説明

電動自動二輪車

【課題】伸縮型フロントフォークに適用可能な配線ケーブルを備えた電動自動二輪車を提供することを課題とする。
【解決手段】フロントフォーク20Lの外筒22は、配線通路91から外筒22の内部に入る入口部102に、配線ケーブル100を支持する下部弾性部材103が設けられる。また、内筒23の内周には、配線ケーブル100を支持する上部弾性部材104が設けられる。配線ケーブル100は、下部弾性部材103と上部弾性部材104との間において、螺旋状を呈する螺旋部105を有する。
【効果】伸縮型フロントフォークに適用可能な配線ケーブルを備えた電動自動二輪車を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントホイールにモータが収容されている電動自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
電動自転車において、フロントホイールに駆動用又は回生用のモータが収容されたものが知られている(例えば、特許文献1(図1、図2)参照。)。
【0003】
特許文献1の図1に、フロントフォーク(2)と、このフロントフォーク(2)の下部に車軸(6)を介して取付けられるハブ(5)が示されている。特許文献1の図1のII−II線断面図である図2に、ハブ(5)に内蔵されるモータ(3)と、このモータ(3)に通電するケーブル(54)が示されている。ケーブル(54)はフロントフォーク(2)に収納されている。
【0004】
自転車では、フロントフォーク(2)は軸方向に伸縮させないため、ケーブル(54)に軸力が加わる心配はない。
【0005】
ところで、自転車より高速走行が可能な自動二輪車では、フロントフォーク(2)に緩衝器を内蔵し、フロントフォーク(2)を軸方向に伸縮させることで、路面反力を吸収させるようにするものが主流となっている。
【0006】
特許文献1の技術を、自動二輪車に適用すると、ケーブル(54)に直接軸力が作用しケーブル(54)に応力が発生する。そのため、単純に特許文献1のケーブル(54)を自動二輪車に採用することができない。
【0007】
近年、自動二輪車の電動化が進められる中、伸縮型フロントフォークに適用可能なケーブルの形態が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−71983公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、伸縮型フロントフォークに適用可能な配線ケーブルを備えた電動自動二輪車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、フロントホイールを回転可能に支持する左右一対のフロントフォークと、このフロントフォークに取付けられると共に前記フロントホイール内に収容されるモータと、前記フロントフォークに沿って配索され前記モータへ通電する配線ケーブルとを備える電動自動二輪車において、前記左右のフロントフォークの一方は、内部に緩衝器を備え、前記左右のフロントフォークの他方は、内部に螺旋状の前記配線ケーブルが挿通されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明では、他方のフロントフォークは、フロントホイールに取付けられる外筒と、この外筒に摺動自在に収納され配線ケーブルを覆う内筒と、外筒に収納され内筒を付勢するスプリングと、このスプリングの内側に配置され配線ケーブルを収納する筒状ガイド部材とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明では、配線ケーブルには、筒状ガイド部材側の面に樹脂ベルトが付設されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明では、樹脂ベルトの幅は、配線ケーブルの外径よりも大きいことを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明では、一方のフロントフォークとフロントホイールの間にブレーキディスクが配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明では、一方のフロントフォーク側にドラムブレーキのパネルが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、一方のフロントフォークに緩衝器を備えるので、緩衝作用を得られる。その上で、他方のフロントフォークに配線ケーブルが螺旋状に配索されるので、雨や飛び石等の影響を受けにくくすることができるとともに、フロントフォークが軸方向に伸縮しても、配線ケーブルに直接軸力が作用しない。結果、伸縮型フロントフォークに適用可能な配線ケーブルを備えた電動自動二輪車を提供することができる。
加えて、フロントフォークの内部に配線ケーブルが挿通されるので、配線及び接続ハーネス等が外観に露出せず、外観の美観性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、配線ケーブルは筒状ガイド部材に面するので、スプリングが伸縮してもスプリングに配線ケーブルが挟まり難くできる。結果、配線ケーブルに特別な対策を講じる必要がなく、配線ケーブルのコストの低減を図ることができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、フロントフォークが伸縮する際、樹脂ベルトがフロントフォークの内面に接触するので配線ケーブルが直接フロントフォークの構成部材と接触し難くでき、配線ケーブルの摩耗を抑えることができ、安価な配線ケーブルを使用することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、配線ケーブルの外径よりも樹脂ベルトの幅が大きいので、樹脂ベルトの幅内への配線ケーブルの固定が容易であり、配線ケーブルの外方側全部を樹脂ベルトで覆うことができ、より確実に摩耗を抑えることができる。
【0020】
請求項5に係る発明では、一方のフロントフォークとフロントホイールの間にブレーキディスクを配置することで、逆側である他方のフロントフォーク側ではブレーキディスクが邪魔にならず、配線ケーブルの取付作業を容易に行うことができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、一方のフロントフォーク側にドラムブレーキのパネルを配置することで、逆側である他方のフロントフォーク側ではドラムブレーキのパネルが邪魔にならず、配線ケーブルの取付作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る電動自動二輪車の左側面図である。
【図2】電動自動二輪車の要部の断面図である。
【図3】配線ケーブルの要部の斜視図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】電動自動二輪車の作用図である。
【図6】図2の変更例を示す図である。
【図7】図6の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、図中の矢印(FRONT)は車両前方を表している。
【実施例】
【0024】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、電動自動二輪車10は、ヘッドパイプ11に回転可能に支持されるステアリング軸12と、このステアリング軸12の上端に取付けられているハンドル13と、ステアリング軸12の下端に取付けられ左右一対のフロントフォーク20Lの上端を支持するボトムブリッジ14と、ヘッドパイプ11の上方に配置され車両前方に向かって点灯する前照灯15と、フロントフォーク20Lに支持され上方がフロントフェンダ16に覆われる前輪17とを有する。
【0025】
前輪17は、車輪軸21に支持されるフロントホイール18と、タイヤ部19とからなる。フロントホイール18を回すモータ50は、フロントフォーク20Lに取付けられると共にフロントホイール18に収容される。
【0026】
また、車体フレーム30は、ヘッドパイプ11から後下がりに延びるメインフレーム31と、このメインフレーム31の後端部から後上がりに延ばされ直接又は間接的にシート41を支持するシートレール32と、ヘッドパイプから下方に延びるダウンフレーム33とを備える。
【0027】
ダウンフレーム33の下部にエンジンハンガ34が固定され、メインフレーム31の後部にピボットプレート35が固定され、エンジンハンガ34及びピボットプレート35にエンジン36が取付けられる。エンジン36には、吸気装置37及び排気装置38が接続される。
【0028】
ピボットプレート35にピボット軸42を介してスイングアーム43の前端部が上下に揺動可能に設けられ、このスイングアーム43の後端部に後輪44が回転可能に設けられている。さらに、スイングアーム43の下部とメインフレーム31後側下部とにリンク機構45が設けられ、このリンク機構45にリヤクッション46の下部が取付けられ、メインフレーム31の後側上部にリヤクッション46の上部が取付けられる。
【0029】
シートレール32の後部にリヤフェンダ47が設けられ、リヤフェンダ47の後側上部にブレーキランプ48が配置される。
【0030】
次に電動自動二輪車10の要部について説明する。
図2に示されるように、前輪17は、左右一対のフロントフォーク20L、20R(Lは、左を示す添え字であり、Rは、右を示す添え字である。以下同じ)に支持される車輪軸21に回転可能に設けられる。詳しくは、車輪軸21にベアリング51を介してホイールハブ52が回転自在に設けられ、このホイールハブ52にフロントホイール18がスタッドボルト53により取付けられる。モータ50は、ホイールハブ52内に収容される。
【0031】
モータ50は、車輪軸21を軸にして回転するロータ54と、フロントフォーク20Lに固定されるステータ55とを備える。ホイールハブ52には、車輪軸21回りに対してロータ54の外周よりも外方に車幅方向左に開口したハブ環状端部56が設けられる。
【0032】
フロントフォーク20Lに、ハブ環状端部56の外周を覆うようにして車体側固定部57が一体的に形成される。車体側固定部57は、車輪軸21回りに対してハブ環状端部56よりも外方に車幅方向右に開口した固定部環状端部58が設けられる。ハブ環状端部56は、車体中心59を越えて車幅方向左に延出され、車輪軸21の軸直角方向において固定部環状端部58と重なる。
【0033】
フロントホイール18には、制動機構60が設けられる。制動機構60は、車体中心59より車幅方向右に配置される。一方、モータ50は、車体中心59より車幅方向左に配置される。
【0034】
制動機構60は、ホイールハブ52にボルト61により固定されるブレーキディスク62と、フロントフォーク20Rに固定されブレーキディスク62の回転を制動するキャリパ63とから構成される。キャリパ63は、ブレーキディスク62を両側から挟んで制動する一対のブレーキパット64を備える。一方のフロントフォーク20Rとフロントホイール18の間にブレーキディスク62が配置される。また、一方のフロントフォーク20Rは、内部に緩衝器65を備える。
【0035】
また、ロータ54はダンパ66を介してホイールハブ52と連結される。ロータ54は、車輪軸21に回転可能に支持される動力伝達部材67に連結される。動力伝達部材67の外周部において、ホイールハブ52とロータを連結するダンパ66が設けられている。
【0036】
車輪軸21は、先端にねじ部が形成される。車輪軸21は、フロントフォーク20L、20Rの先端の軸穴に通され、ねじ部にナット68を締め付けることで固定される。車輪軸21に、図右側から、車体側固定部57、カラー71、ベアリング72、カラー73、ベアリング72、カラー74、ベアリング51及びカラー75が装着され、ナット68を車輪軸21先端のねじ部に締め付けることにより、フロントフォーク20L、20R間に固定される。車輪軸21にカラー71、73、74、75を入れることで、ベアリンク72、72、51がそれぞれ位置決めされる。車体側固定部57には、ステータ55がボルト76で固定される。
【0037】
車体側固定部57内において、ステータ55の内側に磁気センサ81が設けられ、この磁気センサ81がロータ54に設けられた磁石82を検知することで、ロータ54の回転を検知する。その信号線及びモータ50へ通電する電力線は、配線ケーブル100としてまとめられる。配線ケーブル100は、車体側固定部57に設けられた配線通路91を通ってフロントフォーク20Lに導かれる。
【0038】
ロータ54は、断面が略コの字状の部材であり、ステータ55と対向する内周面に磁石83が設けられる。ロータ54の中心部分は、ボルト84で動力伝達部材67のフランジ部85に固定される。動力伝達部材67は、ベアリング72、72により車輪軸21に回転可能に支持される。すなわち、ロータ54は、動力伝達部材67及びベアリング72、72を介して車輪軸21に回転可能に支持される。ロータ54の中心部には、ステータ55中心部に入り込む筒状部86が設けられる。筒状部86の外周にセンサ用の磁石82が固定される。
【0039】
ホイールハブ52は、車輪軸21に固定されたベアリング51と、動力伝達部材67のフランジ部85の外周に設けたベアリング87を介して車輪軸21に回転可能に支持される。また、ホイールハブ52は、図左側から、順次径が大きくなる第1筒状部92、第2筒状部93、第3筒状部を一体的に有する。第1筒状部92がベアリング51を介して車輪軸21支持され、第2筒状部93がベアリング87を介して動力伝達部材67のフランジ部85に支持される。
【0040】
ホイールハブ52は、第1筒状部92の内面側に軸方向の移動を規制するサークリップ95を備える。動力伝達部材67は、内面側に軸方向の移動を規制するサークリップ96を備える。
【0041】
また、ホイールハブ52の第1筒状部92の内面端部とカラー75との間に、オイルシール97が設けられる。ホイールハブ52のハブ環状端部56と、車体側固定部57の固定部環状端部58との間に、オイルシール98が設けられる。結果、ホイールハブ52とカラー75との間から水や塵等が浸入する心配がない。ホイールハブ52と車体側固定部57との間から水や塵等が浸入する心配がない。
【0042】
フロントフォーク20Lは、フロントホイール18に車輪軸21を介して取付けられ車体側固定部57と一体的に形成される外筒22と、この外筒22に摺動自在に収納され配線ケーブル100を覆う内筒23と、外筒22に収納され内筒23を付勢するスプリング24と、このスプリング24の内側に配置され前記配線ケーブルを収納する筒状ガイド部材25とを備える。
【0043】
筒状ガイド部材25は、下端にフランジ部26を有する。このフランジ部26にスプリング24の一端を載せ、スプリング24の他端で内筒23の端部を付勢する。筒状ガイド部材25はスプリング24により押さえられるので、位置がずれることはない。結果、配線ケーブル100は、直接スプリング24に接触することはない。
【0044】
外筒22の上部内側にカラー27が設けられ、外筒22の上端部にダストシール28が設けられる。ダストシール28を設けることで、外筒22と内筒23の摺動面に塵等が入る心配はない。
【0045】
配線ケーブル100は、モータ50から引き出された位置にコネクター101を備える。フロントフォーク20Lの外筒22は、配線通路91から外筒22の内部に入る入口部102に、配線ケーブル100を支持する下部弾性部材103が設けられる。また、内筒23の内周には、配線ケーブル100を支持する上部弾性部材104が設けられる。
【0046】
配線ケーブル100は、下部弾性部材103と上部弾性部材104との間において、カールコード状を呈する螺旋部105を有する。
【0047】
次に配線ケーブル100について説明する。
図3に示されるように、配線ケーブル100には、筒状ガイド部材25側の面に樹脂ベルト106が付設される。樹脂ベルト106は、弾性を有する樹脂製の材料で構成され、任意の位置において、複数のガイドクリップ107により配線ケーブル100に留められている。複数箇所をガイドクリップ107で留めるので、樹脂ベルト106が配線ケーブル100からずれる心配はない。
【0048】
次に樹脂ベルト106について説明する。
図4に示されるように、配線ケーブル100は、樹脂ベルト106の外面108が筒状ガイド部材25側の内面111に対向するように配置される。ガイドクリップ107は、配線ケーブル100を覆う円弧部112と、樹脂ベルト106の外面108に引っ掛かる折り曲げ部113とからなる。
【0049】
樹脂ベルト106と筒状ガイド部材25との間には隙間114があるので、配線ケーブル100は上下方向に自由に移動することができる。
【0050】
配線ケーブル100の外径はDである。樹脂ベルト106の厚さはaであり、幅はbである。また、a<bであり、横方向の振動に対応可能である。D<bであり、配線ケーブル100は樹脂ベルト106から外れ難く、配線ケーブル100を樹脂ベルト106に確実に固定することができる。
【0051】
以上の述べた電動自動二輪車10の作用を次に述べる。
図5(a)に示されるように、電動自動二輪車10に路面121からの衝撃が加わると、路面反力を吸収するために、フロントフォーク20L、20Rが矢印(1)のように縮む。
【0052】
すると、図5(b)に示すように、配線ケーブル100の螺旋部105が矢印(2)のように縮む。配線ケーブル100は、樹脂ベルト106があるので、直接円筒ガイド部材25に接触することはない。
【0053】
次に、図2の変更例を図6に基づいて説明する。なお、図2に示した構成と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
図6に示されるように、フロントフォーク20Lは、その下端部が車輪軸21に揺動可能に支持されている。フロントフォーク20Lとは別体で、フロントフォーク20Lに隣接して且つ車輪軸21に固定部材131が設けられる。固定部材131は外方側に凸部132を有し、この凸部132がフロントフォーク20Lに設けられた回り止め部133に係合することで、固定部材131は車輪軸21に対して回転せずに固定される。
【0054】
また、固定部材131の外方側の貫通穴134にグロメット135が設けられる。モータ50からの配線ケーブル100は、グロメット135を通すことで外部へ導かれる。そして、コネクター101を介してフロントフォーク20L内の配線ケーブル100に接続される。
【0055】
次に、図6の変更例を図7に基づいて説明する。なお、図6に示した構成と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
図7に示されるように、フロントフォーク20Rの内部に螺旋状の配線ケーブル100が挿通される。フロントフォーク20Lの内部に緩衝器65が備えられる。フロントフォーク20L側に制動機構としてのドラムブレーキ140が配置される。
【0056】
ドラムブレーキ140は、ホイールハブ52の車幅方向外方側のドラム部141と、このドラム部141の開口142を塞ぐパネル143と、このパネル143の車幅方向内側に設けられシュー144を揺動可能に支持するアンカーピン145と、このアンカーピン145に対向するようにパネル143に回転可能に設けられ回転することでシュー144を押しひろげるカム146と、パネル143の車幅方向外側に配置されカム146に接続されるアーム147とを有する。
【0057】
以上に述べた電動自動二輪車10の作用を以下に記載する。
図2に示す構成により、一方のフロントフォーク20Rに緩衝器65を備えるので、緩衝作用を得られる。その上で、他方のフロントフォーク20Lに配線ケーブル100が螺旋状に配索されるので、雨や飛び石等の影響を受けにくくすることができるとともに、フロントフォーク20L、20Rが軸方向に伸縮しても、配線ケーブル100に直接軸力が作用しない。結果、伸縮型フロントフォーク20Lに適用可能な配線ケーブル100を備えた電動自動二輪車10を提供することができる。加えて、フロントフォーク20Lの内部に配線ケーブル100が挿通されるので、配線及び接続ハーネス等が外観に露出せず、外観の美観性の向上を図ることができる。
【0058】
図2に示す構成により、配線ケーブル100は筒状ガイド部材25に面するので、スプリング24が伸縮してもスプリング24に配線ケーブル100が挟まれ難くできる。結果、配線ケーブル100に特別な対策を講じる必要がなく、配線ケーブル100のコストの低減を図ることができる。
【0059】
図3に示す構成により、フロントフォーク20Lが伸縮する際、樹脂ベルト106がフロントフォーク20Lの内面111に接触するので配線ケーブル100が直接フロントフォーク20Lの構成部材と接触し難くでき、配線ケーブル100の摩耗を抑えることができ、安価な配線ケーブル100を使用することができる。
【0060】
図4に示す構成により、配線ケーブル100の外径Dよりも樹脂ベルト106の幅bが大きいので、樹脂ベルト106の幅b内への配線ケーブル100の固定が容易であり、配線ケーブル100の外方側全部を樹脂ベルト106で覆うことができ、より確実に摩耗を抑えることができる。
【0061】
図2に示す構成により、一方のフロントフォーク20Rとフロントホイール18の間にブレーキディスク62を配置することで、逆側である他方のフロントフォーク20L側ではブレーキディスク62が邪魔にならず、配線ケーブル100の取付作業を容易に行うことができる。
【0062】
図7に示す構成により、一方のフロントフォーク20L側に制動機構としてのドラムブレーキ140のパネル143を配置することで、逆側である他方のフロントフォーク20R側ではドラムブレーキ140のパネル143が邪魔にならず、配線ケーブル100の取付作業を容易に行うことができる。
【0063】
尚、本発明に係る電動自動二輪車は、実施の形態では車幅方向右側に緩衝器65を有するフロントフォーク20Rを配置し、車幅方向左側に配線ケーブル100を挿通するフロントフォーク20Lを配置したが、これに限定されず、左右のフロントフォーク20L、20Rにおいて、緩衝器65と配線ケーブル100の配置を逆にしても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の電動自動二輪車は、左右一対のフロントフォークを備える電動自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0065】
10…電動自動二輪車、18…フロントホイール、20L、20R…フロントフォーク、22…外筒、23…内筒、24…スプリング、25…筒状ガイド部材、50…モータ、62…ブレーキディスク、65…緩衝器、100…配線ケーブル、105…螺旋部、106…樹脂ベルト、b…樹脂ベルトの幅、D…配線ケーブルの外径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントホイール(18)を回転可能に支持する左右一対のフロントフォーク(20L、20R)と、このフロントフォーク(20L)に取付けられると共に前記フロントホイール(18)内に収容されるモータ(50)と、前記フロントフォーク(20L)に沿って配索され前記モータ(50)へ通電する配線ケーブル(100)とを備える電動自動二輪車(10)において、
前記左右のフロントフォーク(20L、R)の一方は、内部に緩衝器(65)を備え、
前記左右のフロントフォーク(20L、R)の他方は、内部に螺旋状の前記配線ケーブル(100)が挿通されていることを特徴とする電動自動二輪車。
【請求項2】
前記他方のフロントフォーク(20L、R)は、前記フロントホイール(18)に取付けられる外筒(22)と、この外筒(22)に摺動自在に収納され前記配線ケーブル(100)を覆う内筒(23)と、前記外筒(22)に収納され前記内筒(23)を付勢するスプリング(24)と、このスプリング(24)の内側に配置され前記配線ケーブル(100)を収納する筒状ガイド部材(25)とを備えることを特徴とする請求項1記載の電動自動二輪車。
【請求項3】
前記配線ケーブル(100)には、前記筒状ガイド部材(25)側の面に樹脂ベルト(106)が付設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動自動二輪車。
【請求項4】
前記樹脂ベルト(106)の幅(b)は、前記配線ケーブル(100)の外径(D)よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の電動自動二輪車。
【請求項5】
前記一方のフロントフォーク(20L、R)と前記フロントホイール(18)の間にブレーキディスク(62)が配置されていることを特徴とする請求項1記載の電動自動二輪車。
【請求項6】
前記一方のフロントフォーク(20L、R)側にドラムブレーキ(140)のパネル(143)が配置されていることを特徴とする請求項1記載尾の電動自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−6528(P2013−6528A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140760(P2011−140760)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】