説明

電機子コアの検査方法及び検査装置

【課題】 容易且つ高精度に形状公差を検査することが可能な電機子コアの検査方法を提供すること。
【解決手段】 波形計測部15は、各コアシートの切断面、詳しくはその厚み方向において異なる複数の計測箇所に臨むように各々配置された複数のセンサ2の出力する各波形信号Sa〜Scに基づいて、各計測箇所における各々の凹凸変化を示す複数の計測データDa〜Dcを生成する。演算部16は、波形計測部15から入力された各計測データDa〜Dcをそれぞれ予め設定された複数の区間に区分し、その各区間毎に破断部に起因するノイズ成分の有無を判定することにより、その有効/無効を評価する。そして、かかる評価に基づいて各区間毎の有効な区間データを抽出し、その各区間データを合成することにより破断部に起因するノイズを含まない検査データDtを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電機子コアの検査方法及び検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、モータの円滑なる回転を実現するためには、その電機子コアの円筒形状に関する公差、即ち真円度、円筒度、又は同軸度等に関する形状公差は小さい方が望ましい。従来、電機子コアのような略円筒形状をなす検査対象物の上記形状公差を検査する方法としては、例えば特許文献1の検査方法がある。即ち、検査対象物の軸直角断面上に所定角度をなして配置され同検査対象物の外周に臨む3個の凹凸検出器を、同検査対象物の軸線方向に移動させることにより、その軸線方向複数箇所における周方向全周の表面凹凸を測定する。そして、その各測定位置における測定データに基づいて同測定対象物の形状公差を求める。これにより、高精度に円筒形状をなす検査対象物の形状公差を検査することができるとともに、検査対象物が大型・大重量のものであっても操作性よくその検査を行うことができる。
【特許文献1】特開平6−147879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、図9に示すような複数のコアシート21を積層してなる電機子コア(積層コア)22においては、積層された各コアシート21の切断面により、その円筒形状が決定される。従って、その製造過程においては、上記形状公差の検査工程が極めて重要なものとなる。
【0004】
しかしながら、電機子コア22を構成する各コアシート21は、多くの場合、打ち抜き加工により形成されるため、その切断面は必ずしも一様とならない。即ち、図10に示すように、各コアシート21外周(又は内周)の切断面23には、打ち抜き型によりせん断された比較的滑らかなせん断部24とともに、打ち抜き加工の際に破断した破断部25が形成される。従って、上記従来の検査方法のように、単純に測定精度を高めた場合、その測定データに破断部25の凹凸がノイズとして混入してしまい、結果として正確な検査結果が得られなくなるという問題がある。このため、従来、こうした破断部25に起因するノイズを含まない有効な測定データが得られるまで、凹凸検出器の位置を軸線方向に微妙に移動させながら測定を繰り返す必要があり、その結果、検査工程が極めて煩雑なものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、容易且つ高精度に形状公差を検査することができる電機子コアの検査方法及び検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、打ち抜き加工により形成された複数のコアシートを積層してなる電機子コアについて、コアシート切断面の周方向全周に亘る凹凸変化を計測することによりその形状公差を検査する電機子コアの検査方法であって、前記コアシート切断面の厚み方向複数箇所における前記凹凸変化を示す複数の計測データを生成する工程と、前記生成された各計測データを複数の区間に区分し、該各区間毎に前記打ち抜き加工に伴う破断に起因するノイズ成分の有無を判定することにより、前記各区間毎に前記各計測データの有効/無効を評価する工程と、前記評価に基づいて前記各区間毎の有効な区間データを抽出し、該各区間データを合成することにより前記検査に用いる検査データを生成する工程と、を備えることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記有効と評価された計測データが複数ある場合には、その平均を前記区間データとすること、を要旨とする。
上記各構成によれば、計測を繰り返すことなく、破断部に起因するノイズを含まない有効な検査データを迅速に生成することができる。その結果、容易且つ高精度に形状公差の検査を行うことができるようになる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記厚み方向複数箇所における前記凹凸変化の計測は、前記各コアシートを積層した後に行われること、を要旨とする。
上記構成によれば、各コアシートの接合時(カシメ等)に発生する「そり」や各コアシート間の隙間等をも含めて計測することができ、その結果、より正確に形状公差を検査することができるようになる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記ノイズ成分の有無の判定は、前記各計測データの周波数解析により行われること、を要旨とする。
上記構成によれば、容易且つ正確にノイズ成分の有無を判定してその有効/無効を評価することができる。更に、各コアシートの外周又は内周に形成された切欠きの判別も可能になる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記厚み方向複数箇所における前記凹凸変化の計測は、該各計測箇所に各々対応する複数の凹凸検出器を用いて同時に行われること、を要旨とする。
上記構成によれば、各計測箇所について個別に計測を行う場合に比較して、その計測時間を大幅に短縮することができる。従って、検査作業をより簡便なものとすることができる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記厚み方向複数箇所における前記凹凸変化の計測は、一つの凹凸検出器を前記厚み方向に移動させることにより順次行われること、を要旨とする。
上記構成によれば、複数の凹凸検出器を用いる場合と比較して低コスト化を図ることができる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、前記凹凸検出器は、前記コアシート切断面に接触することにより、その凹凸の検出が可能な接触式の凹凸検出器であること、を要旨とする。
請求項8に記載の発明は、前記凹凸検出器は、電気出力式のダイヤルゲージであること、を要旨とする。
【0013】
上記各構成によれば、小型先端アタッチメントを使用することにより、非接触式の凹凸検出器が入らないような小さなものについても計測を行うことができる。
請求項9に記載の発明は、前記凹凸検出器は、前記コアシート切断面に接触することなく、その凹凸の検出が可能な非接触式の凹凸検出器であること、を要旨とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、前記凹凸検出器は、レーザセンサを用いた光学式の凹凸検出器であること、を要旨とする。
請求項11に記載の発明は、前記凹凸検出器は、前記コアシート切断面の画像データを処理することにより前記凹凸を検出する画像処理装置であること、を要旨とする。
【0015】
上記各構成によれば、コアシートに外力を加えることなく、その表面凹凸を検出することが可能となるため、より正確な計測が可能になる。
請求項12に記載の発明は、打ち抜き加工により形成された複数のコアシートを積層してなる電機子コアについて、コアシート切断面の周方向全周に亘る凹凸変化を計測することによりその形状公差を検査する電機子コアの検査装置であって、 前記コアシート切断面の厚み方向複数箇所に臨んで配置される複数の凹凸検出器と、 該各凹凸検出器により計測された前記コアシート切断面の周方向全周に亘る凹凸変化に基づいて、該各計測箇所に対応する複数の計測データを生成する計測データ生成手段と、 前記生成された各計測データを複数の区間に区分し、該各区間毎に前記打ち抜き加工に伴う破断に起因するノイズ成分の有無を判定することにより、前記各区間毎に前記各計測データの有効/無効を評価する評価手段と、 前記評価に基づいて前記各区間毎の有効な区間データを抽出し、該各区間データを合成することにより前記検査に用いる検査データを生成する検査データ生成手段と、を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容易且つ高精度に形状公差を検査することが可能な電機子コアの検査方法及び検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の検査装置1は、検査対象である電機子コア(積層コア)22、詳しくは同電機子コア22を構成する各コアシート21の内周又は外周に形成される切断面23(図9及び図10参照)、即ちコアシート切断面の周方向全周に亘る凹凸変化を検出するための複数(3個)のセンサ2を備えている。そして、これらの凹凸検出器としての各センサ2は、アンプ3を介してコントローラ4に接続されている。
【0018】
図2に示すように、本実施形態では、各センサ2は、電機子コア10を構成する各コアシート11の切断面12(図中の例ではコアシート11の外周11a)、詳しくは、その厚み方向において異なる複数の計測箇所P1〜P3に臨むように各々配置される。そして、検査対象である各コアシート11をその軸線L周りに一回転、即ち360°回転させることにより、これら各センサ2により検出された当該切断面12の各計測箇所P1〜P3におけるその周方向全周に亘る凹凸変化が波形信号Sa〜Scとしてコントローラ4に入力されるようになっている。
【0019】
尚、本実施形態では、各センサ2として、切断面12に接触することによりその凹凸の検出が可能な接触式の凹凸検出器が採用されている。また、図3に示すように、コアシート11の内周11bについて計測する場合のように、各センサ2を周方向において同一位置に配置することが困難である場合には、各センサ2は、周方向に所定の角度θ1,θ2ずれた位置(この場合、θ1,θ2は任意)に配置される。
【0020】
図1に示すように、本実施形態のコントローラ4は、波形計測部15、演算部16、及び出力部17を備えており、各センサ2の出力する各波形信号Sa〜Scは、アンプ3により増幅され、波形計測部15へと入力される。そして、波形計測部15は、その入力される各波形信号Sa〜Scに基づいて、電機子コア10の形状検査に用いる検査データDtの基礎データとして、各センサ2に対応する切断面12の各計測箇所P1〜P3における各々の凹凸変化を示す複数の計測データDa〜Dcを生成する。
【0021】
波形計測部15により生成された各計測データDa〜Dcは、演算部16に入力される。そして、本実施形態では、演算部16は、波形計測部15により生成された各計測データDa〜Dcに基づいて、打ち抜き加工に伴い切断面12に形成された破断部18に起因するノイズを含まない検査データDtを生成する。
【0022】
詳述すると、本実施形態では、演算部16は、先ず、波形計測部15から入力された各計測データDa〜Dcをそれぞれ予め設定された複数の区間に区分する。図4に示すように、本実施形態では、各計測データDa〜Dcは、それぞれ周方向の計測角度に応じた2区間、即ち0°〜180°までの第1区間と、181°〜360°までの第2区間とに区分される。具体的には、計測箇所P1に配置されたAセンサ2aに対応する計測データDaは各区間データDa1,Da2に、計測箇所P2に配置されたBセンサ2bに対応する計測データDbは各区間データDb1,Db2に、そして計測箇所P3に配置されたCセンサ2cに対応する計測データDcは各区間データDc1,Dc2に区分される(図2参照)。
【0023】
続いて、演算部16は、各計測データDa〜Dcについて、その各区間毎に破断部18に起因するノイズ成分の有無を判定することにより、その有効/無効を評価する。そして、かかる評価に基づいて各区間毎の有効な区間データを抽出し、その各区間データを合成することにより破断部18に起因するノイズを含まない検査データDtを生成する。
【0024】
即ち、図4に例示する各計測データDa〜Dcの入力があった場合、演算部16は、図5に示すように、第1区間においては計測データDbを有効と評価し、第2区間においては計測データDaを有効と評価する。そして、その有効な各区間データDb1,Da2を抽出しこれらを合成することにより、破断部18に起因するノイズを含まない検査データDtを生成する。
【0025】
さらに詳述すると、本実施形態の演算部16は、周波数解析により各計測データDa〜Dcに含まれる破断部18に起因するノイズ成分の有無を判定する。即ち、破断部18に起因するノイズ成分を含む場合、周波数解析を行うことにより、その解析データには、所定の周波数領域に同ノイズ成分の存在を示す波形が現れる。例えば、図6に示すように、図4に例示する各計測データDa〜Dcの第2区間(各区間データDa2〜Dc2)について周波数解析を行った場合、各区間データDb2,Dc2の解析データには、所定の周波数領域αにノイズ成分の存在を示す波形βが現れる。従って、これら区間データDb2,Dc2は無効と評価され、同周波数領域αに波形βが現れない区間データDa2が有効と評価される。
【0026】
尚、本実施形態では、有効と評価される区間データが2以上ある場合には、その平均が有効な区間データとして用いられる。また、各コアシート11の外周11a又は内周11bに形成される切欠き(スロット26形成用のもの等、図9参照)についても、上記周波数解析によりその判別が可能となっている。
【0027】
次に、上記本実施形態の検査装置における検査データの生成手順について説明する。
図7のフローチャートに示すように、コントローラ4において、先ず、波形計測部15が、各センサ2から入力される各波形信号Sa〜Scに基づいて、各センサ2に対応する各計測箇所P1〜P3における各々の凹凸変化を示す複数の計測データDa〜Dcを生成する(ステップ101)。次に、演算部16が、波形計測部15から入力された各計測データDa〜Dcをそれぞれ予め設定された複数の区間に区分し、その各区間毎に破断部18に起因するノイズ成分の有無を判定することにより、その有効/無効を評価する(ステップ102)。そして、かかる評価に基づいて各区間毎の有効な区間データを抽出し、その各区間データを合成することにより破断部18に起因するノイズを含まない検査データDtを生成する(ステップ103)。即ち、本実施形態では、コントローラ4が、計測データ生成手段(波形計測部15)、評価手段及び検査データ生成手段(演算部16)を構成する。そして、演算部16により生成された検査データDt、並びに該検査データDtに基づく検査結果が、出力部17から外部へと出力されるようになっている。
【0028】
以上、本実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)波形計測部15は、各コアシート11の切断面12、詳しくは、その厚み方向の異なる複数の計測箇所P1〜P3における各々の凹凸変化を示す複数の計測データDa〜Dcを生成する。演算部16は、波形計測部15から入力された各計測データDa〜Dcをそれぞれ予め設定された複数の区間に区分し、その各区間毎に破断部18に起因するノイズ成分の有無を判定することにより、その有効/無効を評価する。そして、かかる評価に基づいて各区間毎の有効な区間データを抽出し、その各区間データを合成することにより破断部18に起因するノイズを含まない検査データDtを生成する。
【0029】
このような構成とすれば、計測を繰り返すことなく、打ち抜き加工の際に各コアシート11の切断面に形成される破断部18に起因するノイズを含まない有効な検査データDtを迅速に生成することができ、その結果、容易且つ高精度な形状公差の検査を行うことができるようになる。
【0030】
(2)演算部16は、周波数解析により各計測データDa〜Dcに含まれる破断部18に起因するノイズ成分の有無を判定する。このような構成とすれば、容易且つ正確にノイズ成分の有無を判定してその有効/無効を評価することができる。更に、各コアシート11の外周11a又は内周11bに形成された切欠きの判別もできるようになる。
【0031】
(3)検査装置1は、各コアシート11の切断面12、詳しくはその各計測箇所P1〜P3に臨むように各々配置される複数のセンサ2を備える。そして、波形計測部15は、これら各センサ2から入力される各波形信号Sa〜Scに基づいて、各センサ2に対応する各計測箇所P1〜P3における各々の凹凸変化を示す複数の計測データDa〜Dcを同時に生成する。このような構成とすれば、各計測箇所P1〜P3について個別に計測を行う場合に比較して、その計測時間を大幅に短縮することができる。従って、その形状公差に関する検査工程をより簡便なものとすることができる。
【0032】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、特に言及しなかったが、上記各コアシート11の切断面12の凹凸変化計測は、図8に示すように、各コアシート11を積層した後に行うこととしてもよい。このような構成とすれば、各コアシート11の接合時(カシメ等)に発生する「そり」や各コアシート11間の隙間等をも含めて計測することができ、より正確且つ迅速にその形状公差を検査することができるようになる。この場合、各コアシート11の厚みdを一単位として、各センサ2を軸線L方向に沿って順次移動させる構成とすればよい。尚、必ずしも全てのコアシート11について計測する必要はなく、その数は、任意に設定すればよい。また、移動ピッチを各計測箇所P1〜P3の間隔に縮めて、一つのセンサにより各計測箇所P1〜P3に対応する計測データDa〜Dcを生成する構成としてもよい。このような構成とすれば、複数のセンサ2を用いる場合と比較して低コスト化を図ることができる。
【0033】
・本実施形態では、計測箇所を各コアシート11につきP1〜P3の3箇所としたが、2箇所でもよく4箇所以上でもよく、各センサ2もその計測箇所に応じた数を設ければよい。
【0034】
・本実施形態では、各センサ2として接触式の凹凸検出器を採用することとしたが、コアシート11の切断面12に接触することなく、その凹凸の検出が可能な非接触式の凹凸検出器を用いてもよい。具体的には、レーザセンサを用いた光学式のもの、或いは切断面12の画像データを処理することによりその凹凸を検出する画像処理装置を用いればよい。このような構成とすれば、コアシート11に外力を加えることなく、その表面凹凸を検出することが可能となるため、より正確な計測が可能になる。また、接触式の凹凸検出器としては、電気出力式のダイヤルゲージを用いればよく、小型先端アタッチメントを使用することにより、非接触式の凹凸検出器が入らないような小さなものについても計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態の検査装置の概略構成図。
【図2】本実施形態の検査方法の態様を模式的に示す説明図。
【図3】本実施形態の検査方法の態様を模式的に示す説明図。
【図4】計測データの波形図。
【図5】検査データの波形図。
【図6】周波数解析後の計測データ(区間データ)の波形図。
【図7】検査データの生成手順を示すフローチャート。
【図8】別例の検査方法の態様を模式的に示す説明図。
【図9】電機子コア(積層コア)の斜視図。
【図10】コアシートの切断面の形状を模式的に示す説明図。
【符号の説明】
【0036】
1…検査装置、2…センサ、2a…Aセンサ、2b…Bセンサ、2c…Cセンサ、4…コントローラ、10,22…電機子コア、11,21…コアシート、12,23…切断面、15…波形計測部、16…演算部、17…出力部、18,25…破断部、24…せん断部、P1〜P3…計測箇所、Sa〜Sc…波形信号、Da〜Dc…計測データ、Sa1,Sa2,Sb1,Sb2,Sc1,Sc2…区間データ、Dt…検査データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち抜き加工により形成された複数のコアシートを積層してなる電機子コアについて、コアシート切断面の周方向全周に亘る凹凸変化を計測することによりその形状公差を検査する電機子コアの検査方法であって、
前記コアシート切断面の厚み方向複数箇所における前記凹凸変化を示す複数の計測データを生成する工程と、
前記生成された各計測データを複数の区間に区分し、該各区間毎に前記打ち抜き加工に伴う破断に起因するノイズ成分の有無を判定することにより、前記各区間毎に前記各計測データの有効/無効を評価する工程と、
前記評価に基づいて前記各区間毎の有効な区間データを抽出し、該各区間データを合成することにより前記検査に用いる検査データを生成する工程と、
を備えることを特徴とする電機子コアの検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電機子コアの検査方法において、
前記有効と評価された計測データが複数ある場合には、その平均を前記区間データとすること、を特徴とする電機子コアの検査方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電機子コアの検査方法において、
前記厚み方向複数箇所における前記凹凸変化の計測は、前記各コアシートを積層した後に行われること、を特徴とする電機子コアの検査方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちの何れか一項に記載の電機子コアの検査方法において、
前記ノイズ成分の有無の判定は、前記各計測データの周波数解析により行われること、
を特徴とする電機子コアの検査方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちの何れか一項に記載の電機子コアの検査方法において、
前記厚み方向複数箇所における前記凹凸変化の計測は、該各計測箇所に各々対応する複数の凹凸検出器を用いて同時に行われること、を特徴とする電機子コアの検査方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のうちの何れか一項に記載の電機子コアの検査方法において、
前記厚み方向複数箇所における前記凹凸変化の計測は、一つの凹凸検出器を前記厚み方向に移動させることにより順次行われること、を特徴とする電機子コアの検査方法。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の電機子コアの検査方法において、
前記凹凸検出器は、前記コアシート切断面に接触することにより、その凹凸の検出が可能な接触式の凹凸検出器であること、を特徴とする電機子コアの検査方法。
【請求項8】
請求項7に記載の電機子コアの検査方法において、
前記凹凸検出器は、電気出力式のダイヤルゲージであること、
を特徴とする電機子コアの検査方法。
【請求項9】
請求項5又は請求項6に記載の電機子コアの検査方法において、
前記凹凸検出器は、前記コアシート切断面に接触することなく、その凹凸の検出が可能な非接触式の凹凸検出器であること、を特徴とする電機子コアの検査方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電機子コアの検査方法において、
前記凹凸検出器は、レーザセンサを用いた光学式の凹凸検出器であること、
を特徴とする電機子コアの検査方法。
【請求項11】
請求項9に記載の電機子コアの検査方法において、
前記凹凸検出器は、前記コアシート切断面の画像データを処理することにより前記凹凸を検出する画像処理装置であること、を特徴とする電機子コアの検査方法。
【請求項12】
打ち抜き加工により形成された複数のコアシートを積層してなる電機子コアについて、コアシート切断面の周方向全周に亘る凹凸変化を計測することによりその形状公差を検査する電機子コアの検査装置であって、
前記コアシート切断面の厚み方向複数箇所に臨んで配置される複数の凹凸検出器と、
該各凹凸検出器により計測された前記コアシート切断面の周方向全周に亘る凹凸変化に基づいて、該各計測箇所に対応する複数の計測データを生成する計測データ生成手段と、
前記生成された各計測データを複数の区間に区分し、該各区間毎に前記打ち抜き加工に伴う破断に起因するノイズ成分の有無を判定することにより、前記各区間毎に前記各計測データの有効/無効を評価する評価手段と、
前記評価に基づいて前記各区間毎の有効な区間データを抽出し、該各区間データを合成することにより前記検査に用いる検査データを生成する検査データ生成手段と、
を備えることを特徴とする電機子コアの検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−194838(P2006−194838A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9442(P2005−9442)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】