説明

防蟻薬剤注入システム

【課題】大がかりな工事を要しないことにより低コストを実現し、建築後であってもメンテナンスや修復の要請に対応可能であり、居住者の健康上の問題も十分に配慮され、かつ任意の土質の土壌において十分な防蟻効果を発揮する防蟻薬剤注入システムを提供する。
【解決手段】建物32の基礎30の下側に形成された砕石層40の基礎32の外側に延びた部分40aの上に埋設されたパイプライン10を備え、パイプライン10が基礎の外周に沿って基礎30を取り囲むように埋設され、かつ地上からアクセス可能な位置にパイプライン10の注入口20が設けられており、注入口20から伝搬性防蟻薬剤を注入して、パイプライン10に設けられた複数の孔から土壌及び砕石層40に伝搬性防蟻薬剤を注入する防蟻薬剤注入システム2を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の白蟻被害を防ぐため、防蟻薬剤を土壌に注入するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物、特に木造家屋を白蟻被害から守るため、多くの場合、建物を建てた新築時に、基礎及び建物の土台部分に防蟻薬剤を塗布または散布する防蟻処理を行なっている。しかし、防蟻薬剤の効果が継続するのは5年といわれており、建築後5年ごとに、この防蟻薬剤を基礎及び建物の土台部分に塗布または散布する防蟻処理を繰り返す必要がある。
しかし、基礎及び建物の土台部分は非常に空間が狭く、建築後に、防蟻薬剤を塗り残しなくかつむらなく塗布または散布することは非常に困難である。また、防蟻薬剤を基礎及び建物の土台の表面に塗布または散布するだけでは、地中に生息する白蟻を完全に駆除することは難しい。
【0003】
この問題に対処するため、防蟻薬剤を土壌に注入するための多数のオリフィスが設けられたパイプを、建物の基礎近傍の地中に埋設した防蟻設備が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−49316号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の防蟻設備は、建物の基礎工事に際して、防蟻薬剤を土壌に注入するための多数のオリフィスが設けられたパイプを、少なくとも床下の地中に配管して、その上から土間コンクリートを打設して形成する。また、この配管には、外部から防蟻薬剤をパイプ内に注入するための注入口が設けられており、この注入口から防蟻薬剤を注入することにより、建物の完成後であっても、床下や、建物の周囲の地中にも配管した場合には建物周囲の地中に、防蟻薬剤を比較的容易に注入することができる。
【0006】
しかし、この設備では、建物の床下に土壌注入用のパイプラインを埋設するため、大がかりな工事を要し、設置コストが高騰する恐れがある。また、新築時に土間コンクリートを打設した以降においては、パイプを交換したり、パイプの配管ルートを変更したりすることができないので、メンテナンス上の問題が生じたり、不具合に対する対処が不可能になる問題が生じる。
【0007】
更に、例えば、建物の床下に埋設されたパイプが正常に配管されていなかったり、何らかの理由でパイプが損傷したことにより、注入した防蟻剤がパイプから漏れ出している場合であっても、注入口からそのような不具合をチェックすることはできないので、防蟻薬剤の散布に関する信頼性の問題が生じる恐れがある。また、床下の土壌にも防蟻薬剤を注入するので、居住者が気中の防蟻薬剤を吸い込む健康上の問題も生じる恐れがある。
【0008】
更に、土壌中にパイプを埋設するだけなので、例えば、液体が浸透しにくい粘土質の土壌中に埋設された場合には、十分な量の防蟻薬剤を土壌へ注入することが困難な場合がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、上記の問題を解決して、大がかりな工事を要しないことにより低コストを実現し、建築後であってもメンテナンスや修復の要請に対応可能であり、居住者の健康上の問題も十分に配慮され、かつ任意の土質の土壌において十分な防蟻効果を発揮する防蟻薬剤注入システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、本発明の防蟻薬剤注入システムの1つの実施態様は、建物の基礎の下側にに配置され、砕石、砂、スポンジ状物質、または不織布から形成された薬剤を浸透固着させやすい層と、該層の前記基礎の外側に延びた部分の上に埋設されたパイプラインとを備え、前記パイプラインが前記基礎の外周に沿って前記基礎を取り囲むように埋設され、かつ地上からアクセス可能な位置に前記パイプラインの注入口が設けられており、前記注入口から伝搬性防蟻薬剤を注入して、前記パイプラインに設けられた複数の孔から土壌及び前記層に前記伝搬性防蟻薬剤を注入することを特徴とする。
【0011】
ここで、「伝搬性防蟻薬剤」とは、グルーミング等の白蟻の習性を利用して、白蟻から白蟻へ薬剤を伝搬させて、より多くの白蟻を駆除する防蟻薬剤である。主に防除対象となる日本に生息する2種の白蟻のうち、イエシロアリについては100m以上、ヤマトシロアリについても10m程度の行動範囲があるといわれている。また、白蟻は土壌の湿度や硬度、土中の餌・障害物・忌避物質の有無等の影響により、三次元的に多方面に枝分かれした複雑な蟻道を形成する。そのため、建物周囲に防蟻薬剤を均一に注入することにより、建物内に進入しようとする白蟻のうち少なくともその一部が確実に薬剤に接触するようになり、上記グルーミング等により白蟻のコロニー(巣)全体に薬剤を伝搬させることが期待でき、これによって、全白蟻の死滅が期待できる。 なお、社団法人日本しろあり対策協会が「防除施工標準仕様書」で「維持管理型ベイトエ法」と規定する「ベイト工法」も薬剤を伝搬させる手法を用いている。このベイト工法では、通常、基礎外周に沿って1〜5m間隔、地表面より深さ10〜30cm程度に設置された容器内に、点状に薬剤を設置するのに対し、本実施態様では薬剤を線状に土壌注入するため、より容易に白蟻を薬剤に接触させることができる。
【0012】
「砕石」とは、岩石を破砕機等で人工的に小さく砕き、土木・建築用資材として適する粒度に加工したものをいう。また、「スポンジ状物質」とは、内部に気泡を有する任意の合成物質及び天然物質をいう。
【0013】
本実施態様によれば、伝搬性防蟻薬剤を用いることによって、建物の基礎の内側には配管を行なわず、基礎の外側にのみにパイプラインを埋設することで、十分な防蟻効果を得ることができる。
よって、床下の地中にパイプラインを埋設する工事が不要となり、大がかりな工事を回避して設置工事コストを削減できる。また、建物の基礎の外側にだけ施工するので、建築後であってもメンテナンスや修復の要請に対応可能であり、建物の建築後に、新たにこの防蟻薬剤注入システムを設置することもできる。また、建物床下に防蟻薬剤が散布されないので、居住者の健康上の面においても優れている。
更に、建物の基礎の下側には砕石層を始めとする薬剤を浸透固着させやすい層を形成し、その上にパイプラインを埋設することによって、例えば、パイプラインが粘土質のような液体が浸透しにくい土壌中に埋設される場合であっても、液体が浸透しやすい砕石層に防蟻薬剤を浸透させて、建物の基礎の周囲に十分な量の防蟻薬剤を注入できる。よって、任意の土質の土壌において、十分な防蟻効果を発揮することができる。
【0014】
本発明の防蟻薬剤注入システムのその他の実施態様は、更に、前記層が前記砕石から形成された砕石層であり、特にクラッシャランから構成されることを特徴とする。
【0015】
クラッシャランとは、岩石をクラッシャで割っただけで篩い分けをしていない砕石であり、クラッシャランで構成された砕石層は液体を浸透させやすく、低コストで形成することができる。
【0016】
本発明の防蟻薬剤注入システムのその他の実施態様は、更に、前記土壌が粘土質等の難液体浸透性土壌であることを特徴とする。
【0017】
上記のように、本実施形態によれば、パイプラインが液体が浸透しにくい粘土質の土壌に埋設される場合であっても、薬剤を浸透固着させやすい層を用いて、建物の基礎の周囲に十分な量の防蟻薬剤を注入できる。
【0018】
本発明の防蟻薬剤注入システムのその他の実施態様は、更に、前記基礎を取り囲むように埋設された分岐点を有さない1つの前記パイプラインを備え、前記パイプラインの一端に前記注入口が設けられ、前記パイプラインの他端が閉鎖されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の防蟻薬剤注入システムのその他の実施態様は、更に、前記基礎が布基礎であることを特徴とする。
【0020】
本実施形態では、建物の基礎が布基礎なので、基礎が配置される領域の下部にだけ施工してを形成して、容易に薬剤を浸透固着させやすい層を形成することができ、基礎の内側に土壌が現われている場合であっても、伝搬性防蟻薬剤を用いることによって、十分な防蟻効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の防蟻薬剤注入システムでは、伝搬性防蟻薬剤を用いることによって、建物の基礎の内側には配管を行なわず、基礎の外側にのみにパイプラインを埋設することで、十分な防蟻効果を得ることができるので、床下の地中にパイプラインを埋設する工事が不要となり、大がかりな工事を回避して設置工事コストを削減できる。また、建物の基礎の外側にだけ施工するので、建築後であってもメンテナンスや修復の要請に対応可能であり、建物の建築後に、新たにこの防蟻薬剤注入システムを設置することもできる。また、建物床下に防蟻薬剤が散布されないので、居住者の健康上の面においても優れている。更に、建物の基礎の下側に薬剤を浸透固着させやすい層を形成し、その上にパイプラインを埋設することによって、任意の土質の土壌において十分な防蟻効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の防蟻薬剤注入システムの1つの実施形態の全体構成を模式的に示す平面図である。
【図2】図1の矢印B−Bから見た側面断面図である。
【図3】図1の矢印C−Cから見た側面図である。
【図4】図2に示すパイプライン部分の拡大図である。
【図5】クラッシャラン層上に埋設されたパイプラインの薬剤分布試験の試験モデルを模式的に示す平面図である。
【図6】クラッシャラン層上に埋設されたパイプラインの薬剤分布試験の試験モデルを模式的に示す断面図である。
【図7】クラッシャラン層上に埋設されたパイプラインの薬剤分布試験の試験結果を示す図である。
【図8】伝搬性防蟻薬剤を用いた場合の防蟻効果を実証するための試験モデルの構造を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の防蟻薬剤注入システムの実施形態について、以下に図面を用いながら詳細に説明する。
(本発明の防蟻薬剤注入システムの1つの実施形態の説明)
始めに、図1〜4を用いて、本発明の防蟻薬剤注入システムの1つの実施形態の構成を説明する。ここで、図1は、本発明の防蟻薬剤注入システムの1つの実施形態の全体構成を模式的に示す平面図であり、図2は、図1の矢印B−Bから見た側面断面図であり、図3は、図1の矢印C−Cから見た側面図であり、図4は、図2に示すパイプラインの拡大図である。
【0024】
図1において、本実施形態の防蟻薬剤注入システム2は、建物の基礎30の外周に沿って基礎30を取り囲むように埋設された、分岐点を有さない1つのパイプライン10を備える。パイプライン10の一端には、地上からアクセス可能な注入口20が形成され、パイプライン10の他端は閉じられている。
【0025】
パイプライン10は、直管状のパイプ4が90度エルボ4aを介して互いに接続され、建物の基礎30の外周に沿って基礎30を取り囲むように形成されている。その一端に90度エルボ4aを介して接続管6が接続され、この接続管6は端部で上方へ曲がり、その最上部に注入口20が形成されている(図3参照)。また、パイプライン10の他端には、キャップ4bが装着され、これによりパイプライン10の他端は閉じられている。ただし、これに限られるものではなく、パイプライン10の両端に注入口20を設けることもできる。
【0026】
本実施形態では、図2〜3に示すように、建物32の基礎30が布基礎であり、基礎30を施工する前に、その下の土壌にクラッシャランを所定の厚みだけ敷き、その上に基礎30を施工する。これにより、基礎30の下側に所定の厚みのクラッシャラン層(砕石層)40が形成されている。このクラッシャラン層(砕石層)40は、基礎30の幅のよりも大きく形成されており、クラッシャラン層(砕石層)40は、基礎30の基礎ベース30aの外側に延びた部分40a及び内側に延びた部分40bを有する。
基礎ベース30aの幅寸法としては、40〜80cm程度を例示することができ、クラッシャラン層(砕石層)40は、基礎ベース30aの幅より片側でそれぞれ10〜30cm、両側で20〜60cm程度大きい幅寸法を有する場合を例示できる。クラッシャラン層(砕石層)40の厚み寸法としては、5〜20cm程度を例示できる。
【0027】
パイプライン10は、クラッシャラン層(砕石層)40の基礎ベース30aの外側に延びた部分40aの上に接するように配置され、埋設される。ただし、これに限られるものではなく、パイプライン10の土質に応じて、クラッシャラン層(砕石層)40(基礎ベース30aの外側に延びた部分40a)から上方に、所定距離(例えば5〜30cm)離れて配置することもできる。この上方への距離は、液体が浸透し易い土質であれば、比較的大きくとることができ、土質に応じて最適な距離を定めることができる。
また、パイプライン30の水平方向の位置は、基礎ベース30aの外側面と接するような位置から、クラッシャラン層(砕石層)40の外縁よりも外側の位置まで考えられる。ただし、後述する防蟻効果を考慮すると、パイプ4と基礎ベース30aの外側面との間の間隔は、0〜50cm程度が好ましく、0〜20cm程度がより好ましいといえる。
【0028】
パイプライン10を構成するパイプ4には、液体をパイプの4の外へ流出させるための複数の孔14があけられており(図2、4参照)、注入口20から注入されてパイプ4の中を流れる防蟻薬剤は、この孔14からパイプ4の外へ流れ出て、パイプ4が埋設された周囲の土壌及びクラッシャラン層(砕石層)40に注入される。
なお、パイプ4、接続管6、90度エルボ4aは、何れも硬質塩化ビニルを始めとする樹脂材料で構成することができるが、温度条件や耐久性の条件等により、金属材料等を用いることもできる。
【0029】
パイプ4の外径としては、1〜10cm程度が好ましく、1〜3cm程度がより好ましい。孔14の径としては、1〜5mmが好ましく、2〜3mm程度がより好ましい。また、本実施形態では、パイプライン10の長手方向において、孔14は5〜50cm程度のピッチで設けることが好ましく、10〜30cm程度ピッチで設けることがより好ましい。
【0030】
本実施形態においては、図4に示す拡大図のように、パイプ4の円形断面において、孔14は、パイプ4の円形断面において、円形の水平ラインより上側の方向にあけられている。図4(a)に示す実施形態では、孔14が2方向にあけられ、特に、垂直上方から両側に概ね同一の角度(例えば、60度ずつ)であけられている。また、図4(b)に示す実施形態では、孔14が3方向にあけられており、更に、孔14を4方向以上にあけることもできる。なお、パイプ4の外へ流出した液体は、重力で下側へ流れるので、円形の水平ラインよりも上側に、より多くの孔14を設けることが好ましい。
【0031】
また、パイプ4の外側には、通液性を有する微孔(メッシュ)が全域に均等に形成されたパイプカバー12で覆われている。本実施形態のパイプカバー12は、ポリエチレンテレフタレートの不織物で構成され、5〜10cm程度の幅の不織物幅の片側を縫い付けて筒状にしたものである。
ただし、パイプカバー12は、これに限られるものではなく、その他の任意の通液性を有する材料を用いることができ、透液性を有する任意の材料を用いることもできる。また、パイプカバー12の大きさは、パイプ4の外径に応じて(例えば、2〜20mm程度の隙間があく程度)定めることが好ましい。
【0032】
これにより、2方向にあけられた孔14からパイプ4の外へ流出した防蟻薬剤は、一度、パイプカバー12で溜められ、均等に設けられた微孔(メッシュ)から土壌へ注入されるので、パイプ4の周りで、360度ほぼ均等に土壌注入することができる。同様に、長手方向のピッチ間においても、パイプカバー12で防蟻薬剤を溜めることによりほぼ均等に土壌注入することができる。このような2方向にあけられた孔14の配置と、適切な孔14のピッチ寸法と、均一な微孔(メッシュ)が設けられたパイプカバー12との組み合わせにより、防蟻薬剤の均等な土壌注入が実現できる。
なお、パイプカバー12により、パイプ4の孔14に土や異物が混入することを防いだり、パイプ4の損傷を防ぐことができるので、長期間安定した防蟻薬剤の土壌注入を実現できる。
【0033】
防蟻薬剤の均等な土壌注入の観点からは、孔14をより多方向に孔をあけ、より短いピッチで孔をあける方が有利であるが、製造コストが上昇する問題も生じる。よって、パイプカバー12との組み合わせ及び製造コストのバランスを考えると、孔14を、円形断面の水平ラインよりも上側に1〜4方向にあけ、10〜30cm程度のピッチにするのが好ましいといえる。
【0034】
また、図3に示すように、接続管6は基礎30の外側の地面に掘られたピット24内に伸び、接続管6の端部に形成された注入口20は、このピット24内の空間に開口している。これにより、地上から注入口20へアクセス可能になっている。注入口20は、通常キャップ22が装着され、接続管6やパイプ4内に異物が入るのを防いでいる。また、ピット24も通常はピットカバー26で覆われており、通常、建物周辺の障害とならないように配慮されている。なお、注入口20が設けられたピット空間は、樹脂で一体成形され、ピットカバー26も取り付けられた注入口ボックスを設置して実現することもできる。
【0035】
ここで、図1に示すパイプライン10に形成された注入口20を開口し、この注入口20に防蟻薬剤の注入ポンプ(図示せず)を接続して、防蟻薬剤を注入すると、防蟻薬剤は接続管6内を流れ、90度エルボ4a(接続点A)を通って、基礎30の周囲のパイプ4内を時計回りに流れる。防蟻薬剤は、このパイプ4内を流れる間にその一部が孔14からパイプ4の外へ流れ出て、パイプ4が埋設された周囲の土壌及びクラッシャラン層(砕石層)40に注入され、パイプライン10全域で均等な防蟻薬剤の土壌注入層が安定して形成される。
【0036】
この場合、通常の土壌にパイプライン10が埋設された場合には問題がないが、例えば、液体が浸透しにくい粘土質の土壌にパイプライン10が埋設された場合には、基礎30の周囲に十分な量の防蟻薬剤を土壌注入できない恐れがある。
これに対処するため、本実施形態では、クラッシャラン層(砕石層)40の上にパイプライン10が埋設されており、液体が浸透し易いクラッシャラン層(砕石層)40に十分な量の防蟻薬剤を浸透させることにより、十分な防蟻効果を得ることができる。この点に関する実証試験の結果については後述する。
【0037】
ここで、パイプライン10における防蟻薬剤の土壌注入の所要時間は、土壌により変動するが、30秒〜5分程度が好ましいと考えられる。なお、本実施形態では、伝搬性防蟻薬剤を用いることによって、建物の基礎30の外側にパイプライン10を埋設するだけで、十分な防蟻効果を得ることができる。この点に関する技術的な説明は後述する。
【0038】
本実施形態では、基礎30が略長方形の平面配置になっているので、パイプライン10は、それに応じた略長方形の形状を有しているが、これに限られるものではなく、更に複雑な形状の基礎や非対称な形状の基礎の周囲に埋設された場合であっても、その外周に沿った形状を有することができる。
【0039】
(粘土質の土壌にパイプラインを埋設した場合の防蟻薬剤の濃度測定試験)
液体が浸透しにくい粘土質の土壌にパイプライン10を埋設して防蟻薬剤の土壌注入を行ない、土壌中へ注入された防蟻薬剤の濃度を測定する試験を行なった。
粘土質の土壌において、幅30cmで深さ30cmの溝を掘って、そこに長さ20mのパイプラインを埋設した。パイプラインには、直径約2mmの孔が20cmピッチであけられた孔付きパイプを用いた。
埋設したパイプラインの両端から、5L/mの割合で50L/mずつ計100L/mを注入し、約20日後に、パイプラインの周囲の土壌のサンプルを採取して薬剤有効成分の濃度を分析した。その分析結果を下表(表1)に示す。下表のパイプ隣接位置1及び2は、パイプの隣接位置をランダムに2サンプル回収した結果を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
表1に示すように、同一回収地点におけるサンプル毎の薬剤濃度のばらつきが、通常の土壌に比べて大きかった。通常の土壌ではパイプを中心に万遍なく薬剤が広がりやすいのに対して、粘土質の土壌では土壌の塊ができやすく、塊の内部には薬剤が浸透しにくく、塊と塊の間には薬剤が広がりやすいため、このようなばらつきが生じたと考えられる。このため、薬剤が浸透しにくい領域においては、防蟻効果を発揮するのに十分な量の薬液が土壌注入されていない恐れがあることが判明した。
【0042】
(クラッシャラン層の上にパイプラインを埋設した場合の防蟻薬剤の土壌注入の実証試験)
次に、本発明の蟻薬剤注入システムの作用効果を確認するため、クラッシャラン層の上にパイプラインを埋設した場合の防蟻薬剤の土壌注入の実証試験を行なった。図5は、試験モデルの外形を示す平面図であり、図6は、試験モデルの断面形状を示す断面図である。
図5に示すように、粘土質の土壌において、幅90cm、深さ33cmで全長が20m(横寸法8m、縦寸法4m)のコの字形の溝を掘った。この溝の中にクラッシャラン(C−40)を5cmの厚みで敷設し、その上に、基礎ベースを想定したコンクリートブロックをコの字形に設置し(全長20m)、このコンクリートブロックの両側にパイプラインをコの字形に配置した(外側のパイプライン長20m、内側のパイプライン長16.5m)。このパイプラインには、直径約2mmの孔が20cmピッチであけられている。そして、コンクリートブロックの外側には掘り出した粘土質の土壌を埋め戻して、粘土質の土質を想定した環境を形成し、コンクリートブロックの内側には、外部から搬入した通常の土壌で埋めて、通常の土質を想定した環境を形成した。
【0043】
断面方向におけるパイプラインとコンクリートブロックと間の位置関係は、パイプラインの一端から長手方向において0〜12mの地点では、パイプラインはクラッシャラン層の外縁上に配置され、寸法的には、コンクリートブロックから15〜20cm離れた位置に埋設された。パイプラインの一端から長手方向において12〜20mの地点では、パイプラインは、クラッシャラン層上のコンクリートブロックに隣接した位置に埋設された。
また、パイプラインの一端から長手方向において0〜2mの地点では、通常の土壌がクラッシャラン層の外縁から更に外側1mの範囲まで埋められており、パイプラインの一端から2〜20mの地点では、通常の土壌がクラッシャラン層の外縁の位置まで埋められている。
【0044】
このような試験モデルにおいて、伝搬性防蟻薬剤を、コンクリートブロックの外側の粘土質の土壌中に埋設されたパイプラインの両端から、5L/mの割合で50L/mずつ計100L/mを注入した。また、コンクリートブロックの内側の通常の土質の土壌中に埋設されたパイプラインの両端から、5L/mの割合で42L/mずつ計84L/mを注入した。
そして、翌日に、パイプラインの周囲のクラッシャランのサンプルを採取して、薬剤有効成分の濃度を分析した。その分析結果を下表(表2)に示し。その結果を図7に図式化して示す。ここでは、測定した薬剤有効成分の濃度を薬剤量指数で表している。薬剤量指数は、防蟻効果発現の目安となる薬剤量6ppm(5年後に0.3ppmと推定)を1とするものであり、この値が1以上の場合に必要薬剤が存在していることを示す。
【0045】
【表2】

【0046】
表2及び図7に示すように、通常の土質の環境の方が全体的に薬剤量が多いが、粘土質の環境及び通常の土質の環境ともに、今回測定した全地点において、基礎周囲部のクラッシャラン層に必要薬剤(薬剤量指数1以上)が処理されていることが確認された。パイプラインをクラッシャラン層の外縁上に配置する場合も、コンクリートブロックに隣接した位置に配置する場合も、何れに配置しても、基礎周囲部のクラッシャラン層に必要薬剤(薬剤量指数1以上)が処理されていることが確認された。
(0000)
(伝搬性防蟻薬剤を用いることに関する説明)
次に、伝搬性防蟻薬剤を用いて防蟻処理を行なうことに関する説明を行なう。ここで、伝搬性防蟻薬剤とは、グルーミング等の白蟻の習性を利用して、白蟻から白蟻へ薬剤を伝搬させて、より多くの白蟻を駆除する防蟻薬剤である。
本発明に使用される殺虫剤としては、下記に示すように、伝播効果が期待できる非忌避性、遅効性薬剤が使用できる。
【0047】
ネオニコチノド系化合物類:イミダクロプリド、クロチアニジン、ニテンピラム、アセタミプリド、チアメトキサム、チアクロプリド、ジノテフラン
ピロール系化合物類:クロルフェナピル
フェニルピラゾール系化合物類:アセトプロール、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール、ピリプロール、ピラフルプロール、TI−809
幼若ホルモン様物質や、キチン合成阻害物質等の昆虫成長制御剤:ピリプロキシフェン、メトプレン、ハイドロプレン、フェノキシカルブ、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、ビストリフルロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、ノバルロン、クロルフルアズロン、ルフェヌノン、ノビフルムロンブプロフェジン、エキサゾール、シロマジン
アントラニルアミド系化合物類:クロラントラニリプロール
オキサジアジン系化合物類:インドキサカルブ
ネライストキシン系化合物類:カルタップ、ベンスルタップ、チオシクラム、モノスルタップ、ビスルタップ
ホウ素系化合物類:ホウ酸、硼砂
その他:ヒドラメチルノン、スルフルアミド等
【0048】
製剤の例としては、乳剤、エマルジョン剤、マイクロエマルジョン剤、フロアブル剤、水和剤、水溶剤、懸濁剤等が挙げられるが、薬剤によっては、マイクロカプセル化等の製剤技術を用いて、さらに非忌避性、遅効性を高めた製剤を用いる方がより効果的な場合もある。
【0049】
また、殺虫剤原体としては、非忌避性、遅効性薬剤でなくても、マイクロカプセル化等の製剤技術により、伝播効果のある製剤とできる場合、有機リン系化合物類、ピレスロイド様・ピレスロイド系化合物類、カーバメート系化合物類などの殺虫剤も使用できる。なお、マイクロカプセル化した場合、製剤は懸濁剤等となる。その他の殺虫剤を系統別に挙げると下記のとおりである。
【0050】
有機リン系化合物類:プロペタンホス、アセフェート、リン化アルミニウム、ブタチオホス、キャドサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、シアノホス、ダイアジノン、DCIP、ジクロフェンチオン、ジクロルボス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、エトリムホス、フェンチオン、フエニトロチオン、ホスチアゼート、ホルモチオン、リン化水素、イソフェンホス、イソキサチオン、マラチオン、メスルフェンホス、メチダチオン、モノクロトホス、ナレッド、オキシデプロホス、パラチオン、ホサロン、ホスメット、ピリミホスメチル、ピリダフェンチオン、キナルホス、フェントエート、プロフェノホス、プロパホス、プロチオホス、ピラクロホス、サリチオン、スルプロホス、テブピリムホス、テメホス、テトラクロルビンホス、テルブホス、チオメトン、トリクロルホン、バミドチオン、ホキシム
【0051】
ピレスロイド様、ピレスロイド系化合物類:エントフェンプロックス、シラフルオフェン、ペルメトリン、アクリナトリン、アレスリン、ベンフルスリン、ベーターシフルトリン、ビフェントリン、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン、ジメフルトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルフェンプロックス、フルメトリン、フルバリネート、ハルフェンプロックス、イミプロトリン、メトフルトスリン、プラレトリン、プロフルトリン、ピレトリン、レスメトリン、シグマ−サイパーメスリン、テフルトリン、トラロメトリン
【0052】
カーバメート系化合物類:フェノブカルブ、アラニカルブ、ベンダイオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、クロエトカルブ、エチオフェンカルブ、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メトルカルブ、メソミル、メチオカルブ、NAC、オキサミル、ピリミカーブ、プロポキスル、XMC、チオジカルブ、キシリルカルブ
【0053】
ジベンゾイルヒドラジン系化合物類:クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド
バチルス・チューリンゲンシス菌トキシン系化合物類:バチルス・チューリンゲンシス菌の生芽胞及び産生結晶毒素
トロポロン系化合物類:ヒノキチオール、α−ツヤプリシン、γ−ツヤプリシン、β−ドラブリンおよびノートカチン
アルキルアミンアセテート:炭素数8〜18の混合または単一アルキルアミンアセテート
フタル酸ジアミド系化合物類:フルベンジアミド
マクロライド系化合物類:アバメクチン、エマメクチン、ミルベメクチン、ミルベマイシンオキシム、モキシデクチン、スピノサド
トリアジン系化合物類:トリプロピルイソシアヌレート
ナフタリン系化合物類:モノクロルナフタリン
塩素化ジアルキルエーテル添加系化合物:オクタクロロジプロピルエーテル
その他:ピリダリル等
【0054】
本発明においては、伝搬性防蟻薬剤を用いることによって、従来では床下に埋設していたパイプラインを必要とせず、建物の基礎の外側にパイプラインを配置するだけで、建物の白蟻被害を効果的に防ぐことができる。建物の基礎の外側にだけ伝搬性防蟻薬剤の薬剤処理層を形成する場合、建物の基礎の外側の白蟻の侵入を防ぐことは容易に想定できるが、建物の基礎の内側(床下)や地中深くに存在する白蟻が建物の基礎に到達して活動することを防ぐことができるか否かについては、実証試験により検証する必要がある。
【0055】
<伝搬性防蟻薬剤を用いた場合の防蟻効果の実証試験の説明>
次に、建物の基礎の外側にだけ伝搬性防蟻薬剤の薬剤処理層を形成する場合の防蟻効果の実証試験の説明を行なう。ここで、図8は試験モデルの概要を示す斜視図である。
この試験では、スペーサを介して2枚のアクリル板を対向させて貼り合わせた試験モデルを製作し、この対向するアクリル板の間の0.5cmの隙間空間に、土壌(砂状土)を充填し、更に、基礎(建物の基礎及び防湿コンクリート)を模したアクリルブロックを配置した。そして、約1000頭(重量換算)の白蟻を、アクリルモデルの左下(床下の地中に相当)から投入して、防蟻効果の実証試験を行なった。また、建物の基礎を模したアクリルブロックと、防湿コンクリートを模したアクリルブロックとの間に0.5cmの隙間をあけ、白蟻がこの隙間に到達するか否かを観察した。
【0056】
伝搬性防蟻薬剤の土壌注入による防蟻効果を検証するため、下記に示すような5回の試験を行なった。
− 伝搬性防蟻薬剤を全く散布しない場合の試験 ×1回
− 建物の基礎の外側の10cm×10cmのエリアに、濃度0.3ppmの伝搬性防蟻薬剤の薬剤処理層を形成した場合の試験 ×2回
− 建物の基礎の外側の10cm×10cmのエリアに、濃度1ppmの伝搬性防蟻薬剤の薬剤処理層を形成した場合の試験 ×2回
【0057】
具体的な測定項目として、下記の項目を測定した。
− 白蟻の薬剤処理層までの到達日数
− 白蟻の上記の隙間を突破するまでの経過日数
− 白蟻が全頭致死するまでの日数、
− 視認による状況確認
下表(表3)に試験結果を示す。
【0058】
【表3】

【0059】
表3に示すように、0.3ppm以上の伝搬性防蟻薬剤の薬剤処理層を建物の基礎の外側に形成すれば、建物の基礎の内側の地中に存在する白蟻に対しても、建物の基礎の領域に到達して活動を行なうこと防ぐことができ、実用上の防蟻効果があることが実証された。通常、防蟻効果は5年間持続させる必要がある。薬剤処理5年経過後、本防蟻薬剤は、分解等により1/20程度に濃度低下すると考えられるので、必要な薬剤処理層の初期濃度は6ppm(薬剤量指数1)以上となる。
【0060】
表2及び図7に示すクラッシャラン層上にパイプラインを埋設した場合の防蟻薬剤の土壌注入の実証試験結果に基づけば、液体が浸透しにくい粘土質の土壌中に埋設する場合であっても、6ppm以上の伝搬性防蟻薬剤の薬剤処理層を建物の基礎の外側に形成することが可能である。従って、本発明の防蟻薬剤注入システムでは、パイプラインを粘土質の土壌中に埋設する場合であっても、十分な防蟻効果が得られることが実証された。
【0061】
<クラッシャラン層(砕石層)上のパイプラインに伝搬性防蟻薬剤を注入する場合の作用効果に関する説明>
以上のように、本発明の防蟻薬剤注入システムでは、伝搬性防蟻薬剤を用いることにより、建物の基礎の外側にだけパイプラインを埋設するだけで、実用上十分な防蟻効果を発揮することができる。よって、床下へのパイプラインの埋設工事が不要となり、大がかりな工事を回避して設置工事コストを削減できる。また、建物の基礎の外側にだけ施工するので、建築後であってもメンテナンスや修復の要請に対応可能であり、建物の建築後に新たに防蟻薬剤注入システムを備えることできる。
特に、建物の基礎の下側に形成されたクラッシャラン層(砕石層)上にパイプラインを埋設することによって、粘土質の土壌を始めとする任意の土壌にパイプラインを埋設しても、十分な防蟻効果が得ることができる。
なお、上記の実施形態では、建物の基礎の下側にクラッシャラン層(砕石層)を形成した場合を例示しているが、これに限られるものではなく、例えば、建物の基礎の下側に砂層を形成したり、スポンジ状物質や不織布を始めとする薬剤を浸透固着させやすい物質からなる層を形成することによっても、同様な防蟻効果が得ることができる。
【0062】
(防蟻薬剤注入システムの安全性に関する説明)
本発明の防蟻薬剤注入システムでは、伝搬性防蟻薬剤を用いることにより、建物の基礎の外側にだけパイプラインを埋設することにより、実用上十分な防蟻効果を発揮することができる。これにより、従来のように、建物の床下に防蟻薬剤が散布されないので、居住者の健康に関してもより安全なシステムであるといえる。この点を確認するため、本発明の防蟻薬剤注入システムを用いて、住宅の基礎の外側に伝搬性防蟻薬剤を土壌注入した場合の住宅内部での伝搬性防蟻薬剤の気中濃度を測定する試験を行なった。
【0063】
<防蟻薬剤の気中濃度測定試験の説明>
本試験では、0.03%の伝搬性防蟻薬剤の水溶液を5L/mで注入口から注入して、住宅の基礎の外側に土壌注入し、処理中、処理後3時間後、処理後24時間後について、下記の3箇所の気中濃度を測定した。測定結果を下表(表4)に示す。
【0064】
【表4】

【0065】
表4に示すように、処理中、処理後3時間後、処理後24時間後の何れの時期においても、気中の防蟻成分は検出限界値未満であった。これにより、本発明の防蟻薬剤注入システムは、建物床下に防蟻薬剤が散布されないので、居住者が防蟻薬剤を吸う恐れが少なく、居住者の健康上の面においても優れたシステムであることが実証された。
【0066】
(本発明の防蟻薬剤注入システムのその他の実施形態の説明)
本発明の防蟻薬剤注入システムは、上記の実施形態に限られるものではなく、その他の様々な実施形態が本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
2 防蟻薬剤注入システム
4 孔付きパイプ
4a 90度エルボ
4b キャップ
6 接続管
10 パイプライン
12 パイプカバー
14 孔
20 注入口
22 キャップ
24 ピット
26 ピットカバー
30 建物の基礎
30a 基礎ベース
32 建物
40 クラッシャラン層(砕石層)
40a 基礎の外側に延びた部分
40b 基礎の内側に延びた部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎の下側に配置され、砕石、砂、スポンジ状物質、または不織布から形成された薬剤を浸透固着させやすい層と、該層の前記基礎の外側に延びた部分の上に埋設されたパイプラインとを備え、
前記パイプラインが前記基礎の外周に沿って前記基礎を取り囲むように埋設され、かつ地上からアクセス可能な位置に前記パイプラインの注入口が設けられており、
前記注入口から伝搬性防蟻薬剤を注入して、前記パイプラインに設けられた複数の孔から土壌及び前記層に前記伝搬性防蟻薬剤を注入することを特徴とする防蟻薬剤注入システム。
【請求項2】
前記層が前記砕石から形成された砕石層であり、特にクラッシャランから構成されることを特徴とする請求項1に記載の防蟻薬剤注入システム。
【請求項3】
前記土壌が粘土質等の難液体浸透性であることを特徴とする請求項1または2に記載の防蟻薬剤注入システム。
【請求項4】
前記基礎を取り囲むように埋設された分岐点を有さない1つの前記パイプラインを備え、
前記パイプラインの一端に前記注入口が設けられ、前記パイプラインの他端が閉鎖されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の防蟻薬剤注入システム。
【請求項5】
前記基礎が布基礎であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の防蟻薬剤注入システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−26772(P2011−26772A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170430(P2009−170430)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(303020956)三井化学アグロ株式会社 (70)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】