釣糸ガイド及びその製造方法
【課題】軽量化が図れると共に撓み性に優れ、強度が大きい釣糸ガイドを提供する。
【解決手段】本発明に係る釣糸ガイド1は、環状に形成されガイドリング10を保持する保持部7と、釣竿に固定される釣竿固定部8a,8bとを設けたフレーム3を有する。そして、環状の保持部7は、その径方向に複数の繊維強化樹脂層を積層して形成されていることを特徴とする。
【解決手段】本発明に係る釣糸ガイド1は、環状に形成されガイドリング10を保持する保持部7と、釣竿に固定される釣竿固定部8a,8bとを設けたフレーム3を有する。そして、環状の保持部7は、その径方向に複数の繊維強化樹脂層を積層して形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に装着されて釣糸を案内する釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した釣糸ガイドは、釣竿の外周面に装着されるフレームと、フレームに止着され、実際に釣糸が挿通されるガイドリングとを備えた構成となっている。前記フレームは、例えば、特許文献1に記載されているように、ステンレスやチタン等の金属製の板材料をプレス加工することで一体形成するのが一般的となっており、フレームには、釣糸を挿通させるガイドリングを保持するためのリング保持部と、釣竿の外表面に装着するための固定部が一体形成されている。また、例えば、特許文献2には、釣糸ガイドを、繊維強化樹脂で射出成形することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−340661号
【特許文献2】実公平2−14385号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている釣糸ガイドでは、フレームが金属材料で形成されているため、重量が重くなると共に撓み性も悪く、釣竿の性能の向上を図る上でネックとなっている。例えば、より軽量化が要求される釣竿では、上記したような釣糸ガイドを軸長方向に沿って多数装着すると、所望の性能が発揮できなくなってしまう。また、上記特許文献2に開示されている釣糸ガイドでは、特許文献1に開示されている釣糸ガイドと比較すると、軽量化は図れるものの、短繊維やウイスカーを熱可塑性樹脂に分散させる構造であるため、強化繊維を熱可塑性樹脂に満遍なく分散させることが難しく、十分な強度を確保することが難しい。
【0005】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、軽量化が図れると共に撓み性に優れ、強度が大きい釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明は、環状に形成されガイドリングを保持する保持部と、釣竿に固定される釣竿固定部とを設けたフレームを有する釣糸ガイドであって、前記環状の保持部は、その径方向に複数の繊維強化樹脂層を積層して形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記した構成の釣糸ガイドは、フレームのガイドリングを保持する環状部分が、径方向に向けて繊維強化樹脂層を積層した構造となるため、軽量化が図れると共に、撓み性に優れた構造となり、このような構造の釣糸ガイドを装着した釣竿は本来の特性を発揮し易くなる。また、ガイドリングを保持する環状部分は、径方向に繊維強化樹脂層が積層された構造となるため、強度が向上し、ガイドリングを装着しても、割れ等が生じ難い構造とすることが可能となる。
【0008】
また、上記した目的を達成するために、本発明に係る釣糸ガイドの製造方法は、繊維強化プリプレグを巻回して繊維強化樹脂層が積層された管状の部材を形成する工程と、前記管状の部材から、ガイドリングを保持する環状の保持部と釣竿に固定される釣竿固定部とを有するフレームを切り出す工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記した構成の釣糸ガイドの製造方法は、釣糸ガイドのフレーム部分を、繊維強化プリプレグを巻回した管状の部材から切り出すことで形成するため、軽量化された釣糸ガイドを容易に製造することが可能になる。また、フレーム全体が繊維強化プリプレグによる積層構造となるため、撓み性に優れ、強度の向上した釣糸ガイドが得られるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軽量化が図れると共に撓み性に優れ、強度が大きい釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る釣糸ガイドの第1の実施形態を示す縦断面図。
【図2】図1に示す釣糸ガイドの一部縦断平面図。
【図3】図1のA−A線に沿った断面図。
【図4】図1に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図。
【図5】管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図。
【図6】管状の部材から切り出される釣糸ガイドを側面から見た断面図。
【図7】管状の部材の製造方法の変形例を説明する図。
【図8】図7に示す方法で形成された管状の部材の断面図。
【図9】図1に示す釣糸ガイドの変形例を示す縦断面図。
【図10】本発明に係る釣糸ガイドの第2の実施形態を示す斜視図。
【図11】図10に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図。
【図12】図11に示す製法で形成される管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図。
【図13】本発明に係る釣糸ガイドの第3の実施形態を示す斜視図。
【図14】図13に示す釣糸ガイドの断面図。
【図15】図13に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図。
【図16】図15に示す方法で形成される管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図。
【図17】本発明に係る釣糸ガイドの第4の実施形態を示す縦断面図。
【図18】図17のB−B線に沿った断面図。
【図19】図17に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図。
【図20】図19に示す方法で形成される管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から図6は、本発明に係る釣糸ガイドの第1の実施形態、及びその製造方法を説明する図であり、図1は、釣糸ガイドの縦断面図、図2は、図1に示す釣糸ガイドの一部縦断平面図、図3は、図1のA−A線に沿った断面図、図4は、図1に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図、図5は、管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図、そして、図6は、管状の部材から切り出される釣糸ガイドを側面から見た断面図である。
【0013】
釣糸ガイド1を構成するフレーム3は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグ(以下、プリプレグと称する)を巻回した管状の部材5から形成される。この場合、管状の部材5は、図4に示すように、複数枚のプリプレグ5a〜5dを、マンドレル(芯金)Mに対して巻回した後、テープ等によって保形し、その後、加熱工程及び脱芯工程等を経て形成される(プリプレグの構成、積層態様、及びフレームの詳細な製造方法については後述する)。
【0014】
前記フレーム3は、環状に形成されガイドリング10を保持する保持部7と、釣竿Rに固定される釣竿固定部とを備えている。この場合、本実施形態の釣竿固定部は、釣竿の軸長方向(ガイドリングの釣糸挿通方向)Xに延びる2本の板状突片8a,8bによって構成されている。また、フレーム3は、前記環状に形成される保持部7と元竿側となる板状突片(釣竿固定部)8bとの間を連結する支脚部(連結部)9を備えており、この支脚部9は、図2に示すように、釣竿の軸長方向Xに対して対称となるように、左右一対設けられている。なお、支脚部9は、以下のように、管状の部材5を切り出して形成されることから、その表面は湾曲面となっている。
【0015】
前記フレーム3を形成するための本実施形態の管状の部材5は、図4に示すように、4枚のプリプレグ5a〜5dをマンドレルMに対して巻回することで形成されている。この場合、各プリプレグ5a〜5dは、マンドレルMに対して、順次内側から、それぞれ1巻回される大きさに裁断されており、結果として、管状の部材5は、複数の繊維強化樹脂層を有する構造となる。なお、各層を構成するプリプレグ5a〜5dについては、炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維が所定の方向に引き揃えられた状態、或いは編成されたシート状に構成されたものであり、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)や熱可塑性樹脂(例えば、ナイロン)をマトリックス樹脂として含浸した構成となっている。
【0016】
本実施形態では、最内層を構成するプリプレグ5aは、強化繊維を軸長方向に引き揃えた構成となっており、第2層を構成するプリプレグ5bは、強化繊維を周方向に引き揃えた構成となっている。また、第3層を構成するプリプレグ5c及び最外層を構成するプリプレグ5dは、強化繊維を軸長方に対して斜め方向に引き揃えた構成となっている。この場合、第3層及び最外層における強化繊維の斜向する方向については、強度バランスを考慮して軸長方向に対して同角度で互いに逆方向となるように設定しておくのが好ましい。この結果、フレーム部分は、強化繊維の指向方向が三方向以上となり、効率良く、軽量で強度的に優れた釣糸ガイドを形成することが可能となる。
【0017】
図5及び図6に示すように、複数の繊維強化樹脂層を有する管状の部材5に対して所定の位置を切り出すことにより、釣糸ガイド1のフレーム3が形成される(図5において、切り出す部分を二点鎖線で示している)。このため、管状の部材5を形成するマンドレルMは、脱芯した後で最終的にガイドリング10が取り付けられる保持孔5hを構成することから、装着されるガイドリング10の外径と略一致する外径を有するものが用いられる。また、実際には、形成される管状の部材5は、軸方向に長く形成されており、管状の部材5からは複数のフレーム3が形成されるようになっている。
【0018】
以下、形成された管状の部材5からフレーム3を切り出す方法について具体的に説明する。
フレーム3の環状の保持部7は、前記管状の部材5を、図示されていない刃具を用いて、軸線Xを横切る方向(交差する方向)に切り出すことで形成される。したがって、上記したように積層された繊維強化樹脂層は、そのまま保持部7において径方向に積層された状態となる。また、一対の支脚部9は、保持部7の上端側両サイドから、管状の部材5の左右両側に沿って下端側中央に向けて回り込むようにして切り出される。さらに、後方の板状突片8bは、一対の支脚部9が保持部7の上端側から下端側に回り込んで下端側の合わさった位置で長手方向(後方)に向けて突出するように切り出され、前方の板状突片8aは、環状の保持部7の下端位置で長手方向(前方)に向けて突出するように切り出される。なお、本実施形態の板状突片(釣竿固定部)8a,8bは、切り出す際に、管状の部材として外側に巻回されたプリプレグ5c,5dによって形成される。
【0019】
このように、環状の保持部7、板状突片8a,8b及び一対の支脚部9は、管状の部材5の所定の位置を切り出すことで一体形成される。この場合、板状突片8a,8bについては、管状の部材5の肉厚の範囲内で形成されることとなるが、管状の部材5を形成する際に、例えば、巻回するプレプレグを、整数巻回数よりも多少多くして部分的に重ねることで軸長方向に沿って厚肉部を形成しておき、この部分に板状突片を形成することで厚肉化することも可能である。或いは、軸長方向に沿うように補強プリプレグを積層して肉盛りした状態にしても良い。すなわち、このように構成することで、釣竿固定部における強度を向上することが可能となる。
【0020】
管状の部材5から所定の形状となるようにフレーム3を切り出すに際しては、上記したような刃具による切り出しの他、プレス加工による切り出し、液体(ウォータージェット等)による切り出し等、任意の方法を採用することで、1本の管状の部材5から複数のフレーム3を切り出すことが可能となり、これにより、軽量で高強度の釣糸ガイドを効率良く製造することが可能となる。
【0021】
この場合、保持部7は、管状の部材5を、軸線Xを横切る方向に切り出すことで形成されるため、径方向の内側から外側方向に向けて繊維強化樹脂層が積層された状態となっており、効率的に強度を向上することが可能となる。なお、保持部7については、連続して一周する環状(周方向に亘って切欠き領域が存在しない)に形成すると共に、少なくとも一周する繊維強化樹脂層を含むことによって、強化繊維が環状の保持部の芯材となって強度の向上が図れるようになる。
【0022】
また、本実施形態における釣竿固定部は、フレームの保持部7の前後方向に延びる板状突片8a,8aで構成されており、その裏側の当接面8a´,8b´が釣竿の表面に載置された状態で、例えば、糸を巻き付けた後にその外側に接着剤を塗布することによって固定される。このため、板状突片8a,8aについては、管状の部材5から切り出した際、その当接面8a´,8b´が、径方向外方に膨出した湾曲面となるため、最終的に釣竿の外周面に沿うような湾曲面となるように切削処理(細部加工)を施しておくことが好ましい。
【0023】
上記したような切り出し加工、及び細部加工を施すことで、フレーム3の基本的な外形状、すなわち、ガイドリング10が取り付けられる保持孔5hを有する環状の保持部7、一対の支脚部9および釣竿固定部(板状突片)8a,8bが一体形成される。
【0024】
次に、管状の部材から切り出されたフレーム3に対して表面処理を施す。例えば、バレル加工を施すことで、表面のバリを除去すると共に、表面の光沢が得られる程度に仕上げ研磨を施す。この研磨の程度については、釣糸ガイド1のサイズや形状、材質特性などによって研磨剤や研磨時間などを任意に調整することが可能である。このようなバレル加工を施すことにより、強化繊維を切断することなく、フレーム3を研磨することが可能となり、強度の安定化が図れると共に、外観の優れた釣糸ガイドとすることが可能となる。
【0025】
なお、このような研磨工程を施すに際しては、フレーム3の表面に強化繊維が一部露出しマトリックス樹脂が一部残るように研磨することが好ましい。こうすることで、研磨表面の光沢をより一層向上することが可能となる。
【0026】
次に、必要に応じて、フレーム3の全体又は一部分に被膜を形成する。例えば、外観向上やフレーム本体の保護のために塗装を行なうことや、金属やセラミックスを蒸着等することも可能である。
【0027】
そして、上記したように形成されたフレーム3の保持部7の保持孔5hの部分にガイドリング10を取り付ける。ガイドリング10の取り付け方法は、圧入や接着、カーリング、その他、任意の固定方法を採用することが可能である。なお、保持孔5hに嵌入されるガイドリング10は、リング状に構成されており、その内周面である釣糸案内面10a部分での摺動抵抗が小さい部材、例えば、チタン、アルミ、SUS、セラミックス等によって形成されている。
【0028】
上記したような製造方法によって形成される釣糸ガイド1によれば、金属製のものと比較して重量が軽くなり、更には、比強度、比剛性、及び撓み性に優れた構成とすることが可能となる。このため、そのような釣糸ガイドを多数個装着しても釣竿全体が重量化することはなく、釣竿の性能の向上が図れる。特に、穂先竿のような部分では、より軽量化が図れることから、繊細な当たりを感知し易くなり、より釣竿の性能の向上を図ることが可能となる。更に、環状の保持部7の前方側と後方側の両方に釣竿固定部(板状突片)8a,8aが設けられるため、釣竿に安定して保持されて釣糸を安定して案内することが可能となる。また、複数の繊維強化樹脂層で形成された管状の部材5を切り出し処理することで、そのままガイドリング10が止着される環状の保持部7を形成できると共に、管状の部材の円筒壁部そのもので釣竿固定部(板状突片や嵌合孔等)も形成できるため、釣糸ガイド全体として軽量化が図れると共に、比強度、比剛性、及び撓み性に優れた構成の釣糸ガイドを容易に製造することが可能となる。
【0029】
また、上記した複数の繊維強化樹脂層を有する管状の部材5からフレーム3を形成することで、フレーム3は、異なる方向に強化繊維を指向させることが可能となり、フレーム3に対して様々な方向から負荷が作用しても、それらの方向の剛性については、軽量化を図りつつ効率良く高めておくことが可能となる。また、強度についても、複数の繊維強化樹脂層を有することで効率的に向上することが可能となる。
【0030】
この場合、上記した管状の部材5を形成するプリプレグについては、その構成(強化繊維の方向、樹脂含浸量、それらの種類や枚数(巻回数)など)は、釣竿の種類、装着位置等に応じて適宜変形することが可能である。例えば、管状の部材5の最外層に織布層を配設しておくことで、他物と接触し易い表面部分の裂けや剥離などが効果的に防止でき、強度の向上、及び安定化が図れるようになる。
【0031】
また、図7及び図8に示すように、斜向方向にクロスするように強化繊維を指向させたプリプレグ5fをマンドレルMに対して複数回(図に示す構成では4回)、巻回することで管状の部材5を形成しても良い。このようなプリプレグによれば、管状の部材5を効率的に形成することが可能となる。
【0032】
図9は、上記した実施形態の変形例を示す図である。
上記した実施形態では、釣竿固定部は、保持部7に対して、釣糸挿通方向に沿って延びる板状突片8a,8bによって構成したが、釣竿が嵌合される嵌合部(挿通孔)18a,18bとして構成しても良い。このような嵌合部は、図に示すように、保持部7の下端部に形成すると共に、一対の支脚部9の先端側に形成することが可能である。
【0033】
上記したような嵌合部18a,18bについては、管状の部材5からフレーム3を切り出す前に、管状の部材5の下端部に対して軸方向に延出する貫通孔を穿設しても良いし、フレーム3を切り出した後に穿設しても良い。図に示す構成では、プリプレグ5b,5cによる第2層と第3層を軸方向にくり抜いて嵌合部18a,18bを形成している。また、このような貫通孔を形成するに際しては、必要に応じて貫通孔が形成される部分を厚肉化(肉盛部を形成する)しておいても良い。或いは、後述する実施形態のように、管状の部材を形成する際に、複数のマンドレルを配置することで、予め嵌合部用の貫通孔を形成しておいても良い。
【0034】
図10から図12は、本発明の第2の実施形態を説明する図であり、図10は、釣糸ガイドの斜視図、図11は、図10に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図、そして、図12は、図11に示す管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図である。なお、以下に説明する実施形態では、上記した実施形態と同一の構成部分については、同一の参照符号を付して、その詳細な説明については省略する。
【0035】
本実施形態の釣糸ガイド1は、フレーム3に形成される釣竿固定部を釣糸挿通方向に延びる1本の板状突片28によって構成すると共に、板状突片(釣竿固定部)28と保持部7との間を連結する支脚部29に、軽量化を図るために開口29aを形成している。
【0036】
上記したような構成のフレーム3は、図11及び図12に示すような、断面非円形状に形成された管状の部材5Aによって形成することが可能である。具体的には、図4に示したマンドレルMに加えて、さらに小径のマンドレルM1を少し離した状態で併設し、これらにプリプレグ5a〜5dを巻回することで、断面が非円形となった管状の部材5Aを形成することが可能である。すなわち、上記したように、多少離間して配置されるマンドレルM,M1に対してプリプレグ5a〜5dを順次巻回し、これを加熱処理すると、両マンドレルM,M1間に、その両側を通るプリプレグが焼成時に入り込んで一体化するように当接し、その上方側に環状の保持部7が、その下方側に支脚部29が形成される。
【0037】
図12において、そのように一体化される部分を符号Pで示してあり、この部分で、巻回されたプリプレグ5a〜5dが一体化して環状(一周した状態)の保持部7が形成される。また、小径のマンドレルM1に巻回される部分は、図12に示すように、切り出し加工した際、支脚部29を構成すると共に、マンドレルM1の下端側が釣竿固定部となる板状突片28を構成する。この場合、マンドレルM1よって形成される貫通孔については、支脚部29に形成される開口29aを構成する。
【0038】
このような構成の釣糸ガイドによれば、上記した実施形態と同様な効果が得られる。また、フレームを形成するための管状の部材については、第1の実施形態のように中空状になった円筒形状に限定されることはなく、本実施形態のように、釣糸ガイドの形状に応じて種々変形することが可能である。さらに、釣竿固定部については、1本の板状突片28によって構成したが、第1の実施形態と同様、前後方向に延びる一対の板状突片によって構成したり、図9に示すような嵌合部によって構成しても良い。
【0039】
図13から図16は、本発明の第3の実施形態を説明する図であり、図13は、釣糸ガイドの斜視図、図14は、図13に示す釣糸ガイドの断面図、図15は、図13に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図、そして、図16は、図15に示す方法で形成される管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図である。
【0040】
本実施形態の釣糸ガイド1は、環状の保持部7を有するフレーム3に形成される釣竿固定部38を、釣竿が嵌合される貫通孔(嵌合部)38aを備えた構造としており、釣竿を貫通孔38aに嵌入して接着することで、釣糸ガイド1は釣竿に対して固定される。この場合、釣糸ガイドは、釣竿に対して接着するのではなく、遊動ガイドとして構成されていても良い。
【0041】
上記したような構成のフレーム3は、図14から図16に示すような、断面非円形状に形成された管状の部材5Bによって形成することが可能である。具体的には、図15に示すように、環状の保持部を形成する管材50、及び釣竿固定部38を形成する管材51を上下方向に合わせ、その周囲に複数枚のプリプレグ5a〜5dを巻回し、加熱処理することで形成することが可能である。
【0042】
この場合、2本の管材50,51については、上述した実施形態と同様、複数の繊維強化樹脂層を積層して形成することが可能であり、本実施形態では、いずれの管材50,51も、図14に示すように、3層の繊維強化樹脂層50a〜50c、及び51a〜51cによって構成されている。また、それぞれの管材50,51の貫通孔50h,51hは、ガイドリング10が止着される孔、及び釣竿が嵌合される貫通孔(嵌合部)38aを構成する。
【0043】
このような構成の釣糸ガイドによれば、上記した実施形態と同様な効果が得られると共に、釣竿を挿通させて固定、もしくは軸方向に移動可能な釣糸ガイド(遊動ガイド)を容易に製造することが可能となる。なお、図に示す構成では、2本の管材50,51は、同じ構成としたが、釣竿が装着される部位に応じて、固定部38を形成する管材51を小径化したり、或いは、環状の保持部7を形成する管材50を小径化しても良く、また、各管材50,51を形成するプリプレグの積層構造についても、適宜変形することが可能である。
【0044】
図17から図20は、本発明の第4の実施形態を説明する図であり、図17は、釣糸ガイドの縦断面図、図18は、図17のB−B線に沿った断面図、図19は、図17に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図、そして、図20は、図19に示す方法で形成される管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図である。
【0045】
本実施形態の釣糸ガイド1は、フレーム3に形成される釣竿固定部を、環状の保持部7Aを形成するマンドレルMとは別の小径のマンドレルM2によって形成している。
【0046】
すなわち、上記したような構成のフレーム3は、図18から図20に示すような、断面非円形状に形成された管状の部材5Cによって形成することが可能である。具体的には、図4に示したマンドレルMに加えて、さらに小径のマンドレルM2を接触して併設し、これらにプリプレグ5a〜5dを巻回することで、断面が非円形となった管状の部材5Cを形成することが可能である。この場合、上記したように、マンドレルM,M2を接触した状態でプリプレグ5a〜5dを巻回し、これを加熱処理すると、両マンドレルM,M2間には、その両側を通るプリプレグが当接することなく、連絡通路60が形成された状態となる。
【0047】
このため、環状に形成される保持部7Aの下方には、周方向の一部に切欠部(連絡通路)60が形成された状態となり、これよりも下方の部分が釣竿固定部58を形成することが可能となる。釣竿固定部58は、釣竿が挿通され上方が開口する嵌合溝(嵌合部)58aを備えた構造となる。また、フレーム3を切り出す際には、支脚部9の後方側に同様な形状の釣竿固定部58´が形成されるようにすると、その部分においても釣竿が挿通され上方が開口する嵌合溝(嵌合部)58bを備えた構造となる。なお、それぞれのマンドレルM,M2によって形成される貫通孔5h´,58hは、ガイドリング10が止着される孔、及び釣竿が挿通される嵌合溝(嵌合部)58a,58bを構成する。
【0048】
このような構成の釣糸ガイドにおいても、上記した実施形態と同様な効果が得られる。また、フレームの前後方向に、嵌合溝58a,58bを具備する釣竿固定部58,58´を設けたことで、釣糸ガイドの釣竿に対する固定状態の安定化が図れると共に、釣竿に対して容易に固定することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した構成に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0050】
本発明は、釣糸ガイド1を構成するフレーム部分を、繊維強化プリプレグで構成すると共に、そのようなフレーム部分については、プリプレグを巻回した管状の部材(複数の繊維強化樹脂層から構成される管状の部材)を切り出して形成することに特徴がある。この場合、管状の部材については、上述した実施形態で例示したように、断面が円形状になったものや非円形状になったものが含まれ、さらには、管状の部材に形成される貫通孔については、ガイドリングが固定される部分に加え、軽量化が図れるような貫通孔や釣竿が挿通される貫通孔(溝)が形成されたもの(複数の貫通孔が形成されたもの)が含まれる。
【0051】
また、上記したフレーム3を構成するプリプレグについては、強化繊維の種類や弾性率、樹脂含浸量、肉厚などの構成、及び積層状態等については、実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 釣糸ガイド
3 フレーム
5,5A,5B,5C 管状の部材
7 環状の保持部
8a,8b 板状突片(釣竿固定部)
9 支脚部
10 ガイドリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に装着されて釣糸を案内する釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した釣糸ガイドは、釣竿の外周面に装着されるフレームと、フレームに止着され、実際に釣糸が挿通されるガイドリングとを備えた構成となっている。前記フレームは、例えば、特許文献1に記載されているように、ステンレスやチタン等の金属製の板材料をプレス加工することで一体形成するのが一般的となっており、フレームには、釣糸を挿通させるガイドリングを保持するためのリング保持部と、釣竿の外表面に装着するための固定部が一体形成されている。また、例えば、特許文献2には、釣糸ガイドを、繊維強化樹脂で射出成形することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−340661号
【特許文献2】実公平2−14385号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている釣糸ガイドでは、フレームが金属材料で形成されているため、重量が重くなると共に撓み性も悪く、釣竿の性能の向上を図る上でネックとなっている。例えば、より軽量化が要求される釣竿では、上記したような釣糸ガイドを軸長方向に沿って多数装着すると、所望の性能が発揮できなくなってしまう。また、上記特許文献2に開示されている釣糸ガイドでは、特許文献1に開示されている釣糸ガイドと比較すると、軽量化は図れるものの、短繊維やウイスカーを熱可塑性樹脂に分散させる構造であるため、強化繊維を熱可塑性樹脂に満遍なく分散させることが難しく、十分な強度を確保することが難しい。
【0005】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、軽量化が図れると共に撓み性に優れ、強度が大きい釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明は、環状に形成されガイドリングを保持する保持部と、釣竿に固定される釣竿固定部とを設けたフレームを有する釣糸ガイドであって、前記環状の保持部は、その径方向に複数の繊維強化樹脂層を積層して形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記した構成の釣糸ガイドは、フレームのガイドリングを保持する環状部分が、径方向に向けて繊維強化樹脂層を積層した構造となるため、軽量化が図れると共に、撓み性に優れた構造となり、このような構造の釣糸ガイドを装着した釣竿は本来の特性を発揮し易くなる。また、ガイドリングを保持する環状部分は、径方向に繊維強化樹脂層が積層された構造となるため、強度が向上し、ガイドリングを装着しても、割れ等が生じ難い構造とすることが可能となる。
【0008】
また、上記した目的を達成するために、本発明に係る釣糸ガイドの製造方法は、繊維強化プリプレグを巻回して繊維強化樹脂層が積層された管状の部材を形成する工程と、前記管状の部材から、ガイドリングを保持する環状の保持部と釣竿に固定される釣竿固定部とを有するフレームを切り出す工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記した構成の釣糸ガイドの製造方法は、釣糸ガイドのフレーム部分を、繊維強化プリプレグを巻回した管状の部材から切り出すことで形成するため、軽量化された釣糸ガイドを容易に製造することが可能になる。また、フレーム全体が繊維強化プリプレグによる積層構造となるため、撓み性に優れ、強度の向上した釣糸ガイドが得られるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軽量化が図れると共に撓み性に優れ、強度が大きい釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る釣糸ガイドの第1の実施形態を示す縦断面図。
【図2】図1に示す釣糸ガイドの一部縦断平面図。
【図3】図1のA−A線に沿った断面図。
【図4】図1に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図。
【図5】管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図。
【図6】管状の部材から切り出される釣糸ガイドを側面から見た断面図。
【図7】管状の部材の製造方法の変形例を説明する図。
【図8】図7に示す方法で形成された管状の部材の断面図。
【図9】図1に示す釣糸ガイドの変形例を示す縦断面図。
【図10】本発明に係る釣糸ガイドの第2の実施形態を示す斜視図。
【図11】図10に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図。
【図12】図11に示す製法で形成される管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図。
【図13】本発明に係る釣糸ガイドの第3の実施形態を示す斜視図。
【図14】図13に示す釣糸ガイドの断面図。
【図15】図13に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図。
【図16】図15に示す方法で形成される管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図。
【図17】本発明に係る釣糸ガイドの第4の実施形態を示す縦断面図。
【図18】図17のB−B線に沿った断面図。
【図19】図17に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図。
【図20】図19に示す方法で形成される管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から図6は、本発明に係る釣糸ガイドの第1の実施形態、及びその製造方法を説明する図であり、図1は、釣糸ガイドの縦断面図、図2は、図1に示す釣糸ガイドの一部縦断平面図、図3は、図1のA−A線に沿った断面図、図4は、図1に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図、図5は、管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図、そして、図6は、管状の部材から切り出される釣糸ガイドを側面から見た断面図である。
【0013】
釣糸ガイド1を構成するフレーム3は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグ(以下、プリプレグと称する)を巻回した管状の部材5から形成される。この場合、管状の部材5は、図4に示すように、複数枚のプリプレグ5a〜5dを、マンドレル(芯金)Mに対して巻回した後、テープ等によって保形し、その後、加熱工程及び脱芯工程等を経て形成される(プリプレグの構成、積層態様、及びフレームの詳細な製造方法については後述する)。
【0014】
前記フレーム3は、環状に形成されガイドリング10を保持する保持部7と、釣竿Rに固定される釣竿固定部とを備えている。この場合、本実施形態の釣竿固定部は、釣竿の軸長方向(ガイドリングの釣糸挿通方向)Xに延びる2本の板状突片8a,8bによって構成されている。また、フレーム3は、前記環状に形成される保持部7と元竿側となる板状突片(釣竿固定部)8bとの間を連結する支脚部(連結部)9を備えており、この支脚部9は、図2に示すように、釣竿の軸長方向Xに対して対称となるように、左右一対設けられている。なお、支脚部9は、以下のように、管状の部材5を切り出して形成されることから、その表面は湾曲面となっている。
【0015】
前記フレーム3を形成するための本実施形態の管状の部材5は、図4に示すように、4枚のプリプレグ5a〜5dをマンドレルMに対して巻回することで形成されている。この場合、各プリプレグ5a〜5dは、マンドレルMに対して、順次内側から、それぞれ1巻回される大きさに裁断されており、結果として、管状の部材5は、複数の繊維強化樹脂層を有する構造となる。なお、各層を構成するプリプレグ5a〜5dについては、炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維が所定の方向に引き揃えられた状態、或いは編成されたシート状に構成されたものであり、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)や熱可塑性樹脂(例えば、ナイロン)をマトリックス樹脂として含浸した構成となっている。
【0016】
本実施形態では、最内層を構成するプリプレグ5aは、強化繊維を軸長方向に引き揃えた構成となっており、第2層を構成するプリプレグ5bは、強化繊維を周方向に引き揃えた構成となっている。また、第3層を構成するプリプレグ5c及び最外層を構成するプリプレグ5dは、強化繊維を軸長方に対して斜め方向に引き揃えた構成となっている。この場合、第3層及び最外層における強化繊維の斜向する方向については、強度バランスを考慮して軸長方向に対して同角度で互いに逆方向となるように設定しておくのが好ましい。この結果、フレーム部分は、強化繊維の指向方向が三方向以上となり、効率良く、軽量で強度的に優れた釣糸ガイドを形成することが可能となる。
【0017】
図5及び図6に示すように、複数の繊維強化樹脂層を有する管状の部材5に対して所定の位置を切り出すことにより、釣糸ガイド1のフレーム3が形成される(図5において、切り出す部分を二点鎖線で示している)。このため、管状の部材5を形成するマンドレルMは、脱芯した後で最終的にガイドリング10が取り付けられる保持孔5hを構成することから、装着されるガイドリング10の外径と略一致する外径を有するものが用いられる。また、実際には、形成される管状の部材5は、軸方向に長く形成されており、管状の部材5からは複数のフレーム3が形成されるようになっている。
【0018】
以下、形成された管状の部材5からフレーム3を切り出す方法について具体的に説明する。
フレーム3の環状の保持部7は、前記管状の部材5を、図示されていない刃具を用いて、軸線Xを横切る方向(交差する方向)に切り出すことで形成される。したがって、上記したように積層された繊維強化樹脂層は、そのまま保持部7において径方向に積層された状態となる。また、一対の支脚部9は、保持部7の上端側両サイドから、管状の部材5の左右両側に沿って下端側中央に向けて回り込むようにして切り出される。さらに、後方の板状突片8bは、一対の支脚部9が保持部7の上端側から下端側に回り込んで下端側の合わさった位置で長手方向(後方)に向けて突出するように切り出され、前方の板状突片8aは、環状の保持部7の下端位置で長手方向(前方)に向けて突出するように切り出される。なお、本実施形態の板状突片(釣竿固定部)8a,8bは、切り出す際に、管状の部材として外側に巻回されたプリプレグ5c,5dによって形成される。
【0019】
このように、環状の保持部7、板状突片8a,8b及び一対の支脚部9は、管状の部材5の所定の位置を切り出すことで一体形成される。この場合、板状突片8a,8bについては、管状の部材5の肉厚の範囲内で形成されることとなるが、管状の部材5を形成する際に、例えば、巻回するプレプレグを、整数巻回数よりも多少多くして部分的に重ねることで軸長方向に沿って厚肉部を形成しておき、この部分に板状突片を形成することで厚肉化することも可能である。或いは、軸長方向に沿うように補強プリプレグを積層して肉盛りした状態にしても良い。すなわち、このように構成することで、釣竿固定部における強度を向上することが可能となる。
【0020】
管状の部材5から所定の形状となるようにフレーム3を切り出すに際しては、上記したような刃具による切り出しの他、プレス加工による切り出し、液体(ウォータージェット等)による切り出し等、任意の方法を採用することで、1本の管状の部材5から複数のフレーム3を切り出すことが可能となり、これにより、軽量で高強度の釣糸ガイドを効率良く製造することが可能となる。
【0021】
この場合、保持部7は、管状の部材5を、軸線Xを横切る方向に切り出すことで形成されるため、径方向の内側から外側方向に向けて繊維強化樹脂層が積層された状態となっており、効率的に強度を向上することが可能となる。なお、保持部7については、連続して一周する環状(周方向に亘って切欠き領域が存在しない)に形成すると共に、少なくとも一周する繊維強化樹脂層を含むことによって、強化繊維が環状の保持部の芯材となって強度の向上が図れるようになる。
【0022】
また、本実施形態における釣竿固定部は、フレームの保持部7の前後方向に延びる板状突片8a,8aで構成されており、その裏側の当接面8a´,8b´が釣竿の表面に載置された状態で、例えば、糸を巻き付けた後にその外側に接着剤を塗布することによって固定される。このため、板状突片8a,8aについては、管状の部材5から切り出した際、その当接面8a´,8b´が、径方向外方に膨出した湾曲面となるため、最終的に釣竿の外周面に沿うような湾曲面となるように切削処理(細部加工)を施しておくことが好ましい。
【0023】
上記したような切り出し加工、及び細部加工を施すことで、フレーム3の基本的な外形状、すなわち、ガイドリング10が取り付けられる保持孔5hを有する環状の保持部7、一対の支脚部9および釣竿固定部(板状突片)8a,8bが一体形成される。
【0024】
次に、管状の部材から切り出されたフレーム3に対して表面処理を施す。例えば、バレル加工を施すことで、表面のバリを除去すると共に、表面の光沢が得られる程度に仕上げ研磨を施す。この研磨の程度については、釣糸ガイド1のサイズや形状、材質特性などによって研磨剤や研磨時間などを任意に調整することが可能である。このようなバレル加工を施すことにより、強化繊維を切断することなく、フレーム3を研磨することが可能となり、強度の安定化が図れると共に、外観の優れた釣糸ガイドとすることが可能となる。
【0025】
なお、このような研磨工程を施すに際しては、フレーム3の表面に強化繊維が一部露出しマトリックス樹脂が一部残るように研磨することが好ましい。こうすることで、研磨表面の光沢をより一層向上することが可能となる。
【0026】
次に、必要に応じて、フレーム3の全体又は一部分に被膜を形成する。例えば、外観向上やフレーム本体の保護のために塗装を行なうことや、金属やセラミックスを蒸着等することも可能である。
【0027】
そして、上記したように形成されたフレーム3の保持部7の保持孔5hの部分にガイドリング10を取り付ける。ガイドリング10の取り付け方法は、圧入や接着、カーリング、その他、任意の固定方法を採用することが可能である。なお、保持孔5hに嵌入されるガイドリング10は、リング状に構成されており、その内周面である釣糸案内面10a部分での摺動抵抗が小さい部材、例えば、チタン、アルミ、SUS、セラミックス等によって形成されている。
【0028】
上記したような製造方法によって形成される釣糸ガイド1によれば、金属製のものと比較して重量が軽くなり、更には、比強度、比剛性、及び撓み性に優れた構成とすることが可能となる。このため、そのような釣糸ガイドを多数個装着しても釣竿全体が重量化することはなく、釣竿の性能の向上が図れる。特に、穂先竿のような部分では、より軽量化が図れることから、繊細な当たりを感知し易くなり、より釣竿の性能の向上を図ることが可能となる。更に、環状の保持部7の前方側と後方側の両方に釣竿固定部(板状突片)8a,8aが設けられるため、釣竿に安定して保持されて釣糸を安定して案内することが可能となる。また、複数の繊維強化樹脂層で形成された管状の部材5を切り出し処理することで、そのままガイドリング10が止着される環状の保持部7を形成できると共に、管状の部材の円筒壁部そのもので釣竿固定部(板状突片や嵌合孔等)も形成できるため、釣糸ガイド全体として軽量化が図れると共に、比強度、比剛性、及び撓み性に優れた構成の釣糸ガイドを容易に製造することが可能となる。
【0029】
また、上記した複数の繊維強化樹脂層を有する管状の部材5からフレーム3を形成することで、フレーム3は、異なる方向に強化繊維を指向させることが可能となり、フレーム3に対して様々な方向から負荷が作用しても、それらの方向の剛性については、軽量化を図りつつ効率良く高めておくことが可能となる。また、強度についても、複数の繊維強化樹脂層を有することで効率的に向上することが可能となる。
【0030】
この場合、上記した管状の部材5を形成するプリプレグについては、その構成(強化繊維の方向、樹脂含浸量、それらの種類や枚数(巻回数)など)は、釣竿の種類、装着位置等に応じて適宜変形することが可能である。例えば、管状の部材5の最外層に織布層を配設しておくことで、他物と接触し易い表面部分の裂けや剥離などが効果的に防止でき、強度の向上、及び安定化が図れるようになる。
【0031】
また、図7及び図8に示すように、斜向方向にクロスするように強化繊維を指向させたプリプレグ5fをマンドレルMに対して複数回(図に示す構成では4回)、巻回することで管状の部材5を形成しても良い。このようなプリプレグによれば、管状の部材5を効率的に形成することが可能となる。
【0032】
図9は、上記した実施形態の変形例を示す図である。
上記した実施形態では、釣竿固定部は、保持部7に対して、釣糸挿通方向に沿って延びる板状突片8a,8bによって構成したが、釣竿が嵌合される嵌合部(挿通孔)18a,18bとして構成しても良い。このような嵌合部は、図に示すように、保持部7の下端部に形成すると共に、一対の支脚部9の先端側に形成することが可能である。
【0033】
上記したような嵌合部18a,18bについては、管状の部材5からフレーム3を切り出す前に、管状の部材5の下端部に対して軸方向に延出する貫通孔を穿設しても良いし、フレーム3を切り出した後に穿設しても良い。図に示す構成では、プリプレグ5b,5cによる第2層と第3層を軸方向にくり抜いて嵌合部18a,18bを形成している。また、このような貫通孔を形成するに際しては、必要に応じて貫通孔が形成される部分を厚肉化(肉盛部を形成する)しておいても良い。或いは、後述する実施形態のように、管状の部材を形成する際に、複数のマンドレルを配置することで、予め嵌合部用の貫通孔を形成しておいても良い。
【0034】
図10から図12は、本発明の第2の実施形態を説明する図であり、図10は、釣糸ガイドの斜視図、図11は、図10に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図、そして、図12は、図11に示す管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図である。なお、以下に説明する実施形態では、上記した実施形態と同一の構成部分については、同一の参照符号を付して、その詳細な説明については省略する。
【0035】
本実施形態の釣糸ガイド1は、フレーム3に形成される釣竿固定部を釣糸挿通方向に延びる1本の板状突片28によって構成すると共に、板状突片(釣竿固定部)28と保持部7との間を連結する支脚部29に、軽量化を図るために開口29aを形成している。
【0036】
上記したような構成のフレーム3は、図11及び図12に示すような、断面非円形状に形成された管状の部材5Aによって形成することが可能である。具体的には、図4に示したマンドレルMに加えて、さらに小径のマンドレルM1を少し離した状態で併設し、これらにプリプレグ5a〜5dを巻回することで、断面が非円形となった管状の部材5Aを形成することが可能である。すなわち、上記したように、多少離間して配置されるマンドレルM,M1に対してプリプレグ5a〜5dを順次巻回し、これを加熱処理すると、両マンドレルM,M1間に、その両側を通るプリプレグが焼成時に入り込んで一体化するように当接し、その上方側に環状の保持部7が、その下方側に支脚部29が形成される。
【0037】
図12において、そのように一体化される部分を符号Pで示してあり、この部分で、巻回されたプリプレグ5a〜5dが一体化して環状(一周した状態)の保持部7が形成される。また、小径のマンドレルM1に巻回される部分は、図12に示すように、切り出し加工した際、支脚部29を構成すると共に、マンドレルM1の下端側が釣竿固定部となる板状突片28を構成する。この場合、マンドレルM1よって形成される貫通孔については、支脚部29に形成される開口29aを構成する。
【0038】
このような構成の釣糸ガイドによれば、上記した実施形態と同様な効果が得られる。また、フレームを形成するための管状の部材については、第1の実施形態のように中空状になった円筒形状に限定されることはなく、本実施形態のように、釣糸ガイドの形状に応じて種々変形することが可能である。さらに、釣竿固定部については、1本の板状突片28によって構成したが、第1の実施形態と同様、前後方向に延びる一対の板状突片によって構成したり、図9に示すような嵌合部によって構成しても良い。
【0039】
図13から図16は、本発明の第3の実施形態を説明する図であり、図13は、釣糸ガイドの斜視図、図14は、図13に示す釣糸ガイドの断面図、図15は、図13に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図、そして、図16は、図15に示す方法で形成される管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図である。
【0040】
本実施形態の釣糸ガイド1は、環状の保持部7を有するフレーム3に形成される釣竿固定部38を、釣竿が嵌合される貫通孔(嵌合部)38aを備えた構造としており、釣竿を貫通孔38aに嵌入して接着することで、釣糸ガイド1は釣竿に対して固定される。この場合、釣糸ガイドは、釣竿に対して接着するのではなく、遊動ガイドとして構成されていても良い。
【0041】
上記したような構成のフレーム3は、図14から図16に示すような、断面非円形状に形成された管状の部材5Bによって形成することが可能である。具体的には、図15に示すように、環状の保持部を形成する管材50、及び釣竿固定部38を形成する管材51を上下方向に合わせ、その周囲に複数枚のプリプレグ5a〜5dを巻回し、加熱処理することで形成することが可能である。
【0042】
この場合、2本の管材50,51については、上述した実施形態と同様、複数の繊維強化樹脂層を積層して形成することが可能であり、本実施形態では、いずれの管材50,51も、図14に示すように、3層の繊維強化樹脂層50a〜50c、及び51a〜51cによって構成されている。また、それぞれの管材50,51の貫通孔50h,51hは、ガイドリング10が止着される孔、及び釣竿が嵌合される貫通孔(嵌合部)38aを構成する。
【0043】
このような構成の釣糸ガイドによれば、上記した実施形態と同様な効果が得られると共に、釣竿を挿通させて固定、もしくは軸方向に移動可能な釣糸ガイド(遊動ガイド)を容易に製造することが可能となる。なお、図に示す構成では、2本の管材50,51は、同じ構成としたが、釣竿が装着される部位に応じて、固定部38を形成する管材51を小径化したり、或いは、環状の保持部7を形成する管材50を小径化しても良く、また、各管材50,51を形成するプリプレグの積層構造についても、適宜変形することが可能である。
【0044】
図17から図20は、本発明の第4の実施形態を説明する図であり、図17は、釣糸ガイドの縦断面図、図18は、図17のB−B線に沿った断面図、図19は、図17に示す釣糸ガイドを構成するフレームを形成するための管状の部材の製造方法を説明する図、そして、図20は、図19に示す方法で形成される管状の部材から釣糸ガイドを切り出す状態を説明する図である。
【0045】
本実施形態の釣糸ガイド1は、フレーム3に形成される釣竿固定部を、環状の保持部7Aを形成するマンドレルMとは別の小径のマンドレルM2によって形成している。
【0046】
すなわち、上記したような構成のフレーム3は、図18から図20に示すような、断面非円形状に形成された管状の部材5Cによって形成することが可能である。具体的には、図4に示したマンドレルMに加えて、さらに小径のマンドレルM2を接触して併設し、これらにプリプレグ5a〜5dを巻回することで、断面が非円形となった管状の部材5Cを形成することが可能である。この場合、上記したように、マンドレルM,M2を接触した状態でプリプレグ5a〜5dを巻回し、これを加熱処理すると、両マンドレルM,M2間には、その両側を通るプリプレグが当接することなく、連絡通路60が形成された状態となる。
【0047】
このため、環状に形成される保持部7Aの下方には、周方向の一部に切欠部(連絡通路)60が形成された状態となり、これよりも下方の部分が釣竿固定部58を形成することが可能となる。釣竿固定部58は、釣竿が挿通され上方が開口する嵌合溝(嵌合部)58aを備えた構造となる。また、フレーム3を切り出す際には、支脚部9の後方側に同様な形状の釣竿固定部58´が形成されるようにすると、その部分においても釣竿が挿通され上方が開口する嵌合溝(嵌合部)58bを備えた構造となる。なお、それぞれのマンドレルM,M2によって形成される貫通孔5h´,58hは、ガイドリング10が止着される孔、及び釣竿が挿通される嵌合溝(嵌合部)58a,58bを構成する。
【0048】
このような構成の釣糸ガイドにおいても、上記した実施形態と同様な効果が得られる。また、フレームの前後方向に、嵌合溝58a,58bを具備する釣竿固定部58,58´を設けたことで、釣糸ガイドの釣竿に対する固定状態の安定化が図れると共に、釣竿に対して容易に固定することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した構成に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0050】
本発明は、釣糸ガイド1を構成するフレーム部分を、繊維強化プリプレグで構成すると共に、そのようなフレーム部分については、プリプレグを巻回した管状の部材(複数の繊維強化樹脂層から構成される管状の部材)を切り出して形成することに特徴がある。この場合、管状の部材については、上述した実施形態で例示したように、断面が円形状になったものや非円形状になったものが含まれ、さらには、管状の部材に形成される貫通孔については、ガイドリングが固定される部分に加え、軽量化が図れるような貫通孔や釣竿が挿通される貫通孔(溝)が形成されたもの(複数の貫通孔が形成されたもの)が含まれる。
【0051】
また、上記したフレーム3を構成するプリプレグについては、強化繊維の種類や弾性率、樹脂含浸量、肉厚などの構成、及び積層状態等については、実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 釣糸ガイド
3 フレーム
5,5A,5B,5C 管状の部材
7 環状の保持部
8a,8b 板状突片(釣竿固定部)
9 支脚部
10 ガイドリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に形成されガイドリングを保持する保持部と、釣竿に固定される釣竿固定部とを設けたフレームを有する釣糸ガイドであって、
前記環状の保持部は、その径方向に複数の繊維強化樹脂層を積層して形成されていることを特徴とする釣糸ガイド。
【請求項2】
前記保持部は、連続して一周する環状に形成されると共に、少なくとも前記保持部を一周する繊維強化樹脂層を有することを特徴とする請求項1に記載の釣糸ガイド。
【請求項3】
前記釣竿固定部は、前記ガイドリングの釣糸挿通方向に延びる板状突片からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣糸ガイド。
【請求項4】
前記釣竿固定部は、釣竿が嵌合される嵌合部からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣糸ガイド。
【請求項5】
繊維強化プリプレグを巻回して繊維強化樹脂層が積層された管状の部材を形成する工程と、
前記管状の部材から、ガイドリングを保持する環状の保持部と釣竿に固定される釣竿固定部とを有するフレームを切り出す工程と、
を有することを特徴とする釣糸ガイドの製造方法。
【請求項6】
前記管状の部材は、少なくとも一周する繊維強化樹脂層を有することを特徴とする請求項5に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【請求項7】
前記環状の保持部は、前記管状の部材の軸線を横切る方向に切り出して形成される請求項5又は6に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【請求項8】
前記フレームは、プレス加工、又は、液体もしくは刃具により、前記管状の部材から切り出すことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【請求項1】
環状に形成されガイドリングを保持する保持部と、釣竿に固定される釣竿固定部とを設けたフレームを有する釣糸ガイドであって、
前記環状の保持部は、その径方向に複数の繊維強化樹脂層を積層して形成されていることを特徴とする釣糸ガイド。
【請求項2】
前記保持部は、連続して一周する環状に形成されると共に、少なくとも前記保持部を一周する繊維強化樹脂層を有することを特徴とする請求項1に記載の釣糸ガイド。
【請求項3】
前記釣竿固定部は、前記ガイドリングの釣糸挿通方向に延びる板状突片からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣糸ガイド。
【請求項4】
前記釣竿固定部は、釣竿が嵌合される嵌合部からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣糸ガイド。
【請求項5】
繊維強化プリプレグを巻回して繊維強化樹脂層が積層された管状の部材を形成する工程と、
前記管状の部材から、ガイドリングを保持する環状の保持部と釣竿に固定される釣竿固定部とを有するフレームを切り出す工程と、
を有することを特徴とする釣糸ガイドの製造方法。
【請求項6】
前記管状の部材は、少なくとも一周する繊維強化樹脂層を有することを特徴とする請求項5に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【請求項7】
前記環状の保持部は、前記管状の部材の軸線を横切る方向に切り出して形成される請求項5又は6に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【請求項8】
前記フレームは、プレス加工、又は、液体もしくは刃具により、前記管状の部材から切り出すことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−223912(P2011−223912A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96068(P2010−96068)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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