説明

農作業機

【課題】埋め込み性能が良好な農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、回転しながら耕耘作業をする耕耘体6と、耕耘体6の後方で整地作業をする整地体12とを備える。耕耘体6と整地体12との間には、夾雑物を圃場表面下に埋め込む埋め込み体18を配設する。整地体12には、モータ27を有しこのモータ27からの動力で埋め込み体18を回動により前後方向に振動させる振動手段31を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み性能が良好な農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばアップカット方向へ回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、耕耘体と整地体との間に前後位置調節可能に配設され夾雑物を圃場表面下に埋め込むレーキ状の埋め込み体とを備えた農作業機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平1−167804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の農作業機では、埋め込み体の前後位置を調節できるものの、作業時には埋め込み体が固定されているため、埋め込み性能が不十分となるおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、埋め込み性能が良好で、夾雑物を圃場表面下に適切に埋め込むことができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の農作業機は、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、前記耕耘体と前記整地体との間に配設され、夾雑物を圃場表面下に埋め込む埋め込み体と、駆動部を有し、この駆動部からの動力で前記埋め込み体を振動させる振動手段とを備えるものである。
【0006】
そして、埋め込み体が振動しながら夾雑物を圃場表面下に埋め込むため、埋め込み性能が良好で、夾雑物を圃場表面下に適切に埋め込むことが可能である。
【0007】
請求項2記載の農作業機は、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、前記耕耘体と前記整地体との間に配設され、夾雑物を圃場表面下に埋め込む埋め込み体と、走行車側からの動力を入力する入力軸と、この入力軸側からの動力で前記埋め込み体を振動させる振動手段とを備えるものである。
【0008】
そして、埋め込み体が振動しながら夾雑物を圃場表面下に埋め込むため、埋め込み性能が良好で、夾雑物を圃場表面下に適切に埋め込むことが可能である。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、前記耕耘体と前記整地体との間に配設され、夾雑物を圃場表面下に埋め込む埋め込み体と、この埋め込み体を前記耕耘体側に向けて付勢する付勢体と、前記耕耘体にこの耕耘体とともに回転するように設けられ、前記埋め込み体と当接する当接体とを備え、前記埋め込み体は、前記当接体から受ける力と前記付勢体から受ける力とによって振動するものである。
【0010】
そして、埋め込み体が振動しながら夾雑物を圃場表面下に埋め込むため、埋め込み性能が良好で、夾雑物を圃場表面下に適切に埋め込むことが可能である。
【0011】
請求項4記載の農作業機は、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、前記耕耘体と前記整地体との間に配設され、夾雑物を圃場表面下に埋め込む弾性変形可能な埋め込み体と、前記耕耘体にこの耕耘体とともに回転するように設けられ、前記埋め込み体と当接する当接体とを備え、前記埋め込み体は、前記当接体から受ける力と自らの弾性復元力とによって振動するものである。
【0012】
そして、埋め込み体が振動しながら夾雑物を圃場表面下に埋め込むため、埋め込み性能が良好で、夾雑物を圃場表面下に適切に埋め込むことが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、埋め込み体が振動しながら夾雑物を圃場表面下に埋め込むため、埋め込み性能が良好で、夾雑物を圃場表面下に適切に埋め込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の農作業機の一実施の形態を図1および図2を参照して説明する。
【0015】
図1において、1は農作業機で、この農作業機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結された状態で、トラクタの走行により圃場上を前方に移動しながら代掻き作業をする代掻装置等である。
【0016】
農作業機1は、トラクタの後部の3点リンクに連結される機体2を備えている。機体2には、トラクタ側からの動力を入力する入力軸3が回転可能に設けられている。入力軸3には、トラクタのPTO軸がユニバーサルジョイントおよび伝動シャフト等を介して連結される。
【0017】
また、機体2には、入力軸3側からの動力を伝動手段4から受けて所定方向(アップカット方向)に回転しながら耕耘作業をする耕耘体6が回転可能に設けられている。
【0018】
耕耘体6は、左右方向の回転軸7を有し、回転軸7には複数の耕耘爪8が放射状に突設されている。伝動手段4は、入力軸3にベベルギア等を介して連結された左右方向の伝動軸9を有し、伝動軸9の端部にはスプロケットが設けられ、スプロケットは耕耘体6の回転軸7の端部に設けられたスプロケットと離間対向する。互いに離間対向した対をなすスプロケットにはチェーンが掛け渡されている。
【0019】
さらに、機体2には、耕耘体6の上方部を覆う湾曲板状のカバー体11が設けられている。そして、カバー体11の後端部には、耕耘体6の後方で整地作業をする整地体12がこの整地体12の上端側の左右方向の回動中心軸線Aを中心として上下方向に回動可能に設けられている。
【0020】
整地体12は、カバー体11の後端部に上端部が左右方向の軸13を介して回動可能に取り付けられた第1整地板(均平板)15を有している。第1整地板15の下端部には、第2整地板(レーキ)16の前端部が左右方向の軸17を介して回動可能に取り付けられている。
【0021】
また、耕耘体6と整地体12との間には、図1および図2に示されるように、耕土中の夾雑物(例えば稲わら等)を圃場表面下に埋め込むレーキ状のスプリングレーキ等の埋め込み体18がこの埋め込み体18の上端側の左右方向の回動中心軸線Bを中心として上下方向に回動可能に配設されている。埋め込み体18は、整地体12の第1整地板15の上部に左右方向の回動中心軸線B(支点)を中心として上下方向に回動可能に設けられている。
【0022】
ここで、埋め込み体18は、第1整地板15の上部のブラケット部20に左右方向の軸21を介して回動可能に取り付けられた回動アーム22を有している。回動アーム22における第1整地板15の内面から下方に向って突出した下端部には、左右方向に長手状の1本の横長部材23が取り付けられている。横長部材23には、上下方向に長手状で互いに間隔をおいて左右方向に並んだ複数本の平行な縦長部材(バー材)24の上端部が取り付けられている。各縦長部材24は、例えば中間2箇所でやや屈曲した形状に形成されている。
【0023】
また、埋め込み体18の回動アーム22の上端側には、回動アーム22の長手方向に長手状の長孔部26が形成されている。回動アーム22の長孔部26には、駆動部であるモータ27の水平方向の出力軸28に連結された円板状の回転部材(カム)29のピン部30が挿入されている。モータ27は、第1整地板15の上部外面側に固定されている。
【0024】
そして、モータ27の作動により回転部材29が回転すると、回転部材29の回転中心から偏心したピン部30が長孔部26内をこの長孔部26に沿って摺動移動して回動アーム22が軸21を中心として回動し、埋め込み体18の複数本の縦長部材24が前後方向に振動する。すなわち、モータ27の作動時には、埋め込み体18は、回動中心軸線Bを中心として上下方向に回動することにより前後方向に振動しながら、耕土中の夾雑物(例えば稲わら等)を圃場表面下に埋め込むとともに耕土中の土塊を砕く。
【0025】
なお、モータ27からの動力で埋め込み体18を回動により振動させる振動手段31は、モータ27、出力軸28および回転部材29等にて構成され、この振動手段31は整地体12に設けられている。
【0026】
次に、上記農作業機1の作用等を説明する。
【0027】
農作業機1をトラクタの後部に連結し、農作業機1をトラクタの走行により圃場上を移動させると、耕耘体6の耕耘爪8にて耕耘作業が行われ、整地体12の第1整地板15および第2整地板16にて整地作業が行われる。
【0028】
また、耕土中の稲わら等の夾雑物は、モータ27の作動により前後方向に振動する埋め込み体18の複数本の縦長部材24にて圃場表面下に埋め込まれる。また、耕土中の土塊は、モータ27の作動により前後方向に振動する埋め込み体18の複数本の縦長部材24にて砕かれる。
【0029】
そして、この農作業機1によれば、埋め込み体18が前後方向に振動しながら夾雑物を圃場表面下に埋め込むため、従来の農作業機に比べて、埋め込み性能が良好で、夾雑物を圃場表面下に適切に埋め込むことができ、しかも、埋め込み体18が振動しながら土塊を砕くため、砕土性能も良好である。
【0030】
なお、農作業機1は、モータ(駆動部)27からの動力で埋め込み体18を振動させる振動手段31を備えたものには限定されず、図3に示すように、モータ27等の振動用の駆動部を有さず、入力軸3側からの動力で埋め込み体18を振動させる振動手段41を備えたものでもよい。
【0031】
この振動手段41は、動力伝達軸であるフレキシブルシャフト42を有し、フレキシブルシャフト42の一端部は伝動手段4の伝動軸9に連結され、フレキシブルシャフト42の他端部は回転部材29に連結されている。そして、トラクタ側からの動力で入力軸3が回転すると、この入力軸3側からの動力がフレキシブルシャフト42から回転部材29に伝達され、回転部材29の回転中心から偏心したピン部30が長孔部26内をこの長孔部26に沿って摺動移動して回動アーム22が軸21を中心として回動し、埋め込み体18の複数本の縦長部材24が回動中心軸線Bを中心として上下方向に回動することにより前後方向に振動する。なお、その他の構成部材は、図1および図2に示す農作業機1と基本的に同一である。
【0032】
また、農作業機1は、図4に示すものでもよい。この図4に示す農作業機1は、耕耘体6の回転軸7に基端部が取り付けられ先端部が耕耘体6の回転時に埋め込み体18と断続的に当接する複数、例えば2本の棒状の当接体43を備えている。また、この農作業機1は、埋め込み体18を耕耘体6側に向けて常時付勢するばね等の付勢体44を備えている。付勢体44は、整地体12の第1整地板15の内面側に取り付けられている。そして、埋め込み体18は、当接体43との当接時にこの当接体43から受ける力と付勢体44から受ける耕耘体6側への力とによって回動中心軸線Bを中心として上下方向に回動して前後方向に振動する。なお、その他の構成部材は、図1および図2に示す農作業機1と基本的に同一である。
【0033】
さらに、農作業機1は、図5に示すものでもよい。この図5に示す農作業機1の埋め込み体18は、弾性変形可能な構成となっている。すなわち、埋め込み体18は、ばね鋼等にて長手状に形成され上端部が整地体12の第1整地板15に取り付けられ互いに間隔をおいて左右方向に並んだ複数本の平行な縦長弾性部材(バー材)46にて構成されている。また、この農作業機1は、耕耘体6の回転軸7に基端部が取り付けられ先端部が耕耘体6の回転時に埋め込み体18と断続的に当接する複数、例えば2本の棒状の当接体43を有している。そして、埋め込み体18は、当接体43との当接時にこの当接体43から受ける力と自らの弾性復元力とによって上端側を中心として上下方向に回動するようにして前後方向に振動する。なお、その他の構成部材は、図1および図2に示す農作業機1と基本的に同一である。
【0034】
なお、いずれの実施の形態においても、埋め込み体18を上下回動により前後方向に振動させる構成について説明したが、埋め込み体18を前後往復移動により前後方向に振動させる構成、埋め込み体18を上下往復移動により上下方向に振動させる構成等でもよい。なお、埋め込み体18の振動方向は、前後方向成分と上下方向成分との両方を有する方向が好ましい。
【0035】
また、農作業機1は、代掻き作業をする代掻装置には限定されず、ロータリ等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の農作業機の一実施の形態の側面図である。
【図2】同上農作業機の要部側面図である。
【図3】本発明の農作業機の他の実施の形態の一部省略側面図である。
【図4】本発明の農作業機のさらに他の実施の形態の一部省略側面図である。
【図5】本発明の農作業機のさらに別の他の実施の形態の一部省略側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 農作業機
6 耕耘体
12 整地体
18 埋め込み体
27 駆動部であるモータ
31,41 振動手段
43 当接体
44 付勢体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
前記耕耘体と前記整地体との間に配設され、夾雑物を圃場表面下に埋め込む埋め込み体と、
駆動部を有し、この駆動部からの動力で前記埋め込み体を振動させる振動手段と
を備えることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
前記耕耘体と前記整地体との間に配設され、夾雑物を圃場表面下に埋め込む埋め込み体と、
走行車側からの動力を入力する入力軸と、
この入力軸側からの動力で前記埋め込み体を振動させる振動手段と
を備えることを特徴とする農作業機。
【請求項3】
回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
前記耕耘体と前記整地体との間に配設され、夾雑物を圃場表面下に埋め込む埋め込み体と、
この埋め込み体を前記耕耘体側に向けて付勢する付勢体と、
前記耕耘体にこの耕耘体とともに回転するように設けられ、前記埋め込み体と当接する当接体とを備え、
前記埋め込み体は、前記当接体から受ける力と前記付勢体から受ける力とによって振動する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項4】
回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
前記耕耘体と前記整地体との間に配設され、夾雑物を圃場表面下に埋め込む弾性変形可能な埋め込み体と、
前記耕耘体にこの耕耘体とともに回転するように設けられ、前記埋め込み体と当接する当接体とを備え、
前記埋め込み体は、前記当接体から受ける力と自らの弾性復元力とによって振動する
ことを特徴とする農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−254748(P2006−254748A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74466(P2005−74466)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】