重要物管理装置
【課題】低コストで重要物を管理できる重要物管理装置の提供。
【解決手段】被管理物の保管を行う保管手段21(A)〜(L)を管理種別毎に有し、フロア14上に設置されるもので、入力された識別情報に基づいて使用者を特定する使用者特定手段35と、使用者特定手段35の特定結果に基づいて保管手段21(A)〜(L)に対する被管理物の持ち出しおよび返却の可否を制御する制御手段と、保管手段21(A)〜(L)の被管理物の保管の有無を判定する判定手段と、判定手段による判定結果を表示する表示手段36とを備える。
【解決手段】被管理物の保管を行う保管手段21(A)〜(L)を管理種別毎に有し、フロア14上に設置されるもので、入力された識別情報に基づいて使用者を特定する使用者特定手段35と、使用者特定手段35の特定結果に基づいて保管手段21(A)〜(L)に対する被管理物の持ち出しおよび返却の可否を制御する制御手段と、保管手段21(A)〜(L)の被管理物の保管の有無を判定する判定手段と、判定手段による判定結果を表示する表示手段36とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重要物を保管する重要物管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等においては、建屋に専用の金庫室を設け、この金庫室に重要物を保管するのが一般的であり、その中には、金庫室を移動可能な金庫函体で覆う技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭61−30116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、専用の金庫室を建屋に構築するには、高額な設置コストが必要となってしまう。また、金庫室は密室状態となるため、セキュリティ上、専用の監視カメラシステムが必要であり、管理コストも増大してしまう。
【0005】
したがって、本発明は、低コストで重要物を管理できる重要物管理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、被管理物の保管を行う保管手段を管理種別毎に有し、フロア上に設置される重要物管理装置であって、入力された識別情報に基づいて使用者を特定する使用者特定手段と、該使用者特定手段の特定結果に基づいて前記保管手段に対する前記被管理物の持ち出しおよび返却の可否を制御する制御手段と、前記保管手段の前記被管理物の保管の有無を判定する判定手段と、該判定手段による判定結果を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、管理種別毎の前記保管手段は、それぞれコンポーネント化されており、複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて構成されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記保管手段には、少なくとも大小異なる二つの大きさのものがあり、大きい保管手段の一つと、小さい保管手段を複数組み合わせたものとが同じ大きさとなることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記使用者特定手段、前記制御手段および前記表示手段を含む制御ユニットが、コンポーネント化されており、該制御ユニットに複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて構成されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記保管手段は、耐火構造であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、前記被管理物の保管状況のダイヤグラムを作成するダイヤグラム作成手段を有し、前記制御手段は、前記ダイヤグラムによる前記被管理物の保管状況と前記判定手段の判定による前記被管理物の保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合にその旨を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記判断処理にて前記両保管状況に相違がある場合にその旨を管理者に報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に係る発明において、前記被管理物には識別手段が設けられ、前記保管手段には前記識別手段を読み出す読出手段が設けられており、前記判定手段は、前記読出手段による前記識別手段の読み出しの有無により、前記保管手段の前記被管理物の保管の有無を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明は、識別情報が入力されると、使用者特定手段が使用者を特定し、この特定結果に基づいて制御手段が保管手段に対する被管理物の持ち出しおよび返却の可否を制御する。一方で、判定手段が保管手段の被管理物の保管の有無を判定すると、この判定結果を表示手段に表示する。よって、上記した保管手段を管理種別毎に有してフロア上に設置されることにより、金庫室の代わりに重要物を管理することができるため、専用の金庫室を建屋に構築する場合と比べて、コストを大幅に低減することができる。また、フロアに設置されることから、衆人監視環境への設置や、設置先の部屋を監視する監視カメラシステムでの共用監視が可能となり、専用の監視カメラシステムを不要とすることができる。よって、この点からもコストを低減することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、管理種別毎の保管手段が、それぞれコンポーネント化されており、複数個の保管手段が選択的に組み合わせられて構成されるため、顧客毎に異なる要望に応じた管理種別の保管手段を装備することが容易にできる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、大きい保管手段の一つと、小さい保管手段を複数組み合わせたものとが同じ大きさとなるため、大きさの異なる保管手段を容易に装備することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、使用者特定手段、制御手段および表示手段を含む制御ユニットが、コンポーネント化されており、この制御ユニットに複数個の保管手段が選択的に組み合わせられて構成されるため、制御ユニットをも容易に装備することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、保管手段が耐火構造であるため、火災があっても被管理物を保管することができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、制御手段が、ダイヤグラムによる被管理物の保管状況と判定手段の判定による被管理物の保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合にその旨を表示手段に表示するため、被管理物の持ち出しおよび返却のタイミングの異常発生を表示手段を見た人に認識させることができる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、判断処理にて両保管状況に相違がある場合に報知手段がその旨を管理者に報知するため、被管理物の持ち出しおよび返却のタイミングの異常発生を管理者に認識させることができる。
【0021】
請求項8に係る発明によれば、判定手段は、保管手段に設けられた読出手段による、被管理物に設けられた識別手段の読み出しの有無により、保管手段の被管理物の保管の有無を判定するため、保管手段の被管理物の保管の有無を正確に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る重要物管理装置の設置状態を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る重要物管理装置を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る重要物管理装置および被管理物を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る重要物管理装置を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の重要物管理装置11は、図1に示すように、金融機関等の建屋12の執務室13のフロア14上に別途設置されるオープン型のものである。
【0024】
重要物管理装置11は、図2に示すように、コンポーネント化された複数個の耐火構造の保管体(保管手段)21が選択的に組み合わせられて構成される装置本体22を備えている。保管体21は、図3に示す被管理物23の保管を行うもので、管理種別毎に設けられている。保管体21は、大小異なる二つの大きさのものがあり、大きいものには、縦長および横長の二種類がある。
【0025】
具体的に、装置本体22は、図2に示すように、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての図3に示す通帳23(a)を収納する保管部24(A)が上下に二段設けられた小の保管体21(A)と、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての大束紙幣23(b)、小束紙幣23(c)および棒金23(d)を収納する保管部24(B)が上下に二段設けられた横長の大の保管体21(B)と、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての硬貨収納袋23(e)を収納する保管部24(C)が上下に二段設けられた横長の大の保管体21(C)とを有している。
【0026】
また、装置本体22は、個々に対応する被管理物23としての鍵23(f)を保持する保管部24(D)が前面側に複数設けられた小の保管体21(D)と、前面側に引き出される引き出し式であって個々に対応する被管理物23としてのIDカード23(g)を収納する保管部24(E)が複数設けられた小の保管体21(E)と、前面側に引かれて揺動する片側扉式であって、図示略の鍵を保持する鍵保持部が複数設けられた被管理物23としての鍵管理機23(h)を収納する保管部24(F)が一カ所のみ設けられた縦長の大の保管体21(F)とを有している。
【0027】
また、装置本体22は、前面側に引かれて揺動する片側扉式の保管部24(G)が一カ所のみ設けられた小の保管体21(G)と、前面側に引き出される引き出し式の保管部24(H)が上下に二段設けられた小の保管体21(H)と、前面側に引かれて揺動する両側扉式の保管部24(I)が一カ所のみ設けられた小の保管体21(I)と、前面側に引かれて揺動する扉式および前面側に引き出される引き出し式の二種類の保管部24(J)が組み合わされた小の保管体21(J)と、前面側に引かれて揺動する片側扉式の保管部24(K)が一カ所のみ設けられた縦長の大の保管体21(K)と、前面側に引き出される引き出し式の保管部24(L)が上下に二段設けられた縦長の大の保管体21(L)とを有している。
【0028】
ここで、小の保管体21は、正面視正方形をなしており、大の保管体21は、小の保管体21と奥行きは同じであるものの、その一つが、小の保管体21を複数、具体的には二つ組み合わせたものと正面視が同じ大きさとなっている。よって、大の縦長の保管体21に対して同じ高さ範囲に二つの小の保管体21を上下に配置するとこれらの高さが一致することになり、大の横長の保管体21に対して同じ幅範囲に二つの小の保管体21を左右に配置するとこれらの幅が一致することになる。保管体21は、少なくとも大小異なる二つの大きさのものがあれば良く、例えば、大小異なる三つ以上の大きさのものがあっても良い。大小異なる三つの大きさの保管体21がある場合、大の保管体21を小の保管体21の三つを並べた大きさとし、中の保管体21を小の保管体21の二つを並べた大きさとしたり、大の保管体21を小の保管体21の四つを並べた大きさとし、中の保管体21を小の保管体21の二つを並べた大きさとしたりすることができる。
【0029】
各保管部24には、それぞれを閉状態でロックする電磁式の図3に示すロック機構27が設けられており、このロック機構27は、ロック解除信号が入力されると保管部24を開放可能にロックを解除する一方、ロック信号が入力されると保管部24を閉状態でロックする。また、各保管部24には、それぞれの開閉状態を検出する開閉検知センサ28が設けられている。
【0030】
また、各被管理物23には、それぞれを識別するための識別情報が記憶されたICタグ(識別手段)29が貼付されており、各保管部24には、それぞれ、各保管部24内にあるICタグ29のみから識別情報を読み出すICタグリーダ(読出手段)30が設けられている。つまり、このICタグリーダ30は、被管理物23に設けられたICタグ29の識別情報の読み出しの有無により、保管体21の各保管部24の個々の被管理物23の保管の有無および特定を行う。
【0031】
具体的に、通帳23(a)にはICタグ29(a)が貼付されており、通帳23(a)を保管する保管体21(A)の各保管部24(A)には、それぞれロック機構27(A)、開閉検知センサ28(A)およびICタグリーダ30(A)が設けられている。同様に、大束紙幣23(b)にはICタグ29(b)が、小束紙幣23(c)にはICタグ29(c)が、棒金23(d)にはICタグ29(d)が貼付されており、これらを保管する各保管部24(B)には、それぞれロック機構27(B)、開閉検知センサ28(B)およびICタグリーダ30(B)が設けられている。同様に、硬貨収納袋23(e)にはICタグ29(e)が貼付されており、硬貨収納袋23(e)を保管する各保管部24(C)には、それぞれロック機構27(C)、開閉検知センサ28(C)およびICタグリーダ30(C)が設けられている。
【0032】
鍵23(f)にはICタグ29(f)が貼付されており、鍵23(f)を保管する各保管部24(D)には、それぞれ鍵23(f)を装着状態である閉状態でロックするロック機構27(D)、装着状態である閉状態にあるか取り外し可能な開状態にあるかを検知する開閉検知センサ28(D)およびICタグリーダ30(D)が設けられている。
【0033】
IDカード23(g)にはICタグ29(g)が貼付されており、IDカード23(g)を保管する各保管部24(E)には、それぞれロック機構27(E)、開閉検知センサ28(E)およびICタグリーダ30(E)が設けられている。鍵管理機23(h)にはICタグ29(h)が貼付されており、鍵管理機23(h)を保管する保管部24(F)には、ロック機構27(F)、開閉検知センサ28(F)およびICタグリーダ30(F)が設けられている。
【0034】
同様にして、保管体21(G)の保管部24(G)には、それぞれロック機構27(G)、開閉検知センサ28(G)およびICタグリーダ30(G)が設けられ、保管部24(G)に保管される被管理物23(i)には、ICタグ29(i)が貼付されている。保管体21(H)の保管部24(H)には、それぞれロック機構27(H)、開閉検知センサ28(H)およびICタグリーダ30(H)が設けられ、保管部24(H)に保管される被管理物23(j)には、ICタグ29(j)が貼付されている。保管体21(I)の保管部24(I)には、それぞれロック機構27(I)、開閉検知センサ28(I)およびICタグリーダ30(I)が設けられ、保管部24(I)に保管される被管理物23(k)には、ICタグ29(k)が貼付されている。保管体21(J)の保管部24(J)には、それぞれロック機構27(J)、開閉検知センサ28(J)およびICタグリーダ30(J)が設けられ、保管部24(J)に保管される被管理物23(l)には、ICタグ29(l)が貼付されている。保管体21(K)の保管部24(K)には、それぞれロック機構27(K)、開閉検知センサ28(K)およびICタグリーダ30(K)が設けられ、保管部24(K)に保管される被管理物23(m)には、ICタグ29(m)が貼付されている。保管体21(L)の保管部24(L)には、それぞれロック機構27(L)、開閉検知センサ28(L)およびICタグリーダ30(L)が設けられ、保管部24(L)に保管される被管理物23(n)には、ICタグ29(n)が貼付されている。
【0035】
また、重要物管理装置11は、前面側に使用者により操作入力が行われる操作部(使用者特定手段,ダイヤグラム作成手段)35および使用者に表示を行う表示部(表示手段)36を有し、重要物管理装置11を制御する制御部(使用者特定手段,判定手段,制御手段,ダイヤグラム作成手段,報知手段)37と、制御プログラム等を記憶するROM38と、管理データ等を記憶するRAM39とを有する図2に示す一つの制御ユニット40を有している。この制御ユニット40は、操作部35、表示部36、制御部37、ROM38およびRAM39を含んでコンポーネント化されており、小の保管体21と正面視で同じ大きさをなしている。そして、重要物管理装置11は、この制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるようになっている。
【0036】
また、重要物管理装置11は、小の保管体21と同じ大きさにコンポーネント化されたフリー空間形成体45を有している。ここで、重要物管理装置11は、上記した制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて全体として正面視が矩形状をなすことになり、その際に、制御ユニット40も保管体21も配置されない部分を埋めるようにフリー空間形成体45が配置される。フリー空間形成体45は枠状をなしており、内側が空間となっている。フリー空間形成体45が配置されたスペースには、これと交換する形で、後に保管体21を追加可能となっている。
【0037】
そして、制御ユニット40と、複数個の保管体21およびフリー空間形成体45の適宜のものとが、前面を揃えた状態で、隣り合うもの同士が図示略の連結具で連結されることで、正面視矩形状をなす装置本体22が組み上がることになる。
【0038】
具体的に、図2に示す装置本体22には、通帳23(a)を収納する小の保管体21(A)が正面から見て左側の上側に上下二段に設けられており、その下側に縦長の大の保管体21(L)が一つ設けられている。また、これら保管体21(A)および保管体21(L)の右隣に、縦長の大の保管体21(K)が上下二段に設けられ、これらの右隣に、上側から順に、制御ユニット40、フリー空間形成体45、小の保管体21(H)、小の保管体21(G)が設けられている。また、これらの右隣に、上側から順に、小の保管体21(D)、小の保管体21(E)、小の保管体21(J)、小の保管体21(I)が設けられ、これらの右隣に、上側から順に、小の保管体21(D)、小の保管体21(E)、横長の大の保管体21(B)、横長の大の保管体21(C)が設けられている。小の保管体21(D)、小の保管体21(E)の右隣であって、横長の大の保管体21(B)の上側に、縦長の大の保管体21(F)が設けられている。
【0039】
さらに、この装置本体22の後側には、各保管体21と制御ユニット40とを通信可能に接続する通信ケーブル等を配索するための図1に示す配索スペース形成カバー47が図示略の連結具で取り付けられることで重要物管理装置11が構成されている。なお、高さおよび横幅の異なる配索スペース形成カバー47が複数種類準備されることになり、いずれかの配索スペース形成カバー47と正面視の大きさが合うように、制御ユニット40と、複数個の保管体21とを組み合わせ、必要によりフリー空間形成体45をも組み合わせる。例えば、図2に示す、小の保管体21四つ分の高さおよび小の保管体21六つ分の幅を有する装置本体22の背面を覆う、小の保管体21四つ分の高さおよび小の保管体21の六つ分の幅を有する図1に示す配索スペース形成カバー47の他に、例えば、小の保管体21四つ分の高さおよび小の保管体21の五つ分の幅を有する幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21四つ分の高さおよび小の保管体21の四つ分の幅を有する幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21四つ分の高さおよび小の保管体21の三つ分の幅を有する幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21三つ分の高さおよび小の保管体21の六つ分の幅を有する幅を有する配索スペース形成カバー47等を、必要に応じて準備する。
【0040】
上記のようにして組み立てられた重要物管理装置11が配索スペース形成カバー47を壁に近接させて例えば執務室13のフロア14上に設置されることになり、これにより、重要物管理装置11の制御ユニット40の前面および複数個の保管体21の前面が執務室13の室内側に向いて設置されることになる。なお、重要物管理装置11は必要により下部に転動ロック付きのキャスタ48が取り付けられることになり、フロア14上での移設が可能になっている。
【0041】
このような重要物管理装置11においては、使用に当たって、使用者が操作部35に、使用者ID番号の入力や使用者IDカードの走査により、使用者識別情報を入力することになる。使用者識別情報が入力されると、制御部37は、RAM39と照らし合わせてこの入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されているか否かを判断する。制御部37は、入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されていなければ、入力された使用者識別情報が適正でない旨を表示部36に表示させる。
【0042】
制御部37は、入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されていれば、使用者がこの使用者識別情報を有する使用者であることを特定することになり、この特定された使用者識別情報に関連付けてRAM39に記憶されている持ち出し可能な被管理物23の種別情報を読み出し、これら種別情報の中から、使用者に持ち出す被管理物23の種別情報の選択入力を促す表示を表示部36に表示させる。ここで、この使用者識別情報に関連してRAM39に記憶された持ち出し可能な被管理物23の種別情報は、例えば使用者識別情報が一般職員である場合と管理職員である場合とで異なる。
【0043】
上記の表示にしたがって、使用者が持ち出す被管理物23の種別情報の選択入力を操作部35に入力すると、制御部37は、この入力された種別情報の被管理物23を収納している保管体21の保管部24に対し被管理物23の持ち出しおよび返却を許可し、そのロック機構27にロック解除信号を出力してロックを解除する。つまり、制御部37は、操作部35に入力された使用者の特定結果である使用者識別情報に基づいて保管体21の保管部24に対する被管理物23の持ち出しおよび返却の可否を制御する。なお、この入力された種別情報の被管理物23を収納している保管体21が保管部24を複数有している場合には、それぞれのロック機構27にロック解除信号を出力してロックを解除することになる。
【0044】
ロックが解除された保管体21の保管部24に対して、使用者がこれを開放して、被管理物23の持ち出しおよび返却の少なくともいずれか一方を行い、これを閉じる。すると、この保管部24に設けられた開閉検知センサ28がこの保管部24が閉状態になったことを検知することになり、これにより、制御部37は、この保管部24に設けられたロック機構27にロック信号を出力して保管体21の保管部24をロックする。なお、ロックが解除された保管体21が保管部24を複数有している場合には、すべての保管部24が閉状態になったことを各開閉検知センサ28で検出すると、すべての保管部24のロック機構27にロック信号を出力してこれらをロックすることになる。
【0045】
そして、上記のようにして保管体21の保管部24の開閉が行われると、制御部37は、開閉が行われた保管部24に対してICタグリーダ30でICタグ29から識別情報を読み取り、この識別情報に基づく保管部24内の被管理物23の残存状況を日時情報および使用者識別情報とともにRAM39に記憶する。制御部37は、この残存状況と、RAM39に記憶されている今回の開閉の直前の保管部24内の被管理物23の残存状況とから、保管体21の被管理物23の保管の有無である、開閉された保管部24の被管理物23の装置外への持ち出しおよび装置への返却の判定を行い、判定結果を表示部36に表示させる。つまり、制御部37は、いずれの識別情報を有する被管理物23が持ち出されたか、あるいは返却されたかを判定し、日時情報および使用者識別情報とともにRAM39に記憶するとともに、被管理物23の識別情報と、持ち出されたか、返却されたかの区別とを表示部36に表示させる。なお、このとき、制御部37は、保管体21のいずれかに、対応する管理種別とは異なる管理種別の被管理物23が保管されている場合には、保管体21に異種の被管理物23が保管されている旨をこの保管体21の識別情報とともに表示部36に表示させ、アラームを発生させる。
【0046】
ここで、制御部37は、RAM39に記憶された上記の情報を、操作部35への任意のタイミングでの別途の管理操作入力により、日時情報別に表示部36に表示させるようになっている。
【0047】
例えば、制御部37は、操作部35へ任意のタイミングで別途照会操作入力が行われて、保管体21(あるいは管理種別)の指定操作入力が行われると、指定された保管体21(あるいは管理種別)について、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の各識別情報毎の保管の有無を判定して、その判定結果、つまりいずれの識別情報の被管理物23が保管されていて、いずれの識別情報の被管理物23が持ち出されているかを表示部36に表示させる。あるいは、その時点でICタグリーダ30でICタグ29を読み込んで、被管理物23の各識別情報毎の保管の有無を判定して、その判定結果を表示部36に表示させる。
【0048】
また、制御部37は、操作部35へ任意のタイミングで別途照会操作入力が行われて、被管理物23の識別情報の指定操作入力が行われると、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の保管の有無を判定して、その判定結果、つまりこの被管理物23が保管されているか持ち出されているかを表示部36に表示させる。あるいは、その時点でICタグリーダ30でICタグ29を読み込んで、被管理物23の保管の有無を判定して、その判定結果を表示部36に表示させる。
【0049】
また、操作部35への操作入力で、ダイヤグラム作成プログラムの実行が指定されると、制御部37は、操作部35への操作入力に基づいて、被管理物23の保管状況を時系列で示すダイヤグラムを各保管体21毎に作成することになり、このダイヤグラムをRAM39に記憶する。
【0050】
そして、制御部37は、所定の時間間隔で、ダイヤグラムによる被管理物23の保管状況と、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の各識別情報毎の保管の有無である保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合に、その旨を、表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話(報知手段)51および管理PC(報知手段)52にメールで送信する。これにより、保管状況の相違解消を促すことになる。
【0051】
つまり、例えば、ダイヤグラム上、営業開始前の所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)から持ち出されていなければならない場合に、この所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)から持ち出されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)に返却されていなければならない場合に、この所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)に返却されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。同様にして、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までにすべての鍵23(f)が保管体21(D)の保管部24(D)に返却されていなければならない場合に、この所定の時刻までにすべての鍵23(f)が保管体21(D)の保管部24(D)に返却されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までにすべてのIDカード23(g)が保管体21(E)の保管部24(E)に返却されていなければならない場合に、この所定の時刻までにすべてのIDカード23(g)が保管体21(E)の保管部24(E)に返却されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、営業開始前の所定の時刻までに本店に配送されるべき被管理物23が保管体21の保管部24から持ち出されていなければならない場合に、この所定の時刻までにこの被管理物23が保管体21の保管部24から持ち出されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。
【0052】
以上に述べた本実施形態の重要物管理装置11によれば、操作部35に使用者識別情報が入力されると、制御部37は、使用者を特定し、この特定結果に基づいて保管体21に対する被管理物23の持ち出しおよび返却の可否を制御する。一方で、ICタグリーダ30が、保管体21の被管理物23の保管の有無を判定すると、制御部37は、この判定結果を表示部36に表示する。よって、重要物管理装置11は、上記した保管体21を管理種別毎に有してフロア14上に設置されることにより、金庫室の代わりに重要物を管理することができるため、専用の金庫室を建屋12に構築する場合と比べて、コストを大幅に低減することができる。また、フロア14に設置されることから、衆人監視環境への設置や、設置先の部屋を監視する監視カメラシステムでの共用監視が可能となり、専用の監視カメラシステムを不要とすることができる。よって、この点からもコストを低減することができる。
【0053】
また、管理種別毎の保管体21が、それぞれコンポーネント化されており、複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるため、顧客毎に異なる要望に応じた管理種別の保管体21を装備することが容易にできる。しかも、管理種別の保管体21を重要物管理装置11内において顧客が要望する任意の位置に設置することができる。
【0054】
また、大きい保管体21の一つと、小さい保管体21を複数組み合わせたものとが同じ大きさとなるため、大きさの異なる保管体21を容易に装備することができる。よって、上記のように、大きな鍵管理機23(h)を大きな保管体21に、小さい通帳23(a)を小型の保管体21に保管する等、顧客の要望に応じて効率良く被管理物23を保管することができる。
【0055】
また、操作部35、表示部36および制御部37を含む制御ユニット40が、コンポーネント化されており、この制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるため、制御ユニット40をも容易に装備することができる。しかも、制御ユニット40を重要物管理装置11内において顧客が要望する任意の位置に設置することができる。
【0056】
また、保管体21が耐火構造であるため、火災があっても被管理物23を保管することができる。
【0057】
また、制御部37が、ダイヤグラムによる被管理物23の保管状況とICタグリーダ30の判定による被管理物23の保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合にその旨を表示部36に表示するため、被管理物23の持ち出しおよび返却のタイミングの異常発生を表示部36を見た人に認識させることができる。つまり、被管理物23は、その用途および目的によって保管/使用の時間帯がそれぞれ異なるものがあるが、このような場合でも、ダイヤグラムと相違して現在保管されているべき被管理物23が持ち出されていないか、逆に現在使用されているべき被管理物23が保管されたままになっていないかを、ほぼリアルタイムに認識でき、その対象となる被管理物23も容易に特定できる。
【0058】
また、判断処理にて両保管状況に相違がある場合に、制御部37が、携帯電話51および管理PC52を介してその旨を管理者に報知するため、被管理物23の持ち出しおよび返却のタイミングの異常発生を管理者に認識させることができる。したがって、管理者は速やかに担当者へ是正の処置を行わせることができる。
【0059】
また、制御部37が、保管体21に設けられたICタグリーダ30による、被管理物23に設けられたICタグ29の読み出しの有無により、保管体21の被管理物23の保管の有無を判定するため、保管体21の被管理物23の保管の有無を正確に管理することができる。しかも、所定の管理種別の保管体21に、所定とは異なる管理種別の被管理物23が保管されていないか等をも判定できる。
【符号の説明】
【0060】
11 重要物管理装置
14 フロア
21 保管体(保管手段)
22 装置本体
23 被管理物
29 ICタグ(識別手段)
30 ICタグリーダ(読出手段)
35 操作部(使用者特定手段,ダイヤグラム作成手段)
36 表示部(表示手段)
37 制御部(使用者特定手段,判定手段,制御手段,ダイヤグラム作成手段,報知手段)
40 制御ユニット
51 携帯電話(報知手段)
52 管理PC(報知手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、重要物を保管する重要物管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等においては、建屋に専用の金庫室を設け、この金庫室に重要物を保管するのが一般的であり、その中には、金庫室を移動可能な金庫函体で覆う技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭61−30116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、専用の金庫室を建屋に構築するには、高額な設置コストが必要となってしまう。また、金庫室は密室状態となるため、セキュリティ上、専用の監視カメラシステムが必要であり、管理コストも増大してしまう。
【0005】
したがって、本発明は、低コストで重要物を管理できる重要物管理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、被管理物の保管を行う保管手段を管理種別毎に有し、フロア上に設置される重要物管理装置であって、入力された識別情報に基づいて使用者を特定する使用者特定手段と、該使用者特定手段の特定結果に基づいて前記保管手段に対する前記被管理物の持ち出しおよび返却の可否を制御する制御手段と、前記保管手段の前記被管理物の保管の有無を判定する判定手段と、該判定手段による判定結果を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、管理種別毎の前記保管手段は、それぞれコンポーネント化されており、複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて構成されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記保管手段には、少なくとも大小異なる二つの大きさのものがあり、大きい保管手段の一つと、小さい保管手段を複数組み合わせたものとが同じ大きさとなることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記使用者特定手段、前記制御手段および前記表示手段を含む制御ユニットが、コンポーネント化されており、該制御ユニットに複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて構成されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記保管手段は、耐火構造であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、前記被管理物の保管状況のダイヤグラムを作成するダイヤグラム作成手段を有し、前記制御手段は、前記ダイヤグラムによる前記被管理物の保管状況と前記判定手段の判定による前記被管理物の保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合にその旨を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記判断処理にて前記両保管状況に相違がある場合にその旨を管理者に報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に係る発明において、前記被管理物には識別手段が設けられ、前記保管手段には前記識別手段を読み出す読出手段が設けられており、前記判定手段は、前記読出手段による前記識別手段の読み出しの有無により、前記保管手段の前記被管理物の保管の有無を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明は、識別情報が入力されると、使用者特定手段が使用者を特定し、この特定結果に基づいて制御手段が保管手段に対する被管理物の持ち出しおよび返却の可否を制御する。一方で、判定手段が保管手段の被管理物の保管の有無を判定すると、この判定結果を表示手段に表示する。よって、上記した保管手段を管理種別毎に有してフロア上に設置されることにより、金庫室の代わりに重要物を管理することができるため、専用の金庫室を建屋に構築する場合と比べて、コストを大幅に低減することができる。また、フロアに設置されることから、衆人監視環境への設置や、設置先の部屋を監視する監視カメラシステムでの共用監視が可能となり、専用の監視カメラシステムを不要とすることができる。よって、この点からもコストを低減することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、管理種別毎の保管手段が、それぞれコンポーネント化されており、複数個の保管手段が選択的に組み合わせられて構成されるため、顧客毎に異なる要望に応じた管理種別の保管手段を装備することが容易にできる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、大きい保管手段の一つと、小さい保管手段を複数組み合わせたものとが同じ大きさとなるため、大きさの異なる保管手段を容易に装備することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、使用者特定手段、制御手段および表示手段を含む制御ユニットが、コンポーネント化されており、この制御ユニットに複数個の保管手段が選択的に組み合わせられて構成されるため、制御ユニットをも容易に装備することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、保管手段が耐火構造であるため、火災があっても被管理物を保管することができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、制御手段が、ダイヤグラムによる被管理物の保管状況と判定手段の判定による被管理物の保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合にその旨を表示手段に表示するため、被管理物の持ち出しおよび返却のタイミングの異常発生を表示手段を見た人に認識させることができる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、判断処理にて両保管状況に相違がある場合に報知手段がその旨を管理者に報知するため、被管理物の持ち出しおよび返却のタイミングの異常発生を管理者に認識させることができる。
【0021】
請求項8に係る発明によれば、判定手段は、保管手段に設けられた読出手段による、被管理物に設けられた識別手段の読み出しの有無により、保管手段の被管理物の保管の有無を判定するため、保管手段の被管理物の保管の有無を正確に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る重要物管理装置の設置状態を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る重要物管理装置を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る重要物管理装置および被管理物を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る重要物管理装置を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の重要物管理装置11は、図1に示すように、金融機関等の建屋12の執務室13のフロア14上に別途設置されるオープン型のものである。
【0024】
重要物管理装置11は、図2に示すように、コンポーネント化された複数個の耐火構造の保管体(保管手段)21が選択的に組み合わせられて構成される装置本体22を備えている。保管体21は、図3に示す被管理物23の保管を行うもので、管理種別毎に設けられている。保管体21は、大小異なる二つの大きさのものがあり、大きいものには、縦長および横長の二種類がある。
【0025】
具体的に、装置本体22は、図2に示すように、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての図3に示す通帳23(a)を収納する保管部24(A)が上下に二段設けられた小の保管体21(A)と、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての大束紙幣23(b)、小束紙幣23(c)および棒金23(d)を収納する保管部24(B)が上下に二段設けられた横長の大の保管体21(B)と、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての硬貨収納袋23(e)を収納する保管部24(C)が上下に二段設けられた横長の大の保管体21(C)とを有している。
【0026】
また、装置本体22は、個々に対応する被管理物23としての鍵23(f)を保持する保管部24(D)が前面側に複数設けられた小の保管体21(D)と、前面側に引き出される引き出し式であって個々に対応する被管理物23としてのIDカード23(g)を収納する保管部24(E)が複数設けられた小の保管体21(E)と、前面側に引かれて揺動する片側扉式であって、図示略の鍵を保持する鍵保持部が複数設けられた被管理物23としての鍵管理機23(h)を収納する保管部24(F)が一カ所のみ設けられた縦長の大の保管体21(F)とを有している。
【0027】
また、装置本体22は、前面側に引かれて揺動する片側扉式の保管部24(G)が一カ所のみ設けられた小の保管体21(G)と、前面側に引き出される引き出し式の保管部24(H)が上下に二段設けられた小の保管体21(H)と、前面側に引かれて揺動する両側扉式の保管部24(I)が一カ所のみ設けられた小の保管体21(I)と、前面側に引かれて揺動する扉式および前面側に引き出される引き出し式の二種類の保管部24(J)が組み合わされた小の保管体21(J)と、前面側に引かれて揺動する片側扉式の保管部24(K)が一カ所のみ設けられた縦長の大の保管体21(K)と、前面側に引き出される引き出し式の保管部24(L)が上下に二段設けられた縦長の大の保管体21(L)とを有している。
【0028】
ここで、小の保管体21は、正面視正方形をなしており、大の保管体21は、小の保管体21と奥行きは同じであるものの、その一つが、小の保管体21を複数、具体的には二つ組み合わせたものと正面視が同じ大きさとなっている。よって、大の縦長の保管体21に対して同じ高さ範囲に二つの小の保管体21を上下に配置するとこれらの高さが一致することになり、大の横長の保管体21に対して同じ幅範囲に二つの小の保管体21を左右に配置するとこれらの幅が一致することになる。保管体21は、少なくとも大小異なる二つの大きさのものがあれば良く、例えば、大小異なる三つ以上の大きさのものがあっても良い。大小異なる三つの大きさの保管体21がある場合、大の保管体21を小の保管体21の三つを並べた大きさとし、中の保管体21を小の保管体21の二つを並べた大きさとしたり、大の保管体21を小の保管体21の四つを並べた大きさとし、中の保管体21を小の保管体21の二つを並べた大きさとしたりすることができる。
【0029】
各保管部24には、それぞれを閉状態でロックする電磁式の図3に示すロック機構27が設けられており、このロック機構27は、ロック解除信号が入力されると保管部24を開放可能にロックを解除する一方、ロック信号が入力されると保管部24を閉状態でロックする。また、各保管部24には、それぞれの開閉状態を検出する開閉検知センサ28が設けられている。
【0030】
また、各被管理物23には、それぞれを識別するための識別情報が記憶されたICタグ(識別手段)29が貼付されており、各保管部24には、それぞれ、各保管部24内にあるICタグ29のみから識別情報を読み出すICタグリーダ(読出手段)30が設けられている。つまり、このICタグリーダ30は、被管理物23に設けられたICタグ29の識別情報の読み出しの有無により、保管体21の各保管部24の個々の被管理物23の保管の有無および特定を行う。
【0031】
具体的に、通帳23(a)にはICタグ29(a)が貼付されており、通帳23(a)を保管する保管体21(A)の各保管部24(A)には、それぞれロック機構27(A)、開閉検知センサ28(A)およびICタグリーダ30(A)が設けられている。同様に、大束紙幣23(b)にはICタグ29(b)が、小束紙幣23(c)にはICタグ29(c)が、棒金23(d)にはICタグ29(d)が貼付されており、これらを保管する各保管部24(B)には、それぞれロック機構27(B)、開閉検知センサ28(B)およびICタグリーダ30(B)が設けられている。同様に、硬貨収納袋23(e)にはICタグ29(e)が貼付されており、硬貨収納袋23(e)を保管する各保管部24(C)には、それぞれロック機構27(C)、開閉検知センサ28(C)およびICタグリーダ30(C)が設けられている。
【0032】
鍵23(f)にはICタグ29(f)が貼付されており、鍵23(f)を保管する各保管部24(D)には、それぞれ鍵23(f)を装着状態である閉状態でロックするロック機構27(D)、装着状態である閉状態にあるか取り外し可能な開状態にあるかを検知する開閉検知センサ28(D)およびICタグリーダ30(D)が設けられている。
【0033】
IDカード23(g)にはICタグ29(g)が貼付されており、IDカード23(g)を保管する各保管部24(E)には、それぞれロック機構27(E)、開閉検知センサ28(E)およびICタグリーダ30(E)が設けられている。鍵管理機23(h)にはICタグ29(h)が貼付されており、鍵管理機23(h)を保管する保管部24(F)には、ロック機構27(F)、開閉検知センサ28(F)およびICタグリーダ30(F)が設けられている。
【0034】
同様にして、保管体21(G)の保管部24(G)には、それぞれロック機構27(G)、開閉検知センサ28(G)およびICタグリーダ30(G)が設けられ、保管部24(G)に保管される被管理物23(i)には、ICタグ29(i)が貼付されている。保管体21(H)の保管部24(H)には、それぞれロック機構27(H)、開閉検知センサ28(H)およびICタグリーダ30(H)が設けられ、保管部24(H)に保管される被管理物23(j)には、ICタグ29(j)が貼付されている。保管体21(I)の保管部24(I)には、それぞれロック機構27(I)、開閉検知センサ28(I)およびICタグリーダ30(I)が設けられ、保管部24(I)に保管される被管理物23(k)には、ICタグ29(k)が貼付されている。保管体21(J)の保管部24(J)には、それぞれロック機構27(J)、開閉検知センサ28(J)およびICタグリーダ30(J)が設けられ、保管部24(J)に保管される被管理物23(l)には、ICタグ29(l)が貼付されている。保管体21(K)の保管部24(K)には、それぞれロック機構27(K)、開閉検知センサ28(K)およびICタグリーダ30(K)が設けられ、保管部24(K)に保管される被管理物23(m)には、ICタグ29(m)が貼付されている。保管体21(L)の保管部24(L)には、それぞれロック機構27(L)、開閉検知センサ28(L)およびICタグリーダ30(L)が設けられ、保管部24(L)に保管される被管理物23(n)には、ICタグ29(n)が貼付されている。
【0035】
また、重要物管理装置11は、前面側に使用者により操作入力が行われる操作部(使用者特定手段,ダイヤグラム作成手段)35および使用者に表示を行う表示部(表示手段)36を有し、重要物管理装置11を制御する制御部(使用者特定手段,判定手段,制御手段,ダイヤグラム作成手段,報知手段)37と、制御プログラム等を記憶するROM38と、管理データ等を記憶するRAM39とを有する図2に示す一つの制御ユニット40を有している。この制御ユニット40は、操作部35、表示部36、制御部37、ROM38およびRAM39を含んでコンポーネント化されており、小の保管体21と正面視で同じ大きさをなしている。そして、重要物管理装置11は、この制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるようになっている。
【0036】
また、重要物管理装置11は、小の保管体21と同じ大きさにコンポーネント化されたフリー空間形成体45を有している。ここで、重要物管理装置11は、上記した制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて全体として正面視が矩形状をなすことになり、その際に、制御ユニット40も保管体21も配置されない部分を埋めるようにフリー空間形成体45が配置される。フリー空間形成体45は枠状をなしており、内側が空間となっている。フリー空間形成体45が配置されたスペースには、これと交換する形で、後に保管体21を追加可能となっている。
【0037】
そして、制御ユニット40と、複数個の保管体21およびフリー空間形成体45の適宜のものとが、前面を揃えた状態で、隣り合うもの同士が図示略の連結具で連結されることで、正面視矩形状をなす装置本体22が組み上がることになる。
【0038】
具体的に、図2に示す装置本体22には、通帳23(a)を収納する小の保管体21(A)が正面から見て左側の上側に上下二段に設けられており、その下側に縦長の大の保管体21(L)が一つ設けられている。また、これら保管体21(A)および保管体21(L)の右隣に、縦長の大の保管体21(K)が上下二段に設けられ、これらの右隣に、上側から順に、制御ユニット40、フリー空間形成体45、小の保管体21(H)、小の保管体21(G)が設けられている。また、これらの右隣に、上側から順に、小の保管体21(D)、小の保管体21(E)、小の保管体21(J)、小の保管体21(I)が設けられ、これらの右隣に、上側から順に、小の保管体21(D)、小の保管体21(E)、横長の大の保管体21(B)、横長の大の保管体21(C)が設けられている。小の保管体21(D)、小の保管体21(E)の右隣であって、横長の大の保管体21(B)の上側に、縦長の大の保管体21(F)が設けられている。
【0039】
さらに、この装置本体22の後側には、各保管体21と制御ユニット40とを通信可能に接続する通信ケーブル等を配索するための図1に示す配索スペース形成カバー47が図示略の連結具で取り付けられることで重要物管理装置11が構成されている。なお、高さおよび横幅の異なる配索スペース形成カバー47が複数種類準備されることになり、いずれかの配索スペース形成カバー47と正面視の大きさが合うように、制御ユニット40と、複数個の保管体21とを組み合わせ、必要によりフリー空間形成体45をも組み合わせる。例えば、図2に示す、小の保管体21四つ分の高さおよび小の保管体21六つ分の幅を有する装置本体22の背面を覆う、小の保管体21四つ分の高さおよび小の保管体21の六つ分の幅を有する図1に示す配索スペース形成カバー47の他に、例えば、小の保管体21四つ分の高さおよび小の保管体21の五つ分の幅を有する幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21四つ分の高さおよび小の保管体21の四つ分の幅を有する幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21四つ分の高さおよび小の保管体21の三つ分の幅を有する幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21三つ分の高さおよび小の保管体21の六つ分の幅を有する幅を有する配索スペース形成カバー47等を、必要に応じて準備する。
【0040】
上記のようにして組み立てられた重要物管理装置11が配索スペース形成カバー47を壁に近接させて例えば執務室13のフロア14上に設置されることになり、これにより、重要物管理装置11の制御ユニット40の前面および複数個の保管体21の前面が執務室13の室内側に向いて設置されることになる。なお、重要物管理装置11は必要により下部に転動ロック付きのキャスタ48が取り付けられることになり、フロア14上での移設が可能になっている。
【0041】
このような重要物管理装置11においては、使用に当たって、使用者が操作部35に、使用者ID番号の入力や使用者IDカードの走査により、使用者識別情報を入力することになる。使用者識別情報が入力されると、制御部37は、RAM39と照らし合わせてこの入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されているか否かを判断する。制御部37は、入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されていなければ、入力された使用者識別情報が適正でない旨を表示部36に表示させる。
【0042】
制御部37は、入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されていれば、使用者がこの使用者識別情報を有する使用者であることを特定することになり、この特定された使用者識別情報に関連付けてRAM39に記憶されている持ち出し可能な被管理物23の種別情報を読み出し、これら種別情報の中から、使用者に持ち出す被管理物23の種別情報の選択入力を促す表示を表示部36に表示させる。ここで、この使用者識別情報に関連してRAM39に記憶された持ち出し可能な被管理物23の種別情報は、例えば使用者識別情報が一般職員である場合と管理職員である場合とで異なる。
【0043】
上記の表示にしたがって、使用者が持ち出す被管理物23の種別情報の選択入力を操作部35に入力すると、制御部37は、この入力された種別情報の被管理物23を収納している保管体21の保管部24に対し被管理物23の持ち出しおよび返却を許可し、そのロック機構27にロック解除信号を出力してロックを解除する。つまり、制御部37は、操作部35に入力された使用者の特定結果である使用者識別情報に基づいて保管体21の保管部24に対する被管理物23の持ち出しおよび返却の可否を制御する。なお、この入力された種別情報の被管理物23を収納している保管体21が保管部24を複数有している場合には、それぞれのロック機構27にロック解除信号を出力してロックを解除することになる。
【0044】
ロックが解除された保管体21の保管部24に対して、使用者がこれを開放して、被管理物23の持ち出しおよび返却の少なくともいずれか一方を行い、これを閉じる。すると、この保管部24に設けられた開閉検知センサ28がこの保管部24が閉状態になったことを検知することになり、これにより、制御部37は、この保管部24に設けられたロック機構27にロック信号を出力して保管体21の保管部24をロックする。なお、ロックが解除された保管体21が保管部24を複数有している場合には、すべての保管部24が閉状態になったことを各開閉検知センサ28で検出すると、すべての保管部24のロック機構27にロック信号を出力してこれらをロックすることになる。
【0045】
そして、上記のようにして保管体21の保管部24の開閉が行われると、制御部37は、開閉が行われた保管部24に対してICタグリーダ30でICタグ29から識別情報を読み取り、この識別情報に基づく保管部24内の被管理物23の残存状況を日時情報および使用者識別情報とともにRAM39に記憶する。制御部37は、この残存状況と、RAM39に記憶されている今回の開閉の直前の保管部24内の被管理物23の残存状況とから、保管体21の被管理物23の保管の有無である、開閉された保管部24の被管理物23の装置外への持ち出しおよび装置への返却の判定を行い、判定結果を表示部36に表示させる。つまり、制御部37は、いずれの識別情報を有する被管理物23が持ち出されたか、あるいは返却されたかを判定し、日時情報および使用者識別情報とともにRAM39に記憶するとともに、被管理物23の識別情報と、持ち出されたか、返却されたかの区別とを表示部36に表示させる。なお、このとき、制御部37は、保管体21のいずれかに、対応する管理種別とは異なる管理種別の被管理物23が保管されている場合には、保管体21に異種の被管理物23が保管されている旨をこの保管体21の識別情報とともに表示部36に表示させ、アラームを発生させる。
【0046】
ここで、制御部37は、RAM39に記憶された上記の情報を、操作部35への任意のタイミングでの別途の管理操作入力により、日時情報別に表示部36に表示させるようになっている。
【0047】
例えば、制御部37は、操作部35へ任意のタイミングで別途照会操作入力が行われて、保管体21(あるいは管理種別)の指定操作入力が行われると、指定された保管体21(あるいは管理種別)について、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の各識別情報毎の保管の有無を判定して、その判定結果、つまりいずれの識別情報の被管理物23が保管されていて、いずれの識別情報の被管理物23が持ち出されているかを表示部36に表示させる。あるいは、その時点でICタグリーダ30でICタグ29を読み込んで、被管理物23の各識別情報毎の保管の有無を判定して、その判定結果を表示部36に表示させる。
【0048】
また、制御部37は、操作部35へ任意のタイミングで別途照会操作入力が行われて、被管理物23の識別情報の指定操作入力が行われると、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の保管の有無を判定して、その判定結果、つまりこの被管理物23が保管されているか持ち出されているかを表示部36に表示させる。あるいは、その時点でICタグリーダ30でICタグ29を読み込んで、被管理物23の保管の有無を判定して、その判定結果を表示部36に表示させる。
【0049】
また、操作部35への操作入力で、ダイヤグラム作成プログラムの実行が指定されると、制御部37は、操作部35への操作入力に基づいて、被管理物23の保管状況を時系列で示すダイヤグラムを各保管体21毎に作成することになり、このダイヤグラムをRAM39に記憶する。
【0050】
そして、制御部37は、所定の時間間隔で、ダイヤグラムによる被管理物23の保管状況と、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の各識別情報毎の保管の有無である保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合に、その旨を、表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話(報知手段)51および管理PC(報知手段)52にメールで送信する。これにより、保管状況の相違解消を促すことになる。
【0051】
つまり、例えば、ダイヤグラム上、営業開始前の所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)から持ち出されていなければならない場合に、この所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)から持ち出されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)に返却されていなければならない場合に、この所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)に返却されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。同様にして、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までにすべての鍵23(f)が保管体21(D)の保管部24(D)に返却されていなければならない場合に、この所定の時刻までにすべての鍵23(f)が保管体21(D)の保管部24(D)に返却されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までにすべてのIDカード23(g)が保管体21(E)の保管部24(E)に返却されていなければならない場合に、この所定の時刻までにすべてのIDカード23(g)が保管体21(E)の保管部24(E)に返却されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、営業開始前の所定の時刻までに本店に配送されるべき被管理物23が保管体21の保管部24から持ち出されていなければならない場合に、この所定の時刻までにこの被管理物23が保管体21の保管部24から持ち出されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。
【0052】
以上に述べた本実施形態の重要物管理装置11によれば、操作部35に使用者識別情報が入力されると、制御部37は、使用者を特定し、この特定結果に基づいて保管体21に対する被管理物23の持ち出しおよび返却の可否を制御する。一方で、ICタグリーダ30が、保管体21の被管理物23の保管の有無を判定すると、制御部37は、この判定結果を表示部36に表示する。よって、重要物管理装置11は、上記した保管体21を管理種別毎に有してフロア14上に設置されることにより、金庫室の代わりに重要物を管理することができるため、専用の金庫室を建屋12に構築する場合と比べて、コストを大幅に低減することができる。また、フロア14に設置されることから、衆人監視環境への設置や、設置先の部屋を監視する監視カメラシステムでの共用監視が可能となり、専用の監視カメラシステムを不要とすることができる。よって、この点からもコストを低減することができる。
【0053】
また、管理種別毎の保管体21が、それぞれコンポーネント化されており、複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるため、顧客毎に異なる要望に応じた管理種別の保管体21を装備することが容易にできる。しかも、管理種別の保管体21を重要物管理装置11内において顧客が要望する任意の位置に設置することができる。
【0054】
また、大きい保管体21の一つと、小さい保管体21を複数組み合わせたものとが同じ大きさとなるため、大きさの異なる保管体21を容易に装備することができる。よって、上記のように、大きな鍵管理機23(h)を大きな保管体21に、小さい通帳23(a)を小型の保管体21に保管する等、顧客の要望に応じて効率良く被管理物23を保管することができる。
【0055】
また、操作部35、表示部36および制御部37を含む制御ユニット40が、コンポーネント化されており、この制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるため、制御ユニット40をも容易に装備することができる。しかも、制御ユニット40を重要物管理装置11内において顧客が要望する任意の位置に設置することができる。
【0056】
また、保管体21が耐火構造であるため、火災があっても被管理物23を保管することができる。
【0057】
また、制御部37が、ダイヤグラムによる被管理物23の保管状況とICタグリーダ30の判定による被管理物23の保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合にその旨を表示部36に表示するため、被管理物23の持ち出しおよび返却のタイミングの異常発生を表示部36を見た人に認識させることができる。つまり、被管理物23は、その用途および目的によって保管/使用の時間帯がそれぞれ異なるものがあるが、このような場合でも、ダイヤグラムと相違して現在保管されているべき被管理物23が持ち出されていないか、逆に現在使用されているべき被管理物23が保管されたままになっていないかを、ほぼリアルタイムに認識でき、その対象となる被管理物23も容易に特定できる。
【0058】
また、判断処理にて両保管状況に相違がある場合に、制御部37が、携帯電話51および管理PC52を介してその旨を管理者に報知するため、被管理物23の持ち出しおよび返却のタイミングの異常発生を管理者に認識させることができる。したがって、管理者は速やかに担当者へ是正の処置を行わせることができる。
【0059】
また、制御部37が、保管体21に設けられたICタグリーダ30による、被管理物23に設けられたICタグ29の読み出しの有無により、保管体21の被管理物23の保管の有無を判定するため、保管体21の被管理物23の保管の有無を正確に管理することができる。しかも、所定の管理種別の保管体21に、所定とは異なる管理種別の被管理物23が保管されていないか等をも判定できる。
【符号の説明】
【0060】
11 重要物管理装置
14 フロア
21 保管体(保管手段)
22 装置本体
23 被管理物
29 ICタグ(識別手段)
30 ICタグリーダ(読出手段)
35 操作部(使用者特定手段,ダイヤグラム作成手段)
36 表示部(表示手段)
37 制御部(使用者特定手段,判定手段,制御手段,ダイヤグラム作成手段,報知手段)
40 制御ユニット
51 携帯電話(報知手段)
52 管理PC(報知手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被管理物の保管を行う保管手段を管理種別毎に有し、フロア上に設置される重要物管理装置であって、
入力された識別情報に基づいて使用者を特定する使用者特定手段と、
該使用者特定手段の特定結果に基づいて前記保管手段に対する前記被管理物の持ち出しおよび返却の可否を制御する制御手段と、
前記保管手段の前記被管理物の保管の有無を判定する判定手段と、
該判定手段による判定結果を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする重要物管理装置。
【請求項2】
管理種別毎の前記保管手段は、それぞれコンポーネント化されており、複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて構成されることを特徴とする請求項1記載の重要物管理装置。
【請求項3】
前記保管手段には、少なくとも大小異なる二つの大きさのものがあり、大きい保管手段の一つと、小さい保管手段を複数組み合わせたものとが同じ大きさとなることを特徴とする請求項2記載の重要物管理装置。
【請求項4】
前記使用者特定手段、前記制御手段および前記表示手段を含む制御ユニットが、コンポーネント化されており、該制御ユニットに複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて構成されることを特徴とする請求項2または3記載の重要物管理装置。
【請求項5】
前記保管手段は、耐火構造であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の重要物管理装置。
【請求項6】
前記被管理物の保管状況のダイヤグラムを作成するダイヤグラム作成手段を有し、
前記制御手段は、前記ダイヤグラムによる前記被管理物の保管状況と前記判定手段の判定による前記被管理物の保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合にその旨を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の重要物管理装置。
【請求項7】
前記判断処理にて前記両保管状況に相違がある場合にその旨を管理者に報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項6記載の重要物管理装置。
【請求項8】
前記被管理物には識別手段が設けられ、前記保管手段には前記識別手段を読み出す読出手段が設けられており、
前記判定手段は、前記読出手段による前記識別手段の読み出しの有無により、前記保管手段の前記被管理物の保管の有無を判定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の重要物管理装置。
【請求項1】
被管理物の保管を行う保管手段を管理種別毎に有し、フロア上に設置される重要物管理装置であって、
入力された識別情報に基づいて使用者を特定する使用者特定手段と、
該使用者特定手段の特定結果に基づいて前記保管手段に対する前記被管理物の持ち出しおよび返却の可否を制御する制御手段と、
前記保管手段の前記被管理物の保管の有無を判定する判定手段と、
該判定手段による判定結果を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする重要物管理装置。
【請求項2】
管理種別毎の前記保管手段は、それぞれコンポーネント化されており、複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて構成されることを特徴とする請求項1記載の重要物管理装置。
【請求項3】
前記保管手段には、少なくとも大小異なる二つの大きさのものがあり、大きい保管手段の一つと、小さい保管手段を複数組み合わせたものとが同じ大きさとなることを特徴とする請求項2記載の重要物管理装置。
【請求項4】
前記使用者特定手段、前記制御手段および前記表示手段を含む制御ユニットが、コンポーネント化されており、該制御ユニットに複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて構成されることを特徴とする請求項2または3記載の重要物管理装置。
【請求項5】
前記保管手段は、耐火構造であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の重要物管理装置。
【請求項6】
前記被管理物の保管状況のダイヤグラムを作成するダイヤグラム作成手段を有し、
前記制御手段は、前記ダイヤグラムによる前記被管理物の保管状況と前記判定手段の判定による前記被管理物の保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合にその旨を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の重要物管理装置。
【請求項7】
前記判断処理にて前記両保管状況に相違がある場合にその旨を管理者に報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項6記載の重要物管理装置。
【請求項8】
前記被管理物には識別手段が設けられ、前記保管手段には前記識別手段を読み出す読出手段が設けられており、
前記判定手段は、前記読出手段による前記識別手段の読み出しの有無により、前記保管手段の前記被管理物の保管の有無を判定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の重要物管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2011−241566(P2011−241566A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113268(P2010−113268)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
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