説明

電子機器および電波時計

【課題】電力を効率的に消費できると供に、表示が更新されることで発生するノイズにより、電波を受信する際に受信感度が低下しない電波時計を提供する。
【解決手段】電波時計1は、現在の時刻を計時する計時部15と、時刻に基づく情報を表示する時刻表示部22と、標準時刻を示す時刻情報を含み、所定の通信方式により符号化された無線信号を受信して復元することにより、時刻情報を取得するCDMA受信部10と、CDMA受信部10に対して次の時刻情報の取得を指示すると共に、計時された時刻のずれを時刻情報に基づき補正し、表示する時刻の更新を時刻表示部22に対して指示する制御部30とを備え、制御部30は、CDMA受信部10における時刻情報を取得する動作と、時刻表示部22における補正された時刻に基づく情報を表示する動作とが、共に実行される時間が発生しないように指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻情報を含む通信電波を受信する電子機器および電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
電波により送信される時刻信号を受信して、正確な時刻情報を表示する電波時計は、地上基地局から送信される長波帯域の標準電波や、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される極超短波帯域の時刻信号を受信する方法に加え、近年では、下記特許文献1に記載されているように、移動通信を目的として、CDMA(Code Division Multiple Access)変調されて送信される極超短波帯域の電波に含まれる時刻信号を受信して、自身が計時した時刻を修正し、正確な時刻を表示する電波時計が提案されている。このような極超短波帯域の電波は、種々の中継局から遍く中継されるため、長波帯域の標準電波やGPS衛星からの電波と比較して、建物の中や地下のような様々な移動先においても、良好に受信できることが知られている。また、下記特許文献2には、回転錘の回転による運動エネルギーを電気エネルギーに変換することにより発電し、発電された電力を蓄電して使用する電波時計において、発電時のノイズによる電波の受信感度の悪化を回避すべく、発電中は受信動作を停止する電波時計が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−321383号公報
【特許文献2】特開2001−166071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような電波時計は、腕時計の様態で腕に装着して使用される場合が多く、小型化および軽量化を実現するために、電源として小型の電池が組み込まれる。しかしながら、電波を受信して時刻情報を取得する動作や、表示時刻を更新するべく駆動部を駆動させる動作は、消費電流が多いため、これら2つの動作が時間的に重なって実行される場合、消費電流が急激に増大することから、電池の容量が著しく減少し、電池から供給可能な電力を効率的に消費できないという問題があった。更に、近年では、表示時刻の誤差を極力小さくするために、電波時計は頻繁に電波を受信して補正することから、例えば、電波時計の駆動部が秒針を駆動している最中に電波が受信される場合、駆動用の電気回路等からノイズが発生し、このノイズにより電波の受信感度が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、本発明の電子機器は、現在の時刻を計時する計時部と、前記時刻に基づく情報を表示する表示部と、標準時刻を示す時刻情報を含み、所定の通信方式により符号化された信号を受信して復元することにより、前記時刻情報を取得する受信部と、前記受信部に対して前記時刻情報の取得を指示すると共に、前記計時された時刻のずれを前記時刻情報に基づき補正し、前記表示部に対して前記補正された時刻に基づく情報の表示を指示する制御部とを有し、前記制御部は、前記受信部における前記時刻情報を取得する動作と、前記表示部における前記補正された時刻に基づく情報を表示する動作とが、共に実行される時間が発生しないように指示することを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、制御部は、受信部において時刻情報を取得する動作と、表示部において補正された時刻に基づく情報を表示する動作とが共に実行されないように指示するため、時刻の表示と時刻情報の取得は、何れか一方が実行されている場合は、他方の実行は指示されない。従って、電子機器が消費する電流は、時刻が表示される際に消費される電流と、時刻情報が取得される際に消費される電流とが加算されて消費されないため、消費される最大電流を低く抑えることができる。従って、電子機器は、電源から供給される電力を効率的に消費できる。加えて、補正された時刻が表示される際には、無線信号は受信されないため、時刻を表示する際に発生するノイズが原因で、電波の受信感度が低下することを回避できる。
【0007】
本発明の電子機器では、前記制御部は、前記受信部に対して前記時刻情報の取得を指示する受信指示部と、前記取得された時刻情報から標準時刻を抽出する抽出部と、前記標準時刻に基づいて算出された時刻のずれを補正する補正部と、前記補正された時刻に基づく情報の表示を前記表示部に指示する表示制御部とを備え、前記受信指示部は、前記補正された時刻に基づく情報が前記表示部に表示される場合、前記時刻情報の取得を指示しないことが好ましい。
この発明によれば、補正された時刻の表示は、時刻情報の取得よりも優先して実行される。
【0008】
本発明の電子機器では、前記表示部に表示される時刻に基づく情報の更新を検出する検出部を更に備え、前記受信指示部は、前記検出部の検出に基づき前記時刻情報の取得を指示することが好ましい。
この発明によれば、表示時刻が更新されるのを確実に検出できる。
【0009】
本発明の電子機器では、前記情報の更新は、時刻の繰り上がりによる更新を含むことが好ましい。
この発明によれば、時刻の繰り上がりにより情報が更新されるのを検出できる。
【0010】
本発明の電子機器では、前記検出部は、更に、前記更新の終了を検出し、前記受信指示部は、前記検出部が前記更新の終了を検出した場合、前記時刻情報の取得を指示しても良い。また、本発明の電子機器では、前記検出部は、更に、所定の表示時刻を検出し、前記受信指示部は、前記検出部が前記所定の表示時刻を検出した場合、前記時刻情報の取得を指示しないことが好ましい。
この発明によれば、所定の表示時刻であることの検出は、時刻の更新を検出する場合に比べて処理が容易であるため、検出の際に消費する電力を低減できる。
【0011】
本発明の電子機器は、電力を供給する電源部と、前記電源部における供給可能な電力の残量を検出する残量検出部とを更に備え、前記受信指示部は、前記検出された電力の残量に応じて、前記表示時刻の更新および前記所定の表示時刻の何れかを検出しても良い。
【0012】
本発明の電子機器では、前記表示部における前記補正された時刻に基づく情報を表示する動作は、所定の単位時間で間欠駆動し、前記受信部における前記時刻情報を取得する動作に要する時間は、前記所定の単位時間より短くても良い。また、本発明の電子機器では、前記受信部における前記時刻情報を取得する動作は、前記表示部における前記補正された時刻に基づく情報を表示する動作が前記間欠駆動する間に実行されても良い。
【0013】
本発明の電子機器では、前記所定の通信方式は、符号分割多重接続方式であっても良い。また、本発明の電子機器では、前記電子機器は、小型電池で駆動しても良い。
そして、上述した電子機器を、腕時計のような電波時計に適用することにより、効率的に電力を消費し、電波を受信する際に、駆動時に発生するノイズによる影響を受けない電波時計を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る電子機器の一形態として、電波時計の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電波時計1の機能構成を示すブロック図である。この電波時計1は、所謂、アナログ式クオーツ腕時計の様態であり、水晶振動子の周波数に基づいて時刻を算出して現在の時刻を指針により表示する機能に加え、正確な時刻情報を含む電波を受信して、表示している時刻を修正する機能を備える。この電波時計1は、CDMA受信部10と、発振部14と、計時部15と、操作部16と、電源部18と、表示更新検出部20と、時刻表示部22と、制御部30とを備える。
【0016】
CDMA受信部10は、世界協定時(UTC)に同期した時刻情報を含み、移動通信を目的としてCDMA(Code Division Multiple Access)変調され、基地局から送信される極超短波帯域の通信電波を、制御部30からの指示に応じてアンテナ12で受信し、受信した電波から時刻情報を取り出して制御部30に出力する。本実施形態1では、このCDMA受信部10は、受信された電波の高周波信号をベースバンド信号に変換すると共に、AD変換してデジタル信号に変換し、位相が直交する2つのデジタル信号(I信号、Q信号)に対してシンクチャンネル信号を復調し、復調したシンクチャンネル信号を復号することで、時刻データを含むシンクチャンネル信号のデータを取得する。このシンクチャンネル信号のデータは、所定のデータ長を持ち、時刻情報は所定の領域に格納されているため、データの先頭から辿ることで、時刻データを容易に抽出できる。抽出された時刻データは、制御部30に送られる。
【0017】
発振部14は、基準となるパルス信号を生成する。本実施形態1では、この発振部14は、図示を略した32kHzの水晶振動子、発振回路および分周回路等を含み、1秒毎にパルス信号を生成し、生成したパルス信号を計時部15に送る。
計時部15は、発振部14から送られるパルス信号を算出して、現在の時刻を計時する。計時された時刻は、制御部30に送られる。
【0018】
操作部16は、電波時計1の使用者により操作され、使用者が所望する機能を動作させることができる。この操作部16で操作された情報は、制御部30に送られる。このような操作部16は、本実施形態1では、電波時計1の外装ケース等に設けられた操作ボタン(図示は省略。)を想定する。
【0019】
電源部18は、電波時計1に対して電力を供給する。本実施形態1では、図示は略すが、外部から照射される光エネルギーを電力に変換する太陽電池と、リチウムイオン等の蓄電可能な2次電池とで構成される。
【0020】
時刻表示部22は、秒駆動部24、時分駆動部26およびカレンダー駆動部28を備え、制御部30から送られる時刻データに従い時刻を表示する。本実施形態1では、秒駆動部24、時分駆動部26およびカレンダー駆動部28は、パルスにより駆動するステップモータ(図示は略す。)を想定し、それぞれが秒表示、時分表示およびカレンダー表示を担当する。また、秒駆動部24、時分駆動部26およびカレンダー駆動部28は、何れも図2に示す、秒針52、分針54と時針56およびカレンダー58をそれぞれ駆動する。尚、ステップモータは、駆動中にノイズが発生するため、CDMA受信部10のような受信装置が受信を行っている場合、受信感度を低下させることが知られている。また、秒駆動部24、時分駆動部26およびカレンダー駆動部28は、ステップモータに限定されるものでは無く、超音波モータであっても良い。更に、時刻表示部22での表示は、秒、分、時およびカレンダーの全てが具備される必要はなく、例えば、秒針52を具備しないような構成であっても良い。
【0021】
表示更新検出部20は、時分表示およびカレンダー表示が更新されるのを検出すると共に、この更新により表示される時分および日時が繰り上がるのを検出する。本実施形態1では、2個のフォトセンサ(図示は略す。)を採用し、それぞれ文字盤60(図2)に埋設されている。2個のフォトセンサのうち、一方のフォトセンサは、秒針52が12時の位置に来たことを検出し、他方のフォトセンサは、時針56および分針54が12時の位置に来たことを検出する。従って、表示更新検出部20は、秒針52が12時を示す位置に来たことで、分針54の表示位置の繰り上がりを検出し、分針54が12時を示す位置に来たことで、時針56の表示位置の繰り上がりを検出する。更に、時針56が12時を示す位置(午前0時)に来たことで、カレンダー58の日付けの繰り上がりを検出する。尚、表示更新検出部20は、フォトセンサに限定されるものでは無く、ステップモータの回転をそれぞれ検出するロータリエンコーダでも良い。また、回転が開始される位置が既知であるステップモータに対して供給したパルスを積算して表示位置を算出し、表示更新する位置を検出しても良い。この表示更新検出部20で検出した表示時刻の更新を示す信号は、制御部30に送られる。
【0022】
制御部30は、標準時刻抽出部34、時刻補正部36、受信指示部38および表示制御部40を備え、現在の時刻を時刻表示部22に表示させると共に、必要に応じて、時刻情報を含む通信電波の受信をCDMA受信部10に指示する。尚、制御部30を構成する各機能部は、図示を略したCPUやRAM等からなるハードウェア資源と、ソフトウェアとが有機的に協働することにより、それぞれの機能を実現しても良い。
【0023】
表示制御部40は、計時部15から送られる時刻に基づき、時刻表示部22の各駆動部(24,26,28)で駆動可能な駆動信号を生成した後、時刻表示部22の各駆動部(24,26,28)に送る。この結果、計時部15で算出された時刻は、時刻表示部22に表示される。本実施形態1では、1秒毎に生成されるパルス信号に基づき時刻が算出されるため、秒針52は1秒単位で間欠駆動する。尚、秒針52を駆動する駆動信号が、秒駆動部24に送られる際には、表示制御部40は、秒針52の駆動を示す情報を受信指示部38に送る。尚、本実施形態1では、秒針52の駆動信号の出力時間は、5ミリ秒程度である。
【0024】
標準時刻抽出部34は、CDMA受信部10から送られる時刻データから、世界協定時に同期した標準時刻を取得する。
時刻補正部36は、計時部15が算出した時刻のずれを補正するための補正データを、標準時刻抽出部34が取得した標準時刻に基づいて生成する。生成された補正データは、表示制御部40に送られ、時刻表示部22で表示時刻を補正するための駆動信号に変換された後、秒針52の間欠駆動の駆動指示に合わせて時刻表示部22に送られる。
受信指示部38は、表示時刻を補正すべく、CDMA受信部10に時刻データの取得を指示する。本実施形態1では、時刻データの取得指示は、毎秒送られると共に、使用者から操作部16を介して必要に応じて送られるように構成されている。また、受信指示部38は、表示時刻の補正と、通信電波を受信して時刻データを抽出する動作とが時間的に重なって実行されないように指示する。即ち、表示制御部40が秒針52に駆動信号を送る場合や、表示更新検出部20が表示時刻の更新を示す信号を出力している場合、受信指示部38は、CDMA受信部10に対して時刻データを取得する指示を留保する。この場合、受信指示部38は、駆動信号による秒針52の駆動が終了すると共に、表示時刻の更新を示す信号が解除されるのを待って、CDMA受信部10に対して時刻データの取得を指示する。
【0025】
尚、本実施形態1では、CDMA受信部10の受信動作により時刻データを取得するのに要する時間は、300ミリ秒程度である。従って、時刻データが毎秒取得される場合、秒針52が間欠駆動する1秒間のうち、700ミリ秒程度はCDMA受信部10の受信動作を休止させることができる。また、最初の受信動作において時刻データを正常に取得できない場合、次に秒針52が間欠駆動されるまでに再度受信動作を行い、時刻データの取得を試みることができる。
尚、長波帯域の標準電波を受信する従来の電波時計は、標準電波の受信に時間を要するため、時刻を補正する際には2〜3分程度に渡り表示時刻の更新も休止されたが、本電波時計1では、標準電波を受信して時刻データを取得するのに要する時間は、300ミリ程度であるため、秒針52の間欠駆動を休止させることなく、秒針52が間欠駆動する間に時刻データを取得して補正できる。
【0026】
次に、上記した構成の電波時計1における時刻表示の詳細を、図2に基づき説明する。図2は、電波時計1の表示が「午後11時59分57秒」から「午前0時0分0秒」に推移する際の処理の流れを示している。尚、横軸の時間Tは、時刻表示を更新する手順の理解を容易にすべく、時間の間隔を適宜伸縮して示している。最初に、時刻T1から時刻T2に至る5ミリ秒に渡り、表示制御部40から秒駆動部24に駆動信号が送られる。この駆動信号に応じて、秒駆動部24のステップモータは、電流を消費して回転する。この結果、秒針52は、現在の位置から右回りに1秒分(6度)だけ回動する。この結果、時刻表示部22Aは、「午後11時59分58秒」を表示する。
【0027】
続いて、時刻T3において、制御部30は、表示時刻の補正を指示する。受信指示部38は、この指示を受けて、秒針52が停止状態であり、かつ、表示更新検出部20から表示更新信号が出力されていないのを確認した後、CDMA受信部10に電源の供給を開始すると共に、CDMA受信部10に時刻データの取得を指示する。CDMA受信部10は、この指示を受けて、時刻T3から時刻T4に至る300ミリ秒に渡り時刻情報を含む電波を受信して時刻データを抽出する。ここで抽出された時刻データは、時刻補正部36で電波時計1の時刻と比較され、補正データが生成される。続いて、表示制御部40は、時刻T1より1秒経過した時刻T5において秒針52を駆動させ、「午後11時59分59秒」を表示する際に、補正データに基づいて駆動信号を補正し、秒駆動部24に送る。この駆動信号を受けた秒駆動部24は、時刻T6までに、秒針52を1秒分回動する。この結果、時刻表示部22Bは、時刻T6において、「午後11時59分59秒」を表示する。尚、本実施形態1では、秒針52が停止して次に駆動するまでの1秒間に、最大で3回連続してCDMA受信部10で時刻データを抽出することで、時刻データの信頼性を向上させても良い。
【0028】
続いて、時刻T4から一定時間TL経過した時刻T7において、T3の場合と同様に、制御部30は、表示時刻の補正を指示する。受信指示部38は、この指示を受けて、CDMA受信部10に時刻データの取得を指示し、CDMA受信部10は、時刻T7から時刻T8に渡り、時刻情報を含む電波を受信して時刻データを抽出する。抽出された時刻データは、時刻補正部36で電波時計1の時刻と比較され、補正データが生成される。ここで、表示制御部40は、生成された補正データに基づき、時刻T5より1秒経過した時刻T10において秒針52を駆動させる前に、秒針52の駆動により生じる時分の繰り上げ動作を、時刻T10より前の時刻T9において指示する。即ち、表示制御部40は、秒針52が「59秒」から「0秒」を指し示すのを受けて、時分駆動部26に対して、分針54が所定の角度(6度)だけ回動すると共に、時針56が所定の角度(0.5度)回動するための駆動信号を送る。この駆動信号を受けた時分駆動部26は、時刻T10までに時針56および分針54を駆動する。
【0029】
次いで、表示制御部40は、時刻T10において、前記した補正データに基づき秒駆動部24に駆動信号を送る。この駆動信号を受けた秒駆動部24は、時刻T11までに、秒針52を1秒分回動する。更に、表示制御部40は、時針56が24時(午前0時)を越えたのを受け、カレンダー58の日付けを、「20日」から1日進ませて「21日」にするべく、カレンダー駆動部28に駆動信号を送る。この駆動信号を受けたカレンダー駆動部28は、時刻T12までにカレンダー板(図示は略す。)を駆動する。この結果、時刻表示部22Cは、時刻T12において、「21日の午前0時0分0秒」を表示する。尚、各駆動部(24,26,28)の駆動順序は、限定されるものでは無い。
【0030】
ここで、受信指示部38は、時刻T8から一定時間TL経過後、予め組み込まれたプログラムに従い、CDMA受信部10に時刻データの取得を指示すべく、表示更新検出部20からの表示更新信号の有無を判定する。この場合、表示制御部40が時分の繰り上げ動作を行っていることから、表示更新信号が出力された状態であるため、受信指示部38は、CDMA受信部10に対して、時刻データの取得指示を留保する。ここで、受信指示部38は、表示更新信号を所定の周期でサンプリングし、時間TW経過後に表示更新信号が出力されない状態、即ち、表示更新の完了を確認すると共に、秒針52が非駆動状態であることを確認した後、CDMA受信部10に電源の供給を開始し、CDMA受信部10に時刻データの取得を指示しても良い。以上のような処理を繰返すことにより、電波時計1は、電波信号に含まれる標準時刻に基づく正確な時刻を継続して表示する。
【0031】
次に、電波時計1の表示時刻が修正される場合の処理の流れを、図3に基づき説明する。電波時計1の表示時刻が修正される場合、最初に、時刻修正が指示される(ステップS100)。この時刻修正指示は、上述したように制御部30から一定の時間毎に指示されても良く、また、電波時計1の使用者から必要に応じて指示されても良い。ここでは、電波時計1の使用者から指示される場合の処理の流れを、図4に従い説明する。
最初に、電波時計1は、発振部14で生成されるパルス信号に基づいて現在の時刻を算出し(ステップS150)、算出した現在の時刻を時刻表示部22に表示する(ステップS152)。続いて、電波時計1は、所定の間隔で、使用者により電波の受信状態を確認するべく要求されているか否かを調べて判定する(ステップS154)。
【0032】
ここで、受信状態の確認が要求されていない場合(ステップS154でNo)、最初の工程(ステップS150)に戻る。他方で、受信状態の確認が要求されている場合(ステップS154でYes)、電波時計1は、CDMA受信部10に電波の受信状態を問い合わせると共に、CDMA受信部10から受信状態の返答を受け(ステップS156)、図示を略したLED等により使用者に受信状態を表示する(ステップS158)。
続いて、電波時計1は、受信状態を確認した使用者から時刻修正を要求されているか否かを判定する(ステップS160)。ここで、使用者から時刻修正を要求されていない場合(ステップS160でNo)、最初の工程(ステップS150)に戻る。他方で、使用者から時刻修正を要求されている場合(ステップS160でYes)、図3の次の工程(ステップS102)に進む。
【0033】
ステップS102では、電波時計1は、時刻表示の状況を調べる。ここで、本実施形態1における時刻表示の状況を調べる処理の流れを、図5に基づき説明する。最初に、電波時計1は、秒針52が回動している最中であるか否かを判定し(ステップS170)、秒針52が回動している最中でない場合(ステップS170でNo)、ステップS170に戻り、再度秒針52の回動を確認する。
他方で、秒針52が回動している最中である場合(ステップS170でYes)、回動している秒針52の停止を判定し(ステップS172)、秒針52が停止していない場合(ステップS172でNo)、ステップS172に戻り、再度秒針の停止を確認する。
【0034】
他方で、秒針52が停止した場合、即ち、秒の表示が非更新状態である場合(ステップS172でYes)、時針56、分針54およびカレンダー58が停止、即ち、分、時および日時の表示が非更新状態であるか否かを判定する(ステップS176)。ここで、時針56、分針54またはカレンダー58が停止状態に無い場合(ステップS176でNo)、ステップS176に戻り、再度これらの停止を確認する。
他方で、時針56、分針54およびカレンダー58が停止状態にある場合(ステップS176でYes)、図3の次の工程(ステップS106)に進む。
【0035】
ステップS106では、電波時計1は、CDMA受信部10(CDMA受信機)に対して電源の供給を開始する。この結果、CDMA受信部10は起動され、電波信号を受信可能な状態に遷移する。続いて、電波時計1は、CDMA受信部10に対して電波信号の受信を指示し、CDMA受信部10は、この指示に従い一定の時間に渡り、電波信号を受信する(ステップS108)。続いて、電波時計1は、電波信号の受信を確認した後、CDMA受信部10に対して電源の供給を終了する(ステップS110)。
次に、電波時計1は、受信した電波信号から、基準となる標準時刻を復元し(ステップS112)、標準時刻を正常に復元できたか否かを判定する(ステップS114)。ここで、標準時刻を正常に復元できなかった場合(ステップS114でNo)、ステップS124に進み、電波の受信状態を表示して一連の処理を終了する。
【0036】
他方で、標準時刻を正常に復元できた場合(ステップS114でYes)、電波時計1は、標準時刻を基準にして、現在の表示時刻の誤差を取得する(ステップS116)。続いて、電波時計1は、現在の表示時刻の誤差と基準値とを比較して、補正すべき誤差であるか否かを判定する(ステップS118)。ここで、誤差が補正すべき基準値以下である場合(ステップS118でNo)、ステップS124に進み、電波の受信状態を表示して一連の処理を終了する。
【0037】
他方で、誤差が補正すべき基準値を越えている場合(ステップS118でYes)、電波時計1は、誤差を補正するために時刻表示部22を駆動させるための駆動データを算出する(ステップS120)。続いて、電波時計1は、駆動データを時刻表示部22で駆動させ、時刻表示部22で表示している時刻情報を修正し(ステップS122)、電波の受信状態を表示して(ステップS124)、一連の処理を終了する。
上述した処理により、使用者が電波時計1の表示時刻のずれを修正したい場合、電波時計1で表示する時刻を、電波信号に含まれる標準時刻に合わせることができる。
【0038】
以上述べた実施形態1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)電波時計1は、電波の受信動作と時刻修正動作とが重ならないように制御されているため、電波時計1で消費される電力が急激に上昇することを回避できる。特に、時計用電池のような少容量電池においては、最大電流を抑制することが電池寿命の向上に大きく寄与する。
(2)電波時計1は、補正された時刻が表示される際には、無線信号は受信されないため、時刻を表示する際に発生するノイズが原因で、電波の受信感度が低下することを回避できる。
(3)電波時計1は、秒針52が間欠駆動する間に、正確な時刻情報を取得して時刻を補正できるため、常に正確な時刻を表示できる。また、電波の受信環境等の影響で、電波信号を受信できなかった場合、電波時計1は略1秒以内に複数回電波信号を受信することができるため、電波状況に依らず、常に正確な時刻を表示できる。
【0039】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について、図6および図7を参照して説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同じ部分については、同一符号を付してその説明を省略する。実施形態1では、秒針52の駆動や時分表示およびカレンダー表示の繰り上げ動作が検出された場合、CDMA受信部10に時刻データを取得する指示を留保し、繰り上げ動作の完了を待って、時刻データの取得を指示したが、本実施形態2では、図6に示すように、表示時刻が時刻の繰り上げ動作を実行する時刻になったことを検出する。本実施形態2では、時分駆動部26が駆動する時刻、即ち、秒針52が「59秒」と「0秒」間にある状態を検出し、この状態を検出した場合、即ち、時刻T6から時刻T12の場合、繰り上げ動作の検出の有無に関係無く、CDMA受信部10に対して時刻データの取得を指示しない。
【0040】
ここで、本実施形態2における、時刻表示の状況を調べる処理(ステップS102、図3)の流れを、図7に基づき説明する。最初に、電波時計1は、秒針52が回動している最中であるか否かを判定し(ステップS170)、秒針52が回動している最中でない場合(ステップS170でNo)、ステップS170に戻り、再度秒針52の回動を確認する。
他方で、秒針52が回動している最中である場合(ステップS170でYes)、秒針52の停止を判定し(ステップS172)、秒針52が停止していない場合(ステップS172でNo)、ステップS172に戻り、再度秒針の停止を確認する。
【0041】
他方で、秒針52が停止した場合、即ち、秒の表示が非更新状態である場合(ステップS172でYes)、秒針52が「59秒」か「0秒」を指示しているか否かを判定する(ステップS178)。ここで、秒針52が「59秒」または「0秒」を指示している場合(ステップS178でYes)、ステップS178に戻り、再度秒針52の指示位置を確認する。
他方で、秒針52が「59秒」および「0秒」の何れも指示していない場合(ステップS178でNo)、次の工程(ステップS106、図3)に戻る。
【0042】
以上述べた実施形態2によれば、実施形態1で述べた(1)、(2)および(3)の効果に加え、以下のような効果を奏する。
(4)電波時計1は、秒針52が「59秒」および「0秒」を指し示すのを検出して、これらを検出した場合は、受信動作を停止するため、表示時刻の繰り上がり動作を検出する場合に比べて、処理が容易で消費電力を低減できる。
【0043】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について、図8を参照して説明する。本実施形態3では、電源部18として電池を想定すると共に、電源部18は、消費可能な電気エネルギーの残量を検出する残量検出部(図示は略す。)を備え、検出したエネルギー残量に応じて、時分針およびカレンダー表示の繰り上げ動作の判定を切り替える。
ここで、本実施形態3における、時刻表示の状況を調べる処理(ステップS102、図3)の流れを、図8に基づき説明する。最初に、電波時計1は、秒針52が回動している最中であるか否かを判定し(ステップS170)、秒針52が回動している最中でない場合(ステップS170でNo)、ステップS170に戻り、再度秒針52の回動を確認する。
【0044】
他方で、秒針52が回動している最中である場合(ステップS170でYes)、回動している秒針52の停止を判定し(ステップS172)、秒針52が停止していない場合(ステップS172でNo)、ステップS172に戻り、再度秒針の停止を確認する。
他方で、秒針52が停止した場合、即ち、秒の表示が非更新状態である場合(ステップS172でYes)、電池容量の残量を検出する(ステップS174)。ここで、電池容量の残量が所定の基準値よりも少ないと判定された場合(ステップS174でYes)、秒針52が「59秒」か「0秒」を指示しているか否かを判定する(ステップS178)。ここで、秒針52が「59秒」または「0秒」を指示している場合(ステップS178でYes)、ステップS178に戻り、再度秒針52の指示位置を確認する。他方で、秒針52が「59秒」および「0秒」の何れも指示していない場合(ステップS178でNo)、次の工程(ステップS106、図3)に戻る。
【0045】
また、電池容量の残量が所定の基準値よりも多いと判定された場合(ステップS174でNo)、時針56、分針54およびカレンダー58が停止、即ち、分、時および日時の表示が非更新状態であるか否かを判定する(ステップS176)。ここで、時針56、分針54またはカレンダー58が停止状態に無い場合(ステップS176でNo)、ステップS176に戻り、再度これらの停止を確認する。
他方で、時針56、分針54およびカレンダー58が停止状態にある場合(ステップS176でYes)、次の工程(ステップS106、図3)に戻る。
【0046】
以上述べた実施形態3によれば、実施形態1で述べた(1)、(2)および(3)の効果に加え、以下のような効果を奏する。
(5)電波時計1は、電池容量の残量に応じて、受信動作の回数を選択できるため、電池容量が多い場合には受信動作回数を増やし、より正確な時刻を表示することができる一方、電池容量が少ない場合には受信動作回数を減らして、消費電流を減らし、電波時計をできるだけ長く駆動させることができる。
【0047】
以上、本発明を図示した実施形態に基づいて説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、以下に述べるような変形例も想定できる。
(1)電波時計1は、アナログ時計に限定されるものでは無く、デジタル時計であっても良い。この場合、秒駆動部24、時分駆動部26およびカレンダー駆動部28は、例えば、液晶パネルに表示信号を供給するドライバであっても良い。また、制御部30は、時刻データの取得指示をCDMA受信部10に毎秒送ったが、これに限定されるものでは無く、1日のうちで予め決められた時刻や時間に応じて、時刻データの取得が指示され、時刻が補正されても良い。
(2)本発明の電子機器は、電波時計1の様態に限定されるものでは無く、電波により時刻を修正する時計機能を組み込んだ情報処理端末等に適用しても良い。例えば、録画予約のための計時機能を備えた録画装置、視聴時間計測機能を備えた有料放送受信装置、取引執行時刻確定機能を備えた株などの証券の電子取引装置および文書の作成日時確定機能を備えた文書作成装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態1に係る電波時計の機能構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態1に係る電波時計の表示が遷移する際の処理を示す図。
【図3】本発明の実施形態1に係る電波時計の表示時刻が修正される処理の流れを示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態1に係る電波時計の使用者から指示される処理の流れを示すフローチャート。
【図5】本発明の実施形態1に係る電波時計の表示時刻の状況を調べる処理の流れを示すフローチャート。
【図6】本発明の実施形態2に係る電波時計の表示が遷移する際の処理を示す図。
【図7】本発明の実施形態2に係る電波時計の表示時刻の状況を調べる処理の流れを示すフローチャート。
【図8】本発明の実施形態3に係る電波時計の表示時刻の状況を調べる処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0049】
1…電波時計、10…CDMA受信部、12…アンテナ、14…発振部、15…計時部、16…操作部、18…電源部、20…表示更新検出部、22,22A,22B,22C…時刻表示部、24…秒駆動部、26…時分駆動部、28…カレンダー駆動部、30…制御部、34…標準時刻抽出部、36…時刻補正部、38…受信指示部、40…表示制御部、52…秒針、54…分針、56…時針、58…カレンダー、60…文字盤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の時刻を計時する計時部と、
前記時刻に基づく情報を表示する表示部と、
標準時刻を示す時刻情報を含み、所定の通信方式により符号化された信号を受信して復元することにより、前記時刻情報を取得する受信部と、
前記受信部に対して前記時刻情報の取得を指示すると共に、前記計時された時刻のずれを前記時刻情報に基づき補正し、前記表示部に対して前記補正された時刻に基づく情報の表示を指示する制御部とを有し、
前記制御部は、前記受信部における前記時刻情報を取得する動作と、前記表示部における前記補正された時刻に基づく情報を表示する動作とが、共に実行される時間が発生しないように指示することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記制御部は、
前記受信部に対して前記時刻情報の取得を指示する受信指示部と、
前記取得された時刻情報から標準時刻を抽出する抽出部と、
前記標準時刻に基づいて算出された時刻のずれを補正する補正部と、
前記補正された時刻に基づく情報の表示を前記表示部に指示する表示制御部とを備え、
前記受信指示部は、前記補正された時刻に基づく情報が前記表示部に表示される場合、前記時刻情報の取得を指示しないことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記表示部に表示される時刻に基づく情報の更新を検出する検出部を更に備え、
前記受信指示部は、前記検出部の検出に基づき前記時刻情報の取得を指示することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器において、
前記情報の更新は、時刻の繰り上がりによる更新を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項3乃至4のいずれかに記載の電子機器において、
前記検出部は、更に、前記更新の終了を検出し、
前記受信指示部は、前記検出部が前記更新の終了を検出した場合、前記時刻情報の取得を指示することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記検出部は、更に、所定の表示時刻を検出し、
前記受信指示部は、前記検出部が前記所定の表示時刻を検出した場合、前記時刻情報の取得を指示しないことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、
電力を供給する電源部と、
前記電源部における供給可能な電力の残量を検出する残量検出部とを更に備え、
前記受信指示部は、前記検出された電力の残量に応じて、前記表示時刻の更新および前記所定の表示時刻の何れかを検出することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記表示部における前記補正された時刻に基づく情報を表示する動作は、所定の単位時間で間欠駆動し、
前記受信部における前記時刻情報を取得する動作に要する時間は、前記所定の単位時間より短いことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項8に記載の電子機器であって、
前記受信部における前記時刻情報を取得する動作は、前記表示部における前記補正された時刻に基づく情報を表示する動作が前記間欠駆動する間に実行されることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記所定の通信方式は、符号分割多重接続方式であることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記電子機器は、小型電池で駆動することを特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電子機器を備えていることを特徴とする電波時計。
【請求項13】
請求項12に記載の電波時計であって、
前記電波時計は腕時計であることを特徴とする電波時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−286780(P2008−286780A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23564(P2008−23564)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】