説明

電流駆動型装置及び表示装置

【課題】列制御回路が配置される領域において、配線および回路面積の小型化を図る。
【解決手段】基板上に、EL素子と画素回路とを備えた画素がマトリクス状に配置された表示領域6と、画素回路を列ごとに制御する列制御回路37と、を備える。EL素子は、基板に対して下層の画素電極と上層の透明電極との間に設けられ、画素電極は画素回路に電気的に接続され、透明電極はコンタクトホールを介して共通配線に電気的に接続される。コンタクトホール2と共通配線は表示領域の周囲を囲んで配置され、列制御回路はコンタクトホールと表示領域の間と、表示領域に対してコンタクトホールの外側とに分割されて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に、電流駆動型素子と前記電流駆動型素子に流す電流を制御する素子制御回路とを備えた構成要素が複数個配置された領域を有する電流駆動型装置、表示装置およびカメラに係わる。そして本発明は、電流を注入して発光するエレクトロルミネッセンス素子(以後EL素子と言う)を用いた表示装置に好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いた表示装置がCRTやLCDに替わる表示装置として注目されている。その中でも素子に流れる電流によって発光輝度が制御される電流制御型の発光素子である有機EL素子の応用開発が活発に行われている。そして、周辺回路を含んだ有機ELディスプレイでは表示領域に限らず、周辺回路においても薄膜トランジスタ(TFT)が用いられている。
【0003】
周辺回路又は信号処理回路内のTFTは、通常、ポリシリコンTFTが用いられている。ポリシリコンTFTは低温結晶化技術により製造され、高性能・低価格の周辺駆動回路TFTの製造に用いられるものである。現在実用化されている代表的な結晶化技術はエキシマレーザを用いた低温結晶化法であり、エキシマレーザを用いることにより良質なシリコン結晶薄膜を低融点ガラス上に形成することが可能になる(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、有機ELを用いた表示装置は、水分または酸素などが有機EL素子に侵入することによって発光しないエリア(ダークスポット)の発生や、輝度の劣化の問題がある。よって水分または酸素の侵入を抑えるための封止技術が求められる。
【0005】
例えば特許文献2に開示されているように、有機EL素子上に所定の空隙を置いて配置される封止板と、この封止板を封止用接着剤を用いて基板上に固定し、かつ表示領域を密閉する技術が知られている。
このような構造において封止能力を高め、水分透過量を減らす方法として、封止用接着剤の幅を太くすることでEL素子への外気の進入を防ぐ構造も採用される。しかし、この場合には基板エッジから封止用接着剤外周までは、信頼性の観点から一定のマージンを確保する必要がある。また、表示領域は封止用接着剤の内側に配置されるので、パネル外形を同一のまま、封止能力を高めるために封止用接着剤の幅を太くすると、当然ながら額縁面積は大きくなり、表示領域の面積が低減してしまう。
【0006】
図5に従来の表示装置例の概略図を示す。図5の表示装置はEL素子および画素回路がマトリクス状に配置される表示領域6と、EL素子の出力に接続された透明電極と共通電位線を接続させるコンタクトホール2と、を有する。また、映像信号や制御信号、電力が外部より供給される外部接続端子5と、封止基板を固着させる接着領域4と、を有する。また、画素回路にデータ信号を出力する列制御回路37は表示領域6に対してコンタクトホール2の外側に配置される。また、画素行ごとに走査線に走査信号を出力する走査線駆動回路3と、サンプリング信号を生成して列制御回路37に出力するシフトレジスタ10と、入力された制御信号を表示パネル内の動作電圧レベルに変換して出力する入力回路9と、を有する。また、画素回路に電力を供給する電力供給線1とを有し、共通電位線と電力供給線1は外部接続端子5と接続される。なお、外部接続端子5に接続される配線は省略している。
【特許文献1】特開平09−082641号公報
【特許文献2】特開平11−074074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、表示パネルには軽量化とコンパクト化の要求により、狭額縁化が求められている。
【0008】
本発明の目的は、回路および配線の配置の工夫により表示装置の狭額縁化を実現する表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電流駆動型装置は基板上に、電流駆動型素子と前記電流駆動型素子に流す電流を制御する素子制御回路とを備えた構成要素がマトリクス状に配置された領域と、前記素子制御回路を列ごとに制御する列制御回路と、を備えた電流駆動型装置において、
前記電流駆動型素子は、前記基板に対して下層の第1電極と上層の第2電極との間に設けられ、前記第1電極は前記素子制御回路に電気的に接続され、
前記第2電極はコンタクトホールを介して共通配線に電気的に接続され、
前記コンタクトホールと前記共通配線は前記領域の周囲を囲んで配置され、
前記列制御回路は、前記コンタクトホールと前記領域の間と、前記領域に対して前記コンタクトホールの外側とに分割されて配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、列制御回路が配置される領域において、配線および回路面積の小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の電流駆動型装置において、電流駆動型素子は下層の第1電極と上層の第2電極との間に設けられる機能素子であればよく、発光素子、発熱素子(抵抗素子)等が挙げられる。特に電流駆動型素子として、有機EL素子に代表されるEL素子(電流駆動型発光素子となる)が好適に用いられる。
【0012】
電流駆動型発光素子とスイッチ素子とを組み合わせた構成要素をマトリクス状に配して表示装置を構成することができる。
【0013】
画像情報を示す表示装置はスキャナとして感光体と組み合わせて光プリンタ、複写機等の画像記録装置を構成することができる。また、平面型テレビ、デジタルカメラ,デジタルビデオカメラ等に用いられるビューア、携帯電話機の表示部等に用いることができる。
素子制御回路は上記電流駆動型素子に流す電流を制御する回路であり、最も簡単な構成は1つのトランジスタである。後述する実施形態においては、素子制御回路は電流駆動型素子に電流を流すトランジスタの制御電極(ゲート等)に予め流す電流値をプログラミングする回路構成となっている。そして、電流駆動型素子に電流を流すトランジスタと、その制御電極(ゲート等)に電流を書き込むためのトランジスタとを含んでいる。
【0014】
電流駆動型素子に流れる電流は、コンタクトホールを通って共通配線に流れる。また、電流駆動型素子に流れる電流は共通配線からコンタクトホールを通って電流駆動型素子に流入する場合もある。
【0015】
次に、本発明の構成による作用について表示装置を例にとって説明する。以下に説明する構成及び作用は表示領域の発光素子を除き他の装置にも適用される。
【0016】
図5に示すように、表示領域6の上辺の外側には列制御回路37と、列制御回路37に信号を出力するシフトレジスタ10が配される。列制御回路37を表示領域に対して、コンタクトホール2の外側に配置すると、列制御回路37が配置される側において、表示領域6と列制御回路37の間の距離が大きくなり、表示装置の広額縁化を招いてしまうことになる。
【0017】
そこで、列制御回路を、コンタクトホールと表示領域の間と、表示領域に対してコンタクトホールの外側とに分割することで、表示装置の広額縁化を抑制する。
【0018】
なお、列制御回路37の処理速度の速い回路構成部がコンタクトホール2と表示領域6の間に配置されると、透明電極との間に生じる寄生容量のため、列制御回路37の動作速度が低減してしまうことなる。そこで、列制御回路のうち、高い動作速度が要求される回路を表示領域に対してコンタクトホールの外側に配置し、比較的動作速度の高速性が要求されない回路を表示領域とコンタクトホールの間に配置することが望ましい。
【0019】
本発明を実施するための最良の形態は、有機EL素子に代表されるEL素子を用いたアクティブマトリクス型表示装置に適用される。以下、本発明に係わるアクティブマトリクス型表示装置の実施形態について図面を用いて説明する。
【0020】
(実施形態1)
図1は本発明による表示装置の第1実施形態の概略レイアウト図を示している。
【0021】
図1の表示装置は、有機EL素子等のEL素子と、薄膜トランジスタ(TFT)を含む画素回路(素子制御回路となる)とからなる画素(構成要素となる)が、マトリクス状に配置される表示領域6を有する。また、EL素子の出力に接続された透明電極と共通電位線(共通配線となる)を接続させるコンタクトホール2と、映像信号や制御信号、電力が外部より供給される外部接続端子5と、封止基板を固着させる接着領域4を有する。画素回路にデータ信号を出力する列制御回路37は、コンタクトホール2を挟んで分割して配置される。
【0022】
また、図1の表示装置は、走査線に走査信号を出力する走査線駆動回路3と、サンプリング信号を生成して列制御回路に出力するシフトレジスタ10と、入力された制御信号を表示パネル内の動作電圧レベルに変換して出力する入力回路9と、を有する。また、画素回路に電力を供給する電力供給線1を有し、共通電位線と電力供給線1は外部接続端子5と接続される。なお、外部接続端子5に接続される配線は省略している。
【0023】
図6は図1中のA−A’線に沿った断面図である。画素回路の駆動TFT(後述する、図4のトランジスタM24)の出力に、基板に対して下層の第1電極となる画素電極22が接続される。画素電極22の上に順に有機EL層23、透明導電材からなる上層の第2電極となる透明電極24、パッシベーション膜25が設けられる。画素電極は画素ごとに分離して設けられ、透明電極24は各画素に対して共通に設けられる。透明電極24はコンタクトホール2と画素電極22と同じ材料で形成されたメタル層29を介して共通電位線21に接続される。電力供給線1と各画素回路とは、まず画素行の各画素回路のトランジスタM21(図4に図示)のソースが画素行ごとに設けられた電力線に接続される。そして、この電力線が図1の領域6とコンタクトホール2との間に設けられた電力供給線1に接続されることで電力供給線1と各画素回路との接続される。ここでは、電力線と電力供給線1とは、はしご状に接続され、電力供給線1は「コ」の字状になっている。
【0024】
また表示領域6と共通電位線21の間の領域には、電力供給線1と平坦化絶縁膜28と素子分離膜26が形成される。列制御回路を構成するトランジスタはポリシリコンTFTを用いることができる。図1において列制御回路が設けられる側では、電力供給線1が設けられている領域に列制御回路を構成するトランジスタが配置される。
【0025】
図2に列制御回路の一構成例を示す。図中、M1〜M4,M6〜M10,M12はn型TFT、M5,M12はp型TFT、C1〜C4は容量、SPa,SPbはサンプリング信号、Vccは電源、P1〜P6は列制御信号である。なお、各トランジスタのゲートサイズ(幅:W、長さ:L)は、トランジスタM1とトランジスタM7との間、トランジスタM2とトラジスタM8との間、及びトランジスタM3とトランジスタM9との間で等しくなっている。また、ゲートサイズ(幅:W、長さ:L)はトランジスタM4とトランジスタM10との間、トランジスタM5とトランジスタM11との間、及びトランジスタM6とトランジスタM12との間でも等しくなっている。また、容量値は、容量C1と容量C3との間、容量C2と容量C4との間で等しくなっている。
【0026】
図2の回路動作のタイミングチャートを図3に示す。また、図3は、2行分の映像信号にかかる動作を示したものである。図3において、M3/GはトランジスタM3のゲート、M9/GはトランジスタM9のゲートを示す。
(時刻t1直前)
サンプリング信号SPaはL(LOW)レベル、サンプリング信号SPbはLレベルである。また、列制御信号P1はLレベル、列制御信号P2はLレベル、列制御信号P3はH(HIGH)レベル、列制御信号P4はLレベル、列制御信号P5はHレベル、列制御信号P6はLレベル、である。
【0027】
従って、各トランジスタは、トランジスタM1がオフ、トランジスタM2がオフ、トランジスタM4がオフ、トランジスタM6がオンとなる。また、トランジスタM7がオフ、トランジスタM8がオフ、トランジスタM10がオン、トランジスタM12がオフとなる。この時、トランジスタM3とトランジスタM9はそれぞれのゲートに付随する容量に充電された保持電圧Va1、Vb1によって電流駆動され、トランジスタM3のドレイン電流Ia1が電流信号Idataとして出力される。トランジスタM9のドレイン電流はトランジスタM11のドレイン端子とトランジスタM11のゲート端子に供給され、一定値になる。
(時刻t1)
サンプリング信号SPaはHレベル、列制御信号P2はHレベル、列制御信号P3はLレベル、列制御信号P5はLレベル、列制御信号P6はHレベルに変化し、映像信号Videoはブランキング期間におけるブランキング信号VBLとなっている。
【0028】
従って、各トランジスタは、トランジスタM1がオン、トランジスタM2がオフ、トランジスタM4がオン、トランジスタM6がオフとなる。また、トランジスタM7がオフ、トランジスタM8がオフ、トランジスタM10がオフ、トランジスタM12がオン、となる。この時、トランジスタM9のゲート電圧のVb1によって駆動されたトランジスタM9のドレイン電流Ib1がトランジスタM3のドレイン電流Ia1に代わって電流信号Idataとして出力されるようになる。電流信号Idataは画像表示部の列長を通過し、各列の多数の画素回路に対応するEL素子に接続するため、大きな寄生容量を駆動しなければならない。そのため、有効電流供給遷移Ia1→Ib1に時間を要する。時刻t2になる前に列制御信号P1はHレベルになり、トランジスタM2はオンとなり、この時点から時刻t2までの短時間において、トランジスタM3のゲート端子はトランジスタM5によって充電される。
(時刻t2)
列制御信号P2はLレベルとなり、トランジスタM4がオフとなるため、トランジスタM3のゲート端子のトランジスタM5による充電動作が停止し、トランジスタM3のゲート端子は自身の閾値電圧Vthに漸近するように自己放電動作を行う。
(時刻t3)
サンプリング信号SPaはLレベルとなり、トランジスタM1がオフとなる。時刻t4になる前に列制御信号P1はLレベルとなり、トランジスタM2はオフとなって、この時点でトランジスタM3の自己放電動作が終了する。この時点から時刻t4までの期間、トランジスタM2及びトランジスタM4はともにオフとなり、トランジスタM3のドレイン電流は急速にLレベルに変化する。そのため、ドレイン−ゲート容量などによって、トランジスタM3のゲート端子は図3に示すように多少電圧降下を生じる。
(時刻t4)
列制御信号P2はHレベルで、トランジスタM4はオンとなるため、再びトランジスタM3のドレイン電流は上昇し、トランジスタM3のゲート電位は再び上昇してほぼ元の状態(Vrsa)に戻る。この時点でトランジスタM3のゲート端子は自身の閾値電圧Vth近傍であるので、トランジスタM3のドレイン電流はほとんど0である。
(〜時刻t7)
時刻t4〜t7の期間中、各列に対応するサンプリング信号SPaが発生する。サンプリング信号SPbは発生しない。時刻t5〜t6において、該当する画素列のサンプリング信号が発生して自身の閾値電圧Vth近傍に保持されているトランジスタM3のゲート電圧を、この時点でブランキングレベル(VBL)を基準とする映像信号レベルd1により遷移電圧ΔV1変化させる。ΔV1は下式で概略示される。
【0029】
ΔV1=d1×C1/(C1+C2+C(M3))
尚、C(M3)はトランジスタM3のゲート端子の入力容量を示す。
【0030】
該当するサンプリング信号SPaがLに変化すると、トランジスタM1はオフとなり、トランジスタM1の寄生容量動作によって多少電圧降下したVa2に変化して再びトランジスタM3のゲート電圧は保持状態となる。
(時刻t7)
サンプリング信号SPbはHレベル、列制御信号P2はLレベル、列制御信号P3はHレベル、列制御信号P5はHレベル、列制御信号P6はLレベルに変化し、映像信号Videoはブランキング期間におけるブランキング信号VBLとなっている。従って、各トランジスタは、トランジスタM1がオフ、トランジスタM2がオフ、トランジスタM4がオフ、トランジスタM6がオンとなる。また、トランジスタM7がオン、トランジスタM8がオフ、トランジスタM10がオン、トランジスタM12がオフとなる。この時、トランジスタM3のゲート電圧のVa2によって駆動されたトランジスタM3のドレイン電流Ia2がトランジスタM9のドレイン電流Ib1に代わって電流信号Idataとして出力されるようになる。映像電流データIdataは画像表示部の列長を通過し、各列の多数の画素回路に対応するEL素子に接続するため、大きな寄生容量を駆動しなければならないため、有効電流供給遷移Ib1→Ia2に時間を要する。時刻t8になる前に列制御信号P4はHレベルになり、トランジスタM8はオンとなり、この時点から時刻t8までの短時間において、トランジスタM9のゲート端子はトランジスタM11によって充電される。
(時刻t8)
列制御信号P5はLレベルとなり、トランジスタM10がオフとなるため、トランジスタM9のゲート端子のトランジスタM11による充電動作が停止し、トランジスタM9のゲート端子は自身の閾値電圧Vthに漸近するように自己放電動作を行う。
(時刻t9)
サンプリング信号SPbはLレベルとなり、トランジスタM7がオフとなる。時刻t10になる前に列制御信号P4はLレベルとなり、トランジスタM8はオフとなって、この時点でトランジスタM9の自己放電動作が終了する。この時点から時刻t10までの期間、トランジスタM8及びトランジスタM10はともにオフとなり、トランジスタM9のドレイン電流は急速にLレベルに変化する。そのため、ドレイン−ゲート容量などによって、トランジスタM9のゲート端子は図3に示すように多少電圧降下を生じる。
(時刻t10)
列制御信号P5はHレベルで、トランジスタM10はオンとなるため、再びトランジスタM9のドレイン電流は上昇し、トランジスタM9のゲート端子は再び上昇してほぼ元の状態(Vrsb)に戻る。この時点でトランジスタM9のゲート端子は自身の閾値電圧Vth近傍であるので、トランジスタM9のドレイン電流はほとんど0である。
(〜時刻t13)
時刻t10〜t13の期間中、各列に対応するサンプリング信号SPbが発生する。サンプリング信号SPaは発生しない。時刻t11〜t12で、該当する画素列のサンプリング信号が発生して自身の閾値電圧Vth近傍に保持されているトランジスタM9のゲート電圧を、この時点でブランキングレベル(VBL)を基準とする映像信号レベルd2により遷移電圧ΔV2変化させる。ΔV2は下式で概略示される。
【0031】
ΔV2=d2×C3/(C3+C4+C(M9))
尚、C(M9)はトランジスタM9のゲート端子の入力容量を示す。
【0032】
該当するサンプリング信号SPbがLに変化すると、トランジスタM7はオフとなり、トランジスタM7の寄生容量動作によって多少電圧降下したVb2に変化して再びトランジスタM9のゲート電圧は保持状態となる。また、時刻t13直前に、映像信号VideoはブランキングレベルVBLに戻る。
【0033】
以降、時刻t13が新たな時刻t1として、時刻t1〜t12の動作を繰り返す。
【0034】
図2の回路においては、容量C2及びC4は、トランジスタM3及びトランジスタM9のゲート入力容量(チャネル容量)のみで実現しても良く、この場合、容量C2及びC4は付設しなくても良い。また、図3において、列制御信号P1及びP2の変化タイミングは、時刻t1、t3として、サンプリング信号SPaと等しくしても良い。また、列制御信号P4及びP5の変化タイミングは、時刻t8、t11としてサンプリング信号SPbと等しくしても良い。図2において、列制御信号P2、トランジスタM4、トランジスタM5及び列制御信号P5、トランジスタM10、トランジスタM11はバイアス回路及び充電回路を構成する。そして、トランジスタM3のドレイン端子及びトランジスタM9のドレイン端子のバイアス回路及びトランジスタM3のゲート端子及びトランジスタM9のゲート端子の充電回路となる。しかし、バイアス回路及び充電回路は無くてもかまわない。
【0035】
図4に分割した列制御回路の配置方法を示す。図4は図2中のGmaの列制御回路を用いており、トランジスタの番号や容量の番号およびサンプリング信号SPa等の制御信号は図2に対応している。図4に示した回路図は、電圧電流変換回路41とスイッチ42で構成される列制御回路Gmaと画素回路とからなる。
【0036】
図4に示した画素回路について説明する。列制御信号P21及びP22が走査信号であり、データ信号として電流データIdataが入力される。TFT(トランジスタM24)のドレイン端子にEL素子の陽極が接続される。トランジスタM21、トランジスタM22、トランジスタM24がP型TFTであり、トランジスタM23がN型TFTである。
【0037】
以下に画素回路の動作について説明する。
【0038】
Idataが入力される時、走査信号P21はHIGHレベルの信号が、走査信号P22にはLOWレベルの信号が入力され、トランジスタM22、M23がON、トランジスタM24はOFFである。このときトランジスタM24は導通状態でないため、EL素子には電流が流れない。IdataによりトランジスタM21の電流駆動能力に応じた電圧が、トランジスタM1のゲート端子と電源電位VCCの間に配置された容量C21に生じる。
【0039】
EL素子に電流を供給する時は、走査信号P21はLOWレベルの信号、走査信号P22はHIGHレベルの信号を入力する。このときトランジスタM24がON、トランジスタM22、M23がOFFとなる。トランジスタM24が導通状態であるため、C21に生じた電圧により、トランジスタM21の電流駆動能力に応じた電流がEL素子に供給され、その供給された電流に応じた輝度でEL素子が発光する。
【0040】
次に分割した列制御回路の配置方法について説明する。図2および図3を用いて列制御回路の動作を説明したように電圧電流変換回路41は回路動作の高速性が要求され、一方、スイッチ42については比較的動作速度の高速性は要求されない。すなわち、水平走査期間(例えばt1〜t7又はt7〜t13)において、電圧電流変換回路41は、水平走査期間よりも小さいパルス幅の信号SPa、P1、P2により制御され高速性が要求される。一方、スイッチ42は水平走査期間と同じパルス幅の信号P3により制御され比較的動作速度の高速性は要求されない。
【0041】
図1および図5において、コンタクトホール2で囲まれた領域は透明電極との間に生じる寄生容量が大きい領域である。そこで高い動作速度が要求される電圧電流変換回路41を表示領域6に対してコンタクトホール2の外側の領域44に配置し、高い動作速度は要求されないスイッチ42をコンタクトホール2と表示領域6の間の領域45に配置する。
【0042】
分割した列制御回路を以上のように配置することによって、回路の動作速度を低減させずに回路領域および配線領域を低面積化することが可能となり、表示装置の列制御回路が配置される辺において、狭額縁化が可能となる。
【0043】
なお、本実施形態の表示装置において図2および図4で示した回路構成を一例として挙げたが、この回路構成に限定されるものではない。
【0044】
また、上記の説明において、各画素のEL素子の発光設定方式を電流設定方式としたが、それに限定されず、例えば、電圧設定方式でも良い。
また本実施形態において、電流の制御を行う画素回路を構成するトランジスタを介してEL素子に電流を流し、共通電位線を介して電流を流出するものとした。しかし、共通電位線からEL素子に電流を流し、その電流を制御を行う画素回路を構成するトランジスタを介して電流を流してもよい。例えば、図4の画素回路において、トランジスタM21はここではPMOSトランジスタを用いている。しかし、トランジスタM21としてNMOSトランジスタを用い、EL素子の陰極側をトランジスタM24に接続し、陽極側を電位VCCとされた共通電位線に接続し、トランジスタM21を接地された電力供給線に接続してもよい。
【0045】
また、上記の各実施形態の表示装置は、トップエミッション型のEL表示装置であるが、画素回路が形成された透明基板側から光を取り出すボトムエミッション型のEL表示装置でも適用可能である。この場合、基板に対して下層の第1電極となる画素電極は透明電極が用いられる。上層の第2電極は透明電極であってもよいが、反射光を用いる場合にはアルミ等の金属の電極が用いられる。
【0046】
本発明の表示装置ではEL素子を用いた例を挙げたが、これに限るものではなく、本発明が適用できるならば、他の表示装置であってもよい。
【0047】
(実施形態2)
上述した各実施形態の表示装置は情報表示装置を構成できる。この情報表示装置は携帯電話、携帯コンピュータ、スチルカメラもしくはビデオカメラ等、もしくはそれらの各機能の複数を実現する装置である。情報表示装置は情報入力部を備えている。例えば、携帯電話の場合には情報入力部はアンテナを含んで構成される。PDAや携帯パソコンの場合には情報入力部はネットワークに対するインターフェース部を含んで構成される。スチルカメラやムービーカメラの場合には情報入力部はCCDやCMOSなどによるセンサ部を含んで構成される。
【0048】
以下本発明の好適な実施形態として、上述した実施形態1に記載の表示装置を用いたデジタルカメラについて説明する。
【0049】
図7はデジタルスチルカメラの一例のブロック図である。図中、129はシステム全体、123は被写体を撮像する撮影部、124は映像信号処理回路、125は表示パネル、126はメモリ、127はCPU、128は操作部を示す。撮像部123で撮影した映像または、メモリ126に記録された映像を、映像信号処理回路124で信号処理し、表示パネル125で見ることができる。CPU127では、操作部128からの入力によって、撮影部123、メモリ126、映像信号処理回路124などを制御して、状況に適した撮影、記録、再生、表示を行う。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の電流駆動型装置は電流駆動型素子としては例えば有機EL素子に代表されるEL素子(電流駆動型発光素子となる)を用いることができ、これらを用いて表示装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の表示装置を説明する図である。
【図2】列制御回路の回路図例である。
【図3】図2の列制御回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】本発明の分割した列制御回路の配置方法を説明する回路図例である。
【図5】従来例の表示装置を説明する図である。
【図6】図1中のA−A’線に沿った断面図である。
【図7】デジタルスチルカメラの一例のブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
1 電力供給線
2 コンタクトホール
3 走査線駆動回路
4 接着領域
5 外部接続端子
6 表示領域
9 入力回路
10 シフトレジスタ
37、Gma 列制御回路
41 電圧電流変換回路
42 スイッチ
43 画素回路
44 表示領域に対してコンタクトホールの外側の領域
45 コンタクトホールと表示領域の間の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、電流駆動型素子と前記電流駆動型素子に流す電流を制御する素子制御回路とを備えた構成要素がマトリクス状に配置された領域と、前記素子制御回路を列ごとに制御する列制御回路と、を備えた電流駆動型装置において、
前記電流駆動型素子は、前記基板に対して下層の第1電極と上層の第2電極との間に設けられ、前記第1電極は前記素子制御回路に電気的に接続され、
前記第2電極はコンタクトホールを介して共通配線に電気的に接続され、
前記コンタクトホールと前記共通配線は前記領域の周囲を囲んで配置され、
前記列制御回路は、前記コンタクトホールと前記領域の間と、前記領域に対して前記コンタクトホールの外側とに分割されて配置されることを特徴とする電流駆動型装置。
【請求項2】
外部と電気接続するための接続端子を有し、該接続端子は少なくとも前記共通配線と接続され、前記列制御回路は、前記領域をはさんで前記接続端子の配置側と反対側の領域に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電流駆動型装置。
【請求項3】
前記列制御回路は、電圧電流変換回路を含み、該電圧電流変換回路は前記領域に対して前記コンタクトホールの外側に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電流駆動型装置。
【請求項4】
前記列制御回路は、水平走査期間より短い期間のパルスにより制御される回路を前記領域に対して前記コンタクトホールの外側に配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の電流駆動型装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電流駆動型装置を用いた表示装置であって、前記電流駆動型素子は発光素子であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記発光素子は、エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の表示装置と、被写体を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された信号を処理する映像信号処理部と、を備え、前記映像信号処理部で信号処理された映像信号を前記表示装置で表示してなるカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−139966(P2007−139966A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331599(P2005−331599)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】