説明

電気採暖具のコントローラ

【課題】操作開口にいずれの方向から水を掛けられた場合にも十分な防水効果を発揮することができる安全性の高い電気採暖具のコントローラを提供することを目的とする。
【解決手段】立面に操作開口206を備えたケース300と、電気採暖具100を操作する複数の操作機器203と、操作機器203をケースの外部から操作する操作つまみ210とを含み、操作つまみ210はいずれの操作位置においても、操作開口206を閉塞する閉塞部214を一体に備え、操作つまみ210が相互に近接した操作位置において、閉塞部214は一部が相互に重なり合った状態で配置されることにより、操作開口は常に閉塞部で閉塞されており、操作開口を介して外部から水が浸入を防止することができる。しかも複数の操作機器と操作つまみを近接して配置することが可能となり、コントローラを小型化することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水構造を備えた電気採暖具のコントローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気採暖具のコントローラは、コントローラのケースの側面にスリット状の操作開口を設け、操作開口を介して操作つまみをケース内部に挿入し、ケース内部に設置したスイッチやスライド抵抗等の操作機材を操作つまみで操作する構成とし、ケース外面の操作開口より下方の立ち上がり部を曲面で形成し、上方より落下した水が操作開口の方向に跳ね返らない構成とすることにより、コントローラのケース内部に水が侵入することを防止するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図14(a)は、特許文献1に記載された従来の電気採暖具のコントローラの外観斜視図を示し、(b)は(a)に示すCC断面図を示し、(c)は(a)示すDD断面図を示すものである。
【0004】
図14(a)に示すように、電気採暖具のコントローラ1はケース2の側面にスリット状の操作開口3が設けてあり、操作つまみ4を操作開口3からケース2の内部に挿入している。操作開口3より下方のケース2の外面には曲面部2aが形成されている。
【0005】
図14(b)に示すように、操作つまみ4が挿入されている部分は、操作開口3は操作つまみ4により、ほぼ閉塞されている。また、図14(c)に示すように操作つまみ4が配置されていない部分は操作開口3が開放状態であるが、コントローラ2の上方より曲面部2aに落下した水は図14(c)の矢印に示すように操作開口3とは反対の方向に飛び跳ねるため、操作開口3には進入しにくい構成となっている。
【0006】
また、別のコントローラ1では、操作開口の内側に遮蔽壁を設け、ケースの開口上辺の下端より遮蔽壁の上端が上方になるように配置することにより、操作開口からの浸水を防止しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
図15は、特許文献2に記載された従来の電気採暖具のコントローラの断面図を示すものである。図15に示すように、コントローラ5はケース6の開口上辺6aの下方に操作開口7が開口しており、操作開口7の内部に遮蔽壁8が設置されている。遮蔽壁8の上端は開口上辺6aの下端より高い位置に配置されており、操作開口7を介してケース6の外部と内部とは、水平方向においては遮蔽された構成となっている。操作つまみ9は開口上辺6aの下端と遮蔽壁8の上端を乗り越えるように蛇行した断面形状に形成し、コントローラ5の内部に配置されたスイッチやスライド抵抗等の操作機材と連接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−340028号公報
【特許文献2】特開平4−274186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の構成では、少量の水に対しては防水機能を発揮することは可能であるが、大量の水を掛けられた場合や、操作開口の横方向から水を掛けられた場合には十分な防水機能を発揮することができず改良の余地があった。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、操作開口にいずれの方向から水を掛けられた場合にも十分な防水効果を発揮することができる安全性の高い電気採暖具のコントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気採暖具のコントローラは、立面に操作開口を備えたケースと、ケース内に内蔵され、電気採暖具を操作する複数の操作機器と、複数の操作機器を、操作開口を介してケースの外部から操作する操作つまみと、を含み、操作つまみは、操作開口に沿って所定範囲の操作位置に摺動可能とし、操作つまみは、いずれの操作位置においても、操作開口を閉塞する閉塞部を一体に備え、隣接する操作つまみが相互に近接した操作位置においては、隣接する操作つまみの閉塞部は、一部が相互に重なり合った状態で配置される構成の電気採暖具のコントローラである。
【0012】
これによって、操作つまみがいずれの操作位置にある場合でも、操作開口は閉塞部で閉塞されており、操作開口を介して外部からコントローラ部への水の浸入を防止することができる、しかも操作つまみ同士が近接した場合には閉塞部が相互に重なり合うため、複数の操作機器と操作つまみを近接して配置することが可能となり、コントローラを小型化することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気採暖具のコントローラは、外部から水の進入を防止する防水効果を備え、安全性の高い電気採暖具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における電気採暖具の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるコントローラの外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるコントローラの上ケースの下面図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるコントローラの下ケースの平面図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるコントローラの操作部の内部を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるコントローラの操作部の内部を示す下面図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるスイッチ操作つまみの斜視図である。
【図8】図6に示すAA断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1における抵抗操作つまみの斜視図である。
【図10】図6に示すBB断面図である。
【図11】本発明の実施の形態1におけるコントローラのスイッチ操作つまみが左端の操作位置にあり、抵抗操作つまみが右端の操作位置にある状態を示す下面図である。
【図12】本発明の実施の形態1におけるコントローラのスイッチ操作つまみが右端の操作位置にあり、抵抗操作つまみが左端の操作位置にある状態を示す下面図である。
【図13】実施の形態2に係るコントローラの操作部の内部を示す下面図である。
【図14】(a)は特許文献1に記載された従来の電気採暖具のコントローラの外観斜視図、(b)は(a)に示すCC断面図、(c)は(a)に示すDD断面図である。
【図15】特許文献2に記載された従来の電気採暖具のコントローラの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、立面に操作開口を備えたケースと、前記ケース内に内蔵され、電気採暖具を操作する複数の操作機器と、複数の前記操作機器を、前記操作開口を介して前記ケースの外部から操作する操作つまみと、を含み、前記操作つまみは、前記操作開口に沿って所定範囲の操作位置に摺動可能とし、前記操作つまみは、いずれの前記操作位置においても、前記操作開口を閉塞する閉塞部を一体に備え、隣接する前記操作つまみが相互に近接した前記操作位置においては、隣接する前記操作つまみの前記閉塞部は、一部が相互に重なり合った状態で配置される構成の電気採暖具のコントローラである。
【0016】
これにより、操作つまみがいずれの操作位置にある場合でも、操作開口は閉塞部で閉塞されており、操作開口を介して外部からコントローラ部への水の浸入を防止することができる。しかも操作つまみ同士が近接した場合には閉塞部が相互に重なり合うため、複数の操作機器と操作つまみを近接して配置することが可能となり、コントローラを小型化することが可能となる。
【0017】
第2の発明は、特に第1の発明において、隣接する前記操作つまみの中心が最も近接する距離が、隣接する操作つまみのそれぞれの摺動距離を加えた距離より短いことを特徴とするものである。
【0018】
これにより、複数の操作つまみは近接して配置されるため、コントローラを小型化することが可能となる。
【0019】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記操作開口の内方に、前記ケースの底面より突起した防水壁が形成されているものである。
【0020】
これにより、たとえ操作開口と閉塞部との僅かな隙間から水が浸入した場合でも防水壁により奥に侵入することが防止され、より確実に防水効果を発揮することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電気採暖具の外観を示す斜視図である。図2は電気採暖具のコントローラの外観を示す斜視図である。
【0023】
<1>電気採暖具の構成
図1に示すように、電気採暖具100は複数のシート状の部材で構成した略長方形の本体110の角部にコントローラ200が配設されており、コントローラの右側面には電気採暖具100に電源を供給する電源コード120がコネクタを介して着脱自在に接続されている。コントローラ200に接続した電源コード120で電力を供給することにより本体110を加熱し、住宅の床面に設置して使用する採暖具である。
【0024】
電気採暖具100の本体110は、表面材111とヒータユニット(図示せず)と断熱シート(図示せず)と裏面材(図示せず)等を主な構成部材とする積層体で構成されている。
【0025】
ヒータユニットは、電気採暖具の発熱源であり、アルミニュームを主成分とする均熱シート(図示せず)の片面にヒータ線を(図示せず)蛇行形状に配設して接着固定したものである。
【0026】
均熱シートは、ヒータ線で発熱した熱を本体110全面に均一に拡散する目的の部材であり、熱伝導率が高い金属シートであるアルミニュームを主成分とする厚さ約0.01mmのアルミシートである。
【0027】
ヒータ線は、中心のガラス繊維(図示せず)の周囲に温度を検知する検知線(図示せず)を螺旋状に巻回し、その外周にナイロン樹脂で絶縁層(図示せず)を形成し、絶縁層の外周に発熱線(図示せず)を螺旋状に巻回し、その外周にPVCの絶縁層(図示せず)を形成し、絶縁層の外周にポリエチレン樹脂による接着層(図示せず)を形成したものである。
【0028】
本体110の角部に設置したコントローラ200には電源コードとヒータユニットの発熱線と検知線が接続されており、ヒータユニットへの電源の「入」、「切」の操作機能と、温度設定機能と、電源の「入」、「切」の状態を表示する表示機能を備えている。
【0029】
<2>コントローラの構成
図2は電気採暖具のコントローラの外観を示す斜視図であり、図3はコントローラの上ケースの下面図を示すものであり、図4はコントローラの下ケースの平面図を示すものであり、図5はコントローラの操作部の内部を示す斜視図であり、図6はコントローラの操作部の内部を示す下面図であり、図7はスイッチ操作つまみの斜視図を示すものであり、図8は図6のAA断面図を示すものであり、図9は抵抗操作つまみの斜視図を示すものであり、図10は図6のBB断面図である。
【0030】
図2に示すように、コントローラ200の前面と上面との角部には操作部201が設置されており、操作部201には電気採暖具100の電源の「入」、「切」を操作するスイッチ操作つまみ210と、温度設定を行う抵抗操作つまみ220が横方向に摺動可能に配置されている。また、コントローラ200の上面には電気採暖具100の電源の状態を表示する表示部202が配置されている。
【0031】
コントローラ200は樹脂材料で成型されたケース300の内部に、電気採暖具100の電源を「入」、「切」する操作機器であるプッシュタイプの電源スイッチ203と、本体110の発熱温度の設定を調節する操作機器であるスライド抵抗204と、検知線の検知データに基づき発熱線の通電を制御する制御部(図示せず)等が配置された制御基板205等が内蔵されている。電源スイッチ203は上面に突出した操作片203aを下方に押し下げることにより接点が接続され電源が「入」状態となるプッシュタイプのマイクロスイッチを採用している。
【0032】
なお、本実施の形態においては図2に示すように表示部202を配置した上面の側を上方とし、スイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみ220を配置した前面の側を前方とし、反対方向を後方し、前方から後方に向かって右側を右側、後方に向かって左側を左側として各構成要素の配置を説明する。
【0033】
ケース300は略箱形状の上ケース310と略平板状の下ケース320をねじにより結合させて内部に空洞部が形成される構成となっている。
【0034】
上ケース310は下面が開口の箱形状であり、略鉛直な立面をなす前面と略水平な上面との角部に形成された操作部201は、上面と前面が他の部分より凹陥して形成されている。操作部201の上面の後端部には摺動溝311a,311bが形成されており、スイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみ220の後端部に形成された係止部211、221を夫々に挿入することにより、スイッチ操作つまみ210及び抵抗操作つまみ220の上ケース310からの脱落防止とスムーズな摺動とが可能な構成となっている。また、操作部201の前面壁の下端には略長方形の切り欠き部312が形成されており、上ケース310と下ケース320の接合部に略長方形の操作開口が開口する構成となっている。
【0035】
なお、図2に示すように、操作部210の凹陥部分は、スイッチ操作つまみ210及び抵抗操作つまみ220の摺動方向(左右方向)に沿って横長に形成されている。また、上述した摺動溝311a,311bは、スイッチ操作つまみ210及び抵抗操作つまみ220の各摺動可能範囲とほぼ一致する寸法だけ左右方向に延設されている。そして、各摺動溝311a,311bの左右外方には、溝が形成されていない余剰部分が所定寸法だけ設けられている。具体的には、右側の摺動溝311aの右端と操作部210の凹陥部分の右端との間、左側の摺動溝311bの左端と操作部210の凹陥部分の左端との間、左右の摺動溝311a,311bの間、の各部には余剰部分が設けられている。従って、この余剰部分では、常に操作部201の凹陥部分が露出しており、スイッチ操作つまみ210及び抵抗操作つまみ220の位置にかかわらず、周囲よりも一段凹んだ状態となっている。
【0036】
このような余剰部分を設けることにより、スイッチ操作つまみ210及び抵抗操作つまみ220を大きく突出させなくとも、ユーザーは余剰部分の凹みに指先を入れることで、スイッチ操作つまみ210及び抵抗操作つまみ220の摺動操作を容易に行える。一方、
摺動溝311a,311bを、スイッチ操作つまみ210及び抵抗操作つまみ220の各摺動可能範囲とほぼ一致する寸法としているため、ユーザーに対して摺動可能範囲を視覚的に容易に認識させることができる。従って、余剰部分にまでつまみを移動させようとするような、誤った操作を招く事態を防止することができる。
【0037】
図3に示すように、上ケース310の内部には、操作部201の後方に前面壁から所定の間隔で前面壁と平行な2個のリブが形成されている。リブは抵抗操作つまみ220の摺動範囲に設けられた抵抗リブ313と、操作部201の全体に亘って設けられた摺動リブ314であり、抵抗リブ313は上ケース310の前面壁と摺動リブ314の間に設けられている。抵抗リブ313の下端は上ケース310の切り欠き部312の下端と同じ高さであり、摺動リブ314の下端はそれより高い位置となっている。
【0038】
摺動リブ314の後面には、スイッチ操作つまみ210の摺動範囲に対応する部分に2個の突起315が設けられており、スイッチ操作つまみ210の摺動時にクリック感を発生させるために使用される。
【0039】
上ケース310の上面には、透明材料で成型された表示部202が配置されており、制御基板205に配置されたLEDの光が外部から視認できる構成となっている。
【0040】
図4に示すように、下ケース320は略長方形の平板状であり、周縁には上ケースと接合する外周壁が形成されるとともに、操作部201に対応する部分には上面が平坦な摺動面322が形成されており、摺動面322に沿ってスイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみ220がスムーズに摺動可能な構成となっている。
【0041】
摺動面322の中間部分にはスイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみの220の摺動範囲を区分けする分割リブ323が設けられている。上ケース310と下ケース320を結合した状態においては、分割リブ323は上ケース310の切り欠き部312の一部を閉塞することにより、スイッチ操作開口206と抵抗操作開口207の2つの操作開口を形成する。
【0042】
また摺動面322の後方には所定の間隔で前面と平行に上方に突起した防水リブ324が一体に成型されており、スイッチ操作開口206および抵抗操作開口207から進入した水がコントローラ200内部に流入することを防止する構成となっている。
【0043】
図7に示すように、スイッチ操作つまみ210は樹脂材料により一体で成型されたものである。スイッチ操作つまみ210は、上ケース310の外面に配置される本体部212と、本体部212の下端から後方に向かって屈曲させながら延設され電源スイッチ203に連接される連接部213と、連接部213の途中に配置され左右に延設された平面でスイッチ操作開口206を閉塞する閉塞部214と、連接部213の途中に配置され左右に延設した平面で上ケース310の摺動リブ314と相互に摺動する摺動部215と、連接部213の途中に配置され左右に延設して設けられ両端部に略半円柱状に形成された突起を有し樹脂材料の弾性を利用して摺動リブ314に設けられた突起315に対応してクリック感を発生させる押圧部216が一体で形成されている。
【0044】
連接部213の後端部には下面の一部が傾斜面を備えた連動部218が形成されており、スイッチ操作つまみ210が横方向に摺動することにより電源スイッチ203の操作片203aを傾斜面に沿って押し下げることにより電源スイッチ203の「入」、「切」の操作が行われる構成となっている。
【0045】
本体部212の中央部には操作時に指を掛ける操作突起217と本体部212の後端部には上ケース310に形成された摺動溝311に挿入する係止部211が一体で形成されている。また閉塞部214と摺動部215はスイッチ操作つまみ210の両側方向に上ケース310の前面壁と平行な平板を延出するように設けられており、閉塞部214および摺動部215の幅寸法はスイッチ操作つまみ210が摺動する距離の2倍と本体部212の幅を加えた寸法以上を備えている。
【0046】
図8に示すように、上記構成のスイッチ操作つまみ210は、本体部212は上ケース310に形成された操作部201の外面の曲面に沿うように配置され、本体部212の後端部に形成された係止部211が摺動溝311に挿入されている。スイッチ操作つまみ210は上ケース310の前面壁を包み込むようにスイッチ操作開口206から上方に回り込み、前方にはスイッチ操作開口206を閉塞する閉塞部214が配置されており、後方には上ケース310の摺動リブ314に沿って摺動部215が配置されている。
【0047】
上ケースの摺動リブ314の後方には押圧部216が配置されており摺動部215と押圧部216で摺動リブ314を狭持している。押圧部216の後方に延伸した連接部213の後端部に設けられた傾斜面には、制御基板205に固定された電源スイッチ203の操作片203aが当設しており、スイッチ操作つまみ210を左右に移動させることにより、電源スイッチを「入」、「切」することができる。
【0048】
図9に示すように、抵抗操作つまみ220は樹脂材料により一体で成型されたものである。抵抗操作つまみ220は、上ケース310の外面に配置される本体部222と、本体部222の下端から後方に向かって屈曲させながら延設されスライド抵抗204に連接される連接部223と、連接部223の途中に配置され左右に延設された平面で抵抗操作開口207を閉塞する閉塞部224と、連接部223の途中に配置され左右に延設して設けられ樹脂材料の弾性を利用して抵抗操作つまみ220を上ケース310の操作部201に適度な圧力で密接させる押圧部226とが一体で形成されている。
【0049】
本体部222の中央部には操作時に指を掛ける操作突起227と本体部222の後端部には上ケース310に形成された摺動溝311に挿入する係止部221が一体で形成されている。また閉塞部224は抵抗操作つまみ220の両側方向に上ケース310の前面壁と平行な平板を延出するように設けられており、閉塞部224の全幅寸法はスライド抵抗204の操作片204aが摺動する距離の2倍と本体部222の幅を加えた寸法以上を備えている。また連接部223の後端部にはスライド抵抗204の操作片204aを嵌入する嵌合孔225が設けられており抵抗操作つまみ220とスライド抵抗204が連接可能な構成となっている。
【0050】
図10に示すように、上記構成の抵抗操作つまみ220は、本体部222は上ケース310に形成された操作部201の外面の曲面に沿うように配置され、本体部222の後端部に形成された係止部221が摺動溝311に挿入されている。抵抗操作つまみ220は上ケース310の前面壁と抵抗リブ313を包み込むように抵抗操作開口207から抵抗リブ313に沿って上方に回り込み、閉塞部224は上部が抵抗リブ313に当接するとともに下部は抵抗操作開口207を閉塞するように配置されている。
【0051】
上ケース310の摺動リブ314の後方には押圧部226が配置されており抵抗操作つまみ220を上ケース310の前面壁と摺動リブ314間で狭持している。押圧部226の後方に延伸した連接部223の後端部に設けられた嵌合孔225には、制御基板205上に固定されたスライド抵抗204の操作片204aが嵌入されており、抵抗操作つまみ220を左右に移動させることにより、スライド抵抗204の抵抗値を変化させることで、電気採暖具100の温度設定を調節することができる。
【0052】
<3>コントローラの動作および作用
図11は、スイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみ220を上ケース310に設置した状態でスイッチ操作つまみ210は電源が「切」の状態である左端の操作位置にあり、抵抗操作つまみ220は設定温度が最高の設定である右端の操作位置にある状態を示す上ケース310の下面図を示すものである。
【0053】
図12は、スイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみ220を上ケース310に設置した状態でスイッチ操作つまみ210は電源が「入」の状態である右端の操作位置にあり、抵抗操作つまみ220は設定温度が最低の設定である左端の操作位置にある状態を示す上ケース310の下面図を示すものである。
【0054】
図11に示す操作位置は、スイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみ220が最も近接した状態を示すものであり、図に示すように、スイッチ操作つまみ210の閉塞部214は主に右側半分でスイッチ操作開口206の全面を閉塞しており、抵抗操作つまみ220の閉塞部224は主に左側半分で抵抗操作開口207の全面を閉塞している。また、スイッチ操作つまみ210の閉塞部214と抵抗操作つまみ220の閉塞部224は分割リブ323の後方で重なり合った状態である。
【0055】
図12に示す操作位置は、スイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみ220が最も離れた状態を示すものであり、図に示すように、スイッチ操作つまみ210の閉塞部214の主に左側半分でスイッチ操作開口206の全面を閉塞しており、抵抗操作つまみ220の閉塞部224は主に右側半分で抵抗操作開口207の全面を閉塞している。また、スイッチ操作つまみ210の閉塞部214と抵抗操作つまみ220の閉塞部224が配置されていない部分は分割リブ323の後方に位置しており、この部分は分割リブ323により閉塞されている。
【0056】
このように、スイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみ220がいずれの操作位置にある場合も、スイッチ操作開口206と抵抗操作開口207は閉塞された状態となっていることが示されている。
【0057】
また、図8および図10で示すように、スイッチ操作つまみ210の閉塞部214と抵抗操作つまみ220の閉塞部224の下端は下ケース320の摺動面322に当接しており、上端は操作開口206の上端より高い位置に配置されるようになっている。このような構成とすることにより、操作開口206はスイッチ操作つまみ210の閉塞部214と抵抗操作つまみ220の閉塞部224で操作開口206の全面が閉塞された状態となっていることが示されている。
【0058】
また、図11に示すスイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみ220とが最も近接した状態でのそれぞれの中心間の距離W1は24mmである。また図12に示すスイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみ220とが最も離れた状態でのそれぞれの中心間の距離W2は60mmである。
【0059】
スイッチ操作つまみ210の摺動距離をD1とし、抵抗操作つまみの摺動距離をD2とした場合、D1+D2=W2−W1の関係となり、D1+D2は36mmとなる。
【0060】
通常の構成でスイッチ操作つまみ210の閉塞部214と抵抗操作つまみ220の閉塞部224が相互に重なり合わない構成の場合、スイッチ操作つまみと抵抗操作つまみが最も近接した場合の中心間の距離はD1+D2であり、本実施の形態に使用した電源スイッチ203とスライド抵抗204を使用した場合36mm以上となる。即ち、スイッチ操作つまみ210の中心から閉塞部214の左端までの寸法は、最小でもスイッチ操作つまみ210の摺動距離D1を有している。また、抵抗操作つまみ220の中心から閉塞部224の右端までの寸法は、最小でも抵抗操作つまみ220の摺動距離D2を有している。従って、閉塞部214の左端と閉塞部224の右端とがちょうど一致して相互に重なり合わない状態のとき、両つまみ210,220間の距離はD1+D2となる。
【0061】
それに対して本実施の形態の閉塞部が相互に重なり合う構成とすることにより、スイッチ操作つまみと抵抗操作つまみが最も近接する距離W1は24mmであり、閉塞部が重なり合う構成とすることが、コントローラ200を小型化するために有効な構成となっている。
【0062】
上記のように、本実施例の構成においては、スイッチ操作つまみ210と抵抗操作つまみ220がいずれの操作位置にある場合でも、スイッチ操作つまみ210の閉塞部214と抵抗操作つまみ220の閉塞部224で操作開口206の全面を閉塞することが可能であり、コントローラ200の前面から飛び跳ねるように掛けられた水が、操作開口206からコントローラ200内部に浸入することを防止することができ、防水機能を備えたコントローラを小型で実施することができ、安全性の高いコントローラを提供することができる。
【0063】
また、図8および図10に示すように、操作開口206の後方には下ケース320と一体に形成された防水リブ324が配置されており、スイッチ操作つまみ210の閉塞部214と抵抗操作つまみ220の閉塞部224と下ケース320の摺動面322との間からしみ込んだ水がコントローラ200の内部に進入することを防止することができる。
【0064】
また、図4及び図8に示すように、下ケース320の摺動面322のうち、スイッチ操作つまみ210の摺動範囲に対応する部分の後部には、スイッチ操作つまみ210の摺動部215の下端が嵌る溝322aが形成されている。この溝322aは、スイッチ操作つまみ210が摺動する際に摺動部215を案内し、安定的な摺動操作を可能としている。更に、防水リブ324の直前で水を捕捉するトラップの役割も果たし、コントローラ200の内部への水の進入をより効果的に防止することができる。
【0065】
また、図11に示す電源スイッチが「切」の状態から、図12に示す電源スイッチが「入」の状態になるようにスイッチ操作つまみ210を操作した場合、スイッチ操作つまみ210の押圧部216に設けられた突起が摺動リブ314の突起315を乗り越えることにより操作中にクリック感を得ることができスイッチの「入」、「切」を感覚的に認知することができるとともに、不用意にスイッチが「入」または「切」なることを防止することができ安全性を向上することができる。
【0066】
また、スイッチ操作つまみ210を操作した場合、スイッチ操作つまみ210の閉塞部214は上ケース310の前面壁の内面に沿って摺動し、摺動部215は上ケース310に設けられた摺動リブ314に沿って摺動する構成である。閉塞部214と摺動部215は本体部212より大きい幅を有しており、スイッチ操作つまみ210の操作時の傾きを抑制することができるため、スイッチ操作つまみ210をスムーズに操作できる。
【0067】
また、抵抗操作つまみ220を操作した場合、抵抗操作つまみ220の閉塞部224は上ケース310に設けられた抵抗リブ313に沿って摺動する構成である。閉塞部224は本体部222の幅に加え両側にスライド抵抗204の摺動距離以上の寸法を加えた幅寸法を有しており、抵抗操作つまみ220の操作時の傾きを抑制することができるため、スイッチ操作つまみ210をスムーズに操作できる。
【0068】
ところで、本実施の形態に係るコントローラ200は、上述したようにスイッチ操作つまみ210が有する前後2枚の閉塞部214と摺動部215との間に、抵抗操作つまみ220が有する長寸の閉塞部224が進退する構成である。そこで、このような進退を確実にするため、前後に対向配置された閉塞部214及び摺動部215の各端部にはテーパ面214a,215aが形成され、閉塞部224の端部にはアール面224aが形成されている。
【0069】
即ち、テーパ面214a,215aは、スイッチ操作つまみ210を平面視したときに、左右の外方へ向かうに従って面間距離が大きくなって開いていくように形成されている。また、アール面224aは、抵抗操作つまみ220を平面視したときに、左右の外方へ凸状となった略円弧状の輪郭を有するように形成されている。
【0070】
このような構成とすることにより、スイッチ操作つまみ210及び抵抗操作つまみ220の位置が多少前後に変位したり、樹脂成型時の反り、変形が多少生じたりした場合であっても、摺動時に、閉塞部224が閉塞部214と摺動部215との間に確実に進入する。従って、閉塞部224が閉塞部214や摺動部215に干渉することが原因で、ユーザーによる摺動操作が妨げられるのを防止することができる。
【0071】
(実施の形態2)
図13は、実施の形態2に係るコントローラの操作部の内部を示す下面図である。この図13に示すコントローラ200は大部分において図6に示したものと同じ構成を備えているが、図13の構成では、スイッチ操作つまみ210及び抵抗操作つまみ220の下端に摺動リブが備えられている点が異なっている。
【0072】
より具体的に説明すると、スイッチ操作つまみ210の本体部212の下端には摺動リブ325が突設され、閉塞部214の下端にも摺動リブ326が突設されている。また、抵抗操作つまみ220の本体部222の下端には摺動リブ327が突設され、閉塞部224の下端にも摺動リブ328が突設されている。
【0073】
摺動リブ325は、スイッチ操作つまみ210の本体部212の下端の前後寸法より小さい厚み寸法を有し、本体部212の下端の左右寸法より若干小さい幅寸法を有している。同様に、摺動リブ326は、閉塞部214の下端の前後寸法より小さい厚み寸法と、閉塞部214の左右寸法より若干小さい幅寸法とを有し、摺動リブ327は、抵抗操作つまみ220の本体部222の下端の前後寸法より小さい厚み寸法と、本体部222の下端の左右寸法より若干小さい幅寸法とを有している。これに対して摺動リブ328は、閉塞部224の下端の前後寸法より小さい厚み寸法を有するものの、閉塞部224の左右寸法に比べて比較的小さい幅寸法を有している。更に、各摺動リブ325〜328は、何れもほぼ同一の高さ寸法を有しており、例えば0.3mm程度の高さ寸法になっている。
【0074】
このような構成とすることにより、下ケース320の摺動面322(図8参照)と、スイッチ操作つまみ210及び抵抗操作つまみ220との接触面積が小さくなるため、ユーザーは摺動操作を容易に行える。また、スイッチ操作つまみ210及び抵抗操作つまみ220の何れも、前後に離隔させた2本の摺動リブを備えるため、摺動操作時における前後方向のガタツキを抑制でき、しかも各摺動リブは左右方向に長寸であるから左右方向のガタツキも抑制でき、安定的な摺動操作を実現することができる。
【0075】
また、抵抗操作つまみ220の閉塞部224は左右方向に比較的長いため、ここに設けた摺動リブ328については、上述したように閉塞部224の左右寸法より比較的小さい幅寸法としている。これにより、下ケース320の摺動面322と抵抗操作つまみ220との接触面積をより小さくでき、容易な摺動操作が可能となる。但し、摺動リブ328の幅の短寸化は、抵抗操作つまみ220の摺動時における左右方向のガタツキを抑制できる範囲を限度とするのが好ましい。
【0076】
更に、上述したように、各摺動リブ325〜328の高さは約0.3mmという比較的小さい寸法に抑えられている。従って、摺動リブ325〜328を設けることでその左右外方には隙間が形成されるが、各隙間の高さ寸法が小さいため、水の進入を防止することができる。このことからも理解できるように、摺動リブの高さ寸法は、各摺動リブによって形成される隙間を通じた水の進入が、その水が有する表面張力によって妨げられる程度を目安とするのが好ましい。
【0077】
なお、本実施の形態においては、コントローラ内に設置する操作機器としては電源スイッチとスライド抵抗の2個を設置したが、これに限るものではなく、例えば、本体の加熱範囲を切り替える切り替えスイッチや加熱範囲毎の温度調整を行なう複数のスライド抵抗等を配置した場合にも同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明にかかる電気採暖具のコントローラは、操作開口からの水の浸入を防止することが可能となるので、電気採暖具以外の電気機器のコントローラ等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0079】
100 電気採暖具
200 コントローラ
203 電源スイッチ(操作機器)
204 スライド抵抗(操作機器)
206 スイッチ操作開口(操作開口)
207 抵抗操作開口(操作開口)
210 スイッチ操作つまみ(操作つまみ)
214、224 閉塞部
220 抵抗操作つまみ(操作つまみ)
300 ケース
324 防水リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立面に操作開口を備えたケースと、
前記ケース内に内蔵され、電気採暖具を操作する複数の操作機器と、
複数の前記操作機器を、前記操作開口を介して前記ケースの外部から操作する操作つまみと、を含み、
前記操作つまみは、前記操作開口に沿って所定範囲の操作位置に摺動可能とし、
前記操作つまみは、いずれの前記操作位置においても、前記操作開口を閉塞する閉塞部を一体に備え、
隣接する前記操作つまみが相互に近接した前記操作位置においては、隣接する前記操作つまみの前記閉塞部は、一部が相互に重なり合った状態で配置される構成の、
電気採暖具のコントローラ。
【請求項2】
隣接する前記操作つまみの中心が最も近接する距離が、隣接する操作つまみのそれぞれの摺動距離を加えた距離より短いことを特徴とする、
請求項1に記載の電気採暖具のコントローラ。
【請求項3】
前記操作開口の内方には、前記ケースの底面より突起した防水壁が形成されている、
請求項1または2に記載の電気採暖具のコントローラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−193943(P2012−193943A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184627(P2011−184627)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】