説明

電動工具

【課題】二次電池に比べて大きい出力で動作可能で且つ軽量化や小型化した構成にし易い電動工具を提供する。
【解決手段】本発明の電動工具は、駆動部11を有した本体1と、前記駆動部11の電源となる電源部21を有し前記本体1に着脱自在の電源パック2とを備え、二次電池31を前記電源部21とした第1電源パック2aと、電気二重層キャパシタ32を前記電源部21とした第2電源パック2bとを、選択的に前記電源パック2として前記本体1に取り付けるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱自在の電源を備えた電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からインパクト工具やドリル工具等の電動工具において、使用時に商用電源等の外部電源に接続する電源コードを備えた外部電源式のものと、着脱自在な電池パックを電源として備えた電池パック式のものとがある。外部電源式のものは、商用電源等の外部電源を用いるため、二次電池を用いた場合に比べて大きい出力で作業を行うことができる反面、外部電源を確保できない環境下では使用することができない。また、電池パック式のものは、充放電可能な二次電池を備えるため、外部電源が不要であり、外部電源の有無等による作業実施の制限が生じ難い反面、外部電源を用いた場合に比べて出力が小さくなり易い。
【0003】
そこで、二次電池を用いた場合に比べて大きいパワーで動作可能な電池パック式の電動工具として、例えば、特許文献1に示す蓄電装置を備えた携帯型電動工具がある。この携帯型電動工具では、蓄電装置が、二次電池と、DC/DCコンバータと、DC/DCコンバータが接続された電気二重層キャパシタと、電気二重層キャパシタを充電する充電回路とで構成される。そして、この電気二重層キャパシタは、二次電池に比べて、大きいパワーを出力することが可能である反面、動作時間が短くなり易い。また、携帯型電動工具は、二次電池から電力を供給する機能と、電気二重層キャパシタから電力を供給して二次電池に比べて大きいパワーで動作させる機能とを有し、蓄電装置から出力する電力(パワー)を切替自在となっている。そして、携帯型電動工具は、蓄電装置内において電気二重層キャパシタを二次電池で充電する機能をさらに有しており、この機能によって、電気二重層キャパシタから電力を供給する時間を延ばしている。そのため、携帯型電動工具は、電気二重層キャパシタから電力を供給する場合において、二次電池から電力を供給する場合に比べて、断続的であるが大きなパワーで且つ長時間動作させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−481772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の携帯型電動工具では、蓄電装置に二次電池と電気二重層キャパシタと電気二重層キャパシタ用の充電回路とを備えるため、従来の二次電池を主体とした電池パックに比べて、蓄電装置が大型、超重量の構成になり易い。そのため、特許文献1の携帯型電動工具では、大型や超重量の蓄電装置によって、工具の取り回し等における使用者の負担が大きくなり易い。
【0006】
そこで、本発明では、二次電池に比べて大きい出力で動作可能で且つ軽量化や小型化した構成にし易い電動工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明の電動工具は、駆動部を有した本体と、前記駆動部の電源となる電源部を有し前記本体に着脱自在の電源パックとを備え、二次電池を前記電源部とした第1電源パックと、電気二重層キャパシタを前記電源部とした第2電源パックとを、選択的に前記電源パックとして前記本体に取り付けるものであることを特徴とする。
【0008】
この電動工具として、前記第1電源パックを接続しこの第1電源パックの電力で前記電気二重層キャパシタを充電する充電経路を、前記第2電源パックに設けたことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、二次電池に比べて大きい出力で動作可能な構成にし易く、軽量化や小型化した構成にし易くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1の電動工具であって、第2電源パックを取り付けた状態の回路図である。
【図2】実施形態1の電動工具であって、第1電源パックを取り付けた状態の回路図である。
【図3】実施形態1の電動工具の外殻の一部を透過した側面図である。
【図4】第1電源パックを第2電源パックに接続した状態の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図3には、実施形態1の電動工具を示してある。この電動工具は、駆動部11を有した本体1と、本体1に着脱自在の電源パック2とを備え、電源パック2は本体1装着時に駆動部11の電源として機能する。駆動部11は、駆動源であるモータ12と、モータ12の回転駆動を出力する出力部13とで主体が構成してあり、電源パック2からモータ12に電力が供給される。
【0013】
また、本体1は、本体1把持用の把持部14と、駆動部11の駆動操作用の操作部15と、電源パック2を取り付けるパック装着部16と、駆動部11の駆動を制御する制御部17とをさらに有する。そして、本体1は、図1乃至図2に示すように、内部に設けた電気回路18を介して、モータ12(駆動部11)と操作部15と制御部17とが接続してあり、電気回路18は、本体1に電源パック2を取り付けた際に電源パック2の内部回路23を電気回路18に接続する接続部19が設けてある。以下、駆動部11と操作部15と制御部17とを纏めて記載する際には、駆動部11等と記載する。また、上記接続とは、特に定めない限り、電気的な接続を意味する。なお、図3では、制御部17を二分割して設けてあるが、一つであってもよく、三つ以上に分割して設けてあってもよい。
【0014】
電源パック2は、パック装着部16に取り付ける取付部22と、駆動部11等への電力供給源(電源)となる充放電可能な電源部21と、電源部21に接続した内部回路23とを有し、内部回路23には、接続部19に接続するための接続部24が設けてある。そして、電源パック2は、外部の充電器(図示せず)を介して外部電源(図示せず)に接続することで、電源部21を充電することができ、この充電によって電源部21を、駆動部11等の電源として、繰り返し利用することができる。
【0015】
更に、電動工具は、接続部19,24を介して内部回路23と電気回路18とを接続することで、電源部21の電力を駆動部11等に供給可能になる。そして、この電力を供給可能な状態(給電可能な状態)において、電動工具は、操作部15の操作に応じて駆動部11への電力供給(給電)と遮断とを切り替え、給電時にはモータ12(駆動部11)が駆動する。言い換えると、電動工具は、取付部22をパック装着部16に取り付けることで、接続部19,24を介して内部回路23と電気回路18とが接続して、電源部21が駆動部11等の電源として機能する。
【0016】
また、電動工具は電源パック2として、二次電池31を電源部21に用いた第1電源パック2aと、電気二重層キャパシタ32を電源部21に用いた第2電源パック2bとを有する。
【0017】
第1電源パック2aは、取付部22(第1取付部22a)をパック装着部16に取り付けることで、装着可能となっている。そして、第1電源パック2aは、この装着状態で、図2に示すように、接続部24(第1接続部24a)及び接続部19を介して内部回路23(第1回路23a)が電気回路18に接続されて、二次電池31が駆動部11等の電源として機能する。更に、二次電池31は、外部の充電器に第1電源パック2aを取り付け、第1回路23aを外部電源に接続することで、充電可能となっている。
【0018】
第2電源パック2bは、取付部22(第2取付部22b)をパック装着部16に取り付けることで、本体1に装着可能となっている。そして、第2電源パック2bは、この装着状態で、図1に示すように、接続部24(第2接続部24b)及び接続部19を介して内部回路23(第2回路23b)が電気回路18に接続されて、電気二重層キャパシタ32が駆動部11等の電源として機能する。更に、電気二重層キャパシタ32は、外部の充電器に第2電源パック2bを取り付け、第2回路23bを外部電源に接続することで、充電可能となっている。
【0019】
このように、本実施形態の電動工具は、第1電源パック2aと第2電源パック2bのうち、一方を選択的に本体1に取り付けることで、取り付けた電源パック2の電源部21を駆動部11等の電源として利用することができる。言い換えると、本実施形態の電動工具は、パック装着部16に取り付ける電源パック2を変えることで、第1電源パック2aに備えた二次電池31と、第2電源パック2bに備えた電気二重層キャパシタ32とに電源を切替可能となっている。そのため、作業内容に応じて、第1電源パック2aと第2電源パック2bとを使い分けて利用することができ、電動工具の利便性を向上し易くすることができる。
【0020】
そして、電気二重層キャパシタ32は、二次電池31に比べて、電源パック2を小型や軽量の構成にし易いため、第2電源パック2bを電源に利用した場合、第1電源パック2aを利用した場合に比べて、電動工具を小型や軽量の構成にし易くすることができる。そのため、第2電源パック2bを本体1に電源として取り付けて作業することで、例えば電動工具を把持して使用する際の使用者の手や腕の負担等の、作業時における使用者の負担を軽減し易くすることができる。
【0021】
更に、電気二重層キャパシタ32は、二次電池31に比べて、電源としての出力を大きくし易いため、第2電源パック2bを本体1に取り付けることで、従来の外部電源を電源に用いた電動工具で行うような、大きい出力での作業を行い易くすることができる。そのため、外部電源を確保し難い環境下等において大出力での作業を行い易くなり、電動工具の利便性を向上し易くすることができる。
【0022】
また、本実施形態の電動工具は、図4に示すように、第1電源パック2aと第2電源パック2bとを接続する充電部をさらに備えており、この充電部は第2電源パック2bに設けてある。
【0023】
具体的には、第1回路23aに接続可能な充電用の回路で主体が構成された充電経路4と、第1電源パック2aを第2電源パック2bに取り付けた状態で保持する保持部(図示せず)とが、第2電源パック2bに設けてある。
【0024】
充電経路4は電気二重層キャパシタ32に接続してあり、第1接続部24aを介して第1回路23aに接続するための第3接続部41を有する。そして、充電部は、充電経路4を第1回路23aに接続することで、第1電源パック2aに内蔵した二次電池31(他の電源パック2の電源部21)の電力で、第2電源パック2bの電気二重層キャパシタ32を充電することができる。
【0025】
このように、二次電池31に比べて電気容量の少ない構成になり易い電気二重層キャパシタ32を、第1電源パック2aで充電可能としたことで、第2電源パック2bを第1電源パック2aと略同じ電気容量の電源パック2等として利用することができる。そのため、外部電源での充電を行わずに、第2電源パック2bでの作業を継続することができ、大型化や重量増大を抑えて、第2電源パック2bでの作業量を増加することができる。言い換えると、第1電源パック2aで充電可能な第2電源パック2bを駆動部11等の電源に用いたことで、第1電源パック2aと略等量の電気容量で作業可能で且つ小型や軽量な電動工具を提供することができる。
【0026】
そして、例えば、外部電源を確保し難い環境下で大出力の作業を行う場合等において、第1電源パック2aを携帯する等、第1電源パック2aで充電可能な状態を確保すれば、第2電源パック2bを繰り返し利用して作業を行うことができる。そのため、大出力の作業を行う場合等において、外部電源用の電源コードの巻き付き等による作業性の低下が生じ難く、電動工具の利便性を向上し易くすることができる。
【0027】
更に、充電部(充電経路4)を第2電源パック2bに設けたことで、例えば二次電池を電源とした既存の電池パックを第1電源パック2aに用いた場合に、この既存の電池パックで電気二重層キャパシタ32を充電することができる。そのため、例えば複数の電動工具を持ち込んだ作業時等において、作業利用の済んだ他の電動工具の電池パックで第2電源パック2bを充電して、この第2電源パック2bを用いた作業を継続すること等ができ、作業性や利便性を向上し易くすることができる。
【0028】
なお、本発明は実施形態1の構成のみに限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、実施形態1において適宜の設計変更を行うことが可能である。例えば、第2回路23bが充電経路4を兼ね、第2接続部24bが第3接続部41を兼ねたものであってもよい。このものでは、第2電源パック2bが、第1電源パック2aの取付を検知する検知部を有し、この取付の検知時に、第2回路23bが充電経路4として機能する構成としてもよい。また例えば、本体1への取付を検知する検知部を有し、この取付の検知時に、第2回路23bが第2回路23bとして機能する(電気二重層キャパシタ32が非検知時に電源部21として機能しない)構成としてもよい。
【0029】
また、充電部は、実施形態1のように第2電源パック2bに全ての構成部材を設けた構成に限らず、少なくとも第2電源パック2bに充電経路4を設けた構成であればよい。例えば、第1電源パック2aが、第2電源パック2bの充電経路4に接続して二次電池31から電気二重層キャパシタ32に給電するための給電用経路を第1回路23aと別部材でさらに有した構成等であってもよい。また例えば、充電部が、第1電源パック2aを第2電源パック2b(充電経路4)に接続するための中継コネクタや接続コード等の電源パック2に着脱自在の中継部材をさらに有した構成であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 本体
11 駆動部
2 電源パック
2a 第1電源パック
2b 第2電源パック
21 電源部
31 二次電池
32 電気二重層キャパシタ
4 充電経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部を有した本体と、前記駆動部の電源となる電源部を有し前記本体に着脱自在の電源パックとを備え、
二次電池を前記電源部とした第1電源パックと、電気二重層キャパシタを前記電源部とした第2電源パックとを、選択的に前記電源パックとして前記本体に取り付けるものである
ことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記第1電源パックを接続しこの第1電源パックの電力で前記電気二重層キャパシタを充電する充電経路を、前記第2電源パックに設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の電動工具。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−103310(P2013−103310A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249749(P2011−249749)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(509119153)パナソニックESパワーツール株式会社 (107)
【Fターム(参考)】