説明

車両用灯具

【課題】投影レンズに加工を施す必要なく、配光パターンの色ムラを解消する。
【解決手段】車両用灯具1は、白色光を出射させるLED2と、LED2の前方に配置され、前後方向に沿った光軸Ax2を有する投影レンズ3と、投影レンズ3の前方に配置されたガーニッシュ4とを備える。ガーニッシュ4は、光軸Ax2と略直交するように立設され、投影レンズ3から前方へ照射される光の一部を透過させる透過孔41を有し、光軸Ax2が透過孔41の上下方向の中央を通るように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォグランプなどの車両用灯具として、光源から出射された光を投影レンズで前方に投影する、いわゆるダイレクトプロジェクション型のものが知られている。この種の車両用灯具では、主にデザイン上の理由から、投影レンズの前方の一部がガーニッシュやバンパーで覆われる場合がある。
【0003】
例えば、この種の車両用灯具では、図2に示すように、光源51の前方に平凸レンズ状の投影レンズ52が配置されており、この投影レンズ52の下部前方にガーニッシュ53が設けられている。
【0004】
このような車両用灯具では、光源51から出射された光を投影レンズ52によって屈折させつつ前方へ照射することによって、灯具前方に所定の配光パターンを形成する。このとき、光源51から出射された光(白色光)は、短波長光よりも長波長光の方が屈折しにくいために、投影レンズ52のうち光の屈折角が大きい周辺部において、短波長光と長波長光とが分離してしまう。その結果、投影レンズ52の周辺部からは、短波長の青みがかった光Lbが投影レンズ52の中央側に出射され、長波長の赤みがかった光Lrが投影レンズ52の周辺側に出射される。
【0005】
これらの光のうち、投影レンズ52の下側周辺部から出射された光はガーニッシュ53によって遮光されるため、投影レンズ52の上側周辺部から出射された光の色バランスが配光パターンに反映される。詳細には、投影レンズ52の上側周辺部から出射された光のうち、投影レンズ52の周辺側(上側)に出射される赤みがかった光Lrは、投影レンズ52の中央部から出射される白色光に紛れて目立たないものの、投影レンズ52の中央側(下側)に出射される青みがかった光Lbはそのまま配光パターンに投影されるため、当該配光パターンは、図3に示すように、下側ほど青みがかった色ムラのあるものとなってしまう。
【0006】
そこで、例えば特許文献1に記載の車両用灯具では、投影レンズの凸面に加工を施すことで光の屈折態様を変化させて、配光パターンの色ムラを解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−171773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の車両用灯具では、投影レンズの凸面に加工を施す必要があるため、当該加工に伴うコスト増加が生じてしまう。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、投影レンズに加工を施す必要なく、配光パターンの色ムラを解消することができる車両用灯具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両用灯具において、
白色光を出射させる光源と、
前記光源の前方に配置され、前後方向に沿った光軸を有する投影レンズと、
前記投影レンズの前方に配置された遮蔽部材と、
を備え、
前記遮蔽部材は、前記光軸と略直交するように設けられ、前記投影レンズから前方へ照射される光の一部を透過させる透過孔を有し、前記光軸が前記透過孔の上下方向の中央を通るように配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用灯具において、
前記遮蔽部材は、前記光軸が前記透過孔の上下方向及び左右方向の中央を通るように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、投影レンズの前方に配置された遮蔽部材(例えば、ガーニッシュ)が、投影レンズの光軸と略直交するように設けられ、投影レンズから前方へ照射される光の一部を透過させる透過孔を有し、投影レンズの光軸が透過孔の上下方向の中央を通るように配置されているので、投影レンズの上側周辺部から出射される光と投影レンズの下側周辺部から出射される光とが、投影レンズの光軸に対して上下に均等に透過孔から照射される結果、投影レンズの上側周辺部から出射される光の色バランスと、投影レンズの下側周辺部から出射される光の色バランスとが、配光パターン上で相殺される。したがって、投影レンズに加工を施す必要なく、配光パターンの色ムラを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態における車両用灯具の側断面図である。
【図2】従来の車両用灯具の側断面図である。
【図3】従来の車両用灯具によって形成される配光パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における車両用灯具1の側断面図である。
なお、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、車両用灯具1から見た方向を意味するものとする。
【0015】
図1に示すように、車両用灯具1は、いわゆるダイレクトプロジェクション型のフォグランプであり、LED(発光ダイオード)2と、投影レンズ3と、ガーニッシュ4とを備えている。
このうち、LED2は、その光軸Ax1が前後方向に沿うように配置され、基板21上に実装されている。このLED2は、光軸Ax1を中心とした略放射状に前方へ白色光を出射させる。
【0016】
投影レンズ3は、前面が凸面とされた平凸レンズであり、その光軸Ax2がLED2の光軸Ax1と略一致して前後方向に沿うように、LED2の前方に配置されている。この投影レンズ3は、LED2から出射された光を前方へ投影し、灯具前方に所定の配光パターンを形成する。
【0017】
ガーニッシュ4は、投影レンズ3の光軸Ax2と略直交するように立設された略平板状の遮蔽部材であり、投影レンズ3の前方を覆うように配置されている。このガーニッシュ4には、投影レンズ3から前方へ照射される光の一部を透過させる透過孔41が形成されており、当該透過孔41を覆う素通しのアウターレンズ5が内面(灯具内面)に取り付けられている。
【0018】
透過孔41は、上下方向の長さが投影レンズ3の上下方向の長さ(最大長さ)よりも短く形成されるとともに、投影レンズ3の光軸Ax2から透過孔41の上端及び下端までの各距離が互いにXmmで等しくなるように形成されている。つまり、ガーニッシュ4は、投影レンズ3の光軸Ax2が透過孔41の上下方向の中央を通るように配置されている。そのため、投影レンズ3の上側周辺部から出射される光と、投影レンズ3の下側周辺部から出射される光とが、投影レンズ3の光軸Ax2に対して上下に均等に透過孔41から照射される。
【0019】
以上のように、車両用灯具1によれば、投影レンズ3の前方に配置されたガーニッシュ4が、投影レンズ3の光軸Ax2と略直交するように設けられ、投影レンズ3から前方へ照射される光の一部を透過させる透過孔41を有し、投影レンズ3の光軸Ax2が透過孔41の上下方向の中央を通るように配置されているので、投影レンズ3の上側周辺部から出射される光と、投影レンズ3の下側周辺部から出射される光とが、投影レンズ3の光軸Ax2に対して上下に均等に透過孔41から照射される。これにより、投影レンズ3の上側周辺部から出射される光の色バランスと、投影レンズ3の下側周辺部から出射される光の色バランスとが、配光パターン上で相殺される。したがって、投影レンズ3に加工を施す必要なく、配光パターンの色ムラを解消することができる。
【0020】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0021】
例えば、上記実施形態では、車両用灯具1をフォグランプとしたが、当該車両用灯具1は、ダイレクトプロジェクション型のものであって、投影レンズ3の前方の一部が遮蔽されているものであれば、フォグランプに限定されない。
【0022】
また、車両用灯具1は、ガーニッシュ4を備えることとしたが、投影レンズ3の前方の一部を遮蔽するものであれば、ガーニッシュ4以外のものを備えることとしてもよい。
【0023】
また、透過孔41の左右方向の長さについては特に触れていないが、当該長さは投影レンズ3の左右方向の長さよりも長く形成され、投影レンズ3の左右周辺部の前方は遮蔽されていないことが好ましい。但し、透過孔41の左右方向の長さが投影レンズ3の左右方向の長さよりも短く形成された場合には、ガーニッシュ4は、投影レンズ3の光軸Ax2が透過孔41の上下方向及び左右方向の中央を通るように配置されることが好ましい。
【符号の説明】
【0024】
1 車両用灯具
2 LED(光源)
Ax1 光軸
3 投影レンズ
Ax2 光軸
4 ガーニッシュ(遮蔽部材)
41 透過孔
5 アウターレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光を出射させる光源と、
前記光源の前方に配置され、前後方向に沿った光軸を有する投影レンズと、
前記投影レンズの前方に配置された遮蔽部材と、
を備え、
前記遮蔽部材は、前記光軸と略直交するように設けられ、前記投影レンズから前方へ照射される光の一部を透過させる透過孔を有し、前記光軸が前記透過孔の上下方向の中央を通るように配置されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記光軸が前記透過孔の上下方向及び左右方向の中央を通るように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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