説明

部品実装装置

【課題】部品のパターンの検出精度を向上させ、セルマークやTAB−ICの検出精度を上げる。
【解決手段】所定の位置に搬送された実装部品のパターンを撮像カメラで撮像し、この撮像情報の2値化画像から前記実装部品のパターンを認識して前記実装部品を基板に位置決め供給する部品実装装置において、前記パターンの撮像画像の濃淡部を加算する加算処理手段と、この加算処理手段で処理された画像をエッジフィルタで処理して前記パターンのエッジを求めるエッジ検出手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶の基板などに部品を実装する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、液晶の基板となる従来のガラス基板(以下、単に基板という)1とこの基板1のパターンに圧着されたTAB−IC(Tape Automated Bonding-Integrated Circuit )3を示す平面図である。
図4において、ガラス板から製作された長方形の基板1の各四隅には、実装部品の位置決めの基準となる十字状のマーク(以下、セルマークという)2が形成されている。
【0003】
また、基板1の図4において右側の前端のセルマーク2の左側には、部品実装装置の圧接工程の前の貼付工程で貼り付けられたTAB−IC3が示され、左側前端のセルマーク2の右側には、基板1の前端側のパターン1aの一部が示され、左側後端のセルマーク2の前方にも、パターン1aが示されている。
【0004】
なお、図4においては、パターン1aは、前端左側と左端の後方だけに示したが、実際の製品では、前端及び左端と後端に対して、連続的に形成され、TAB−IC3も連続的に実装される。
【0005】
このようにTAB−IC3を基板1に圧着するアウタリードボンディング(Outer Lead Bonding)装置(以下、OLB装置という。)においては、このOLB装置に組み込まれた電荷結合素子(以下、CCD(Charge Coupled Device )という。)カメラでセルマーク2を撮像し、その位置を画像処理装置で検出している。
【0006】
この部品実装装置のなかには、CCDカメラでセルマーク2の全体の画像を検出するのではなく、カメラのスキャンラインを所定の位置に設定し、この特定の位置の画像の濃淡のデータから、セルマーク2の位置を検出する方法がある。
【0007】
この方法を採用した画像処理装置においては、最初に設定したスキャンラインを走査して得られた画像中に、もし、セルマーク2の画像が含まれていなかった場合には、セルマーク2の画像が得られる位置まで、スキャンラインを移動させている。
【0008】
一方、画像全体データを使用して、セルマーク2を検出する液晶基板製造用の画像処理装置も採用されている。
この画像処理装置では、CCDカメラによって基板1の上方又は下方から撮像したセルマーク2の画像情報を、画像処理装置の内部に設けられたフレームメモリに格納する。
すると、この画像情報は、予め定められたしきい値によって白黒に2値化された2値化画像情報に変換される。
【0009】
次に、この2値化されたセルマーク2の画像情報は、ラべリング処理によって画像上に黒色として示される部分に対して、1,2,3…と番号を付すラベル付を行う。
このラベル付されたセルマーク2のすべての2値化画像情報は、図5(a)の部分拡大図に示す縦方向と横方向の最大値を求めるための外接長方形処理が行われる。
【0010】
このようにラベル付され外接長方形処理が行われたすべての各2値化画像情報のうち、CCDカメラの撮像倍率から逆算された図5(a)で示す縦方向の寸法H1と、横方向の寸法W1と一致する2値化画像情報が、そのセルマーク2の画像情報として選択される。
【0011】
次に、この画像情報から画像の重心となる座標を求める。この重心座標と、予め設計段階で定められたセルマーク2の図5(a)で示す重心座標Coの座標とを比較して、セルマーク2の特徴を有する画像かどうかを判定することによって、基板1の各四隅に設けられたセルマーク2を識別する。
【0012】
なお、図5(b)は、図4及び図5(a)で示したセルマーク2と異るセルマーク2Aの場合を示し、外形や用途の異る液晶基板に採用された場合を示す。
【0013】
この形状のセルマーク2Aにおいても、図5(a)で示したセルマーク2と同様に、縦方向の寸法H2と横方向の寸法W2が2値化画像情報から求められ、この画像情報から求められた重心座標Coの座標と、設計上の座標の位置とが比較され、果たしてセルマーク2Aなのか、或いは、パターンなのか、などかが判別される。
【0014】
図6は、液晶基板製造用の部品実装装置における画像処理の制御ブロック図の一例を示す図である。
図6において、画像処理装置21は、液晶の基板に形成されたセルマークなどを撮像するCCDカメラ26の画像信号A1が入力されるCCDカメラ用インタフェース22と、このCCDカメラ用インタフェース22に対して、画像データ入力許可信号A2を出力し、CCDカメラ用インタフェース22から画像信号A11を受け取るMPU(主処理)ユニット23と、CCDカメラ用インタフェース22からの画像信号A11が入力され、この画像信号A11を前述した2値化画像情報に変換するとともに、MPUユニット23から入力された出力指令A4によって、この2値化画像情報A3をMPUユニット23に出力するDSP(デジタル信号処理)ユニット24と、後述する部品実装装置のコントローラ27から出力された出力指令A5によって、MPUユニット23に対して2値化画像情報A3が入力される入出力インタフェース25で構成されている。この画像処理装置21には、前述した出力指令A5を入出力インタフェース25に出力し、この入出力インタフェース25から2値化画像情報A3を受け取る部品実装装置のコントローラ27が接続されている。
【0015】
ところで、このような画像処理装置が組み込まれた部品実装装置においては、部品のパターンの検出精度を向上させ、画像処理の速度の迅速化による部品実装装置の高能率化が要請されている。
【0016】
図7は、図6で示した画像処理装置が組み込まれた液晶の部品実装装置によるTABの圧着工程を示す流れ図である。
図7において、まず、ステップ30AでTAB−ICが搬送装置の先端に吸着されて、圧着部に搬送されるとともに、ステップ30Bで基板が所定の位置に移動され位置決めされる。
【0017】
次に、ステップ30CでTABの左右端と基板の左右端の画像がCCDカメラで撮像され、図6で示した画像処理装置で2値化画像処理されてセルマークとTABの各位置が確認される。
次に、ステップ30DでTABが基板に貼り付けられ、次のステップ30Eでは、このTABが、貼付の対象となるTABのうちの最終品であるか否かが判断され、もし、最終品でない場合には、ステップ30A,30Bに戻って、上記の作業が繰り返され、最終品となった場合には、貼付工程は終了する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところが、このように構成された部品実装装置においては、TAB−ICの打ち抜き位置が、以下のような理由で、万一、ばらついた場合には、貼付位置もばらつくおそれがある。
例えば、打ち抜き前のTABのテープに形成されたパーフォレーションとスプロケットの歯との隙間や、テープの張力の僅かな相違によって、TABのリードの中心と端部との寸法がばらつくおそれがある。
【0019】
また、前述したスキャンラインを設定してセルマークとTAB−ICの位置を検出する方法では、スキャンライン上に、万一、塵埃があった場合には、検出位置の精度がばらつくだけでなく、セルマークやTAB−ICを検出できなくなるおそれもある。
【0020】
そこで、本発明の目的は、部品のパターンの検出精度を向上させ、セルマークやTAB−ICの検出精度を上げるだけでなく、圧着の稼働率も上げることのできる部品実装装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1に記載の発明の部品実装装置は、所定の位置に搬送された実装部品のパターンを撮像カメラで撮像し、この撮像情報の2値化画像から実装部品のパターンを認識して実装部品を基板に位置決め供給する部品実装装置において、パターンの撮像画像の濃淡部を加算する加算処理手段と、この加算処理手段で処理された画像をエッジフィルタで処理してパターンのエッジを求めるエッジ検出手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本実施の形態によれば、実装部品のパターン2値化画像の濃淡部を加算し、さらにエッジフィルタでパターンのエッジを求めたので、部品のパターンの検出精度と生産効率を上げることができる部品実装装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の部品実装装置の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の部品実装装置の実施形態を示す部分拡大説明図で、図4に示したTAB−IC3の部分拡大図に対応する図である。また、図2は、図1の部分詳細図である。
【0024】
図1において、TAB−IC3には、帯状の横リード3aが左端に示され、この横リード3aの右側に対して、帯状の縦リード3bが等間隔に縦に形成されている。
【0025】
第1の実施形態の部品実装装置においては、基板に仮圧着(貼付)されるTAB−ICに対して、以下説明するようにTAB−ICの打ち抜きのずれを画像処理装置で検出し、TAB−ICの圧着位置の不良を未然に防ぐ。
すなわち図1において、本実施の形態においては、各リードの位置を求める手段として、パターンの撮像画像の濃淡画像のY方向加算処理とエッジフィルタによる手法を用いている。
【0026】
すなわち、図3(a)は、TAB−IC3と、このTAB−IC3の縦リード3bの画像中からウインドウ11として設定した位置を示し、図3(b)は、このウインドウ11の範囲内のリードの画像3b1を示す拡大図である。
【0027】
本実施形態では、図3(b)で示したように得られた縦リードの画像3b1中の黒色の部分の数をY方向に加算して、図3(c)に示す頂部が弧状のリードの画像3b2となる一次元データをまず求める。
【0028】
次に、この一次元データのY方向の隣接部のX方向の差を求めて、波形を急峻な波形に変え(フィルタ処理)てリード画像3b3としたのが図3(d)で、+側のピークを第1エッジ、−側のピークを第2エッジとし、各リードの図3(b)における両端の位置を求めることで、不鮮明な画像から各リードの位置を高精度に求める。
なお、図3(a)に示した横リード3aの位置もX方向に加算することで、同様にして求められる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の部品実装装置を示す部分説明図。
【図2】図1の要部を示す説明図。
【図3】本発明の部品実装装置の作用を説明するための説明図。
【図4】従来の部品実装装置で実装されるTAB−ICと基板の一例を示す図。
【図5】(a)は、図4の部分拡大図。(b)は、図4で示したセルマークと異るセルマークの一例を示す拡大図。
【図6】従来の部品実装装置の一例を示すブロック図。
【図7】従来の部品実装装置の一例を示す流れ図。
【符号の説明】
【0030】
1…基板、2,2A…セルマーク、3…TAB−IC、3a…横リード、3b…縦リード、3b1,3b2…リードの画像、4…横リードの中心線、5…縦リードの中心線、6…交点、7…カットライン長、8,11…ウインドウ、9…2値化像、10…カットライン測長量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に搬送された実装部品のパターンを撮像カメラで撮像し、この撮像情報の2値化画像から前記実装部品のパターンを認識して前記実装部品を基板に位置決め供給する部品実装装置において、前記パターンの撮像画像の濃淡部を加算する加算処理手段と、この加算処理手段で処理された画像をエッジフィルタで処理して前記パターンのエッジを求めるエッジ検出手段とを備えたことを特徴とする部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−13541(P2006−13541A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231661(P2005−231661)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【分割の表示】特願平8−7608の分割
【原出願日】平成8年1月19日(1996.1.19)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】