説明

電子機器及びその製造方法

【課題】搭載したヒンジモジュールの抜け防止機能を向上させるとともに、電子機器の組立て性及び分解性を高めてリペア性の向上を図る。
【解決手段】ヒンジモジュール8を備える電子機器2であって、第1の筐体部(前面側ケース部10)と、第2の筐体部(背面側ケース部12)と、基板保持部材(基板保持部14)とを備える。第1の筐体部は、前記ヒンジモジュールを保持させる保持部(ヒンジ保持部20)とともに該保持部に窓部22を備える。第2の筐体部は、前記第1の筐体部と接合させる。基板保持部材は、前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との間に設置され、前記第1の筐体部の前記窓部を貫通させるとともに前記第2の筐体部から押圧されて前記ヒンジモジュールを係止する係止部16を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体間の開閉にヒンジモジュールを備える電子機器に関し、例えば、ヒンジモジュールによって筐体間が開閉可能に支持された携帯端末装置等の電子機器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置等の電子機器には例えば、2つの筐体をヒンジ機構によって連結して開閉可能にしたものが知られている。斯かる電子機器は2つの筐体を支持する回転軸としてヒンジモジュールを備えている。このヒンジモジュールは、各筐体間を回転可能に連結し、安定した開閉機能を維持するための部品であって、筐体側にヒンジモジュールを維持するために例えば、抜け防止部品が設置される等、抜け防止が図られる。
【0003】
このようなヒンジモジュールの抜け防止に関し、シャフトがヒンジモジュール側に圧入され、先端が広がった爪状のフックを備え、このヒンジモジュールを部品の穴に通過させて爪を引っかける構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−130250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ヒンジモジュールを備えた折り畳み可能な電子機器では、例えば、内部に備えた基板等の修理や交換に際し、ヒンジモジュールを取り外す場合があり、これにより、ヒンジモジュールの抜け防止部品も取り外す必要がある。この抜け防止部品は、例えば、電子機器の筐体部に圧入されているため、電子機器の分解処理及び組立て処理に手間が掛かり、また、取り外した場合に再利用ができず、新たな部品を再び圧入する必要があった。
【0006】
斯かる要求や課題について、特許文献1にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0007】
そこで、本開示の電子機器又はその製造方法の目的は、搭載したヒンジモジュールの抜け防止機能を向上させるとともに、電子機器の組立て性及び分解性を高めてリペア性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の電子機器は、ヒンジモジュールを備える電子機器であって、第1の筐体部と、第2の筐体部と、基板保持部材とを備える。第1の筐体部は、前記ヒンジモジュールを保持させる保持部とともに該保持部に窓部を備える。第2の筐体部は、前記第1の筐体部と接合させる。基板保持部材は、前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との間に設置され、前記第1の筐体部の前記窓部を貫通させるとともに前記第2の筐体部から押圧されて前記ヒンジモジュールを係止する係止部を備える。斯かる構成により、上記目的が達成される。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本開示の製造方法は、ヒンジモジュールを備える電子機器の製造方法であって、第1の筐体部を形成する工程と、第2の筐体部を形成する工程と、基板保持部材を形成する工程とを含む。第1の筐体部を形成する工程は、前記ヒンジモジュールを保持させる保持部とともに該保持部に窓部を備える第1の筐体部を形成する。第2の筐体部を形成する工程は、前記第1の筐体部と接合させる第2の筐体部を形成する。基板保持部材を形成する工程は、前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との間に設置され、前記第1の筐体部の前記窓部を貫通させるとともに前記第2の筐体部から押圧されて前記ヒンジモジュールを係止する係止部を備える基板保持部材を形成する。斯かる構成により、上記目的が達成される。
【発明の効果】
【0010】
本開示の電子機器又はその製造方法によれば、次のような効果が得られる。
【0011】
(1) 基板保持部材に備えた係止部を第1の筐体部の窓部からヒンジモジュールに係止させることで、第1の筐体部に保持されたヒンジモジュールの抜け防止を図ることができる。しかも、基板保持部材が第1及び第2の筐体部の接合によって固定され、基板保持部材にある係止部がヒンジモジュール側に押圧されるので、ヒンジモジュールは係止部に強固に係止することができる。
【0012】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係る電子機器のヒンジモジュール抜け防止機構部の一例を示す図である。
【図2】ヒンジモジュール抜け防止機構部を背面側から見て示した図である。
【図3】第2の実施の形態に係る携帯電話機を正面側から見て示した図である。
【図4】携帯電話機を背面側から見て示した図である。
【図5】キーボード側筐体の分解斜視図である。
【図6】基板ASSYの分解斜視図である。
【図7】背面側の基板を保持した基板保持部と前面側の基板との接続状態を示す図である。
【図8】基板保持部の側面部を示す図である。
【図9】係止ピンとバネの接続状態を示す図である。
【図10】ヒンジモジュールの外観構成例を示す図である。
【図11】固定リアケースの外観構成例を示す図である。
【図12】固定フロントケース側に基板ASSYを設置した状態を示す図である。
【図13】ヒンジ保持部と係止ピンと固定リアケースとの接合を背面側から見て示した図である。
【図14】ヒンジ保持部と係止ピンと固定リアケースとの接合を前面側から見て示した図である。
【図15】ヒンジ保持部にヒンジモジュールを挿入する前の状態を示す図である。
【図16】ヒンジ保持部の側面側を示す図である。
【図17】ヒンジモジュールの挿入途中の状態を示す図である。
【図18】ヒンジモジュールをヒンジ保持部に挿入した状態を示す図である。
【図19】ヒンジ保持部内のヒンジモジュールを窓部から見て示した図である。
【図20】図19のA−A断面図である。
【図21】係止ピン及びバネとヒンジモジュールとの接触状態を示す図である。
【図22】係止ピン及びバネと立壁部との接触状態を示す図である。
【図23】第3の実施の形態に係る電子機器の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図24】第4の実施の形態に係る携帯電話機の機能構成例を示す図である。
【図25】ヒンジモジュール抜け防止機構部と基板との接続状態の例を示す図である。
【図26】ヒンジモジュール抜け防止手段の比較例を示す図である。
【図27】ヒンジモジュール抜け防止手段の比較例を示す図である。
【図28】他の実施の形態に係るPCを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1の実施の形態〕
【0015】
第1の実施の形態は、ヒンジモジュールを備える電子機器であって、複数の基板を保持するとともにヒンジモジュールに係止する係止部を備えた基板保持部材と、第1の筐体部と、第2の筐体部とを備える。そして、基板保持部材を挟んで第1の筐体部と第2の筐体部とを接合させ、第2の筐体部が係止部を押圧することでヒンジモジュールに係止させる。この電子機器は、例えば、ヒンジモジュールにより複数の構成部が開閉可能に接続された携帯電話機やノート型パーソナルコンピュータ(PC)等である。
【0016】
この第1の実施の形態について、図1及び図2を参照する。図1は、第1の実施の形態に係る電子機器のヒンジモジュール抜け防止機構部の一例を示す図、図2は、ヒンジモジュール抜け防止機構部を背面側から見て示した図である。なお、図1に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0017】
この電子機器2は、本開示の電子機器の一例であって、図1に示すように、第1のケース3と、第2のケース4と、ヒンジ部5と、ヒンジモジュール抜け防止機構部7とを備えている。
【0018】
ケース3は、表示部が設置される表示側筐体であり、ケース4は、キーボード等の操作部が設置される操作側筐体である。ヒンジ部5は、ケース3とケース4とを連結し、ヒンジモジュール8を用いて開閉可能に維持する機構部である。ヒンジモジュール抜け防止機構部7は、ヒンジ部5にあるヒンジモジュール8の抜けを防止する機構部である。
【0019】
ケース4は、ヒンジモジュール8と、前面側ケース部10と、背面側ケース部12と、基板保持部14とを備えている。
【0020】
ヒンジモジュール8は、電子機器2を構成する既述のケース3、4を開閉可能に連結する軸部の一例であって、例えば、円筒状に構成され、電子機器2の側面側から挿入させてある。このヒンジモジュール8には、ヒンジモジュール抜け防止機構部7を構成する立壁部18が備えられている。
【0021】
前面側ケース部10は第1の筐体部の一例であって、ヒンジモジュール8を保持するヒンジ保持部20を備えている。また、ヒンジ保持部20に挿入されたヒンジモジュール8側に向けて開口された窓部22を備える。
【0022】
背面側ケース部12は、前面側ケース部10と接合する第2の筐体部の一例である。この背面側ケース部12には、ヒンジモジュール抜け防止機構部7の一部であって、係止部16の背面側に接触してヒンジモジュール8側に押圧する押圧部24を備える。
【0023】
基板保持部14は、電子機器2内に備える複数の基板26、28を保持する基板保持部材の一例であって、例えば、基板保持部14の両面側に保持した基板26、28をユニット化して電子機器2内の所定の位置に配置させる。また、この基板保持部14には、ヒンジ保持部20内に収納されたヒンジモジュール8に係止する係止部16を備えている。
【0024】
係止部16は、ヒンジモジュール抜け防止機構部7の一例であって、ヒンジモジュール8に係止させて抜けを防止する。この係止部16は、例えば、一端側を基板保持部14に一体に構成される。他端側は、ヒンジモジュール8への接触部であり、前面側ケース部10に構成された窓部22側に配置される。そして、既述のように、背面側ケース部12の押圧部24によってヒンジモジュール8側に押し込まれることにより、ヒンジモジュール8の側面側に接触する。
【0025】
立壁部18は、ヒンジモジュール8側に備えたヒンジモジュール抜け防止機構部7の一例であって、前面側ケース部10の窓部22から突出した係止部16に対して接触することでヒンジモジュール8の挿入方口への移動を阻止する。
【0026】
窓部22は、図2に示すように、前面側ケース部10の一部に、ヒンジ保持部20に向けて開口されている。その開口位置は、例えば、挿入されたヒンジモジュール8の立壁部18の配置位置に合わせてもよい。
【0027】
このような構成において、電子機器2は例えば、立壁部18が窓部22側に位置する方向でヒンジモジュール8を挿入させた後、係止部16を窓部22を貫通させる位置に基板保持部14を設置し、背面側ケース部12を設置することにより組み立てられる。
【0028】
そして、背面側ケース部12と前面側ケース10とは、例えばネジ等の締結手段で固定する。これにより、基板保持部14が前面側ケース部10と背面側ケース部12との間に固定されるとともに、背面側ケース部12の押圧部24により係止部16が窓部22からヒンジモジュール8側に押圧される。また、逆に、前面側ケース10と背面側ケース12との接合を解除することで、基板保持部14を取り外すことができるとともに、係止部16とヒンジモジュール8との係止も解除することができる。
【0029】
なお、係止部16には、押圧部24の押圧による破損等を防止するため、ヒンジモジュール8との間に補強部材を介在させてもよい。また、この補強部材を例えば、金属材料によって構成し、基板側と電気的に接続させてヒンジモジュール8をアンテナとして利用してもよい。
【0030】
斯かる構成によれば、基板保持部14に備えた係止部16を前面側ケース部10の窓部22からヒンジモジュール8に係止させることで、ヒンジモジュール8の抜け防止を図ることができる。また、基板保持部14が前面側ケース部10と背面側ケース部12との接合により固定され、係止部16がヒンジモジュール8側に押圧されることで、より強固に係止することができる。また、前面側ケース部10と背面側ケース部12との接合を解除すれば、ヒンジモジュール8に対する係止部16の係止が解かれるので、組立て性が高く、係止部16は再組立ての際に再利用できる。即ち、ヒンジモジュール8の保持強度と電子機器2の組立て性を共に高めることができる。さらに、前面側ケース部10と背面側ケース部12との接合によってヒンジモジュール8の保持が可能であるので、組立て工数を削減できるとともに、組立てや分解の容易化や迅速化、更には修理や調整等のメンテナンスの容易化や迅速化に寄与することができる。
【0031】
〔第2の実施の形態〕
【0032】
第2の実施の形態は、ヒンジモジュールの抜け防止機構部を備えた電子機器の一例である携帯電話機の構成例に関する。
【0033】
次に、第2の実施の形態について、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10及び図11を参照する。図3は、第2の実施の形態に係る携帯電話機を正面側から見て示した図、図4は、携帯電話機を背面側から見て示した図、図5は、キーボード側筐体の分解斜視図、図6は、基板ASSYの分解斜視図である。図7は、背面側の基板を保持した基板保持部と前面側の基板との接続状態を示す図、図8は、基板保持部の側面図、図9は、係止ピンと補強部材の接続状態を示す図、図10は、ヒンジモジュールの外観構成例を示す図、図11は、固定リアケースの外観構成例を示す図である。なお、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10及び図11に示す構成は一例であって、本発明が斯かる構成に限定されない。また、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10及び図11において、図1、図2と同一の機能構成については、その説明を省略する。
【0034】
この携帯電話機40は、本開示の電子機器の一例であって、ヒンジモジュールの抜け防止機構部を備える。この携帯電話機40は、表示側筐体42とキーボード側筐体44とをヒンジ部46によって開閉可能に連結している。このキーボード側筐体44には、図3に示すように、文字等の入力手段であるキーボード部48等を備えている。また、キーボード側筐体44の背面側には、図4に示すように、例えば、カメラモジュール等を配置するカメラ窓部49を備えるとともに、内部には、電池モジュール等を備える。表示側筐体42には、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成した表示部50が設置されている。
【0035】
ヒンジ部46は、開閉機構部の一例であって、図3に示すように、表示側筐体42及びキーボード側筐体44に構成されたヒンジ保持部52、54、56を交互に配置し、ヒンジモジュール58を内部に貫通させている。そして、挿入されたヒンジモジュール58を軸部として、表示側筐体42とキーボード側筐体44とを開閉可能に連結している。このヒンジモジュール58は、例えば、キーボード側筐体44の側面側から挿入され、このキーボード側筐体44の内部には、ヒンジモジュール抜け防止機構部を備えている。
【0036】
キーボード側筐体44は、例えば、図5に示すように、固定フロントケース60、固定リアケース62、基板ASSY(基板組立体:Assembly)64、ヒンジモジュール58、ダミーヒンジ66等を備えている。
【0037】
固定フロントケース60は、第1の筐体部の一例であって、固定リアケース62と接合して基板ASSY64を保持する手段である。この固定フロントケース60には、基板68上に設置された入力部に対するキーパッド等を配置させる操作窓部70や、ヒンジモジュール58及びダミーヒンジ66を保持するヒンジ保持部52、56を備える。また、ヒンジモジュール58が挿入されるヒンジ保持部56に向けて開口した窓部72が形成されている。固定フロントケース60の内側周縁には、複数の固定孔74が形成されている。各固定孔74内部には、例えば、締結手段である固定ねじ76を締結するための雌ねじを備えている。
【0038】
基板ASSY64は、複数の基板68、78を保持した基板集合体の一例であって、例えば10キー等の操作キーの電気接点となるドームスイッチ等が実装された基板68と、例えば、カメラモジュール等を備えた基板78と、これら基板68、78を組み付ける基板保持部80(図6)とを備えており、固定フロントケース60と固定リアケース62との間に挟持されて固定される。基板68、78は、図6に示すように、例えば、携帯電話機40の前面側と背面側に対して、基板保持部80を挟んで配置している。
【0039】
基板保持部80は、基板68、78を一体に保持する手段の一例であって、これら基板68、78やその他の部品等をユニット(Unit) 化する手段である。この基板保持部80の背面側には、例えば、周縁に一定の高さを持つ囲壁部82や係止爪84を形成している。そして、基板78は囲壁部82上に配置され、かつ係止爪84によって係止されて所定の位置に保持される。また、基板保持部80の内側には、両側に保持する基板68、78同士を接続させる基板窓部86を備えている。そして、図7に示すように、基板保持部80には、背面側に保持した基板78に備えた端子部88と、前面側に保持した基板68の端子部90とを、基板窓部86を介して接続させる。これにより、基板68、78同士を所定の位置に保持する。
【0040】
基板保持部80には、例えば、上部側の一部に、ヒンジモジュール58に係止する係止ピン92を備えている。この係止ピン92は、係止部の一例であって、ヒンジ保持部56に挿入されたヒンジモジュール58の抜け防止機構部を構成する。この係止ピン92は、図8に示すように、例えば、基板保持部80の囲壁部82上に備えられており、ヒンジモジュール58と接触する接触部93を備えている。
【0041】
また、基板保持部80は、係止ピン92を補強するための補強部材としてバネ94を備えている。このバネ94は、図8及び図9に示すように、例えば、金属製の板バネであって、その一部を係止ピン92の側面側に沿って設置しており、また、係止ピン92の先端の接触部93側に対して、隙間ができるように曲げて配置している。また、バネ94は、係止ピン92の一部を把持する把持部96を備える。これにより、既述のように、係止ピン92を用いたヒンジモジュールの抜け防止機構において、ヒンジモジュール8の抜け方向に対する力や、係止ピン92に対する押圧部120(図11)からの押圧力等によって係止ピン92が破損するのを防止できる。
【0042】
なお、このバネ94は、係止ピン92に対する補強部材として機能する他、例えば、基板保持部80に保持される基板68、78に備えた端子部88、90等とを接触させ、電気的に接続してもよい。
【0043】
キーボード側筐体44と表示側筐体42とを開閉可能に接続するヒンジモジュール58は、図10に示すように、例えば円筒形に構成されている。この円筒部分には、ヒンジ保持部56(図5)の内部に設けたキー溝130(図16)に係合させるガイドキー100が形成されている。このガイドキー100は、例えば、ヒンジ保持部56内におけるヒンジモジュール58の回転を防止するとともに、後述するヒンジ抜け防止機構部に対し、ヒンジモジュール58の挿入向きを一定に制限する手段の一例である。また、ヒンジモジュール58の円筒側面の一部には、既述の係止ピン92やバネ94と係止するための係止部材102を備えている。この係止部材102は、例えば、金属材料で構成され、円筒側面に対して、平面部104及び立壁部106を備えている。係止部材102の平面部104は、例えば、係止ピン92やバネ94に係止させる孔108を備えている。また、立壁部106は、係止ピン92やバネ94の側面側に係止させてヒンジモジュール58の抜けを防止する手段である。
【0044】
ダミーヒンジ66は、図5に示すように、例えば、ヒンジ保持部52、54内に貫通させてキーボード側筐体44と表示側筐体42とを開閉可能に接続する手段の一例である。また、ダミーヒンジ66は中空に構成され、その内部にケーブル110等を貫通させる手段であり、基板78に接続されたケーブル110を例えば、表示側筐体42内に設置した基板に導いている。
【0045】
固定リアケース62は、第2の筐体部の一例であって、固定フロントケース60との接合により基板ASSY64を保持する手段である。図11に示すように、固定リアケース62の下部側には、図示しない外装ケースと接合して携帯電話機40の電池部品等を収納する収納部112が構成されている。また、固定リアケース62の上部側には、例えば、基板78に設置したカメラモジュール等をカメラ窓部49側に保持する立壁部114が構成されている。さらに、固定リアケース62の内側周縁には、締結手段である固定ねじ76を通し、接合した固定フロントケース60と固定リアケース62とを締結する複数の固定孔116が形成されている。
【0046】
また、固定リアケース62の上部側の一部には、固定フロントケース60との接合により係止ピン92を背面側から押圧する押圧部120を備える。押圧部120は、既述のように、係止ピン92をヒンジモジュール58側に押し付けるヒンジモジュール58の抜け防止機構部の一例である。
【0047】
次に、ヒンジモジュールの抜け防止機構部の接合状態について、図12、図13及び図14を参照する。図12は、固定フロントケース側に基板ASSYを設置した状態を示す図、図13は、ヒンジ保持部と係止ピンと固定リアケースとの接合を背面側から見て示した図、図14は、ヒンジ保持部と係止ピンと固定リアケースとの接合を前面側から見て示した図である。なお、図12、図13及び図14に示す構成は一例であって、これに限定されない。また、図12、図13及び図14において、図5、図6及び図7と同一の構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
基板ASSY64は、固定フロントケース60側の所定の設置位置に搭載されている。この設置位置は、例えば、基板保持部80に備えた係止ピン92を窓部72に貫通可能な位置に決めればよい。この窓部72には、ヒンジ保持部56内に挿入されたヒンジモジュール58の係止部材102に備えた平面部104や孔108が配置される。そして、窓部72を通じて係止ピン92は、平面部104や孔108に係止する。また、ヒンジ保持部52に挿入したダミーヒンジ66は、基板ASSY64側から配索したケーブル110等を内部に貫通させている。
【0049】
また、固定リアケース62の押圧部120は、図13及び図14に示すように、固定フロントケース60と固定リアケース62とが接合すると、窓部72に対して配置された係止ピン92の背面側に接触するように配置されている。そして、係止ピン92は、押圧部120と接触して窓部72側へと押し込まれることで、ヒンジ保持部56内にあるヒンジモジュール58に接触する。この場合、補強部材であるバネ94は、係止ピン92とともに窓部72を貫通し、ヒンジモジュール58に接触する。
【0050】
次に、ヒンジ保持部へのヒンジモジュールの挿入について、図15、図16、図17、図18、図19及び図20を参照する。図15は、ヒンジ保持部にヒンジモジュールを挿入する前の状態を示す図、図16は、ヒンジ保持部の側面側を示す図、図17は、ヒンジモジュールの挿入途中の状態を示す図、図18は、ヒンジモジュールをヒンジ保持部に挿入した状態を示す図、図19は、ヒンジ保持部内のヒンジモジュールを窓部から見て示した図、図20は、図19のA−A断面図である。なお、図15、図16、図17、図18、図19及び図20に示す構成は一例であって、これに限定されるものではない。
【0051】
ヒンジモジュール58は、例えば、携帯電話機40の側面側からヒンジ保持部56内に挿入する。ヒンジ保持部56の内部には、例えば、ヒンジモジュール58の挿入方口に向けてキー溝130が形成されている。このキー溝130に対して、ヒンジモジュール58の長手方向に形成されたガイドキー100が係合することで、ヒンジ保持部56内に保持されたヒンジモジュール58の回転を防止する。また、ヒンジ保持部56の挿入口には、図16に示すように、ゲート部132を備える。このゲート部132は、係止ピン92等と接触させる立壁部106が窓部72側に向けて配置されるようにヒンジモジュール58の挿入向きを制限する手段の一例である。
【0052】
このゲート部132は、図17及び図18に示すように、ヒンジ保持部56に開口した窓部72の側壁部134側まで形成されている。そして、ヒンジモジュール58の立壁部106が窓部72側に向けて挿入されると、ゲート部132を通過し、側壁部136側に突き当たるまで挿入することでヒンジモジュール58の挿入位置が決められる。
【0053】
ヒンジモジュール58がヒンジ保持部56に所定の向きで挿入されると、図19に示すように、窓部72には、例えば、ヒンジモジュール58の立壁部106や平面部104に備えた孔108等が配置される。また、図20に示すように、ヒンジモジュール58の立壁部106を側壁部136に当接させて、窓部72側に配置させる。
【0054】
ここで、ヒンジモジュール58を誤った向きでヒンジ保持部56内に挿入すると、例えば、立壁部106がヒンジ保持部56の外部側に接触したり、円筒部に備えたガイドキー100が側壁部136に接触することで、奥まで挿入することができない。従って、このガイドキー100やヒンジ保持部56のキー溝130等により、ヒンジモジュール58に備えた係止部材102を窓部72側に配置される抜け防止機構部側へと向けることができる。
【0055】
次に、ヒンジモジュールの抜け防止の状態について、図21及び図22を参照する。図21は、係止ピン及びバネとヒンジモジュールとの接触状態を示す図、図22は、係止ピン及びバネと立壁部との接触状態を示す図である。なお、図21及び図22に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0056】
上記の構成において、ヒンジ保持部56内にヒンジモジュール58を挿入し、固定フロントケース60に対して、係止ピン92を窓部72内に貫通するように基板ASSY64を配置する。そして、固定手段として例えば、固定ねじ76(図5)によって固定フロントケース60と固定リアケース62とを締結すると、図21に示すように、係止ピン92は押圧部120からの押圧により、ヒンジモジュール58側へと押し込まれる。これにより、係止ピン92は、バネ94を介してヒンジモジュール58の平面部104側に係止される。さらに、ヒンジモジュール58の側面側に係止ピン92やバネ94が押し付けられることにより、ヒンジモジュール58がヒンジ保持部56から抜けるのを防止できる。
【0057】
また、図22に示すように、ヒンジモジュール58側に押し付けられた係止ピン92及びバネ94の側面側に対して立壁部106が接触することで、ヒンジ保持部56の挿入口側へのヒンジモジュール58の移動を阻止することができる。
【0058】
なお、この携帯電話機40では、係止ピン92の補強部材としてバネ94を備えた場合を示したが、補強部材を備えない構成であってもよい。また、係止ピン92がヒンジモジュール58に対して、バネ94を狭み込むように接触して係止する場合に限られず、例えば、押圧によって押し込まれた係止ピン92がバネ94を付勢し、このバネ94がヒンジモジュール58に接触して、抜け防止を行ってもよい。
【0059】
また、ダミーヒンジ66は、内部に貫通させたケーブル110等によって抜け防止の効果が得られるが、ダミーヒンジ66側にも上記の抜け防止機構を備えてもよい。
【0060】
斯かる構成によれば、基板保持部80に備えた係止ピン92を固定フロントケース60の窓部72からヒンジモジュール58に係止させることで、ヒンジモジュール58の抜け防止を図ることができる。さらに、基板保持部80が固定フロントケース60及び固定リアケース62の接合によって固定され、基板保持部80にある係止ピン92がヒンジモジュール58側に押圧されるので、強固に係止することができる。また、固定フロントケース60及び固定リアケース62の接合を解除すれば、ヒンジモジュール58に対する係止ピン92の係止が解かれるので、組立て性が高く、係止ピン92は再組立ての際に再利用することができる。即ち、ヒンジモジュール58の保持強度を高めるとともに携帯電話機40の組立て性を高めることができる。さらに、組立て工数を削減できるとともに、組立てや分解の容易化や迅速化、更には修理や調整等のメンテナンスの容易化や迅速化に寄与することができる。また、バネ94を備えることにより係止ピン92の破損等を防止できるとともに、接触性が高められ、ヒンジモジュールの抜け防止状態を維持することができる。
【0061】
〔第3の実施の形態〕
【0062】
第3の実施の形態は、ヒンジモジュールの抜け防止機構部を備えた電子機器の製造方法の一例を示す。
【0063】
この第3の実施の形態について、図23を参照する。図23は、電子機器の製造工程の一例を示すフローチャートである。なお、図23に示す処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されるものではない。
【0064】
この製造方法は、本開示の電子機器の製造方法の一例である。この製造方法には、第1の筐体部の形成工程(ステップS1)と、第2の筐体部の形成工程(ステップS2)と、基板保持部の形成工程(ステップS3)とを含む。また、第1の筐体部にヒンジモジュール及び基板保持部を設置する工程(ステップS4)と、第1の筐体部と第2の筐体部との接合工程(ステップS5)とを含む。
【0065】
第1の筐体部の形成工程(ステップS1)では、第1の筐体部として前面側ケース部10を形成する。この前面側ケース部10には、ヒンジモジュール8を保持するヒンジ保持部20を形成するとともに、このヒンジ保持部20に対して開口する窓部22を形成する。この第1の筐体部は例えば、樹脂素材で形成すればよく、その構造は、既述の通りである。
【0066】
第2の筐体部の形成工程(ステップS2)では、第2の筐体部として背面側ケース部12を形成する。この背面側ケース部12には、押圧部24を形成する。この第2の筐体部及び押圧部24は、例えば、樹脂素材で一体に形成すればよく、その構造は、既述の通りである。
【0067】
基板保持部の形成工程(ステップS3)では、例えば、複数の基板26、28を両面側に保持した基板保持部14を形成し、既述のヒンジモジュール8に対して係止させる係止部16を形成する。この基板保持部14及び係止部16は例えば樹脂素材で一体に成型すればよい。
【0068】
次に、電子機器2及びヒンジモジュール8の抜け防止機構部の組立てを行う。そこで、第1の筐体部にヒンジモジュール及び基板保持部を設置する工程(ステップS4)では、前面側ケース部10に形成されたヒンジ保持部20にヒンジモジュール8を挿入した後、窓部22に対して係止部16が配置されるように基板保持部14を設置する。
【0069】
第1の筐体部と第2の筐体部との接合工程(ステップS5)では、基板保持部14を搭載した前面側ケース部10に対して背面側ケース部12を設置し、接合する。この場合、例えば、ネジ等の締結手段によって締付けを行う。これにより、既述のように、前面側ケース部10の窓部22に配置した係止部16が背面側ケース部12の押圧部24により押圧され、窓部22を貫通してヒンジモジュール8に接触させる。このような工程により、電子機器2を組み立てることができ、また、押圧された係止部16の接触により、ヒンジモジュール8が抜けるのを防止することができる。
【0070】
なお、電子機器2の接合を解除する場合は、例えば、上記工程を逆順で行えばよい。
【0071】
斯かる構成によれば、前面側ケース部10と背面側ケース部12との接合によってヒンジモジュール8の保持が可能であるので、組立て工数を削減できるとともに、組立てや分解の容易化や迅速化、更には修理や調整等のメンテナンスの容易化や迅速化に寄与することができる。また、前面側ケース部10と背面側ケース部12との接合を解除すれば、ヒンジモジュール8に対する係止部16の係止が解かれるので、組立て性が高められる。さらに、係止部を再組立ての際に再利用することが可能となる。
【0072】
〔第4の実施の形態〕
【0073】
第4の実施の形態は、ヒンジモジュール抜け防止機構部との接続により、ヒンジモジュールをアンテナ機能部として利用する携帯電話機の構成例を示す。
【0074】
次に、第4の実施の形態について、図24及び図25を参照する。図24は、第4の実施の形態に係る携帯電話機の機能構成例を示す図、図25は、ヒンジモジュール抜け防止機構部と基板との接続状態の例を示す図である。なお、図24及び図25に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0075】
この携帯電話機40は、本開示の電子機器の一例であって、ヒンジモジュールの抜け防止機構部を備えるとともに、所定の長さを持つヒンジモジュール58をアンテナとして利用する。この携帯電話機40は、図24に示すように、ヒンジモジュール抜け防止機構部である係止ピン92等とともに、例えば、アンテナ部150、アンテナ接点ランド152、アンテナ整合回路154、無線部156等を備える。
【0076】
そこで、アンテナ部150は、例えば、無線通信又はテレビ等の電波を受信する手段の一例であって、ヒンジモジュール58で構成されている。また、ヒンジモジュール58をアンテナとして機能させるため、基板68側と電気的に接続する金属製の導体部材158を備えている。この導体部材158は、例えば、ヒンジモジュール58の抜け防止手段である係止ピン92に設置されればよい。そして、既述のように、携帯電話機40の固定フロントケース60と固定リアケース62との接合により、導体部材158の一端側を係止ピン92とともにヒンジモジュール58に接触させる。また、導体部材158の他端側は、基板68に備えたアンテナ接点ランド152に接続させて、ヒンジモジュール58と基板68側とを電気的に接続する。
【0077】
アンテナ接点ランド152は、基板68側の給電点の一例であって、導体部材158によってアンテナ部150と無線部156側とを接続させる手段である。このアンテナ接点ランド152は、例えば、図25に示すように、基板68上に設置され、係止ピン92に設置した導体部材158に接触させるように所定の高さを備えた金属製の部材で構成する。また、アンテナ整合回路154は、アンテナ部150と無線部156との間のインピーダンス等を整合させる回路機能部である。
【0078】
無線部156は、アンテナ部150からの無線電波を受信する機能部の一例であって、例えば、テレビやラジオ等の無線電波を受信するための放送受信機能部を構成する。また、この無線部156は、例えば、通話やパケット通信等のデータ通信に用いられる無線信号を送受信するようにしてもよい。
【0079】
導体部材158は、アンテナ部150で受信した無線電波を基板68側へと電送する手段であって、図25に示すように、例えば、既述の係止ピン92の補強部材である金属製のバネ94と同様に板バネ部品で構成している。また、導体部材158は、固定フロントケース60の窓部72に貫通させ、係止ピン92とヒンジジュール58との間に挟み込むように配置している。そして、このように構成した導体部材158は、既述の係止ピン92に対する補強部材として利用することができる。
【0080】
なお、ヒンジモジュール抜け防止機構部については、上記実施の形態に示す構成を利用すればよい。
【0081】
斯かる構成によれば、ヒンジモジュール58をアンテナとして利用し、携帯電話機40において、テレビやラジオ等の受信を行うことが可能となる。また、導体部材158を補強部材として利用することで係止ピン92の破損等を防止できるとともに、携帯電話機40の小型化を図ることができる。また、導体部材158をバネ部材で構成することで、ヒンジモジュール58側に対する接触性を高めることができる。
【0082】
次に、上記した第1、第2、第3又は第4の実施の形態について、利点、特徴事項等を以下に列挙する。
【0083】
(1) 基板を保持する部品に抜け防止機構部を備え、基板をユニット化した基板ASSY64を電子機器2である携帯電話機40に備えて、ヒンジモジュール58の抜け防止機構部を構成している。
【0084】
(2) ヒンジモジュール58の抜け防止機構部は、ヒンジモジュール58を外側から押し付ける構造を備えており、係止ピン92をヒンジモジュール58の側面に接触させる。固定リアケース62には押圧部120を備えており、固定リアケース62と固定フロントケース60とを固定ねじ76で締結することにより、押圧部120を介して係止ピン92をヒンジモジュール58側に押し付ける構成としている。これにより、ヒンジモジュール58の抜けを防止することができる。
【0085】
(3) ヒンジモジュール58と接触する係止ピン92の破損や折れを防止するための補強部材として、係止ピン92にバネ94を設置する。
【0086】
(4) 携帯電話機40は、金属製のヒンジモジュール58をアンテナとして利用する。そこで、ヒンジモジュール58と基板68の給電点とを機械的に且つ電気的に接続するための導体部材158を備える。この導体部材158を金属製の板バネ部品で構成すれば、接触性を高めることができる。そして、この導体部材158を既述の係止ピン92の補強部材として利用する。
【0087】
(5) このような構成によれば、基板ASSY64を構成する基板保持部80に抜け防止手段である係止ピン92を備えるので、ヒンジ抜け用の部品を別途設置する必要がなく、部品数を増加させることがない。
【0088】
(6) 基板ASSY64を構成する基板保持部80に抜け防止手段である係止ピン92を備えるので、抜け防止部品を圧入することがなく、電子機器の組立て性、又は分解性を高められる。
【0089】
(7) 例えば、金属製のバネ94等の補強部材を備えることで、係止ピン92を小型に構成でき、携帯電話機40の小型化を図ることができる。
【0090】
(8) 基板保持部80に係止ピン92を備え、電子機器2の組立てによって、ヒンジモジュール58の抜け防止を行う構成であり、従来のように、抜け防止部品の圧入を行わない。従って、圧入処理を行うための特殊な治具が不要であり、抜け防止部品を容易に外すことができるので、電子機器の組立て性又は分解性を高められる。また、圧入処理を行わないので、電子機器の再組立てを行う場合に、抜け防止部品を再利用することができる。
【0091】
〔比較例〕
【0092】
次に、比較例について、図26及び図27を参照する。図26及び図27は、ヒンジモジュール抜け防止手段の比較例を示す図である。
【0093】
この電子機器200は、図26に示すように、挿入されたヒンジモジュール202に対し、ヒンジ保持部204に設けた孔206に抜け防止部品208が設置されている。従来、電子機器200の外部からヒンジモジュール202が挿入されて取付けられる場合、ヒンジモジュール202の抜け防止部品208を別部品で構成し、圧入することによって抜け防止を行っていた。この場合、例えば、抜け防止部品208の取付けには専用の治具を必要とし、一度設置した抜け防止部品208は再度利用することができなかった。また、図27に示すように、抜け防止の効果を高めるために、抜け防止部品208が大型化し、設置スペースを確保する必要がある。従って、電子機器の小型化を困難にしている。
【0094】
これに対し、本開示の電子機器及びその製造方法では、斯かる課題が解決されている。
【0095】
〔他の実施の形態〕
【0096】
(1)上記実施の形態では、係止ピン92の補強又はヒンジモジュール58と基板68との電気的な接続を行う導電部材158として、バネ94を示したが、これに限られない。例えば、係止ピン92に導電性材量で構成したメッキ処理を施してもよく、又は導電性の樹脂材料で構成してもよい。そして、この係止ピン92と基板68のアンテナ接点ランド152とを接触させる構成とすれば、係止ピン92の強度を上げることができるとともに、ヒンジモジュール58と基板68との電気的な接続を行うことができる。
【0097】
(2) 上記実施の形態では、電子機器の一例として、携帯電話機40を示したが、これに限られない。例えば、図28に示すように、ヒンジモジュール302を備えたパーソナルコンピュータ(PC)300であってもよい。
【0098】
このPC300は、表示側筐体304とキーボード側筐体306を備えており、ヒンジ部307に備えたヒンジモジュール302によって開閉可能に接続されている。そして、例えば、キーボード側筐体306は、基板308を保持する基板保持部310をフロントケース312及びリアケース314で保持し、固定している。この基板保持部310には、挿入されたヒンジモジュール302を係止する係止部316を備えている。また、リアケース314には、係止部316に対して押圧する押圧部318を備えている。そして、フロントケース312とリアケース314を接合し、例えばネジ等で固定することで、押圧部318が係止部316を押し込み、ヒンジモジュール302に接触させることにより、ヒンジモジュール302の抜けを防止する。斯かる構成によっても、上記実施の形態と同様に、上記目的を達成することができる。
【0099】
その他、この電子機器2として、例えば、ヒンジモジュールを備えたゲーム機、携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)等に利用してもよい。
【0100】
(3) 上記実施の形態では、ヒンジモジュール抜け防止機構部をキーボード側筐体44に備えた場合を示したが、これに限られず、例えば、表示側筐体42内に備えるようにしてもよい。この場合、例えば、表示側筐体42側に表示部50や基板等を保持する保持部材を備え、この保持部材に抜け防止機構部である係止部を備えればよい。
【0101】
(4) 上記実施の形態では、ヒンジモジュール58を基板68側に電気的に接続する導体部材158を補強部材に利用しているが、これに限られず、導体部材158と補強部材であるバネ94を別部材として備えてもよい。
【0102】
(5) 上記実施の形態では、第1の筐体部及び第2の筐体部として、前面側ケース部10と背面側ケース部12とを接合し、締結する手段として固定ねじを示したが、これに限られない。前面側ケース部10と背面側ケース部12との接合により、押圧部24によって係止部16を押し込むように締結できる手段であればよく、例えば、前面側ケース部10又は背面側ケース部12に係止用の爪部を備えてもよい。また、前面側ケース部10と背面側ケース部12との間に接着材を充填し、所定の力を加えて接合させてもよい。
【0103】
次に、以上述べた実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0104】
(付記1)ヒンジモジュールを備える電子機器であって、
前記ヒンジモジュールを保持させる保持部とともに該保持部に窓部を備える第1の筐体部と、
前記第1の筐体部と接合させる第2の筐体部と、
前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との間に設置され、前記第1の筐体部の前記窓部を貫通させるとともに前記第2の筐体部から押圧されて前記ヒンジモジュールを係止する係止部を備える基板保持部材と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【0105】
(付記2)更に、前記第2の筐体部に設けられ、前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との接合により、前記ヒンジモジュール側に前記係止部を押圧する押圧部を備えることを特徴とする、付記1に記載の電子機器。
【0106】
(付記3)前記係止部は、前記ヒンジモジュールに構成された立壁部と接合させて前記ヒンジモジュールに係止させることを特徴とする、付記1に記載の電子機器。
【0107】
(付記4)更に、前記基板保持部材は、前記係止部が前記ヒンジモジュールと接触する接触面側の一部又は全部を覆う補強部材を備え、
前記係止部は、該補強部材を介して前記ヒンジモジュールに係止することを特徴とする、付記1に記載の電子機器。
【0108】
(付記5)前記ヒンジモジュールと前記基板保持部材に保持された基板とを電気的に接続する導体部材と、
前記基板に設置され、前記ヒンジモジュールにより電波の受信又は送信を行う通信部と、
を備えることを特徴とする、付記1に記載の電子機器。
【0109】
(付記6)前記導体部材は、前記ヒンジモジュールと接触する前記係止部を補強する補強部材として利用することを特徴とする、付記5に記載の電子機器。
【0110】
(付記7)前記保持部は、前記ヒンジモジュールの挿入位置及び方向を規制するガイド溝を備えることを特徴とする、付記1に記載の電子機器。
【0111】
(付記8)ヒンジモジュールを備える電子機器の製造方法であって、
前記ヒンジモジュールを保持させる保持部とともに該保持部に窓部を備える第1の筐体部を形成する工程と、
前記第1の筐体部と接合させる第2の筐体部を形成する工程と、
前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との間に設置され、前記第1の筐体部の前記窓部を貫通させるとともに前記第2の筐体部から押圧されて前記ヒンジモジュールを係止する係止部を備える基板保持部材を形成する工程と、
を含むことを特徴とする電子機器の製造方法。
【0112】
(付記9)前記第2の筐体部に設けられ、前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との接合により、前記ヒンジモジュール側に前記係止部を押圧する押圧部を形成する工程とを含むことを特徴とする、付記8に記載の電子機器の製造方法。
【0113】
(付記10)更に、前記基板保持部材に、前記係止部が前記ヒンジモジュールと接触する接触面側の一部又は全部を覆う補強部材を形成する工程と、
該補強部材を介して前記係止部を前記ヒンジモジュールに係止させる工程と、
を含むことを特徴とする、付記8に記載の電子機器の製造方法。
【0114】
(付記11)前記ヒンジモジュールと前記基板保持部材に保持された前記基板とを導体部材で電気的に接続する工程と、
前記ヒンジモジュールにより電波の受信又は送信を行う通信部を前記基板に設置する工程と、
を含むことを特徴とする、付記8に記載の電子機器の製造方法。
【0115】
以上説明したように、電子機器及びその製造方法の好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0116】
2 電子機器
3 第1のケース
4 第2のケース
5 ヒンジ部
7 ヒンジモジュール抜け防止機構部
8 ヒンジモジュール
10 前面側ケース部
12 背面側ケース部
14 基板保持部
16 係止部
18 立壁部
20 ヒンジ保持部
22 窓部
24 押圧部
26、28 基板
40 携帯電話機
42 表示側筐体
44 キーボード側筐体
46 ヒンジ部
52、54、56 ヒンジ保持部
58 ヒンジモジュール
60 固定フロントケース
62 固定リアケース
64 基板ASSY
68、78 基板
72 窓部
76 固定ねじ
80 基板保持部
92 係止ピン
94 バネ
100 ガイドキー
102 係止部材
104 平面部
106 立壁部
120 押圧部
130 キー溝
132 ゲート部
134、136 側壁部
150 アンテナ部
152 アンテナ接点ランド
154 アンテナ整合回路
156 無線部
158 導体部材
300 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジモジュールを備える電子機器であって、
前記ヒンジモジュールを保持させる保持部とともに該保持部に窓部を備える第1の筐体部と、
前記第1の筐体部と接合させる第2の筐体部と、
前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との間に設置され、前記第1の筐体部の前記窓部を貫通させるとともに前記第2の筐体部から押圧されて前記ヒンジモジュールを係止する係止部を備える基板保持部材と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
更に、前記第2の筐体部に設けられ、前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との接合により、前記ヒンジモジュール側に前記係止部を押圧する押圧部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
更に、前記基板保持部材は、前記係止部が前記ヒンジモジュールと接触する接触面側の一部又は全部を覆う補強部材を備え、
前記係止部は、該補強部材を介して前記ヒンジモジュールを係止することを特徴とする、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ヒンジモジュールと前記基板保持部材に保持された基板とを電気的に接続する導体部材と、
前記基板に設置され、前記ヒンジモジュールにより電波の受信又は送信を行う通信部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
ヒンジモジュールを備える電子機器の製造方法であって、
前記ヒンジモジュールを保持させる保持部とともに該保持部に窓部を備える第1の筐体部を形成する工程と、
前記第1の筐体部と接合させる第2の筐体部を形成する工程と、
前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との間に設置され、前記第1の筐体部の前記窓部を貫通させるとともに前記第2の筐体部から押圧されて前記ヒンジモジュールを係止する係止部を備える基板保持部材を形成する工程と、
を含むことを特徴とする電子機器の製造方法。
【請求項6】
更に、前記第2の筐体部に設けられ、前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との接合により、前記ヒンジモジュール側に前記係止部を押圧する押圧部を形成する工程とを含むことを特徴とする、請求項5に記載の電子機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−192707(P2011−192707A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55590(P2010−55590)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】