説明

鉄道車両用電力変換装置

【課題】ガスケットを使用して防滴性を確保する場合に、ガスケットの適正圧縮を正確に行うことができる鉄道車両用電力変換装置を提供する。
【解決手段】鉄道車両に搭載される電力変換装置筐体2と、該電力変換装置筐体内に形成されたユニット取付部に装着する内部ユニット4Aとを備えている。そして、前記内部ユニット4Aは、前記ユニット取付部9に形成した挿通孔9aを通じて外気が導入される外気導入部6に突出する冷却器3と、前記ユニット取付部9に当接して固定する複数の固定保持具11とを備えている。前記固定保持具11は、前記ユニット取付部9との当接面12jを、前記ユニット取付部9に対向する前記内部ユニット4Aの面4fよりも突出させて段差部14を形成し、前記ユニット取付部9と前記ユニット取付部に対向する前記内部ユニット4Aの面4fとの間に前記段差部より大きな厚みを有するシーリングガスケット15を配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に搭載される鉄道車両用電力変換装置に関し、特に電力変換装置筐体に内部ユニットを装着するユニット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の鉄道車両用電力変換装置としては、車両床下に配置された半導体素子等の電気品を収納する筐体の天井板に、複数の突起を有する内部に冷媒を封入した蛇行細管ヒートパイプを接続し、これら蛇行細管ヒートパイプの端部に放熱フィンを接続した構成を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この構成とすることで、放熱フィンにより、蛇行細管ヒートパイプ及び冷媒を介して、鉄道車両用電力変換装置内を冷却するようにしている。
【0003】
また、他の冷却方式としては、電力を変換する半導体素子を筐体に内蔵し、筐体の一部に冷却風の流れる冷却風洞を設け、この冷却風洞を仕切る仕切板に、放熱部が冷却風洞に面する複数の半導体素子冷却ユニットを、ガスケットを介して装着する。これにより、冷却風洞と電気部品実装部とを水密的に仕切るようにした電力変換装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−223277号公報
【特許文献2】特開2004−140894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、半導体素子等の電気品を収納する筐体の天井に直接蛇行細管ヒートパイプを接続して電気品を冷却するので、水密性を確保する必要はない。しかし、蛇行細管ヒートパイプが高価であり、鉄道車両用電力変換装置の製造コストが嵩むという未解決の課題がある。
【0006】
これに対して、特許文献2に記載された発明にあっては、冷却風洞を仕切る仕切板に、半導体素子冷却ユニットの冷却フィンで構成される放熱部を冷却風洞に面して配置するようにしているので、製造コストを低減することができる。しかし、冷却風洞と電気部品実装部とを水密的に仕切って防滴構造とするために、ガスケットを設ける必要がある。
このとき、ガスケットは、筐体の開口部と、冷却器周辺部間に挟まれる状態となり、ねじなどの締付力の調整で、ガスケットを適正幅に圧縮することで防滴性を確保するようにしている。
【0007】
このように、特許文献2に記載された従来例にあっては、防滴性を確保するためにガスケットを適正幅に圧縮する必要があり、このガスケットの圧縮をねじなどの締付力の調整で行うようにしている。この締付力の調整には締め具のトルクで管理することが多いが、ガスケットの圧縮幅が安定しないという未解決の課題がある。また、ねじの締付トルクが大きくなるため、ねじ固定部の強度が不足し、変形してしまうという未解決の課題もある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、ガスケットを使用して防滴性を確保する場合に、ガスケットの適正圧縮を正確に行うことができる鉄道車両用電力変換装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る鉄道車両用電力変換装置の第1の態様は、鉄道車両に搭載される電力変換装置筐体と、該電力変換装置筐体内に形成されたユニット取付部に装着する内部ユニットとを備えている。また、前記内部ユニットは、前記ユニット取付部に形成した挿通孔を通じて突出する冷却器と、前記ユニット取付部に当接して固定する複数の固定保持具とを備えている。さらに、前記固定保持具は、前記ユニット取付部との当接面を、前記ユニット取付部に対向する前記内部ユニットの面よりも突出させて段差部を形成し、前記ユニット取付部と前記ユニット取付部に対向する前記内部ユニットの面との間に前記段差部より大きな厚みを有するシーリングガスケットを配置している。
【0009】
また、本発明に係る鉄道車両用電力変換装置の第2の態様は、前記固定保持具が、取付ネジを回転自在に保持し、前記ユニット取付部は、前記取付ネジを挿通する挿通孔と、該挿通孔を前記固定保持具とは反対側で閉塞し、且つ前記取付ネジに螺合する袋ナットとを有する。
【0010】
また、本発明に係る鉄道車両用電力変換装置の第3の態様は、前記固定保持具が、軸方向を前記ユニット取付部と平行とする角筒部と、該角筒部の前記ユニット取付部とは反対側の側面に形成された雌ねじ部と、前記ユニット取付部側の側面に粗前記雌ねじ部と対向して形成された透孔と、前記雄ねじ部と透孔とを連通させるように前記角筒部内に配設された中空スペーサと、頭部と先端側の雄ねじ部と前記頭部及び雄ねじ部間に形成された小径部とで構成される首付ねじとを少なくとも有し、前記首付ねじが、前記雄ねじ部を前記雌ねじ部に螺合させてから前記小径部が雌ねじに挿通され、前記雄ねじ部が前記透孔を通じて前記ユニット取付部側に突出するように装着されている。
【0011】
また、本発明に係る鉄道車両用電力変換装置の第4の態様は、前記角筒部が、互いに平行な側面板部と、当該側面板部の上下を連結する上下板部とを折曲形成し、折曲の始端及び終端を、前記中空スペーサを内部に固定してから接合して構成されている。
また、本発明に係る鉄道車両用電力変換装置の第5の態様は、前記固定保持具が、前記冷却器の周囲に配設され、該冷却器と固定保持具との間に前記シーリングガスケットが前記冷却器を囲むように配置されている。
【0012】
また、本発明に係る鉄道車両用電力変換装置の第6の態様は、前記固定保持具が、前記段差部の高さを前記シーリングガスケットの圧縮幅に合わせて調整可能に前記内部ユニットに取付けられている。
また、本発明に係る鉄道車両用電力変換装置の第7の態様は、前記ユニット取付部に対向する前記内部ユニットの面が方形に形成され、前記固定保持具は、前記ユニット取付部に対向する前記内部ユニットの面の各辺に少なくとも1個形成されている。
【0013】
また、本発明に係る鉄道車両用電力変換装置の第8の態様は、前記電力変換装置筐体は、外気が導入される外気導入部と前記内部ユニットを収納するユニット収納部とが形成され、前記外気導入部と前記ユニット収納部とが前記ユニット取付部によって遮蔽され、前記外気導入部に外部に連通する開口部が形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力変換装置筐体内に形成されたユニット取付部に内部ユニットを装着する際に、内部ユニットに、ユニット取付部に当接して固定する複数の固定保持具を設け、各固定保持具のユニット取付部との当接面を、前記内部ユニットの当該ユニット取付部との対向面に対して段差部を形成するように突出させ、ユニット取付部と内部ユニットのユニット取付部との対向面との間に段差部より大きな厚みを有するシーリングガスケットを配置するので、シーリングカスケットの圧縮幅を一定値に正確に管理することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る鉄道車両用電力変換装置を示す外観斜視図である。
【図2】図1の天板を取り外した状態の斜視図である。
【図3】図2の対角線上逆側から見た斜視図
【図4】図1の左側面板を取り外した状態の斜視図である。
【図5】内部ユニットの正面側から見た斜視図である。
【図6】内部ユニットの背面側から見た斜視図である。
【図7】内部ユニットの右側面図である。
【図8】内部ユニットのコンデンサ装着部を示す断面図である。
【図9】内部ユニットの背面図である。
【図10】内部ユニットの固定保持具を示す拡大断面図である。
【図11】内部ユニットをユニット取付部に装着する前の状態を示す拡大断面図である。
【図12】内部ユニットの冷却器をユニット取付部の挿通孔に挿通した状態を示す拡大断面図である。
【図13】内部ユニットの固定保持具における首付ねじをユニット取付部の袋ナットに螺合させた状態の拡大断面図である。
【図14】内部ユニットをユニット取付部に装着した状態を示す拡大断面図である。
【図15】本発明に適用し得る固定保持具の変形例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る鉄道車両用電力変換装置を示す外観斜視図、図2は図1の天面板を取り外した斜視図、図3は図2の対角線上逆側から見た斜視図、図4は左側面板を取り外した状態の斜視図である。
図中、1は鉄道車両用電力変換装置であって、鉄道車両の床下に搭載される屋外仕様に構成されている。この鉄道用電力変換装置1は鉄道車両の床下に搭載される電力変換装置筐体2を有する。この電力変換装置筐体2は、前面板2a、背面板2b、左右側面板2c,2d、天面板2e及び底面板2fを有して直方体状に形成されている。
【0017】
この電力変換装置筐体2内には、例えば冷却フィンで構成される冷却器3を備えた内部ユニット4A,4Bを収容する内部ユニット収容部5A,5Bと、これら内部ユニット収容部5A,5Bの背面側に形成された外気導入部6と、冷却器を備えていない内部ユニット7A,7Bを収容する内部ユニット収容部8A,8Bとを備えている。
外気導入部6は、天面板2eに形成された開口6a及び6bを通じて外気に通じており、鉄道車両の走行時に開口6a(又は6b)から給気された外気が開口6b(又は6a)から排気される。
【0018】
そして、内部ユニット収容部5A,5Bと外気導入部6とは、例えば仕切板で形成されるユニット取付部9によって水密に遮蔽されている。このユニット取付部9には、図11〜図13に示すように、内部ユニット4A,4Bに形成された冷却器3を挿通する冷却器挿通孔9aが形成されている。
また、ユニット取付部9には、後述する内部ユニット4A,4Bの固定保持具11に対向する位置にねじ挿通孔9bが形成され、このねじ挿通孔9bの外気導入部6側にねじ挿通孔9bを閉塞し、且つ固定保持具11の首付ねじ13が螺合する雌ねじ部9cを有する袋ナット9dが水密性を保って固定されている。
【0019】
内部ユニット4A,4Bのそれぞれは、その背面側を覆う方形の背面板4aを有する。この背面板4aは、上端部が前方に折曲られてフランジ部4bが形成され、下端部に前方に延長する底面板4cが一体に形成され、左右端部に前方に延長する左右側面板4d及び4eが一体に形成されている。そして、この背面板4aの背面側の上部寄りには、背面板4aよりは小さい面積に左右方向に所定間隔を保って平行に配設された多数の冷却フィン3aが背面側に突出形成された構成を有する冷却器3が一体に形成されている。
【0020】
そして、図9に示すように、背面板4aの四辺に接するフランジ部4bと、底面板4cと、左右側面板4d及び4eとにそれぞれ一辺に2個ずつ固定保持具11が取付けられている。この固定保持具11のうち上辺に取付けられた固定保持具11は、図10に示すように、軸方向を左右方向とし両端を閉塞した角筒体12を有し、この角筒体12に首付ねじ13が回転自在に装着されている。
【0021】
角筒体12は、底面板部12aとこの底面板部12aの後端から上方に折曲られた背面板部12bと、この背面板部12bの上端から前方に折曲げられた上面板部12cと、この上面板部12cの前端から下方に折り曲げられた前面板部12dと、軸方向両端を閉塞する左右側板部12e,12fを備えている。そして、図10で見て、始端となる底面板部12aの前端と、終端となる前面板部12dの下端とが一体に形成されている。
【0022】
この角筒体12の前面板部12dには、雌ねじ部12gが形成され、この雌ねじ部12gと対向する背面板部12bに貫通孔12hが形成され、雌ねじ部12g及び貫通孔12hを繋ぐように円筒状の中空スペーサ12iが固定されている。そして、角筒体12は、内部に中空スペーサ12iをろう付け、接着、嵌合、接合等の固定手段で装着した後に、角筒体12の始端及び終端を互いにろう付け、接着、嵌合、接合等の固定手段で固定されている。
【0023】
そして、角筒体12に、首付ねじ13が前後方向に延長して回転自在に装着されている。この首付ねじ13は、頭部13aと先端雄ねじ部13bとの間に小径部13cが形成されている。この首付ねじ13を角筒体12に装着するには、先ず首付ねじ13の先端雄ねじ部13bを前面板部12dに形成された雌ねじ部12gに螺合させながら先端雄ねじ部13bを中空スペーサ12iで案内しながら貫通孔12hから突出させる。そして、先端雄ねじ部13bが雌ねじ部12gとの螺合を脱すると、小径部13cが雌ねじ部12gに対向するので、そのまま押し込むことにより、頭部13aを前面板部12dに当接させて首付ねじ13を回動自在に保持することができる。
【0024】
そして、固定保持具11は、その背面板部12bの背面側のユニット取付部9と当接する当接面12jが内部ユニット4A,4Bの背面板4aのユニット取付部9と対向する対向面4fに対して所定突出長ΔLの段差部14を形成するように背面側に突出して位置決めされて固定されている。
そして、冷却フィン3aの背面板4aへの取付位置に、冷却フィン3aの周囲を囲むように段差部14の所定突出長ΔLより大きな厚みを有する方形環状のシーリングガスケット15が配置されている。
【0025】
次に、上記実施形態の内部ユニット4A,4Bの装着方法について説明する。
今、図10に示すように、内部ユニット4A(又は4B)おける冷却器3の背面板4aの取付位置の周囲に、段差部14の突出長ΔLより厚みが厚いシーリングガスケット15を背面板4aに接触させて装着する。
次いで、図11に示すように、内部ユニット4A(又は4B)の冷却器3をユニット取付部9の冷却器挿通孔9aに対向させる。この状態で、内部ユニット4A(又は4B)をユニット取付部9側に移動させて、図12に示すように、冷却器3をユニット取付部9の冷却器挿通孔9a内に挿通させる。
【0026】
その後、内部ユニット4A(又は4B)をさらにユニット取付部9側に移動させると、固定保持具11の首付ねじ13の先端雄ねじ部13bがユニット取付部9のねじ挿通孔9bに挿通される。この状態で、例えば電動スクリュードライバ等の締付け具で、首付ねじ13の頭部13aを回転駆動することにより、先端雄ねじ部13bが袋ナット9dの雌ねじ部9cに螺合される。この状態では、図13に示すように、シーリングガスケット15のユニット取付部9側の端面はユニット取付部9より前方に離間しており、シーリングガスケット15は非圧縮状態にある。
【0027】
そして、首付ねじ13をさらに回転させることにより、先端雄ねじ部13bが袋ナット9dの雌ねじ部9cの奥まで螺合していくことにより、ユニット取付部9と内部ユニット4A(又は4B)の背面板4aの対向面4fとの間の隙間がシーリングガスケット15の厚みより小さくなると、このシーリングガスケット15が圧縮状態となる。その後、図14に示すように、固定保持具11の当接面12jがユニット取付部9の板面に当接することにより、それ以上の内部ユニット4A(又は4B)のユニット取付部9側への移動が規制される。このため、シーリングガスケット15の圧縮状態の厚みが、固定保持具11の当接面12jと背面板4aの対向面4fとの間の突出長さΔLと等しくなり、適正圧縮状態となる。
【0028】
このように、上記実施形態によると、シーリングガスケット15の厚みが、固定保持具11の当接面12jと内部ユニット4A(又は4B)の背面板4aのユニット取付部9との対向面4fとの間の段差部14における突出長さΔLと等しくなる。したがって、段差部14の突出長さΔLをシーリングガスケット15の適正圧縮幅となるように設定することにより、首付ねじ13の締付トルクに基づくことなく、首付ねじ13を締めつけて固定保持具11の当接面12jをユニット取付部9に当接させるだけで、常にシーリングガスケット15を適正圧縮幅に正確に圧縮することができる。このため、ユニット取付部9に形成した冷却器挿通孔9aに内部ユニット4A,4Bの冷却器3を挿通して、冷却器3を外気導入部6内に突出させた状態で、冷却器挿通孔9aの周囲をシーリングガスケット15で確実にシールすることができ、防滴性を確実に確保することができる。
【0029】
しかも、固定保持具11の雌ねじ部12g及び貫通孔12h間を連通する中空スペーサ12iを設けたので、首付ねじ13の装着時に固定保持具11内に脱落することなく貫通孔12hまで案内することができるとともに、首付ねじ13の固定保持具11への装着後の脱落を確実に防止することができる。さらに、中空スペーサ12iが固定保持具11の背面板部12b及び前面板部12dの内面間に橋架されているので、固定保持具11を中空に形成して軽量化を図った場合でも、首付ねじ13の締付け時における締付荷重を中空スペーサ12iで受けることができ、固定保持具11の機械的強度を確保することができる。
【0030】
また、ユニット取付部9には、固定保持具11の首付ねじ13の先端雄ねじ部13bを挿通するねじ挿通孔9bが形成されている。このねじ挿通孔9bの外気導入部6側が袋ナット9dによって密封されているので、別途ガスケット等のシール材を使用することなくねじ挿通孔9b位置での防滴性を確保することができる。
さらに、内部ユニット4A,4Bの背面側に取付けた冷却器3を構成する冷却フィン3aが、外気が導入される外気導入部6に直接晒されているので、別途ヒートパイプを設けることなく、簡易な構成で内部ユニット4A,4Bの冷却効果を向上させることができる。
【0031】
なお、上記実施形態においては、固定保持具11が両端を閉塞した角筒体12で構成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、ユニット取付部9に当接する当接面12jと内部ユニット4A,4Bのユニット取付部9との対向面4fとの間にシーリングガスケット15の適正圧縮幅に対応する突出長さΔLの段差部14を形成できれば、固定保持具11自体の形状は任意形状とすることができる。
【0032】
また、上記実施形態においては、固定保持具11を内部ユニット4A,4Bに固定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、図15に示すように、固定保持具11の装着位置(例えば背面板4aのフランジ部4b)に前後方向に延長する長孔21を形成して置く。この長孔21内に固定保持具11の底面板部12aに下方に突出して固定したねじ22を挿通し、固定保持具11の前後方向の位置をシーリングガスケット15の適正圧縮幅に応じて調整した後に、ねじ22の内部ユニット4A,4Bの内面側にナット23を螺合させて締付けて固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…鉄道車両用電力変換装置、2…電力変換装置筐体、3…冷却器、3a…冷却フィン、4A,4B…内部ユニット、5A,5B…内部ユニット収容部、6…外気導入部、7A,7B…内部ユニット、8A,8B…内部ユニット収容部、9…ユニット取付部、9a…冷却器挿通孔、9b…ねじ挿通孔、9c…雌ねじ部、9d…袋ナット、11…固定保持具、12…角筒体、12g…雌ねじ部、12h…貫通孔、12i…中空スペーサ、12j…当接面、13…首付ねじ、13a…頭部、13b…先端雄ねじ部、13c…小径部、14…段差部、15…シーリングガスケット、21…長孔、22…ねじ、23…ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両に搭載される電力変換装置筐体と、該電力変換装置筐体内に形成されたユニット取付部に装着する内部ユニットとを備え、
前記内部ユニットは、
前記ユニット取付部に形成した挿通孔を通じて突出する冷却器と、
前記ユニット取付部に当接して固定する複数の固定保持具とを備え、
前記固定保持具は、前記ユニット取付部との当接面を、前記ユニット取付部に対向する前記内部ユニットの面よりも突出させて段差部を形成し、前記ユニット取付部と前記ユニット取付部に対向する前記内部ユニットの面との間に前記段差部より大きな厚みを有するシーリングガスケットを配置したことを特徴とする鉄道車両用電力変換装置。
【請求項2】
前記固定保持具は、取付ネジを回転自在に保持し、前記ユニット取付部は、前記取付ネジを挿通する挿通孔と、該挿通孔を前記固定保持具とは反対側で閉塞し、且つ前記取付ネジに螺合する袋ナットとを有することを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項3】
前記固定保持具は、軸方向を前記ユニット取付部と平行とする角筒部と、該角筒部の前記ユニット取付部とは反対側の側面に形成された雌ねじ部と、前記ユニット取付部側の側面に粗前記雌ねじ部と対向して形成された透孔と、前記雄ねじ部と透孔とを連通させるように前記角筒部内に配設された中空スペーサと、頭部と先端側の雄ねじ部と前記頭部及び雄ねじ部間に形成された小径部とで構成される首付ねじとを少なくとも有し、前記首付ねじが、前記雄ねじ部を前記雌ねじ部に螺合させてから前記小径部が雌ねじに挿通され、前記雄ねじ部が前記透孔を通じて前記ユニット取付部側に突出するように装着されていることを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項4】
前記角筒部は、互いに平行な側面板部と、当該側面板部の上下を連結する上下板部とを折曲形成し、折曲の始端及び終端を、前記中空スペーサを内部に固定してから接合して構成されていることを特徴とする請求項3に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項5】
前記固定保持具は、前記冷却器の周囲に配設され、該冷却器と固定保持具との間に前記シーリングガスケットが前記冷却器を囲むように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項6】
前記固定保持具は、前記段差部の高さを前記シーリングガスケットの圧縮幅に合わせて調整可能に前記内部ユニットに取付けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項7】
前記ユニット取付部に対向する前記内部ユニットの面が方形に形成され、前記固定保持具は、前記ユニット取付部に対向する前記内部ユニットの面の各辺に少なくとも1個形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項8】
前記電力変換装置筐体は、外気が導入される外気導入部と前記内部ユニットを収納するユニット収納部とが形成され、前記外気導入部と前記ユニット収納部とが前記ユニット取付部によって遮蔽され、前記外気導入部に外部に連通する開口部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−21852(P2013−21852A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154525(P2011−154525)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】