーム用ランプユニット5とロービーム用ランプユニット6及びターンランプユニット7は、光源としてバルブ10,11,12(図1参照)をそれぞれ使用するものであって、これらは横方向に並設されている。
【0016】
LEDユニットである前記ポジションランプユニット8は、ロービーム用ランプユニット6の上方に配され、これには光源として横方向に階段状に配置された複数(図示例では6個)のLED(発光ダイオード)13(図2参照)が配設されている。ここで、図2及び図4に示すように、ハウジング2とアウタレンズ3によって画成された前記灯室4内のロービーム用ランプユニット6の上方には横方向(図4の紙面垂直方向)に長いエクステンション14とその前面開口部を覆う透明なカバー15によって密閉空間Sが形成されており、この密閉空間Sには、基板16に実装された複数の前記LED13と該LED13の前方を覆う透明なインナレンズ17が収容されている。尚、インナレンズ17の内面には配光用のカットが施されている。
【0017】
而して、本実施の形態に係るヘッドランプ1においては、図1に示すように、LEDユニットであるポジションランプユニット8は灯室4内の上部に配置され、その下方に前記ロービーム用ランプユニット6が配され、その横に前記ハイビーム用ランプユニット5と前記ターンランプユニット7が配置されている。
【0018】
又、灯室4内の下部のターンランプユニット7の下方であって、且つ、ハイビーム用ランプユニット5から左方向に離れた位置には、図1及び図3に示すように、ポジションランプユニット8の光源である複数のLED13の点灯を制御するためのLED点灯制御回路18が配置されている。そして、このLED点灯制御回路18とポジションランプユニット8とは、ハイビーム用ランプユニット5とターンランプユニット7を迂回してハウジング2の内面に沿って横U字状に配索された電源コード19によって電気的に接続されている。
【0019】
LED点灯制御回路18は、不図示のプリント基板と、該プリント基板を収容する不図示の金属ケースを備えており、プリント基板にはポジションランプユニット8の点灯制御を行う電子部品が実装されている。又、LED点灯制御回路18には、外部電源(バッテリ)からの電力の供給を受ける駆動電源入力コード21と、ポジションランプユニット8に電力を供給するとともにその点灯を制御する信号を送信する電源コード19が接続されている。
【0020】
前記駆動電源入力コード21は、図3に示すようにLED点灯制御回路18の背面18aを通って外部に取り出され、LED点灯制御回路18の金属ケースの上面上に沿って前面に引き回され、図1に示すケースフック部18bにて固定された後にハウジング2に固定されている。
【0021】
前記電源コード19は、LED点灯制御回路18の前面又は底面から金属ケース外部に取り出され、ケースフック部18bにて駆動電源入力コード21と共に固体された後、LED点灯制御回路18の金属ケースから離れた位置を通ってポジションランプユニット8に接続されている。このようにLED点灯制御回路18の直上を金属ケースによって覆うとともに、直上に電源コード19を設けないことによって、LED点灯制御回路18から発生する可能性のある電磁ノイズの影響を一層確実に防ぐことができる。
【0022】
ところで、本実施の形態に係るヘッドランプ1においては、図4に示すように、上下方向においてポジションランプユニット8とロービーム用ランプユニット6との間には遮熱板20がポジションランプユニット8との間に上下方向の隙間を設けて配設されている。ここで、遮熱板20は、耐熱性の高い金属や樹脂で構成されており、当該ヘッドランプ1の車両外側方端(車両の左側端部に配される図示のヘッドランプ1においては、正面視で斜め上方に傾斜する左側端部)まで延設されている。
【0023】
以上において、本実施の形態に係るヘッドランプ1においては、LEDユニットであるポジションランプユニット8を灯室4内の上部に配置し、その下方にロービーム用ランプユニット6を配置するとともに、該ポジションランプユニット8を点灯制御するためのLE点灯制御回路18を灯室4内の下部に配置したため、ハイビーム用ランプユニット5とロービーム用ランプユニット6及びターンランプユニット7からの熱によるLED点灯制御回路18の加熱が抑制され、該LED点灯制御回路18の作動安定性が高められる。特に、本実施の形態では、LED点灯制御回路18をハイビーム用ランプユニット5から左方向に離間した位置に配置したため、ハイビーム用ランプユニット5からの熱がLED点灯制御回路18に伝わりにくく、該LED点灯制御回路18への熱的悪影響を一層確実に防ぐことができる。
【0024】
又、LED点灯制御回路18を灯室4内下部のデッドスペースにコンパクトに配置することができるため、ヘッドランプ1全体の小型化を図ることができる。
【0025】
更に、本実施の形態に係るヘッドランプ1においては、上下方向においてポジションランプユニット8とロービーム用ランプユニット6との間に遮熱板20をポジションランプユニット8との間に上下方向の隙間を設けて配設したため、ポジションランプユニット8とロービーム用ランプユニット6の間に断熱性の高い空気層が形成される。このため、ロービーム用ランプユニット6からポジションランプユニット8への熱伝達がポジションランプユニット8とロービーム用ランプユニット6の間に形成される断熱性の高い空気層によって効果的に遮断され、ポジションランプユニット8が熱的に保護される。この結果、ポジションランプユニット8の光源であるLED13の温度上昇が抑制され、該LED13の発光効率と寿命の低下が防がれる。
【0026】
そして、本実施の形態では、車両の左側に配されるヘッドランプ1の遮熱板20を正面視で左側端部まで延長したため、該遮熱板20の熱がアウタレンズ3の曇り易い部分に移動してその部分を加熱することとなり、その部分の温度低下が抑制され、その部分でのアウタレンズ3の曇りが防がれるという効果も得られる。
【0027】
尚、以上は本発明をヘッドランプに対して適用した形態について説明したが、本発明は、リヤコンビネーションランプ等の他の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。例えば、ポジションランプユニットをデイタイミンランニングランプユニットとして機能するようにしても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 ヘッドランプ(車両用灯具)
2 ハウジング
2a ハウジングの嵌合凹部
3 アウタレンズ
3a アウタレンズの凸部
4 灯室
5 ハイビーム用ランプユニット
6 ロービーム用ランプユニット
7 ターンランプユニット
8 ポジションランプユニット(LEDユニット)
9 ホットメルト
10〜12 バルブ(光源)
13 LED(光源)
14 エクステンション
15 カバー
16 基板
17 インナレンズ
18 LED点灯制御回路
18a LED点灯制御回路の背面
18b LED点灯制御回路のケースフック部
19 電源コード
20 遮熱板
21 駆動電源入力コード
S 密閉空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとその開口部を覆うハウジングによって画成される灯室内にLEDを光源とするLEDユニットとバルブを光源とするランプユニットを収容して成る車両用灯具において、
前記LEDユニットを前記灯室内の上部に配置し、その下方に前記ランプユニットを配置するとともに、前記LEDユニットのLED点灯制御回路を前記灯室内の下部に配置し、該LED点灯制御回路と前記LEDユニットとを前記ランプユニットの側方に配索された電源コードによって接続したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記LED点灯制御回路を前記ランプユニットから左右方向に離間した位置に配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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