説明

電圧感応状態遷移誘電体材料を用いる無線通信デバイス

【課題】無線通信デバイスの一部としての電圧感応状態遷移誘電体(VSD)材料の使用を提供する。
【解決手段】RFIDタグのような無線通信デバイスに材料の特性電圧レベルをこえる電圧が印加されない限り誘電性である材料が設けられる。そのような電圧が存在すると、材料は導電性になる。そのような材料のデバイスへの一体化は機械的及び/または電気的とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2005年11月22日に出願された、名称を「電圧感応状態遷移誘電体材料を用いるRFIDタグ(RFID Tag Using Voltage Switchable Dielectric Material)」とする、米国仮特許出願第60/739725号の優先権を主張する。上記出願の明細書はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【0002】
本出願は、2005年11月29日に出願された、名称を「ESD特性を有する発光デバイス(Light Emitting Devices With ESD Characteristics)」とする、米国仮特許出願第60/740961号の優先権を主張する。上記出願の明細書はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【技術分野】
【0003】
開示される実施形態は全般的には無線通信デバイスに関する。さらに詳しくは、本明細書に開示される実施形態は電圧感応状態遷移誘電体材料が一体化されているかまたは組み込まれている無線通信デバイスを含む。
【背景技術】
【0004】
無線通信デバイス及び応用の数は増加し続けている。その例には、セルラー通信デバイスのためのチップセット及びコンポーネント、WiFi(IEEE802.11またはブルートゥース)を用いる短距離無線通信及び無線周波識別(RFID)タグのような数多くのその他の応用がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RFIDタグは対象物のライフサイクルにわたって対象物の識別及び追跡を行う一般的な手段になりつつある。RFIDタグの用途は広範であり、製造、輸送及び配送において商品及び製品をマークする。RFIDタグは軍事応用及び民生応用のいずれにおいても無線通信に用いることができる。RFIDタグはそれぞれの用途において有効であるが、RFIDコンポーネントは脆弱である。特に、タグは基本的に半導体デバイスであることから、タグは外部環境からのあらゆるタイプの脅威に影響され易い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に説明される実施形態は、(タグまたはチップセットのような)無線通信デバイスの一部としての電圧感応状態遷移誘電体(VSD)材料の使用を提供する。VSD材料は無線通信デバイスのパッケージの一部として設けるかあるいは電気コンポーネント及び素子と一体化するかまたは複合させることができる。1つまたはそれより多くの実施形態で提供されるように、VSD材料の一体化により、静電放電(ESD)及び電気的過負荷(EOS)のような過渡電圧から、また水分、衝撃及びその他の電気的または機械的な脅威からも、(チップセットまたは集積回路のような)無線通信デバイスを保護する。
【0007】
本明細書に開示される実施形態に適用できる無線通信デバイスの例には、RFIDタグ、セルラー通信用IC、(ブルートゥースまたはIEEE802.11標準にしたがって与えられるような)短距離無線通信用IC及びデバイス、及び通信のためにマイクロ波を受信または送信できるその他のデバイスがある。
【0008】
本明細書で用いられるように、「電圧感応状態遷移材料」または「VSD材料」は、材料の特性電圧レベルをこえる電圧がその材料に印加されない限り誘電体すなわち非導電性であり、材料の特性電圧レベルをこえる電圧がその材料に印加された場合には材料が導電性になる、いずれかの組成物または組成物の組合せである。すなわちVSD材料は(例えばESD発生によって与えられるような)特性レベルをこえる電圧が材料に印加されない限り誘電体であり、特性レベルをこえる電圧が材料に印加された場合にはVSD材料は導電性になる。VSD材料は非線形抵抗材料として特徴づけることができるいずれかの材料でもあり得る。
【0009】
様々な種類のVSD材料が存在する。電圧感応状態遷移誘電体材料の例は、米国特許第4977357号明細書、米国特許第5068634号明細書、米国特許第5099380号明細書、米国特許第5142263号明細書、米国特許第5189387号明細書、米国特許第5248517号明細書、米国特許第5807509号明細書、国際公開第96/02924号パンフレット及び国際公開第97/26665号パンフレットのような文献に与えられている。一実施態様において、VSD材料は「SURGX」の商標の下で製造販売されている材料に相当する。
【0010】
1つまたはそれより多くの実施形態は、30〜80%の絶縁体、0.1〜70%の導電体及び0〜70%の半導体を含有するVSD材料の使用を提供する。絶縁材料の例には、高分子シリコーン、エポキシ、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酸化フェニレン、ポリスルホン、ゾルゲル材料、クリーマー、二酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及びその他の金属酸化物絶縁体があるが、これらには限定されない。導電材料の例には、銅、アルミニウム、ニッケル及びステンレス鋼のような金属がある。半導体材料の例には有機半導体及び無機半導体のいずれもが含まれる。無機半導体のいくつかには、シリコン、炭化シリコン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛及び硫化亜鉛がある。有機半導体の例には、ポリ-3-ヘキシルチオフェン、ペンタセン、ペリレン、カーボンナノチューブ及びC60フラーレンがある。VSD材料の特定の用途の最も適する機械的及び電気的特性のための特定の配合及び組成を選ぶことができる。
【0011】
一実施形態にしたがえば、無線通信デバイスは、無線信号の送信または受信を可能にするように構成された一組の導電素子を有する。特性電圧レベルをこえる電圧が印加されると誘電性から導電性に状態遷移する特性を有するVSD材料をデバイスに設けることができる。VSD材料は、特性電圧レベルをこえる電圧に遭遇したときに、デバイスの少なくとも一部が接地されるように配置することができる。
【0012】
一実施形態において、VSD材料はRFIDデバイスの電気的または機械的コンポーネントに一体化される。VSD材料は静電放電(ESD)のような電気的事象からデバイスを保護するように設けることができる。一実施形態にしたがえば、VSD材料はある程度または完全にRFIDデバイスを封入する。
【0013】
さらに、1つまたはそれより多くの実施形態では、その上に無線通信デバイス(例えばRFIDデバイス)が設けられる、下層の基板またはボードの上にVSD材料が組み込まれる。VSD材料は、残りのデバイスのいくつかまたは全てを形成するために引き続いて用いられる基板上に与えることもできる。VSD材料が導電状態にある間に基板上に導電素子を形成するために、電気めっきのような、イオン被着プロセスを用いることができる。
【0014】
さらにまた、VSD材料は、ハウジングまたは中間層に組み込まれるか、あるいは無線通信デバイスに一体化されているかまたは接続されている何か別の形成体に設けられる。
【0015】
一実施形態にしたがえば、無線周波識別信号を生成するためのデバイスが提供される。デバイスは、パッケージ、パッケージ内に設けられる基板及び基板上に設けられた1つまたはそれより多くの論理素子を有する。1つまたはそれより多くの論理素子は、識別データを含む、データを生成することができる。識別情報を搬送する信号を発生する送信コンポーネントを基板上に設けることができる。デバイスはパッケージ内に設けられたVSD材料も有することができる。VSD材料は、VSD材料の特性電圧レベルをこえる電圧に遭遇したときにデバイスの少なくとも一部が接地されるように配置することができる。
【0016】
さらに、無線通信デバイスの導電素子及び導電コンポーネントを形成するための電気めっきまたはその他のイオン被着プロセス中にVSD材料が用いられる、1つまたはそれより多くの実施形態が提供される。一実施形態において、VSD材料層を有するように基板が形成される。VSD材料層を覆って抵抗材料層が設けられる。無線通信デバイスの電気コンポーネントの下になるべき場所を含むパターンを形成するために、抵抗材料が選択的に除去される。これらのコンポーネントには、(i)デバイスに埋設されるべき1つまたはそれより多くの論理素子、(ii)無線通信素子(例えばアンテナ)、(iii)1つまたはそれより多くの論理素子と無線通信素子の間の相互接続素子、(iv)電源または(v)電源と1つまたはそれより多くの論理素子または無線通信素子の間の相互接続素子の内のいずれか1つまたはそれより多くを含めることができる。パターンが形成されると、VSD材料の特性電圧をこえる電圧が基板に印加される。電圧の印加と同時に、導電材料がVSD材料に接合するように、基板が導電材料にさらされる。この結果、少なくともパターンの一部が設けられている場所で基板上に導電線路が形成される。
【0017】
特に、非導電性または抵抗性の材料の除去が無線通信デバイスの特定の導電素子または導電コンポーネントが配置されるべき場所の識別標識に基づく、1つまたはそれより多くの実施形態が提供される。例えば、RFIDデバイスにおいては、選択場所を、アンテナ素子の場所または、アンテナ素子とマイクロチップまたは電源の間を電気的に接続する線路の場所に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】無線周波識別情報を生成するデバイスのためのコンポーネントを示すブロック図であり、デバイスは、本発明の一実施形態にしたがい、電圧感応状態遷移誘電体材料を有するように構成される
【図2A】本発明の一実施形態にしたがう、電圧感応状態遷移誘電体材料が設けられている無線周波識別(RFID)タグデバイスの第1の区画を示す
【図2B】本発明の一実施形態にしたがう、図2Aに示されるようなRFIDタグデバイスの第2の区画を示す
【図2C】本明細書に説明される1つまたはそれより多くの実施形態で用いるための別の応用を示す
【図3】本発明の一実施形態にしたがう、電気コンポーネント及び/または素子にVSD材料が一体化されている無線通信デバイスを形成するための手法を示す
【図4A】本発明の1つまたはそれより多くの実施形態にしたがう、VSD材料を用いるRFIDタグデバイスを形成するためのプロセスの一工程を示す
【図4B】VSD材料を用いるRFIDタグデバイスを形成するためのプロセスの、図4Aの工程に続く、一工程を示す
【図4C】VSD材料を用いるRFIDタグデバイスを形成するためのプロセスの、図4Bの工程に続く、一工程を示す
【図4D】VSD材料を用いるRFIDタグデバイスを形成するためのプロセスの、図4Cの工程に続く、一工程を示す
【図4E】VSD材料を用いるRFIDタグデバイスを形成するためのプロセスの、図4Aの工程に続く、一工程を示す
【発明を実施するための形態】
【0019】
VSD材料を有する無線通信デバイス
図1は、本発明の一実施形態にしたがう、VSD材料が組み込まれているかまたは一体化されている無線通信デバイスを示す。図1で説明されるような無線通信デバイスは、RFIDデバイス、セルラー通信用IC、短距離無線用IC(例えばブルートゥースまたはWiFiデバイス)またはマイクロ波通信コンポーネントに相当することができる。
【0020】
一実施形態において、デバイス100は、通信素子120,論理素子130及び電源140を収めるパッケージ105を有する。パッケージ105は必ずしも全ての用途で必要ではなく、デバイス100が(セルラー電話のような)別のデバイスのハウジング内で結合されるときのような場合には必要ではないことがあり得る。電源140は、通信素子120及び論理素子130に電力を送配するための、能動または受動機構とすることができる。ロジック素子130はIC(例えばマイクロチップ)あるいは回路及びデータを生成できるデバイスの組合せに相当することができる。例えば、RFID用途では、マイクロチップが識別情報を生成でき、通信素子120はマイクロチップから与えられた識別情報を通信する無線周波信号を送波する送信器である。
【0021】
別の無線デバイス実施態様において、通信素子120は検出可能な電場変動を生じさせる誘導性または容量性の素子とすることができる。論理素子130は一層複雑な論理を有することもできる。例えば、セルラーICにおいて、論理素子は、通信素子120から与えられる信号によって様々な処理を行う、プロセッサ及び関連論理に相当することができる。
【0022】
タイプ及び機能に応じて、メモリのような別のコンポーネントをパッケージに収めて電源140及び論理素子130に電気的に接続することができる。例えばRFID用途では、通信素子120は変調のような信号特性を用いて識別情報を与える無線周波信号を発生することができるアンテナに相当することができる。
【0023】
デバイス100が能動電源を有する場合、通常の電池を電源140に含めることができる。デバイス100が受動(例えば受動RFIDデバイス)であれば、電源140は外部の信号またはアプリケーションからエネルギーを生成するパッドまたは受信器に相当することができる。例えば、受信器として、別のデバイスから無線周波信号を受け取り、次いで通信素子120及び論理素子130を作動させるための内部電力信号を生成するように電源140を構成することができる。
【0024】
相互接続素子122により、識別情報及びその他のデータの論理素子130から通信素子120への通信を可能にすることができる。同様に、電力接続素子142により、電源140から通信素子120及び/または論理素子130に電力を送配することができる。電源140は独立コンポーネントとして示されているが、分布素子として、または他の素子と複合させて、実装することができる。例えば、他の素子に、外部無線周波信号の印加によるそれらの素子及び周辺素子の作動を可能にするための受信器パッドを設けることができる。
【0025】
一実施形態において、VSD材料はデバイス100の電気コンポーネント及び素子に一体化するかまたは組み込むか、そうではなくとも複合させることができる。1つまたはそれより多くの実施形態にしたがえば、通信素子120,通信素子120と論理素子130の間を電気的に接続する相互接続素子122及び電力接続素子142にVSD材料を一体化するかまたは複合させることができる。VSD材料110のためには他にも多くの場所が存在する。例えば、論理素子130をVSD材料110と一体化するかまたは複合させることができ、あるいはVSD材料上またはその近くに配置することができる。同様に、電源140を構成する受信器をVSD材料110と複合させるかまたは一体化することができる。デバイス100の電気コンポーネントまたは素子と複合されるかまたは一体化された場合、VSD材料110はESD事象及びEOSに対する保護を提供することができる。さらに、別の実施形態で説明されるように、デバイス100の電気コンポーネント及び素子を含む導電素子のVSD材料110との一体形成を可能にするために、電気めっき及び他の金属被着プロセスにおいて、既設のVSD材料110を利用することができる。
【0026】
上述した実施形態に加えて、またはそれとは別に、VSD材料110はデバイス100の機械的構造と複合させるかまたは一体化することができる。一実施形態において、VSD材料は110はパッケージ105の組成の一部または全てを形成することができる。VSD材料はデバイス100の様々な電気コンポーネントを封入するためにはたらく別の組成の一部を形成することもできる。さらなる態様または別の態様として、VSD材料110はパッケージ105の各部を接合するために用いることもできる。機械的構造とともに用いられる場合、VSD材料110は高レベルの静電放電をもたらす事象のような様々な事象に対する保護を提供することができる。
【0027】
VSD材料をもつRFIDタグ
図2A及び2Bは、本発明の一実施形態にしたがう、VSD材料を用いるRFIDデバイスの構成を示す。図2Aの実施形態はRFIDデバイスの第1の区画210に設けられた電気コンポーネントを示し、図2Bの第2の区画260は主として封入を提供する。別の実施態様では電気コンポーネント及び素子が区画210及び260のいずれにも設けられる。
【0028】
図2Aに示される実施形態において、第1の区画210は、論理素子としてのマイクロチップ220,通信素子用アンテナ224及び電源230を有する。マイクロチップ220は、そのRFIDデバイスに固有または特有である識別情報を含む、データを生成する。アンテナ224は、エネルギーが与えられると無線周波信号を発することができる導電線路で形成することができる。相互接続222によりマイクロチップ220とアンテナ224の間を電気的に接続できる。マイクロチップ220が作動させられると、マイクロチップはアンテナ224上に識別情報及びその他のデータの信号を送ることができ、データ信号はRFIDスキャナまたは読取器に対して発せられる。
【0029】
アンテナ224で発せられた無線周波信号は識別情報に対応する特性(例えば周波数)を有することができる。図示される実施態様において、アンテナ224は同心に配列された複数の線路素子225を有する。別の線路配列またはパッドをアンテナ224に用いることもできる。
【0030】
一実施態様において、電源230はアンテナ224及びマイクロチップ220を作動させるために電力信号を発生するオンボード電池に相当する。別の実施態様において、電源230は、外部から印加される無線周波信号を受信してその無線周波信号でエネルギーを与えられるパッド、すなわち分布電気線路及び/またはリソースに相当することができる。後者の場合、電源は別の目的のためにはたらく導電素子とは別にすることができ、またはそのような導電素子と複合させることができる。電源230からその他の素子及びコンポーネントに電力を送る導電リード及び導電線路は電力接続素子232と称される。
【0031】
区画210及び260の複合で形成されるRFIDデバイスには数多くの場所のどこにでもVSD材料を設けることができる。位置242〜250は、本発明の1つまたはそれより多くの実施形態にしたがい、VSD材料をRFIDデバイスに一体化することができると考え得る場所を代表している。位置242〜250はデバイス上のその他の同様な位置または領域を代表しているから、与えられた個々の位置242〜250のいずれかにおけるVSD材料の議論は、その1つの位置によって代表される同種の場所に適用できる。
【0032】
位置242〜246は、VSD材料をRFIDデバイスの電気素子またはコンポーネントと複合または一体化させることができる、RFIDデバイスの場所または領域を代表している。一実施形態にしたがえば、VSD材料は位置242で代表される場所に設けることができる。そのような場所においては、VSD材料をRFIDデバイスの電源230と他の素子の間を電気的に接続する導電性電力接続素子232と複合または一体化させることができる。
【0033】
追加または別の実施形態として、位置244で代表される場所にVSD材料を設けることができる。そのような場所においては、VSD材料をアンテナ224を形成する線路素子225と複合または一体化させることができる。このようにすれば、RFIDデバイスのアンテナ素子224に、あるいはアンテナ素子224の一部として、VSD材料を設けることができる。
【0034】
同様に、位置246で代表される場所にVSD材料を設けることができる。そのような場所においては、VSD材料をマイクロチップ220とアンテナ224の間を電気的に接続する相互接続素子222と複合または一体化させることができる。その他の様々な実施形態にしたがえば、数多くのほかの場所にもVSD材料を設けることができる。例えば、マイクロチップ220または電源230の下に、あるいはマイクロチップ220または電源230に、VSD材料を設けることができる。
【0035】
VSD材料をそれによって電気コンポーネント及び素子と複合または一体化させることができる態様は様々であり得る。一実施形態において、VSD材料は電気コンポーネントまたは素子(例えばアンテナ224の線路225)の上にまたはそれに隣接させて被着することができる。あるいは、図4A〜4Eで示されるような実施形態で説明されるように、説明される様々な場所に設けられる導電素子を(例えば接合または被着によって)形成するためにVSD材料を用いることができる。
【0036】
機械的には、RFIDデバイス用途に適する物理特性を有するように多くの材料の内のいずれかで第1の区画210及び第2の区画260を形成することができる。例えば、区画210及び260は、デバイスが曲げまたは撓みを受け得る用途に適するケース202を形成するために可撓性材料で形成することができる。あるいは、例えばデバイスが叩かれるか、落とされるかまたは物理的に酷使され得る、別の用途のためのケース202を形成するために硬質材料を用いることができる。VSD材料が電気素子またはコンポーネントと一体化または複合される実施形態とは別に、またはそのような実施形態に加えて、VSD材料がRFIDデバイスの機械的コンポーネントまたは構造体と一体化または複合される、1つまたはそれより多くの実施形態が提供される。図2A及び2Bを参照すれば、位置248で代表される場所にVSD材料を設けることができる。そのような位置においては、VSD材料をケース202と複合または一体化させることができる。あるいは、ケースの下側に取り付けられる層または厚さとして、あるいは区画210または260にかけて延びるストリップとして、VSD材料を設けることができる。一実施形態において、ケースに用いられる材料の物理的性質または特性にVSD材料の配合を整合させることができる。例えば、ケース202の組成に整合するようにVSD材料の組成を変えることができる。
【0037】
図2A及び2Bを参照すれば、区画210及び260を接合するためにVSD材料を接合材として位置250で代表される場所に設けることができる、1つまたはそれより多くの実施形態も提供される。一実施形態にしたがえば、VSD材料の組成は接合特性を強化するように構成することができる。位置250で代表される場所に設けられる場合には、VSD材料は区画210と260の間の接合を容易にすることができる。
【0038】
図2Cは本明細書に説明される1つまたはそれより多くの実施形態で用いるための別の応用を示す。図2Cの実施形態において、無線デバイス270は、プロセッサ276(またはICまたはその他の論理素子)及びその他のリソース278(例えばメモリ)のようなコンポーネントがその上に配置される基板274を有する。通信素子280(送信器/受信器)も基板上274上に設けることができる。通信素子280は、(例えばセルラー通信範囲またはIEEE802.11で定められる範囲におけるような)無線周波信号を発生または受信することができ、あるいは誘導性または容量性の電場変動を与えるかまたは検出することができる。
【0039】
線路275及びリードの形態の数多くの導電素子をプロセッサ276とリソース278の間に分布配置することができる。オンボード電池の形態または無線送信電力を受け取るための受信器の形態の、電源282も基板274に設けることができる。基板274には、プロセッサ276との信号通信を可能にするための、出力及び入力通信線路284,285も設けることができる。一実施態様において、出力及び入力通信線路284,285は、別のプロセッサによるプロセッサ276からの通信の受信を可能にするためのコネクタまたはポートまで延びる(例えばフレキシブルケーブルとする)ことができる。一実施態様において、出力及び入力通信線路284,285は、無線通信ポートを有効にするために無線通信素子280まで延びることができる。
【0040】
1つまたはそれより多くの実施形態にしたがえば、VSD材料をデバイス270の機械素子または電気素子に一体化するかまたは組み込むことができる。位置292で代表される場所は、VSD材料を通信素子280に組み込むかまたは一体化し得ることを示す。位置294で代表される場所は、VSD材料を出力または入力通信線路284,285に組み込むかまたは一体化し得ることを示す。さらに、図2Aの実施形態(RFID用途)で説明したように、デバイス270のその他の様々なリソース、コンポーネント及び導電素子にVSD材料を一体化するかまたは組み込む、1つまたはそれより多くの実施形態が提供される。例えば、VDS材料は、(i)電源282及び/または電源282から延びる電力線路、あるいは(ii)プロセッサ276及びプロセッサ276と通信素子282またはその他のリソース278の間を通信接続する導電線路に一体化するかまたは組み込むことができる。
【0041】
図2A及び図2Bの実施形態でも説明したように、VSD材料はデバイス270のハウジングまたはその他の機械的構造と複合させることができる。VSD材料は、素子またはハウジングを機械的に保持するために、接合材とともに用いるかまたは接着剤の代りに用いることができる。
【0042】
図2A〜図2Cで説明した実施形態のいずれに関しても、VSD材料は、無線通信デバイス(例えばRFIDタグ)の破壊電圧より低い特性電圧レベルを有するように設計するかまたは選ぶことができる。言い換えれば、無線通信デバイスを動作不能にするであろう最小電圧レベル(例えばサージによる過渡電圧)よりもVSD材料の特性電圧レベルが低い、実施形態を提供することができる。
【0043】
VSD材料を有するデバイスの形成
図3は、本発明の一実施形態にしたがう、その電気コンポーネント及び/または素子とVSD材料が一体化されている無線通信デバイスを形成するための手法を示す。図3で説明されるような方法は、(例えば、RFIDタグ、セルラー通信用IC、WiFi/ブルートゥース用IC等の)無線周波信号、マイクロ波信号、及び誘導性又は容量性の応用のための信号を含む、信号を送信するデバイスに用いることができる。
【0044】
VSD材料を用いて電気回路及びコンポーネントを電気めっきするかまたは形成するための一般的手法は、1999年8月27日に出願され、今は期限が切れている、米国仮特許出願第60/151188号の優先権を主張する、1999年11月10日に出願され、今は放棄されている、米国特許出願第09/437882号の継続出願である、レックス・コソウスキー(Lex Kosowsky)を単独の発明者として2002年12月9日に出願された、名称を「電圧感応状態遷移誘電体材料を用いる電流伝導構造(Current Carrying Structure Using Voltage Switchable Dielectric Material)」とする(米国特許出願第10/315496号であった)米国特許第6797145号の継続出願である、レックス・コソウスキーを単独の発明者として2004年9月14日に出願された、名称を「電圧感応状態遷移誘電体材料を用いる電流伝導構造」とする、米国特許出願第10/941226号の明細書に説明されている。上記出願の明細書の全ては、全ての目的に対してそれぞれの全体が本明細書に参照として含まれる。
【0045】
工程310により、VSD材料が基板または導電コンポーネント及び素子がその上に設けられるべき表面に与えられる。基板上に被着することができるVSD材料の量は、説明されるプロセスの用途に応じて、1μm厚から1000μm厚の範囲にある。
【0046】
工程320において、VSD材料を覆って非導電材料層が設けられる。例えば、VSD材料覆ってフォトレジスト材料を被着することができる。
【0047】
工程330により、基板上で非導電材料層のパターン形成が行われる。パターン形成により、無線デバイスの各領域が含まれることになるその後の導電素子の形成と位置が一致する領域が露出される。例えば、信号を送り出すための誘導性または容量性の素子を含む送信素子の形成と一致すべき露出領域を選択して指定するようにパターンを形成することができる。一実施形態において、非導電層のパターン形成のためにマスクを適用することができる。パターンの露出領域はデバイスのための送信コンポーネントを形成することになる導電素子またはコンポーネントの場所と一致する。図1で説明したような無線デバイスについては、露出領域は通信素子のための線路が設けられるべき場所に一致する。別の例として、図2A及び図2Bの実施形態を参照すれば、パターンはREIDデバイスのためのアンテナ224が設けられることになる場所を定めることができる。別の実施態様において、パターンは様々な種類の無線デバイスのための誘導性または容量性の信号通信素子を設けることができる場所を定めることができる。
【0048】
工程340において、VSD材料の誘電状態から導電状態への遷移が起発される。VSD材料に材料の特性電圧レベルをこえる電圧が印加される。この電圧は、VSD材料を含む厚さに、あるいはVSD材料の下にある基板の一部に印加することができる。後者の場合、VSD材料の下にある基板部分は電荷がVSD材料に運ばれるように導電性とする(例えば銅またはその他の材料で形成する)ことができる。基板の方向におけるVSD材料による線形伝導を回避するため、導電性基板への電圧の印加が望ましい場合があり得る。印加電圧は定常(例えばDC)電圧またはパルス電圧とすることができる。
【0049】
VSD材料が導電性である間にパターンの露出領域内に導電素子(例えば線路)を形成するためのプロセスが実施される、工程350が提供される。非導電層のパターンで定められた露出領域内にイオン性媒質を被着するための多くのプロセスのいずれをも実施することができる。一実施態様において、VSD材料及びパターン形成されたフォトレジスト材料を有する基板が電解質溶液に浸漬される、電気めっきプロセスが実施される。
【0050】
別の実施態様として、粉末コーティングプロセスを用いるイオン性被着が実施される。このプロセスでは、粉末粒子を帯電させて、パターンによって定められた露出領域に与える。粉末の被着は、露出領域上の粉末の堆積あるいは粉末浴内への基板の浸漬によって達成できる。
【0051】
さらにまた別の実施態様では、エレクトロスプレイプロセスを用いることができる。イオン性媒質は荷電粒子の形態で溶液内に含めることができる。VSD材料が導電性である間に、溶液が基板に与えられる。スプレイの印加にはインクまたは塗料の使用を含めることができる。
【0052】
他の被着手法、例えば物理的気相成長(PVD)プロセスまたは化学的気相成長(CVD)プロセスのような気相成長プロセスも、VSD材料が導電状態にあるときにVSD材料上のイオン被着を実施するために用いることができる。PVDでは金属イオンがチャンバ内に導入されて気体イオンと結合する。基板上のVSD材料は、チャンバ内のイオンを引きつけてイオンと結合するように、導電性にして逆極性の電荷をもたせることができる。CVDでは基板表面上のVSD材料にイオン性材料の膜を被着させることができる。
【0053】
工程360において、非導電性材料を(必要に応じて)基板から除去して、形成された導電素子を残すことができる。一実施態様において、フォトレジスト材料を除去するために、塩基性溶液(例えばKOH)または水が基板に与えられる。導電素子は、基板の様々なコンポーネント及び/または領域を相互接続するように配置された、リード、線路及びその他の素子とすることができる。
【0054】
フォトレジスト層の除去に続いて、電気素子が形成されている基板に研磨工程が実施される、1つまたはそれより多くの実施形態が提供される。一実施形態において、基板を研磨するために化学的/機械的研磨が用いられる。
【0055】
得られた基板は、過渡電圧及びEOSに対処できる能力が内在する電気素子を有する。無線通信デバイスに関しては、デバイスのアンテナまたは通信素子を含む線路素子をその他の素子またはコンポーネントとともに形成するために、図3に説明されるようなプロセスを用いることができる。基板が形成されると、マイクロチップのようなデバイス、メモリコンポーネント及びその他のデバイスを、導電コンポーネント及び素子のパターンと一致するあらかじめ定められた位置で、基板上に搭載することができる。
【0056】
用途に応じて別の工程を実施することができる。例えば、導電素子をもつ基板をケース内に取り付けることができる。ケース自体もさらにVSD材料を有することができる。得られるデバイスは、無線周波信号、マイクロ波信号または誘導性/容量性用途のための信号のための送信器とすることができる。
【0057】
図4A〜図4Eは、本発明の1つまたはそれより多くの実施形態にしたがう、RFIDデバイスを形成するためのプロセスを示す。図4A〜図4Eで説明されるようなプロセスは、VSD材料をRFIDデバイスの電気コンポーネント及び素子と一体形成するために実施することができる。とりわけ、VSD材料の使用により、RFIDデバイスを形成するためのプロセスが簡単になり、同時にRFIDデバイスの電気コンポーネントまたは素子にEOSまたはESD事象に対処できる能力を内在させることが可能になる点が有利である。特に、RFIDデバイスの電気コンポーネントへのVSD材料の一体化により、(ESD事象がおこったときのような)過渡電圧が存在するときに、VSD材料によるデバイスの接地が可能になる。
【0058】
図4Aに示される工程において、VSD材料412をもつ基板410が形成される。一実施態様にしたがえば、VSD材料は下層基板408を覆う層として被着される。
【0059】
続いて、図4Bは基板410上に非導電層420が被着される工程を示す。非導電層420は、例えば、フォトレジスト材料に相当することができる。
【0060】
図4Cに示される工程において、非導電層にパターンが形成されて、露出領域430が形成される。得られるパターンは、説明されている形成プロセスの結果としてRFIDデバイス上に設けられることになる導電素子及びコンポーネントのパターンに相当する。
【0061】
図4Dで説明される工程において、図4Cの工程で形成されたパターンによって定められる露出領域430上に導電素子440が形成される。一実施形態にしたがえば、VSD材料412の特性電圧をこえる電圧が基板410に印加される。電圧印加の結果、VSD材料412は誘電性から導電性に状態遷移する。電圧の印加によってVSD材料412が導電性になると、パターンで定められる露出領域にイオン性媒質が被着されて、電気素子及びコンポーネントが形成される。
【0062】
一実施態様において、イオン性媒質被着は電気めっきプロセスを用いて実施される。電気めっきプロセスにおいては、基板410が電解質溶液に浸漬され、パターンで定められる露出領域において(導電状態にある)VSD材料に溶液からイオン性媒質が結合する。この工程の結果、基板410上に導電材料440が形成され、VSD材料412は、導電材料440の形成の結果得られるであろう導電素子またはコンポーネントの下になる。
【0063】
図3の実施形態で説明したように、下層基板408は金属のような導電材料で形成することができる。電圧の印加は、VSD材料412に直接ではなく、基板408と一致する接触点で行うことができる。例えば、電圧は基板408の下側に与えることができる。そのような電圧の印加は、例えばVSD材料の線形(すなわち横方向)伝導を回避するために実施することができる。
【0064】
同じく説明したように、電圧の印加は定常的電圧またはパルス電圧で行うことができる。
【0065】
別のイオン性媒質被着プロセスを実施することができる。例えば、図3の実施形態で説明したように、パターンで定められる露出領域に帯電粉末粒子を被着するために粉末コーティングプロセスを用いることができる。あるいは、溶液内のイオン性媒質にエレクトロスプレイで力を加えて、パターンで定められる露出領域に電気材料を結合及び形成することができる。
【0066】
図4Eの工程において、非導電層420が除去され、基板上の導電層440が研磨されるかまたは別の方法で厚さが減じられて、RFIDデバイスの線路、リード及びコンポーネントのいくつかまたは全てが形成される。非導電層420の除去は、そのような材料の層を保持することが望ましいいくつかの用途では省略することができる。
【0067】
図4Eは、説明されるプロセスの結果、どのようにRFIDデバイスのコンポーネント及び素子が形成され得るかを示す。一実施形態において、VSD材料412は、例えば、(i)RFIDデバイスのアンテナ474を形成し、(ii)マイクロチップ492とアンテナ474の間を電気的に接続する相互接続476を形成する、線路素子と一体化され、そのような線路素子の下にある。電池494の下にある線路素子または電池494からアンテナ474及び/またはマイクロチップ492に電力を送る線路素子478の下にVSD材料412がある、1つまたはそれより多くの実施形態も提供することができる。
【0068】
図4A〜4Eで説明されるような実施形態により、VSD材料の上に重なり、したがって、例えばESDで生じ得る過渡電圧を接地することができる能力が内在する、RFIDデバイス内の電気コンポーネント及び素子の形成が可能になる。従来の手法に比較して、数の少ない製造工程を用いてRFIDデバイスを作成することもできる。
【0069】
図4A〜4E及び本明細書の他の所で説明されるような実施形態はVSD材料の使用を説明するが、単一のRFIDデバイスに使用するためのVSD材料の別の組成及び配合が、1つまたはそれより多くの実施形態で提供される。例えば、基板上へのVSD材料412の被着(図4A)は、それぞれの組成が異なる複数のVSD材料の被着を含むことができる。これにより、RFIDデバイスの設計において特定の電気コンポーネントまたは素子に最も適する機械的特性または電気的特性をもつVSD材料の利用が可能になる。例えば、マイクロチップはサージの影響をより受けやすく、また電池はより大きな電圧スパイクに耐え得るから、マイクロチップ492近傍の領域よりも高い特性電圧レベルを有するVSD材料をRFIDデバイスの電池近傍の領域に設けることが望ましいことであり得る。
【0070】
基板上に設けることができるその他のコンポーネントにはLED及びOLEDのような発光素子がある。米国仮特許出願第60/740961号明細書に説明されているように、LED及びOLEDも過度電圧の結果として破壊をおこし易い。発光素子へのリード及び相互接続を与えるために基板上に線路素子が形成される、1つまたはそれより多くの実施形態が提供される。この用途に選ばれるVSD材料は、RFIDデバイス及び発光素子の両者の導電素子及びコンポーネントよりも低い特性電圧レベルを有することができる。
【0071】
図4A〜4EはRFIDデバイスの作成に特定されているが、本明細書の他の実施形態で説明されるようないずれの無線通信デバイスも、図4A〜4Eに説明されるようなプロセスによって、ある程度は作成または形成することができる。それぞれの別の用途に対し、導電素子及びコンポーネントの場所でフォトレジスト(または非導電層)パターンを定めることができる。
【0072】
さらに、説明される実施形態のいずれに関しても、無線通信デバイスは多次元とすることができる。例えば、RFIDデバイス用コンポーネントまたはその他の通信素子を基板の両面上に組み込み、1つまたはそれより多くのバイアを用いて電気的に相互接続することができる。導電バイアの形成は多くの従来手法のいずれかで実施することができる。あるいは、1つまたはそれより多くの実施形態では、図4A〜4Eの実施形態に示されるような基板に、(i)基板408を貫通する孔409(図4A)をドリルで開けるかまたは形成し、(ii)VSD材料被着時にVSD材料をバイア409に貫入させ、(iii)フォトレジストパターン形成時に、導電線路素子が孔409の境界に届く経路が形成されるようにパターンを形成し、(iv)バイア表面が導電材料で覆われて導電性のすなわち有効なバイア409が形成されるように、イオン性被着を実施し、(v)説明したプロセスを基板の反対側にも電気素子及びコンポーネントが設けられるように繰り返す、バイアの形成が提供される。VSD材料を用いるメッキバイア419形成のためのプロセスは、米国特許第6797145号明細書にさらに詳細に説明されている。この特許明細書はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【0073】
両面基板に加えて、適切に設計された基板に対してバイアは複数の導電層を電気的に接続することができる。例えば、電気コンポーネント及び素子を有する中間厚層を有する基板がある。バイアは基板の総厚内に埋め込まれたそのような層に届いて接続することができる。
【0074】
別の実施形態及び実施態様
本明細書に説明される実施形態はデバイス(無線通信デバイス、RFIDタグ)を提供するが、実施形態にはVSD材料を用いて形成されるアンテナあるいは誘導性または容量性の電場素子も含めることができる。そのような通信コンポーネントは、デバイスの残余部分の形成とは独立に、チップセット及びRFIDタグのようなデバイスに付加することができる。例えば、RFIDタグ用アンテナを独立部分として形成して集成工程中にRFIDタグに結合させることができる。
【0075】
結言
添付図面を参照して本発明の例示的実施形態を詳細に説明したが、本発明がこれらの精確な実施形態に限定されないことは当然である。すなわち、多くの改変及び変形が当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は添付される特許請求項及びそれらの等価物によって定められるものとされる。さらに、個別にまたは他の実施形態の一部として説明される特定の特徴は別の個別に説明される特徴または別の実施形態の一部と、別の特徴及び実施形態ではその特定の特徴について言及されていないとしても、組み合せることができると考えられる。すなわち、組合せについて説明がなされていないからといって、発明者によるそのような組合せについての権利の請求を排除するべきではない。
【符号の説明】
【0076】
100 デバイス
105 パッケージ
110 VSD材料
120 通信素子
122 相互接続素子
130 論理素子
140 電源
142 電力接続素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信デバイスにおいて、
基板、
信号の無線送受信を可能にする、基板上に配置された1つ以上の電気コンポーネント、
前記基板の層として一体化された、ポリマーを含む材料を有し、
前記電気コンポーネントを封入するパッケージであって、前記材料が含まれるパッケージ、及び、
前記材料が、特性電圧レベルをこえる電圧が印加されると絶縁性から導電性に状態遷移する特性を有し、前記特性電圧レベルをこえる一時的な電圧に遭遇すると前記デバイスの少なくとも一部を接地することを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記材料が、(i)前記パッケージの一部の上の層、あるいは(ii)前記パッケージの1つまたはそれより多くの部分または前記パッケージのコンポーネントを結合するための接合材、の内の少なくとも1つとして設けられることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
無線通信デバイスにおいて、
基板、
前記基板上に設けられた1つまたはそれより多くの論理素子であって、前記デバイスに関する識別情報を含むデータを生成する1つまたはそれより多くの論理素子、
前記基板上に設けられた送信コンポーネントであって、前記1つまたはそれより多くの論理素子からの前記識別情報を搬送する信号を発生する送信コンポーネント、
前記基板の層として一体化された、ポリマーを含む材料を有し、
前記1つまたはそれより多くの論理素子及び前記送信コンポーネントを収めるパッケージであって、前記材料が前記基板の層として前記パッケージ内に設けられているパッケージ、及び、
前記材料が、特性電圧レベルをこえる電圧が印加されると絶縁性から導電性に状態遷移する特性を有し、前記特性電圧レベルをこえる一時的な電圧に遭遇すると前記デバイスの少なくとも一部を接地することを特徴とするデバイス。
【請求項4】
前記材料の前記特性電圧レベルが前記デバイスの動作電圧レベルより高いことを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記送信コンポーネントあるいは前記1つまたはそれより多くの論理素子の内の少なくとも1つが、前記材料の少なくともいくらかの上に重なるように、前記基板上に配置されることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記送信コンポーネントあるいは前記1つまたはそれより多くの論理素子の内の少なくとも1つが、前記材料を導電性にする電圧の前記材料への印加と同時に実施されるメッキプロセスによって前記材料上に形成される素子を含むことにより、前記材料の上に重なるように前記基板上に配置されることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記送信コンポーネントが導電線路の配列を含み、前記導電線路配列の少なくとも一部が前記材料の上に重なるように配置されることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスが前記1つまたはそれより多くの論理素子と前記送信コンポーネントを相互接続するように配された導電素子を有し、前記導電素子の少なくとも一部が前記材料の少なくともいくらかの上に重なるように前記基板上に配置されることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記パッケージが上部層及び下部層を有し、前記材料が前記上部層と前記下部層の間の接合材として設けられることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項10】
前記送信コンポーネントあるいは前記1つまたはそれより多くの論理素子の内の少なくとも1つが前記材料と複合させられるかまたは前記材料に接していることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイスが電源及び前記電源と前記送信コンポーネントあるいは前記1つまたはそれより多くの論理素子の内の少なくとも1つの間を電気的に接続する電力接続素子をさらに有し、前記電源または前記電力接続素子の内の少なくとも1つが前記材料と複合されるかまたは前記材料に接していることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項12】
電源及び前記電源と前記送信コンポーネントあるいは前記1つまたはそれより多くの論理素子の内の少なくとも1つの間を電気的に接続する電力接続素子をさらに有し、前記電源または前記電力接続素子の内の少なくとも1つが前記材料の少なくともいくらかの上に重なるように前記基板上に配置されることを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項13】
前記電源が、印加される外部電力信号を受信するための受信器であることを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
無線通信デバイスを形成する方法において、前記方法が、
材料の層を有するように基板を形成する工程であって、前記材料はポリマーから形成され、かつ、特性電圧をこえる電圧が印加されると絶縁性から導電性に状態遷移する特性を有するものである工程、
前記材料層を覆うレジスト材料の層を形成する工程、
前記レジスト材料の層上に露光領域のパターンを形成するために前記レジスト材料を選択的に除去する工程であって、前記露光領域は、(i)前記デバイスに埋設されることになる1つまたはそれより多くの論理素子、(ii)アンテナ素子、(iii)前記1つまたはそれより多くの論理素子と前記アンテナ素子の間の相互接続素子、(iv)電源または(v)前記電源と前記1つまたはそれより多くの論理素子あるいは前記アンテナ素子の間の相互接続素子の内のいずれか1つまたはそれより多くの下になることになる工程、
前記レジスト材料の層及び前記パターンをもつ前記材料に前記特性電圧レベルをこえる電圧を印加する工程、
前記電圧が印加されている間に、前記基板上のパターン形成された前記露光領域の少なくとも一部に前記電圧感応状態遷移材料を覆う導電素子を形成するために前記基板にイオン性媒質を与える工程、及び、
前記無線通信デバイスが、前記特定の電圧を超える電圧が前記無線通信デバイスに導かれる一時的な電気的事象から前記無線通信デバイスを保護する材料の層で動作されることを可能にする工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記基板にイオン性媒質を与える前記工程が、(i)前記基板が電解質溶液に浸漬される電気めっきプロセス、(ii)帯電粉末粒子が前記基板の前記露出領域に与えられる粉末コーティングプロセス、(iii)イオン性スプレイが前記基板に与えられるエレクトロスプレイプロセスまたは(iv)気相成長プロセスの内の少なくとも1つを実施する工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記材料が有機半導体を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記マテリアルがカーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記1つ以上の電気コンポーネントがアンテナ素子を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記1つ以上の電気コンポーネントがプロセッサを含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
無線通信デバイスにおいて、
パッケージ、
前記パッケージ内に設けられた基板、及び、
無線信号通信を可能にするように構成されたアンテナと1つまたはそれより多くの論理素子を有し、前記基板上に提供された複数の電気コンポーネントであって、前記1つまたはそれより多くの論理素子が識別情報を含むデバイスのためのデータを生成する電気コンポーネントを備え、
前記基板が、特性電圧レベルをこえる電圧が印加されると絶縁性から導電性に状態遷移する特性を有するVSD(Voltage Switchable Dielectric)を含む保護機構を有し、
前記保護機構が、VSD材料が前記電気コンポーネントにブレークダウン電圧を超える過渡的な電圧が印加されたときに導電性となり、過渡的な電圧に対する接地保護を提供するように、前記電気コンポーネントに関連して位置づけられることを特徴とする
【請求項21】
電源及び前記電源と前記送信コンポーネントあるいは前記1つまたはそれより多くの論理素子の内の少なくとも1つの間を電気的に接続する1つまたはそれより多くの電力接続素子をさらに有することを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記電源または前記電力接続素子の内の少なくとも1つに前記基板上に形成された前記導電素子が用いられることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
前記電源が、印加される外部電力信号を受信するための受信器であることを特徴とする請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
RFID(radio frequency identifier)であることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【公開番号】特開2012−252718(P2012−252718A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187346(P2012−187346)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【分割の表示】特願2008−542453(P2008−542453)の分割
【原出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(508153431)ショッキング テクノロジーズ インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】SHOCKING TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】