説明

鋼片の面取り研削方法および鋼片の面取り研削装置

【課題】均一な鋼片の面取りを能率良く自動的に行うことができる鋼片の面取り研削方法および装置を提供する。
【解決手段】スラブS(鋼片)の被研削面12に平行な面内においてそのスラブS(鋼片)の側縁SEの方向に対して所定角度傾斜させることにより、研削砥石GWの外周面のうちスラブSの側縁SEに押し当てられる部分の幅方向の一端がその側縁SEに接触したとき他端がその側縁SEから離隔する状態としつつ、その研削砥石GWをその他端側へ向かってスラブSの側縁SEに沿って移動させることから、研削砥石GWをスラブSの側縁SEに沿って速やかに移動させても研削砥石GWがスラブSに食い込みがなくなるので、均一なスラブSの面取りを能率良く行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラブやビレット等の鋼片の角に面取りを施すための鋼片の面取り研削方法、およびその方法を実行するための鋼片の面取り研削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばスラブの連続鋳造設備において所定の長さに切断されて圧延工程に送られる厚みの大きい板状の鋼片に対して、その表面の疵等の欠点を除去するだけでなくその角部に面取りを施すことが、圧延時の製品品質を向上させるために有効である。
【0003】
これに対して、特許文献1に記載の鋼片研削装置が提案されている。これによれば、鋼片の輪郭にそった研削軌跡に沿って砥石が移動させられることで、鋼片の表面が自動的に研削されてその鋼片の表面の疵等の欠点が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−334746公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された鋼片研削装置によれば、鋼片の上面全体が自動的に研削されるけれども、鋼片の周縁部に形成されている角に対して面取りを自動的に施すことができなかった。このため、面取りのための研削作業を行おうとすれば、高温の作業環境下における手動作業を行うことが避けられなかった。これに対して、砥石の回転軸心を鋼片の側縁に並行な方向とした状態で研削砥石を鋼片の側縁に押圧しつつその側縁に沿って駆動して移動させようとすると、その移動速度が高くなるほど研削砥石が鋼片の側縁に食い込んでしまい、均一な面取りを能率良く形成できないという不都合が発生する。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、均一な鋼片の面取りを能率良く行うことができる鋼片の面取り研削方法、およびその方法を実行するための鋼片の面取り研削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、鋼片の被研削面に平行な回転軸心まわりに回転させられる研削砥石をその鋼片の側縁に押し当てつつその側縁に沿った方向に相対移動させることにより、その側縁に面取り加工を施す鋼片の面取り研削方法であって、前記回転軸心を前記鋼片の被研削面に平行な面内において前記鋼片の側縁の方向に対して所定角度傾斜させることにより、前記研削砥石の外周面のうち前記鋼片の側縁に押し当てられる部分の幅方向の一端がその側縁に接触したとき他端がその側縁から離隔する状態としつつ、その研削砥石をその他端側へ向かって前記鋼片の側縁に沿って相対移動させることにある。
【0008】
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、請求項1の発明において、前記鋼片は平面視で四辺形を成すものであり、その鋼片の一辺におけるその鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向と、その一辺に並行な他辺におけるその鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向とは、相互に逆方向であることにある。
【0009】
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、請求項1または2の発明において、前記鋼片の側縁の面取り加工に際しては、前記研削砥石の外周面の前記鋼片の側縁に接触する点の接線が予め設定された面取り角度となるように、その研削砥石の中心のその鋼片の被研削面からの高さ位置をその研削砥石の半径よりも所定の高さ位置補正値だけ低く位置させるとともに、予め求められた外位置補正値だけその研削砥石の回転中心の前記被研削面の面方向における位置をその鋼片の側縁よりも外側に位置させることにある。
【0010】
また、請求項4に係る発明の要旨とするところは、請求項3の発明において、前記高さ位置は、前記研削砥石の最大径に対するその研削砥石の最大径であるときの最大高さ位置寸法の予め設定された割合とその研削砥石の実際の径とに基づいて算出されたものであることにある。
【0011】
また、請求項5に係る発明の要旨とするところは、請求項3又は4の発明において、前記外位置補正値は、前記研削砥石の最大径に対するその研削砥石の最大径であるときの最大外位置寸法の予め設定された割合と該研削砥石の実際の径とに基づいて算出されたものであることにある。
【0012】
また、請求項1に係る方法発明を適用するための請求項6に係る発明の鋼片の面取り研削装置の要旨とするところは、(a)鋼片の被研削面に平行な回転軸心まわりに回転させられる研削砥石をその鋼片の側縁に押し当てつつその側縁に沿った方向に相対移動させることにより、その側縁に面取り加工を施す鋼片の面取り研削装置であって、(b)前記鋼片の被研削面に平行な面内で相対移動可能に設けられた研削台車と、(c)その研削台車に設けられ、前記研削砥石をその回転軸心が前記鋼片の被研削面に平行な面内においてその鋼片の側縁に対して所定角度傾斜させた状態で支持し、且つその研削砥石をその鋼片に対して接近離間させる砥石支持駆動装置と、(d)前記研削砥石の外周面のうち前記鋼片の側縁に押し当てられる部分の幅方向の一端がその側縁に接触したとき他端がその側縁から離隔する状態で、その研削砥石をその他端側へ向かって前記鋼片の側縁に沿って相対移動させるように、前記研削台車および砥石支持駆動装置を制御する研削制御手段とを、含むことにある。
【0013】
また、請求項7に係る発明の要旨とするところは、請求項6の発明において、前記鋼片は平面視で四辺形を成すものであり、前記研削制御手段は、その鋼片の一辺におけるその鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向と、その一辺に並行な他辺におけるその鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向とが相互に逆方向となるように、前記研削砥石の移動方向を制御することにある。
【0014】
また、請求項8に係る発明の要旨とするところは、請求項6または7の発明において、前記研削制御手段は、前記鋼片の側縁の面取り加工に際しては、前記研削砥石の外周面の前記鋼片の側縁に接触する点の接線が予め設定された面取り角度となるように、その研削砥石の中心のその鋼片の被研削面からの高さ位置をその研削砥石の半径よりも所定の高さ位置補正値だけ低く位置させるとともに、予め求められた外位置補正値だけその研削砥石の回転中心の前記被研削面の面方向における位置をその鋼片の側縁よりも外側に位置させることにある。
【0015】
また、請求項9に係る発明の要旨とするところは、請求項8の発明において、前記研削制御手段は、前記高さ位置を、前記研削砥石の最大径に対するその研削砥石の最大径であるときの最大高さ位置寸法の予め設定された割合と、その研削砥石の実際の径とに基づいて算出するものであることにある。
【0016】
また、請求項10に係る発明の要旨とするところは、請求項8の発明において、前記研削制御手段は、前記外位置補正値を、前記研削砥石の最大径に対するその研削砥石の最大径であるときの最大外位置寸法の予め設定された割合と、その研削砥石の実際の径とに基づいて決定するものであることにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明の鋼片の面取り研削方法によれば、前記回転軸心を前記鋼片の被研削面に平行な面内において前記鋼片の側縁の方向に対して所定角度傾斜させることにより、前記研削砥石の外周面のうち前記鋼片の側縁に押し当てられる部分の幅方向の一端がその側縁に接触したとき他端がその側縁から離隔する状態としつつ、その研削砥石をその他端側へ向かって前記鋼片の側縁に沿って相対移動させることから、研削砥石を鋼片の側縁に沿って速やかに移動させてもそれが鋼片に食い込みがなくなるので、均一な鋼片の面取りを能率良く行うことができる。
【0018】
また、請求項2に係る発明の鋼片の面取り研削方法によれば、前記鋼片は平面視で四辺形を成すものであり、その鋼片の一辺におけるその鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向と、その一辺に並行な他辺におけるその鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向とは、相互に逆方向であることから、鋼片の一辺における側縁の面取り加工と、その一辺に並行な他辺における側縁の面取り加工とが、同様に、研削砥石の外周面のうち前記鋼片の側縁に押し当てられる部分の幅方向の一端がその側縁に接触したとき他端がその側縁から離隔する状態で研削砥石がその他端側へ向かって移動させられるので、一辺と他辺とにおいてそれぞれ均一な鋼片の面取りが能率良く行われる。
【0019】
また、請求項3に係る発明の鋼片の面取り研削方法によれば、前記鋼片の側縁の面取り加工に際しては、前記研削砥石の外周面の前記鋼片の側縁に接触する点の接線が予め設定された面取り角度となるように、その研削砥石の中心のその鋼片の被研削面からの高さ位置をその研削砥石の半径よりも所定の高さ位置補正値だけ低く位置させるとともに、予め求められた外位置補正値だけその研削砥石の回転中心の前記被研削面の面方向における位置をその鋼片の側縁よりも外側に位置させることから、鋼片の側縁において予め設定された面取り角度で均一な面取りが能率良く行われる。
【0020】
また、請求項4に係る発明の鋼片の面取り研削方法によれば、前記高さ位置は、前記研削砥石の最大径に対するその研削砥石の最大径であるときの最大高さ位置寸法の予め設定された割合とその研削砥石の実際の径とに基づいて算出されたものであることから、高さ位置補正値を得るための複雑な計算を必要とすることなく、鋼片の側縁において予め設定された面取り角度で均一な面取りが能率良く行われる。
【0021】
また、請求項5に係る発明の鋼片の面取り研削方法によれば、前記外位置補正値は、前記研削砥石の最大径に対するその研削砥石の最大径であるときの最大外位置寸法の予め設定された割合とその研削砥石の実際の径とに基づいて算出されたものであることから、外位置補正値を得るための複雑な計算を必要とすることなく、鋼片の側縁において予め設定された面取り角度で均一な面取りが能率良く行われる。
【0022】
また、請求項6に係る発明の鋼片の面取り研削装置によれば、(b)前記鋼片の被研削面に平行な面内で相対移動可能に設けられた研削台車と、(c)その研削台車に設けられ、前記研削砥石をその回転軸心が前記鋼片の被研削面に平行な面内においてその鋼片の側縁に対して所定角度傾斜させた状態で支持し、且つその研削砥石をその鋼片に対して接近離間させる砥石支持駆動装置と、(d)前記研削砥石の外周面のうち前記鋼片の側縁に押し当てられる部分の幅方向の一端がその側縁に接触したとき他端がその側縁から離隔する状態で、その研削砥石をその他端側へ向かって前記鋼片の側縁に沿って相対移動させるように、前記研削台車および砥石支持駆動装置を制御する研削制御手段とを、含むことから、研削砥石を鋼片の側縁に沿って速やかに移動させてもそれが鋼片に食い込みがなくなるので、均一な鋼片の面取りを能率良く行うことができる。
【0023】
また、請求項7に係る発明の鋼片の面取り研削装置によれば、前記鋼片は平面視で四辺形を成すものであり、前記研削制御手段は、その鋼片の一辺におけるその鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向と、その一辺に並行な他辺におけるその鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向とが相互に逆方向となるように、前記研削砥石の移動方向を制御することから、鋼片の一辺における側縁の面取り加工と、その一辺に並行な他辺における側縁の面取り加工とが、同様に、研削砥石の外周面のうち前記鋼片の側縁に押し当てられる部分の幅方向の一端がその側縁に接触したとき他端がその側縁から離隔する状態で研削砥石がその他端側へ向かって移動させられるので、一辺と他辺とにおいてそれぞれ均一な鋼片の面取りが能率良く行われる。
【0024】
また、請求項8に係る発明の鋼片の面取り研削装置によれば、前記研削制御手段は、前記鋼片の側縁の面取り加工に際しては、前記研削砥石の外周面の前記鋼片の側縁に接触する点の接線が予め設定された面取り角度となるように、その研削砥石の中心のその鋼片の被研削面からの高さ位置をその研削砥石の半径よりも所定の高さ位置補正値だけ低く位置させるとともに、予め求められた外位置補正値だけその研削砥石の回転中心の前記被研削面の面方向における位置をその鋼片の側縁よりも外側に位置させることから、鋼片の側縁において予め設定された面取り角度で均一な面取りが能率良く行われる。
【0025】
また、請求項9に係る発明の鋼片の面取り研削装置によれば、前記研削制御手段は、前記高さ位置を、前記研削砥石の最大径に対するその研削砥石の最大径であるときの最大高さ位置寸法の予め設定された割合と、その研削砥石の実際の径とに基づいて算出するものであることから、高さ位置補正値を得るための複雑な計算を必要とすることなく、鋼片の側縁において予め設定された面取り角度で均一な面取りが能率良く行われる。
【0026】
また、請求項10に係る発明の鋼片の面取り研削装置によれば、前記研削制御手段は、前記外位置補正値を、前記研削砥石の最大径に対するその研削砥石の最大径であるときの最大外位置寸法の予め設定された割合と、その研削砥石の実際の径とに基づいて決定するものであることから、外位置補正値を得るための複雑な計算を必要とすることなく、鋼片の側縁において予め設定された面取り角度で均一な面取りが能率良く行われる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例の鋼片の面取り研削方法を実施する鋼片研削装置の全体配置図である。
【図2】図1の鋼片研削装置の研削台車を示す要部拡大図である。
【図3】図2の研削台車をx方向で見た側面図である。
【図4】図2の研削台車をy方向で見た側面図である。
【図5】図3および図4のスラブ計測センサのx方向で見た側面を拡大して示す図である。
【図6】図3および図4のスラブ計測センサのy方向で見た側面を拡大して示す図である。
【図7】図1の鋼片研削装置の自動研削作動を制御するための制御装置の構成の要部を説明するブロック線図である。
【図8】図7の制御装置による制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図9】図7の制御装置による制御作動に基づくスラブの被研削面の研削において、その被研削面上を移動する研削砥石の中心Aの移動軌跡を説明する図である。
【図10】図7の制御装置による制御作動に基づくスラブの側縁の面取り研削において、その側縁に沿って移動する研削砥石の中心Aの移動軌跡を説明する図である。
【図11】図7の制御装置において、スラブの側縁の面取り研削時の研削砥石の中心高さを求めるために用いられるマップ1を示す図である。
【図12】図7の制御装置において、スラブの側縁の面取り研削時の研削砥石の中心のスラブの側縁から外側への外位置補正値を求めるために用いられるマップ2を示す図である。
【図13】研削砥石を用いてスラブの側縁に所定角度の面取りを施すに際して、そのスラブの側縁における研削砥石の中心の高さ位置および外位置補正値を、研削砥石の径と関連させて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比、形状、ハッチング、破線(隠れ線)、仮想線等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例】
【0029】
図1は、本発明の一実施例の面取り研削方法を実施する鋼片研削装置10を平面図にて示す全体配置図である。図1において、前工程を経た圧延素材としての板状の鋼片であるスラブSは、たとえば4本のチェ−ンコンベアから成る搬送装置14によって一方向すなわちy方向へ連続的或いは間欠的に搬送されるようになっている。このスラブSは、たとえば長さLが12m程度、幅Wが2m程度、厚みTが0.3m程度の熱間材であって、その幅方向へ搬送される。上記搬送装置14の両外側にはそれと平行に一対のレール16が水平な床上に配設されている。鋼片研削装置10は、後述のようにスラブSの面取り研削を実行する面取り研削装置、および、スラブSの被研削面12全体を研削する平面研削装置として機能している。
【0030】
鋼片研削装置10は、レール16上を転動する図示しない車輪によりy方向へ移動可能に支持されたベース台車18と、そのベース台車18上において搬送装置14の搬送方向と水平面内において直交する方向すなわちx方向に配設されたx方向レール20により案内され且つ厚肉円板状の研削砥石GWが搭載された研削台車(キャリッジ)22とを備え、ベース台車18に設けられた4個(図1には1個が表れている)のベース台車駆動モータ24によって上記車輪が回転駆動されることで、ベース台車18が上記スラブSの搬送方向すなわちy方向へ移動させられるようになっている。このベース台車18は、スラブSが予め設定された研削位置に停止するように間欠搬送されるので、その研削位置でのスラブSの被研削面12およびその側縁SEが研削砥石GWにより研削されるようにy方向へ移動させられる。なお、スラブSが一定の速度で連続搬送される場合は研削開始時はそのスラブSの速度に同期させて相対的に停止するように制御され、研削中はスラブSの被研削面12およびその側縁SEが研削砥石GWにより研削されるように上記同期速度に加えてy方向へ移動させられることも可能である。
【0031】
上記ベース台車18には、たとえばその車輪或いはベース台車駆動モータ24と共に回転するy方向位置センサPG2が設けられている。このy方向位置センサPG2は、直接的にはベース台車18の位置を検出するものであるが、研削砥石GWのスラブSに対するy方向の移動位置をも検出する。
【0032】
図2は図1の研削台車22を拡大して示す平面図であり、図3はその研削台車22をx方向レール20の長手方向すなわちx方向で見た側面図であり、図4ははその研削台車22をy方向で見た側面図である。
【0033】
図2乃至4に示すように、研削台車22は、上記x方向レール20上を転動する車輪26と、ベース台車18に固定された図示しないラックと噛み合うピニオンを有する研削台車駆動モータ28と、上記x方向レール20に対して所定角度たとえば45°傾斜した一軸心Cまわりに回転可能に設けられた研削砥石GWとそれをベルト29を介して回転駆動する砥石駆動モータ30とから成る砥石駆動ユニット32と、その砥石駆動ユニット32が下端部に設けられた昇降装置34とを備えている。これにより、研削砥石GWがスラブSに対して接近離隔させられるとともに、研削砥石GWがスラブSに対して押圧させられた状態でスラブSに対してx方向およびy方向へ相対移動させられるようになっている。また、上記研削台車駆動モータ28には、研削台車22の移動位置を検出するためのx方向位置センサPG1がタイミングベルト或いはチェーンを介して連結されている。
【0034】
上記昇降装置34は、油圧シリンダ36と、上記砥石駆動ユニット32が下端部に固定されてその油圧シリンダ36によって上下動させられる上下フレーム38とを備えている。上下フレーム38に固定されたブラットには、その上下フレーム38の移動位置すなわち研削砥石GWの高さ位置を検出するための上下位置センサPLGが設けられている。砥石駆動ユニット32およびそれが取付けられた昇降装置34は、研削台車22に設けられて、研削砥石GWをその回転軸心CがスラブSの被研削面12に平行な面内においてそのスラブSの側縁SEに対して所定角度傾斜させた状態で支持し、且つ研削砥石GWをスラブSに対して接近離間させる砥石支持駆動装置として機能している。
【0035】
上記研削台車22のy方向の両端部には、油圧シリンダ40および42によってそれぞれ上下方向に移動可能に設けられ、スラブ計測センサ44および46がそれぞれ下端部に設けられた一対のスラブ計測支柱48および50が設けられている。これらスラブ計測センサ44および46は、スラブSの幅端位置を検出するためのレーザ光距離計52および54をそれぞれ備えるとともに、スラブSの長さLを検出するための光電センサを構成する投光器56および受光器58の一方および他方を備えている。スラブ計測センサ44および46は相互に同様に構成されており、図5および図6はスラブ計測センサ46を拡大して示している。図5はスラブ計測センサ46をx方向で見た側面図であり、図6はスラブ計測センサ46をy方向で見た側面図である。
【0036】
図3に示すように、スラブSがその研削位置に搬送されると、スラブSの被研削面12および側縁SEの面取りの研削に先立って、図3の2点鎖線で示すようにスラブ計測センサ44および46がスラブSの位置まで下降させられた状態で、研削台車22が1ストロークだけ移動させられることにより、スラブSの幅寸法Wを算出するためにスラブSの幅方向の端面の幅端位置が計測されるとともに、スラブSの長さ寸法Lが計測される。研削位置でのスラブSは、その基準側端位置とスラブSの他端位置が光電センサによって検出されることで、スラブSの長さ寸法Lが計測される。
【0037】
図1に戻って、ベース台車18には、研削時に発生する粉塵を集める集塵機60、油圧シリンダ36、40、42の油圧源として機能する油圧ユニット62、制御装置64が設けられた制御室66が設けられている。この制御装置64は、研削砥石GWの外周面のうちスラブSの側縁SEに押し当てられる部分の幅方向の一端がその側縁SEに接触したとき他端がその側縁SEから離隔する状態で、研削砥石GWをその他端側へ向かってスラブSの側縁SEに沿って移動させるように、研削台車22および砥石支持駆動装置(砥石駆動ユニット32およびそれが取付けられた昇降装置34)を制御する研削制御手段として機能している。
【0038】
図7は、鋼片研削装置10の自動研削作動を制御するための制御装置64の構成の要部を説明するブロック線図である。制御装置64は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータと、ベース台車駆動モータ24、研削台車駆動モータ28、砥石駆動モータ30を制御するためのモータ駆動電流制御回路と、油圧シリンダ36、40、42を制御するための電磁弁を有する油圧制御回路とを含むものであって、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、モータを制御するための信号、油圧シリンダを制御するための信号を出力する。上記入力信号としては、例えばx方向位置センサPG1、y方向位置センサPG2、上下位置センサPLG、レーザ光距離計52、54、光電センサ(投光器56および受光器58)などから入力される各部の移動位置を示す信号、スラブSの寸法に関連する信号、研削台車22が図1に示すホームポジションに位置したときにたとえば光学的に砥石径センサ68により検出される研削砥石GWの径を示す信号、操作盤70の入力操作装置から入力される信号等である。
【0039】
図8は、上記制御装置64の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図8において、操作盤70において自動モードが設定されている状態で、搬送装置14によって新たなスラブSが研削位置に位置させられると、ステップS1(以下、ステップを省略する)では、測長動作を開始させるために、研削台車22をそのホームポジションからスラブSの長手方向に往動させ、スラブSのx方向の終端が検出されると、スラブ計測センサ44および46を上昇させ、上昇端に到達すると、ステップS2において測長動作が完了させられる。この測長動作では、レーザ光距離計52、54、光電センサ(投光器56および受光器58)から入力される信号と、x方向位置センサPG1からの信号とに基づいて、スラブSの幅寸法Wおよび長さ寸法Lが算出される。たとえば、レーザ光距離計52、54によりそれぞれ検出されるレーザ光距離計52、54をレーザ光距離計52、54間の距離から差し引いた値が、スラブSの幅寸法Wとして決定される。また、x方向位置センサPG1により検出される、研削台車22のホームポジションの位置と光電センサによってスラブSのx方向の終端が検出された時の位置との間の距離が、スラブSの長さ寸法Lとして決定される。
【0040】
続くS3では、スラブSの上面である被研削面12に平行な面(すなわち水平面)内においてx方向に対して所定角度たとえば45°傾斜した軸心Cまわりに回転させられる研削砥石GWのスラブSに対する押圧点である研削点を、図9に示す軌跡K1に沿って移動させることにより、スラブSの被研削面12の全体が均一に研削される。すなわち、ベース台車駆動モータ24および研削台車駆動モータ28を制御することにより、研削砥石GWの研削点を、スラブSの位置とスラブSの幅寸法Wおよび長さ寸法Lとに基づいてたとえば図9の左上角部に予め定められたスラブSの研削開始位置へ位置させ、次いで、昇降装置34により砥石駆動ユニット32を下降させて砥石駆動モータ30により回転駆動されている研削砥石GWを所定の研削代が得られるようにスラブSに押圧し、この状態でベース台車駆動モータ24および研削台車駆動モータ28を制御することにより、研削砥石GWの研削点が図9に示す軌跡に沿って移動させられ、スラブSの被研削面12の全体が均一に研削される。これにより、スラブSの被研削面12は、軌跡K1を主として構成する長手方向に平行な研削パスPk11 、Pk12 、・・・Pk1n に沿って往復動させられる研削砥石GWにより順次研削されるが、残りの研削パスがたとえば数パス程度の予め設定されたパス数に減少すると、たとえば図9の右下角部に予め定められたスラブSの研削開始位置からの軌跡K2に沿って、上記と同様の研削作動が実行され、この研削開始位置からの軌跡K2を構成する研削パスPk21 、Pk22 、・・・Pk2n が以前の軌跡K1の研削パスPk1n と重なると、スラブSの被研削面12が全体的に研削され、そこで終了させられる。
【0041】
次いで、S4では、図10に示すように、平面視上で長方形であるスラブSの四辺における各側縁SE1 乃至SE4 について、前述のようにスラブSの被研削面12に平行な面内においてx方向に対して所定角度たとえば45°傾斜した軸心Cまわりに回転させられる研削砥石GWが、その研削砥石GWの中心点AがスラブSの側縁SEよりも外側に位置した状態でその研削砥石GWの外周面のうちの幅方向の一端がスラブSの側縁SEに押圧され、且つ、スラブSの外周面のうち側縁SEから離隔した幅方向の他端側へその側縁SEに沿って移動させられることにより、所定角度たとえば25°の面取りがそれぞれ形成される。これにより、スラブSの一辺における側縁SE1 或いはSE2 の面取り加工のための研削砥石GWの移動方向と、その一辺に平行な他辺における側縁SE3 或いはSE4 の面取り加工のための研削砥石GWの移動方向とは、相互に逆方向とされる。ここで、上記研削砥石GWの中心点Aとしては、制御上、研削砥石GWの軸心Cに直交する両平面のうちスラブS側に位置する側の平面の軸心Cに対応する位置を用いている。
【0042】
ここで、S4でのスラブSの側縁SE1 乃至側縁SE4 の面取り加工に際しては、研削砥石GWの外周面のスラブSの側縁SEに接触する点の接線がたとえば25°程度に予め設定された面取り角度θとなるように、その研削砥石GWの中心AのスラブSの被研削面12からの高さ位置Hは、その研削砥石GWの半径Rよりも予め求められた高さ位置補正値Δhだけ低く位置させられるとともに、予め求められた外位置補正値Δyだけ研削砥石GWの中心Aの被研削面12の面方向における位置は、外位置補正値ΔxだけスラブSの側縁SE2 及び側縁SE4 よりも外側に位置させられるとともに、外位置補正値ΔyだけスラブSの側縁SE1 及び側縁SE3 よりも外側に位置させられる。そして、それら側縁SE1 乃至側縁SE4 毎に、研削砥石GWの中心Aが図10の実線で示す矢印に沿って移動させられることで、面取り研削がそれぞれ施される。なお、図10において、上記実線に示す矢印に平行な破線で示す矢印は、側縁SE1 乃至側縁SE4 毎に複数回の研削が必要な場合の、復路の軌跡を示す。
【0043】
すなわち、上記S4では、先ず、補正後の高さ位置Hが予め記憶された関係1或いはマップ1から研削砥石GWの実際の砥石径Dに基づいて算出される。しかし、高さ位置補正値Δhが予め記憶された関係或いはマップから算出され、その高さ位置補正値Δhが実際の砥石半径Rから差し引かれることで、研削砥石GWの中心AのスラブSの被研削面12からの高さ位置H(=R−Δh)が算出されてもよい。また、外位置補正値Δxおよび外位置補正値Δyが予め記憶された関係2或いはマップ2から研削砥石GWの実際の砥石径Dに基づいて算出され、研削砥石GWの中心Aがその外位置補正値Δxおよび外位置補正値Δyだけx方向およびy方向において側縁SE2 及び側縁SE4 よりも外側へずらされる。たとえば、側縁SE1 或いは側縁SE3 を面取り研削する場合には、研削砥石GWの中心Aが側縁SE1 或いは側縁SE3 に沿って移動するxy平面内の位置(x,y)が補正されて、研削砥石GWの中心Aが(x,y+Δy)或いは(x,y−Δy)とされる。また、側縁SE2 或いは側縁SE4 を面取り研削する場合には、研削砥石GWの中心Aが側縁SE2 或いは側縁SE4 に沿って移動するxy平面内の位置(x,y)が補正されて、研削砥石GWの中心Aが(x+Δx,y)或いは(x−Δx,y)とされる。なお、上記関係1は式(1)に示すものであり、上記マップ1は図11に例示するものである。また、上記関係2は式(2)に示すものであり、上記マップ2は図12に例示するものである。
【0044】
H=D×F1+d ・・・(1)
(F1は、研削砥石GWの最大径Dmax に対する研削砥石GWの中心Aの高さ位置Hの最大値Hmax の比(割合)Hmax /Dmax であり、dは必要に応じて設定される安全代である。)
【0045】
Δx=Δy=D×F2+p ・・・(2)
(F2は、研削砥石GWの最大径Dmax に対する外位置補正値Δx或いはΔyの最大値Δxmax 或いはΔymax の比(割合)Δxmax /Dmax 或いはΔymax /Dmax であり、pは必要に応じて設定される安全代である。)
【0046】
図13は、スラブSの側縁SE1 における高さ位置Hおよび外位置補正値Δyを、研削砥石GWの径Dと関連させて説明する図である。図13では、研削砥石GWの両平面のうちのスラブSに接触する側の面を示す楕円(x方向視で楕円形状を呈する)のそれぞれの径においてスラブSの側縁SE1 に対して25°の面取り角θで接触させられるときの、研削砥石GWが最大径Dmax 、中間径Dmid 、最小径Dmin と、研削砥石GWの中心Aの最大高さ位置Hmax 、中間高さ位置Hmid 、最小高さ位置Hmin との関係を示している。研削砥石GWの中心Aの最大高さ位置Hmax 、中間高さ位置Hmid 、最小高さ位置Hmin は、いずれもそのときの実際の研削砥石GWの最大径Dmax 、中間径Dmid 、最小径Dmin と近似的に比例関係にあり、それらよりも高さ位置補正値Δh(=D−(D×F1))だけ小さい値である。図11のマップ1は、上記の比例関係を数値で示したものであり、このマップ1から求められた研削砥石GWの中心Aの最大高さ位置Hは、研削砥石GWの最大径Dmax に対する研削砥石GWの中心Aの高さ位置Hの最大値Hmax の比(割合)F1(=Hmax /Dmax )に基づくものである。
【0047】
また、図13では、研削砥石GWをそれぞれの径を示す楕円のスラブSの側縁SE1 との交点の接線が25°の面取り角θとしたとき、すなわちその研削砥石GWをそれぞれの径においてスラブSの側縁SE1 に対して25°の面取り角θで接触させられるときの、研削砥石GWが最大径Dmax 、中間径Dmid 、最小径Dmin と、研削砥石GWの中心Aの側縁SE1 からの距離である最大外位置補正値Δymax 、中間外位置補正値Δymid 、最小外位置補正値Δymin との関係を示している。研削砥石GWの中心Aの側縁SE1 からの距離である最大外位置補正値Δymax 、中間外位置補正値Δymid 、最小外位置補正値Δymin は、いずれもそのときの実際の研削砥石GWの最大径Dmax 、中間径Dmid 、最小径Dmin と近似的に比例関係にある。図12のマップ2は、上記の比例関係を数値で示したものであり、このマップ2から求められた研削砥石GWの中心Aの外位置補正値Δyは、研削砥石GWの最大径Dmax に対する研削砥石GWの中心Aの外位置補正値Δyの比(割合)F2(=Δymax /Dmax )に基づくものである。ちなみに、本実施例では、Dmax =760mmφ、Dmid =600mmφ、Dmin =440mmφ、Hmax =361mm、Hmid =284mm、Hmin =209mm、Δymax =84mm、Δymid =66mm、Δymin =49mmである。
【0048】
以上のようにして、スラブSの被研削面12の研削および面取り研削が行われると、図8のS5に示されるように、研削の完了となるので、S6において、ベース台車18および研削台車22が図1に示すホームポジションに復帰させられるとともに、昇降装置34により砥石駆動ユニット32が上昇させられる。そして、その砥石駆動ユニット32に装着されている研削砥石GWの径Dが砥石径センサ68により検出され、次回の研削の備えて制御装置64のRAMなどに記憶される。
【0049】
上述のように、本実施例のスラブSの面取り研削方法或いはそれを実施するための鋼片研削装置(面取り研削装置)10によれば、スラブS(鋼片)の被研削面12に平行な面内においてそのスラブS鋼片の側縁SEの方向に対して所定角度傾斜させることにより、研削砥石GWの外周面のうちスラブSの側縁SEに押し当てられる部分の幅方向の一端がその側縁SEに接触したとき他端がその側縁SEから離隔する状態としつつ、その研削砥石GWをその他端側へ向かってスラブSの側縁SEに沿って相対移動させることから、研削砥石GWをスラブSの側縁SEに沿って速やかに移動させても研削砥石GWがスラブSに食い込みがなくなるので、均一なスラブSの面取りを能率良く行うことができる。
【0050】
また、本実施例のスラブSの面取り研削方法或いはそれを実施するための鋼片研削装置10によれば、スラブSは平面視で四辺形を成すものであり、そのスラブSの一辺における側縁SE1 の面取り加工のための研削砥石GWの移動方向と、その一辺に並行な他辺におけるそのスラブSの側縁SE3 の面取り加工のための研削砥石GWの移動方向とは、相互に逆方向であることから、スラブSの一辺における側縁SE1 の面取り加工と、その一辺に並行な他辺における側縁SE3 の面取り加工とが、それぞれ、研削砥石GWの外周面のうちスラブSの側縁SEに押し当てられる部分の幅方向の一端がその側縁SEに接触したとき他端がその側縁SEから離隔する状態で研削砥石GWがその他端側へ向かって移動させられることにより同様に行われるので、一辺と他辺とにおいてそれぞれ均一なスラブSの面取りが能率良く行われる。
【0051】
また、本実施例のスラブSの面取り研削方法或いはそれを実施するための鋼片研削装置10によれば、スラブSの側縁SEの面取り加工に際しては、研削砥石GWの外周面のスラブSの側縁SEに接触する点の接線が予め設定された面取り角度θとなるように、その研削砥石GWの中心のスラブSの被研削面12からの高さ位置Hをその研削砥石GWの半径Dよりも所定の高さ位置補正値Δhだけ低く位置させるとともに、予め求められた外位置補正値Δx或いはΔyだけその研削砥石GWの中心Aの被研削面12の面方向における位置をそのスラブSの側縁SEよりも外側に位置させることから、スラブSの側縁SEにおいて予め設定された面取り角度θで均一な面取りが能率良く行われる。
【0052】
また、本実施例のスラブSの面取り研削方法或いはそれを実施するための鋼片研削装置10によれば、高さ位置Hは、研削砥石GWの最大径Dmax に対するその研削砥石GWがの最大径Dmax であるときの最大高さ位置寸法Hmax の予め設定された割合F1とその研削砥石GWの実際の径Dとに基づいて算出されたものであることから、高さ位置Hを得るための複雑な計算を必要とすることなく、スラブSの側縁SEにおいて予め設定された面取り角度θで均一な面取りが能率良く行われる。
【0053】
また、本実施例のスラブSの面取り研削方法或いはそれを実施するための鋼片研削装置10によれば、外位置補正値Δx或いはΔyは、研削砥石GWの最大径Dmax に対するその研削砥石GWが最大径Dmax であるときの最大外位置寸法Δxmax 或いはΔymax の予め設定された割合F2とその研削砥石GWの実際の径Dとに基づいて算出されたものであることから、外位置補正値Δx或いはΔyを得るための複雑な計算を必要とすることなく、スラブSの側縁SEにおいて予め設定された面取り角度θで均一な面取りが能率良く行われる。
【0054】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0055】
例えば、前述の実施例では、研削砥石GWはその軸心Cが側縁SEに沿った移動方向に対して45°の砥石斜角にてスラブSの被研削面12の研削や面取り研削加工が行われたが、研削砥石GWの砥石斜角は45°にのみに限定されるものではなく、30°或いは60°などの他の砥石斜角で研削加工が行われても良い。
【0056】
また、前述の実施例では、スラブSの厚みTは300mm、研削砥石GWの最大径Dmax は760mmφ、面取り角θが25°で説明されていたが、それは一例であり、スラブ厚みT、砥石径D、面取り角θなどは必要に応じて種々変更され得るものである。
【0057】
また、前述の実施例では、鋼片として厚肉板状のスラブSを例示したが、他の形状の鋼片であっても本発明は適用され得る。
【0058】
また、前述の実施例では、スラブSの反りが検出されていなかったが、そのスラブSの反りを検出し、その反りに基づいて研削砥石GWの高さHを補正するものであってもよい。
【0059】
また、前述の実施例では、スラブSを固定し、研削砥石GWを移動させながら研削を実行していたが、研削砥石GWを固定し、スラブSを移動させながら研削を実行するものであってもよい。要するに、鋼片の被研削面に平行な回転軸心まわりに回転させられる研削砥石を該鋼片の側縁に押し当てつつ該側縁に沿った方向に相対移動させることにより、該側縁に面取り加工を施せばよい。
【0060】
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
10:鋼片研削装置(面取り研削装置)
12:被研削面
22:研削台車
32:砥石駆動ユニット(砥石支持駆動装置)
34:昇降装置(砥石支持駆動装置)
64:制御装置(研削制御手段)
GW:研削砥石
C:軸心
S:スラブ(鋼片)
SE:側縁(角)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼片の被研削面に平行な回転軸心まわりに回転させられる研削砥石を該鋼片の側縁に押し当てつつ該側縁に沿った方向に相対移動させることにより、該側縁に面取り加工を施す鋼片の面取り研削方法であって、
前記回転軸心を前記鋼片の被研削面に平行な面内において前記鋼片の側縁の方向に対して所定角度傾斜させることにより、前記研削砥石の外周面のうち前記鋼片の側縁に押し当てられる部分の幅方向の一端が該側縁に接触したとき他端が該側縁から離隔する状態としつつ、該研削砥石を該他端側へ向かって前記鋼片の側縁に沿って相対移動させることを特徴とする鋼片の面取り研削方法。
【請求項2】
前記鋼片は平面視で四辺形を成すものであり、
該鋼片の一辺における該鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向と、該一辺に並行な他辺における該鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向とは、相互に逆方向であることを特徴とする請求項1の鋼片の面取り研削方法。
【請求項3】
前記鋼片の側縁の面取り加工に際しては、前記研削砥石の外周面の前記鋼片の側縁に接触する点の接線が予め設定された面取り角度となるように、該研削砥石の中心の該鋼片の被研削面からの高さ位置を該研削砥石の半径よりも所定の高さ位置補正値だけ低く位置させるとともに、予め求められた外位置補正値だけ該研削砥石の回転中心の前記被研削面の面方向における位置を該鋼片の側縁よりも外側に位置させることを特徴とする請求項1または2の鋼片の面取り研削方法。
【請求項4】
前記高さ位置は、前記研削砥石の最大径に対する該研削砥石の最大径であるときの最大高さ位置寸法の予め設定された割合と該研削砥石の実際の径とに基づいて算出されたものであることを特徴とする請求項3の鋼片の面取り研削方法。
【請求項5】
前記外位置補正値は、前記研削砥石の最大径に対する該研削砥石の最大径であるときの最大外位置寸法の予め設定された割合と該研削砥石の実際の径とに基づいて算出されたものであることを特徴とする請求項3又は4の鋼片の面取り研削方法。
【請求項6】
鋼片の被研削面に平行な回転軸心まわりに回転させられる研削砥石を該鋼片の側縁に押し当てつつ該側縁に沿った方向に相対移動させることにより、該側縁に面取り加工を施す鋼片の面取り研削装置であって、
前記鋼片の被研削面に平行な面内で相対移動可能に設けられた研削台車と、
該研削台車に設けられ、前記研削砥石をその回転軸心が前記鋼片の被研削面に平行な面内において該鋼片の側縁に対して所定角度傾斜させた状態で支持し、且つ該研削砥石を該鋼片に対して接近離間させる砥石支持駆動装置と、
前記研削砥石の外周面のうち前記鋼片の側縁に押し当てられる部分の幅方向の一端が該側縁に接触したとき他端が該側縁から離隔する状態で、該研削砥石を該他端側へ向かって前記鋼片の側縁に沿って相対移動させるように、前記研削台車および砥石支持駆動装置を制御する研削制御手段と
を、含むことを特徴とする鋼片の面取り研削装置。
【請求項7】
前記鋼片は平面視で四辺形を成すものであり、前記研削制御手段は、該鋼片の一辺における該鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向と、該一辺に並行な他辺における該鋼片の側縁の面取り加工のための前記研削砥石の移動方向とが相互に逆方向となるように、前記研削砥石の移動方向を制御することを特徴とする請求項6の鋼片の面取り研削装置。
【請求項8】
前記研削制御手段は、前記鋼片の側縁の面取り加工に際しては、前記研削砥石の外周面の前記鋼片の側縁に接触する点の接線が予め設定された面取り角度となるように、該研削砥石の中心の該鋼片の被研削面からの高さ位置を該研削砥石の半径よりも所定の高さ位置補正値だけ低く位置させるとともに、予め求められた外位置補正値だけ該研削砥石の回転中心の前記被研削面の面方向における位置を該鋼片の側縁よりも外側に位置させることを特徴とする請求項6または7の鋼片の面取り研削装置。
【請求項9】
前記研削制御手段は、前記高さ位置を、前記研削砥石の最大径に対する該研削砥石の最大径であるときの最大高さ位置寸法の予め設定された割合と、該研削砥石の実際の径とに基づいて算出するものであることを特徴とする請求項8の鋼片の面取り研削装置。
【請求項10】
前記研削制御手段は、前記外位置補正値を、前記研削砥石の最大径に対する該研削砥石の最大径であるときの最大外位置寸法の予め設定された割合と、該研削砥石の実際の径とに基づいて決定するものであることを特徴とする請求項8の鋼片の面取り研削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−91302(P2012−91302A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242813(P2010−242813)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】