説明

電気化学デバイス用粘着テープ

【課題】優れた接着力を有し、電気化学デバイスに悪影響を及ぼすことのなく、電極の保護、活物質の剥がれ防止、及び電極板とセパレータ等の積層体を巻回して電池ケース内へ詰め込む際の巻末部固定を行うことができる電気化学デバイス用粘着テープを提供する。
【解決手段】本発明の電気化学デバイス用粘着テープは、プラスチック系基材の少なくとも一方の面にアクリル系粘着剤から成る粘着剤層を有する電気化学デバイス用粘着テープであって、前記アクリル系粘着剤が、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルとヒドロキシル基含有モノマーとを含むモノマー成分を重合して得られる、酸価が1.0以下、ガラス転移温度(Tg)が−40℃以上であるアクリル系ポリマーを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学デバイス用粘着テープ、特に、電解コンデンサーやリチウムイオン電池等の組み立てにおいて、電解液に接触する部分若しくは電解液に接触する可能性のある部分に用いられる粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学デバイスには、その製造工程において、粘着テープが多用されている。例えば、リチウムイオン電池は、その製造工程において、異物やバリ等によるセパレータの貫通防止、活物質の剥がれ防止、電極板とセパレータ等の積層体を巻回して電池ケース内へ詰め込む際の巻末部固定等様々な用途に粘着テープが用いられている。
【0003】
電気化学デバイスの製造工程で使用する粘着テープは主に基材と粘着剤層とで構成される。前記粘着剤層を形成する粘着剤としては、外部架橋剤で架橋することによって、優れた接着性を得ることができる点で、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと官能基含有モノマーを共重合して得られるアクリル系ポリマーが使用されることが多い。電解液中で粘着テープが剥がれると、活物質が脱落し、更に電解液へ溶出した粘着成分と電解質とが反応することにより電解液特性が低下し、電池特性が低下するからである(特許文献1等)。
【0004】
しかし、優れた接着性を有する粘着テープを使用しても、電気化学デバイスにおける不具合を引き起こし、電気デバイスの寿命を低下させる場合があることが問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−176476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、優れた接着力を有し、電気化学デバイスに悪影響を及ぼすことのなく、電極の保護、活物質の剥がれ防止、及び電極板とセパレータ等の積層体を巻回して電池ケース内へ詰め込む際の巻末部固定を行うことができる電気化学デバイス用粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、電気化学デバイスの製造工程で使用する粘着テープの粘着剤層を構成するアクリル系ポリマーには、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと官能基含有モノマーとしてカルボキシル基含有モノマー(例えば、アクリル酸等)を使用することが多いが、重合の際にカルボキシル基含有モノマーは全て共重合されずに、僅かに残存することが多く、そのような残存モノマーを含む粘着テープを電気化学デバイスの組み立てに使用すると電気化学デバイスの腐食の原因となることがわかった。
【0008】
更に、カルボキシル基を含有するモノマーを共重合して得られるアクリル系ポリマーは吸水性が高く、粘着剤層中に水分を保持し易いので、カルボキシル基を含有するモノマーを共重合して得られるアクリル系ポリマーから成る粘着剤層を有する粘着テープを特にリチウムイオン電池の製造工程において使用すると、リチウムイオン電池は電解液中のリチウム塩の反応性が高く、電解液中に放出された水分を直ちに還元分解するので電極反応を阻害して電池容量を劣化させ、更に、カルボキシル基含有モノマーが非水系電解液の分解を引き起こすため電解液特性が低下し、結果として電池性能を劣化させ、電池寿命の低下を招くことがわかった。
【0009】
そして、電気化学デバイス用粘着テープの粘着剤層を形成するアクリル系粘着剤に含有する、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと官能基含有モノマーを共重合して得られるアクリル系ポリマーについて、前記官能基モノマーとしてヒドロキシル基含有モノマーを使用し、カルボキシル基含有モノマーの使用量を制限すると、優れた接着力を有しつつ、粘着テープの粘着剤層中に残存するカルボキシル基含有モノマーによる電気化学デバイスの腐食を防止することができると共に、粘着テープの吸水性を低下させることができ、粘着テープ自体に含有する水分により引き起こされる電気化学デバイスの不具合を防止することができること、アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)を特定の範囲に調整すると、優れたせん断接着性を得られること、これらの特徴を併せ持つ粘着テープは、電気化学デバイス用として極めて有用であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、プラスチック系基材の少なくとも一方の面にアクリル系粘着剤から成る粘着剤層を有する電気化学デバイス用粘着テープであって、前記アクリル系粘着剤が、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルとヒドロキシル基含有モノマーとを含むモノマー成分を重合して得られる、酸価が1.0以下、ガラス転移温度(Tg)が−40℃以上であるアクリル系ポリマーを含有することを特徴とする電気化学デバイス用粘着テープを提供する。
【0011】
前記電気化学デバイス用粘着テープとしては、23℃におけるせん断接着力が、20N/cm2以上であることが好ましい。
【0012】
前記アクリル系粘着剤としては、アクリル系ポリマーと、アクリル系ポリマー100重量部に対して1〜15重量部のイソシアネート系架橋剤を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープは、優れたせん断接着力を有し、且つ、電気化学デバイスの腐食を防止することができると共に、粘着テープの吸水性が極めて低く、粘着テープ自体に含有する水分により引き起こされる電気化学デバイスの不具合を防止することができる。そのため、電気化学デバイス用途、特に、リチウムイオン電池の製造において、電解液に浸漬する箇所、又は電解液に接触する可能性のある箇所に適用して、電池性能の劣化、及び電池寿命の低下を抑制しつつ異物やバリ等によるセパレータの貫通防止、活物質の剥がれ防止、電池ケース内への電極の詰め込み適性改善を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープの他の一例を示す概略断面図である。
【図3】リチウムイオン電池における、本発明にかかる電気化学デバイス用粘着テープの使用例を示した概略図であり、図(3-1)は使用前の図、図(3-2)は極板等へ本発明にかかる電気化学デバイス用粘着テープを貼着した図、図(3-3)は、極板を巻回して本発明にかかる電気化学デバイス用粘着テープを使用して巻き止めした図である。
【図4】粘着テープのせん断粘着力測定に際する粘着テープと被着体の引っ張り方向を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープの一例を示す概略断面図であり、電気化学デバイス用粘着テープ31は基材1の片面に粘着剤層2が積層された構造を有する。
【0017】
図2は本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープの他の一例を示す概略断面図であり、電気化学デバイス用粘着テープ32は基材1の一方の面に粘着剤層21、他方の面に粘着剤層22が積層された構造を有する。
【0018】
[粘着剤層]
本発明の粘着剤層は、アクリル系粘着剤から成る。アクリル系粘着剤は、ベースポリマーとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、少なくとも前記主モノマーと接着性を改良する官能基含有モノマーを含むモノマー成分を重合して得られるアクリル系ポリマー(共重合体)を含有する。
【0019】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル基、イソブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、ヘプチル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ラウリル、トリデシル、テトラデシル、ステアリル、オクタデシル、ドデシル基等の炭素数30以下の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。尚、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。
【0020】
アルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量としては、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して80重量%以上(好ましくは、90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上)含有することが好ましい。
【0021】
本発明においては、なかでも、せん断接着力を向上することができる点で、炭素数3以下の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して60重量%以上(好ましくは、55重量%以上)で、且つ、炭素数5以上の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して40重量%以下(好ましくは、35重量%以下)であることが好ましい。
【0022】
本発明においては、上記官能基含有モノマーとしてヒドロキシル基(水酸基)含有モノマーを使用することを特徴とする。ヒドロキシル基(水酸基)含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコール等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
上記の官能基含有モノマーの含有量は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、例えば、1〜10重量%程度(なかでも、1〜7重量%程度、特に1〜5重量%程度)である。官能基含有モノマーの含有量が上記範囲を下回ると、接着性が低下する傾向がある。一方、官能基含有モノマーの含有量が上記範囲を上回ると、重合時にゲル化し易くなる傾向がある。
【0024】
本発明のアクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、上記主モノマー、及び官能基含有モノマー以外にも、他の共重合可能なモノマーを含有していてもよい。前記共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
更に、前記共重合可能なモノマーとして、例えば、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート等も挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
前記共重合可能なモノマーは、粘着特性の改質等を目的として必要に応じて用いることができる。その使用量は、アクリル系ポリマーの重合時における安定性の点から、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対し、例えば50重量部以下程度が好ましい。
【0027】
更にまた、共重合可能なモノマーとして、アクリル系ポリマーの架橋を目的とする、多官能性モノマーも必要に応じて用いることができる。多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等があげられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
多官能性モノマーの使用量は、アクリル系重合体の重合時における安定性の点から、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対し、例えば30重量%以下が好ましい。
【0029】
上記アクリル系ポリマーは、上記のモノマー成分を公知乃至慣用の重合方法により重合して調製することができ、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合法や活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)等を挙げることができる。上記の中でも透明性、耐水性、コスト等の点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましく、より好ましくは溶液重合方法である。
【0030】
上記の溶液重合に際しては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等の有機溶剤を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
上記モノマー成分の重合に際しては、重合開始剤を使用することができる。前記重合開始剤としては、特に限定されず公知乃至慣用のものの中から適宜選択して使用することができ、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系重合開始剤等の油溶性重合開始剤等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量としては、特に限定されず、従来、重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。
【0032】
本発明のアクリル系ポリマーの酸価は、1.0以下(好ましくは0〜0.8、特に好ましくは0〜0.5)である。酸価が上記範囲を上回ると、電気化学デバイスの腐食を防止することが困難となる傾向がある。また、粘着テープが吸水しやすくなり、粘着テープ自体に含有する水分により引き起こされる電気化学デバイスの不具合を防止することが困難となる傾向がある。アクリル系ポリマーの酸価は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分におけるカルボキシル基含有モノマー含有量を調整することによりコントロールすることができる。
【0033】
また、本発明のアクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、−40℃以上(好ましくは−40〜−20℃)である。ガラス転移温度(Tg)が−40℃より低くなると、せん断接着力が低下して、リチウムイオン電池の製造において、電極板とセパレータ等の積層体を巻回して電池ケース内へ詰め込む際に巻末部固定を十分に行うことが困難となる傾向がある。アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、アクリル系ポリマーに含有するアルキル鎖の炭素数を調整することによりコントロールすることができる。
【0034】
本発明のアクリル系ポリマーの分子量としては、例えば、重量平均分子量が300000〜1200000程度、好ましくは300000〜1000000程度である。重量平均分子量が300000未満である場合、粘着剤層として必要な粘着力、凝集力が得られず、耐久性が劣る傾向がある。一方、重量平均分子量が1200000を超える場合、粘着剤組成物の粘度上昇により塗工性不良等の問題が生じる場合がある。
【0035】
尚、アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。より具体的には、GPC測定装置として、商品名「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)を用いて、ポリスチレン換算値により、下記GPCの測定条件で測定して求めることができる。
<GPCの測定条件>
サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
サンプル注入量:10μL
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量(流速):0.6mL/min
カラム温度(測定温度):40℃
カラム:商品名「TSKgelSuperHM−H/H4000/H3000/H2000」(東ソー株式会社製)
検出器:示差屈折計(RI)
【0036】
本発明のアクリル系ポリマーは、適当な架橋手段(例えば、架橋剤の添加等)により架橋処理を施すことが好ましい。架橋処理を施すことにより、粘着テープにより一層優れたせん断接着力(例えば、20N/cm2以上、なかでも25N/cm2以上、特に30N/cm2以上)を付与することができる。
【0037】
前記架橋剤としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド系化合物等を挙げることができる。これらはアクリル系ポリマーに含有する官能基に応じ適宜選択して使用することができる。本発明においては、なかでも、イソシアネート系化合物を使用することが、プラスチック系基材との投錨性に優れる点で好ましい。
【0038】
イソシアネート系化合物としては、例えば、二官能性イソシアネート系化合物、三官能性イソシアネート系化合物等の多官能性イソシアネート系化合物を挙げることができる。二官能性イソシアネート系化合物としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ジイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類等を挙げることができる。三官能性イソシアネート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートHL」、日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、日本ポリウレタン工業社製)等のイソシアネート付加物等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
本発明における架橋剤としては、なかでも、三官能性イソシアネート系化合物が、反応性に優れ、より速やかに硬化させることができる点で好ましい。
【0040】
前記架橋剤の使用量としては、例えば、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して1〜15重量部程度、好ましくは1〜10重量部程度である。架橋剤の使用量が上記範囲を下回ると、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分なせん断粘着力が得られない場合がある。一方、架橋剤の使用量が上記範囲を上回ると、ポリマーの凝集力が大きくなりすぎ、粘着性が低下する傾向がある。
【0041】
本発明におけるアクリル系粘着剤は、上記アクリル系ポリマー、架橋剤の他に、他の成分(例えば、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤等)を含んでいてもよい。
【0042】
本発明の粘着剤層は、上記アクリル系粘着剤を必要に応じて溶媒(例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等)を使用して希釈してコーティング液を調製し、これを直接基材上若しくは適当なセパレータ(剥離紙等)上に塗布、乾燥して形成することができる。
【0043】
本発明の粘着剤層は、単層であってもよく、2層以上の積層体であってもよい。粘着剤層が2層以上の積層体である場合、各層は同一の組成を有していてもよく、異なる組成の層を組み合わせて積層してもよい。また、基材の両面に粘着剤層を有する場合、それらの粘着剤層は同一の組成を有していてもよく、異なる組成を有していてもよい。
【0044】
本発明の粘着剤層の厚み(2層以上の積層体である場合はその総厚み)は、1〜15μm(好ましくは、1〜10μm)である。粘着剤層の厚さが上記範囲を下回ると、接着力が低下して、電解液中で粘着テープが剥がれて電解液の劣化を引き起こす原因となる傾向がある。一方、粘着剤層の厚さが上記範囲を上回ると、電気化学デバイス内に占める体積が大きくなり過ぎ、電気化学デバイスの高容量化に対応することが困難となる傾向がある。
【0045】
[基材]
基材としては、プラスチック系基材を使用することを特徴とする。プラスチック系基材の原料としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体等)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、セルロース類、フッ素系樹脂、ポリエーテル、ポリエーテルアミド、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン等)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
本発明においては、なかでも、耐熱性に優れる点で、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリオレフィンから選択される樹脂を原料とする基材が好ましい。
【0047】
本発明の基材は、単層であってもよく、2層以上の積層体であってもよい。基材が2層以上の積層体である場合、各層は同一の組成を有していてもよく、異なる組成の層を組み合わせて積層してもよい。
【0048】
また、基材の表面には、必要に応じて、粘着剤層等との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよい。
【0049】
基材の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、25μm以下程度(好ましくは、5〜25μm程度)である。基材の厚さが上記範囲を上回ると、電気化学デバイス内に占める体積が大きくなり過ぎ、電気化学デバイスの高容量化に対応することが困難となる傾向がある。一方、基材の厚さが薄くなりすぎると、粘着テープの強度が不足し、実用性を損なう恐れがある。
【0050】
[電気化学デバイス用粘着テープ]
本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープは、上記基材の少なくとも一方の面に上記粘着剤層を有する。本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープは、公知慣用の方法により形成することができ、例えば、上記粘着剤層を構成するアクリル系粘着剤を必要に応じて溶媒(例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等)を使用して希釈してコーティング液を調製し、これを直接基材上に塗布して粘着剤層を形成する方法や、適当なセパレータ(剥離紙等)上に前記コーティング液を塗布して粘着剤層を形成し、これを基材上に転写(移着)する方法等を挙げることができる。転写による場合は、基材との界面にボイド(空隙)が残る場合がある。この場合、オートクレーブ処理等により加温加圧処理を施し、ボイドを拡散させて消滅させることができる。
【0051】
前記コーティング液の塗布には慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーター等を使用することができる。
【0052】
また、本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープは、基材原料と上記アクリル系粘着剤を溶融押出して一体化させる方法でも形成することができる。溶融押し出し方法としては、インフレーション法やTダイ法等任意の公知技術を用いることができる。また、押し出し成型した後は、縦又は横方向への延伸(1軸延伸)処理や、縦及び横方向への逐次又は同時延伸(2軸延伸)処理等を施してもよい。
【0053】
本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープは、被着体に対して、例えば0.5〜10kg/cm2程度の圧力で押圧することにより貼り合わせることができる。押圧時の温度としては、特に制限されることがなく、例えば10〜180℃程度である。
【0054】
押圧後の接着力(対アルミ箔)は、例えば、25℃におけるアルミ箔に対する180°引き剥がし粘着力(JIS Z 0237準拠、対アルミ箔、剥離速度:300mm/分:浸漬前接着力)が0.5N/10mm以上(好ましくは1.0N/mm以上、特に好ましくは1.05〜2.5N/10mm)程度である。
【0055】
本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープの、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶媒[前者/後者(体積比)=1/1]に60℃、8時間浸漬した後の接着力(対アルミ箔)は、例えば、180°引き剥がし粘着力(JIS Z 0237準拠、対アルミ箔、剥離温度:25℃、剥離速度:300mm/分:浸漬後接着力)が0.5N/mm以上[好ましくは1.0N/mm以上(例えば、1.0〜2.5N/10mm)]である。浸漬後のアルミ箔に対する接着力が上記範囲を下回ると、リチウムイオン電池内部に使用する場合に電解液中で剥離し易くなり、電解液の劣化を抑制することが困難となる。
【0056】
本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープの、23℃におけるせん断接着力としては、20N/cm2以上(なかでも25N/cm2以上、特に30N/cm2以上)であることが好ましい。23℃におけるせん断接着力が上記範囲を下回ると、リチウムイオン電池の製造において、電極板とセパレータ等の積層体を巻回して電池ケース内へ詰め込む際に巻末部固定を十分に行うことが困難となる傾向がある。
【0057】
本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープには、粘着剤層表面の保護、ブロッキング防止の観点等から、粘着剤層表面にセパレータ(剥離ライナー)が設けられていてもよい。セパレータは本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープを被着体に貼着する際に剥がされるものであり、必ずしも設けなくてもよい。用いられるセパレータとしては、特に限定されず、公知慣用の剥離紙等を使用できる。例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン系等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材等を用いることができる。
【0058】
本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープが両面粘着テープである場合、上記セパレータは、本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープの両方の粘着剤層表面に設けられてもよく、片方の粘着面に背面剥離層を有するセパレータを設け、シートを巻回することによって、反対側の粘着剤層表面にセパレータの背面剥離層が接するようにしてもよい。
【0059】
本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープは、例えば、リチウムイオン電池等の非水系電解液が封入される2次電池の製造用に好適に使用される。
【0060】
前記非水系電解液としては、特に限定されることがなく、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネートとジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネートとの混合溶媒と、電解質としてLiPF6等のリチウム塩が溶解している電解液等を挙げることができる。
【0061】
リチウムイオン電池等の非水系電解液2次電池は、正極芯体に正極活物質が塗布された正極板と、負極芯体に負極活物質が塗布された負極板とがセパレータを介して積層された積層型電極群、又は正極芯体に正極活物質が塗布された正極板と負極芯体に負極活物質が塗布された負極板とをセパレータを介して相対向させて渦巻状に巻回した巻回型電極群と、正極板、負極板から引き出された電極端子、及び電解液が外装缶に封入された構造を有する。
【0062】
本発明に係る電気化学デバイス用粘着テープは、例えば、上記リチウムイオン電池等の非水系電解液2次電池の製造において、異物やバリ等によるセパレータの貫通を防止する目的、活物質の剥がれを防止する目的、電池ケース内への電極の詰め込み適性を改善する目的(例えば、正極板/セパレータ/負極板から成る積層体の固定、若しくは前記積層体の巻回体を固定)等で電池構成部材に貼付して使用することができる。電池構成部材における貼付場所としては、前記目的を達成することができる場所であれば特に限定されることなく、例えば、極板、電極端子、極板端部、セパレータにおける極板端部が接触する部分、活物質の塗布部と未塗布部の境界部分、巻回型電極群の巻末部等を挙げることができる(図3参照)。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0064】
実施例1
アクリル酸エチル 70重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル 30重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル 4重量部、開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 0.1部、溶媒としてトルエン 100重量部を配合し、N2置換を2時間行った。その後、60℃で6時間重合を行って、重量平均分子量:40万、Tg:−36.6℃のアクリル系ポリマー(1)を得た。
【0065】
得られたアクリル系ポリマー(1)に三官能性イソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)を固形分に対して5重量部の割合で配合して、アクリル系接着剤(1)を得た。
【0066】
得られたアクリル系接着剤(1)を透明のポリイミドフィルム(商品名「カプトン50H」、東レ・デュポン(株)製、厚さ:12.5μm)に乾燥後の厚みが10μmになるように塗布、乾燥して粘着テープ(1)を得た。
【0067】
実施例2
アクリル酸エチル 60重量部、アクリル酸ブチル 40重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル 2重量部、AIBN 0.1重量部、トルエン 100重量部を配合し、N2置換を2時間行った。その後、60℃で6時間重合を行って、重量平均分子量:50万、Tg:−34.9℃のアクリル系ポリマー(2)を得た。
【0068】
得られたアクリル系ポリマー(2)に三官能性イソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)を固形分に対して4重量の割合で配合して、アクリル系接着剤(2)を得た。
【0069】
得られたアクリル系接着剤(2)を透明のPETフィルム(商品名「ルミラーS10」、東レ(株)製、厚さ:25μm)に乾燥後の厚みが10μmになるように塗布、乾燥して粘着テープ(2)を得た。
【0070】
比較例1
アクリル酸ブチル 95重量部、アクリル酸 5重量部、AIBN 0.1部、溶媒として酢酸エステル 100重量部を配合し、N2置換を2時間行った。その後、60℃で6時間重合を行って、重量平均分子量:120万、Tg:−50.3℃のアクリル系ポリマー(3)を得た。
【0071】
得られたアクリル系ポリマー(3)に三官能性イソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)を固形分に対して0.5重量部の割合で配合してアクリル系粘着剤(3)を得た。
【0072】
得られたアクリル系粘着剤(3)を透明のPETフィルム(商品名「ルミラーS10」、東レ(株)製、厚さ:25μm)に乾燥後の厚みが10μmになるように塗布、乾燥して粘着テープ(3)を得た。
【0073】
比較例2
アクリル酸2−エチルヘキシル 95重量部、アクリル酸 5重量部、AIBN 0.1部溶媒、トルエン100重量部を配合し、N2置換を2時間行った。その後、60℃で6時間重合を行って、重量平均分子量:50万、Tg:−65.2℃のアクリル系ポリマー(4)を得た。
【0074】
得られたアクリル系ポリマー(4)に三官能性イソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)を固形分に対して5重量部の割合で配合してアクリル系粘着剤(4)を得た。
【0075】
得られたアクリル系粘着剤(4)を透明のPETフィルム(商品名「ルミラーS10」、東レ(株)製、厚さ:25μm)に乾燥後の厚みが10μmになるように塗布、乾燥して粘着テープ(4)を得た。
【0076】
尚、ガラス転移温度(Tg)は、下記式(1)で表されるFox−Flory式によって算出した。
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+w3/Tg3+・・・・+Wn/Tgn (1)
n:1以上の整数を示す
n:各モノマーの重量割合を示し、w1+w2+w3+・・・・+Wn=1である
Tgn:各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度
【0077】
また、酸価は、JIS K 0070−1992(電位差滴定法)に準じて測定した。すなわち、乾燥させたアクリル系ポリマー約3gにアセトン100mLを加え、撹拌して溶解させた。これに水 25mLを加え撹拌した。この溶液を0.05mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で滴定を行い、アクリル系ポリマー 1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を酸価とした。
【0078】
実施例及び比較例で得られた粘着テープについて、下記方法により耐腐食性、及びせん断粘着力を測定した。
【0079】
<腐食性評価方法>
実施例及び比較例で得られた粘着テープを幅20mm、長さ20mmのサイズに切断して試験片を得た。
得られた試験片を銅箔(厚さ:80μm)に貼り合わせた後、60℃、95%RHの雰囲気下で5日間保存した。その後、目視で、透明基材側から銅箔の試験片貼り合わせ面を観察して、腐食の有無を確認した。
【0080】
<せん断粘着力の測定方法>
実施例及び比較例で得られた粘着テープを幅20mm、長さ20mmのサイズに切断して試験片を得た。
得られた試験片の粘着剤層表面に、被着体としてのステンレス板(SUS304BA、サンドペーパーNo.360により研磨済み)を、5kgのローラーを1往復させて圧着して貼り合わせた後、23±2℃で0.5時間放置した。
放置後、温度:23±2℃、湿度:65±5%RHの条件下、試験片とステンレス板とを、図4で示されるように、それぞれ別の方向に(反対の方向に)、引張速度50mm/minの条件で引っ張った時の荷重(最大荷重)を測定し、せん断粘着力とした。尚、測定した値(単位:N/400mm2)は、N/cm2に単位換算を行った。
【0081】
上記結果を下記表にまとめて示す。
【表1】

【符号の説明】
【0082】
1 基材
2、21、22 粘着剤層
3、31、32 電気化学デバイス用粘着テープ
4 電極端子
5 正極板
6 負極板
7 セパレータ
8 活物質
9 被着体としてのステンレス板(SUS304BA)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック系基材の少なくとも一方の面にアクリル系粘着剤から成る粘着剤層を有する電気化学デバイス用粘着テープであって、前記アクリル系粘着剤が、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルとヒドロキシル基含有モノマーとを含むモノマー成分を重合して得られる、酸価が1.0以下、ガラス転移温度(Tg)が−40℃以上であるアクリル系ポリマーを含有することを特徴とする電気化学デバイス用粘着テープ。
【請求項2】
23℃におけるせん断接着力が、20N/cm2以上である請求項1に記載の電気化学デバイス用粘着テープ。
【請求項3】
アクリル系粘着剤が、アクリル系ポリマーと、アクリル系ポリマー100重量部に対して1〜15重量部のイソシアネート系架橋剤を含有する請求項1又は2に記載の電気化学デバイス用粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−226991(P2012−226991A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93784(P2011−93784)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】