説明

電子部品及び電子機器、並びに電子部品の再利用方法

【課題】電子部品を再利用(リユース)する場合に、電子部品を搭載する電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が発光素子の残り寿命を算出し、再利用(リユース)を進める上の仕組みを提供し得る電子部品及び電子機器、並びに電子部品の再利用方法を提供する。
【解決手段】透過型フォトインタラプタ1は発光素子10を備える、発光素子10は、主となる主LED11と、その近傍に設けられて主LED11の残り寿命を算出するための副LED12とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及び電子機器、並びに電子部品の再利用方法に関するものであり、詳細には、発光素子を用いた電子部品における発光素子の残り寿命を算出して電子部品を再利用(リユース)する電子部品及び電子機器、並びに電子部品の再利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全ての電子部品には寿命が存在し、電子部品の供給メーカーが独自の品質保証体系により、その電子部品の寿命を製品メーカーに対して推定又は保証している。寿命算出には例えばアレニウスモデル、又はアイリングモデル等が用いられる。
【0003】
一般に、製品寿命よりもそれに用いられている電子部品の寿命は永く設定されているため、製品寿命を終えても、それに用いられている電子部品は再利用(リユース)が可能である。また、省資源及び省エネの観点からも再利用(リユース)は社会の必須事項となってきている。しかしながら、単価の安い電子部品では、再利用(リユース)を行うコストの方が新しい電子部品を購入するよりも高くなり再利用(リユース)が進まない課題があった。
【0004】
この課題に対して、製品に電子部品の駆動電流に応じた表示を行う水銀タイマーを持たせたり、又はMPU(Micro-Processing Unit)を持っていたりする製品では、メモリーに電子部品の駆動時間に応じたクロック数や内部時計による時刻を記録することが行われている。しかしながら、その記録手段自体が電子部品よりも高価であったりサイズが大きかったりするという課題があった。
【0005】
そこで、この課題を解決するために、例えば、特許文献1に開示された有限寿命電子部品およびその寿命確認方法では、電子部品に2次元バーコードを設け、電子部品メーカーがその電子部品を出荷する際に特性を記録し、2次元バーコードと1対1で対応させることが提案されている。
【0006】
また、特許文献2に開示された機器搭載部品、残寿命検査システム、用途決定システムでは、電子部品であるブラシレスモータにその電子部品と同様な劣化特性を示す部品であるLEDを取り付けることが提案されている。
【0007】
さらに、特許文献3に開示された光結合装置、及び電子機器では、発光素子を持つ電子部品である光結合装置に2つ目の発光素子を追加し、特性の改善の他、発光素子の寿命を永くすることが提案されている。
【0008】
ここで、再利用(リユース)が特に求められる市場としては、パチンコ台、スロット台市場がある。
【0009】
上記パチンコ台は、3ヶ月から半年等までの短い周期で新しい台と交換されるため、使用されている電子部品の大半は残り寿命が多く残っている。それら電子部品の一例としては、フォトインタラプタがあり、例えばパチンコ玉やコインの検知に使われている。
【0010】
上記フォトインタラプタは、互いに対向する発光素子と受光素子とを備え、発光素子からの光を物体が遮るのを受光素子で検出することによって、物体の有無や位置を判定するセンサである。
【0011】
上記フォトインタラプタ100である例えば赤外線透過型フォトインタラプタは、図8(a)〜(d)、図9(a)〜(d)及び図10(a)(b)に示すように、発光素子110として950nm帯の赤外線の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)111が、プリント基板130に半田付けされたリードフレーム102aにダイボンドされている。発光素子110は、図10(a)に示すように、リードフレーム102bにワイヤー線103bにより電気的に接続されていると共に、図9(a)に示すように、近赤外線を透過するエポキシ樹脂104により樹脂封止されている。
【0012】
同様に、950nm帯の赤外線に感度を持つシリコンフォトトランジスタ(PT)121からなる受光素子120が、図10(b)に示すように、上記プリント基板130に半田付けされたリードフレーム105bにワイヤー線106により電気的に接続されていると共に、図9(a)に示すように、赤外線を透過するエポキシ樹脂107により樹脂封止されている。
【0013】
上記プリント基板130には、コネクタ108が半田付けされており、このコネクタ108は、図9(b)に示すように、コレクタ端子108a、GND(ground:接地)端子108b及びアノード端子108cの各端子を有している。
【0014】
また、フォトインタラプタ100の表面には、図9(a)に示すように、射出成形等にて作られたホルダー109が被せられている。
【0015】
さらに、上記プリント基板130においては、図9(c)(d)に示すように、コレクタ配線131と、GND(ground:接地)配線132と、アノード配線133とが配設されている。
【0016】
上記発光ダイオード(LED)111から発せられた赤外線は、同図に示す光路LPを通り、受光素子120に入射している。この光路LPを、被測定物が遮断することによるシリコンフォトトランジスタ(PT)121の電流変化により、被測定物の有無が検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2001−006976号公報(2001年1月12日公開)
【特許文献2】特開2002−048687号公報(2002年2月15日公開)
【特許文献3】特開2011−091333号公報(2011年5月6日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来の特許文献1に開示された有限寿命電子部品およびその寿命確認方法では、2次元バーコードへの記録に対するコスト、例えばデータセンターの設置、運用及び電力等の課題が残る。また、電子部品のサイズと2次元バーコードのサイズとに関する課題、例えば2次元バーコード自体の記憶容量を越える電子部品の数量は出荷できなくなること、及び2次元バーコードに傷が入った場合には寿命が算出できない等の課題が残る。さらに、製品メーカーが電子部品の再利用(リユース)を行う場合、及びリユース専業企業が、その製品に使われている電子部品の残り寿命を算出する際には、電子部品メーカーの記録が必要不可欠であり、その記録のやり取りのコストが掛かる等の課題がある。
【0019】
また、特許文献2に開示された機器搭載部品、残寿命検査システム、用途決定システムでは、電子部品にその電子部品と同様な劣化特性を示す部品としてLEDが用いられている。そして、それにより電子部品の劣化をLEDの光量に置き換えることができるため、前記電子部品の特性の把握が容易となる。しかしながら、特許文献1と同様にそのLEDの出荷時特性の記録が必要であり、特許文献1で示した課題がある。
【0020】
さらに、特許文献3に開示された光結合装置、及び電子機器では、LEDを2個使うので、LEDへのストレスが減り寿命が延びることが示されているが、残り寿命の算出方法は提案されていない。
【0021】
すなわち、特許文献1〜3のいずれにも、再利用(リユース)を進める上の仕組みは提案されていない。
【0022】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、電子部品を再利用(リユース)する場合に、電子部品を搭載する電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が発光素子の残り寿命を算出し、再利用(リユース)を進める上の仕組みを提供し得る電子部品及び電子機器、並びに電子部品の再利用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の電子部品は、上記課題を解決するために、発光素子を備えた電子部品であって、上記発光素子は、主となる主発光素子と、その近傍に設けられて主発光素子の残り寿命を算出するための副発光素子とを備えていることを特徴としている。
【0024】
すなわち、本発明の発光素子を備えた電子部品を利用する電子機器がその寿命を終えても、それに用いられている電子部品は一般的に再利用(リユース)が可能である。したがって、該電子部品を回収して再利用(リユース)することが望ましい。しかしながら、例えば、電子部品を搭載する電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が該電子部品を再利用(リユース)する場合には、該電子部品の発光素子の寿命がどの程度残っているのかを把握しなければならない。この場合、例えばインターネットでの製品情報により発光素子の初期発光量を把握できれば、回収した発光素子の光量を測定すれば、例えばアレニウス等の寿命モデルを用いて回収した発光素子の寿命を算出することが可能である。しかしながら、そのような製品情報がインターネットで公開されていることは稀であり、一般的には、発光素子の初期発光量がいくらであるかの情報を得ることができない。仮に、発光素子の初期発光量の製品情報がインターネットにて得られたとしても、製品間にバラつきがあるので、正確な発光素子の初期発光量が得られるとは限らない。
【0025】
そこで、本発明では、主となる主発光素子の近傍には、主発光素子の残り寿命を算出するための副発光素子が設けられている。ここで、本発明においては、副発光素子を設けておくときに、副発光素子を点灯しないで放置しておく場合と、主発光素子と一緒に副発光素子を低負荷で点灯する場合との2つの場合が可能である。
【0026】
まず、副発光素子を点灯しないで放置しておく場合において、主発光素子の残り寿命を算出するためには、例えば、未使用の副発光素子の光量を測定すれば、主発光素子の初期発光量が把握できる。この結果、主発光素子の現在の光量を測定すれば、主発光素子の初期発光量との比較により、例えばアレニウス等の寿命モデルによって主発光素子の残り寿命を算出することができる。
【0027】
次に、主発光素子と一緒に副発光素子を低負荷で点灯する場合については、後述する方法により、主発光素子の残り寿命を算出することができる。
【0028】
したがって、電子部品を再利用(リユース)する場合に、電子部品を搭載する電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が発光素子の残り寿命を算出し、再利用(リユース)を進める上の仕組みを提供し得る電子部品を提供することができる。
【0029】
本発明の電子部品では、前記発光素子における主発光素子及び副発光素子は、同一の製造工程で生産されたものが用いられていることが好ましい。
【0030】
すなわち、例えば、副発光素子を点灯しないで消灯状態に放置しておく場合において、主発光素子の残り寿命を算出するためには、例えば、未使用の副発光素子の光量を測定することにより、主発光素子の初期発光量を把握する。しかし、この把握方法は、副発光素子が主発光素子と全く同じ特性を有していることが前提となる。つまり、副発光素子といえどもロットが異なれば、正確には、副発光素子が主発光素子と全く同じ特性を有しているとはいえない。
【0031】
この点、本発明では、主発光素子及び副発光素子は、同一の製造工程で生産されたものが用いられている。この結果、主発光素子と副発光素子とは同一のロットから生産されたものであるので、副発光素子は主発光素子と全く同じ特性を有していると看做すことができる。
【0032】
したがって、副発光素子の光量を測定すれば、主発光素子の初期発光量と同一と看做すことができ、主発光素子の初期発光量との比較により、主発光素子の残り寿命を正確に算出することができる。
【0033】
本発明の電子部品では、前記主発光素子が点灯状態のときには副発光素子を消灯状態に保持する一方、主発光素子の初期発光量を測定するときには副発光素子を点灯状態にさせる副発光素子点灯手段が設けられているとすることができる。
【0034】
これにより、主発光素子が点灯状態のときには、副発光素子を点灯しないで消灯状態に放置しておくことができる。一方、主発光素子の初期発光量を測定するときには、副発光素子点灯手段が設けられているので、副発光素子を容易に点灯状態にさせることができる。
【0035】
したがって、副発光素子を設けておくときに、副発光素子を点灯しないで放置しておく場合において、主発光素子の初期発光量を測定するときには、副発光素子点灯手段にて、副発光素子を容易に点灯状態にさせて、主発光素子の初期発光量を求めることができる。
【0036】
本発明の電子部品では、前記発光素子は、主発光素子と第1抵抗とを直列接続したものと、副発光素子と第2抵抗とを直列接続したものとが並列に接続されていると共に、上記第1抵抗の抵抗値は第2抵抗の抵抗値よりも充分小さいとすることができる。
【0037】
すなわち、本発明では、主発光素子の残り寿命を算出するための副発光素子を、主発光素子の近傍に配置し、主発光素子と一緒に副発光素子を低負荷で点灯する。これにより、主発光素子と副発光素子との両方に、同一のストレスが与えられる。ここでストレスとは温度、湿度、封止樹脂から与えられる応力等であり、これらストレスにより主発光素子及び副発光素子は、いずれも劣化し、光量が減ってくる。
【0038】
ここで、本発明では、第1抵抗の抵抗値は第2抵抗の抵抗値よりも充分小さい。このため、主発光素子へ流す電流をImaxとし、主発光素子の残り寿命を算出するための副発光素子へ流す電流をIminとすると、Imin/Imax≒0となっている。この結果、主発光素子の残り寿命を算出するために必要な主発光素子の初期発光量は、該主発光素子の残り寿命を算出するために副発光素子へImaxの電流を流したときの発光量とすることができる。この結果、主発光素子の初期発光量を把握することができる。したがって、主発光素子の現在の光量を測定すれば、主発光素子の初期発光量との比較により、例えばアレニウス等の寿命モデルによって主発光素子の残り寿命を算出することができる。
【0039】
本発明の電子部品では、前記主発光素子の点灯可能状態を点灯不可状態とすると共に、上記主発光素子に代えて、前記副発光素子を点灯可能状態にする置き換え手段が設けられていることが好ましい。
【0040】
すなわち、副発光素子により主発光素子の残りの寿命を算出した結果、主発光素子の残りの寿命がないと判断した場合、本発明では、副発光素子は使用していないか又は殆ど使用していないので、主発光素子を副発光素子に置き換えることが可能である。この場合、本発明では、置き換え手段が設けられているので、主発光素子を副発光素子に容易に置き換えることができる。
【0041】
本発明の電子部品では、前記主発光素子の再利用が可能であることを識別できる印が、電子部品本体表面に設けられていることが好ましい。
【0042】
すなわち、電子部品の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業は、電子部品を搭載した電子機器の製品メーカー等から返却されてきた該電子部品における主発光素子の残り寿命を算出し、再出荷する場合には、該主発光素子の残り寿命がどれくらいであるのかを表示しておくことが好ましい。
【0043】
そこで、本発明の電子部品では、前記主発光素子の再利用が可能であることを識別できる印が、電子部品本体表面に設けられている。これにより、例えば、10000時間、5000時間、1000時間等の主発光素子の残り寿命に応じて、識別できる印を設けることができる。したがって、再利用(リユース)の寿命を明確にして利用者に知らせることが可能となる。また、主発光素子の残り寿命に応じて再販価格を設定することも可能となる。
【0044】
尚、この場合、例えばアレニウスモデルの関係式と、必要な主発光素子の初期発光量の求め方を、ユーザーにWeb、カタログ、又は部品の仕様書に記載して提供することが好ましい。これにより、電子部品のユーザー又はリユース専業企業自身が主発光素子の残り寿命を算出することが容易に可能となる。
【0045】
本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、前記記載の電子部品を備えていることを特徴としている。
【0046】
上記の発明によれば、電子部品を再利用(リユース)する場合に、電子部品を搭載する電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が発光素子の残り寿命を算出し、再利用(リユース)を進める上の仕組みを提供し得る電子部品を備えた電子機器を提供することができる。
【0047】
本発明の電子部品の再利用方法は、上記課題を解決するために、前記記載の電子部品を再利用するための電子部品の再利用方法であって、不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた電子部品に搭載された主発光素子の残り寿命を副発光素子から算出し、該主発光素子の残り寿命に応じて、前記主発光素子の再利用が可能であることを識別できる印を電子部品本体表面に付することを特徴としている。
【0048】
上記の発明によれば、電子部品が、不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた場合には、該電子部品に搭載された主発光素子の残り寿命を副発光素子から算出する。そして、該主発光素子の残り寿命に応じて、前記主発光素子の再利用が可能であることを識別できる印を電子部品本体表面に付する。
【0049】
これにより、電子部品を再利用(リユース)する場合に、電子部品を搭載する電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が発光素子の残り寿命を算出し、再利用(リユース)を進める上の仕組みを提供し得る電子部品の再利用方法を提供することができる。
【0050】
本発明の電子部品の再利用方法は、上記課題を解決するために、前記記載の電子部品を再利用するための電子部品の再利用方法であって、不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた電子部品に搭載された主発光素子の残り寿命を副発光素子から算出し、該主発光素子の残り寿命がないか又は少ないときには、主発光素子に代えて、副発光素子に置き換えることを特徴としている。
【0051】
上記の発明によれば、電子部品が、不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた場合には、該電子部品に搭載された主発光素子の残り寿命を副発光素子から算出する。そして、主発光素子の残り寿命がないか又は少ないときには、主発光素子に代えて、副発光素子に置き換える。
【0052】
これにより、電子部品を再利用(リユースス)する場合に、電子部品を搭載する電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が発光素子の残り寿命を算出し、再利用(リユース)を進める上の仕組みを提供し得る電子部品の再利用方法を提供することができる。
【0053】
尚、この場合、再利用ができないことを識別できる印を電子部品本体表面に付しておくことが好ましい。これにより、残り寿命を算出するための副発光素子を再利用可能とすることができ、再利用(リユース)をさらに進めることが可能となる。
【発明の効果】
【0054】
本発明の電子部品は、以上のように、発光素子を備えた電子部品であって、上記発光素子は、主となる主発光素子と、その近傍に設けられて主発光素子の残り寿命を算出するための副発光素子とを備えている。
【0055】
また、本発明の電子機器は、以上のように、前記記載の電子部品を備えている。
【0056】
また、本発明の電子部品の再利用方法は、以上のように、不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた電子部品に搭載された主発光素子の残り寿命を副発光素子から算出し、該主発光素子の残り寿命に応じて、前記主発光素子の再利用が可能であることを識別できる印を電子部品本体表面に付する方法である。
【0057】
また、本発明の電子部品の再利用方法は、以上のように、不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた電子部品に搭載された主発光素子の残り寿命を副発光素子から算出し、該主発光素子の残り寿命がないか又は少ないときには、主発光素子に代えて、副発光素子に置き換える方法である。
【0058】
それゆえ、電子部品を再利用(リユース)する場合に、電子部品を搭載する電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が発光素子の残り寿命を算出し、再利用(リユース)を進める上の仕組みを提供し得る電子部品及び電子機器、並びに電子部品の再利用方法を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】(a)は本発明における電子部品の実施の一形態を示すものであって、電子部品としての透過型フォトインタラプタの構成を示す正面図であり、(b)は上記透過型フォトインタラプタの構成を示す右側面図であり、(c)は上記透過型フォトインタラプタにおける発光素子の構成を示す右側面図であり、(d)は上記透過型フォトインタラプタにおける受光素子の構成を示す左側面図である。
【図2】(a)は上記透過型フォトインタラプタにおけるプリント基板の内部結線を示す平面図であり、(b)は上記プリント基板の内部結線を示す回路図である。
【図3】(a)は上記透過型フォトインタラプタにおけるプリント基板の内部結線の変形例を示す平面図であり、(b)は上記プリント基板の内部結線を示す回路図である。
【図4】(a)は上記透過型フォトインタラプタにおけるプリント基板の内部結線の他の変形例を示す平面図であり、(b)は上記プリント基板の内部結線を示す回路図である。
【図5】(a)〜(f)はホルダーに記載されたマークを示す上記透過型フォトインタラプタの左側面図である。
【図6】LEDにおける寿命と温度との関係を、LED電流毎に求めたグラフである。
【図7】(a)(b)は、ハーフライフ(変化率−50%)と、時間との関係を示す図である。
【図8】(a)〜(d)は、従来の電子部品としてのフォトインタラプタの構成を示す外観図である。
【図9】(a)は上記フォトインタラプタの構成を示す正面図であり、(b)は上記フォトインタラプタの構成を示す右側面図であり、(c)は上記フォトインタラプタにおけるプリント基板の内部結線を示す平面図であり、(d)は上記プリント基板の内部結線を示す回路図である。
【図10】(a)は上記フォトインタラプタにおける発光素子の構成を示す右側面図であり、(d)は上記フォトインタラプタにおける受光素子の構成を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0061】
ここで、本実施の形態では、発光素子を備えた電子部品としての透過型フォトインタラプタについて説明する。また、この発光素子を備えた電子部品としての透過型フォトインタラプタは、例えば、パチンコ台、スロットマシン等の電子機器に搭載される。すなわち、電子部品としての透過型フォトインタラプタは、パチンコ台においては、コインの検知やそのコインの枚数に応じたパチンコ玉の個数の検知に利用される。また、スロットマシンにおいては、スロットマシンに投入されるメダルの個数の検出等に使用される。
【0062】
また、その他の電子機器としては、例えば、複写機又はプリンタ等が知られており、例えば、原稿用紙等の用紙における入出力の検出等に適用される。さらに、この他にも、発光素子を備えた電子部品を利用する電子機器は、多数存在する。
【0063】
(電子部品の構成)
最初に、本実施の形態の電子部品としての透過型フォトインタラプタの構成について、図1(a)〜(d)に基づいて説明する。図1(a)〜(d)は、本実施の形態の電子部品の構成を示す図である。尚、従来技術にて説明した図8〜図10との違いは、発光素子内部にLEDが2つ実装されている点である。
【0064】
本実施の形態の電子部品としての透過型フォトインタラプタ1は、図1(a)に示すように、互いに対向する発光素子10と受光素子20とを備え、発光素子10からの光を物体が遮るのを受光素子20にて検出することによって、物体の有無や位置を判定するセンサである。すなわち、透過型フォトインタラプタ1では、発光素子10から発せられた赤外線は、図1(a)に示す光路LPを通り、受光素子20に入射する。この光路LPを、被測定物が遮断することによる受光素子20のシリコンフォトトランジスタ(PT)21の電流変化により、被測定物の有無が検知される。
【0065】
本実施の形態においては、上記発光素子10は、図1(c)に示すように、950nm帯の赤外線を発光する主発光素子としての主発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)11(以下、「主LED11」と称する。)と、その近傍に設けられて主LED11の寿命を算出するための副発光素子としての副発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)12(以下、「副LED12」と称する。)との2つのLEDとを備えている。上記主LED11及び副LED12は、同一の製造工程で生産されたLEDが用いられている。詳細には、製造工程において同一ウエハの隣接するLEDが実装されている。したがって、主LED11と副LED12との特性は、互いに略同一であるとすることができる。
【0066】
上記発光素子10は、図1(a)に示すように、プリント基板30に半田付けされたリードフレーム2aにダイボンドされている。そして、図1(c)に示すように、発光素子10における主LED11は、上記プリント基板30に半田付けされたリードフレーム2bにワイヤー線3bにより電気的に接続されている。一方、発光素子10における副LED12は、上記プリント基板30に半田付けされたリードフレーム2cにワイヤー線3cにより電気的に接続されている。このように、発光素子10には、リードフレーム2a・2b・2cが3本延びており、主LED11と副LED12との各々にリードフレーム2b・2cが電気的に接続されている。さらに、上記発光素子10は、図1(a)に示すように、近赤外線を透過するエポキシ樹脂4により樹脂封止されている。
【0067】
次に、上記受光素子20は、950nm帯に感度を持つシリコンフォトトランジスタ(PT)21を有しており、図1(a)に示すように、上記プリント基板30に半田付けされたリードフレーム5aにダイボンドされている。そして、図1(d)に示すように、受光素子20におけるシリコンフォトトランジスタ(PT)21は、ワイヤー線6により上記プリント基板30に半田付けされたリードフレーム5bにワイヤー線6により電気的に接続されている。尚、本実施の形態では、発光素子10は、主LED11と副LED12との2つのLEDからなっているが、受光素子20におけるシリコンフォトトランジスタ(PT)21は一個である。この理由は、受光素子20におけるシリコンフォトトランジスタ(PT)21は、広い範囲の受光領域を有しているため、主LED11と副LED12との両方の発光に対して受光できるためである。さらに、上記受光素子20は、図1(a)に示すように、近赤外線を透過するエポキシ樹脂7により樹脂封止されている。また、透過型フォトインタラプタ1の表面には、射出成形等にて作られた電子部品本体表面としてのホルダー9が被せられている。
【0068】
上記透過型フォトインタラプタ1のプリント基板30には、図1(a)に示すように、発光素子10の3つのリードフレーム2a・2b・2cが挿入される開口が設けられており、上述したように、3つのリードフレーム2a・2b・2cは、その開口に半田付けされている。
【0069】
また、プリント基板30には、コネクタ8が半田付けされている。コネクタ8は、図1(b)に示すように、3端子であり、コレクタ端子8a、GND(ground:接地)端子8b及びアノード端子8cの各端子を有している。
【0070】
上記プリント基板30においては、図2(a)(b)に示すように、コレクタ配線31と、GND(ground:接地)配線32と、アノード配線33とが配設されている。図2(a)の右側の各端子31a・32a・33aは、上記コネクタ8のコレクタ端子8a、GND(ground:接地)端子8b及びアノード端子8cの各端子に接続されている。
【0071】
そして、図2(a)に示すように、アノード配線33は、副発光素子点灯手段及び置き換え手段としての半田ブリッジ35を介してアノード左端子33bまで例えば直線的に延びている。このアノード左端子33bには、上記主LED11のリードフレーム2aが電気的に接続されている。
【0072】
また、アノード配線33は、右側の端子31aと半田ブリッジ35との間で分岐して、アノード分岐配線34となり、副発光素子点灯手段及び置き換え手段としてのとしての切り替えスイッチ36を介してアノード分岐端子34bまで延びている。このアノード分岐端子34bには、上記副LED12のリードフレーム2bが電気的に接続されている。上記切り替えスイッチ36は、製造時においては開状態となっている。しかし、半田ブリッジ35を溶かしてアノード配線33を開状態にしたときに、切り替えスイッチ36は、閉状態に切り替えられるようになっている。
【0073】
尚、GND(ground:接地)配線32の左端子32bは、主LED11及び副LED12を取り付けいているリードフレーム2aに電気的に接続されている。また、コレクタ配線31の左端子31bは、上記受光素子20に電気的に接続されたリードフレーム5bに電気的に接続されている。
【0074】
ここで、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1の内部結線図である図2(b)と、従来のフォトインタラプタ100の内部結線図である図10(d)とを比較すると、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1は、コネクタ8を介してフォトインタラプタとしては従来品と同じ物として扱うことができることが判る。
【0075】
(透過型フォトインタラプタの出荷時の措置)
上記構成の透過型フォトインタラプタ1における出荷時の措置について、以下に説明する。
【0076】
まず、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1を製造した製品メーカーが、該透過型フォトインタラプタ1を出荷する場合には、製品特性検査として、該製品メーカーが外付け抵抗器を介してコネクタ8のアノード端子8cへ電流を通じさせることにより主LED11を点灯させる。これにより、主LED11が点灯することを確認することができる。
【0077】
ここで、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1では、図2(a)に示すように、アノード配線33には半田ブリッジ35が設けられているが、必ずしもこれに限らず、図3(a)(b)に示すように、半田ブリッジ35に代えて、取り付けランドに第1抵抗及び置き換え手段としてのチップ抵抗器R1を取り付けておくことが可能である。これにより、外付け抵抗器を使用する必要がなくなる。
【0078】
また、この場合、図4(a)(b)に示すように、アノード分岐配線34の切り替えスイッチ36に代えて、取り付けランドにチップ抵抗器R2を取り付けておくことが可能である。これにより、主LED11に繋がるチップ抵抗器R1の抵抗値をr1とし、副LED12に繋がる第2抵抗及び置き換え手段としてのチップ抵抗器R2の抵抗値をr2とすれば、副LED12の寿命は抵抗値r2、つまり副LED12に流れる電流が少ないと長くできるので、r1/r2≒0なる設定を行えばよい。
【0079】
このように、切り替えスイッチ36又はチップ抵抗器R1・R2の取り付けランドに導電性の接触子を触れさせると、任意にスイッチ動作をさせることが可能となる。尚、ここでは、メカニカルなスイッチを示したが、必ずしもこれに限らず、電気回路によるスイッチをICチップとして発光素子10の内部に実装してもよい。また、副発光素子点灯手段として、例えば、コネクタ8を4端子とし、透過型フォトインタラプタ1の外部にスイッチを設けてもよい。
【0080】
また、透過型フォトインタラプタ1の出荷に際して、図2(a)(b)に示す内部結線を有するプリント基板30の場合に、通常の製品特性検査の他に、上記切り替えスイッチ36をON/OFFし、シリコンフォトトランジスタ(PT)21の電流が2倍になるかを確認することが可能である。すなわち、上記切り替えスイッチ36をONすると、主LED11と副LED12との両方が点灯し、これによって、シリコンフォトトランジスタ(PT)21の受光電流が2倍になるはずである。そして、この確認を行ったときには、図5(a)に示すように、透過型フォトインタラプタ1の表面に、再利用(リユース)可能であることを示す例えば「R」等のマークを描画して出荷する。すなわち、この場合の再利用(リユース)可能とは、主LED11の寿命がなくなれば、副LED12に切り換えることにより再利用(リユース)可能となることを示している。
【0081】
ここで、切り替えスイッチ36をONしたときに、シリコンフォトトランジスタ(PT)21の受光電流が2倍とならない場合には、上記切り替えスイッチ36に半田ブリッジを施し、副LED12を主LED11と並列に繋げて出荷することが可能である。そして、この場合には、図5(c)に示すように、別の種類の透過型フォトインタラプタ1を示す何らかのマーク「X」を付けておく。
【0082】
(透過型フォトインタラプタの再利用方法)
ユーザーから再利用のため戻ってきた透過型フォトインタラプタ1は、後述する残り寿命を計算し、図5(d)(e)(f)に示すように、例えば10000時間、5000時間、1000時間等の残り寿命に応じて、例えば、「Rドット1」のマーク、「Rドット2」のマーク、及び「Rドット3」のマークを描画して再販される。
【0083】
残り寿命が、例えば1000時間に満たない場合は、アノード配線33における半田ブリッジ35を外し、つまり半田ブリッジ35を開状態として主LED11とコネクタ8のアノード端子8cとを電気的に遮断する。次いで、副LED12とコネクタ8のアノード端子8cとを電気的に接続し、通常の製品特性検査後に、図5(b)に示すように、例えば「NR」のマークを付けて再販される。すなわち、図5(a)(b)に示すように、ホルダー9には、レーザーマーカーにより例えば「R」、「NR」等のマークが描画される。例えば「R」は、上述したように、再利用(リユース)可能の表示であり、「NR」は再利用不可の表示である。すなわち、「NR」のマークは、一回再利用したので、二回目の再利用はできないことを示している。
【0084】
尚、Web、カタログ、部品の仕様書に、記号の意味を対応させユーザーに情報を提供できれば、どのような文字、記号でも構わない。また、ホルダー9以外では、例えばプリント基板30に印を付けることが可能である。
【0085】
すなわち、従来のフォトインタラプタ100における図8(b)に示すように、人が目で見て判断できないリユース可能を示す他のマークでもよい。すなわち、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1と従来のフォトインタラプタ100との違いは、マークと特性との間に1対1対応がされていない点である。
【0086】
ここで、本実施の形態における透過型フォトインタラプタ1の寿命について、アレニウスの寿命モデルを用いて、図6及び図7(a)(b)に基づいて説明する。図6はLEDにおける寿命と温度との関係を、LED電流毎に求めたグラフであり、図7(a)(b)は、ハーフライフ(変化率−50%)と、時間との関係を示す図である。尚、本実施の形態では、アレニウスの寿命モデルを用いているが、本発明では、必ずしもこれに限らず、例えば、アイリングの寿命モデル又は他の寿命モデルを用いることが可能である。
【0087】
まず、半導体の加速寿命モデルの代表的なものとして、アレニウスモデルによる寿命算出方法が知られている。すなわち、一般的に、物の破壊や劣化は原子レベル又は分子レベルでの変化に起因しており、変化のメカニズムとして、拡散、酸化、吸着、腐食、クラック成長等がある。これらの進行が、ある限界を越えると故障になる。特に、温度による依存性はアレニウスの式と呼ばれており、広く用いられている。ここで、アレニウスの式においては、反応速度Kは式(1)で示される。
【0088】
K=A・exp(−Ea/kT) 式(1)
(ただし、A:定数,Ea:活性化エネルギー,k:ボルツマン定数,T:絶対温度)
ここで、寿命Lは、
L=B/K 式(2)
(ただし、B:定数)
となる。
【0089】
したがって、式(1)を式(2)に代入することにより、
Ln L=C+Ea/kT 式(3)
(ただし、C:定数)
となる
ここで、時間T1での寿命L1、及び時間T2での寿命L2は、それぞれ、
L1=A・exp(−Ea/kT1)
L2=A・exp(−Ea/kT2)
となる。この2式より、
L1/L2=exp{Ea/k×(1/T1−1/T2)}
を得る。
【0090】
この結果、寿命L1は寿命L2との比となり、寿命L2を電子部品の初期の寿命とすれば、パラメータEaを示せば、寿命L1が算出できることが判る。
【0091】
ここで、透過型フォトインタラプタ1の活性化エネルギーEaを求めるために、実験を行う。すなわち、シリコンフォトトランジスタ(PT)21の電流が例えば半分となる場合を寿命と考えて、LED電流及び温度Tを変化させた実験を行うと、図6に示すグラフを得る。したがって、この図6のグラフから、傾き(Ea/k)を算出することができる。
【0092】
次に、上記傾き(Ea/k)から、LED電流IFとハーフライフ(変化率50%)との関係を得ることができる。すなわち、ハーフライフ(変化率50%)と時間との関係は、図7(a)(b)で示される図にて表される。
【0093】
このように、透過型フォトインタラプタ1では、主LED11は発光量が時間に応じて減ってくる。このため、光路LPを被測定物が遮断することによるシリコンフォトトランジスタ(PT)21の電流変化の閾値を初期発光量の50%に設定した場合は、透過型フォトインタラプタ1の寿命は、LED光量が初期発光量の50%まで低下すると前記閾値を下回る。この結果、被測定物が光路LPを常に遮断していることと見分けが付かなくなるため、それが寿命を決めることになる。例えば、透過型フォトインタラプタ1の部品メーカーは、販売時に寿命としてLED光量が初期発光量の50%まで低下する時間(ハーフライフ)を表示等すればよい。
【0094】
一方、前記閾値は低い程、透過型フォトインタラプタ1の寿命は永くなるが、閾値が低いと外乱光による誤動作が発生する。最終的には、透過型フォトインタラプタ1の寿命を決める閾値等の設定は製品ユーザーが決めることになる。その際に、寿命として初期発光量30%を考えるか、又は10%を考えるかは製品ユーザーの設計による。しかし、重要なのは主LED11の初期発光光量であり、それはアレニウスモデル、その他のモデルでも、ストレスと寿命との関数となっているため、ユーザーが残り寿命を計算するのに必要な情報としては、それらモデルで示されるパラメータと初期発光光量であることが判る。
【0095】
したがって、Web、カタログ、部品の仕様書には、
(1)モデル式とパラメータ
(2)初期発光光量を測るための切り替えスイッチ36のON/OFFの操作方法
(3)「初期発光光量=切り替えスイッチ36のON時におけるシリコンフォトトランジスタ(PT)21の受光電流−切り替えスイッチ36のOFF時におけるシリコンフォトトランジスタ(PT)21の受光電流」の式
(4)寿命と発光量との関係
を示すことが重要である。
【0096】
このように、本実施の形態の電子部品は、発光素子10を備えた透過型フォトインタラプタ1であって、発光素子10は、主となる主LED11と、その近傍に設けられて主LED11の残り寿命を算出するための副LED12とを備えている。
【0097】
すなわち、本実施の形態の発光素子10を備えた透過型フォトインタラプタ1を利用する電子機器としての例えばスロットマシン等がその寿命を終えても、それに用いられている透過型フォトインタラプタ1は一般的に再利用(リユース)が可能である。したがって、該透過型フォトインタラプタ1を回収して再利用(リユース)することが望ましい。
【0098】
しかしながら、例えば、透過型フォトインタラプタ1を搭載するスロットマシン等の電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が該透過型フォトインタラプタ1を再利用(リユース)する場合には、該透過型フォトインタラプタ1の発光素子10の寿命がどの程度残っているのかを把握しなければならない。この場合、例えばインターネットでの製品情報により発光素子10の初期発光量を把握できれば、回収した発光素子10の光量を測定すれば、例えばアレニウス等の寿命モデルを用いて回収した発光素子10の寿命を算出することが可能である。しかしながら、そのような製品情報がインターネットで公開されていることは稀であり、一般的には、発光素子10の初期発光量がいくらであるかの情報を得ることができない。仮に、発光素子10の初期発光量の製品情報がインターネットにて得られたとしても、製品間にバラつきがあるので、正確な発光素子10の初期発光量が得られるとは限らない。
【0099】
そこで、本実施の形態では、主となる主LED11の近傍には、主LED11の残り寿命を算出するための副LED12が設けられている。ここで、本実施の形態においては、副LED12を設けておくときに、副LED12を点灯しないで放置しておく場合と、主LED11と一緒に副LED12を低負荷で点灯する場合との2つの場合が可能である。
【0100】
まず、副LED12を点灯しないで放置しておく場合において、主LED11の残り寿命を算出するためには、例えば、未使用の副LED12の光量を測定すれば、主LED11の初期発光量が把握できる。この結果、主LED11の現在の光量を測定すれば、主LED11の初期発光量との比較により、例えばアレニウス等の寿命モデルによって主LED11の残り寿命を算出することができる。
【0101】
一方、主LED11と一緒に副LED12を低負荷で点灯する場合については、後述する方法により、主LED11の残り寿命を算出することができる。
【0102】
したがって、透過型フォトインタラプタ1を再利用(リユース)する場合に、透過型フォトインタラプタ1を搭載するスロットマシン等の電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が主LED11の残り寿命を算出し、再利用(リユース)を進める上の仕組みを提供し得る透過型フォトインタラプタ1を提供することができる。
【0103】
また、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1では、発光素子10における主LED11及び副LED12は、同一の製造工程で生産されたものが用いられていることが好ましい。
【0104】
すなわち、例えば、副LED12を点灯しないで消灯状態に放置しておく場合において、主LED11の残り寿命を算出するためには、例えば、未使用の副LED12の光量を測定することにより、主LED11の初期発光量を把握する。しかし、この把握方法は、副LED12が主LED11と全く同じ特性を有していることが前提となる。つまり、副LED12といえどもロットが異なれば、正確には、副LED12が主LED11と全く同じ特性を有しているとはいえない。
【0105】
この点、本実施の形態では、主LED11及び副LED12は、同一の製造工程で生産されたものが用いられている。この結果、主LED11と副LED12とは同一のロットから生産されたものであるので、副LED12は主LED11と全く同じ特性を有していると看做すことができる。
【0106】
したがって、副LED12の光量を測定すれば、主LED11の初期発光量と同一と看做すことができ、主LED11の初期発光量との比較により、主LED11の残り寿命を正確に算出することができる。
【0107】
また、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1では、主LED11が点灯状態のときには副LED12を消灯状態に保持する一方、主LED11の初期発光量を測定するときには副LED12を点灯状態にさせる副発光素子点灯手段としての切り替えスイッチ36及び半田ブリッジ35が設けられている。
【0108】
これにより、主LED11が点灯状態のときには、副LED12を点灯しないで消灯状態に放置しておくことができる。一方、主LED11の初期発光量を測定するときには、副発光素子点灯手段としての切り替えスイッチ36及び半田ブリッジ35が設けられているので、副LED12を容易に点灯状態にさせることができる。具体的には、半田ブリッジ35を開状態とし、切り替えスイッチ36を閉状態にする。
【0109】
したがって、副LED12を設けておくときに、副LED12を点灯しないで放置しておく場合において、主LED11の初期発光量を測定するときには、副発光素子点灯手段としての切り替えスイッチ36及び半田ブリッジ35にて、副LED12を容易に点灯状態にさせて、主LED11の初期発光量を求めることができる。
【0110】
また、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1では、発光素子10は、主LED11とチップ抵抗器R1とを直列接続したものと、副LED12とチップ抵抗器R2とを直列接続したものとが並列に接続されていると共に、チップ抵抗器R1の抵抗値はチップ抵抗器R2の抵抗値よりも充分小さい。
【0111】
すなわち、本実施の形態では、主LED11の残り寿命を算出するための副LED12を、主LED11の近傍に配置し、主LED11と一緒に副LED12を低負荷で点灯することが可能である。これにより、主LED11と副LED12との両方に、同一のストレスが与えられる。ここでストレスとは温度、湿度、封止樹脂から与えられる応力等であり、これらストレスにより主LED11及び副LED12は、いずれも劣化し、光量が減ってくる。
【0112】
ここで、本実施の形態では、チップ抵抗器R1の抵抗値r1はチップ抵抗器R2の抵抗値r2よりも充分小さい。このため、主LED11へ流す電流をImaxとし、主LED11の残り寿命を算出するための副LED12へ流す電流をIminとすると、Imin/Imax≒0となっている。この結果、主LED11の残り寿命を算出するために必要な主LED11の初期発光量は、該主LED11の残り寿命を算出するために副LED12へImaxの電流を流したときの発光量とすることができる。この結果、主LED11の初期発光量を把握することができる。したがって、主LED11の現在の光量を測定すれば、主LED11の初期発光量との比較により、例えばアレニウス等の寿命モデルによって主LED11の残り寿命を算出することができる。
【0113】
また、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1では、主LED11の点灯可能状態を点灯不可状態とすると共に、主LED11に代えて、副LED12を点灯可能状態にする置き換え手段としての半田ブリッジ35及び切り替えスイッチ36、又はチップ抵抗器R1・R2が設けられている。
【0114】
すなわち、副LED12により主LED11の残りの寿命を算出した結果、主LED11の残りの寿命がないと判断した場合、本実施の形態では、副LED12は使用していないか又は殆ど使用していないので、主LED11を副LED12に置き換えることが可能である。この場合、本実施の形態では、置き換え手段が設けられているので、主LED11を副LED12に容易に置き換えることができる。
【0115】
また、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1では、主LED11の再利用が可能であることを識別できる印であるマークが、電子部品本体表面としてのホルダー9に設けられている。
【0116】
すなわち、透過型フォトインタラプタ1の製品メーカー又はスロットマシン等の電子機器のリユース専業企業は、透過型フォトインタラプタ1を搭載したスロットマシン等の電子機器の製品メーカー等から返却されてきた該透過型フォトインタラプタ1における主LED11の残り寿命を算出し、再出荷する場合には、該主LED11の残り寿命がどれくらいであるのかを表示しておくことが好ましい。
【0117】
そこで、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1では、主LED11の再利用が可能であることを識別できる印である「Rドット1」、「Rドット2」、又は「Rドット3」のマークが、ホルダー9に設けられている。これにより、例えば、10000時間、5000時間、1000時間等の主LED11の残り寿命に応じて、識別できる印を設けることができる。したがって、再利用(リユース)の寿命を明確にして利用者に知らせることが可能となる。また、主LED11の残り寿命に応じて再販価格を設定することも可能となる。
【0118】
尚、この場合、例えばアレニウスモデルの関係式と、必要な主LED11の初期発光量の求め方を、ユーザーにWeb、カタログ、又は部品の仕様書に記載して提供することが好ましい。これにより、透過型フォトインタラプタ1のユーザー又はリユース専業企業自身が主LED11の残り寿命を算出することが容易に可能となる。
【0119】
また、本実施の形態のスロットマシン等の電子機器は、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1を備えている。
【0120】
これにより、透過型フォトインタラプタ1を再利用(リユース)する場合に、透過型フォトインタラプタ1を搭載するスロットマシン等の電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が主LED11の残り寿命を算出し、再利用(リユース)を進める上の仕組みを提供し得る透過型フォトインタラプタ1を備えたスロットマシン等の電子機器を提供することができる。
【0121】
また、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1の再利用方法は、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1を再利用するための電子部品の再利用方法であって、不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた透過型フォトインタラプタ1に搭載された主LED11の残り寿命を副LED12から算出し、該主LED11の残り寿命に応じて、主LED11の再利用が可能であることを識別できる印をホルダー9に付する。
【0122】
上記の方法によれば、透過型フォトインタラプタ1が不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた場合には、該透過型フォトインタラプタ1に搭載された主LED11の残り寿命を副LED12から算出する。そして、該主LED11の残り寿命に応じて、主LED11の再利用が可能であることを識別できる印をホルダー9に付する。
【0123】
これにより、透過型フォトインタラプタ1を再利用(リユース)する場合に、透過型フォトインタラプタ1を搭載するスロットマシン等の電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が主LED11の残り寿命を算出し、再利用(リユース)を進める上の仕組みを提供し得る透過型フォトインタラプタ1の再利用方法を提供することができる。
【0124】
また、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1の再利用方法は、本実施の形態の透過型フォトインタラプタ1を再利用するための電子部品の再利用方法であって、不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた透過型フォトインタラプタ1に搭載された主LED11の残り寿命を副LED12から算出し、該主LED11の残り寿命がないか又は少ないときには、主LED11に代えて、副LED12に置き換える。
【0125】
上記の方法によれば、透過型フォトインタラプタ1が、不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた場合には、該透過型フォトインタラプタ1に搭載された主LED11の残り寿命を副LED12から算出する。そして、主LED11の残り寿命がないか又は少ないときには、主LED11に代えて、副LED12に置き換える。
【0126】
これにより、透過型フォトインタラプタ1を再利用(リユース)する場合に、透過型フォトインタラプタ1を搭載するスロットマシン等の電子機器の製品メーカー又は電子機器のリユース専業企業自身が主LED11の残り寿命を算出し、再利用(リユース)を進める上の仕組みを提供し得る透過型フォトインタラプタ1の再利用方法を提供することができる。
【0127】
尚、この場合、再利用ができないことを識別できる印として例えば、「NR」等のマークをホルダー9に付しておくことが好ましい。これにより、残り寿命を算出するための副LED12を再利用可能とすることができ、再利用(リユース)をさらに進めることが可能となる。
【0128】
尚、本実施の形態では、透過型フォトインタラプタ1を例示して説明したが、本発明においては、例えばLED電球でも同様である。すなわち、LED電球はシリコンフォトトランジスタ(PT)21を有していないが、部品の性能として照度が保証されている。このため、シリコンフォトトランジスタ(PT)21の代わりに照度計を用いれば、透過型フォトインタラプタ1と同じようにして本発明を適用することが可能である。
【0129】
また、本実施の形態では、透過型フォトインタラプタ1の受光素子20としてシリコンフォトトランジスタ(PT)21を例に挙げたが、必ずしもシリコンフォトトランジスタ(PT)21に限らず、閾値を持ったOEICが搭載されたデジタル出力タイプも可能である。この場合は、シリコンフォトトランジスタ(PT)21の代わりに光路LPに照度計又は光パワーメータ等を配置し、シリコンフォトトランジスタ(PT)21と同様に扱えばよい。したがって、同じ手順により、他の発光素子を備えた電子部品に本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、透過型フォトインタラプタ、LED電球等の電子部品に適用することができる。また、電子部品としての透過型フォトインタラプタは、パチンコ台又はスロットマシン等の電子機器に適用できる。さらに、電子部品としての透過型フォトインタラプタは、例えば、複写機又はプリンタ等の電子機器において、例えば、原稿用紙等の用紙における入出力の検出等に適用される。
【符号の説明】
【0131】
1 透過型フォトインタラプタ(電子部品)
2a リードフレーム
2b リードフレーム
2c リードフレーム
3c ワイヤー線
4 エポキシ樹脂
5a リードフレーム
6 ワイヤー線
7 エポキシ樹脂
8 コネクタ
8a コレクタ端子
8b GND(ground:接地)端子
8c アノード端子
9 ホルダー(電子部品本体表面)
10 発光素子
11 主発光ダイオード〔主LED〕(主発光素子)
12 副発光ダイオード〔副LED〕(副発光素子)
20 受光素子
21 シリコンフォトトランジスタ(PT)
30 プリント基板
31 コレクタ配線
32 GND(ground:接地)配線
33 アノード配線
34 アノード分岐配線
35 半田ブリッジ(副発光素子点灯手段、置き換え手段)
36 切り替えスイッチ(副発光素子点灯手段、置き換え手段)
LP 光路
R1 チップ抵抗器(第1抵抗、置き換え手段)
R2 チップ抵抗器(第2抵抗、置き換え手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を備えた電子部品であって、
上記発光素子は、主となる主発光素子と、その近傍に設けられて主発光素子の残り寿命を算出するための副発光素子とを備えていることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記発光素子における主発光素子及び副発光素子は、同一の製造工程で生産されたものが用いられていることを特徴とする請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記主発光素子が点灯状態のときには副発光素子を消灯状態に保持する一方、主発光素子の初期発光量を測定するときには副発光素子を点灯状態にさせる副発光素子点灯手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品。
【請求項4】
前記発光素子は、主発光素子と第1抵抗とを直列接続したものと、副発光素子と第2抵抗とを直列接続したものとが並列に接続されていると共に、
上記第1抵抗の抵抗値は第2抵抗の抵抗値よりも充分小さいことを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品。
【請求項5】
前記主発光素子の点灯可能状態を点灯不可状態とすると共に、上記主発光素子に代えて、前記副発光素子を点灯可能状態にする置き換え手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項6】
前記主発光素子の再利用が可能であることを識別できる印が、電子部品本体表面に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子部品を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子部品を再利用するための電子部品の再利用方法であって、
不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた電子部品に搭載された主発光素子の残り寿命を副発光素子から算出し、該主発光素子の残り寿命に応じて、前記主発光素子の再利用が可能であることを識別できる印を電子部品本体表面に付することを特徴とする電子部品の再利用方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子部品を再利用するための電子部品の再利用方法であって、
不要又は再利用希望を理由にユーザーから返却されてきた電子部品に搭載された主発光素子の残り寿命を副発光素子から算出し、該主発光素子の残り寿命がないか又は少ないときには、主発光素子に代えて、副発光素子に置き換えることを特徴とする電子部品の再利用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−84793(P2013−84793A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223942(P2011−223942)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】