電動乗用草刈機
【課題】地形によらず刈高さを一定に保つとともに、刈り取った草を一方向に排出可能な電動乗用草刈機を提供する。
【解決手段】回転して草を刈るモアブレードと、モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキ15A,15Bと、モアデッキ15A,15B上に配置されるとともに、モアブレードの回転軸に取り付けられたモアモータ20,20と、モアデッキ15A,15Bの前部外側に取り付けられ、走行面の隆起を検出するための補助車輪と、前進方向に延設され、モアデッキ15A,15Bを支持するサブフレーム55とを備え、モアデッキ15A,15Bは、サブフレーム55の左右にそれぞれ設けられ、サブフレーム55は、モアデッキ15A,15Bを側方に向けて上下回動可能に支持し、左右のモアデッキ15A,15Bの向かい合う側の側部にそれぞれ切り欠きを設けるとともに、2つのモアデッキ15A,15Bを柔軟性のあるデッキカバーDCで連結して、モアデッキユニット15を形成する。
【解決手段】回転して草を刈るモアブレードと、モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキ15A,15Bと、モアデッキ15A,15B上に配置されるとともに、モアブレードの回転軸に取り付けられたモアモータ20,20と、モアデッキ15A,15Bの前部外側に取り付けられ、走行面の隆起を検出するための補助車輪と、前進方向に延設され、モアデッキ15A,15Bを支持するサブフレーム55とを備え、モアデッキ15A,15Bは、サブフレーム55の左右にそれぞれ設けられ、サブフレーム55は、モアデッキ15A,15Bを側方に向けて上下回動可能に支持し、左右のモアデッキ15A,15Bの向かい合う側の側部にそれぞれ切り欠きを設けるとともに、2つのモアデッキ15A,15Bを柔軟性のあるデッキカバーDCで連結して、モアデッキユニット15を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転して草を刈るモアブレードと、モアブレードを上方および側方から覆うモアデッキとを備え、モータによってモアブレードを回転させる乗用草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン搭載の4輪の乗用ローンモア(乗用草刈機)は、回転して芝を刈る2つのモアブレードと、そのモアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキとを備えてなる。このモアデッキは、前輪と後輪との間で、かつ、シャーシの下方に懸架される。そして、エンジンの駆動力は、後輪を回転させるとともに、モアデッキ上方に伝達して2つのモアブレードを回転させていた。2つのモアブレードを1つのモアデッキ内で回転させることで、その側方に向けた空気の流れを形成することができ、この空気の流れに乗せて刈り取った芝をモアデッキの側部に形成された排出口から排出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−095716号公報
【0004】
近年、地球温暖化防止の観点から、温室効果ガスを含む排気ガスを規制する動きが社会的潮流となってきた。この動きに対する対応は自動車産業において顕著であり、ハイブリッドカー、電気自動車など、いわゆるエコカーの開発が進められている。特に、近年、バッテリーを電源とした電気自動車の実用化に対する技術開発が活発化している。
【0005】
しかし、このような技術開発は、農業機械の分野においてはさほど活発ではない。特に、乗用の芝刈機の分野においては実施可能レベルの技術開発がなされていないのが現状である。したがって、電動による乗用草刈機を開発することは重要な意義を持っている。
【0006】
そこで、発明者らは、電動による乗用ローンモアの製造を具体的に検討した。電動ローンモアでは、モアブレードをモータで回転させる。したがって、発明者らは個々のモアブレードにそれぞれ独立したモータを備える様式が可能であることに想到した。このような形態をとることで、従来のような1つのモアデッキに2つのモアブレードを(略車幅方向に)並べて配置するタイプ(以下、「ダブルブレードのモアデッキ」と称す)ではなく、1つのモアデッキに1つのモアブレード(以下、「シングルブレードのモアデッキ」と称す)を備えることが可能となった。このようなシングルブレードのモアデッキを車幅方向に2つ並べて備えることで従来のダブルブレードのモアデッキと同じ刈幅を確保することができる。
【0007】
2つのシングルブレードのモアデッキを1つのフレームの左右に懸架し、さらに、フレームに対して、車幅方向外側に向けて裏面が上向きとなるように傾動可能な構造とした。また、それぞれのモアデッキの前端部にゲージホイールを取り付けて走行面の起伏に追随するようにした。これにより、車両の左右の芝の刈取面の地形に合わせてそれぞれのモアデッキを傾動させることが可能となり、刈取面の地形によらず刈高さを一定に保持することを可能ならしめた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような2つのシングルブレードのモアデッキを備える乗用ローンモアでは、左右のモアデッキで刈り取った芝がそれぞれ異なる位置に放出され、刈り取った芝を集める作業に手間がかかるといった問題がある。したがって、2つのシングルブレードのモアデッキで芝刈りを行うことの利点を生かしつつも、2つのモアデッキで刈り取った芝をまとめて放出し、収集作業の効率化を図ることが求められる。そこでこの発明は、地形によらず刈高さを一定に保つとともに、刈り取った草を一方向に排出可能な電動乗用草刈機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため請求項1に記載の発明は、回転して草を刈るモアブレードと、
該モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキと、
該モアデッキ上に配置されるとともに、前記モアブレードの回転軸に取り付けられたモアモータと、
前記モアデッキの前部外側に取り付けられ、走行面の隆起を検出するための補助車輪と、
前進方向に延設され、前記モアデッキを支持する支持フレームとを備え、
前記モアデッキは、前記支持フレームの左右にそれぞれ設けられ、
前記支持フレームは、前記モアデッキを側方に向けて上下回動可能に支持し、
前記左右のモアデッキの向かい合う側の側部にそれぞれ切り欠きを設けるとともに、前記2つのモアデッキを柔軟性のある連結部材で連結して、モアデッキユニットを形成することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記連結部材の前端部分が外側に向けて湾曲して形成されるとともに、
前記支持フレームの前端に設けた保持部が前記連結部材の前端部分を回避するように前記支持フレームを延長することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記連結部材が前記モアデッキに対して着脱自在であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記連結部材と前記モアデッキとが一定の重なりをもって連結された電動乗用草刈機であって、
前進方向に対して、前記モアデッキユニットの左右いずれか、または、後部に、刈った草を放出するための放出口を設け、
前記モアデッキと前記連結部材とは、前記放出口に近い方が上となるように重ね合わせられることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記モアデッキと前記連結部材との取り付けは、前記モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、該ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記モアデッキと前記連結部材との取り付けはリベットによることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記モアデッキの縁の上面にボルトを上向きに固設し、
前記連結部材の縁に貫通孔を形成し、
前記連結部材を前記モアデッキの上方より重ね合わせることで前記ボルトを前記貫通孔に貫通させた後、前記ボルトの上側をナットで締め付けることで前記モアデッキを前記連結部材に取り付けることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記連結部材の縁部を金属で形成し、
前記縁部に貫通孔を複数形成するととともに、前記モアデッキに別の貫通孔を複数形成し、前記連結部材と前記モアデッキの貫通孔どおしを合わせるようにして、前記モアデッキと前記連結部材とを重ね合わせ、前記モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、該ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記連結部材の縁部を金属で形成し、
該縁部の上面にボルトを上向きに複数固設するととともに、前記モアデッキに貫通孔を複数形成し、該貫通孔に前記ボルトを裏面より貫通させて、前記モアデッキと前記連結部材とを重ね合わせ、前記ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記モアデッキの縁を略コの字状に切り起こしてフックを形成する一方、
前記連結部材の縁部を下側に向けて略コの字状に形成し、該縁部を前記フックに掛け留めることで前記連結部材を前記モアデッキに取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、回転して草を刈るモアブレードと、モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキと、モアデッキ上に配置されるとともに、モアブレードの回転軸に取り付けられたモアモータと、モアデッキの前部外側に取り付けられ、走行面の隆起を検出するための補助車輪と、前進方向に延設され、モアデッキを支持する支持フレームとを備え、モアデッキは、支持フレームの左右にそれぞれ設けられ、支持フレームは、モアデッキを側方に向けて上下回動可能に支持し、左右のモアデッキの向かい合う側の側部にそれぞれ切り欠きを設けるとともに、2つのモアデッキを柔軟性のある連結部材で連結して、モアデッキユニットを形成する。
【0020】
したがって、左右のモアデッキ間が連通し、2つのモアデッキが左右で独立して傾動しつつも、2つのモアデッキで刈り取った芝をまとめて一箇所に放出することができる。すなわち、2つのシングルブレードのモアデッキで芝刈りを行うことの利点を生かしつつも、2つのモアデッキで刈り取った芝をまとめて放出し、収集作業の効率化を図ることができる。よって、地形によらず刈高さを一定に保つとともに、刈り取った草を一方向に排出可能な電動乗用草刈機を提供することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、連結部材の前端部分が外側に向けて湾曲して形成されるとともに、支持フレームの前端に設けた保持部が連結部材の前端部分を回避するように支持フレームを延長するので、モアデッキユニット内でモアブレードが形成する風の流れをスムーズにすることができる。これにより、それぞれのモアブレードが刈り取った草を確実に一方向にまとめて排出することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、連結部材がモアデッキに対して着脱自在であるので、それぞれのモアデッキの補修および交換が容易である。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、連結部材とモアデッキとが一定の重なりをもって連結された電動乗用草刈機であって、前進方向に対して、モアデッキユニットの左右いずれか、または、後部に、刈った草を放出するための放出口を設け、モアデッキと連結部材とは、放出口に近い方が上となるように重ね合わせられるので、刈り取った草を放出口に向けて送り出す際、刈り取った草がモアデッキと連結部材との接続部分の隙間に入り込むことを低減することができる。したがって、モアデッキユニットのメンテナンスを低減することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、モアデッキと連結部材との取り付けは、モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、ボルトの上側をナットで締め付けるので、ボルトの突出部分(先端部分)がモアデッキの外側に配置され、刈り取った草がボルトの先端部分に引っかかることがない。したがって、刈り取った草を一方向に確実に送ることができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、モアデッキと連結部材との取り付けはリベットによるので、ボルトとナットを用いる場合に比べて、容易にモアデッキと連結部材とを連結することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、モアデッキの縁の上面にボルトを上向きに固設し、連結部材の縁に貫通孔を形成し、連結部材をモアデッキの上方より重ね合わせることでボルトを貫通孔に貫通させた後、ボルトの上側をナットで締め付けることでモアデッキを連結部材に取り付けるので、モアデッキ内で刈り取った芝がボルトの頭に引っかかることを防止することができ、モアデッキユニットのメンテナンスを低減することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、連結部材の縁部を金属で形成し、縁部に貫通孔を複数形成するととともに、モアデッキに別の貫通孔を複数形成し、連結部材とモアデッキの貫通孔どおしを合わせるようにして、モアデッキと連結部材とを重ね合わせ、モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、ボルトの上側をナットで締め付けるので、縁部を剛性の高い材料で形成することで、モアデッキの貫通孔との位置決めがしやすくなる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、連結部材の縁部を金属で形成し、縁部の上面にボルトを上向きに複数固設するととともに、モアデッキに貫通孔を複数形成し、貫通孔にボルトを裏面より貫通させて、モアデッキと連結部材とを重ね合わせ、ボルトの上側をナットで締め付けるので、ボルトが予め、縁部に固設されており、ボルトを紛失することがない。また、部品点数を低減して組み立て工程を簡略化することができる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、モアデッキの縁を略コの字状に切り起こしてフックを形成する一方、連結部材の縁部を下側に向けて略コの字状に形成し、縁部をフックに掛け留めることで連結部材をモアデッキに取り付けるので、ボルトとナットを必要とせず、部品点数を低減して組み立て工程を簡略化することができる。また、連結部材の縁部をフックに掛け留めるだけなので、モアデッキと連結部材との連結作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の乗用草刈機の一例としての、電動ローンモアの左側からの側面図である。
【図2】その平面図である。
【図3】その正面図である。
【図4】その要部を拡大した左側からの側面図である。
【図5】その要部を拡大した右側からの概略側面図である。
【図6】モアデッキユニット付近の拡大図である。
【図7】(a)はモアデッキユニットの分解図、(b)はモアデッキとデッキカバーとの連結の様子を示す断面図である。
【図8】モアデッキの取り付けを示すための拡大斜視図である。
【図9】保持部の拡大斜視図である。
【図10】コイルバネ付近の拡大斜視図である。
【図11】バネ保持部材の詳細な構造を示す図であり、(a)は側面図、(b)および(c)は(a)の一部拡大図、(d)は(b)のX矢視図、(e)は(d)のY矢視図である。
【図12】モアデッキが上下方向に回動する様子を示すための要部概略斜視図である。
【図13】この例の電動ローンモアで芝刈りをする様子を示す正面図であり、(a)は左側のモアデッキの走行面が下方に向かって傾斜している場合、(b)は走行面の左右側が隆起している場合を示す。
【図14】この発明の別の例の電動ローンモアに備えるモアデッキユニット付近の拡大図である。
【図15】(a)は図14のA矢視断面図、(b)は図14の要部拡大断面図、(c)はモアデッキユニットの概略平面図である。
【図16】(a)は、後部に排出口を備えるモアデッキユニットの概略平面図、(b)は(a)のC矢視断面図である。
【図17】この発明の別の例の電動ローンモアに備えるモアデッキユニット付近の拡大図である。
【図18】(a),(b)はモアデッキとデッキカバーとの連結方法の別の例を示す図であり、(c)は、そのさらに別の例を示す図である。
【図19】(a),(b)はそれぞれデッキカバーの別の例を示す斜視図である。
【図20】(a)〜(e)はモアデッキユニットの別の例を示す図であり、(a)は平面図、(b)はモアデッキの詳細平面図、(c)は(b)のX−X´矢視断面図、(d)はデッキカバーの縁部の断面図、(e)はデッキカバーの縁部をモアデッキのフックに取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。なお、この明細書において「左右」とはそれぞれ、乗用草刈機の前進方向に対して「左右」を、「前」とは乗用草刈機の前進方向を、「後」とは乗用草刈機の後進方向を、「上下」とはそれぞれ、鉛直方向の「上下」を意味するものとする。図1〜6にはそれぞれ、この発明の電動乗用草刈機の一例としての、電動ローンモア10の左側からの側面図、平面図、正面図、拡大した左側からの側面図、拡大した右側からの概略側面図、モアデッキユニットの詳細図を示す。電動ローンモア10は、前輪11、後輪12,12、運転席13、走行操作レバー14,14、モアブレード(不図示)、モアデッキユニット15などを備えてなる。前輪11は1つであり、電動ローンモア10の前端部中央に備える。前輪11はその中心に金属製のホイールを備え、ホイールの外側にはゴム製のタイヤを備える。ホイールの回転中心には車軸11Aを貫通させる。ホイールは、車軸11Aに対して回転自在となっている(すなわち、前輪11は従動回転する)。
【0032】
車軸11Aは、前輪ブラケット16の下端部に取り付けられている。前輪ブラケット16は、板状の鉄を門型に形成してなる。前輪ブラケット16の天面には円筒部17を載置する。円筒部17の中心には回動軸を備え、回動軸の下端は前輪ブラケット16にボルトなどで固設する。円筒部17の上下端にはそれぞれドーナツ状の鉄板の蓋部を固設し、蓋部の中心には回動軸を回動自在に取り付ける。円筒部17の側面には、メインフレーム18の先端を溶接などで固定する。メインフレーム18は、横断面視で門型状となる鉄骨製である。メインフレーム18の前端部の両側には、それぞれフットレスト19,19を支持部材19A,19Aを介して固設する。
【0033】
メインフレーム18の下方の両側には、モアデッキユニット15を備える。モアデッキユニット15は、2つのモアデッキ15A,15Bをデッキカバー(連結部材)DCで連結してなる。モアデッキ15A,15B内にはそれぞれ1つずつモアブレードを備える(前述の「シングルブレードのモアデッキ」である)。そして、このモアブレードは、モアデッキ15A,15Bそれぞれの上面に載置されたモアモータ20,20の出力軸に固設されている。
【0034】
モアデッキ15A,15Bはそれぞれ、サブフレーム55(後述)、2つのデッキアーム(デッキ昇降手段)21A,21Bを介してメインフレーム18に支持されている。(図8にて後述するように)デッキアーム21Aの先端は、回動軸29によってメインフレーム回動自在に取り付けられている。一方、デッキアーム21Bの先端は、ピンP4によってメインフレーム18に回動自在に取り付けられている(デッキアーム21A,21Bの下端は、サブフレーム55上に取り付けられている。メインフレーム18の直下にデッキアーム21A,21Bがあり、デッキアーム21A,21Bの直下にサブフレーム55が配置される)。モアデッキ15,15の前部にはそれぞれ、ブラケット22を介してゲージホイール(補助車輪)23を取り付ける。ゲージホイール23は、その中心に金属製のホイールを備え、ホイールの外側にはゴム製のタイヤを備える。ホイールの回転中心には車軸23Aを貫通させる。ホイールは、車軸23Aに対して回転自在となっている(すなわち、ゲージホイール23は従動回転する)。なお、ゲージホイール23は走行面の隆起を検出する検出手段である。
【0035】
車軸23Aは、補助前輪ブラケット24の下端部に取り付けられている。補助前輪ブラケット24は、板状の鉄を門型に形成してなる。補助前輪ブラケット24の天面には円筒部25を載置する。円筒部25の中心には回動軸を備え、回動軸の下端は補助前輪ブラケット24にボルトなどで固設する。円筒部25の上下端にはそれぞれドーナツ状の鉄板の蓋部を固設し、蓋部の中心には回動軸を回動自在に取り付ける。
【0036】
モアデッキユニット15の後方には、シャーシ27を備える。シャーシ27は、メインフレーム18の後端部に左右両側に取り付けられる。シャーシ27は鉄製の角筒で、平面視で略四角状に閉じた形状に形成される。シャーシ27上には載置板を介してバッテリー30を3つ並べて載置する。バッテリー30は、リチウムイオン電池を用いることが望ましい。詳しくは、二酸化マンガンリチウム電池、フッ化黒鉛リチウム電池、塩化チオニルリチウム電池、酸化銅リチウム電池、二硫化鉄リチウム電池、ヨウ素リチウム電池など、エネルギー密度が高く、寿命が長いものを用いることが望ましい。3つのバッテリー30は直列に接続される(直列の端子電圧は72V)。なお、バッテリー30の上方には不図示の収納ケースを備え、バッテリー30のコントローラ(電圧均等装置)などの電子機器を収納する。バッテリー30のコントローラは、バッテリー30の微小な電圧の変動を補正するものである。
【0037】
そして、バッテリー30を上方から覆うようにカウル28を設ける。カウル28は強化プラスチック製で複雑な形状を一体成形によって形成する。カウル28の上面には、座席載置部材(不図示)を介して運転席13を取り付ける。座席載置部材は、運転席13を運転者の好みに応じて前後方向にスライド可能とするものである。なお、カウル28の左側面には、給電口を設けて、バッテリー30を充電できるようにしてもよい。この場合、給電口にはプラグを備え、家庭の電源に接続した電気コードを差し込んで、バッテリー30を充電する。バッテリー30とプラグとの間にはACアダプタおよび充電装置を適宜備える。
【0038】
シャーシ27の下方には、走行用モータ31を備える。走行用モータ31は、左右の後輪12,12に対して1つずつ備える。なお、走行用モータ31は、インホイールモータを適用してもよい。走行用モータ31のモータドライバはバッテリー30上の収納ケース(不図示)に収納する。
【0039】
走行用モータ31のモータドライバは、走行操作レバー14の傾動量に応じて走行用モータ31の回転方向および回転速度を制御する。なお、モアモータ20の回転は、走行用モータ31の回転数と連動するように制御される。すなわち、走行スピードを速めると、モアブレードの回転数も速まり、走行スピードを落とすと、モアブレードの回転数も遅くなる。
【0040】
走行操作レバー14は傾動可能に設けられ、運転者が走行操作レバー14を前に倒すと走行用モータ31が前進方向に回転する。一方、走行操作レバー14が後に倒されると走行用モータ31は後進方向に回転する。さらに、走行操作レバー14の傾動度合いによって走行用モータ31の回転速度が変化する。すなわち、走行操作レバー14を大きく前(後)に倒すと、走行用モータ31が前進(後進)方向により早く回転し、走行操作レバー14を小さく前(後)に倒すと、走行用モータ31が前進(後進)方向にゆっくりと回転する。運転席13の左右に備える走行操作レバー14,14はそれぞれ左右の走行用モータ31,31の操作に対応している。したがって、運転者は、左右の走行操作レバー14,14を前後に適宜操作することで、前後進、左右折、旋回などを行うことができる。
【0041】
メインフレーム18の中央部付近の左右側面にはそれぞれ、ロック解除ペダル(ロック操作ペダル)33とデッキ昇降ペダル(昇降操作ペダル)34を回動自在に備える。ロック解除ペダル33は、デッキ昇降ペダル34の回動をロックしたり解除したりするためのものである。ロック解除ペダル33は、ペダル板に金属板製のブーメラン状のアーム部の一端を取り付け、そのアーム部の後端には、三角形状の爪部33Aを突設してなる。この爪部33Aにかみ合う歯車35をメインフレーム18に回動自在に取り付ける。詳しくは、回動軸29をメインフレーム18の左右方向に貫通して回動自在に設け、回動軸29の左端(すなわち、メインフレーム18の左外側)に歯車35の中心を固設する。また、回動軸29の中心付近(すなわち、メインフレーム18の内側)には、デッキアーム21Aの先端を固設する。
【0042】
なお、コイルバネ36の一端をロック解除ペダル33のアーム部の後部に取り付けるとともに、コイルバネ36の他端をメインフレーム18に(ブラケットを介して)取り付ける。このコイルバネ36の付勢力によって、ロック解除ペダル33はその爪部33Aが常時、歯車35にかみ合うようになっている。爪部33Aと歯車35とでロック手段を構成する(なお、図1,4では、爪部33Aが歯車35から外れた状態、すなわち、ロックが解除された状態を示している)。
【0043】
一方、デッキ昇降ペダル34は、モアデッキユニット15を下降させたり(芝刈状態)、上昇させたり(非芝刈状態)するためのものである。デッキ昇降ペダル34は、ペダル板に金属板製のブーメラン状のアーム部34Aの一端を取り付けてなる。そのアーム部34Aの途中には回動軸34Bを設ける。したがって、アーム部34Aは、回動軸34Bの回りに回動自在である。そして、アーム部34Aの後端には、ギア歯34Cを形成する。このギア歯34Cにかみ合うギア34Eを回動軸29の右端(すなわち、メインフレーム18の右外側)に固設する。このギア34Eは略扇形の鉄板で形成される。このようにして、ギア34E、回動軸29、歯車35は一体に回動する。
【0044】
モアデッキユニット15は、図7に示すように、左右のモアデッキ15A,15Bとそれらを連結するデッキカバー(連結部材)DCとで構成される。モアデッキ15Aは深皿状に形成され、モアブレードを上方と側方より覆うように配置される。モアデッキ15Aは金属製で、略円形の天部15AUとそれに連続して形成される側部15ASとを一体に形成してなる。天部15AUの中央には貫通孔15AHを形成する。この貫通孔15AHには、モアモータ20の出力軸(不図示)を通す(モアモータ20本体は天部20AU上に載置される)。そして、モアモータの出力軸の先端にはモアブレード(不図示)を取り付ける。なお、モアデッキ15Bの基本構造は、モアデッキ15Aと同様である。
【0045】
そして、モアデッキ15A,15Bが向かい合う側の側部15AS,15BSには円弧状の切り欠き15AC,15BCを形成する。切り欠き15AC,15BCは、側部15AS,15BSを切り欠くとともに、天部15AU,15BUの一部も切り欠いて形成される。切り欠き15AC,15BCに沿って、天部15AU,15BUには、貫通孔HL1を複数形成する(なお、貫通孔HL1は円弧に沿って等間隔に形成されることが望ましい)。
【0046】
デッキカバーDCは天部DCUと側部DCSとで構成される。デッキカバーDCは柔軟性と耐久性のある材料(たとえば、樹脂など)で形成される。側部DCSの幅は、モアデッキ15A,15Bの側部15AS,15BSと略同一とする。天部DCUは両側が円弧状に形成される。この円弧の形状はモアデッキ15A,15Bの天部15AU,15BUに形成される円弧と略同一形状である。そして、天部DCUの円弧に沿って貫通孔HL2が複数形成される(なお、貫通孔HL2は貫通孔HL1と同一間隔で形成されるものとする)。
【0047】
このように形成されたデッキカバーDCの縁部をモアデッキ15A,15Bの天部15AU,15BUの縁部上に載置し、貫通孔HL2を貫通孔HL1に合わせる。そして、天部15AUの下面側よりボルトRBを通し天部DCUの上面側よりナットNTを締め付けて、デッキカバーDCとモアデッキ15A,15Bとを連結する。このようにして、デッキカバーDCとモアデッキ15A,15Bとが一体となり、モアデッキユニット15となる。ボルトRBの頭を天部15AUの下面側に配置し、ボルトRBのネジ部先端を天部15AUの上面側に配置することで、モアブレードによって刈り取った芝がネジ部先端に引っかかることを防止できる。
【0048】
次に、モアデッキ15Aの取り付けについて図8〜10を用いてさらに説明する。なお、2つのモアデッキ15A,15Bの構成は同様であるので、ここでは左側のモアデッキ15Aについて説明する。モアモータ20の(電動ローンモア10の前後方向の)側面には、鉄製のパイプからなる支持棒40A,40Bをボルトなどで固設する。
【0049】
詳しくは、モアモータ20(のケース)の側面に形成された平坦面状の取付部20Aと、支持棒40Aの後端部に形成された板状の取付部40AEとを合わせ、ボルトなどで固定する。同様にして、モアモータ20の取付部20Aと、支持棒40Bの前端部に形成された板状の取付部40BEとを合わせ、ボルトなどで固定する。
【0050】
支持棒40Aは直線状に形成され、その表面には、取付部40AEに隣接するようにステー43Aを設ける。ステー43Aは、コイルバネ(弾性部材)42Aの一端を取り付けるためのものである(コイルバネ42Aの他端は、後述するバネ支持ブラケット60に取り付ける)。ステー43Aは、1対の鉄片を所定の間隔をもって支持棒40Aに溶接などで固設されてなる。ステー43Aが支持棒40Aに当接する箇所は、ステー43Aの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている。ステー43Aの中央部にはピンP5を嵌めつけるための貫通孔を形成する。ステー43Aには、バネ保持部材45をピンP5を介して回動自在に取り付ける。そして、コイルバネ42Aの下端をバネ保持部材45に当接させる。
【0051】
支持棒40Aの表面には、ステー43Aに隣接して規制部材41を設ける。規制部材41は、その先端を支持棒40Aに溶接などで固定する。規制部材41は四角筒状の鉄製フレームで形成され、支持棒40Aに固設する部分は、支持棒40Aの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている(規制部材41の断面はその上下方向において支持棒40Aの断面よりも大きい)。
【0052】
規制部材41の略中央部分には幅方向両側に貫通孔を設け、ピンP1を嵌め付ける。このピンP1はピン受部材44に支持されている。ピン受部材44は、断面視U字状の鉄片で底面をモアデッキ15Aの天部15AUに溶接などで固定する。規制部材41は、支持棒40Aとモアデッキ15Aとを固定的に連結するためのものである(後述するように、規制部材41は、モアデッキ15Aを回動させる際のガイド部材としての役割もある)。
【0053】
そして、規制部材41の後端は、保持部50の上部に入り込んでいる(保持部50と規制部材41との間には一定の間隙が設けられている)。この保持部50は、サブフレーム(支持フレーム)55を挟んで反対側にあるモアデッキ15Bの支持棒40Bを取り付けるものである。なお、保持部50については後述する。
【0054】
モアモータ20に対して支持棒40Aと反対側に支持棒40Bを設ける。支持棒40Bは、その中央付近の屈曲部40B1にて略直角に2度屈曲してなる。すなわち、モアモータ20より水平に延出した支持棒40Bは、一端、下方に屈曲し、その後、車幅方向の内側に向けて屈曲する。支持棒40Bの表面には、取付部40BEに隣接するようにステー43Bを設ける。ステー43Bは、コイルバネ(弾性部材)42Bの一端を取り付けるためのものである(コイルバネ42Bの他端は、後述するバネ支持ブラケット61に取り付ける)。ステー43Bは、1対の鉄片を所定の間隔をもって支持棒40Bに溶接などで固設されてなる。ステー43Bが支持棒40Bに当接する箇所は、ステー43Bの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている。ステー43Bの中央部にはピンP5を嵌めつけるための貫通孔を形成する。ステー43Bには、バネ保持部材45をピンP5を介して回動自在に取り付ける。そして、コイルバネ42Bの下端をバネ保持部材45に当接させる。
【0055】
なお、支持棒40A,40Bの軸心線DL1は、メインフレーム18の延出方向(すなわち、電動ローンモア10の直進方向)と平行である。また、(電動ローンモア10が直進時の)ゲージホイール23の走行軌跡DL2(図8)は軸心線DL1と平行であり、かつ、電動ローンモア10の外側方向に距離Lだけ離れるように形成される。すなわち、ゲージホイール23は、モアデッキ15A,15Bの前側で、かつ、モアモータ20の中心よりも外側に設けられる。なお、この例では、軸心線DL1は、モアモータ20の中心を通るように構成されているが、この発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
支持棒40Bの表面には、ステー43Bに隣接して固定部材46の先端を溶接などで固定する。固定部材46は四角筒状の鉄製フレームで形成され、支持棒40Bに固設する部分は、支持棒40Bの表面に追随するように切り欠かれている(固定部材46の断面はその上下方向において支持棒40Bの断面よりも大きい)。支持棒40Bの後端部分には貫通孔を設け、ピンP3を嵌め付ける。このピンP3はピン受部材47に支持されている。ピン受部材47は、断面視U字状の鉄片で底面をモアデッキ15Aの天部15AUに溶接などで固定する。固定部材46は、支持棒40Bとモアデッキ15Aとを固定的に連結するためのものである。
【0057】
支持棒40Bの後端部40BBは、保持部50に回動自在に保持されている。保持部50は鉄製で、横断面視において略U字状に形成される。保持部50の下部50Bは上部50Aに比べて幅が広くなっているとともに、切り欠き50Cが形成され、その切り欠き50Cの下端部の両側板間に回動筒55Cが渡されている。回動筒55Cは丸棒55Bによって回動自在に支持されている。丸棒55Bの一端は、サブフレーム55の端部に取り付けられたリブ55Aの下端に溶接などによって固定される。丸棒55Bと保持部50とはリング55Dを介して固定される(丸棒55Bの軸芯とサブフレーム55の延出方向とは一致している。また、サブフレーム55の延出方向とメインフレーム18の延出方向とも一致している。これらはいずれも電動ローンモア10の前進方向である)。丸棒55B、保持部50、リング55Dは全て鉄製であり、丸棒55Bとリング55D、リング55Dと保持部50とがそれぞれ溶接などによって固定される。なお、サブフレーム55は鉄製の角筒状に形成される。
【0058】
回動筒55Cの周面には、モアデッキ15Aの支持棒40B(の後端40BB)が固設されている。後端部40BBの端面を回動筒55Cの外周に沿うように切り欠いて溶接などで両者を固定する。
【0059】
保持部50は、サブフレーム55の両端に固設されている。サブフレーム55上で、かつ、2つの保持部50,50の間には、バネ支持ブラケット60,60を溶接などで固定する。バネ支持ブラケット60は、コイルバネ42Aを懸架するためのものである。バネ支持ブラケット60,60の間には、アームブラケット56,57を備える。アームブラケット56は、デッキアーム21Aの下端を回動自在にサブフレーム55に固定するためのものであり、アームブラケット57は、デッキアーム21Bの下端を回動自在にサブフレーム55に固定するためのものである。そして、アームブラケット56,57の間には、別のバネ支持ブラケット61,61を固設する。バネ支持ブラケット61は、コイルバネ42Bを懸架するためのものである。
【0060】
具体的には、バネ支持ブラケット61をアームブラケット56から一定の距離を隔ててサブフレーム55上に固設する。このバネ支持ブラケット61は、アームブラケット56を挟んで反対側に設けられたバネ支持ブラケット60とは(サブフレーム55の)逆側に張り出すように備える。同様に、バネ支持ブラケット61をアームブラケット57から一定の距離を隔ててサブフレーム55上に固設する。このバネ支持ブラケット61は、アームブラケット57を挟んで反対側に設けられたバネ支持ブラケット60とは(サブフレーム55の)逆側に張り出すように備える。なお、2つのバネ支持ブラケット61,61は隣接するように設けられる。
【0061】
バネ支持ブラケット60とバネ支持ブラケット61は同一形状に形成される。バネ支持ブラケット60,61は、鉄製のフレームで、側面視で略L字状に形成される(図10中では、アームブラケット56,57は省略している)。バネ支持ブラケット60,61の上端部には張出部60A,61Aを設ける。この張出部60A,61Aの両側には貫通孔を設け、ピンP2を嵌めつける。そして、バネ保持部材45を介してコイルバネ42Aの先端を張出部60Aに、コイルバネ42Bの先端を張出部60Bにそれぞれ取り付ける。
【0062】
アームブラケット56,57は、それぞれ鉄板を幅方向に略直角に2回折り曲げて断面視が略門型(アーチ)状に形成される。そして、両側にピンP4を貫通させるための貫通孔を設ける。アームブラケット56,57は、それらの下端をサブフレーム55に溶接などで固定する。アームブラケット56には、その側面を外側からデッキアーム21Bの下端で覆い、両者をピンP4で取り付ける。なお、デッキアーム21Bは、アームブラケット56に対して回動自在である。アームブラケット57には、その側面を外側からデッキアーム21Aの下端で覆い、両者をピンP4で取り付ける。なお、デッキアーム21Aは、アームブラケット57に対して回動自在である。
【0063】
図11に示すように、バネ保持部材45は金属製で、円筒部45A、連結部45B、台座部45C、ガイド部45Dからなり、これらは一体に形成される。円筒部45Aには、ピンP2(またはピンP5)を貫通させて、バネ保持部材45をバネ支持ブラケット61(またはステー43B)に回動自在に取り付けるためのものである(バネ保持部材45の後端部とピンP2との間には一定の隙間がある)。連結部45Bは円筒状の円筒部45Aと円板状の台座部45Cとを連結するためのものである。台座部45Cはコイルバネ42Bの端部を当接させるためのものであり、その直径は、コイルバネ42Bの外径以上であることが望ましい。ガイド部45Dは円柱状に形成され、コイルバネ42Bの内側に挿入してコイルバネ42Bの円心がずれるのを内側より防止するためのものである。ガイド部45Dの軸芯は台座部45Cの中心と合わせるようにする。また、ガイド部45Dの外径は、コイルバネ42Bの内径よりも小さくする。
【0064】
ところで、ゲージホイール23は芝を刈る状態(芝刈位置)では、常に走行面に接地している。コイルバネ42A,42Bは、ゲージホイール23が走行面の小さな凹凸に出くわしたときにも、跳ねることなく常に接地するようにモアデッキ15A,15B(詳しくはゲージホイール23)を路面に対して押し当てるように機能する。したがって、モアデッキ15のゲージホイール23が平坦面に略水平に接地した状態では、コイルバネ42A,42Bは自然長よりも縮んだ状態、すなわち圧縮された状態にある(コイルバネ42A,42Bのバネ定数は同じであることが望ましい)。
【0065】
なお、モアデッキ15A,15Bのゲージホイール23は芝刈りを行う際には走行面の起伏に追随して上下動する(走行面の起伏を検出する)。モアデッキ15A,15Bはその前部の外側寄りにゲージホイール23を備える。加えて、モアデッキ15A,15Bに固設されるモアモータ20の側面には支持棒40Bの一端が固設され、支持棒40Bの他端は丸棒55Bに回動自在に固設される。
【0066】
したがって、図12に示すように、モアデッキ15Aは、ゲージホイール23の上下動に応じて、従動的に上下回動する。なお、モアデッキ15Aの回動中心は、丸棒55Bの回動中心線CLである。モアデッキA15が上方に向けて回動するときは、コイルバネ42A,42Bはさらに圧縮され、モアデッキ15Aが下方に向けて回動するときは、コイルバネ42A,42Bは伸張する(モアデッキ15Bについても同様である)。
【0067】
このように構成された電動ローンモア10を用いて芝を刈るときは、まず、モアデッキユニット15を芝刈状態とするために、デッキ昇降ペダル34に右足を置く。次に、ロック解除ペダル33を左足で踏み込む。すると、ロック解除ペダル33はコイルバネ36の付勢力に抗して前方に回動する。これによって、爪部33Aが歯車35から外れ、ロックが解除される。デッキ昇降ペダル34に足をかけた状態を保持すると、モアデッキ15
A,15Bの自重によって回動軸29が前方に向けて回動し、デッキアーム21Aが下降する。これによって、デッキアーム21Aの後端と連結されたモアデッキ15も下降する。ゲージホイール23が接地するまでモアデッキ15を下降させたらロック解除ペダル33から足を離す。すると、コイルバネ36の付勢力によってロック解除ペダル33が回動し、爪部33Aが歯車35とかみ合い、回動軸29の回動がロックされる。これによって、モアデッキ15が芝刈状態となる。そして、デッキ昇降ペダル34から右足を離す。
【0068】
次に、電動ローンモア10で芝の刈り取りを行う様子を図1〜12を参照しつつ、図13を用いて説明する。平坦な地面Gの芝を刈り取るときは、左右のモアデッキ15A,15Bのゲージホイール23,23は同一高さであり、左右のモアデッキ15A,15Bも水平に保持されて芝を刈る。
【0069】
車両前部の左側が窪みを通過する場合には、左側のゲージホイール23が走行面の窪んだ地面Gに追随して下降する(図13(a))。これによって、左側のモアデッキ15Aが保持部50の回動中心線CLを基準として下側に向けて回動する。左側のモアデッキ15Aが下方に回動することで、このモアデッキ15Aに備える規制部材41の後端は、(右側のモアデッキ15Bの支持棒50Bと連結された)保持部50内を上方に向けて回動する。なお、モアデッキ15Aの回動の中心軸はメインフレーム18の延出方向(すなわち、電動ローンモア10の前進方向)である。なお、このとき、右側のモアデッキ15Bの下の地面Gは平坦であるので、モアデッキ15Aがモアデッキ15Bに対して上方に回動した位置関係となる。両者はデッキカバーDCによって連結されているので、デッキカバーDCが湾曲することによってモアデッキユニット15が保持できる。左側のモアデッキ15Aのゲージホイール23が地面Gの窪みに追随することで、モアデッキ15Aと地面GFとの間の刈高さは所定の値に維持される。したがって、窪んだ部分の芝の刈り高さが長くなることを防止することができる。
【0070】
なお、コイルバネ(弾性部材)42A,42Bがそれぞれモアモータ20の前後面にステー(取付部材)43A,43Bを介して取り付けられているので、窪みを通過する際に生じる、左側のモアデッキ15Aの水平方向の慣性を効果的に打ち消して、窪んだ走行面に追随することができる。
【0071】
次に、車両の中心直下の地面Gが窪んでいて、両側に向かって上に傾斜している場合には、左右側のゲージホイール23が地面Gの傾斜に追随して内側に傾く。(図13(b))。これによって、左右側のモアデッキ15A,15Bが(コイルバネ42A,42Bの付勢力に抗して)保持部50の回動中心線CLを基準として上側に向けて回動する。左右のモアデッキ15A,15Bが上方に回動することで、このモアデッキ15A,15Bに備える規制部材41の後端は、(反対側のモアデッキの支持棒50Bと連結された)保持部50内を下方に向けて回動する。なお、モアデッキ15A,15Bの回動の中心軸はメインフレーム18の延出方向である。
【0072】
芝刈りを終えた後は、モアデッキユニット15を上昇させて、非芝刈状態とする。左足でロック解除ペダル33を踏み込んだ後、右足でデッキ昇降ペダル34を踏み込む。すると、回動軸29が後方に向けて回動し、デッキアーム21Aが上昇する。これによって、デッキアーム21Aの後端と連結されたモアデッキユニット15も上昇する。所望の高さまでモアデッキユニット15を上昇させたらロック解除ペダル33から左足を離す。すると、コイルバネ36の付勢力によってロック解除ペダル33が回動し、爪部33Aが歯車35とかみ合い、回動軸29の回動がロックされる。これによって、モアデッキユニット15が所望の高さに保持される。そして、デッキ昇降ペダル34から右足を離す。
【0073】
なお、ブラケット22や円筒部25の構造を変更し、車両の上下方向に高さ調節可能とすることで、ゲージホイール23の接地面とモアデッキユニット15の下面との高さ変更可能としてもよい。このようにすることで、芝の刈高さを調節することができる。
【0074】
図14には、この発明の別の例を示す。この例のモアデッキユニット15´は、前の例と比べて、モアデッキ15A,15Bを連結するデッキカバーDC´の前側部分が外側に向けて湾曲して形成される点と、電動ローンモアの前進方向Fに対して、モアデッキユニット15´の右側に放出口15BDを設けている点が異なる(放出口15BDは、刈った草を電動ローンモアの側方に放出するためのものである)。モアデッキユニット15´をこのように構成することで、2つのモアブレードを時計回りに回転させて、適切な空気の流れを形成することができ、刈り取った芝を放出口15BDより効率よく排出することができる。
【0075】
デッキカバーDC´の前側部分を外側に向けて湾曲して形成することで、干渉を回避するために、サブフレームの前側に位置する保持部50の位置を前方に移動する必要が生じる。したがって、支持棒40B´、サブフレーム(支持フレーム)55´、支持棒40A´は前の例に比べて前進方向Fに向けて延長されている。なお、ここでいう支持棒40B´とは、前側にある保持部50と連結されているもの、すなわち、図中の右側のモアモータ20と連結されているもの、また、支持棒40A´とは、左側のモアモータ20と連結されて前方に延出しているものである。これに伴い、規制部材41も前方(矢印F方向)に移動するため、規制部材41の中間部分を支持するピン受部材44をモアデッキ15A上に設けることができなくなる。このため、モアデッキ15A上に前方に向かって張り出した張出板80を設け、張出板80上にピン受部材44を固定するように構成する。
【0076】
張出板80は、長方形の金属板で形成され、後端部に2箇所貫通孔を設ける。また、張出板80の前端部にはピン受部材44を溶接などによって固定する。一方、モアデッキ15Aの天部にも貫通孔を2箇所形成する。この貫通孔は、張出板80の2箇所の貫通孔と合うように形成される。そして、張出板80の貫通孔をモアデッキ15Aの貫通孔に上から合わせ、モアデッキ15Aの下側よりボルトBT10を通し、張出板80の上側よりナットを締め付けて張出板80をモアデッキ15A上に固定する(図15(a))。
【0077】
モアデッキ15A,15BとデッキカバーDCとは、放出口15BDに近い方が上となるように重ね合わせられている。具体的には、図15(b)に示すように、モアデッキ15Aの右端部を下方に折り曲げて段違い部を形成する。この段違い部の上に重ねるようにしてデッキカバーDC´の左端部を載置し、ボルトRBとナットにてモアデッキ15AとデッキカバーDC´とを連結する。また、モアデッキ15Bの左端部を上方に折り曲げて段違い部を形成する。この段違い部の下に重ねるようにしてデッキカバーDC´の右端部を配置し、ボルトRBとナットにてモアデッキ15BとデッキカバーDC´とを連結する。このように構成したモアデッキユニット15´において、2つのモアブレードMBを時計回りに回転させて、モアデッキユニット15´内の風の流れ(白抜き矢印)-を左から右に向かわせ、放出口15BDより排出させるようにすると、2つのモアブレードMBにて刈り取った芝がこの風の流れに乗り、放出口15BDより放出される(図15(c))。この例のモアデッキユニット15´では、風上側が常に下側となるようにモアデッキ15A,15BとデッキカバーDC´とが重ね合わせられて連結されるため、刈り取った芝が連結部分につまることがなく放出口15BDから排出される。したがって、モアデッキユニット15´のメンテナンス頻度を低減することができる。
【0078】
なお、この例では、モアデッキユニット15´の前進方向に対して、右側に放出口15BDを設けているがモアデッキユニットの左側に放出口を設けるようにしてもよい。この場合には、2つのモアブレードの回転を反時計回りとして、適切な風の流れを形成し、刈り取った芝を排出する。さらに、図16に示すように、放出口15BD´をモアデッキユニット15´の後部中央のデッキカバーDC´´に形成するようにしてもよい。この場合には、左側のモアブレードMBの回転を時計回りに、右側のモアブレードMBの回転を反時計回りとし、適切な風の流れ(白抜き矢印)を形成しながら刈り取った芝を放出口15BD´より排出する。この場合には、モアデッキ15A,15Bに対して、デッキカバーDC´´を上側となるように配置する。すなわち、風の流れに対して下流側にある方を上側とする。
【0079】
図17には、さらに別の例を示す。この例では、図14の例に対して規制部材41´の形状を平面視でカギ状に形成する。このようにすることで、図14に示したような張出板80を用いてピン受部材44をモアデッキ15Aに固定する必要がなくなる。したがって、部品点数を低減させ、モアデッキ15Aの構成を簡単にすることができる。なお、支持棒40A、ピン受部材44は図6の例と同一、サブフレーム55´、支持棒40B´、デッキカバーDC´は図14の例と同一である。
【0080】
モアデッキとデッキカバーとの連結方法については、図18(a)に示すように、金属製のリベットRB1,RB2を用いて連結してもよい。この場合、モアデッキ15Aの縁に貫通孔H1を、デッキカバー(連結部材)DC1の縁に貫通孔DC1Hをそれぞれ形成する(なお、貫通孔DC1Hを貫通孔H1よりやや大きく形成する)。そして、デッキカバーDC1の縁をモアデッキ15Aの縁に上から重ね合わせるようにして、両者の貫通孔DC1Hと貫通孔H1とを合わせる。次に、オスのリベットRB1をモアデッキ15Aの内側より挿入し、メスのリベットRB2をデッキカバーDC1の上側よりリベットRB1の先端に嵌めつけて、モアデッキ15AとデッキカバーDC1とを連結する(図18(b))。このように、リベットRB1,RB2を用いると、ボルトとナットを用いる場合に比べて、容易にモアデッキ15AとデッキカバーDC1とを連結することができる。なお、モアデッキ15BとデッキカバーDC1との連結方法は、モアデッキ15AとデッキカバーDC1との連結方法と同様である。
【0081】
図18(c)には、さらに別の連結方法を示す。この例では、モアデッキ15Aの縁に頭の平坦な平ボルトBOを予め溶接しておく。一方、デッキカバー(連結部材)DC2の縁を肉厚に形成し、肉厚部DC2Eとする。肉厚部DC2Eには、平ボルトBOを貫通可能な貫通孔DC2Hを形成する。デッキカバーDC2をモアデッキ15Aに重ね合わせたときに、平ボルトBOの頭の厚みでデッキカバーDC2がモアデッキ15Aに接することができずに隙間ができてしまうのを避ける目的で、貫通孔DC2Hに逃げDC2HAを形成する。この例では、平ボルトBOの頭がモアデッキ15Aの内側ではなく上面に溶接で取り付けられていることから、モアデッキ15A内で刈り取った芝が平ボルトBOに引っかかることを防止することができ、モアデッキユニットのメンテナンスを低減することができる。
【0082】
図19(a)には、さらに別の例を示す。この例では、デッキカバー(連結部材)DC3の縁で、かつモアデッキ15A,15Bと重ね合わせる縁部DC3Bを金属で、また、デッキカバー本体DC3Aは柔軟性と耐久性のある素材で形成される(両者は一体成形によって形成される)。そして、縁部DC3Bに所定の間隔で貫通孔HL2を形成する(前述したように、貫通孔HL2はモアデッキ15A,15Bに形成された貫通孔HL1と同一間隔で形成される)。このように縁部DC3Bを剛性の高い材料で形成することで、貫通孔HL2とモアデッキ15A,15Bの貫通孔HL1との位置決めがしやすくなる。このように形成されたデッキカバーDC3は、モアデッキ15A,15Bの縁に上側から重ね合わせて、貫通孔HL2と貫通孔HL1とを合わせ、ボルトをモアデッキ15A,15Bの下側(裏側)から貫通孔HL1、貫通孔HL2にこの順に通し、デッキカバーDC3の上側よりナットで締め付けて、デッキカバーDC3とモアデッキ15A,15Bとを連結する。
【0083】
図19(b)には、さらに別の例を示す。この例では、デッキカバー(連結部材)DC4の縁で、かつモアデッキ15A,15Bと重ね合わせる縁部DC4Bを金属で、また、デッキカバー本体DC4Aは柔軟性と耐久性のある素材で形成される(両者は一体成形によって形成される)。そして、前の例に比べて、右側の縁部DC4Bに所定の間隔で平ボルトBO2を上向きに溶接などで固定する。平ボルトBO2はその頭が平坦状に形成され、平ボルトBO2を上向きにしてその頭を縁部DC4Bに固定する。なお、平ボルトBO2を設ける間隔は、モアデッキ15Aに形成された貫通孔HL1と同一間隔である。一方、左側の縁部DC4Bには、所定の間隔で貫通孔HL2を形成する。貫通孔HL2はモアデッキ15Bに形成された貫通孔HL1と同一間隔で形成される。
【0084】
このように形成されたデッキカバーDC4の左側を、モアデッキ15Aの縁に表側(上側)から重ね合わせる。そして、貫通孔HL1と貫通孔HL2とを合わせ、モアデッキ15Aの下側よりボルトを貫通させ、デッキカバーDC4の上側でナットにて締め付けて、デッキカバーDC4とモアデッキ15Aとを連結する。一方、デッキカバーDC4の右側を、モアデッキ15Bの縁に下側から重ね合わせる。このとき、平ボルトBO2をモアデッキ15Bの貫通孔HL1に下側から通し、上側からナットで締め付けて、デッキカバーDC4とモアデッキ15Bとを連結する。このように、この例では、モアデッキ15Aに対してデッキカバーDC4が上側に重なり、デッキカバーDC4に対してモアデッキ15Bが上側に重なる構成となる。
【0085】
デッキカバーDC4をこのように形成することで、図19(a)の例と比べて、部品点数を低減することができる。すなわち、図19(a)の例では、デッキカバーDC3とモアデッキ15Bとを連結する際に、ボルトとナットをそれぞれ必要としていた。一方、この例では、平ボルトBO2は予め、デッキカバーDC4の右側の縁部DC4Bに固設されている。したがって、ボルトを紛失することがない。また、部品点数を低減して組み立て工程を簡略化することができる。
【0086】
図20(a)〜(e)には、さらに別の例を示す。この例のモアデッキユニット15´´ではフックFKを設けることで、前述の例のような、ボルトとナット、または、リベットなどを用いずに、デッキカバー(連結部材)DC5をモアデッキ15A´,15B´に取り付けるものである。フックFKは、具体的には、モアデッキ15A´の縁部を略コの字状に切り、その先端を起こして形成される(図20(c))。先端を起こす高さは、デッキカバーDC5の縁部DC5Eの厚みと同程度とする(図20(d))。フックFKは、この例では4ヶ所形成されているが(図20(b))、これに限定されるものではない。デッキカバーDC5は、これまでの例と同様に、柔軟性と耐久性とを備えた材料で形成され、その縁部DC5Eが下側に向けて略コの字状の曲がった形状となっている。そして、デッキカバーDC5をモアデッキ15A,15Bに取り付けるには、デッキカバーDC5をモアデッキ15Aに上から被せるようにする。そして、縁部DC5Eを4箇所のフックFKにそれぞれ挟み込む。同様にして、デッキカバーDC5をモアデッキ15Bに上から被せるようにする。そして、縁部DC5Eを4箇所のフックFKにそれぞれ挟み込む(図20(e))。このようにしてモアデッキユニット15´´が形成される(図20(a))。このように構成されることで、デッキカバーDC5をモアデッキ15A´,15B´に取り付けるためにボルトとナットを必要とせず、部品点数を低減して組み立て工程を簡略化することができる。また、デッキカバーDC5とモアデッキ15A,15Bとの位置決めが容易であり、作業を容易にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
この発明の電動乗用草刈機は、芝刈りに限定されるものではなく、草を刈るためのあらゆる作業に適用しうる。また、駆動源は、モータに限定されるものではなく、エンジンであってもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 電動ローンモア(電動乗用草刈機)
11 前輪
12 後輪
13 運転席
14 走行操作レバー
15,15´,15´´ モアデッキユニット
15A,15B モアデッキ
15AC,15BC 切り欠き
15AS,15BS 側部
15AU,15BU 天部
15BD,15BD´ 放出口
18 メインフレーム
20 モアモータ
20A 取付部
21A,21B デッキアーム
22 ブラケット
23 ゲージホイール
23A 車軸
24 補助前輪ブラケット
25 円筒部
27 シャーシ
29 回動軸
30 バッテリー
31 走行用モータ
36 コイルバネ
40A,40B,40A´,40B´ 支持棒
40AE,40BE 取付部
41,41´ 規制部材
44 ピン受部材
50 保持部
55,55´ サブフレーム(支持フレーム)
80 張出板
BO,BO2 平ボルト
DC,DC´,DC´´,DC1,DC2,DC3,DC4,DC5 デッキカバー(連結部材)
DCS 側部
DCU 天部
DC3B,DC4B,DC5E 縁部
FK フック
MB モアブレード
RB1,RB2 リベット
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転して草を刈るモアブレードと、モアブレードを上方および側方から覆うモアデッキとを備え、モータによってモアブレードを回転させる乗用草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン搭載の4輪の乗用ローンモア(乗用草刈機)は、回転して芝を刈る2つのモアブレードと、そのモアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキとを備えてなる。このモアデッキは、前輪と後輪との間で、かつ、シャーシの下方に懸架される。そして、エンジンの駆動力は、後輪を回転させるとともに、モアデッキ上方に伝達して2つのモアブレードを回転させていた。2つのモアブレードを1つのモアデッキ内で回転させることで、その側方に向けた空気の流れを形成することができ、この空気の流れに乗せて刈り取った芝をモアデッキの側部に形成された排出口から排出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−095716号公報
【0004】
近年、地球温暖化防止の観点から、温室効果ガスを含む排気ガスを規制する動きが社会的潮流となってきた。この動きに対する対応は自動車産業において顕著であり、ハイブリッドカー、電気自動車など、いわゆるエコカーの開発が進められている。特に、近年、バッテリーを電源とした電気自動車の実用化に対する技術開発が活発化している。
【0005】
しかし、このような技術開発は、農業機械の分野においてはさほど活発ではない。特に、乗用の芝刈機の分野においては実施可能レベルの技術開発がなされていないのが現状である。したがって、電動による乗用草刈機を開発することは重要な意義を持っている。
【0006】
そこで、発明者らは、電動による乗用ローンモアの製造を具体的に検討した。電動ローンモアでは、モアブレードをモータで回転させる。したがって、発明者らは個々のモアブレードにそれぞれ独立したモータを備える様式が可能であることに想到した。このような形態をとることで、従来のような1つのモアデッキに2つのモアブレードを(略車幅方向に)並べて配置するタイプ(以下、「ダブルブレードのモアデッキ」と称す)ではなく、1つのモアデッキに1つのモアブレード(以下、「シングルブレードのモアデッキ」と称す)を備えることが可能となった。このようなシングルブレードのモアデッキを車幅方向に2つ並べて備えることで従来のダブルブレードのモアデッキと同じ刈幅を確保することができる。
【0007】
2つのシングルブレードのモアデッキを1つのフレームの左右に懸架し、さらに、フレームに対して、車幅方向外側に向けて裏面が上向きとなるように傾動可能な構造とした。また、それぞれのモアデッキの前端部にゲージホイールを取り付けて走行面の起伏に追随するようにした。これにより、車両の左右の芝の刈取面の地形に合わせてそれぞれのモアデッキを傾動させることが可能となり、刈取面の地形によらず刈高さを一定に保持することを可能ならしめた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような2つのシングルブレードのモアデッキを備える乗用ローンモアでは、左右のモアデッキで刈り取った芝がそれぞれ異なる位置に放出され、刈り取った芝を集める作業に手間がかかるといった問題がある。したがって、2つのシングルブレードのモアデッキで芝刈りを行うことの利点を生かしつつも、2つのモアデッキで刈り取った芝をまとめて放出し、収集作業の効率化を図ることが求められる。そこでこの発明は、地形によらず刈高さを一定に保つとともに、刈り取った草を一方向に排出可能な電動乗用草刈機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため請求項1に記載の発明は、回転して草を刈るモアブレードと、
該モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキと、
該モアデッキ上に配置されるとともに、前記モアブレードの回転軸に取り付けられたモアモータと、
前記モアデッキの前部外側に取り付けられ、走行面の隆起を検出するための補助車輪と、
前進方向に延設され、前記モアデッキを支持する支持フレームとを備え、
前記モアデッキは、前記支持フレームの左右にそれぞれ設けられ、
前記支持フレームは、前記モアデッキを側方に向けて上下回動可能に支持し、
前記左右のモアデッキの向かい合う側の側部にそれぞれ切り欠きを設けるとともに、前記2つのモアデッキを柔軟性のある連結部材で連結して、モアデッキユニットを形成することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記連結部材の前端部分が外側に向けて湾曲して形成されるとともに、
前記支持フレームの前端に設けた保持部が前記連結部材の前端部分を回避するように前記支持フレームを延長することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記連結部材が前記モアデッキに対して着脱自在であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記連結部材と前記モアデッキとが一定の重なりをもって連結された電動乗用草刈機であって、
前進方向に対して、前記モアデッキユニットの左右いずれか、または、後部に、刈った草を放出するための放出口を設け、
前記モアデッキと前記連結部材とは、前記放出口に近い方が上となるように重ね合わせられることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記モアデッキと前記連結部材との取り付けは、前記モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、該ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記モアデッキと前記連結部材との取り付けはリベットによることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記モアデッキの縁の上面にボルトを上向きに固設し、
前記連結部材の縁に貫通孔を形成し、
前記連結部材を前記モアデッキの上方より重ね合わせることで前記ボルトを前記貫通孔に貫通させた後、前記ボルトの上側をナットで締め付けることで前記モアデッキを前記連結部材に取り付けることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記連結部材の縁部を金属で形成し、
前記縁部に貫通孔を複数形成するととともに、前記モアデッキに別の貫通孔を複数形成し、前記連結部材と前記モアデッキの貫通孔どおしを合わせるようにして、前記モアデッキと前記連結部材とを重ね合わせ、前記モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、該ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記連結部材の縁部を金属で形成し、
該縁部の上面にボルトを上向きに複数固設するととともに、前記モアデッキに貫通孔を複数形成し、該貫通孔に前記ボルトを裏面より貫通させて、前記モアデッキと前記連結部材とを重ね合わせ、前記ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記モアデッキの縁を略コの字状に切り起こしてフックを形成する一方、
前記連結部材の縁部を下側に向けて略コの字状に形成し、該縁部を前記フックに掛け留めることで前記連結部材を前記モアデッキに取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、回転して草を刈るモアブレードと、モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキと、モアデッキ上に配置されるとともに、モアブレードの回転軸に取り付けられたモアモータと、モアデッキの前部外側に取り付けられ、走行面の隆起を検出するための補助車輪と、前進方向に延設され、モアデッキを支持する支持フレームとを備え、モアデッキは、支持フレームの左右にそれぞれ設けられ、支持フレームは、モアデッキを側方に向けて上下回動可能に支持し、左右のモアデッキの向かい合う側の側部にそれぞれ切り欠きを設けるとともに、2つのモアデッキを柔軟性のある連結部材で連結して、モアデッキユニットを形成する。
【0020】
したがって、左右のモアデッキ間が連通し、2つのモアデッキが左右で独立して傾動しつつも、2つのモアデッキで刈り取った芝をまとめて一箇所に放出することができる。すなわち、2つのシングルブレードのモアデッキで芝刈りを行うことの利点を生かしつつも、2つのモアデッキで刈り取った芝をまとめて放出し、収集作業の効率化を図ることができる。よって、地形によらず刈高さを一定に保つとともに、刈り取った草を一方向に排出可能な電動乗用草刈機を提供することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、連結部材の前端部分が外側に向けて湾曲して形成されるとともに、支持フレームの前端に設けた保持部が連結部材の前端部分を回避するように支持フレームを延長するので、モアデッキユニット内でモアブレードが形成する風の流れをスムーズにすることができる。これにより、それぞれのモアブレードが刈り取った草を確実に一方向にまとめて排出することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、連結部材がモアデッキに対して着脱自在であるので、それぞれのモアデッキの補修および交換が容易である。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、連結部材とモアデッキとが一定の重なりをもって連結された電動乗用草刈機であって、前進方向に対して、モアデッキユニットの左右いずれか、または、後部に、刈った草を放出するための放出口を設け、モアデッキと連結部材とは、放出口に近い方が上となるように重ね合わせられるので、刈り取った草を放出口に向けて送り出す際、刈り取った草がモアデッキと連結部材との接続部分の隙間に入り込むことを低減することができる。したがって、モアデッキユニットのメンテナンスを低減することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、モアデッキと連結部材との取り付けは、モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、ボルトの上側をナットで締め付けるので、ボルトの突出部分(先端部分)がモアデッキの外側に配置され、刈り取った草がボルトの先端部分に引っかかることがない。したがって、刈り取った草を一方向に確実に送ることができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、モアデッキと連結部材との取り付けはリベットによるので、ボルトとナットを用いる場合に比べて、容易にモアデッキと連結部材とを連結することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、モアデッキの縁の上面にボルトを上向きに固設し、連結部材の縁に貫通孔を形成し、連結部材をモアデッキの上方より重ね合わせることでボルトを貫通孔に貫通させた後、ボルトの上側をナットで締め付けることでモアデッキを連結部材に取り付けるので、モアデッキ内で刈り取った芝がボルトの頭に引っかかることを防止することができ、モアデッキユニットのメンテナンスを低減することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、連結部材の縁部を金属で形成し、縁部に貫通孔を複数形成するととともに、モアデッキに別の貫通孔を複数形成し、連結部材とモアデッキの貫通孔どおしを合わせるようにして、モアデッキと連結部材とを重ね合わせ、モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、ボルトの上側をナットで締め付けるので、縁部を剛性の高い材料で形成することで、モアデッキの貫通孔との位置決めがしやすくなる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、連結部材の縁部を金属で形成し、縁部の上面にボルトを上向きに複数固設するととともに、モアデッキに貫通孔を複数形成し、貫通孔にボルトを裏面より貫通させて、モアデッキと連結部材とを重ね合わせ、ボルトの上側をナットで締め付けるので、ボルトが予め、縁部に固設されており、ボルトを紛失することがない。また、部品点数を低減して組み立て工程を簡略化することができる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、モアデッキの縁を略コの字状に切り起こしてフックを形成する一方、連結部材の縁部を下側に向けて略コの字状に形成し、縁部をフックに掛け留めることで連結部材をモアデッキに取り付けるので、ボルトとナットを必要とせず、部品点数を低減して組み立て工程を簡略化することができる。また、連結部材の縁部をフックに掛け留めるだけなので、モアデッキと連結部材との連結作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の乗用草刈機の一例としての、電動ローンモアの左側からの側面図である。
【図2】その平面図である。
【図3】その正面図である。
【図4】その要部を拡大した左側からの側面図である。
【図5】その要部を拡大した右側からの概略側面図である。
【図6】モアデッキユニット付近の拡大図である。
【図7】(a)はモアデッキユニットの分解図、(b)はモアデッキとデッキカバーとの連結の様子を示す断面図である。
【図8】モアデッキの取り付けを示すための拡大斜視図である。
【図9】保持部の拡大斜視図である。
【図10】コイルバネ付近の拡大斜視図である。
【図11】バネ保持部材の詳細な構造を示す図であり、(a)は側面図、(b)および(c)は(a)の一部拡大図、(d)は(b)のX矢視図、(e)は(d)のY矢視図である。
【図12】モアデッキが上下方向に回動する様子を示すための要部概略斜視図である。
【図13】この例の電動ローンモアで芝刈りをする様子を示す正面図であり、(a)は左側のモアデッキの走行面が下方に向かって傾斜している場合、(b)は走行面の左右側が隆起している場合を示す。
【図14】この発明の別の例の電動ローンモアに備えるモアデッキユニット付近の拡大図である。
【図15】(a)は図14のA矢視断面図、(b)は図14の要部拡大断面図、(c)はモアデッキユニットの概略平面図である。
【図16】(a)は、後部に排出口を備えるモアデッキユニットの概略平面図、(b)は(a)のC矢視断面図である。
【図17】この発明の別の例の電動ローンモアに備えるモアデッキユニット付近の拡大図である。
【図18】(a),(b)はモアデッキとデッキカバーとの連結方法の別の例を示す図であり、(c)は、そのさらに別の例を示す図である。
【図19】(a),(b)はそれぞれデッキカバーの別の例を示す斜視図である。
【図20】(a)〜(e)はモアデッキユニットの別の例を示す図であり、(a)は平面図、(b)はモアデッキの詳細平面図、(c)は(b)のX−X´矢視断面図、(d)はデッキカバーの縁部の断面図、(e)はデッキカバーの縁部をモアデッキのフックに取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。なお、この明細書において「左右」とはそれぞれ、乗用草刈機の前進方向に対して「左右」を、「前」とは乗用草刈機の前進方向を、「後」とは乗用草刈機の後進方向を、「上下」とはそれぞれ、鉛直方向の「上下」を意味するものとする。図1〜6にはそれぞれ、この発明の電動乗用草刈機の一例としての、電動ローンモア10の左側からの側面図、平面図、正面図、拡大した左側からの側面図、拡大した右側からの概略側面図、モアデッキユニットの詳細図を示す。電動ローンモア10は、前輪11、後輪12,12、運転席13、走行操作レバー14,14、モアブレード(不図示)、モアデッキユニット15などを備えてなる。前輪11は1つであり、電動ローンモア10の前端部中央に備える。前輪11はその中心に金属製のホイールを備え、ホイールの外側にはゴム製のタイヤを備える。ホイールの回転中心には車軸11Aを貫通させる。ホイールは、車軸11Aに対して回転自在となっている(すなわち、前輪11は従動回転する)。
【0032】
車軸11Aは、前輪ブラケット16の下端部に取り付けられている。前輪ブラケット16は、板状の鉄を門型に形成してなる。前輪ブラケット16の天面には円筒部17を載置する。円筒部17の中心には回動軸を備え、回動軸の下端は前輪ブラケット16にボルトなどで固設する。円筒部17の上下端にはそれぞれドーナツ状の鉄板の蓋部を固設し、蓋部の中心には回動軸を回動自在に取り付ける。円筒部17の側面には、メインフレーム18の先端を溶接などで固定する。メインフレーム18は、横断面視で門型状となる鉄骨製である。メインフレーム18の前端部の両側には、それぞれフットレスト19,19を支持部材19A,19Aを介して固設する。
【0033】
メインフレーム18の下方の両側には、モアデッキユニット15を備える。モアデッキユニット15は、2つのモアデッキ15A,15Bをデッキカバー(連結部材)DCで連結してなる。モアデッキ15A,15B内にはそれぞれ1つずつモアブレードを備える(前述の「シングルブレードのモアデッキ」である)。そして、このモアブレードは、モアデッキ15A,15Bそれぞれの上面に載置されたモアモータ20,20の出力軸に固設されている。
【0034】
モアデッキ15A,15Bはそれぞれ、サブフレーム55(後述)、2つのデッキアーム(デッキ昇降手段)21A,21Bを介してメインフレーム18に支持されている。(図8にて後述するように)デッキアーム21Aの先端は、回動軸29によってメインフレーム回動自在に取り付けられている。一方、デッキアーム21Bの先端は、ピンP4によってメインフレーム18に回動自在に取り付けられている(デッキアーム21A,21Bの下端は、サブフレーム55上に取り付けられている。メインフレーム18の直下にデッキアーム21A,21Bがあり、デッキアーム21A,21Bの直下にサブフレーム55が配置される)。モアデッキ15,15の前部にはそれぞれ、ブラケット22を介してゲージホイール(補助車輪)23を取り付ける。ゲージホイール23は、その中心に金属製のホイールを備え、ホイールの外側にはゴム製のタイヤを備える。ホイールの回転中心には車軸23Aを貫通させる。ホイールは、車軸23Aに対して回転自在となっている(すなわち、ゲージホイール23は従動回転する)。なお、ゲージホイール23は走行面の隆起を検出する検出手段である。
【0035】
車軸23Aは、補助前輪ブラケット24の下端部に取り付けられている。補助前輪ブラケット24は、板状の鉄を門型に形成してなる。補助前輪ブラケット24の天面には円筒部25を載置する。円筒部25の中心には回動軸を備え、回動軸の下端は補助前輪ブラケット24にボルトなどで固設する。円筒部25の上下端にはそれぞれドーナツ状の鉄板の蓋部を固設し、蓋部の中心には回動軸を回動自在に取り付ける。
【0036】
モアデッキユニット15の後方には、シャーシ27を備える。シャーシ27は、メインフレーム18の後端部に左右両側に取り付けられる。シャーシ27は鉄製の角筒で、平面視で略四角状に閉じた形状に形成される。シャーシ27上には載置板を介してバッテリー30を3つ並べて載置する。バッテリー30は、リチウムイオン電池を用いることが望ましい。詳しくは、二酸化マンガンリチウム電池、フッ化黒鉛リチウム電池、塩化チオニルリチウム電池、酸化銅リチウム電池、二硫化鉄リチウム電池、ヨウ素リチウム電池など、エネルギー密度が高く、寿命が長いものを用いることが望ましい。3つのバッテリー30は直列に接続される(直列の端子電圧は72V)。なお、バッテリー30の上方には不図示の収納ケースを備え、バッテリー30のコントローラ(電圧均等装置)などの電子機器を収納する。バッテリー30のコントローラは、バッテリー30の微小な電圧の変動を補正するものである。
【0037】
そして、バッテリー30を上方から覆うようにカウル28を設ける。カウル28は強化プラスチック製で複雑な形状を一体成形によって形成する。カウル28の上面には、座席載置部材(不図示)を介して運転席13を取り付ける。座席載置部材は、運転席13を運転者の好みに応じて前後方向にスライド可能とするものである。なお、カウル28の左側面には、給電口を設けて、バッテリー30を充電できるようにしてもよい。この場合、給電口にはプラグを備え、家庭の電源に接続した電気コードを差し込んで、バッテリー30を充電する。バッテリー30とプラグとの間にはACアダプタおよび充電装置を適宜備える。
【0038】
シャーシ27の下方には、走行用モータ31を備える。走行用モータ31は、左右の後輪12,12に対して1つずつ備える。なお、走行用モータ31は、インホイールモータを適用してもよい。走行用モータ31のモータドライバはバッテリー30上の収納ケース(不図示)に収納する。
【0039】
走行用モータ31のモータドライバは、走行操作レバー14の傾動量に応じて走行用モータ31の回転方向および回転速度を制御する。なお、モアモータ20の回転は、走行用モータ31の回転数と連動するように制御される。すなわち、走行スピードを速めると、モアブレードの回転数も速まり、走行スピードを落とすと、モアブレードの回転数も遅くなる。
【0040】
走行操作レバー14は傾動可能に設けられ、運転者が走行操作レバー14を前に倒すと走行用モータ31が前進方向に回転する。一方、走行操作レバー14が後に倒されると走行用モータ31は後進方向に回転する。さらに、走行操作レバー14の傾動度合いによって走行用モータ31の回転速度が変化する。すなわち、走行操作レバー14を大きく前(後)に倒すと、走行用モータ31が前進(後進)方向により早く回転し、走行操作レバー14を小さく前(後)に倒すと、走行用モータ31が前進(後進)方向にゆっくりと回転する。運転席13の左右に備える走行操作レバー14,14はそれぞれ左右の走行用モータ31,31の操作に対応している。したがって、運転者は、左右の走行操作レバー14,14を前後に適宜操作することで、前後進、左右折、旋回などを行うことができる。
【0041】
メインフレーム18の中央部付近の左右側面にはそれぞれ、ロック解除ペダル(ロック操作ペダル)33とデッキ昇降ペダル(昇降操作ペダル)34を回動自在に備える。ロック解除ペダル33は、デッキ昇降ペダル34の回動をロックしたり解除したりするためのものである。ロック解除ペダル33は、ペダル板に金属板製のブーメラン状のアーム部の一端を取り付け、そのアーム部の後端には、三角形状の爪部33Aを突設してなる。この爪部33Aにかみ合う歯車35をメインフレーム18に回動自在に取り付ける。詳しくは、回動軸29をメインフレーム18の左右方向に貫通して回動自在に設け、回動軸29の左端(すなわち、メインフレーム18の左外側)に歯車35の中心を固設する。また、回動軸29の中心付近(すなわち、メインフレーム18の内側)には、デッキアーム21Aの先端を固設する。
【0042】
なお、コイルバネ36の一端をロック解除ペダル33のアーム部の後部に取り付けるとともに、コイルバネ36の他端をメインフレーム18に(ブラケットを介して)取り付ける。このコイルバネ36の付勢力によって、ロック解除ペダル33はその爪部33Aが常時、歯車35にかみ合うようになっている。爪部33Aと歯車35とでロック手段を構成する(なお、図1,4では、爪部33Aが歯車35から外れた状態、すなわち、ロックが解除された状態を示している)。
【0043】
一方、デッキ昇降ペダル34は、モアデッキユニット15を下降させたり(芝刈状態)、上昇させたり(非芝刈状態)するためのものである。デッキ昇降ペダル34は、ペダル板に金属板製のブーメラン状のアーム部34Aの一端を取り付けてなる。そのアーム部34Aの途中には回動軸34Bを設ける。したがって、アーム部34Aは、回動軸34Bの回りに回動自在である。そして、アーム部34Aの後端には、ギア歯34Cを形成する。このギア歯34Cにかみ合うギア34Eを回動軸29の右端(すなわち、メインフレーム18の右外側)に固設する。このギア34Eは略扇形の鉄板で形成される。このようにして、ギア34E、回動軸29、歯車35は一体に回動する。
【0044】
モアデッキユニット15は、図7に示すように、左右のモアデッキ15A,15Bとそれらを連結するデッキカバー(連結部材)DCとで構成される。モアデッキ15Aは深皿状に形成され、モアブレードを上方と側方より覆うように配置される。モアデッキ15Aは金属製で、略円形の天部15AUとそれに連続して形成される側部15ASとを一体に形成してなる。天部15AUの中央には貫通孔15AHを形成する。この貫通孔15AHには、モアモータ20の出力軸(不図示)を通す(モアモータ20本体は天部20AU上に載置される)。そして、モアモータの出力軸の先端にはモアブレード(不図示)を取り付ける。なお、モアデッキ15Bの基本構造は、モアデッキ15Aと同様である。
【0045】
そして、モアデッキ15A,15Bが向かい合う側の側部15AS,15BSには円弧状の切り欠き15AC,15BCを形成する。切り欠き15AC,15BCは、側部15AS,15BSを切り欠くとともに、天部15AU,15BUの一部も切り欠いて形成される。切り欠き15AC,15BCに沿って、天部15AU,15BUには、貫通孔HL1を複数形成する(なお、貫通孔HL1は円弧に沿って等間隔に形成されることが望ましい)。
【0046】
デッキカバーDCは天部DCUと側部DCSとで構成される。デッキカバーDCは柔軟性と耐久性のある材料(たとえば、樹脂など)で形成される。側部DCSの幅は、モアデッキ15A,15Bの側部15AS,15BSと略同一とする。天部DCUは両側が円弧状に形成される。この円弧の形状はモアデッキ15A,15Bの天部15AU,15BUに形成される円弧と略同一形状である。そして、天部DCUの円弧に沿って貫通孔HL2が複数形成される(なお、貫通孔HL2は貫通孔HL1と同一間隔で形成されるものとする)。
【0047】
このように形成されたデッキカバーDCの縁部をモアデッキ15A,15Bの天部15AU,15BUの縁部上に載置し、貫通孔HL2を貫通孔HL1に合わせる。そして、天部15AUの下面側よりボルトRBを通し天部DCUの上面側よりナットNTを締め付けて、デッキカバーDCとモアデッキ15A,15Bとを連結する。このようにして、デッキカバーDCとモアデッキ15A,15Bとが一体となり、モアデッキユニット15となる。ボルトRBの頭を天部15AUの下面側に配置し、ボルトRBのネジ部先端を天部15AUの上面側に配置することで、モアブレードによって刈り取った芝がネジ部先端に引っかかることを防止できる。
【0048】
次に、モアデッキ15Aの取り付けについて図8〜10を用いてさらに説明する。なお、2つのモアデッキ15A,15Bの構成は同様であるので、ここでは左側のモアデッキ15Aについて説明する。モアモータ20の(電動ローンモア10の前後方向の)側面には、鉄製のパイプからなる支持棒40A,40Bをボルトなどで固設する。
【0049】
詳しくは、モアモータ20(のケース)の側面に形成された平坦面状の取付部20Aと、支持棒40Aの後端部に形成された板状の取付部40AEとを合わせ、ボルトなどで固定する。同様にして、モアモータ20の取付部20Aと、支持棒40Bの前端部に形成された板状の取付部40BEとを合わせ、ボルトなどで固定する。
【0050】
支持棒40Aは直線状に形成され、その表面には、取付部40AEに隣接するようにステー43Aを設ける。ステー43Aは、コイルバネ(弾性部材)42Aの一端を取り付けるためのものである(コイルバネ42Aの他端は、後述するバネ支持ブラケット60に取り付ける)。ステー43Aは、1対の鉄片を所定の間隔をもって支持棒40Aに溶接などで固設されてなる。ステー43Aが支持棒40Aに当接する箇所は、ステー43Aの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている。ステー43Aの中央部にはピンP5を嵌めつけるための貫通孔を形成する。ステー43Aには、バネ保持部材45をピンP5を介して回動自在に取り付ける。そして、コイルバネ42Aの下端をバネ保持部材45に当接させる。
【0051】
支持棒40Aの表面には、ステー43Aに隣接して規制部材41を設ける。規制部材41は、その先端を支持棒40Aに溶接などで固定する。規制部材41は四角筒状の鉄製フレームで形成され、支持棒40Aに固設する部分は、支持棒40Aの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている(規制部材41の断面はその上下方向において支持棒40Aの断面よりも大きい)。
【0052】
規制部材41の略中央部分には幅方向両側に貫通孔を設け、ピンP1を嵌め付ける。このピンP1はピン受部材44に支持されている。ピン受部材44は、断面視U字状の鉄片で底面をモアデッキ15Aの天部15AUに溶接などで固定する。規制部材41は、支持棒40Aとモアデッキ15Aとを固定的に連結するためのものである(後述するように、規制部材41は、モアデッキ15Aを回動させる際のガイド部材としての役割もある)。
【0053】
そして、規制部材41の後端は、保持部50の上部に入り込んでいる(保持部50と規制部材41との間には一定の間隙が設けられている)。この保持部50は、サブフレーム(支持フレーム)55を挟んで反対側にあるモアデッキ15Bの支持棒40Bを取り付けるものである。なお、保持部50については後述する。
【0054】
モアモータ20に対して支持棒40Aと反対側に支持棒40Bを設ける。支持棒40Bは、その中央付近の屈曲部40B1にて略直角に2度屈曲してなる。すなわち、モアモータ20より水平に延出した支持棒40Bは、一端、下方に屈曲し、その後、車幅方向の内側に向けて屈曲する。支持棒40Bの表面には、取付部40BEに隣接するようにステー43Bを設ける。ステー43Bは、コイルバネ(弾性部材)42Bの一端を取り付けるためのものである(コイルバネ42Bの他端は、後述するバネ支持ブラケット61に取り付ける)。ステー43Bは、1対の鉄片を所定の間隔をもって支持棒40Bに溶接などで固設されてなる。ステー43Bが支持棒40Bに当接する箇所は、ステー43Bの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている。ステー43Bの中央部にはピンP5を嵌めつけるための貫通孔を形成する。ステー43Bには、バネ保持部材45をピンP5を介して回動自在に取り付ける。そして、コイルバネ42Bの下端をバネ保持部材45に当接させる。
【0055】
なお、支持棒40A,40Bの軸心線DL1は、メインフレーム18の延出方向(すなわち、電動ローンモア10の直進方向)と平行である。また、(電動ローンモア10が直進時の)ゲージホイール23の走行軌跡DL2(図8)は軸心線DL1と平行であり、かつ、電動ローンモア10の外側方向に距離Lだけ離れるように形成される。すなわち、ゲージホイール23は、モアデッキ15A,15Bの前側で、かつ、モアモータ20の中心よりも外側に設けられる。なお、この例では、軸心線DL1は、モアモータ20の中心を通るように構成されているが、この発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
支持棒40Bの表面には、ステー43Bに隣接して固定部材46の先端を溶接などで固定する。固定部材46は四角筒状の鉄製フレームで形成され、支持棒40Bに固設する部分は、支持棒40Bの表面に追随するように切り欠かれている(固定部材46の断面はその上下方向において支持棒40Bの断面よりも大きい)。支持棒40Bの後端部分には貫通孔を設け、ピンP3を嵌め付ける。このピンP3はピン受部材47に支持されている。ピン受部材47は、断面視U字状の鉄片で底面をモアデッキ15Aの天部15AUに溶接などで固定する。固定部材46は、支持棒40Bとモアデッキ15Aとを固定的に連結するためのものである。
【0057】
支持棒40Bの後端部40BBは、保持部50に回動自在に保持されている。保持部50は鉄製で、横断面視において略U字状に形成される。保持部50の下部50Bは上部50Aに比べて幅が広くなっているとともに、切り欠き50Cが形成され、その切り欠き50Cの下端部の両側板間に回動筒55Cが渡されている。回動筒55Cは丸棒55Bによって回動自在に支持されている。丸棒55Bの一端は、サブフレーム55の端部に取り付けられたリブ55Aの下端に溶接などによって固定される。丸棒55Bと保持部50とはリング55Dを介して固定される(丸棒55Bの軸芯とサブフレーム55の延出方向とは一致している。また、サブフレーム55の延出方向とメインフレーム18の延出方向とも一致している。これらはいずれも電動ローンモア10の前進方向である)。丸棒55B、保持部50、リング55Dは全て鉄製であり、丸棒55Bとリング55D、リング55Dと保持部50とがそれぞれ溶接などによって固定される。なお、サブフレーム55は鉄製の角筒状に形成される。
【0058】
回動筒55Cの周面には、モアデッキ15Aの支持棒40B(の後端40BB)が固設されている。後端部40BBの端面を回動筒55Cの外周に沿うように切り欠いて溶接などで両者を固定する。
【0059】
保持部50は、サブフレーム55の両端に固設されている。サブフレーム55上で、かつ、2つの保持部50,50の間には、バネ支持ブラケット60,60を溶接などで固定する。バネ支持ブラケット60は、コイルバネ42Aを懸架するためのものである。バネ支持ブラケット60,60の間には、アームブラケット56,57を備える。アームブラケット56は、デッキアーム21Aの下端を回動自在にサブフレーム55に固定するためのものであり、アームブラケット57は、デッキアーム21Bの下端を回動自在にサブフレーム55に固定するためのものである。そして、アームブラケット56,57の間には、別のバネ支持ブラケット61,61を固設する。バネ支持ブラケット61は、コイルバネ42Bを懸架するためのものである。
【0060】
具体的には、バネ支持ブラケット61をアームブラケット56から一定の距離を隔ててサブフレーム55上に固設する。このバネ支持ブラケット61は、アームブラケット56を挟んで反対側に設けられたバネ支持ブラケット60とは(サブフレーム55の)逆側に張り出すように備える。同様に、バネ支持ブラケット61をアームブラケット57から一定の距離を隔ててサブフレーム55上に固設する。このバネ支持ブラケット61は、アームブラケット57を挟んで反対側に設けられたバネ支持ブラケット60とは(サブフレーム55の)逆側に張り出すように備える。なお、2つのバネ支持ブラケット61,61は隣接するように設けられる。
【0061】
バネ支持ブラケット60とバネ支持ブラケット61は同一形状に形成される。バネ支持ブラケット60,61は、鉄製のフレームで、側面視で略L字状に形成される(図10中では、アームブラケット56,57は省略している)。バネ支持ブラケット60,61の上端部には張出部60A,61Aを設ける。この張出部60A,61Aの両側には貫通孔を設け、ピンP2を嵌めつける。そして、バネ保持部材45を介してコイルバネ42Aの先端を張出部60Aに、コイルバネ42Bの先端を張出部60Bにそれぞれ取り付ける。
【0062】
アームブラケット56,57は、それぞれ鉄板を幅方向に略直角に2回折り曲げて断面視が略門型(アーチ)状に形成される。そして、両側にピンP4を貫通させるための貫通孔を設ける。アームブラケット56,57は、それらの下端をサブフレーム55に溶接などで固定する。アームブラケット56には、その側面を外側からデッキアーム21Bの下端で覆い、両者をピンP4で取り付ける。なお、デッキアーム21Bは、アームブラケット56に対して回動自在である。アームブラケット57には、その側面を外側からデッキアーム21Aの下端で覆い、両者をピンP4で取り付ける。なお、デッキアーム21Aは、アームブラケット57に対して回動自在である。
【0063】
図11に示すように、バネ保持部材45は金属製で、円筒部45A、連結部45B、台座部45C、ガイド部45Dからなり、これらは一体に形成される。円筒部45Aには、ピンP2(またはピンP5)を貫通させて、バネ保持部材45をバネ支持ブラケット61(またはステー43B)に回動自在に取り付けるためのものである(バネ保持部材45の後端部とピンP2との間には一定の隙間がある)。連結部45Bは円筒状の円筒部45Aと円板状の台座部45Cとを連結するためのものである。台座部45Cはコイルバネ42Bの端部を当接させるためのものであり、その直径は、コイルバネ42Bの外径以上であることが望ましい。ガイド部45Dは円柱状に形成され、コイルバネ42Bの内側に挿入してコイルバネ42Bの円心がずれるのを内側より防止するためのものである。ガイド部45Dの軸芯は台座部45Cの中心と合わせるようにする。また、ガイド部45Dの外径は、コイルバネ42Bの内径よりも小さくする。
【0064】
ところで、ゲージホイール23は芝を刈る状態(芝刈位置)では、常に走行面に接地している。コイルバネ42A,42Bは、ゲージホイール23が走行面の小さな凹凸に出くわしたときにも、跳ねることなく常に接地するようにモアデッキ15A,15B(詳しくはゲージホイール23)を路面に対して押し当てるように機能する。したがって、モアデッキ15のゲージホイール23が平坦面に略水平に接地した状態では、コイルバネ42A,42Bは自然長よりも縮んだ状態、すなわち圧縮された状態にある(コイルバネ42A,42Bのバネ定数は同じであることが望ましい)。
【0065】
なお、モアデッキ15A,15Bのゲージホイール23は芝刈りを行う際には走行面の起伏に追随して上下動する(走行面の起伏を検出する)。モアデッキ15A,15Bはその前部の外側寄りにゲージホイール23を備える。加えて、モアデッキ15A,15Bに固設されるモアモータ20の側面には支持棒40Bの一端が固設され、支持棒40Bの他端は丸棒55Bに回動自在に固設される。
【0066】
したがって、図12に示すように、モアデッキ15Aは、ゲージホイール23の上下動に応じて、従動的に上下回動する。なお、モアデッキ15Aの回動中心は、丸棒55Bの回動中心線CLである。モアデッキA15が上方に向けて回動するときは、コイルバネ42A,42Bはさらに圧縮され、モアデッキ15Aが下方に向けて回動するときは、コイルバネ42A,42Bは伸張する(モアデッキ15Bについても同様である)。
【0067】
このように構成された電動ローンモア10を用いて芝を刈るときは、まず、モアデッキユニット15を芝刈状態とするために、デッキ昇降ペダル34に右足を置く。次に、ロック解除ペダル33を左足で踏み込む。すると、ロック解除ペダル33はコイルバネ36の付勢力に抗して前方に回動する。これによって、爪部33Aが歯車35から外れ、ロックが解除される。デッキ昇降ペダル34に足をかけた状態を保持すると、モアデッキ15
A,15Bの自重によって回動軸29が前方に向けて回動し、デッキアーム21Aが下降する。これによって、デッキアーム21Aの後端と連結されたモアデッキ15も下降する。ゲージホイール23が接地するまでモアデッキ15を下降させたらロック解除ペダル33から足を離す。すると、コイルバネ36の付勢力によってロック解除ペダル33が回動し、爪部33Aが歯車35とかみ合い、回動軸29の回動がロックされる。これによって、モアデッキ15が芝刈状態となる。そして、デッキ昇降ペダル34から右足を離す。
【0068】
次に、電動ローンモア10で芝の刈り取りを行う様子を図1〜12を参照しつつ、図13を用いて説明する。平坦な地面Gの芝を刈り取るときは、左右のモアデッキ15A,15Bのゲージホイール23,23は同一高さであり、左右のモアデッキ15A,15Bも水平に保持されて芝を刈る。
【0069】
車両前部の左側が窪みを通過する場合には、左側のゲージホイール23が走行面の窪んだ地面Gに追随して下降する(図13(a))。これによって、左側のモアデッキ15Aが保持部50の回動中心線CLを基準として下側に向けて回動する。左側のモアデッキ15Aが下方に回動することで、このモアデッキ15Aに備える規制部材41の後端は、(右側のモアデッキ15Bの支持棒50Bと連結された)保持部50内を上方に向けて回動する。なお、モアデッキ15Aの回動の中心軸はメインフレーム18の延出方向(すなわち、電動ローンモア10の前進方向)である。なお、このとき、右側のモアデッキ15Bの下の地面Gは平坦であるので、モアデッキ15Aがモアデッキ15Bに対して上方に回動した位置関係となる。両者はデッキカバーDCによって連結されているので、デッキカバーDCが湾曲することによってモアデッキユニット15が保持できる。左側のモアデッキ15Aのゲージホイール23が地面Gの窪みに追随することで、モアデッキ15Aと地面GFとの間の刈高さは所定の値に維持される。したがって、窪んだ部分の芝の刈り高さが長くなることを防止することができる。
【0070】
なお、コイルバネ(弾性部材)42A,42Bがそれぞれモアモータ20の前後面にステー(取付部材)43A,43Bを介して取り付けられているので、窪みを通過する際に生じる、左側のモアデッキ15Aの水平方向の慣性を効果的に打ち消して、窪んだ走行面に追随することができる。
【0071】
次に、車両の中心直下の地面Gが窪んでいて、両側に向かって上に傾斜している場合には、左右側のゲージホイール23が地面Gの傾斜に追随して内側に傾く。(図13(b))。これによって、左右側のモアデッキ15A,15Bが(コイルバネ42A,42Bの付勢力に抗して)保持部50の回動中心線CLを基準として上側に向けて回動する。左右のモアデッキ15A,15Bが上方に回動することで、このモアデッキ15A,15Bに備える規制部材41の後端は、(反対側のモアデッキの支持棒50Bと連結された)保持部50内を下方に向けて回動する。なお、モアデッキ15A,15Bの回動の中心軸はメインフレーム18の延出方向である。
【0072】
芝刈りを終えた後は、モアデッキユニット15を上昇させて、非芝刈状態とする。左足でロック解除ペダル33を踏み込んだ後、右足でデッキ昇降ペダル34を踏み込む。すると、回動軸29が後方に向けて回動し、デッキアーム21Aが上昇する。これによって、デッキアーム21Aの後端と連結されたモアデッキユニット15も上昇する。所望の高さまでモアデッキユニット15を上昇させたらロック解除ペダル33から左足を離す。すると、コイルバネ36の付勢力によってロック解除ペダル33が回動し、爪部33Aが歯車35とかみ合い、回動軸29の回動がロックされる。これによって、モアデッキユニット15が所望の高さに保持される。そして、デッキ昇降ペダル34から右足を離す。
【0073】
なお、ブラケット22や円筒部25の構造を変更し、車両の上下方向に高さ調節可能とすることで、ゲージホイール23の接地面とモアデッキユニット15の下面との高さ変更可能としてもよい。このようにすることで、芝の刈高さを調節することができる。
【0074】
図14には、この発明の別の例を示す。この例のモアデッキユニット15´は、前の例と比べて、モアデッキ15A,15Bを連結するデッキカバーDC´の前側部分が外側に向けて湾曲して形成される点と、電動ローンモアの前進方向Fに対して、モアデッキユニット15´の右側に放出口15BDを設けている点が異なる(放出口15BDは、刈った草を電動ローンモアの側方に放出するためのものである)。モアデッキユニット15´をこのように構成することで、2つのモアブレードを時計回りに回転させて、適切な空気の流れを形成することができ、刈り取った芝を放出口15BDより効率よく排出することができる。
【0075】
デッキカバーDC´の前側部分を外側に向けて湾曲して形成することで、干渉を回避するために、サブフレームの前側に位置する保持部50の位置を前方に移動する必要が生じる。したがって、支持棒40B´、サブフレーム(支持フレーム)55´、支持棒40A´は前の例に比べて前進方向Fに向けて延長されている。なお、ここでいう支持棒40B´とは、前側にある保持部50と連結されているもの、すなわち、図中の右側のモアモータ20と連結されているもの、また、支持棒40A´とは、左側のモアモータ20と連結されて前方に延出しているものである。これに伴い、規制部材41も前方(矢印F方向)に移動するため、規制部材41の中間部分を支持するピン受部材44をモアデッキ15A上に設けることができなくなる。このため、モアデッキ15A上に前方に向かって張り出した張出板80を設け、張出板80上にピン受部材44を固定するように構成する。
【0076】
張出板80は、長方形の金属板で形成され、後端部に2箇所貫通孔を設ける。また、張出板80の前端部にはピン受部材44を溶接などによって固定する。一方、モアデッキ15Aの天部にも貫通孔を2箇所形成する。この貫通孔は、張出板80の2箇所の貫通孔と合うように形成される。そして、張出板80の貫通孔をモアデッキ15Aの貫通孔に上から合わせ、モアデッキ15Aの下側よりボルトBT10を通し、張出板80の上側よりナットを締め付けて張出板80をモアデッキ15A上に固定する(図15(a))。
【0077】
モアデッキ15A,15BとデッキカバーDCとは、放出口15BDに近い方が上となるように重ね合わせられている。具体的には、図15(b)に示すように、モアデッキ15Aの右端部を下方に折り曲げて段違い部を形成する。この段違い部の上に重ねるようにしてデッキカバーDC´の左端部を載置し、ボルトRBとナットにてモアデッキ15AとデッキカバーDC´とを連結する。また、モアデッキ15Bの左端部を上方に折り曲げて段違い部を形成する。この段違い部の下に重ねるようにしてデッキカバーDC´の右端部を配置し、ボルトRBとナットにてモアデッキ15BとデッキカバーDC´とを連結する。このように構成したモアデッキユニット15´において、2つのモアブレードMBを時計回りに回転させて、モアデッキユニット15´内の風の流れ(白抜き矢印)-を左から右に向かわせ、放出口15BDより排出させるようにすると、2つのモアブレードMBにて刈り取った芝がこの風の流れに乗り、放出口15BDより放出される(図15(c))。この例のモアデッキユニット15´では、風上側が常に下側となるようにモアデッキ15A,15BとデッキカバーDC´とが重ね合わせられて連結されるため、刈り取った芝が連結部分につまることがなく放出口15BDから排出される。したがって、モアデッキユニット15´のメンテナンス頻度を低減することができる。
【0078】
なお、この例では、モアデッキユニット15´の前進方向に対して、右側に放出口15BDを設けているがモアデッキユニットの左側に放出口を設けるようにしてもよい。この場合には、2つのモアブレードの回転を反時計回りとして、適切な風の流れを形成し、刈り取った芝を排出する。さらに、図16に示すように、放出口15BD´をモアデッキユニット15´の後部中央のデッキカバーDC´´に形成するようにしてもよい。この場合には、左側のモアブレードMBの回転を時計回りに、右側のモアブレードMBの回転を反時計回りとし、適切な風の流れ(白抜き矢印)を形成しながら刈り取った芝を放出口15BD´より排出する。この場合には、モアデッキ15A,15Bに対して、デッキカバーDC´´を上側となるように配置する。すなわち、風の流れに対して下流側にある方を上側とする。
【0079】
図17には、さらに別の例を示す。この例では、図14の例に対して規制部材41´の形状を平面視でカギ状に形成する。このようにすることで、図14に示したような張出板80を用いてピン受部材44をモアデッキ15Aに固定する必要がなくなる。したがって、部品点数を低減させ、モアデッキ15Aの構成を簡単にすることができる。なお、支持棒40A、ピン受部材44は図6の例と同一、サブフレーム55´、支持棒40B´、デッキカバーDC´は図14の例と同一である。
【0080】
モアデッキとデッキカバーとの連結方法については、図18(a)に示すように、金属製のリベットRB1,RB2を用いて連結してもよい。この場合、モアデッキ15Aの縁に貫通孔H1を、デッキカバー(連結部材)DC1の縁に貫通孔DC1Hをそれぞれ形成する(なお、貫通孔DC1Hを貫通孔H1よりやや大きく形成する)。そして、デッキカバーDC1の縁をモアデッキ15Aの縁に上から重ね合わせるようにして、両者の貫通孔DC1Hと貫通孔H1とを合わせる。次に、オスのリベットRB1をモアデッキ15Aの内側より挿入し、メスのリベットRB2をデッキカバーDC1の上側よりリベットRB1の先端に嵌めつけて、モアデッキ15AとデッキカバーDC1とを連結する(図18(b))。このように、リベットRB1,RB2を用いると、ボルトとナットを用いる場合に比べて、容易にモアデッキ15AとデッキカバーDC1とを連結することができる。なお、モアデッキ15BとデッキカバーDC1との連結方法は、モアデッキ15AとデッキカバーDC1との連結方法と同様である。
【0081】
図18(c)には、さらに別の連結方法を示す。この例では、モアデッキ15Aの縁に頭の平坦な平ボルトBOを予め溶接しておく。一方、デッキカバー(連結部材)DC2の縁を肉厚に形成し、肉厚部DC2Eとする。肉厚部DC2Eには、平ボルトBOを貫通可能な貫通孔DC2Hを形成する。デッキカバーDC2をモアデッキ15Aに重ね合わせたときに、平ボルトBOの頭の厚みでデッキカバーDC2がモアデッキ15Aに接することができずに隙間ができてしまうのを避ける目的で、貫通孔DC2Hに逃げDC2HAを形成する。この例では、平ボルトBOの頭がモアデッキ15Aの内側ではなく上面に溶接で取り付けられていることから、モアデッキ15A内で刈り取った芝が平ボルトBOに引っかかることを防止することができ、モアデッキユニットのメンテナンスを低減することができる。
【0082】
図19(a)には、さらに別の例を示す。この例では、デッキカバー(連結部材)DC3の縁で、かつモアデッキ15A,15Bと重ね合わせる縁部DC3Bを金属で、また、デッキカバー本体DC3Aは柔軟性と耐久性のある素材で形成される(両者は一体成形によって形成される)。そして、縁部DC3Bに所定の間隔で貫通孔HL2を形成する(前述したように、貫通孔HL2はモアデッキ15A,15Bに形成された貫通孔HL1と同一間隔で形成される)。このように縁部DC3Bを剛性の高い材料で形成することで、貫通孔HL2とモアデッキ15A,15Bの貫通孔HL1との位置決めがしやすくなる。このように形成されたデッキカバーDC3は、モアデッキ15A,15Bの縁に上側から重ね合わせて、貫通孔HL2と貫通孔HL1とを合わせ、ボルトをモアデッキ15A,15Bの下側(裏側)から貫通孔HL1、貫通孔HL2にこの順に通し、デッキカバーDC3の上側よりナットで締め付けて、デッキカバーDC3とモアデッキ15A,15Bとを連結する。
【0083】
図19(b)には、さらに別の例を示す。この例では、デッキカバー(連結部材)DC4の縁で、かつモアデッキ15A,15Bと重ね合わせる縁部DC4Bを金属で、また、デッキカバー本体DC4Aは柔軟性と耐久性のある素材で形成される(両者は一体成形によって形成される)。そして、前の例に比べて、右側の縁部DC4Bに所定の間隔で平ボルトBO2を上向きに溶接などで固定する。平ボルトBO2はその頭が平坦状に形成され、平ボルトBO2を上向きにしてその頭を縁部DC4Bに固定する。なお、平ボルトBO2を設ける間隔は、モアデッキ15Aに形成された貫通孔HL1と同一間隔である。一方、左側の縁部DC4Bには、所定の間隔で貫通孔HL2を形成する。貫通孔HL2はモアデッキ15Bに形成された貫通孔HL1と同一間隔で形成される。
【0084】
このように形成されたデッキカバーDC4の左側を、モアデッキ15Aの縁に表側(上側)から重ね合わせる。そして、貫通孔HL1と貫通孔HL2とを合わせ、モアデッキ15Aの下側よりボルトを貫通させ、デッキカバーDC4の上側でナットにて締め付けて、デッキカバーDC4とモアデッキ15Aとを連結する。一方、デッキカバーDC4の右側を、モアデッキ15Bの縁に下側から重ね合わせる。このとき、平ボルトBO2をモアデッキ15Bの貫通孔HL1に下側から通し、上側からナットで締め付けて、デッキカバーDC4とモアデッキ15Bとを連結する。このように、この例では、モアデッキ15Aに対してデッキカバーDC4が上側に重なり、デッキカバーDC4に対してモアデッキ15Bが上側に重なる構成となる。
【0085】
デッキカバーDC4をこのように形成することで、図19(a)の例と比べて、部品点数を低減することができる。すなわち、図19(a)の例では、デッキカバーDC3とモアデッキ15Bとを連結する際に、ボルトとナットをそれぞれ必要としていた。一方、この例では、平ボルトBO2は予め、デッキカバーDC4の右側の縁部DC4Bに固設されている。したがって、ボルトを紛失することがない。また、部品点数を低減して組み立て工程を簡略化することができる。
【0086】
図20(a)〜(e)には、さらに別の例を示す。この例のモアデッキユニット15´´ではフックFKを設けることで、前述の例のような、ボルトとナット、または、リベットなどを用いずに、デッキカバー(連結部材)DC5をモアデッキ15A´,15B´に取り付けるものである。フックFKは、具体的には、モアデッキ15A´の縁部を略コの字状に切り、その先端を起こして形成される(図20(c))。先端を起こす高さは、デッキカバーDC5の縁部DC5Eの厚みと同程度とする(図20(d))。フックFKは、この例では4ヶ所形成されているが(図20(b))、これに限定されるものではない。デッキカバーDC5は、これまでの例と同様に、柔軟性と耐久性とを備えた材料で形成され、その縁部DC5Eが下側に向けて略コの字状の曲がった形状となっている。そして、デッキカバーDC5をモアデッキ15A,15Bに取り付けるには、デッキカバーDC5をモアデッキ15Aに上から被せるようにする。そして、縁部DC5Eを4箇所のフックFKにそれぞれ挟み込む。同様にして、デッキカバーDC5をモアデッキ15Bに上から被せるようにする。そして、縁部DC5Eを4箇所のフックFKにそれぞれ挟み込む(図20(e))。このようにしてモアデッキユニット15´´が形成される(図20(a))。このように構成されることで、デッキカバーDC5をモアデッキ15A´,15B´に取り付けるためにボルトとナットを必要とせず、部品点数を低減して組み立て工程を簡略化することができる。また、デッキカバーDC5とモアデッキ15A,15Bとの位置決めが容易であり、作業を容易にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
この発明の電動乗用草刈機は、芝刈りに限定されるものではなく、草を刈るためのあらゆる作業に適用しうる。また、駆動源は、モータに限定されるものではなく、エンジンであってもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 電動ローンモア(電動乗用草刈機)
11 前輪
12 後輪
13 運転席
14 走行操作レバー
15,15´,15´´ モアデッキユニット
15A,15B モアデッキ
15AC,15BC 切り欠き
15AS,15BS 側部
15AU,15BU 天部
15BD,15BD´ 放出口
18 メインフレーム
20 モアモータ
20A 取付部
21A,21B デッキアーム
22 ブラケット
23 ゲージホイール
23A 車軸
24 補助前輪ブラケット
25 円筒部
27 シャーシ
29 回動軸
30 バッテリー
31 走行用モータ
36 コイルバネ
40A,40B,40A´,40B´ 支持棒
40AE,40BE 取付部
41,41´ 規制部材
44 ピン受部材
50 保持部
55,55´ サブフレーム(支持フレーム)
80 張出板
BO,BO2 平ボルト
DC,DC´,DC´´,DC1,DC2,DC3,DC4,DC5 デッキカバー(連結部材)
DCS 側部
DCU 天部
DC3B,DC4B,DC5E 縁部
FK フック
MB モアブレード
RB1,RB2 リベット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転して草を刈るモアブレードと、
該モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキと、
該モアデッキ上に配置されるとともに、前記モアブレードの回転軸に取り付けられたモアモータと、
前記モアデッキの前部外側に取り付けられ、走行面の隆起を検出するための補助車輪と、
前進方向に延設され、前記モアデッキを支持する支持フレームとを備え、
前記モアデッキは、前記支持フレームの左右にそれぞれ設けられ、
前記支持フレームは、前記モアデッキを側方に向けて上下回動可能に支持し、
前記左右のモアデッキの向かい合う側の側部にそれぞれ切り欠きを設けるとともに、前記2つのモアデッキを柔軟性のある連結部材で連結して、モアデッキユニットを形成することを特徴とする、電動乗用草刈機。
【請求項2】
前記連結部材の前端部分が外側に向けて湾曲して形成されるとともに、
前記支持フレームの前端に設けた保持部が前記連結部材の前端部分を回避するように前記支持フレームを延長することを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項3】
前記連結部材が前記モアデッキに対して着脱自在であることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項4】
前記連結部材と前記モアデッキとが一定の重なりをもって連結された電動乗用草刈機であって、
前進方向に対して、前記モアデッキユニットの左右いずれか、または、後部に、刈った草を放出するための放出口を設け、
前記モアデッキと前記連結部材とは、前記放出口に近い方が上となるように重ね合わせられることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項5】
前記モアデッキと前記連結部材との取り付けは、前記モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、該ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項6】
前記モアデッキと前記連結部材との取り付けはリベットによることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項7】
前記モアデッキの縁の上面にボルトを上向きに固設し、
前記連結部材の縁に貫通孔を形成し、
前記連結部材を前記モアデッキの上方より重ね合わせることで前記ボルトを前記貫通孔に貫通させた後、前記ボルトの上側をナットで締め付けることで前記モアデッキを前記連結部材に取り付けることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項8】
前記連結部材の縁部を金属で形成し、
前記縁部に貫通孔を複数形成するととともに、前記モアデッキに別の貫通孔を複数形成し、前記連結部材と前記モアデッキの貫通孔どおしを合わせるようにして、前記モアデッキと前記連結部材とを重ね合わせ、前記モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、該ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項9】
前記連結部材の縁部を金属で形成し、
該縁部の上面にボルトを上向きに複数固設するととともに、前記モアデッキに貫通孔を複数形成し、該貫通孔に前記ボルトを裏面より貫通させて、前記モアデッキと前記連結部材とを重ね合わせ、前記ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項10】
前記モアデッキの縁を略コの字状に切り起こしてフックを形成する一方、
前記連結部材の縁部を下側に向けて略コの字状に形成し、該縁部を前記フックに掛け留めることで前記連結部材を前記モアデッキに取り付けることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項1】
回転して草を刈るモアブレードと、
該モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキと、
該モアデッキ上に配置されるとともに、前記モアブレードの回転軸に取り付けられたモアモータと、
前記モアデッキの前部外側に取り付けられ、走行面の隆起を検出するための補助車輪と、
前進方向に延設され、前記モアデッキを支持する支持フレームとを備え、
前記モアデッキは、前記支持フレームの左右にそれぞれ設けられ、
前記支持フレームは、前記モアデッキを側方に向けて上下回動可能に支持し、
前記左右のモアデッキの向かい合う側の側部にそれぞれ切り欠きを設けるとともに、前記2つのモアデッキを柔軟性のある連結部材で連結して、モアデッキユニットを形成することを特徴とする、電動乗用草刈機。
【請求項2】
前記連結部材の前端部分が外側に向けて湾曲して形成されるとともに、
前記支持フレームの前端に設けた保持部が前記連結部材の前端部分を回避するように前記支持フレームを延長することを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項3】
前記連結部材が前記モアデッキに対して着脱自在であることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項4】
前記連結部材と前記モアデッキとが一定の重なりをもって連結された電動乗用草刈機であって、
前進方向に対して、前記モアデッキユニットの左右いずれか、または、後部に、刈った草を放出するための放出口を設け、
前記モアデッキと前記連結部材とは、前記放出口に近い方が上となるように重ね合わせられることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項5】
前記モアデッキと前記連結部材との取り付けは、前記モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、該ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項6】
前記モアデッキと前記連結部材との取り付けはリベットによることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項7】
前記モアデッキの縁の上面にボルトを上向きに固設し、
前記連結部材の縁に貫通孔を形成し、
前記連結部材を前記モアデッキの上方より重ね合わせることで前記ボルトを前記貫通孔に貫通させた後、前記ボルトの上側をナットで締め付けることで前記モアデッキを前記連結部材に取り付けることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項8】
前記連結部材の縁部を金属で形成し、
前記縁部に貫通孔を複数形成するととともに、前記モアデッキに別の貫通孔を複数形成し、前記連結部材と前記モアデッキの貫通孔どおしを合わせるようにして、前記モアデッキと前記連結部材とを重ね合わせ、前記モアデッキユニットの内側より外側に向けてボルトを貫通させ、該ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項9】
前記連結部材の縁部を金属で形成し、
該縁部の上面にボルトを上向きに複数固設するととともに、前記モアデッキに貫通孔を複数形成し、該貫通孔に前記ボルトを裏面より貫通させて、前記モアデッキと前記連結部材とを重ね合わせ、前記ボルトの上側をナットで締め付けることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【請求項10】
前記モアデッキの縁を略コの字状に切り起こしてフックを形成する一方、
前記連結部材の縁部を下側に向けて略コの字状に形成し、該縁部を前記フックに掛け留めることで前記連結部材を前記モアデッキに取り付けることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−44929(P2012−44929A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190389(P2010−190389)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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