説明

開口部耐震補強構造

【課題】開口部耐震補強構造における接着構成の利点を維持しつつ、接着構成の脆弱性を解消する。
【解決手段】 開口部30を構成する鉄筋コンクリート梁10a、鉄筋コンクリート柱20a等の周縁材に、接着剤60を介してブレース50が内包された枠体40が接合されている。かかる開口部30に外力Fが作用した場合に、枠体40と周縁材との間に引き剥がし力が作用する箇所には、局所的に、アンカーボルト100a等の緊結手段100が設けられ、枠体40と周縁材とを緊結している。そのため、接着剤60のみによる接合構成の場合よりも、開口部30への外力Fが働いた際の強度確保がより向上させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の柱と梁等で囲まれた開口部における耐震補強に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
建築物は、一般的には、その基本構造として、横方向に架設する梁等の横設材と、縦方向に架設する柱等の縦設材とを有している。かかる横設材と縦設材とで囲まれた開口部は、採光用の窓あるいは換気用の窓等として使用されている。しかし、かかる開口部は、耐震構造という観点からは、地震による梁や柱等の動きに対して変形しやすいという欠点を有している。
【0003】
そこで、かかる開口部の耐震補強の必要性が、阪神大地震等の甚大な被害を目の当たりにして、殊更に強く意識されるようになってきた。
【0004】
従来、かかる開口部の耐震補強技術としては、開口部内に、ブレース(筋違い)を内包した型鋼等で構成された鉄骨枠体を設けて、地震時の開口部の変形を抑制しようとする技術が一般的に採用されている。
【0005】
かかる枠体の開口部への取り付けは、枠体外周に設けた多数のスタッドと、開口部を形成する鉄筋コンクリート梁、鉄筋コンクリート柱にそれぞれ設けた多数のアンカーボルトとの間にスパイラル筋を配筋し、枠体と周縁材との間にモルタルを圧入して硬化させることで行っていた。
【0006】
しかし、かかる従来工法では、鉄筋コンクリート梁、鉄筋コンクリート柱等の周縁材にアンカーボルトの打込みを行わなければならないが、かかるアンカーボルトの打込みに際しては大きな騒音が発生する。そのため、静穏の環境が要求される病院、学校等の施設等では、休日等に限定して施工を行わなければならない等、種々の問題点が指摘されていた。
【0007】
そこで、特許文献1に示すように、アンカーボルトを用いないで、ブレース付きの枠体を開口部内に設ける工法が提案されている。予め形成したI型鋼等で形成した枠体を、開口部内に配置する。このようにして開口部内に枠体を配置した状態で、鉄筋コンクリート梁等の周縁材と枠材との間にエポキシ樹脂を注入し、かかるエポキシ樹脂を硬化させる。
硬化させたエポキシ樹脂で、ブレースを設けた枠体を、アンカーボルトを用いることなく、開口部内に耐震補強用に設けるものである。
【0008】
かかる特許文献1に開示の工法は、アンカーボルトを用いないため、施工に際しての騒音が問題とならず優れた技術である。また、特許文献2には、開口部耐震補強構造における枠体の取り付け方法として、アンカーボルトにナットを用いて枠体を直付けする技術が記載されている。
【特許文献1】特開平11−71906号公報
【特許文献2】特開2006−104726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、建築物の開口部における上記従来の耐震補強技術においては、以下のような問題点があることに気がついた。
【0010】
特許文献1に記載の如く、アンカーボルトを用いることのない接合構成では、枠体と周縁材との間にエポキシ樹脂を注入する手間で済むため、極めて効率的である。また、開口部を形成する鉄筋コンクリート梁、柱等の周縁材にアンカーボルトを打ち込まないため、確かに、施工時に周辺への騒音被害を発生させない点でも極めて有効で、優れた発明ではある。
【0011】
しかし、本発明の実験では、開口部に外力が作用して、枠体のブレースにおいて圧縮側ブレースが座屈した後、引張側ブレースの引張力の鉛直成分と、圧縮側ブレースの座屈後耐力の鉛直成分との差が大きくなる場合には、問題があることが確認された。すなわち、エポキシ樹脂の接着力は強力であるために、枠体と周縁材との接着部分は接合が剥がれることは少ないが、その代わり枠体との接合部分である周縁材の一部が崩壊して、外力に対しての強度が著しく減少する問題があることが確認された。
【0012】
かかる崩壊部分は、開口部に外力が作用して、周縁材と枠体との接続部位に引き剥がそうとする力が働く部位である。すなわち、枠体に設けたブレースにおいて、開口部に作用する力により発生した引張側ブレースの引張力の鉛直成分と、圧縮側ブレースの座屈後耐力の鉛直成分との差により、枠体を周縁材から引き剥がそうとする力が働く部位である。
【0013】
そこで、本発明者は、エポキシ樹脂等の接着剤による接着構成の利点を維持しつつ、接着構成における脆弱箇所を無くす技術開発が必要と考えた。
【0014】
本発明の目的は、開口部耐震補強構造における接着構成の利点を維持しつつ、接着構成の脆弱性を解消することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0017】
すなわち、本発明は建築物の横方向に架設する梁等の横設材と縦方向に架設する柱等の縦設材とからなる周縁材に囲まれて形成される開口部の内側に、ブレースを有する枠体が設けられている開口部耐震補強構造であって、前記枠体は、前記周縁材に接着剤を介して接合されると共に、前記開口部に力が加えられて前記周縁材から前記枠体を引き剥がそうとする力が働く前記枠体の部位では、前記部位に対応して局所的に設けた緊結手段により、緊結されていることを特徴とする。かかる構成において、前記緊結手段は、前記周縁材に一端を固定し他端を前記枠体の前記部位に貫通させたボルト接続手段であることを特徴とする。あるいは、かかる構成において、前記緊結手段は、前記部位に対応した周縁材側に固定された部材に、前記枠体が溶接等の接続手段で接続されていることを特徴とする。
【0018】
以上いずれかの構成において、前記開口部に前記外力が加えられて前記周縁材から前記枠体を引き剥がそうとする力が働く部位とは、前記外力により引張力を発生する引張側ブレースと、前記外力により圧縮力を発生する圧縮側ブレースとが、枠体上の交点で交差する方向に、あるいは枠体外の仮想交点で仮想交差する方向に、設けられている枠体の部位であることを特徴とする。以上いずれかの構成において、前記枠体は、K型ブレース、あるいは菱形ブレースを内包した形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0020】
本発明では、開口部耐震補強構造で、接着剤を介して周縁材に設けた枠体で、外力により開口部の周縁材から枠体を引き剥がそうとする力が働く接続部位を、局所的に設けた連結手段により周縁材に緊結するようにしたので、かかる構成を採用しない場合に比べて、外力による開口部の変形時の強度が確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
本発明は、建築物において横方向に架設する梁等の横設材と縦方向に架設する柱等の縦設材とで囲まれてなる開口部の耐震補強技術に関する。かかる開口部に、変形を抑制するブレース(筋違い)を耐震要素部材として有する枠体を、開口部を構成する横設材、縦設材等の周縁材に接着剤を介して設け、且つその接続部位の一部をボルト連結等の緊結手段を用いて周縁材と枠体とが剥がれないように固定する技術である。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の開口部耐震補強構造の一例を示す全体構成図である。図2(a)は図1におけるA−A線での断面の様子を示した部分断面図であり、(b)は図1におけるB−B線での断面の様子を示した部分断面図である。
【0024】
本実施の形態における開口部耐震補強構造は、例えば、図1に示すように、建築物の横方向に架設する鉄筋コンクリート梁10a等の上下に相対する横設材10と、建築物の縦方向に架設する鉄筋コンクリート柱20a等の左右に相対する縦設材20とに囲まれた開口部30に、耐震補強用の枠体40を設けることで構成されている。
【0025】
かかる枠体40には、図1に示すように、所謂K型ブレースと呼ばれる形状のブレース50が設けられている。かかる枠体40を開口部30の内側に設けることで、地震時における開口部30への外力による変形に抗することができるようになっている。
【0026】
枠体40は、図1に示すように、その外周側は、開口部30を構成する鉄筋コンクリート梁10a等の横設材10、鉄筋コンクリート柱20a等の縦設材20等の周縁材に、接着剤60を介して設けられている。かかる接着剤60による枠体40と周縁材との接合状況を、図2(a)に示した。
【0027】
一方、上記枠体40では、例えば複数本のブレース50a(50)、50b(50)が、枠体40上に交点を持つようにして交差して設けられている。そのため、例えば、開口部30に地震等で図面左から横方向の力Fが加えられ、引張側ブレースに対向して設けられた圧縮側ブレースが座屈した場合には、引張側ブレースとして働くブレース50aには図1の矢印に示すように引張力が発生する。併せて、圧縮側ブレースとして働くブレース50bには、図1の矢印に示すように、座屈後耐力が発生する。
【0028】
かかる引張力の鉛直成分と座屈後耐力の鉛直成分との差が枠体40に働き、枠体40を周縁材から引き剥がそうとするのである。本発明では、かかる枠体40を開口部30を構成する周縁材から引き剥がそうとする部位に、局所的に緊結手段100を用いて、枠体40と周縁材とを機械的に固着するようにしているのである。かかる構成を採用することで、枠体40と周縁材は勿論、枠体40に周縁材が一部残った状態での剥がれが、発生しないのである。
【0029】
かかる緊結手段100としては、例えば、図2(b)に示すように、アンカーボルト100aを用いることができる。図2(b)に示す場合には、枠体40と周縁材とは、先に述べたように、全体はエポキシ樹脂等の接着剤60を介して接合され、その上で、部分的に緊結手段100で周縁材と枠体40とが結び付けられているのである。
【0030】
図2(b)に示す場合には、アンカーボルト100aの一端は周縁材の鉄筋コンクリート梁10aに埋設固定されており、他端側が枠体40の枠材40aを貫通している。貫通したアンカーボルト100aの他端側の周囲にはネジが切られ、かかるネジにナット200を嵌めて締めつけることで、枠体40が周縁材に緊結されているのである。
【0031】
このように本発明では、開口部30に設ける枠体40の全体は接着剤60で接合するが、開口部30に外力Fが働き枠体40と開口部30を構成する周縁材との間に引き剥がし力が発生する部分には、局所的にアンカーボルト100a等の緊結手段100を用いて、枠体40と周縁材とを緊結するようにしている。
【0032】
そのため、緊結手段100であるアンカーボルト100a等を枠体40全体に打つ場合に比べて、局所的に設けるだけであるから、作業効率は格段に効率的となる。また、アンカーボルトの植設数が少ない分、アンカーボルト植設に関わる騒音を少なく抑えることができる。併せて、接着剤60だけの接合構成の場合とは異なり、引き剥がし力が発生する箇所は緊結手段100を用いて止めているので、接着剤60のみの接合構成の場合とは異なり、開口部30への外力Fに対して強度の向上が図られているのである。
【0033】
開口部30内に枠体40を設置するに際しては、予め形成しておいた枠体40を開口部30内に設置するのではなく、枠体40を形成する枠材40aを開口部30内に局所的に設けた緊結手段100としてのアンカーボルト100aを使用して取り付け、この枠材40aに他の枠材40aを互いに連結することで枠体40を形成すればよい。併せて、枠材40aの連結に際してブレース50も設ける。その後に、枠体40と周縁材との間に接着剤60を充填して硬化させればよい。
【0034】
あるいは、予めブレース50入りの枠体40を形成しておいて、かかる枠体40を開口部30内に配置して、その状態で局所的にアンカーボルト100aを植設することで、枠体40とアンカーボルト100aとの直付け手段による連結を図る構成でも構わない。
【0035】
図2(a)、(b)ではコ字型鋼を枠材40aに用いてアンカーボルト100aで緊結した例を示したが、図3(a)、(b)に示すように、枠材40aにはI型鋼を使用しても構わない。
【0036】
また、図2(b)、3(b)に示す場合には、緊結手段100のアンカーボルト100aは、複数本並べて使用している場合を示しているが、場合によっては1本構成でも構わない。しかし、強度という点では、複数本の方が力を分散して受けられるので好ましい。
【0037】
かかる緊結手段100を局所的に、すなわち部分的に用いるに際しては、引き剥がし力が作用する範囲に用いればよいが、かかる引き剥がし力は、開口部30にかかる力の大小、枠材40aの材質、周縁材の材質等で大きく変化するため、枠材40aと周縁材との材質と、開口部30に作用する外力Fの大きさを設定した上で、適宜にその範囲を決めればよい。
【0038】
尚、図4(a)、(b)、(c)に示す例は、本実施の形態で説明したブレース50の変形例で、いずれの場合も、ブレース50の交差する枠体40部分に緊結手段100を設ければよい。
【0039】
(実施の形態2)
本実施の形態では、枠体を周縁材に固定する上記緊結手段の変形例について述べる。アンカーボルトを用いた緊結手段の例としては、例えば、図5(a)、(b)に示すような、例を挙げることができる。
【0040】
図5(a)に示す緊結手段の変形例では、枠体40にはI型鋼が用いられ、I型鋼の一方のフランジ41が接着剤60を介して周縁材の例えば鉄筋コンクリート梁10aに接合されている。かかる接着剤60により接合されているI型鋼のフランジ41の裏面側が、a部分とb部分とがL型に繋がった形状のL字型部材70のa部分内面に溶接されている。
【0041】
L字型部材70の他方のb部分内面は、図5(a)に示すように、周縁材としての鉄筋コンクリート梁10aの側面に貫通させたアンカーボルト100bとナット200で固定されている。このように、枠体40は、周縁材の梁側面等にアンカーボルトで固定されたL字型部材70に形成された片持ち部材に溶接する緊結手段100で固定されることとなる。尚、アンカーボルト100bは、図5(a)に示す場合とは異なり、貫通させることなく両側面からそれぞれ別個に鉄筋コンクリート梁10の側面に打っても構わない。
【0042】
図5(b)に示す構成でも、枠体40にはI型鋼が用いられ、I型鋼のフランジ41が接着剤60を介して周縁材の例えば鉄筋コンクリート梁10aに接合されている。かかるフランジ41の左右両側が、鉄板80aに構成された支持部材80に溶接され、かかる支持部材80が鉄筋コンクリート梁10aを設けた躯体300側から吊るした長ボルト400の先端に、ナット200で固定されている。このように、枠体40は、周縁材の鉄筋コンクリート梁10aが設けられた躯体300側に設けた長ボルト400に取り付けられた支持部材80に溶接する緊結手段100で固定されることとなる。
【0043】
また、図示はしないが、枠体と、接着剤を介して枠体が固定された周縁材とに、ワイヤをきつく巻き付け、ワイヤと枠体、ワイヤと周縁材とを共に溶接する等の方法も考えられる。
【0044】
要は、的確に枠体と周縁材とが剥がれないように緊結できればよいのである。かかる緊結手段であれば、上記実施の形態以外にも適用できることは言うまでもない。
【0045】
(実施の形態3)
本実施の形態では、前記実施の形態で説明した緊結手段を用いるブレース入り枠体の変形例を説明する。
【0046】
前記実施の形態の緊結手段は、前述の如く、開口部に力が加わり、その結果、枠体と周縁材とに引き剥がし力が働く箇所に局所的に、すなわち部分的に用いるものである。かかる緊結手段が適用できる例としては、例えば、図6に示すような枠体がある。
【0047】
かかる図6に示す枠体40では、ブレース50が枠体40外に仮想交点を有するように、枠体40に交差方向に設けられた所謂偏心ブレースが設けられた枠体40である。
【0048】
図6に示すように、複数本のブレース50が枠体40を構成する枠材40aに交差方向に向けて設けられている。しかし、ブレース50の交点51は、図6に点線で示すように、枠体40上にはなく、枠体40外に向けてブレースの交差方向を延長することで枠体40外に仮想交点として得られるものである。かかる場合にも、開口部30に外力Fが働くと、例えば、左横から力が働くと、ブレース50aが引張力を発生させるブレースとして機能し、ブレース50bが座屈後耐力を発生させるブレースとして機能することとなり、かかるブレース50a、50bが交差方向に設けられた枠体40部分には、枠体40と周縁材との引き剥がし力が発生することとなる。
【0049】
(実施の形態4)
本実施の形態では、前記実施の形態で述べたK型状にブレースが入った枠体とは異なり、図7(a)、(b)に示すように、ブレース50が菱形状に設けられた枠体40である。図7(a)では、4本のブレース50が、枠体40の四辺において交差方向に設けられている。かかる構成では、4箇所に、緊結手段100を設ければよい。緊結手段100を設ける箇所には、○印を図中に付した。
【0050】
図7(b)に示す構成では、枠体40内にブレース50で構成された2つの菱形が入った形状になっている。かかる場合には、図中に丸印で示した緊結手段100を局所的に設ける箇所が、6箇所あることとなる。
【0051】
尚、図7(a)、(b)に示した各々に対して、前記実施の形態で説明した偏心ブレースの構成も可能である。
【0052】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0053】
例えば、前記実施の形態の説明では、開口部耐震補強構造の適用に際しての開口部の構成を、上下に相対する一対の鉄筋コンクリート梁と、左右に相対する一対の鉄筋コンクリート柱を例に挙げて説明したが、開口部を構成する周縁材としての横設材、縦設材としては、鉄筋コンクリート梁、鉄筋コンクリート柱に限定するものではない。
【0054】
さらに、前記実施の形態では、既に開口部が構築された状態で、開口部の構築後に本発明に係る開口部耐震補強構造を設ける場合を例に挙げて説明したが、かかる開口部耐震補強構造は、建築物を構築する際の開口部の施工に際して、併せて施工するようにしても一向に構わない。本発明の適用を、既存の建築物の開口部に適用する場合に限定する必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、建築物の開口部の耐震補強の技術分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る開口部耐震補強構造の一例を模式的に示す説明図である。
【図2】(a)は枠材にコ字型鋼を用いた場合における図1のA−A線での断面図であり、(b)はその場合の図1のB−B線での断面図である。
【図3】(a)は枠材にI型鋼を用いた場合における図1のA−A線での断面図であり、(b)はその場合の図1のB−B線での断面図である。
【図4】(a)、(b)、(c)は、本発明が適用できる枠体内に設けるブレースの配置の変形例である。
【図5】(a)、(b)は、緊結手段の変形例である。
【図6】本発明の適用が可能な偏心ブレースを用いた枠体を模式的に示した説明図である。
【図7】(a)、(b)は、本発明の適用が可能なブレースを用いた枠体の変形例を模式的に示した平面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 横設材
10a 鉄筋コンクリート梁
20 縦設材
20a 鉄筋コンクリート柱
30 開口部
40 枠体
40a 枠材
41 フランジ
50 ブレース
50a ブレース
51 交点
50b ブレース
60 接着剤
70 L字型部材
80 支持部材
80a 鉄板
100 緊結手段
100a アンカーボルト
100b アンカーボルト
200 ナット
300 躯体
400 長ボルト
F 外力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の横方向に架設する梁等の横設材と縦方向に架設する柱等の縦設材とからなる周縁材に囲まれて形成される開口部の内側に、ブレースを有する枠体が設けられている開口部耐震補強構造であって、
前記枠体は、前記周縁材に接着剤を介して接合されると共に、
前記開口部に力が加えられて前記周縁材から前記枠体を引き剥がそうとする力が働く前記枠体の部位では、前記部位に対応して局所的に設けた緊結手段により、緊結されていることを特徴とする開口部耐震補強構造。
【請求項2】
請求項1記載の開口部耐震補強構造において、
前記緊結手段は、前記周縁材に一端を固定し他端を前記枠体の前記部位に貫通させたボルト接続手段であることを特徴とする開口部耐震補強構造。
【請求項3】
請求項1記載の開口部耐震補強構造において、
前記緊結手段は、前記部位に対応した周縁材側に固定された部材に、前記枠体が溶接等の接続手段で接続されていることを特徴とする開口部耐震補強構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の開口部耐震補強構造において、
前記開口部に前記外力が加えられて前記周縁材から前記枠体を引き剥がそうとする力が働く部位とは、前記外力により引張力を発生する引張側ブレースと、前記外力により圧縮力を発生する圧縮側ブレースとが、枠体上の交点で交差する方向に、あるいは枠体外の仮想交点で仮想交差する方向に、設けられている枠体の部位であることを特徴とする開口部耐震補強構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の開口部耐震補強構造において、
前記枠体は、K型ブレース、あるいは菱形ブレースを内包した形状であることを特徴とする開口部耐震補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−150899(P2008−150899A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341431(P2006−341431)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(504371402)株式会社カテカ (3)
【Fターム(参考)】