説明

電子カメラ

【構成】イメージャ18は、シャッタ機構15およびフォーカスレンズ16を通して光学像を捉える撮像面を有し、光学像に対応する生画像データを出力する。主電源がオンされると、メインCPU36は、シャッタ機構15を開き、フォーカスレンズ16を退避位置から復帰させ、その後にフォーカスレンズ16の設定を調整する。レンズ調整処理の完了後にイメージャ18から出力された生画像データに基づくYUV形式の画像データは、メインCPU36の制御の下で記録媒体48に記録される。レンズ調整処理は、このような画像記録処理に関連して制限される。メインCPU36は、レンズ調整処理の制限期間のうち記録すべき画像データを取得する期間と異なる特定期間に、シャッタ機構15を閉じかつフォーカスレンズ16を退避させる。
【効果】光学系の動作不良の発生頻度が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特に、電源オフ状態においてレンズを退避位置に配置する、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、全体制御部は、電源スイッチの電源オフ信号が入力された時に、フォーカスレンズを退避させたり、レンズ鏡筒を沈胴させたり、レンズバリアを閉じる等の機構的な終了処理と、内部回路への電源供給を停止するシャットダウン処理とを実行する。終了処理中にエラーが発生すると、全体制御部は、エラー内容を特定するエラー処理を実行し、エラー発生の事実とエラー内容とをエラー記憶部に記録する。デジタルスチルカメラの電源オン時には、内部回路への電源供給を開始する給電処理が行なわれ、その後に全体制御部によってエラー記憶部が参照される。そして、前回の電源オフ時にエラーが発生していた場合には、初期化処理が行なわれずに、LCDパネルにエラーメッセージが表示される。これによって、電源オフ時に発生したエラーをユーザに確実に知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−331433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術は、電源オフ時に発生したエラーをユーザに知らせるに留まり、レンズの退避動作が不能となる事態の回避に貢献するものではない。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、光学系の動作不良の発生頻度を抑制できる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、光学系(15, 16)を通して光学像を捉える撮像面を有し、光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(18, 24)、電源オン操作に応答して光学系を保護状態から復帰させる復帰手段(S141~S143)、復帰手段の処理の後に光学系の設定を調整する設定調整手段(S103, S161, S169)、設定調整手段の処理の後に撮像手段から出力された電子画像を記録する記録手段(S113, S125)、記録手段の処理に関連して設定調整手段の処理を制限する制限手段(S87, S137)、および制限手段による制限期間のうち記録手段によって記録すべき電子画像を取得する期間と異なる特定期間に光学系を保護状態に遷移させる第1遷移手段(S91~S93, S97~S99, S121~S123, S133~S135)を備える。
【0007】
好ましくは、電源オフ操作に応答して光学系を保護状態に遷移させる第2遷移手段(S153~S155)がさらに備えられる。
【0008】
好ましくは、記録手段はセルフタイマモードに対応して待機を行う待機手段(S95)を含み、特定期間は待機手段による待機期間を含む。
【0009】
好ましくは、撮像手段から出力された電子画像を一時的に格納するバッファメモリ(28)がさらに備えられ、記録手段はバッファメモリに格納された電子画像を記録媒体(48)に転送する転送手段(S125)を含み、特定期間は転送手段の転送期間を含む。
【0010】
好ましくは、光学系はフォーカスレンズ(16)を含み、設定調整手段は撮像手段から出力された電子画像に基づいてフォーカスレンズを合焦点に配置する合焦調整手段(S103, S169)を含む。
【0011】
さらに好ましくは、フォーカスレンズの近傍に配置されるズームレンズ(12)、およびズームレンズの倍率を調整する倍率調整手段(RG1)がさらに備えられ、設定調整手段は倍率調整手段の処理に関連してフォーカスレンズの位置を微調整する微調整手段(S161)をさらに含む。
【0012】
好ましくは、光学系はシャッタ機構(15)を含み、復帰手段はシャッタ機構を開状態に設定する開状態設定手段(S141)を含み、第1遷移手段はシャッタ機構を閉状態に設定する閉状態設定手段(S153)を含む。
【0013】
この発明に従う撮像制御プログラムは、光学系(15, 16)を通して光学像を捉える撮像面を有し、光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(18, 24)を備える電子カメラ(10)のプロセッサ(36)に、電源オン操作に応答して光学系を保護状態から復帰させる復帰ステップ(S141~S143)、復帰ステップの処理の後に光学系の設定を調整する設定調整ステップ(S103, S161, S169)、設定調整ステップの処理の後に撮像手段から出力された電子画像を記録する記録ステップ(S113, S125)、記録ステップの処理に関連して設定調整ステップの処理を制限する制限ステップ(S87, S137)、および制限ステップによる制限期間のうち記録ステップによって記録すべき電子画像を取得する期間と異なる特定期間に光学系を保護状態に遷移させる遷移ステップ(S91~S93, S97~S99, S121~S123, S133~S135)を実行させるための、撮像制御プログラムである。
【0014】
この発明に従う撮像制御方法は、光学系(15, 16)を通して光学像を捉える撮像面を有し、光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(18, 24)を備える電子カメラ(10)によって実行される撮像制御方法であって、電源オン操作に応答して光学系を保護状態から復帰させる復帰ステップ(S141~S143)、復帰ステップの処理の後に光学系の設定を調整する設定調整ステップ(S103, S161, S169)、設定調整ステップの処理の後に撮像手段から出力された電子画像を記録する記録ステップ(S113, S125)、記録ステップの処理に関連して設定調整ステップの処理を制限する制限ステップ(S87, S137)、および制限ステップによる制限期間のうち記録ステップによって記録すべき電子画像を取得する期間と異なる特定期間に光学系を保護状態に遷移させる遷移ステップ(S91~S93, S97~S99, S121~S123, S133~S135)を備える。
【0015】
この発明に従う外部制御プログラムは、光学系(15, 16)を通して光学像を捉える撮像面を有し、光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(18, 24)、およびメモリ(50)に保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサ(36)を備える電子カメラ(10)に供給される外部制御プログラムであって、電源オン操作に応答して光学系を保護状態から復帰させる復帰ステップ(S141~S143)、復帰ステップの処理の後に光学系の設定を調整する設定調整ステップ(S103, S161, S169)、設定調整ステップの処理の後に撮像手段から出力された電子画像を記録する記録ステップ(S113, S125)、記録ステップの処理に関連して設定調整ステップの処理を制限する制限ステップ(S87, S137)、および制限ステップによる制限期間のうち記録ステップによって記録すべき電子画像を取得する期間と異なる特定期間に光学系を保護状態に遷移させる遷移ステップ(S91~S93, S97~S99, S121~S123, S133~S135)を内部制御プログラムと協働してプロセッサに実行させるための、外部制御プログラムである。
【0016】
この発明に従う電子カメラ(10)は、光学系(15, 16)を通して光学像を捉える撮像面を有し、光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(18, 24)、外部制御プログラムを取り込む取り込み手段(52)、および取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリ(50)に保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサ(36)を備える電子カメラ(10)であって、外部制御プログラムは、電源オン操作に応答して光学系を保護状態から復帰させる復帰ステップ(S141~S143)、復帰ステップの処理の後に光学系の設定を調整する設定調整ステップ(S103, S161, S169)、設定調整ステップの処理の後に撮像手段から出力された電子画像を記録する記録ステップ(S113, S125)、記録ステップの処理に関連して設定調整ステップの処理を制限する制限ステップ(S87, S137)、および制限ステップによる制限期間のうち記録ステップによって記録すべき電子画像を取得する期間と異なる特定期間に光学系を保護状態に遷移させる遷移ステップ(S91~S93, S97~S99, S121~S123, S133~S135)を内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、電源オン操作を受け付けるまで光学系を保護状態に設定することで、不使用時の光学系の損傷を回避できる。また、電源オン操作の後に光学系の設定を調整し、かつ光学系の設定の調整処理を記録処理に関連して制限することで、記録すべき電子画像の品質が向上する。
【0018】
さらに、光学系の設定の調整処理が制限される期間のうち記録すべき電子画像を取得する期間と異なる期間に光学系を保護状態に設定することで、記録処理の途中での強制的な電源オフに起因して光学系の遷移動作が不能となる事態が回避され、ひいては光学系の動作不良の発生頻度が抑制される。
【0019】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例に適用されるリングの回転動作の一部を示す図解図である。
【図4】図2実施例の適用されるリングの回転動作の他の一部を示す図解図である。
【図5】図2実施例に適用される電源&ズーム制御機構の構成の一例を示す図解図である。
【図6】(A)は開始画面の一例を示す図解図であり、(B)は終了画面の一例を示す図解図である。
【図7】(A)は起動操作案内画面の一例を示す図解図であり、(B)は終了操作案内画面の一例を示す図解図である。
【図8】トラッキングカーブの一例を示すグラフである。
【図9】(A)はセルフタイマモードの下でのフォーカスレンズの退避動作の一例を示す図解図であり、(B)は単写モードの下でのフォーカスレンズの退避動作の一例を示す図解図であり、(C)は連写モードの下でのフォーカスレンズの退避動作の一例を示す図解図である。
【図10】図2実施例に適用されるサブCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図11】図2実施例に適用されるメインCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図12】図2実施例に適用されるメインCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図13】図2実施例に適用されるメインCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図14】図2実施例に適用されるメインCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図15】図2実施例に適用されるメインCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図16】図2実施例に適用されるメインCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図17】図2実施例に適用されるメインCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図18】図2実施例に適用されるメインCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図19】この発明の他の実施例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0022】
図1を参照して、この実施例の電子カメラは、基本的に次のように構成される。撮像手段1は、光学系7を通して光学像を捉える撮像面を有し、光学像に対応する電子画像を出力する。復帰手段2は、電源オン操作に応答して光学系7を保護状態から復帰させる。設定調整手段3は、復帰手段2の処理の後に光学系7の設定を調整する。記録手段4は、設定調整手段3の処理の後に撮像手段1から出力された電子画像を記録する。制限手段5は、記録手段4の処理に関連して設定調整手段3の処理を制限する。第1遷移手段6は、制限手段5による制限期間のうち記録手段4によって記録すべき電子画像を取得する期間と異なる特定期間に光学系7を保護状態に遷移させる。
【0023】
電源オン操作を受け付けるまで光学系7を保護状態に設定することで、不使用時の光学系7の損傷を回避できる。また、電源オン操作の後に光学系7の設定を調整し、かつ光学系7の設定の調整処理を記録処理に関連して制限することで、記録すべき電子画像の品質が向上する。
【0024】
さらに、光学系7の設定の調整処理が制限される期間のうち記録すべき電子画像を取得する期間と異なる期間に光学系7を保護状態に設定することで、記録処理の途中での強制的な電源オフに起因して光学系7の遷移動作が不能となる事態が回避され、ひいては光学系7の動作不良の発生頻度が抑制される。
[実施例]
【0025】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、電源回路42を含む。電源回路42は、互いに異なる複数の電圧値をそれぞれ示す複数の直流電源を生成する。生成された複数の直流電源の一部はサブCPU38に直接的に与えられ、生成された複数の直流電源の他の一部はスイッチ群44を介してサブCPU38以外の回路に与えられる。したがって、サブCPU38は常時起動されるのに対して、サブCPU38以外の回路はスイッチ群44のオン/オフに対応して起動/停止される。
【0026】
なお、サブCPU38以外の回路が起動した状態を“主電源オン状態”と定義し、サブCPU38以外の回路が停止した状態を“主電源オフ状態”と定義する。
【0027】
ディジタルカメラ10はまた、電源&ズーム制御機構20によって駆動されるズームレンズ12と、ドライバ22a,22bおよび22cによってそれぞれ駆動される絞りユニット14,シャッタ機構15およびフォーカスレンズ16とを含む。これらの部材を経た光学像は、イメージャ18の撮像面に照射され、光電変換を施される。
【0028】
図3〜図5を参照して、電源&ズーム制御機構20は、ズームレンズ12を囲むようにカメラ筐体CB1の前面に設けられ、撮像面に直交する方向に延びる光軸AXの回り方向に回転可能なリングRG1を有する。リングRG1は、θoff〜θteleの範囲で回転可能であり、この回転可能範囲は角度が増大する方向に並ぶ角度範囲AR1およびAR2に区分される。
【0029】
角度範囲AR1の下限角度および上限角度はそれぞれ“θoff”および“θwide”に相当し、角度範囲AR2の下限角度および上限角度はそれぞれ“θwide”および“θtele”に相当する。また、角度範囲AR1の中央付近に“θon”が割り当てられる。
【0030】
角度範囲AR1において、リングRG1の回転角度が“θoff”から“θon”まで増大すると、サブCPU38は、主電源オン状態に移行するべくスイッチ群44をオンし、さらにASIC52の設定を初期化する。
【0031】
起動したメインCPU36はまず、図6(A)に示す開始画面を既定時間(=10秒)だけLCDモニタ32に表示するべく、電源制御タスクの下でキャラクタジェネレータ34に命令を与える。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、開始画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0032】
リングRG1の回転角度が“θon”〜“θwide”の範囲に留まる期間が閾値THon(=10秒)に達すると、メインCPU36は、図7(A)に示す起動操作案内画面(リングRG1を“θwide”まで回転させる操作を促す報知画面)の表示をキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、起動操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0033】
リングRG1の回転角度が“θwide”に達することなく“θon”を下回る角度まで減少すると、メインCPU36は、電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行する。サブCPU38は、主電源オフ状態に移行するべくスイッチ群44をオフする。
【0034】
リングRG1の回転角度が“θwide”に達すると、メインCPU36は、電源制御タスクの下で撮像タスクを起動する。なお、起動操作案内画面がLCDモニタ32に表示されていれば、メインCPU36は、撮像タスクを起動する前に、起動操作案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって起動操作案内画面が消滅する。
【0035】
電源制御タスクによって起動された撮像タスクの下で、メインCPU36は、動画取り込み処理を開始するべく、ドライバ22cに露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しを命令する。ドライバ22cは、周期的に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、イメージャ18の撮像面を露光し、かつ撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。イメージャ18からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0036】
前処理回路24は、イメージャ18から出力された生画像データにディジタルクランプ,画素欠陥補正,ゲイン制御などの前処理を施す。処理後の生画像データは、メモリ制御回路26を通してSDRAM28の生画像エリア28aに書き込まれる。
【0037】
後処理回路29は、生画像エリア28aに格納された生画像データをメモリ制御回路を通して読み出し、読み出された生画像データに白バランス調整,色分離,YUV変換などの処理を施す。これによって生成されたYUV形式の画像データは、メモリ制御回路26を通してSDRAM28のYUV画像エリア28bに書き込まれる。LCDドライバ30は、YUV画像エリア28bに格納された画像データをメモリ制御回路26を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0038】
動画取り込み処理がこうして開始されると、メインCPU36は、撮像タスクの下で撮像条件調整タスクを起動する。起動した撮像条件調整タスクの下で、メインCPU36は、ドライバ22bを制御してシャッタ機構15を開き、ドライバ22cを制御してフォーカスレンズ16を初期位置に配置し、フォーカストラッキングのために参照されるトラッキングカーブを“C0”に設定する(フォーカストラッキングの詳細は後述)。
【0039】
メインCPU36はまた、前処理回路24から出力された生画像データに基づくYデータに簡易AE処理を施して適正EV値を算出し、算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間をドライバ22aおよび22dにそれぞれ設定する。これによって、スルー画像の明るさが適度に調整される。
【0040】
メインCPU36はさらに、既定のAF起動条件が満足されたとき、前処理回路24から出力された生画像データに基づくYデータの高周波成分に基づいて簡易AF処理を実行する。フォーカスレンズ16はドライバ22cによって合焦点に配置され、これによってスルー画像の鮮鋭度が向上する。
【0041】
再び図5を参照して、電源&ズーム制御機構20は、角度範囲AR2におけるリングRG1の回転運動を光軸AXに沿う直線運動に変換する変換機構CV1をさらに含む。摺動機構SL1は、変換機構CV1によって変換された直線運動を利用してズームレンズ12を光軸AXに沿う方向に摺動させる。ズームレンズ12は、回転角度が“θwide”を示すときにワイド端に配置され、角度範囲AR2における回転角度の増大に伴ってテレ側に移動し、そして回転角度が“θtele”を示すときにテレ端に配置される。スルー画像のズーム倍率は、このようなズームレンズ12の移動に伴って変化する。
【0042】
フラッシュメモリ50には、図8に示すトラッキングカーブC0〜C13に相当するグラフデータが記憶される。図8を参照して、被写界深度が“無限”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC0に沿うように変化する。また、被写界深度が“20m”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC1に沿うように変化する。さらに、被写界深度が“10m”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC2に沿うように変化する。
【0043】
同様に、被写界深度が“5m”,“3m”,“1m”,“0.9m”,“0.8m”,“0.7m”,“0.6m”,“0.5m”,“0.4m”,“0.3m”,“至近”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11,C12,C13に沿うように変化する。
【0044】
上述のように、撮像条件調整タスクが起動された当初は、トラッキングカーブC0が参照トラッキングカーブとして設定される。ただし、簡易AF処理が完了する毎にズームレンズ12およびフォーカスレンズ16の現在位置に相当する座標が図8に示すグラフから検出される。参照トラッキングカーブは、検出された座標上に存在するトラッキングカーブ或いは検出された座標を挟む2つのトラッキングカーブに基づいて作成されたトラッキングカーブに更新される。
【0045】
リングRG1の回転によってズームレンズ12の位置が変更されると、メインCPU36は、変更後のズームレンズ12の位置を参照したフォーカストラッキングを実行する。フォーカスレンズ16は、上述の要領で設定された参照トラッキングカーブに沿って光軸方向に移動する。
【0046】
キー入力装置40に設けられたシャッタボタン40shが半押しされると、ST1通知がサブCPU38からメインCPU36に与えられる。また、シャッタボタン40shが半押しに続いて全押しされると、ST2通知がサブCPU38からメインCPU36に与えられる。なお、シャッタボタン40shの全押しを経ることなくシャッタボタン40shの操作が解除されたときは、ST0通知がサブCPU38からメインCPU36に与えられる。
【0047】
ST1通知を受け付けたメインCPU36は、撮像条件調整タスクをスリープさせる。上述した簡易AE処理,簡易AF処理などの処理は、撮像条件調整タスクのスリープによって中断される。
【0048】
撮像モードとしては、セルフタイマモード,単写モードおよび連写モードが準備される。ST1通知に続いてST2通知を受け付けると、メインCPU36は、現時点の撮像モードが単写モードまたは連写モードであるとき速やかに厳格AE処理および厳格AF処理を実行する一方、現時点の撮像モードがセルフタイマモードであるとき指定時間(たとえば12秒)の経過を待って厳格AE処理および厳格AF処理を実行する。
【0049】
厳格AE処理は、前処理回路24から出力された生画像データに基づくYデータを参照して実行され、これによって最適EV値が算出される。算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間は、上述と同様、ドライバ22aおよび22cにそれぞれ設定される。この結果、スルー画像の明るさが厳格に調整される。厳格AF処理は、前処理回路24から出力された生画像データに基づくYデータの高周波成分を参照して実行される。これによってフォーカスレンズ16が合焦点に配置され、スルー画像の鮮鋭度が向上する。
【0050】
また、撮像モードがセルフタイマモードであれば、メインCPU36は、指定時間の待機の前にシャッタ機構15を閉じるとともにフォーカスレンズ12を退避位置に配置し、指定時間の待機の後にシャッタ機構15を開くとともにフォーカスレンズ12を元の位置(=簡易AF処理によって検出された合焦位置)に復帰させる。つまり、シャッタ機構15の設定およびフォーカスレンズ12の配置は、待機の前後で図9(A)に示すように変化する。
【0051】
厳格AF処理が完了すると、メインCPU36は、単写モードに対応して1回の静止画取り込み処理を実行し、連写モードに対応して5回の静止画取り込み処理を実行する。この結果、単写モードでは、厳格AF処理が完了した時点のシーンを表す1フレームの画像データがYUV画像エリア28bから記録画像エリア28cに退避される。一方、連写モードでは、厳格AF処理が完了した後のシーンを表す連続5フレームの画像データがYUV画像エリア28bから記録画像エリア28cに退避される。
【0052】
メインCPU36はまた、静止画取り込み処理が行われる毎にフリーズ画表示処理の実行をLCDモニタ30に命令する。LCDドライバ30は、記録画像エリア28cに退避された最新フレームの画像データをメモリ制御回路26を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ32を駆動する。
【0053】
したがって、単写モードでは、厳格AF処理が完了した時点のシーンを表す1フレームの画像が継続的にLCDモニタ32に表示される。一方、連写モードでは、厳格AF処理が完了した後のシーンを表す5フレームの画像が連続的にLCDモニタ32に表示され、その後に5フレーム目の画像が継続的にLCDモニタ32に表示される。
【0054】
こうして1フレームまたは5フレームの画像データが確保されると、メインCPU36は、記録処理の実行をメモリI/F46に命令する。メモリI/F46は、記録画像エリア28cに退避された1フレームまたは5フレームの画像データをメモリ制御回路26を通して読み出し、読み出された撮影画像データを収めた単一の画像ファイルまたは5つの画像ファイルを記録媒体48に記録する。
【0055】
記録処理が完了した後に指定時間(たとえば15秒)が経過するか、或いは指定時間が経過する前にサブCPU38からS1通知が与えられると、メインCPU36は、フリーズ画表示処理の終了をLCDドライバ30に命令する。LCDドライバ30は、YUV画像エリア28bからの画像データの読み出しを再開し、この結果、フリーズ画像に代えてスルー画像がLCDモニタ32に表示される。
【0056】
メインCPU36はまた、記録処理が開始される前にシャッタ機構15を閉じるとともにフォーカスレンズ12を退避位置に配置し、指定時間の経過またはS1通知に応答してシャッタ機構15を開くとともにフォーカスレンズ12を元の位置(=厳格AF処理によって検出された合焦位置)に復帰させる。つまり、シャッタ機構15の設定フォーカスレンズ12の配置は、待機の前後で図9(B)または図9(C)に示すように変化する。
【0057】
スリープ状態にある撮像条件調整タスクは、フォーカスレンズ12が合焦位置に復帰した後に、撮像タスクの下で起床される。これによって、簡易AE処理,簡易AF処理などの処理が撮像条件調整タスクの下で再開される。なお、ST1通知の後にST0通知が発行された場合、撮像条件タスクは速やかに起床される。
【0058】
リングRG1の回転角度が“θwide”を下回ると、メインCPU36は、撮像条件調整タスクの下でドライバ22bおよび22cを制御して、シャッタ機構15を閉じるとともにフォーカスレンズ16を退避位置に配置する。メインCPU36はさらに、図6(B)に示す終了画面を既定時間(=10秒)だけ表示するべく、電源制御タスクの下でキャラクタジェネレータ34に命令を与える。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、終了画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0059】
リングRG1の回転角度が“θwide”〜“θon”の範囲に留まる期間が閾値THoff(=10秒)に達すると、メインCPU36は、図7(B)に示す終了操作案内画面(=リングRG1を“θoff”まで回転させる操作を促す報知画面)の表示を電源制御タスクの下でキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、終了操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0060】
リングRG1の回転角度が“θon”を下回ると、メインCPU36は、既定の終了処理を実行し、電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行する。サブCPU38は、主電源オフ状態に移行するべくスイッチ群44をオフする。
【0061】
なお、終了操作案内画面がLCDモニタ32に表示されていれば、メインCPU36は、終了処理を実行する前に、終了操作案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって終了操作案内画面が消滅する。
【0062】
サブCPU38は、図10に示すフロー図を実行する。なお、このフロー図に対応する制御プログラムは、メモリ38mに記憶される。
【0063】
ステップS1では、リングRG1の現在の回転角度が“θon”以上であるか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS3で主電源をオンし(スイッチ群44をオンし)、ステップS5でASIC52の設定を初期化する。ステップS7ではシャッタボタン40shが半押しされたか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS19に進む一方、判別結果がYESであればステップS9でST1通知をメインCPU36に向けて発行する。
【0064】
ステップS11ではシャッタボタン40shが全押しされたか否かを判別し、ステップS13ではシャッタボタン40shの操作が解除されたか否かを判別する。ステップS11の判別結果がYESであればステップS15でST2通知をメインCPU36に向けて発行し、ステップS13の判別結果がYESであればステップS17でST0通知をメインCPU36に向けて発行する。ステップS15またはS17の処理が完了すると、ステップS19に進む。
【0065】
ステップS19では電源オフ命令がメインCPU36から発行されたか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS7に戻る。一方、判別結果がYESであれば、ステップS20で主電源をオフし(スイッチ群44をオフし)、その後にステップS1に戻る。
【0066】
メインCPU36は、図11〜図13に示す電源制御タスクと図14〜図16に示す撮像タスクと図17〜図18に示す撮像条件調整タスクとを含む複数のタスクをマルチタスクOSの下で並列的に実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ50に記憶される。
【0067】
図11を参照して、ステップS21では現在時刻を変数TIM1に設定し、ステップS23では開始画面を既定時間(=10秒)だけ表示するようキャラクタジェネレータ34に命令を与える。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、開始画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0068】
ステップS25では、フラグFLGntc1を“0”に設定する。ここで、フラグFLGntc1は、起動操作案内画面の表示/非表示を識別するためのフラグであり、“0”が非表示を示す一方、“1”が表示を示す。ステップS27では、現在時刻を変数TIM2に設定する。ステップS29では、リングRG1の現在の回転角度が“θon”以上“θwide”未満の範囲に属するか否かを判別する。判別結果がYESであればステップS31に進み、判別結果がNOであればステップS39に進む。
【0069】
ステップS31では変数TIM2から変数TIM1を減算して得られる数値が閾値THonを上回るか否かを判別し、ステップS33ではフラグFLGntc1が“0”を示すか否かを判別する。ステップS31の判別結果およびステップS33の判別結果の少なくとも一方がNOであればそのままステップS27に戻り、ステップS31の判別結果およびステップS33の判別結果のいずれもがYESであればステップS35〜S37の処理を経てステップS27に戻る。
【0070】
ステップS35では起動操作案内画面の表示をキャラクタジェネレータ34に命令し、ステップS37ではフラグFLGntc1を“1”に更新する。ステップS35の処理の結果、キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。これによって、起動操作画面がLCDモニタ32に表示される。
【0071】
ステップS39ではフラグFLGntc1が“1”を示すか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS43に進む一方、判別結果がYESであればステップS41で起動案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令してからステップS43に進む。ステップS41の処理の結果、キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって起動操作案内画面が消滅する。
【0072】
ステップS43では、リングRG1の現在の回転角度が“θwide”以上であるか否かを判別する。判別結果がNOであれば、ステップS45で電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行し、その後に処理を終了する。判別結果がYESであればステップS47で撮像タスクを起動する。
【0073】
ステップS49ではリングRG1の現在の回転角度が“θwide”を下回るか否かを判別し、判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS51で現在時刻を変数TIM1に設定する。ステップS53では、終了画面を既定時間(=10秒)だけ表示するようキャラクタジェネレータ34に命令を与える。ステップS53の処理の結果、キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。これによって、終了画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0074】
ステップS55ではフラグFLGntc2を“0”に設定し、ステップS57では現在時刻を変数TIM2に設定する。ここで、フラグFLGntc2は、終了操作案内画面の表示/非表示を識別するためのフラグであり、“0”が非表示を示す一方、“1”が表示を示す。ステップS59ではリングRG1の現在の回転角度が“θon”を下回るか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS69に進む一方、判別結果がNOであればステップS61に進む。
【0075】
ステップS61では変数TIM2から変数TIM1を減算して得られる数値が閾値THoffを上回るか否かを判別し、ステップS63ではフラグFLGntc2が“0”を示すか否かを判別する。ステップS61の判別結果およびステップS63の判別結果の少なくとも一方がNOであればそのままステップS57に戻る一方、ステップS61の判別結果およびステップS63の判別結果のいずれもがYESであればステップS65〜S67の処理を経てステップS57に戻る。
【0076】
ステップS65では終了操作案内画面の表示をキャラクタジェネレータ34に命令し、ステップS67ではフラグFLGntc2を“1”に更新する。ステップS65の処理の結果、キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。これによって、終了操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0077】
ステップS69ではフラグFLGntc2が“1”を示すか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS73に進む一方、判別結果がYESであればステップS71で終了操作案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令してからステップS73に進む。ステップS71の処理の結果、キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって終了操作案内画面が消滅する。ステップS73では既定の終了処理を実行し、ステップS75では電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行する。電源制御タスクは、ステップS75の処理の後に終了される。
【0078】
図14を参照して、ステップS81では動画取り込み処理を実行する。この結果、スルー画像がLCDモニタ32に表示される。ステップS83では撮像条件調整タスクを起動し、ステップS85ではサブCPU38からST1通知が与えられたか否かを判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS87で撮像条件調整タスクをスリープさせる。
【0079】
ステップS88ではサブCPU38からST2通知が与えられたか否かを判別し、ステップS89ではサブCPU38からST0通知が与えられたか否かを判別する。ステップS88の判別結果がYESであればステップS90に進み、ステップS89の判別結果がYESであればステップS133に進む。
【0080】
ステップS90では現時点の動作モードがセルフタイマモードであるか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS101に進む一方、判別結果がYESであればステップS91〜S99の処理を経てステップS101に進む。
【0081】
ステップS91ではドライバ22bを制御してシャッタ機構15を閉じ、ステップS93ではドライバ22cを制御してフォーカスレンズ16を退避位置に配置し、ステップS95では指定時間の待機を行う。指定時間が経過するとステップS97に進み、ドライバ22bを制御してシャッタ機構15を開く。ステップS99では、ドライバ22cを制御してフォーカスレンズ16を退避前の位置(=合焦位置)に復帰させる。
【0082】
ステップS101では厳格AE処理を実行し、ステップS103では厳格AF処理を実行する。この結果、スルー画像の明るさおよび鮮鋭度が厳格に調整される。ステップS105では現時点の動作モードが単写モードおよび連写モードのいずれであるかを判別し、単写モードに対応してステップS107に進む一方、連写モードに対応してステップS109に進む。ステップS107では最大値Kmaxを“1”に設定し、ステップS109では最大値Kmaxを“5”に設定する。
【0083】
ステップS107またはS109の処理が完了すると、ステップS111で変数Kを“1”に設定し、ステップS113で静止画取り込み処理を実行し、そしてステップS115でフリーズ画表示処理をLCDドライバ30に命令する。ステップS113の処理の結果、変数Kの値が設定された時点のシーンを表す画像データがYUV画像エリア28bから記録画像エリア28cに退避される。また、ステップS115の処理の結果、LCDドライバ30は、記録画像エリア28cに退避された最新フレームの画像データをメモリ制御回路26を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ32を駆動する。
【0084】
ステップS117では変数Kが最大値Kmaxに達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS119で変数KをインクリメントしてからステップS113に戻る。この結果、単写モードでは1フレームの画像データが記録画像エリア28cに退避され、連写モードでは5フレームの画像データが記録画像エリア28cに退避される。また、フリーズ画表示処理は記録画像エリア28cに退避された最新フレームの画像データに注目して実行されるため、連写モードでは静止画取り込み処理が実行される毎にフリーズ画像が更新される。
【0085】
ステップS117の判別結果がYESであればステップS121に進み、ドライバ22bを制御してシャッタ機構15を閉じる。ステップS123では、ドライバ22cを制御してフォーカスレンズ16を退避位置に配置する。退避が完了すると、記録処理の実行をメモリI/F46に命令する。メモリI/F46は、記録画像エリア28cに退避された画像データをメモリ制御回路26を通して読み出し、読み出された画像データを収めた画像ファイルを記録媒体48に記録する。
【0086】
記録処理が完了すると、指定時間(たとえば15秒)が経過したか否かをステップS127で判別し、S1通知がサブCPU38から与えられたか否かをステップS129で判別する。ステップS127の判別結果およびステップS129の判別結果がいずれもNOであればステップS127に戻り、ステップS127の判別結果およびステップS129の判別結果がいずれが一方がYESであればステップS131に進む。
【0087】
ステップS131では、フリーズ画表示処理の終了をLCDドライバ30に命令する。LCDドライバ30は、YUV画像エリア28bからの画像データの読み出しを再開し、この結果、フリーズ画像に代えてスルー画像がLCDモニタ32に表示される。スルー画像の表示が再開されると、ステップS133でドライバ22cを制御してフォーカスレンズ16を退避前の位置(=合焦位置)に復帰させ、ステップS135でドライバ22bを駆動してシャッタ機構15を開く。ステップS137では撮像条件調整タスクを起床し、その後にステップS85に戻る。
【0088】
図17を参照して、ステップS141ではドライバ22bを制御してシャッタ機構15を開き、ステップS143ではドライバ22cを制御してフォーカスレンズ16を初期位置に配置し、ステップS145ではトラッキングカーブC0を参照トラッキングカーブとして設定する。ステップS147では、リングRG1の現在角度を“θ1”に設定する。設定が完了すると、垂直同期信号Vsyncの発生を待ってステップS149からステップS151に進み、リングRG1の現在角度が“θwide”を下回るか否かを判別する。判別結果がYESであれば、ステップS153でドライバ22bを制御してシャッタ機構15を閉じ、ステップS155でドライバ22cを制御してフォーカスレンズ16を退避位置に配置し、その後に処理を終了する。
【0089】
判別結果がNOであれば、ステップS157でリングRG1の現在角度を“θ2”に設定し、角度θ1およびθ2の差分絶対値が基準REFを上回るか否かをステップS159で判別する。判別結果がNOであればそのままステップS165に進む一方、判別結果がYESであればステップS161でフォーカストラッキングを実行し、ステップS163でリングRG1の現在角度を“θ1”に設定してからステップS165に進む。ステップS161の処理の結果、フォーカスレンズ16の位置は、ステップS145または後述するステップS171で設定された参照トラッキングカーブに沿って調整される。
【0090】
ステップS165では簡易AE処理を実行する。この結果、スルー画像の明るさが適度に調整される。ステップS167では既定のAF起動条件が満足されたか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS149に戻る一方、判別結果がYESであればステップS169〜S171の処理を経てステップS149に戻る。
【0091】
ステップS169では簡易AF処理を実行する。これによって、スルー画像の鮮鋭度が改善される。ステップS171では、ズームレンズ12およびフォーカスレンズ16の現在位置に相当する座標を図8に示すグラフから検出し、参照トラッキングカーブを検出された座標上に存在するトラッキングカーブ或いは検出された座標を挟む2つのトラッキングカーブに基づいて作成されたトラッキングカーブに更新する。
【0092】
以上の説明から分かるように、イメージャ18は、シャッタ機構15およびフォーカスレンズ16を通して光学像を捉える撮像面を有し、光学像に対応する生画像データを出力する。リングRG1の回転角度が“θon”まで増大すると、サブCPU38によって主電源がオンされる。主電源のオンによって起動したメインCPU36は、シャッタ機構15を開き(S141)、フォーカスレンズ16を退避位置から復帰させ(S143)、その後にフォーカスレンズ16の設定を調整する(S103, S161, S169)。レンズ調整処理の完了後にイメージャ18から出力された生画像データに基づくYUV形式の画像データは、メインCPU36の制御の下で記録媒体48に記録される(S113, S125)。レンズ調整処理は、このような画像記録処理に関連して制限される(S87, S137)。メインCPU36は、レンズ調整処理の制限期間のうち記録すべき画像データを取得する期間と異なる特定期間に、シャッタ機構15を閉じかつフォーカスレンズ16を退避させる(S91~S93, S97~S99, S121~S123, S133~S135)。
【0093】
主電源がオンされるまでシャッタ機構15を閉じるとともにフォーカスレンズ16を退避させることで、不使用時のシャッタ機構15およびフォーカスレンズ16の損傷を回避できる。また、主電源がオンされた後にレンズ設定を調整し、かつレンズ調整処理を画像記録処理に関連して制限することで、記録すべき画像データの品質が向上する。
【0094】
さらに、レンズ調整処理が制限される期間のうち記録すべき画像データを取得する期間と異なる期間にシャッタ機構15を閉じかつフォーカスレンズ16を退避させることで、画像記録処理の途中での強制的な電源オフに起因してシャッタ機構15の閉動作およびフォーカスレンズ16の退避動作が不能となる事態が回避され、ひいてはシャッタ機構15および/またはフォーカスレンズ16の動作不良の発生頻度が抑制される。
【0095】
なお、この実施例では、リングRG1の回転を促すときに起動操作案内画面および/または終了操作案内画面を報知として出力するようにしている。しかし、これらの案内画面に代えて或いはこれらの案内画面とともに、振動や音声を報知として出力するようにしてもよい。
【0096】
なお、この実施例では、マルチタスクOSおよびこれによって実行される複数のタスクに相当する制御プログラムは、フラッシュメモリ50に予め記憶される。しかし、図19に示すように通信I/F52をディジタルカメラ10に設け、一部の制御プログラムを内部制御プログラムとしてフラッシュメモリ52に当初から準備する一方、他の一部の制御プログラムを外部制御プログラムとして外部サーバから取得するようにしてもよい。この場合、上述の動作は、内部制御プログラムおよび外部制御プログラムの協働によって実現される。
【0097】
また、この実施例では、メインCPU36によって実行される処理を上述の要領で複数のタスクに区分するようにしている。しかし、各々のタスクをさらに複数の小タスクに区分してもよく、さらには区分された複数の小タスクの一部を他のタスクに統合するようにしてもよい。また、各々のタスクを複数の小タスクに区分する場合、その全部または一部を外部サーバから取得するようにしてもよい。
【0098】
さらに、この実施例では、しかし、絞り機構14とは別にシャッタ機構15を設けるようにしているが、シャッタ機構15に相当する機能を絞り機構ユニット14に持たせるようにしている。
【符号の説明】
【0099】
10 …ディジタルカメラ
12 …ズームレンズ
16 …フォーカスレンズ
20 …電源&ズーム制御機構
34 …キャラクタジェネレータ
36 …メインCPU
38 …サブCPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を通して光学像を捉える撮像面を有し、前記光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段、
電源オン操作に応答して前記光学系を保護状態から復帰させる復帰手段、
前記復帰手段の処理の後に前記光学系の設定を調整する設定調整手段、
前記設定調整手段の処理の後に前記撮像手段から出力された電子画像を記録する記録手段、
前記記録手段の処理に関連して前記設定調整手段の処理を制限する制限手段、および
前記制限手段による制限期間のうち前記記録手段によって記録すべき電子画像を取得する期間と異なる特定期間に前記光学系を前記保護状態に遷移させる第1遷移手段を備える、電子カメラ。
【請求項2】
電源オフ操作に応答して前記光学系を前記保護状態に遷移させる第2遷移手段をさらに備える、請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記記録手段はセルフタイマモードに対応して待機を行う待機手段を含み、
前記特定期間は前記待機手段による待機期間を含む、請求項1または2記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記撮像手段から出力された電子画像を一時的に格納するバッファメモリをさらに備え、
前記記録手段は前記バッファメモリに格納された電子画像を記録媒体に転送する転送手段を含み、
前記特定期間は前記転送手段の転送期間を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記光学系はフォーカスレンズを含み、
前記設定調整手段は前記撮像手段から出力された電子画像に基づいて前記フォーカスレンズを合焦点に配置する合焦調整手段を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項6】
前記フォーカスレンズの近傍に配置されるズームレンズ、および
前記ズームレンズの倍率を調整する倍率調整手段をさらに備え、
前記設定調整手段は前記倍率調整手段の処理に関連して前記フォーカスレンズの位置を微調整する微調整手段をさらに含む、請求項5記載の電子カメラ。
【請求項7】
前記光学系はシャッタ機構を含み、
前記復帰手段は前記シャッタ機構を開状態に設定する開状態設定手段を含み、
前記第1遷移手段は前記シャッタ機構を閉状態に設定する閉状態設定手段を含む、請求項1ないし6のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項8】
光学系を通して光学像を捉える撮像面を有し、前記光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段を備える電子カメラのプロセッサに、
電源オン操作に応答して前記光学系を保護状態から復帰させる復帰ステップ、
前記復帰ステップの処理の後に前記光学系の設定を調整する設定調整ステップ、
前記設定調整ステップの処理の後に前記撮像手段から出力された電子画像を記録する記録ステップ、
前記記録ステップの処理に関連して前記設定調整ステップの処理を制限する制限ステップ、および
前記制限ステップによる制限期間のうち前記記録ステップによって記録すべき電子画像を取得する期間と異なる特定期間に前記光学系を前記保護状態に遷移させる遷移ステップを実行させるための、撮像制御プログラム。
【請求項9】
光学系を通して光学像を捉える撮像面を有し、前記光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段を備える電子カメラによって実行される撮像制御方法であって、
電源オン操作に応答して前記光学系を保護状態から復帰させる復帰ステップ、
前記復帰ステップの処理の後に前記光学系の設定を調整する設定調整ステップ、
前記設定調整ステップの処理の後に前記撮像手段から出力された電子画像を記録する記録ステップ、
前記記録ステップの処理に関連して前記設定調整ステップの処理を制限する制限ステップ、および
前記制限ステップによる制限期間のうち前記記録ステップによって記録すべき電子画像を取得する期間と異なる特定期間に前記光学系を前記保護状態に遷移させる遷移ステップを備える、撮像制御方法。
【請求項10】
光学系を通して光学像を捉える撮像面を有し、前記光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段、および
メモリに保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラに供給される外部制御プログラムであって、
電源オン操作に応答して前記光学系を保護状態から復帰させる復帰ステップ、
前記復帰ステップの処理の後に前記光学系の設定を調整する設定調整ステップ、
前記設定調整ステップの処理の後に前記撮像手段から出力された電子画像を記録する記録ステップ、
前記記録ステップの処理に関連して前記設定調整ステップの処理を制限する制限ステップ、および
前記制限ステップによる制限期間のうち前記記録ステップによって記録すべき電子画像を取得する期間と異なる特定期間に前記光学系を前記保護状態に遷移させる遷移ステップを前記内部制御プログラムと協働して前記プロセッサに実行させるための、外部制御プログラム。
【請求項11】
光学系を通して光学像を捉える撮像面を有し、前記光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段、
外部制御プログラムを取り込む取り込み手段、および
前記取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリに保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラであって、
前記外部制御プログラムは、
電源オン操作に応答して前記光学系を保護状態から復帰させる復帰ステップ、
前記復帰ステップの処理の後に前記光学系の設定を調整する設定調整ステップ、
前記設定調整ステップの処理の後に前記撮像手段から出力された電子画像を記録する記録ステップ、
前記記録ステップの処理に関連して前記設定調整ステップの処理を制限する制限ステップ、および
前記制限ステップによる制限期間のうち前記記録ステップによって記録すべき電子画像を取得する期間と異なる特定期間に前記光学系を前記保護状態に遷移させる遷移ステップを前記内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する、電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−51472(P2013−51472A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187025(P2011−187025)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】