説明

電子機器の筐体構造

【課題】 正面パネルを大型化可能とすると共に落下等不用意な衝撃が加わっても上下ケースの係合部が容易に外れないようにした。
【解決手段】 上ケース3と下ケース2とを重合することによって箱型の筐体1を形成し、上ケース3および下ケース2の正面1e側に切欠き部3a、2aをそれぞれ形成することによって筐体1の正面1e側に開口部16を形成して、開口部16に正面パネル4を組み込む場合に、下ケース2における一方の側面1a側の係合凹部11が凸円弧状部10を有し、上ケース3における一方の側面1a側の係合突起13が凹円弧状部12を有することによって係合部Yを構成し、上下ケース2、3を重合組付する際に、凹円弧状部12内を凸円弧状部10が摺動可能となり、筐体1の正面側に形成される正面パネル挿入用の三角状の開口を大きく形成できるようにして、大型の正面パネルを使用可能とすると共に、一旦係合した係合凹部11と係合突起13との係合関係が不用意な衝撃によって容易に外れないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線を使用して情報通信を行う通信機器等の電子機器の筐体構造、特に、筐体の正面に正面パネルを装着して、縦型や横臥型等にして使用する種の電子機器の筐体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電子機器の筐体構造は、上面が開口した箱型の下ケースと下面が開口した箱型の上ケースとを開口部同士を対向させて重合することによって構成しており、この組み付ける際に、上下ケースの正面に設けた切欠き部により形成された正面開口に正面パネルを装着して構成していた。
【0003】
そして、正面パネルを筐体に装着するやり方として、例えば、粘着テープ又は接着剤を用いて筐体の正面に装着するものや、ねじを用いて筐体の正面パネルに装着するものが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002-158453号公報(段落0011〜0015、図1等)。
【0004】
このように構成する電子機器の筐体構造は、正面パネルを装着する粘着テープや接着剤或いはねじを用いることによるコストアップもさることながら、正面パネルの装着工数の増大に伴うコストアップもやむを得ず生ずることになる。
【0005】
そこで、粘着テープや接着剤或いはねじ等を使用せず、正面パネルを筐体正面に装着する方式として、図12乃至図14或いは図15乃至図17に記載されたものが提案されている(類似する例として、特許文献2或いは3を参照)。
【特許文献2】特開平7-297565号公報(段落0017乃至0023、図1等)
【特許文献3】特開平8-316655号公報(段落0038、図15等)。
【0006】
図12乃至図14に記載された電子機器の筐体構造は、上面が開口した箱型の下ケース31と下面が開口した上ケース32とを開口部同士を対向させて重合することによって、筐体30を構成している。
【0007】
そして、上ケース32の端部には、下ケース31側に延在突出する突片35aが設けられており、突片35aに断面コ字状の係合凹部35を形成している。
【0008】
下ケース31の端部は、まずそのまま状態で僅か突片35側に立ち上がらせた立上がり端面34bにしておき、更に立上がり端面34bに連続させて厚さ方向に断面略代形状に切り込み34aを刻設することによって係合突起34を形成している。
【0009】
したがって、上ケース32側の係合凹部35に下ケース31の係合突起34を係合することによって、互いに平面的に係合する係合部Xを形成している。
【0010】
また、筐体30の左右側面のうち他方の側面30bにおいて、上ケース32側の端部にねじ(不図示)が螺合する螺合孔32bを設けると共に、下ケース31側の端部にねじを挿入埋設させるねじ埋設孔31bを設け、埋設孔31bにはねじの頭部が着座する着座部31cが形成されている。
【0011】
また、筐体30の正面30e側において、下ケース31及び上ケース32に互いに正面30eに向かってコ字状に切欠き部31a、32aを形成することによって、開口部36が形成されている。
【0012】
更に、下ケース31の切欠き部31aの端面部より下面30c側に向かって刻設された凹溝36aが形成されると共に、上ケース32の切欠き部32aの端面部より上面30d側に向かって刻設された凹溝36bが形成され、両凹溝36a、36bに正面パネル33の上下端部を嵌合することによって、正面パネル33を筐体の正面30e側に装着するように構成している。
【0013】
上記のように構成する場合、係合突起34を係合凹部35に係合させた状態で、筐体30の他方の側面30b側を例えば寸法a位開口した状態に保持する。
【0014】
この結果、筐体30の正面30e側が背面30f側と共に、筐体30の一方の側面側を頂点とした三角状に開口することになる。
【0015】
次に、この三角状の開口部に正面パネル33を嵌め込んで、正面パネル33の上下端部を凹溝36a及び凹溝36bにそれぞれ対向させた状態で、筐体30の一方の側面30a側において、係合凹部35内に係合突起33が摺動して所謂ヒンジ中心となりながら、筐体30の他方の側面30b側において上ケース32に対して下ケース31を回転させ、開口寸法aを解消させて、上ケース32の下面に下ケース31の上面を当接させ、ねじをねじ埋設孔32b側から挿入して螺合孔31bに螺着し、このとき、切欠き部31aと切欠き部32aによって正面30e側に開口部36が形成されて、正面パネル33を下ケース31と上ケース32とで挟合装着し、上ケース32に対して下ケース31を固着組み付けして、筐体30が完成する。
【0016】
そして、正面パネル33の両端部は両凹溝36a、36b内に嵌合して組み込み装着されることになり、また、筐体30の他方の側面側において、上ケース32の端部上面に外方に開口するように設けた切欠き凹部32dが下ケース31の端部下面に内方に開口するように設けた切欠き凸部32dに掛合して、筐体30の内部の視認性をなくしている。
【0017】
上記のように構成する電子機器の筐体構造は、少ないねじ本数によって、下ケース31と上ケース32の組み付けを実現したものである。
【0018】
次に、図15乃至図17に記載された従来の電子機器の筐体構造について説明する。
【0019】
図15乃至図17に示す筐体構造は、上記図12乃至図14に示すものに比して、筐体30の一方の側面30a側の係合構造を異にするほか、その他の構成においては同様なので、同一の符号を付して構成の詳細説明を割愛する。
【0020】
すなわち、筐体30の一方の側面30a側において、上ケース32の端部下面内側に、下ケース31側に延在する弾性回動可能な係合爪片37を形成すると共に、下ケース31の端部下面内壁に係合爪片37の鉤状係合部37aが係合する係合凹部38を凹設した点を異にしている。
【0021】
そして、このように構成する場合、筐体30の一方の側面30a側においては、上ケース32側に下ケース31をスライドさせることによって、係合爪片37が下ケース31の端部を摺動子ながら、撓み寸法bだけ筐体30の内方に弾性的に回動し、鉤状係合部37aが係合凹部38に到達した時点で、係合突起37のリターン動によって係合凹部38内に鉤状係合部37aを係合させて、下ケース31と上ケース32を組み付けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
そして、図11乃至図13に示す従来の筐体構造においては、係合突起34を係合凹部35に係合させた状態で、筐体30の他方の側面30b側を例えば寸法a位開口した状態に保持して、筐体30の正面30e側に筐体30の一方の側面側を頂点とした三角状に開口し、この三角状に開口した開口部に正面パネル33を嵌め込んだ後、筐体30の一方の側面30a側において、係合凹部35の平面上を係合突起33が摺動して所謂ヒンジ中心となりながら、筐体30の他方の側面30b側において上ケース32に対して下ケース31を回転させ、開口寸法aを解消させて、上ケース32の下面に下ケース31の上面を当接させ、ねじをねじ埋設孔32b側から挿入して螺合孔31bに螺着して、上ケース32に対して下ケース31を固着組み付け、正面ケース33が凹溝36a、36b内に嵌合することによって上下ケース31、32に挟着するようにして筐体30に装着するものであり、係合突起33と係合凹部35とは、その係合部Xが平面組み合わせ形状になっているために、正面パネル33を挿入すべく三角形状に開口した開口部39における開口寸法aは、余り大きくしようとすると、係合凹部35と係合突起片35との係合が外れてしまい、このために小さくせざるを得ず、結果として、三角形状の開口部39の開口面積が大きく取れないことになって、正面パネル33の大きさを制限せざるを得ず(図示の場合、正面パネル33の大きさは筐体30の正面全体の約半分くらいを占有する大きさとなっている)、正面パネル33に多くの上方を表示することができないことになる。
【0023】
また、図14乃至図16に示す従来の電子機器の筐体構造によれば、筐体30の一方の側面30a側においては、上ケース32側に下ケース31をスライドさせながら、係合爪片37の鉤状係合部37aを係合凹部38内に係合させることによって、下ケース31と上ケース32を組み付けているために、正面パネル33を挿入するための開口面積は図12ないし図14に記載のものに比して大きく取れる反面、係合爪片37の弾性変形を利用して鉤状係合部37aにおける係合凹部38への係合保持を行うために、係合爪片37の撓み寸法bを大きくしたいところであるが、係合爪片37の強度的な関係から撓み寸法bを余り大きくとることはできず、このために、係合時の鉤状係合部37aと係合凹部38との引っ掛かり量が小さくなってしまい、落下などの不用意の衝撃により係合凹部38から鉤状係合部37aが外れてしまうおそれがあった。
【0024】
そこで、本発明は、かかる点に鑑み、正面パネルを大型化可能とすると共に落下等不用意な衝撃が加わっても上下ケースの係合部が容易に外れないようにした電子機器の筐体構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子機器の筐体構造は、上ケースと下ケースとを重合することによって箱型の筐体を形成し、前記上ケースおよび下ケースの正面側に切欠き部を形成することによって前記筐体の正面側に開口部を形成して、該開口部に正面パネルを組み込み、さらに、前記上ケースおよび下ケースのうち一方のケースにおける左右側面壁の一方に、係合突起を形成すると共に、該係合突起に対応して他方のケースの左右側壁の一方に、前記係合突起に係合する係合凹部を形成し、該係合凹部に前記係合突起を係合させながら、該係合凹部及び係合突起の係合部をヒンジ中心として、前記一方のケースに対して他方のケースを回動させて、前記一方のケースの左右側壁のうち他方側を他方のケースの左右側壁のうち他方側に当接させ、この過程において前記開口部における前記上ケースおよび下ケースにより前記正面パネルを挟合して前記開口部に前記正面パネルを組み込み、前記上ケースおよび下ケースにおける左右側壁の他方側を締着具により螺着して構成する電子機器の筐体構造であって、前記係合突起における前記係合凹部の係合部を凹円弧状に形成すると共に、前記係合凹部に係合する前記係合突起を凸円弧状に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
上記のように構成する本発明において、係合凹部に係合突起を係合させながら、係合凹部及び係合突起の係合部をヒンジ中心として、一方のケースに対して他方のケースを回動させて、一方のケースの左右側壁のうち他方の側面側の端面を他方のケースの左右側面のうち他方の側面側の端面に当接させ、この過程において開口部における上ケースおよび下ケースにより正面パネルを挟合して開口部に正面パネルを組み込む場合、係合突起における係合凹部の係合部を凹円弧状に形成すると共に、係合凹部に係合する係合突起を凸円弧状に形成したために、下ケースに対する上ケースが、係合突起と係合凹部との係合関係を保持したまま、大きく回動できることになって、結果的に、正面パネルを組み込むための開口部面積を大きくすることによって、正面パネルとして、例えば筐体の正面略いっぱいの大きさに形成することによってLEDや液晶等の情報表示量を満載した大型の正面パネルを採用できると共に、係合突起と係合凹部との引っ掛かり量を大きく取れて落下等の不用意な衝撃に対して容易に外れることがなく、しかも従来と同様に少ないねじ本数による上下ケースの取着を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、前記図1乃至図11を用いて、本発明を実施するための最良の実施の形態の一について説明する。
【0028】
図1は本発明にかかる実施の形態を採用した電子機器の筐体構造の上面ケース及び正面パネル側から描画した斜視図、図2は同じく下面ケース及び背面側から描画した斜視図、図3は同じく下面ケース側から描画した平面図、図4は上面ケース側から描画した平面図、図5は同じく一側面部を上方にして縦型に使用する状態を描画した斜視図、図6は図3のA−A断面図、図7は図6の円内における拡大図、図8は図6のC−C断面図、図9は同じく上面ケースに対して下面ケースを組み立てる過程を描画した図3におけるA−A断面図、図10は図9の円内における拡大図、図11図4のB−B断面図である。
【0029】
通信機器等の電子機器を収容する筐体1は、上面1dが開口した扁平の箱型を呈する下ケース2と下面1cが開口するやはり扁平な箱型を呈する上ケース3とを開口同士を対向させて重合組み付けし、正面1d側に正面パネル4を配することによって構成している。
【0030】
上ケース3の上面1dには、図1に示すように、放熱用の通風孔5と筐体1を縦置きに使用する際のスタンド6(図5参照)を嵌合するための一対のスタンド用嵌合溝7が形成されている。
【0031】
下ケース2の下面1cには、図2に示すように、放熱用の通風孔5a、筐体1の縦置き時のスタンド6(図5参照)を嵌合するための一対のスタンド嵌合溝7a、及び筐体1を壁に掛けて使用する場合の壁掛け用固定溝8がそれぞれ設けられていると共に、上ケース3を上にして筐体1を横置きに使用する場合の設置面としての脚部9が下ケース2の4隅にそれぞれ形成されている。
【0032】
筐体1の下面1c、上面1d及び背面1fには、通風孔5、5aを通過するように、複数条の冷却フィン5cが突出形成されている。
【0033】
筐体1の左右側面のうち一方の側面1aにおいて、下ケース2側の端面から上面1d側に略4半円の凸円弧状に形成された凸円弧状部10を有する断面凹台形状の係合凹部11を形成すると共に、上ケース3側の端面に下ケース2側に延在するように突片13aを突設しており、突片13aの外方面側に略4半円の凹円弧状に形成された凹円弧状部12を有する断面略凸台形状の係合突起13が形成されて、凹円弧状部12に凸円弧状部10を係合することによって、係合部Yを形成している。
【0034】
筐体1の左右側面のうち他方の側面1bにおいて、上ケース3側の端部にねじ19が螺合する螺合孔3bを設けると共に、下ケース2側の端部にねじ19を挿入埋設させるねじ埋設孔2bを設け、且つ、埋設孔2bにはねじ19の頭部が着座する着座部2cが形成されている。
【0035】
筐体1の正面1e側において、下ケース2及び上ケース3に互いに正面1eに向かってコ字状に切欠き部2a、3aを形成することによって、開口部16が形成されている。
【0036】
上ケース3の切欠き部3aの端面部より下面1c側に向かって刻設された凹溝16aが形成されると共に、下ケース2の切欠き部2aの端面部より上面1d側に向かって刻設された凹溝16bが形成され、両凹溝16a、16bに正面パネル4の上下端部を嵌合することによって、正面パネル4を筐体1の正面1e側に挟合装着するように構成している。
【0037】
上記のように構成する場合、係合突起13を係合凹部11に係合させた状態で、係合凹部11の凸円弧状部10が係合突起13の凹円弧状部12内を摺動しながら所謂ヒンジ中心となして、筐体1の正面1e側を筐体1の一方の側面1a側を頂点とした三角状に開口しておく(図9及び図10に示す状態)。
【0038】
この場合、係合凹部11が凸円弧状部10を有すると共に係合突起13が凹円弧状部12を有するために、係合突起12と係合凹部11との係合関係を維持しつつ、下ケース2は上ケース3に対して少なくとも90度くらいは回転可能であり、このために筐体1の正面1e側に形成される三角形状の開口20が正面1eの幅方向いっぱいに大きく形成することができ、この三角形状の開口に大型の正面パネル4を挿入することができる。
【0039】
そして、この三角状の開口20に大型化した正面パネル4を嵌め込んで、正面パネル4の上下端部をそれぞれ凹溝16a及び凹溝16bに対向させた状態で、筐体1の一方の側面1a側において、係合凹部11の凸円弧状部10が係合突起13の凹円弧状部12内を摺動し所謂ヒンジ中心を形成しながら、筐体1の他方の側面1b側において上ケース3に対して下ケース2を前記とは逆方向に回転させ、上ケース3の下面に下ケース2の上面を当接させ、ねじをねじ埋設孔2b側から挿入して螺合孔3bに螺着し、このとき、切欠き部2a及び切欠き部3aによって正面側2eに開口部36が形成されて、正面パネル4を下ケース2と上ケース3とで挟合装着し、上ケース3に対して下ケース2を重合組み付けして、筐体1が完成する。
【0040】
このとき、正面パネル3の両端部は両凹溝16a、16b内に嵌合して組み込み装着されることになり、また、筐体1の他方の側面1b側において、上ケース3の端部下面に外方に開口するように設けた切欠き凹部3dが下ケース2の端部上面に内方に開口するように設けた切欠き凸部2dに掛合して、筐体1の内部の視認性をなくしている。
【0041】
上記のように構成する電子機器の筐体構造は、下ケース2の下面1c側に設けた一対のねじ孔17から不図示のねじを挿通させて、ねじ18を上ケース3側に螺着することによって、少ないねじ本数によって、下ケース2と上ケース3の重合組み付けを実現したものである。
【0042】
なお、上ケース3の底部には、複数本のボス部14を立設して、筐体1内に収納すべく、電子機器の一つであるプリント配線基板15がボス部14によって位置決めされると共に下ケース2側の台座20との間で挟着固定されている。
【0043】
上記のように構成する本発明にかかる実施の形態においては、係合凹部12に係合突起13を係合させながら、係合凹部12及び係合突起13の係合部Yをヒンジ中心として、上ケース3に対して下ケース2を回動させて、上ケース3の他方の側面1b側の端面を下ケース2の他方の側面1b側の端面に当接させ、この過程において開口部16における上ケース3および下ケース2により正面パネル4を挟合して開口部16に正面パネル4を組み込む場合、係合突起13に凹円弧状部12を形成すると共に、係合凹部11に凸円弧状部10を形成することによって係合部Yを形成したために、上ケース3に対する下ケース2が、係合突起13と係合凹部11との係合関係を保持したまま、大きく回動できることになって、結果的に、正面パネル4を組み込む開口部面積を大きくすることによって、正面パネル4として、例えば筐体1の正面略いっぱいの大きさに形成することによってLEDや液晶等の情報表示量を満載した大型の正面パネルを採用できると共に、係合突起13と係合凹部11との引っ掛かり量を大きく取れて落下等の不用意な衝撃に対して容易に外れることがなく、しかも従来と同様に少ないねじ本数による上下ケース2,3の取着を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明は、係合凹部に係合突起を係合させながら、係合凹部及び係合突起の係合部をヒンジ中心として、一方のケースに対して他方のケースを回動させて、一方のケースの左右側壁のうち他方側を他方のケースの左右側壁のうち他方側に当接させ、この過程において開口部における上ケースおよび下ケースにより正面パネルを挟合して開口部に正面パネルを組み込む場合、係合突起における係合凹部の係合部を凹円弧状に形成すると共に、係合凹部に係合する係合突起を凸円弧状に形成したために、下ケースに対する上ケースが、係合突起と係合凹部との係合関係を保持したまま、大きく開動できることになって、結果的に、正面パネルを組み込むための開口部面積を大きくすることによって、正面パネルとして、例えば筐体の正面略いっぱいの大きさに形成することによってLEDや液晶等の情報表示量を満載した大型の正面パネルを採用できると共に、係合突起と係合凹部との引っ掛かり量を大きく取れて落下等の不用意な衝撃に対して容易に外れることがなく、しかも従来と同様に少ないねじ本数による上下ケースの取着を実現することができるために、電話回線を使用して情報通信を行う通信機器等の電子機器の筐体構造、特に、筐体の正面に正面パネルを装着して、縦型や横臥型等にして使用する種の電子機器の筐体構造等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明にかかる実施の形態を採用した電子機器の筐体構造の上面ケース及び正面パネル側から描画した斜視図である。
【図2】同じく下面ケース及び背面側から描画した斜視図である。
【図3】同じく下面ケース側から描画した平面図である。
【図4】上面ケース側から描画した平面図である。
【図5】同じく一側面部を上方にして縦型に使用する状態を描画した斜視図である。
【図6】図3のA−A断面図である。
【図7】図6の円内における拡大図である。
【図8】図6のC−C断面図である。
【図9】同じく上面ケースに対して下面ケースを組み付ける中途状態を描画した図3におけるA−A断面図である。
【図10】図9の円内の拡大図である。
【図11】図4のB−B断面図である。
【図12】従来の一例を示す電子機器の筐体構造の下面ケースに対して上面ケースを組み付ける中途状態を描画した側面断面図である。
【図13】図12の円内の拡大図である。
【図14】図12のD−D断面図である。
【図15】従来の他の例を示す電子機器の筐体構造の下面ケースに対して上面ケースを組み付ける中途状態を描画した側面断面図である。
【図16】図14の円内の拡大図である。
【図17】図15のE−E断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 筐体
1a 一方の側面
1b 他方の側面
1e 正面
2 下ケース
2a 切欠き部
3 上ケース
3a 切欠き部
4 正面パネル
10 凸円弧状部
11 係合凹部
12 凹円弧状部
13 係合突起
16 開口部
Y 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上ケースと下ケースとを重合することによって箱型の筐体を形成し、前記上ケースおよび下ケースの正面側に切欠き部を形成することによって前記筐体の正面側に開口部を形成して、該開口部に正面パネルを組み込み、さらに、前記上ケースおよび下ケースのうち一方のケースにおける左右側面壁の一方に、係合突起を形成すると共に、該係合突起に対応して他方のケースの左右側壁の一方に、前記係合突起に係合する係合凹部を形成し、該係合凹部に前記係合突起を係合させながら、該係合凹部及び係合突起の係合部をヒンジ中心として、前記一方のケースに対して他方のケースを回動させて、前記一方のケースの左右側壁のうち他方側を他方のケースの左右側壁のうち他方側に当接させ、この過程において前記開口部における前記上ケースおよび下ケースにより前記正面パネルを挟合して前記開口部に前記正面パネルを組み込み、前記上ケースおよび下ケースにおける左右側壁の他方側を締着具により螺着して構成する電子機器の筐体構造であって、
前記係合突起における前記係合凹部の係合部を凹円弧状に形成すると共に、前記係合凹部に係合する前記係合突起を凸円弧状に形成したことを特徴とする電子機器の筐体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−19574(P2006−19574A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196893(P2004−196893)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】