説明

電力変換装置

【課題】出力変圧器盤等の周辺設備が無い場合でも、容易に電力変換装置の動作検証ができるようにする。
【解決手段】高圧制御ルートを持つ従来回路に対し、検出器7、電圧平均値演算器10および設定器16a,16b等からなる低圧制御ルートを設け、出力変圧器盤3に周辺設備がない場合には、検出器7で検出されるインバータ出力電圧から演算器10でその平均値を求め、インバータ電圧指令9からインバータ出力電圧平均値を減算して、低圧制御を実行し得るようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、低圧インバータの入力側,出力側の少なくとも一方に変圧器を有し、高圧出力電圧を発生する電力変換装置、特にその制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電力変換装置として、例えば無停電電源装置がある。この無停電電源装置の動作,性能を確認するためには、模擬的に負荷設備を必要とするのが一般的であるが、そのような模擬負荷設備を設けることなく試験を可能とするものが、例えば特許文献1に記載されている。また、冗長構成の無停電電源装置にして、信頼性を高めるものが例えば特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−232541号公報
【特許文献1】特開平05−038055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、高圧の出力電圧を発生する電力変換装置で動作検証を行なう場合、高圧の出力電圧が検出できないときは制御不能となる。また、高圧の出力電圧を検出するには、出力変圧器盤等の周辺設備が必要不可欠となる。そのため、出力変圧器盤が準備できるまでは、電力変換装置の動作検証ができないという問題が発生する。
従って、この発明の課題は、出力変圧器盤等の周辺設備が無い場合でも、容易に電力変換装置の動作検証をできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明では、出力側変圧器との接続時に高圧の電圧制御を行なう第1の電圧制御回路を備えた電力変換装置において、
前記出力側変圧器と接続されないときに低圧の電圧制御を行なう第2の電圧制御回路と、出力側変圧器と接続するか否かにより前記第1,第2の電圧制御回路のいずれか一方を有効にする切替設定器とを設けたことを特徴とする。
【0006】
上記請求項1の発明においては、前記切替設定器により前記第2の電圧制御回路を有効とすることにより、前記出力側変圧器が接続されていない場合でも、動作の検証を可能にすることができる(請求項2の発明)。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、出力変圧器盤等の周辺設備が無い場合でも、設定を変更するだけの操作で、出力変圧器盤等の周辺設備を接続することなく、電力変換装置の動作検証が可能となる。また、トランス比調整ゲイン(14)を調節することにより、種々の出力変圧器盤等の周辺設備と組み合わせた動作検証を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1はこの発明の実施形態を示す構成図である。同図において、1は入力変圧器盤、2はインバータ盤、3は出力変圧器盤、4は入力変圧器、5は出力変圧器、6は電力変換装置、7はインバータ電圧検出器、10はインバータ電圧平均値演算器、11は高圧出力電圧検出器、12はPI(比例積分)調節器、13は台形波発生器、14はトランス比調整ゲイン、16a,16bは設定器、17は出力電流検出器、18は瞬時値制御部をそれぞれ示す。
【0010】
図示のように、図1には出力変圧器盤3に周辺設備がある場合には、インバータ電圧指令9にトランス比調整ゲイン14を乗算して高圧電圧指令とし、出力変圧器盤3から高圧出力電圧検出器11を介して得られる電圧を減算することにより、高圧制御を行なうルートが設けられている。
一方、出力変圧器盤3に周辺設備がない場合には、検出器7で検出されるインバータ出力電圧から演算器10でその平均値10を求め、インバータ電圧指令9からインバータ出力電圧平均値10を減算して、低圧制御を行なうルートが設けられている。
【0011】
そして、高圧制御ルートを生かす(有効にする)場合には、切替設定器16aには「1」、切替設定器16bには「0」を設定する。これに対し、低圧制御ルートを生かす(有効にする)場合には、設定器16aには「0」、切替設定器16bには「1」を設定する。
なお、瞬時値制御部18は、検出器7からのインバータ出力電圧と指令波形との偏差、および検出器17を介して得られる出力電流とを入力し、電力に見合った補正をするために設けられている。
【0012】
つまり、従来回路に対し、検出器7、電圧平均値演算器10および設定器16a,16b等を付加したところが、この発明により特に設けられたものということができる。
【符号の説明】
【0013】
1…入力変圧器盤、2…インバータ盤、3…出力変圧器盤、4…入力変圧器、5…出力変圧器、6…電力変換装置、7…インバータ電圧検出器、10…インバータ電圧平均値演算器、11…高圧出力電圧検出器、12…PI(比例積分)制御器、13…台形波発生器、14…トランス比調整ゲイン、16a,16b…設定器、17…出力電流検出器、18…瞬時値制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力側変圧器との接続時に高圧の電圧制御を行なう第1の電圧制御回路を備えた電力変換装置において、
前記出力側変圧器と接続されないときに低圧の電圧制御を行なう第2の電圧制御回路と、出力側変圧器と接続するか否かにより前記第1,第2の電圧制御回路のいずれか一方を有効にする切替設定器とを設けたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記切替設定器により前記第2の電圧制御回路を有効とすることにより、前記出力側変圧器が接続されていない場合でも、動作の検証を可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−23894(P2012−23894A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160677(P2010−160677)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】